『僭王戴冠』

思い出せないからと言って、なかったことにはならない。


PC1:〝特異点の魔獣(モノケロス)天城 康介(あまぎ・こうすけ)(キャラシート)PL:しんごろ
PC2:〝ヴォル・ディアナ〟 逆瀬川 苗(さかせがわ・なえ)(キャラシート)PL:すらい
PC3:〝リトル・ライト・ブルー〟 速水 やどり(はやみ・ - )(キャラシート)PL:紅井寿甘
PC4:〝ジャガーノート〟 真神 コルト(まがみ・ - )(キャラシート)PL:かあねりあん

メイン雑談

目次

  • プリプレイ
  • OP1:真神 コルト
  • OP2:天城 康介
  • OP3:逆瀬川 苗 & 速水 やどり
  • OP4:天城 康介 & 速水 やどり
  • OP5:逆瀬川 苗 & 真神 コルト
  • シーン1
  • マスターシーン
  • シーン2
  • シーン3
  • シーン4
  • シーン5
  • クライマックス
  • バックトラック
  • 共通ED
  • ED2
  • ED3
  • ED4
  • ED5

  • プリプレイ

    ■トレーラー
    世界を守護する盾であれ。
    敵を討ち果たす剣であれ。
    君達は力を得たのだから、力を持たぬ者の為に。
    ……と、囁く声もあるだろう。

    力を持ったからと言って、誰かを守る義務は無い。
    己が為だけに力を使って、誰に恥じる事があろう。

    だから──もしかすればこの世界は不当なのだ。
    君達に守られるばかりで、守ってくれない世界は。


    ダブルクロス The 3rd Edition.

    『僭王戴冠』

    ダブルクロス、それは裏切りを意味する言葉。

    ■自己紹介
    GM:いつもの自己紹介タイム! とハンドアウト提示!
    GM:PC1天城くん、キャラシを貼りつつ自己紹介をお願いします。
    天城康介:は!
    天城康介http://character-sheets.appspot.com/dx3/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEYyPmmyAIM
    天城康介:「なるようになる……いや、違うよな。……生きて、そしてなんとかしていくんだ」
    天城康介:星辰館高校に通う学生かつ、UGNイリーガルエージェント。4年前の、崩落戦のとある現場におけるただ一人の生存者。
    天城康介:奇妙な強運を引き寄せることから、UGN等からは“特異点”のひとりと見られている。
    天城康介:どこか昏いものを感じさせつつも、概ね人柄は誠実と言っていい部類。
    天城康介:ここのところは、特異点云々は関係なく、静かな嵐のど真ん中に立っております。
    天城康介:シンドロームはキュマイラ/オルクス。能力的には、シンプルな低行動値アタッカー。
    天城康介:ロイスについてはOP以後、ということでよいでしょうか。
    GM:と、いいますと?
    天城康介:あ、シナリオロイスとかPC間ロイスの宣言のお話で。
    GM:えーと
    GM:普通に……?
    GM:すいません、何についての質問でしょう
    天城康介:シナリオロイスの感情等、自己紹介の時点で設定するのか、OP終了後に設定するのか、ということですね。
    GM:ああ、なるほど
    GM:OP後で
    天城康介:は、了解です。では、自己紹介は以上で!
    天城康介:よろしくお願いします。
    GM:では、ハンドアウトはこちら
    PC1:〝モノケロス〟天城 康介
    シナリオロイス:〝カルチャータンク〟安楽 はづき
    あなたは少々〝荒れていた〟頃の知り合いに呼び出される。
    彼女曰く、第九支部を指定して保護を求めているオーヴァードがいるらしい
    個人的に第九支部支部長と縁深いあなたを経由して、スムーズに保護を進めようという魂胆のようだ。
    ……が。第九支部長速水やどりは、あなたの目の前で倒れてしまう。

    天城康介:ハンドアウトの時点で波乱……!
    GM:貼ってから気付きましたけど、〝荒れていた〟頃の知り合い=シナリオロイス、みたいに伝わったから発生した認識齟齬ですね、なるほど
    GM:確かに分かりづらかった
    天城康介:某知り合いの紹介で、シナリオロイスのキャラと引き合わされる、という認識でおります。
    GM:あっ、ならば大丈夫です
    天城康介:うす!
    GM:まぁ引き合わされる部分は所詮目標の半分で、重要なのは最後の一行なんですけどね
    GM:頑張って
    GM:君が主役だ
    天城康介:がんばるよ。(武者震い)
    天城康介:あらためて、よろしくお願いします!
    GM:よろしくお願い致します。
    GM:ではPC2、逆瀬川さんどうぞ
    逆瀬川苗http://character-sheets.appspot.com/dx3/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEYkbC23gIM
    逆瀬川苗:呼ばれて飛び出て逆瀬川
    逆瀬川苗:25歳エージェントの逆瀬川苗です。身長が高くていつも卑屈な笑みを浮かべている。
    逆瀬川苗:自信が無くていつもサボり気味。かつては一流エージェントだったんですが崩落戦のみぎりにすっかり残念になっちゃいました。
    逆瀬川苗:最近は14歳にメンタルケアをしてもらいバブみパワーで復活しつつあります。体重も戻ってきた。
    逆瀬川苗:無体なオーヴァード性能を取り戻しつつあるとも言える。戦闘面で頑張れると良いわね
    逆瀬川苗:性能は射撃。多重生成と必中の弓が並ぶことで大概のパーティのギアを一段階引き上げます。邪悪の権化
    逆瀬川苗:自分自身も普通にアタッカーぐらいの性能をしている。無法を並べれば無法になるということ
    逆瀬川苗:以上です。今回は護衛任務!ええ……私より防御に向いた子がいると思うんですよね…ねえ支部長……
    GM:その時にいる人員で回していかなきゃいけないのさ。
    GM:さて、ハンドアウトはこちら。
    PC2:〝ヴォル・ディアナ〟逆瀬川 苗
    シナリオロイス:〝獣型のオーヴァード〟
    あなたは支部長速水やどりの護衛役として、彼女と職員の面談の場に立ち会う。
    だが、当該の職員は死亡。あなたは死亡した職員の任務を引き継ぎ、〝戴冠計画〟の調査に携わることとなった。
    世界の生態系を塗り変える企て──それに与すると見られる、とある企業研究室の監視を始めたあなたは、
    研究室を襲撃し破壊する、一人の、獣の如き姿のオーヴァードを見る事になる。

    GM:獣の如き姿の、って書いちゃったんですけど
    逆瀬川苗:一体どんなシンドロームなんだ…
    逆瀬川苗:バロールかな?
    〝白い獣〟:立絵の関係上ガチ獣になりました
    逆瀬川苗:獣の如き(直喩)
    〝白い獣〟:この場合は立ち絵の方が正しいのでトレーラーがおかしいですが
    GM:まぁ、些事さ!
    GM:やどりちゃんをしっかり支えてあげてね
    GM:さて、お次はPC3
    GM:話題の中心であるやどりちゃん、カモン
    速水 やどり:はい。
    速水 やどりhttp://character-sheets.appspot.com/dx3/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEY6OTM1gIM
    速水 やどり:「当然です。……外見こそ子供でも、支部長ですから」
    速水 やどり:N市第九支部・支部長、速水やどり(はやみ・やどり)、11歳。
    速水 やどり:コードネーム"リトル・ライト・ブルー"。常にタブレット端末を抱えている小学生支部長です。
    速水 やどり:性格はカタいくらいに真面目。色々な巡り合わせによって支部長をしているのだから、それらしくならねばならないと背伸びしている部分も。
    速水 やどり:性能としては支援特化。皆様に《弱点看破》と《アドヴァイス》をお届けします。あとお金ちょっとある。
    速水 やどり:今回も胃が重たくなるような感じですが、支部長マインド! 頼れる部下やおともだち、あの人と一緒に頑張っていこうと思います。
    速水 やどり:以上、皆様よろしくお願いいたします。
    GM:よろしくお願いします。いきなり倒れる役目とかおしつけちゃってごめんね
    GM:ハンドアウトはこんな感じになっています
    PC3:〝リトル・ライト・ブルー〟速水やどり
    シナリオロイス:〝世界の盾の子〟駒 隆広
    あなたは一つの支部を預かる支部長だ。即ちあなたの双肩に、ひとつの地区の命運がのし掛かっている。
    ……あなたは退職を希望する部下との面談を行うが、面談の場で当該の職員は死亡する。
    彼の妻もまたUGNの職員であり、葬儀は〝身内〟のみで粛々と行われる事だろう。
    その場で、殉職した駒 信隆の息子、隆広があなたに詰め寄った。
    あなたと同じくらいの年頃だろう少年だった。

    GM:両親とも同時に死なせてもいいかなーと最初は思ってましたが、色々考えて少年が失うのは片親だけになりました
    GM:ちょっと平和
    速水 やどり:とても つらい
    GM:世界は若者のものさ
    GM:頑張ってください
    GM:さて、そして最後にPC4コルトさん、どうぞ
    真神コルト:イエス!
    真神コルトhttp://character-sheets.appspot.com/dx3/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEYjNqj8QIM
    真神コルト:真神(まがみ)コルト、二十歳。コードネームは"ジャガーノート"。
    真神コルト:北欧系のハーフですが日本人です。
    真神コルト:一般見習いシスターでしたが、ある事件で修道院の関係者ともども皆殺しにされ
    真神コルト:一人だけオーヴァードとして覚醒し助かった……という経緯でUGNのイリーガルになり。
    真神コルト:先日のとある事件で進む道を見定めましてエージェントに志願、登用され、無事に就職しました。
    真神コルト:既に信仰は断っていますが、R案件に立ち向かう覚悟と決意を込めて今も修道女の格好を正装にしています。
    真神コルト:性能は白兵、飛び掛かってケモ(獣王の力)パンチします。
    真神コルト:ミドルはコネとお金で戦います。そのためのパトロン。
    真神コルト:今回は何が起こるか知らされておりません。何が起こるんでしょう。予告らしきものは聞きましたが……
    真神コルト:ともかくよろしくお願いします!
    GM:よろしくお願い致します。何が起こるかは……真っ先にわかります
    GM:そしてハンドアウトはこちら
    PC4:〝ジャガーノート〟真神コルト
    シナリオロイス: 〝イシュ・ケリヨト〟湯川 環
    あなたは第九支部の、比較的新しい人員だ。
    この夜は〝コモン・シーナリィ〟駒 信隆の支援要員として、彼が担当する任務──インリークォの研究拠点のひとつへ赴いた。
    平凡な民家に偽装されていたその拠点には、首を吊った研究員がいた。
    死体ではない。
    ゆらゆらと揺れながら、その研究員はあなたに言うのだ。
    「ちょうどいいところに来た。私を殺してくれないか」

    GM:信仰の話をしましょう。
    GM:私はそれに大いに興味を持っています。
    真神コルト:コワイ!
    真神コルト:は、はい。がんばります(?)
    GM:うふふふ
    GM:頑張ってください
    GM:では改めまして、セッション『僭王戴冠』始めていきたいと思います。よろしくお願い致します。
    速水 やどり:よろしくお願いいたします。
    天城康介:よろしくお願いしまーす!
    真神コルト:よろしくお願いします!

    OP1:真神 コルト


    GM:登場侵蝕をどうぞ
    真神コルト:真神コルトの侵蝕率を+9(1D10->9)した(侵蝕率:34->43)

    GM:深夜──N市第九地区、とある民家の前。
    GM:いいや、民家にカモフラージュされた〝インリークォ〟セルの小研究室のひとつだ。
    GM:周囲の一般市民は、事前の根回しにより退避が完了している。
    GM:人の気配の薄くなった民家の前で、あなたは、同支部の戦闘員との合流に備えている。
    GM:……さて。
    GM:緊張感は保たねばならない状況だが、少し時間を持て余す。そういう時あなたは、
    GM:何をしているor何を考えている?
    真神コルト:そうですね。
    真神コルト:戦闘が想定されますので、少し体を動かして温めているでしょうか。
    GM:ほうほう。シャドーボクシングでもなさるかな?
    真神コルト:では、そうしましょう。
    真神コルト:突き。フック。打ち上げから肘。
    真神コルト:「……ふぅっ」踏み込みの足を止め。一息をつく。
    真神コルト:突入したら即戦闘もありうる。夏の夜とはいえ、体を温めておくに越したことはない。
    GM:静まりかえった夜の住宅街。ひゅう、ひゅう、あなたの拳が風を切る。
    GM:そして。
     :「いい音を鳴らしていますね」
    GM:と、穏やかに呼びかけながら歩いて来る男がいる。
    駒 信隆:「どうも。〝副業〟が遅くなりました」通勤鞄を片手に持った、四十代の、サラリーマン風の男であった。
    駒 信隆:「ええと、ま……ま、えーと……ま────コルトさん」
    真神コルト:「まがみ、コルトです」ふふ、と笑う。
    駒 信隆:「そうそう、まがみさん。申し訳ない、近頃物忘れが酷くて」
    駒 信隆:愛想笑いと共に頭を下げる男の首は、太い。
    駒 信隆:相応の年齢から窺える通り、戦歴の長い男だ。支部では格闘戦の技術指導なども行っている。
    真神コルト:「いいえいいえ。そちらこそ、こちらとあちらの二重生活は大変ですね」
    駒 信隆:「慣れればそうでもありませんよ。むしろ、四六時中エージェントとして生きるほうが余程大変だ」
    駒 信隆:「……と、ちょっと失礼。空けますのでね」
    駒 信隆:駒は、通勤鞄を開きながら〝民家〟の玄関口へ向かう。
    駒 信隆:「……あー、これ電子ロックかー。ちょっと面倒だなぁ、専用機材あれば楽なのになぁ」
    駒 信隆:とぼやく声の後に、かちゃん、と音がして
    駒 信隆:「はい、開きました。お仕事と行きましょうか」
    駒 信隆:玄関扉を開き、レディファーストの癖でもあるのか、手で屋内を指し示した。
    真神コルト:「……十分楽に見えましたが……はい。お仕事、がんばりましょう」
    真神コルト:一跳びして玄関に飛び込みます。
    GM:では
    GM:飛び込んでまず気付くのは……そうだな。
    GM:ここには人の気配が無い、ということだ。
    GM:正確に言うならば、例えば埃の溜まっていない床だとかを見れば、人がここに居たことは分かるだろう。
    GM:だが、今はいない。息づかいも、建物の軋みも、臭いも──
    駒 信隆:「……ん」鼻をひくひくとさせ、元より皺の深い眉間を更に寄せる。
    GM:──臭いは、有る。二階からだ。
    真神コルト:「……これは」
    GM:これはあなたが、かつては信仰の道を歩んでいたから聞くのだが、
    GM:死臭。
    GM:……それは、あなたの生活のすぐ傍に有ったか?
    真神コルト:時たま葬儀はあったであろうけれども。一介の見習い修道女には、あまり縁のなかったものでしょう。
    GM:ふむ。
    真神コルト:もっとも、血や死体というものには、半年前から何かと縁があるのですが。
    GM:ならばこれは〝日常の裏側〟に触れて始めて知ったものであろうし、
    GM:ひどく、不吉な予感を伴うことだろう。
    GM:二階だ。
    GM:二階に、幾人分もの〝死〟の臭いが立ちこめている。
    真神コルト:「上から、ですね」
    真神コルト:「前に出ます。後ろは、お願いします」
    駒 信隆:「ええ。……生体反応が1。熱源も1。死体がもし有るとしたら」
    駒 信隆:「室温と同程度にまでは冷えているでしょう。お気をつけて」
    駒 信隆:通勤鞄を片手に持ったまま、駒は軽く拳を握ってあなたの後ろに着いた。
    真神コルト:音を立てないように、そろりそろりと階段を上がり。
    GM:ならば、
    GM:〝その扉〟の前に辿り着くだろう。
    GM:あたかも普通の、夫婦の寝室だとでも言うかの如く鎖された扉。
    GM:腐臭はその奥から漂っているし──耳を澄ませば分かるだろう。
    GM:呼吸音や、
    GM:きぃ、きぃ、と何かの軋むような音。
    駒 信隆:「……鍵を開けますか。それとも」
    駒 信隆:「マスターキーで行きますか」
    真神コルト:「後者で」右腕を上げ、突入に備える。
    駒 信隆:「では」
    駒 信隆:と言った次の瞬間には、駒の右足が跳ねていた。
    駒 信隆:靴裏で扉を押しのけるような蹴り。
    駒 信隆:部屋の扉は形を保ったまま、向こう側の壁まで飛んで行く。
    真神コルト:その破砕音に紛れるように、扉の破片を左腕で払いながら。
    真神コルト:息を止めて、部屋に躍り込みます。
    GM:では、描写しようか。息を止めたのは賢明かも知れないな。
    GM:明かりはつけっぱなしだった。だが、遮光カーテンの隙間がガムテープで目張りされている。窓の外に光は漏れ出すまい。
    GM:部屋の広さこそは十二畳程だが、そこには研究用だろうデスクが置かれていた。多数の、試薬と思われる試験管が並んでいる。
    GM:床は。……骸が幾つも横たわっている。死後一日程か。もう少し過ぎれば周囲の民家が異臭を嗅ぎつけたのだろう。
    GM:しかし異常の最たるものは部屋の中央。
    GM:倒れた椅子と、首に縄を掛けてぶら下がる何者か──研究者か?。
    GM:きぃ、きぃ。
    GM:縄が軋んでいる。
    GM:駒が蹴り飛ばした扉にぶつかって、それはゆらゆらと、時計の振り子にように揺れていた。
    駒 信隆:「……こいつは……!」
    真神コルト:「……っ」
    真神コルト:「な……」
    真神コルト:「何ですか、これは……」
    GM:これは、何か?
    GM:惨状の残骸だ。
    GM:そう珍しいものでもあるまい。……この街で、オーヴァードとして生きるのなら。
    GM:それとも、そうも驚くからには。
    GM:何か思い出すのかい、真神コルト。
    真神コルト:思い出しますね。かつて、自分が獣に目覚めた、あの事件のことを。
    GM:そうか。あの事件、か。
    GM:彼らは幸せだな。
    GM:なにせ殺されたのだから、天国へ行ける。
    GM:ここで、天井からぶら下がっているものは、さてどうなのやら。
    真神コルト:(生体反応が1。熱源も1。ならば、熱源とは……)
    真神コルト:縄にぶら下がっている首吊りの人を見上げます。
    GM:ならば
    GM:目が、合うだろう。
    研究者?:「……………………」
    研究者?:「……シスター……?」
    研究者?:首に縄を掛けたまま、狭まった喉から、隙間風のような声が出た。
    真神コルト:「いっ、生きて……!?」
    駒 信隆:「警戒を。オーヴァードです……確実に」
    研究者?:「オーヴァード……なんだっけ、それ。聞き覚えがあるような、……えーと」
    研究者?:「まぁ、いいか」
    研究者?:「……なぁ」
    研究者?:「ちょうどいいところに来た。私を殺してくれないか」
    研究者?:「死のうとした筈なんだが死ねないし、降りられなくて喉が渇いたし腹も減ったんだ」
    研究者?:ゆらり、ゆらり
    研究者?:振り子のように揺れながら、〝それ〟は言う。
    真神コルト:「……と」
    真神コルト:「とりあえず、降ろしますか? それとも……?」駒さんの方をちらり。これ?と右手を握って見せる。
    研究者?:「……………………」
    研究者?:「……降ろしてくれなくても、殺してくれればいいんだけどなぁ」
    駒 信隆:「引き下ろしましょう、まず話はそれからだ」
    駒 信隆:「こいつは確か、ええ。覚えがある、見た顔だ」
    真神コルト:「えっ?」
    駒 信隆:「……なんと言ったかな。コードネームは覚えている、〝イシュ・ケリヨト〟」
    研究者?:「そこのサラリーマン、知り合いだったっけ?」
    研究者?:「……ああ。〝イシュ・ケリヨト〟湯川 環──初めまして。初めましての筈、だよね」
    真神コルト:「……降ろしますよ。それからのことは、それから次第です」腕を一閃。縄を断つ。
    GM:ならば
    湯川 環:どさっ……と、〝それ〟は床に落ちる。受け身を取ることも無く。怪我をした様子も無いが。
    湯川 環:「なんだ。殺してくれるんじゃないのか」
    湯川 環:「そんな格好をしてるんだから、ひとだすけの為に来てくれたんだと思ったんだけど」
    真神コルト:「それは、まあ、人助け……でしょうけども」
    湯川 環:「自分で死ぬには、ちょっと威力が足りないんだよな」
    湯川 環:「あんたも修道女なら、自殺は見過ごせないんじゃないか。殺せよ、殺してくれよ」
    真神コルト:「……確かに、かつて私が身を捧げた道は、そういうの良くないって言いますけど」
    真神コルト:「今の私は、もう、この姿通りの者ではないのです。なにより……」
    真神コルト:「死んで、どうすると言うのです?」
    湯川 環:「……………………」
    湯川 環:「どうするんだっけ?」
    真神コルト:「貴方はなんのために死のうとしているのですか?」
    湯川 環:縄の無くなった首を傾げる。
    湯川 環:「……なんでだっけ?」
    湯川 環:また、首を逆方向に傾げる。
    湯川 環:「覚えてないんだけど、なんだっけな」
    湯川 環:「私は死ななきゃいけない奴だと思ったんだよな、たぶん」
    湯川 環:「それだけは、はっきりと、強烈に覚えてるんだけど」
    湯川 環:「近頃、物覚えが悪くってさ。あんた、もしかしたらどこかで会ったっけ」
    湯川 環:冗談を言うような口ぶりではない。
    真神コルト:「……私の方に、覚えはないのですが」
    湯川 環:「そうかー」
    湯川 環:「あれ、じゃあ人違いかなぁ」
    湯川 環:と言いながら、〝それ〟はポケットをごそごそとあさって、何枚かの写真を取り出した。
    湯川 環:その写真を一枚一枚、あなたの顔と見比べて、
    湯川 環:「……あっ、本当に人違いだった」
    湯川 環:結局、写真全てを床へ投げ出してしまった。
    GM:そうだな
    GM:知覚判定をお願いしよう
    GM:目標は……6だ。
    真神コルト:知覚!
    真神コルト:ふふ、私の【感覚】は1、知覚技能は0です
    真神コルト:1dx>=6
    DoubleCross : (1R10[10]>=6) → 1[1] → 1 → ファンブル

    GM:なあに、大した重要なものではないさ……気軽にいきな!
    GM:おおう
    真神コルト:あっ
    GM:では。あなたは、その投げ捨てられた写真に対してはさほどの興味も持たなかっただろうが。
    駒 信隆:「────コルトさん、これを」
    駒 信隆:後ろから、駒が手を伸ばし、その写真を拾い上げた──眉間の皺を一層濃くしながら。
    GM:その内の数枚は、室内に横たわる骸の、生前の写真であったが。
    GM:三枚、おかしなものが混ざっていた。
    GM:その写真に写っているのは、あなたも知っているはずの──いや。その程度ではあるまい。
    GM:あなたも良く知っている人間なのだ。
    GM:ひとつは、〝ヴォル・ディアナ〟──逆瀬川 苗。戦闘任務中の盗撮映像からキャプチャしたと思われる写真だった。
    GM:ひとつは、〝モノケロス〟──天城 康介。学校に通う最中の姿を、道沿いの建物から望遠レンズで映したものだろう。
    GM:そして、もうひとつは。
    GM:〝リトル・ライト・ブルー〟──速水やどり。
    GM:彼女が学校へ向かう際、支部の送迎車に乗り込む姿を、何処からか撮影したものであった。
    真神コルト:「……これは……!」
    真神コルト:湯川と名乗った男性に、向き直り。
    真神コルト:「貴方は、この三人と……お知り合い、なんですか」
    湯川 環:「……どうだろう。覚えてないな──」
    駒 信隆:「覚えていない筈が無いでしょう。……少なくとも、一人は知っている筈だ」
    真神コルト:「……そうですね」写真のアングルからすれば。意図は明白と言っても良さそうだ。
    湯川 環:「そうは言うけど、本当に覚えてないんだ。……さっきも言ったけど、物忘れが酷くてさあ」
    駒 信隆:「あなたの言を信じるのは難しい。インリークォの〝葉〟──下級研究員、湯川 環」
    駒 信隆:「調査の途中、幾度か見た名だ。幾度か見た顔だ。……思い出しました」
    駒 信隆:「耳を貸す必要は無い。ええと」
    駒 信隆:「……ええと、ま、まが……」
    駒 信隆:「……………………」
    駒 信隆:「ああ。真神さん、連れていきましょう」
    真神コルト:「インリークォ。生物科学系のFHセル、ですね」
    真神コルト:「分かりました。手配をします」
    駒 信隆:「お願いします。私は念のために、下の階も調べましょう」
    駒 信隆:「そちらは──」
    駒 信隆:空白。数秒。
    真神コルト:「……どうしました?」
    駒 信隆:「ああ、いえ。コルトさん、よろしくお願いします」
    真神コルト:(別段、難しい苗字でもないんだけどな。支部に帰ったら検査を勧めてみよう……)
    真神コルト:などと考えながらも。
    真神コルト:普段の微笑みとは程遠い、鋭い目で湯川と名乗った男性を見下ろし、端末から支部に応援を要請する。
    真神コルト:(あの子の立場はよく知っている。あの子が狙われる理由なんていくらでもある)
    真神コルト:(逆瀬川さんも、ベテランのエージェントならこのセルと何か因縁があってもおかしくない)
    真神コルト:(天城くんは……ごめんなさい、正直わからないけど。やどりちゃん繋がりかな……)
    真神コルト:だがしかし。何であっても。
    真神コルト:(未来を阻むものならば、この手で破壊するだけ。まずは、それを見極めないとね)
    真神コルト:手にした端末が返事を受け取ったのを横目に。今一度、湯川と名乗った男性を、見下ろした。
    湯川 環:「なんでだっけなぁ」
    湯川 環:「これだけは覚えてるんだよな」
    湯川 環:「私は死ななきゃいけない奴だって」
    GM:──ということがあった。
    GM:数時間ばかり前の話だ。

    GM:ロイスのみ取得可能!
    真神コルト:〝イシュ・ケリヨト〟湯川 環 庇護/●不信感 で取得しましょう。
    真神コルト:以上!
    GM:OK!

    OP2:天城 康介


    GM:登場侵蝕をどうぞ
    天城康介:天城 康介の侵蝕率を+5(1d10->5)した(侵蝕率:33->38)

    GM:深夜──N市、市街地。その路地裏のひとつ。ここはあまり治安が良くない。
    GM:観光客が迷い込んだところで強盗に出会うことはないだろうが、自分を一角の不良だと思い込んだ若者などは、近付くのはやめておくべきだ。
    GM:この路地裏に集まる少年少女は、伊達や酔狂で群れているわけではない。
    GM:行き場はあれど生きる場を見失った者達が身を寄せ合う、野良犬の巣──。
    御鳴 鳴唯:「……わりと久しぶり」
    御鳴 鳴唯:あなたを呼び寄せた張本人、御鳴 鳴唯。
    御鳴 鳴唯:左目を覆い隠す前髪。同世代の少女達と比べて──あなたと比べても1cmほど──背が高い。
    天城康介:「そうか?……うん、そうだな。前は確か……アレか。感覚が妙になった時の」
    天城康介:久しぶり、なのだ。こうして彼女と会うのも。こういった場所に、脚を運んだのも。
    御鳴 鳴唯:「あれは無かったことに」と、強い語調の早口で言う
    天城康介:ああ、と。半ば気圧されるように、呻いて頷きをひとつ。
    御鳴 鳴唯:「はぁ……元気らしいね、プレイボーイ」
    天城康介:「何の話だ、何の。……いや、というより何処まで知ってんだお前……」
    御鳴 鳴唯:「……幼なじみの子とか、いるんじゃなかったっけ」
    御鳴 鳴唯:「あと、前に……家に居た、あの小柄な人とか。それに」
    御鳴 鳴唯:「……私の調査によれば……天城。あなたは第九支部の速水支部長と親しいらしいと聞いた」
    天城康介:「……本題は、それか」
    御鳴 鳴唯:「そう。……口利きが希望」
    天城康介:特に隠していることではないのだから、応じるのならば軽口で……と、喉から出かかっていた声の代わりに。
    天城康介:「鳴唯は、12支部に籍は置いてるんだろ。……移籍、って感じじゃあないし、だとしたら」
    御鳴 鳴唯:「先方の希望。……私も別に、模範的チルドレンじゃないし」
    御鳴 鳴唯:「……向こうが〝第九支部がいい〟って言ってるから、そっちに任せようと思ったけど」
    御鳴 鳴唯:「……………………」
    御鳴 鳴唯:「……第九支部に知り合いがいなかった」
    御鳴 鳴唯:交友関係が狭いのである。
    天城康介:「あー…………」
    天城康介:顔が広いようで、案外狭い。情が浅いように見えて深い。そんな奴だったと、今更ながらに思い出して。
    御鳴 鳴唯:「分かったら来て」
    御鳴 鳴唯:「追求と糾弾は後回しにする」
    天城康介:「わかった。……言っとくけど、やどりは」
    天城康介:「あの子は、俺の頼みだから、ってだけで盤をひっくり返すことは、しないぞ。……小さくても、支部長のひとりなんだ。やどりは」
    天城康介:声色には、慈しみと、そして何か痛々しいものを見た、感じたような響き。
    御鳴 鳴唯:「呼び捨てにする仲、か……」
    天城康介:「……気にするのそこかよ!?」
    御鳴 鳴唯:「ロリコンめ」
    御鳴 鳴唯:「……大丈夫。支部長って生き物がどんなものか」
    御鳴 鳴唯:「なんとなく、分かってる」
    天城康介:「……そうか」
    天城康介:「……うん。じゃあ、案内頼む」
    GM:では。
    GM:路地裏をあなた達は歩く。途中、見覚えのある顔に挨拶されたり、知らない誰かにじろじろと顔を見られたりもしたことだろう。
    天城康介:過去とは、昨日とは、みんな少しずつ違う。そんな当たり前のことを、噛み締めるように飲み込んで。
    GM:中の人間には優しい。外から来る者には警戒心を露わにする。これも〝変わらぬ日常〟だ。
    GM:変わらぬ日常。
    GM:変わりたくないと願う日常、かも知れないな。
    GM:縄張り意識の強い子供達は、〝仲間の臭い〟がしなくなったあなたを、
    GM:もしかすればあなた達を、あまり歓迎はしていないのかも知れない。
    GM:……さて。
    GM:そうして歩いた先、どこかのバーの裏手にある、積み上がった空のビール樽に、その少女は腰掛けて待っていた。
    安楽 はづき:「あ……」
    安楽 はづき:ビール樽から降りて小さく頭を下げたその少女は、決して長身とは言えないあなたより一回り背が低く、そして今あなたの隣にいる少女よりまだ華奢だった。
    安楽 はづき:着ているジャージのサイズが合っていないのは、路地裏の誰かから借りたのだろう。手入れの痕跡の無い眉、長い髪は無造作に高い位置で結んでいる。
    御鳴 鳴唯:「安楽 はづき……いや」
    御鳴 鳴唯:「FHチルドレン、〝カルチャータンク〟安楽 はづき……だってさ」
    GM:と、本人より先に鳴唯が伝え、本人はもう一度、今度は深く頭を下げた。
    天城康介:「……FH、の」
    安楽 はづき:「……はい」消え入るような声で、縮こまりながら。
    天城康介:彼女の、そしてこうした形の紹介なのだから。表側の人間ではない、少なくともオーヴァードであろうとは思っていたけれど。
    天城康介:「あ、いや、悪い。だから何だ、ってワケじゃあないんだ。……あー、ええと」
    天城康介:取り繕うように─実のところ、驚きを隠し通せているワケはないのだが─。
    安楽 はづき:「あ、あの」
    安楽 はづき:「だいじょうぶ、です」
    安楽 はづき:「……怪しいなって思われるのは、分かってるので」
    天城康介:「……鳴唯は、UGNのチルドレンなんだ。そんな奴に「繋ぎ」を頼んだって時点で、そっちもワケありだっていうのは……うん。わかるよ」
    天城康介:提示された状況を、咀嚼するようにゆっくり口にして。
    天城康介:「……天城。天城、康介だ。よろしく、安楽」
    安楽 はづき:「よろしくお願いします」また、深く頭を下げた
    安楽 はづき:……細い肩をくっと持ち上げて、体を緊張させている。
    安楽 はづき:時折、視線があなた達の方でない、どこかへ向けられたり──
    御鳴 鳴唯:「天城」
    天城康介:「うん」
    御鳴 鳴唯:「……あなた、ロリコンじゃないよね」
    天城康介:「…………」
    御鳴 鳴唯:「…………」
    御鳴 鳴唯:「……天城……?」
    天城康介:「……ちゃんと、分別はつくよ」
    御鳴 鳴唯:「なら、明言して」
    御鳴 鳴唯:「違う、って」
    天城康介:「あのな、鳴唯」
    御鳴 鳴唯:「……大事なこと」
    御鳴 鳴唯:「お願い」
    天城康介:「小さい子だから好きなんじゃない。……支えてあげたい。幸せになってほしい。幸せにしたい」
    天城康介:「そう思ったから、好きになったんだ」
    御鳴 鳴唯:「……………………」
    御鳴 鳴唯:あなたの隣から離れて、はづきの隣に立つと、
    御鳴 鳴唯:「安楽」
    御鳴 鳴唯:「……聞いたとおり。ちょっと気持ち悪いかも知れないけど、無害」
    安楽 はづき:「きっ、気持ち悪いなんて、そんな──」
    天城康介:「俺はカマドウマか何かか!?」
    御鳴 鳴唯:「……だから、〝見せる〟よ」
    御鳴 鳴唯:……あなたが、正当な抗議をする。その声に、鳴唯は応じなかった。
    GM:そして
    安楽 はづき:ジャージ姿の少女は表情を強ばらせて頷き、目をぎゅっと瞑った。
    御鳴 鳴唯:はづきの、ジャージの裾を掴む。……その下に重ね着しているシャツまでも同時に、
    御鳴 鳴唯:ぐっと、胸の上まで捲り上げた。
    天城康介:「─お前、何を─」
    安楽 はづき:酷い有様だった。
    安楽 はづき:傷だらけだった。
    安楽 はづき:手術痕だろう。
    天城康介:反射的に、ぎゅっと瞑りかけた目が。
    天城康介:「…………」
    天城康介:細められたまま、それでもしっかりと"それ"を見て。眉間に、深い皺を寄せる。
    安楽 はづき:少なくとも。無益な暴力で与えられた傷ではない。もっと意味を持たせた傷だ。
    安楽 はづき:なんらかの目的の為に体を切り開き、もう一度縫い合わせた痕跡が、幾つも幾つも、幾つも幾つも
    安楽 はづき:幾つも幾つも幾つも、その身体に刻まれていた。
    御鳴 鳴唯:手を放す。
    御鳴 鳴唯:「……任せていい?」
    天城康介:「……ああ」
    御鳴 鳴唯:「刃物は近づけないで。……酷く怯えるから」
    御鳴 鳴唯:「薬もあんまり飲ませないで。体質が特殊だ、って言ってた」
    天城康介:「前言、半分だけ撤回だ。……俺個人としても、やれる限り頼んでみる」
    天城康介:告げられる注意点に、一つずつ頷きを返して。少女の─安楽はづきの方へと、改めて視線を向けて。
    御鳴 鳴唯:「助かる。お願い」
    安楽 はづき:「…………」ぎゅっと瞑っていた目が、恐る恐る開かれて、
    安楽 はづき:向けられた視線を受け止めた時、その目にはうっすらと涙が溜まっている。
    天城康介:「安楽。君を、第9支部に連れて行く」
    天城康介:「……大丈夫。あそこの大人の人は、みんな。子供には、優しいんだ」
    安楽 はづき:「……はい」
    安楽 はづき:「知ってます。それだけは……覚えてます」
    天城康介:その「優しさ」に甘えることだけは、決してしない女の子のことを思いながら。
    天城康介:「…………」
    天城康介:覚えている。その言葉に、穏当ではないものを感じて。思わず、言葉が途切れて。
    安楽 はづき:震える声音で、はづきは言う。
    安楽 はづき:「わ、私の」
    安楽 はづき:「私のコードネーム、〝カルチャータンク〟……培養槽、って意味で」
    安楽 はづき:「〝インリークォ〟セルで、〝ポリスティナエ〟って人の下につけられて、ずっと、ずっと」
    安楽 はづき:「でも」
    安楽 はづき:「でも、助けてくれた人がいたんですっ。私を檻から出して、逃がしてくれたひとが、なのに」
    安楽 はづき:「……そのひとの顔も、名前も、思い出せないんです」
    天城康介:「安楽」
    天城康介:少し離れていた距離を、一歩だけ縮める。
    安楽 はづき:「だからっ」
    安楽 はづき:「私、第九支部にいかなきゃいけなくてっ。会えたら、もしかしたら、思い出せるかも知れないってっ」
    安楽 はづき:声が、がらがらになっていく。
    安楽 はづき:あまり長く言葉を発する機会がなかったのだろう。
    安楽 はづき:……或いは。こうまで必死に、誰かに言葉を向けたことが無かったのだろう。
    天城康介:「大丈夫。今、ぜんぶ話さなくったっていい」
    天城康介:少女の前、それでも少し距離のある場所で。片膝をついて、自分より背の低い相手の顔を、少し見上げるようにして。
    天城康介:「任されたんだからな。……まあ、うん。俺のことは、さっきのことで誤解……いや誤解でもないけど……」
    天城康介:「……その、なんだ。友達から頼まれたことは、きちんと守る」
    天城康介:「だから─改めて」
    天城康介:「よろしくな」
    安楽 はづき:「う──」
    安楽 はづき:眼鏡の向こうの丸く大きな──色濃い隈の残る、疲れ切った目が涙に覆われて
    安楽 はづき:少女は、あなたに肩に顔を埋めるよう縋り付く。
    安楽 はづき:「う、ぅああああぁぁぁっ、ぁ、あああああぁぁぁぁぁっ」
    安楽 はづき:小さな子供がするように、
    安楽 はづき:声も抑えず、少女は泣いた。
    御鳴 鳴唯:「……プレイボーイ」
    天城康介:「……言ってろ」
    天城康介:咎めるような友人の言葉に、短く応えながら。
    御鳴 鳴唯:「支部に連絡して車を呼ぶ。泣かせてて」
    御鳴 鳴唯:UGNの支給端末を操作し、音声通信を始めた。
    天城康介:折れそうな、細い背中を。そっと掌を添えるように、ゆっくりと撫でて─。
    安楽 はづき:あなたの腕の中で、少女は、悪い夢を見た後のように泣いているだろう。
    安楽 はづき:けれどもそれは、痛みや苦しみの為ではない。
    安楽 はづき:助けて、と。
    安楽 はづき:ようやく言えたことへの安堵であった──。
    GM:が。
    御鳴 鳴唯:「……天城」
    御鳴 鳴唯:「車より速く走れる?」
    御鳴 鳴唯:「その子を抱えたままで」
    天城康介:「お前の身軽さを基準にするなよ。……大丈夫、行き先が知ってる場所なら、なんとかなる」
    御鳴 鳴唯:「私は無理。……それより、第九支部へ全力で向かって」
    御鳴 鳴唯:「速水支部長が負傷した」
    天城康介:「…………」
    天城康介:その名を耳にすると同時。手を、少女の背中に添えたまま。
    天城康介:「……悪い、安楽」
    天城康介:ゆっくりと立ち上がる。自然、小さな体を抱き上げるように。
    安楽 はづき:「ふぇ? え、あっ──あっ、もしかして、あっ」
    天城康介:「少し、揺れるぞ」
    安楽 はづき:ぎゅっ、としがみつく小さな手。軽い身体。
    天城康介:跳躍。キュマイラシンドローム由来の筋力があるとはいえ、脚力は常人の2倍に届かないくらいがいいところ。
    天城康介:しかし─その跳躍の、頂点に達した瞬間。
    天城康介:少年と少女の姿は、掻き消えて。ここではない何処かに、再出現している。
    天城康介:─急げ。急げと。神速ならぬ己を否定するように─。
    GM:──ということがあった。
    GM:少しだけ後の話だ。

    GM:ロイスのみ取得可!
    天城康介:安楽はづきに「■庇護/不快感
    天城康介:で!
    GM:OK!

    OP3:逆瀬川 苗 & 速水 やどり


    GM:登場侵蝕!
    逆瀬川苗:32+1d10
    DoubleCross : (32+1D10) → 32+9[9] → 41

    速水 やどり:速水 やどりの侵蝕率を+7(1D10->7)した(侵蝕率:33->40)

    GM:深夜──UGN、N市第九地区支部内。
    GM:あなた達二人は〝面談〟に備えて、支部長室に待機している。
    GM:つい先ほど、任務から支部人員が二名帰還した──手土産に捕虜をひとり連れて。
    逆瀬川苗:魚肉ソーセージを食べている
    GM:その内の一名、〝コモン・シーナリィ〟駒 信隆が、速水 やどりへの面談を申し入れたのだ。
    GM:急ぎ、どうしても話したいことがあるのだと言う。
    GM:現在、彼は任務完了後の簡易検査を受けている。来訪まで少しの間、あなた達は二人でこの室内にいることだろう。
    GM:魚肉ソーセージを食べ終えるには十分な時間的余裕がある、という訳だ。
    速水 やどり:「急な面談……あまり、良い話の予感はしませんね……」傍らに控える逆瀬川さんに、そうこぼす。
    逆瀬川苗:「タイミングがタイミングですからねえ……へへへ」
    逆瀬川苗:「駒さんから大まかにでもどういう面談なのか聞いてますか?」
    GM:聞いている、だろう。
    GM:かなり大雑把にだが──そうだな、彼ならこう言うだろうか。
    GM:〝進退についてご相談が〟と。
    速水 やどり:「えぇ。"進退についての相談"と。前振りの段階で、もう」なぜ突然、と額に手を当てる。
    逆瀬川苗:「心に来たのがあったんでしょうねえ…。ご家庭のこともありますから…」
    速水 やどり:「それは……えぇ、仕方のない事ですものね。相談に乗る……というか、面談を介した上で、きちんとどうするかについては。はい」
    GM:では、その時だ。
    GM:こん、こん、こん、と几帳面な等間隔のリズムでノック音が鳴る。
    速水 やどり:「どうぞ」
    駒 信隆:「失礼します」の声に遅れて扉が開き、サラリーマン風の男が室内へと入り、
    駒 信隆:「速水支部長、この度は夜分遅くに──おっと」
    駒 信隆:「ああ、さか──」
    駒 信隆:「…………」
    駒 信隆:「……!」
    駒 信隆:「榊原さんも、いらっしゃったのですか」
    逆瀬川苗:「…?」
    逆瀬川苗:「はい、ええ……榊原です……」
    逆瀬川苗:適当に話をあわせてみる
    駒 信隆:「お二人とも、お疲れ様です。……せわしなくてすいませんが、本題に──」
    速水 やどり:「……逆瀬川さんは、最近私の周りも色々と物騒ですので。護衛体勢の強化のため、ついてもらっています。もちろん、”面談”の内容は他言しませんので。ご安心を」
    駒 信隆:「──、あっ」
    逆瀬川苗:もしかしたら妙な対応があるかもしれないと思ったが
    駒 信隆:「あちゃぁ……申し訳ない、とんだ失礼を。近頃、急に物覚えが悪くなりまして……」
    駒 信隆:「……それも含めての相談だったのです」
    駒 信隆:「ええと、その……なんと言いますか」
    駒 信隆:「現在、退職を考えていまして……」言い辛そうに、もごもごと。
    速水 やどり:「進退についての相談、という内容から、推測はしていましたとも」続けてください、と促す。
    駒 信隆:「はい。……やはり私も40過ぎですし、体力も少しずつ落ちて来ています。このまま前線に立ち続けることは難しいかもしれない、と」
    駒 信隆:「思うようにはなっていたんですが──近頃、急に物覚えが悪くなりまして」
    駒 信隆:全く同じことを、もう一度言ったことに気付く様子も無く、
    逆瀬川苗:「まあ、誰もが黒瀬さんや真堂支部長にはなれないですからねえ」
    逆瀬川苗:「休んで、体を整えるのも大事でしょう……」
    駒 信隆:「はは、あの二人は特例、特例。……けれども、私にもあの二人に勝る点はありますよ」
    駒 信隆:「息子がね、かわいいんです」
    逆瀬川苗:「それは、それは……」
    駒 信隆:「うちはほら、UGN内で結婚しちゃったから、どうしても家に一人で居させることもありましたが」
    駒 信隆:「私が退職すれば、少しは長くいられるのかなぁ、って──」
    駒 信隆:言葉が、ぷつりと途切れる。
    駒 信隆:「──────────」
    駒 信隆:口を開いたまま、虚空を見つめて、駒は表情を凍て付かせた。
    駒 信隆:「……お二人、とも」
    速水 やどり:「……駒さん?」息子の話などを、微笑みを浮かべて聞いていたが。
    駒 信隆:「私達オーヴァードが」
    駒 信隆:「日常へ帰還する為のよすが、とは」
    駒 信隆:「なんでしょう」
    駒 信隆:……まるで、新人オーヴァードへの研修の際に発するような言葉を、駒は言った。
    駒 信隆:「色んな言い方がありますよね、でも」
    駒 信隆:「私はそれ、〝記憶〟だと思うんです」
    逆瀬川苗:「ーーー」
    逆瀬川苗:「駒さん……藪から棒に、どうしたんですか」
    逆瀬川苗:「そういうタイプでしたか…?あなた……」
    駒 信隆:「……どうだったでしょう」
    逆瀬川苗:警戒が鎌首をもたげる
    逆瀬川苗:重心が腰から少し高く
    速水 やどり:(様子が、おかしい……?)逆瀬川さんに目配せを。
    駒 信隆:「私は、こういうことを言わない人間でしたか?」
    駒 信隆:「……そうか、そうだよな。最近は新人研修を任されることも減りました」
    駒 信隆:「けれどねえ、逆瀬川さん」
    逆瀬川苗:「はい」
    駒 信隆:「……そうだ。榊原さんじゃない、それは別な支部の人だ──ああいや、失敬」
    駒 信隆:「私は、あなたと初対面ではないですよね?」
    逆瀬川苗:…支離滅裂だ。因果関係をもって会話が出来ていない
    逆瀬川苗:「…支部長。電話がいるかも知れませんね……これは」
    駒 信隆:「教えてくださいよ!」
    駒 信隆:何年ぶりにだろう──声を荒げた。
    駒 信隆:もしかすれば、速水やどりは。
    駒 信隆:この男が声を荒げる場に、初めて遭遇したかも知れない。
    逆瀬川苗:「ええ…あなたとは、初対面ではありませんよ。ですから一方的な排除を選ばないのです……」
    逆瀬川苗:「…行っている行為は全て、あなたの身を案じて行っているのですよ……へへへ」
    駒 信隆:「そうですよね、きっとそうなんだ。けれど、けれど私は」
    駒 信隆:「私はあなたと何を話したか、いつ出会ったか、もう思い出せない……!」
    駒 信隆:「あいつの名前はなんて言った!? あいつだ、あの翼の生えてくる──鏑木だ! けれど名前が出て来ない、コードネームも!」
    速水 やどり:「……」男の、日常からの逸脱に。身を強張らせる。いやなかんじがする。
    逆瀬川苗:(健忘症?アルツハイマー……いや、あまりに急激だ…)
    逆瀬川苗:「記憶の揮発が速い…」
    駒 信隆:「速水支部長、これは覚えている! ……けれど、瞬いているんですよ。少し気を抜くと、〝やどり〟という名が消えてしまう」
    駒 信隆:「……それどころか。今、そこにいるあなたの顔が」
    駒 信隆:「本当に〝速水やどり〟の顔かも分からない……!」
    駒 信隆:……床に膝を着き、頭を抱える。
    駒 信隆:ううう、と呻き声を上げながら──大の男が、ぼろぼろと涙を流している。
    駒 信隆:「支部長」
    駒 信隆:「逆瀬川さん」
    駒 信隆:「あなた達は本当に、支部長で、逆瀬川さんですか……?」
    駒 信隆:「本当は全然関係の無い誰かで、私が、そう思い込んでいるだけということは……」
    逆瀬川苗:「……そのつもりですよ。我々は常に。」
    速水 やどり:「……えぇ、その通りです。一旦落ち着いてください、駒さん……」
    逆瀬川苗:「…とにかく、体がどうなっているかを見てもらいましょう……改善をするには必要な手順ですから…」
    駒 信隆:「……いいや、信じられない、信じる術が無い。思い出せないんです、覚えていないんだ──」
    駒 信隆:「──っ」
    駒 信隆:「す、すいません。……申し訳ない、お二人とも……大丈夫です、落ち着きます──落ち着いているとは言えませんが」
    駒 信隆:胸に手を当て、深呼吸を繰り返し、
    駒 信隆:「……とにかく、こういう事なのです」
    駒 信隆:「オーヴァードとジャームを隔てる境は、他者と正常な関係を築けるかどうか」
    駒 信隆:「ならば、今の私の症状は……」
    駒 信隆:「……かなり、ジャーム化に近づいているとは言えませんか?」
    速水 やどり:「症状の発症の仕方は、それぞれですが。そもそものこころの働きとして、不安定な部分があるのは分かりました……」あえて、ソレを肯定はしないように。
    逆瀬川苗:「そうかも、知れませんね…ですが。冷静に自分をまだ切り替えせている。」
    駒 信隆:「……ええ。今ならまだ大丈夫でしょう。ですが万が一にも、戦場でこうなってしまっては困る」
    速水 やどり:「現状はおおむね把握しました、所定の処置は後程として、一旦休職扱いに。時間を置いてから手続きを進めていきましょう……」
    駒 信隆:「……ありがとうございます。お手数をおかけしますが、どうか……よろしくお願いします」
    駒 信隆:「私は暫く、息子と一緒にしてやることにします。あの子はね、あの子は──」
    駒 信隆:「────────────────」
    駒 信隆:その時に、
    駒 信隆:彼の顔に生じた表情の変遷から、感情の推移を見て取ることが出来ただろう。
    駒 信隆:困惑。
    駒 信隆:恐怖が間に挟まって、
    駒 信隆:絶望。
    駒 信隆:「ぅ、ああ」
    駒 信隆:「うああぁああああああぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁああぁっ」
    駒 信隆:「うああああああああああああああぁあぁぁああぁぁっ!!!」
    駒 信隆:ぱんっ
    駒 信隆:と、小気味よい音がなった。
    駒 信隆:〝コモン・シーナリィ〟の鍛え上げた拳は、容易く彼自身の頭を、
    駒 信隆:棒きれで西瓜を殴りつけるよりも簡単に砕いていたのだ。
    駒 信隆:……骨片が散る。
    逆瀬川苗:肉体の挙動が見えてから、素早く支部長の前には立っていた。
    駒 信隆:人外の膂力で弾かれた破片は、あなた達二人を──
    駒 信隆:咄嗟に、射線を遮る為に立った逆瀬川へ大半を、スーツへ食い込ませるように。そして。
    駒 信隆:……残り幾分かの破片が速水やどりの、手を切りつける事になるだろう。
    逆瀬川苗:「ぐ、……これ、は」
    GM:どさっ
    GM:頭を失った骸が倒れる。
    GM:……忘れたのだ。
    GM:我が子の名を。
    GM:それは、歴戦のエージェントを殺すに足る絶望であった。
    逆瀬川苗:(…まずい。)
    速水 やどり:「……!?」手の痛みより、困惑が勝る。何故。いや、何故かは推測できる、できてしまうが。それより逆瀬川さんの負傷は。考えが巡る。
    逆瀬川苗:明らかに尋常ではない。外科的に影響を与えねばこのレベルまで痴呆が進むことはないだろう。
    逆瀬川苗:外的な影響…ともすれば、オーヴァードの力。それが感染しうるとしたら…考えすぎることはない。
    GM:正しい。
    GM:正しいぞ、ヴォル・ディアナ。
    GM:だからお前が嫌いなんだ。
    GM:だからお前の為に、
    GM:お前だけの為に、私は頑張ったよ。
    GM:……と。
    GM:何処かの誰かなら言うのだろう。
    GM:今聞こえるのは、そういう邪悪な笑声ではなく、
    GM:砕けた頭蓋の内側からの──
    GM:ぶぅん
    GM:──羽音。
    GM:蜂だ。
    GM:言葉を発することはない。小さな、小さな、蜂だった。
    逆瀬川苗:「………そう、か。」
    逆瀬川苗:自分に埋まった骨片を、取り除ける分は無理やりえぐり出して取り除く。
    逆瀬川苗:ソラリスの力で麻酔は自己投与出来る。それくらいはする。
    逆瀬川苗:それから、支部長の切り傷よりも下の手首を、汚れていないスーツを破ってきつく縛る。
    逆瀬川苗:「やってくれたな。」
    速水 やどり:「……今すぐ、医務室に。それと、検死の依頼も……!」巡る考えから解かれ、動き出す。
    逆瀬川苗:特定の一名が想起される。因果関係が脳裏でまだ結べることを確認しつつ、今後何をすべきか、という命題のかかれた脳のホワイトボードに、名前が記述される
    逆瀬川苗:“ポリスティナエ”
    GM:宿主を失った蜂は、虚しく羽音を立てるばかりで、もう飛び立つことも出来ないが、
    GM:既に、役目は終えたのだ。
    GM:速水 やどり。あなたの指示の通りに人員が動くだろう。司令塔であるあなたの速度に対応できる、それが第九支部の強みだ。
    GM:逆瀬川 苗。
    GM:その通りだ。
    GM:全く、その通りだとも。
    GM:……これは、宣戦布告〝ではない〟。
    GM:これはつまるところ、たった一人に向けて差し出されたメッセージなのだ。
    〝ポリスティナエ〟:『ヴォル・ディアナ』
    〝ポリスティナエ〟:『お前を苦しめてやろう』
    〝ポリスティナエ〟:『お前が負けたと項垂れるまで』
    〝ポリスティナエ〟:『私が勝ったと確信できるまで』
    〝ポリスティナエ〟:『やるよ』
    GM:──ということがあった。

    GM:ロイス取得可能!
    GM:逆瀬川さんはまだシナリオロイスが出てきてないから、こう……なんか良い感じに!
    逆瀬川苗:駒 信隆/遺志/憐憫○/ロイス で
    GM:やどりちゃんもだった!
    速水 やどり:逆瀬川苗/〇信頼/不信感 で取得を。
    GM:OK!

    OP4:天城 康介 & 速水 やどり


    GM:ではまず、速水 やどり支部長のみ、登場侵蝕をどうぞ
    速水 やどり:速水 やどりの侵蝕率を+2(1D10->2)した(侵蝕率:40->42)

    GM:──あれから数日ほどが過ぎた。
    GM:全く、酷い夜だったと言えるだろう。
    GM:それは、あなたにとっても、支部の他の人員にとっても。
    GM:支部の要であるあなたが負傷した、となれば、それがいかに軽傷であれ、部下は青い顔をせざるを得ない。
    GM:増してやあなたは、単独の戦闘能力は無いのだから。
    GM:……唯一、良いことがあったとするならば。
    GM:あなたの〝友人〟が駆けつけてくれたことか。
    GM:おかしな荷物を抱えて来たことは、この際、見なかったことにしておいて欲しい。
    GM:さて。前振りが長くなったが、
    GM:ここは駒 信隆の自宅だ。
    GM:勤続十数年のサラリーマンに相応しい一戸建て。……その一室にあなたは、
    GM:きっと喪服でも着て、手を合わせているのだろう。
    速水 やどり:いつもの白や青を基調とした服ではなく、その全身は黒に覆われて。
    速水 やどり:小学生が着るのには似つかわしくないような、きっちりとした喪服。
    速水 やどり:なるべく、使う機会が無いようにとは祈っていても……どうしても、必要とされるから仕立ててある服だ。
    GM:あなたが支部長に就任してから今まで、幾度、この服に袖を通したのだろう。
    GM:これから先、幾度、袖を通す事になるのだろう。
    GM:ああ、いや。
    GM:これから先は、〝この服〟と限定すれば、然程の数ではあるまい。
    GM:あなたは生きている。背も伸びるだろう。だから。
    GM:幾度、仕立て直すのだろう──と言わねばならない。
    GM:……さて。
    GM:駒 信隆の棺には、窓が無かった。
    GM:理由は言うまでもあるまいが。
    GM:遺影の方は、四年か五年も前に撮影したものと見えて、髪の色がもう少し黒い。
    GM:来訪者は少ない。全て、見知った顔であろう。
    GM:UGN内だけの──〝身内〟だけの葬儀が終わった。そういうタイミングであった。
    駒 隆広:「おい」
    駒 隆広:ぶっきらぼうに、あなたに呼びかけるものがあった。
    速水 やどり:「……はい?」伏せていた目を開く。
    駒 隆広:あなたよりは背が高いだろうが、それでも──同じくらいの年齢だろう子供だった。
    駒 隆広:この場にいる人間の中でたった一人、あなたが〝職場〟で会った事の無い相手だ。
    駒 隆広:……その事実を以て、どういう立場であるかは想像できよう。
    駒 隆広:「UGNってさ」
    駒 隆広:「〝誰かを守る仕事〟をしてるって、ほんとか」
    速水 やどり:「……はい。日常を、誰かの営みを。守るのが私たちの仕事です」その質問の意図を、噛み砕くよう思考しつつ。返答を口にする。
    駒 隆広:「……父さんも同じこと言ってた」
    駒 隆広:「〝私達は誰かを守るのが仕事だから〟」
    駒 隆広:「〝必要ならいつだって、誰かの為に戦いに行く〟……って」
    駒 隆広:「けどさぁ」
    駒 隆広:暗い目をした少年は、涙も流していない。
    駒 隆広:……頬には乾いた涙の痕。けれども今は、涙を流していない。
    駒 隆広:「父さんを守ってくれる人はいなかったの?」
    速水 やどり:……それは、一言目を聞いたときに、きっとされるだろうと分かっていた問いだ。
    速水 やどり:そして、だからといって。即答できるものではない、問いだ。
    速水 やどり:鎧の外に着込める鎧はない。楯の前に張られる楯はない。
    速水 やどり:ただ、それでも。
    速水 やどり:「……隣で支え合う仲間と。後ろで支えてくれる、あなた達が居ました」
    速水 やどり:……あぁ、ただ、それでも。
    速水 やどり:「今回は、力及ばず。本当に、申し訳ないと思っています」
    速水 やどり:結局は、それしか言えないのだ。
    駒 隆広:「そっか」
    駒 隆広:「……いなかったのか」
    駒 隆広:少年は、
    駒 隆広:ただそれだけを言って、あなたに背を向ける。
    駒 隆広:自室は二階なのだろう。階段を上っていく足音は、体重相応に軽い。
    駒 隆広:ほんの子供なのだ。
    駒 隆広:ほんの子供が、親を奪われたのだ。
    駒 隆広:ああ。
    駒 隆広:あなたと同じように。
    速水 やどり:その背を無言で見送る。かけられる言葉など、ありはしない。
    速水 やどり:立場が違う。境遇が違う。能力が違う。なにより、心持ちが違う。彼と自分は、同じで、違いすぎる。
    速水 やどり:支部長である自分は、悼んで、悔やんで、それでも。まだ、立たねばならない。
    速水 やどり:そう、立たねばならないのだ。
    GM:ならば、あなたは立つだろう。
    GM:……少しばかり、体の重さを感じながら──。

    GM:天城くん、登場侵蝕をどうぞ
    天城康介:天城 康介の侵蝕率を+9(1d10->9)した(侵蝕率:38->47)

    GM:……夏ではあるが、この日は比較的過ごしやすい日であった。
    GM:太陽は雲の影にあり、風がさらさらと流れ続けている。
    GM:だから、屋外で待つことは、然程辛くもなかっただろう。
    GM:もし僅かにでも、苦しいと思うことがあったとしたら、
    GM:それは天候のせいではなく、きっと、
    GM:彼女が支部長としての務めを果たしていると、知っているからなのだろう。
    天城康介:─だから、仮に今日が土砂降りの大雨だったとしても。自分は、ここで待つことを選んだのだろうと思う。
    天城康介:それで、あの子の背負ったものが、軽くなるわけがない。そんなことは十分に分かっているけれど。
    天城康介:─"モノケロス"、と。彼女が、コードネームで自分を呼ぶ時の表情を思い出す。それは、凛々しくて、そして。
    天城康介:「……ぁ……」
    天城康介:丁度、あんな風に。苦しさを、覆い隠そうとしていたものだった。
    速水 やどり:「……お待たせ、いたしました」普段と比べて、いささか陰のある微笑みで。
    速水 やどり:真っ黒な服を身に纏い、君の前に現れる。
    天城康介:「うん。……お疲れ様、やどり」
    天城康介:星辰館の制服。白に近い色合いのブレザーは、喪服とは聊か印象は違うが。
    天城康介:遠巻きとはいえ、人の「死」に立ち会うなら。学生である自分は、この服装以外になく。
    速水 やどり:「……えぇ。やっぱり、気疲れはします。あまり、慣れたくはないものですし」
    速水 やどり:君と二人でいるのでも、どういった表情が正解か分からない、と言う風に、陰のある微笑みを張り付けたままで。
    天城康介:「……少し歩くか。時間、あるだろ」
    天城康介:その微笑みに、何か言葉を紡ごうとして、一瞬目を伏せて。けれど、努めて、いつものように。
    天城康介:そっと、きみに手を伸ばす。
    速水 やどり:手を取り、繋ぐ。絡める。そこにあるいのちを、確かめるように。
    天城康介:小さな手。確かにそこにいる。それを確認するように、ほんの少しだけ、握る手に力を込めて。
    天城康介:「……この前はさ。突然、悪かった。大変な時だっていうのに、頼み事をして」
    天城康介:自分とは全く違う歩幅、全く違うペース。それに合わせて、ゆっくりと足を運ぶ。
    速水 やどり:「いえ。助けを求める人を保護するのは、仕事としても当然のことですし……作成してもらった資料を確認しましたが、あの境遇なら尚更です」
    速水 やどり:「こうすけさんは、きちんとなすべきをなしてくれました。……ここから先は、私たちが」
    天城康介:「……うん。ありがとう。……安楽が……あの子本人が、第9を希望してたっていうのも、もちろんあるけど─」
    天城康介:─そこから先を口にするべきか否か。そんなことを考えて、ほんの少しの間、言葉が途切れて。
    天城康介:「……大人の都合で、子供が苦しむのは嫌だ。やどりなら、分かってくれると思ったから」
    天城康介:それは、きみ自身のことであり、そして。
    天城康介:─とある街で。きみと、自分と、仲間たちが出会った、ちいさな女の子のことでもあって。
    速水 やどり:「……えぇ、えぇ。そうですね」
    速水 やどり:あの子の事も思い出しながら、つい先ほど別れた彼の事にも思いいたる。大人の都合で、今苦しんでいる、子供の彼を。
    速水 やどり:「……私は、未来を勝ち取りたかったのに。ひとつもこぼさず、たどりつきたかったのに。……早速、ひとつ。こぼしてしまいました」ぽつりと。
    速水 やどり:「……絵空事だと、分かっています。でも、零した雫が描く波紋を見ると、どうしても」空いている手で、喪服の裾を握りしめる。
    天城康介:「……ぜんぶ、持っていけたら良かったのにな。いなくなった奴も、もう会えない奴も、ひとつ残さず背負って」
    天城康介:回転の遅い歩みが、更にゆっくりと。やがて。
    天城康介:「─でもさ」
    天城康介:きみが、半歩先を行ったところで。足が止まる。
    速水 やどり:「……こうすけさん?」
    天城康介:「……無理、なんだよな。いなくなった奴も含めて、全員揃ってたら、なんて。それこそ、絵空言だ」
    天城康介:「……だから、やどり」
    天城康介:繋いだ手を、引き寄せる。
    速水 やどり:引っ張られるまま、身を寄せる。
    天城康介:─ほんの数日前、小さくて細い少女にそうしたように。その時よりも、ほんの少しだけ、力を込めて。
    天城康介:きみの、喪服を纏った身体を。背中に伸びた長い黒髪ごと、抱きしめる。
    速水 やどり:ほんの一瞬、体を強張らせて。そして、身を完全に任せる。
    天城康介:「─よく、頑張ったな。えらいぞ、やどり」
    速水 やどり:「……いいえ、頑張るのは、これからですとも。でも」
    速水 やどり:「……えぇ、今は、こうしていてください……」
    天城康介:「うん。……いつまでだって、構わない」
    天城康介:長い黒髪を、指ですいて。そうっと、掌を添えるように、頭を撫でて。
    GM:──ほんのひとときだけ
    GM:日常の、出来事の間の、小さな隙間のような時間だけ許された、子供で居られる時間。
    GM:よく頑張ったと〝褒められる〟のは、大人には少しばかり難しくて、
    GM:大人よりも高い地位に昇ってしまったあなたには、さらに難しいことだ。
    GM:抱きしめる腕が暖かい。
    GM:本当に、暖かいのだ。
    GM:眠気を呼び起こす程に──
    GM:──眠気?
    GM:ああ。
    GM:速水 やどり。
    GM:あなたは急に、眠くなるだろう。
    GM:立っていられない程の眠気が、瞼を引きずり下ろそうとするだろう。
    GM:意識と無関係に視界が暗くなって、体が傾いたのを知った時に始めて、
    GM:これは眠気ではなく、
    GM:自分は倒れるのだ──と気付くだろう。
    速水 やどり:(……)彼に全ての体重を預ける。否、己で体重を支え切れないのだと知り。
    速水 やどり:意識が暗転する前に、一言。支部へ、と呟けたのか、彼の耳に届いたかどうか。分からない。
    天城康介:やどり、と。繰り返し─徐々に焦燥の色が濃くなる─呼ぶ声が、きみに届いたのかも。
    速水 やどり:どっちにしろ。……彼なら。意図したとおりの動きはしてくれるだろう。そこから先は——先は——
    速水 やどり:思考が巡り、巡り——止まる。
    天城康介:─互いに、確認する暇すら惜しいとばかりに。一度止まった歩みが、再び回り出す。
    天城康介:「やどり……!」
    天城康介:最後に、もう一度。きみの名を呼びながら─。
    GM:天城 康介。
    GM:今のうちに言わせてもらおうか。
    GM:選べ。

    GM:ロイスのみ取得可能。
    天城康介:速水やどりに「■尽力/劣等感」にて。
    速水 やどり:駒 隆広/〇庇護/隔意 で。
    GM:OK!

    OP5:逆瀬川 苗 & 真神 コルト


    GM:逆瀬川&真神タッグ、登場侵蝕をどうぞ
    真神コルト:真神コルトの侵蝕率を+5(1D10->5)した(侵蝕率:43->48)
    逆瀬川苗:41+1d10
    DoubleCross : (41+1D10) → 41+10[10] → 51

    逆瀬川苗:ウギャー
    真神コルト:さっ逆瀬川さん……!
    GM:おおう

    GM:──あれから数日ほどが過ぎた。
    GM:悲劇ではあったが、脅威ではあったかも知れないが、
    GM:UGNのエージェントとして生きるならば、これまでもこれからも、似たような光景には出会うだろう。
    GM:だから、あんな光景ですらも、
    GM:あなた達の日常の一風景だ──と言えようか。
    GM:……さて。
    GM:真神 コルト。あなたは、駒 信隆の受け持っていた任務をそのまま引き継ぐ形で、対インリークォの調査に携わる事になった。
    GM:一人欠けたことによる人員減を埋めるのは、逆瀬川 苗。対インリークォ戦の経験があり、チーム戦闘に慣れている人材だ。
    GM:今、あなた達は市街地のビルの一室に陣取り、窓の向こうを監視している。
    GM:まるで刑事ドラマの張り込みのように──道路を挟んで反対側のビルを。
    GM:そこは、とある製薬会社の支社ビルであるのだが、
    GM:駒 信隆の調査によれば、インリークォのエージェントの一人が出入りする様が、幾度か確認されていた、ということである。
    鏑木 鵠:「交代の時間です。……ついでにご飯か何か買って来ますけど、お二人とも希望は?」
    鏑木 鵠:ブラインドの隙間からビルの外を睨んでいた鏑木が、そう言いながら窓の近くを離れる。……長時間の活動が為か、目はやや充血している。
    逆瀬川苗:「甘いやつで……」
    真神コルト:「では、私も甘い物で。糖分が欲しい気分です」
    鏑木 鵠:「分かりました。適当に菓子類を買い集めてきます。……あとは豚の甘酢煮あたりで」
    鏑木 鵠:「長丁場ですが……上手くお二人も休憩を回してください。何か異変を見つけたら、直ぐに連絡を」
    GM:監視開始から何時間かが過ぎている。ただ待つだけというのも、案外に疲れるものだ。
    GM:注文を受け取った鏑木も、疲労の滲む背を見せながら階段を降りて行き、しばしあなた達は二人で取り残される。
    逆瀬川苗:窓から見ている
    逆瀬川苗:修行時代によくやったものだ。畑仕事のみを手伝って、後は生き物をよく観察するだけで一日を過ごす
    逆瀬川苗:代わり映えしないものも、ずっと見続けて己の中の解像度を高めていく作業。
    逆瀬川苗:「該当するエージェント、いつ来ますかねえ」
    真神コルト:窓を挟んで反対側に立ち。
    真神コルト:「動き、ないですね。良いことなのか、良くないことなのか……」
    真神コルト:「……体、もう大丈夫なんですか? 至近距離だったそうですが……」視線は窓の外に向けたまま。
    逆瀬川苗:「今のところはリザレクトの範疇でした…。こちらに意識を向けて行った攻撃ではないですからね…」
    逆瀬川苗:一応身体検査も受けたと思うんですが結果とかは出てますか?
    GM:ふむ、そうですね
    GM:現時点だと、
    GM:傷は浅い、なんらかの毒物反応は無い、本人の自覚症状も得に無し、健康そのもの
    GM:というところでしょうか
    逆瀬川苗:了解です
    GM:或いは直撃してから数時間くらいは、ちょっとだるいかなーくらい有ったかも知れませんが
    GM:逆瀬川さんが病気しにくい体質だったりしたらそれも無いでしょう
    逆瀬川苗:なるほど
    真神コルト:「……報告書は私も見ました」
    真神コルト:「駒さん……あの日、私と合流した時には、思えばもう様子がおかしかったんですよね」
    逆瀬川苗:「一通りの検査も受けましたが、生物系のセルが仕掛けてきたものですから…最悪、私が同じように絶望して死ぬかもしれませんね。」
    真神コルト:「え、縁起でもないこと言わないでください……!」
    逆瀬川苗:「彼のように用心深いタイプの人間が仕掛けられたとなれば、なおさら…」
    逆瀬川苗:「真神さん……そういう忌避感を持つことは大事ですが…もうそういう領域ではない可能性もあるのですよ。」
    逆瀬川苗:「それが敵の狙いなんでしょうからね」
    真神コルト:「……はい。駒さんも、そうなってしまったから、それは分かります」
    真神コルト:「あの現場で押さえた、湯川という男も……最近物忘れが激しくなったと言っていました」
    逆瀬川苗:「成程」
    真神コルト:「同じ手口……を想像してしまいますけど。検査して見つかる物だと良いのですが……」
    逆瀬川苗:「ともかく、肉体的に影響の無い今のうちに…怪しい人間を確保するのが、今やれることでしょう…はい」
    逆瀬川苗:普段のような倦怠を感じさせる雰囲気ではない。切迫している状況だと人にも感じさせる構えなのだろう
    真神コルト:「……ええ。私だってエージェントです。駒さん程とは行かなくとも、やりますよ」
    真神コルト:「逆瀬川さんとご一緒するのも、久しぶりですし。がんばりますとも」
    逆瀬川苗:「はい…頼みますよ、真神さん。第九は、あなたのような人で回ってるんですから…」
    GM:──その時だ。
    GM:動きがあった。
    GM:だがそれは、誰かが建物へ入っていった……というようなものではない。
    GM:逆だ。
    GM:白衣の男が慌てた様子で、足をもつれさせながら、あなた達が監視するビルの正面玄関から飛び出して来たのだ。
    GM:その白衣は、誰かの──その男のものも含まれているだろう──赤い、つまりはまだ乾いていない血に染まっている。
    真神コルト:「……流血沙汰、ですか。押さえますか」
    逆瀬川苗:「そうですね…行きましょう。」
    真神コルト:「はい。鏑木さんにはこちらから」端末を耳に当てつつ、部屋を飛び出す。
    GM:では。
    逆瀬川苗:直接触れるのは危険かもしれない。弓を携えて後を追う
    GM:白衣の男はビルから遠ざかろうとしている。歩行者を突き飛ばしながらも走り、だが足をもつれさせて転び、
    GM:あなた達が辿り着くころにはすっかり腰を抜かして、歩道に座り込んでいるだろう。
    白衣の男:「ど、どけっ、どけよ! 化物が来る、追いつかれる……!」
    逆瀬川苗:《ワーディング》。変な騒ぎになるのは危険だ。
    逆瀬川苗:「化け物……」
    GM:ワーディングの波の中でも、男の様子に変化は無い。オーヴァードである事は確かだろう、だが。
    白衣の男:「お、お前らっ……どこのセルだ!? い、いや、UGNか!? どっちでもいい、あれをどうにかしてくれっ!」
    白衣の男:……と。男はビルの上階を指差す。
    白衣の男:そうだな。
    逆瀬川苗:「コルトさん、周囲を警戒してください。…はい。抵抗する意志が無いのならば、すぐに」
    逆瀬川苗:弓を取り出す
    GM:ワーディングにより、おそらく〝あれ〟とやらも、あなた達に気付いたことだろう。
    真神コルト:「はい……あれ?」男の指差した先を見る。
    GM:指差した先は、窓。
    GM:窓、が──割れた。
    逆瀬川苗:男と指差す先を両方、視界を外さないように見る
    GM:ビル風に耐える分厚いガラスが、破片となってあなた達に降り注ぐ!
    逆瀬川苗:果物を形成してすぐに地面に。樹木を生やして傘とする。
    真神コルト:「っ!!」男の白衣を引いて、傘の下に。
    GM:傘がガラスの雨を凌ぐ──その雨に紛れて、
    GM:あなた達から少し離れた場所に、蹄の音を立てて着地するものがあった。
    〝白い獣〟:がっ
    〝白い獣〟:歩道に罅を入れる固い蹄。……それは、馬のような姿をした、白い獣であった。
    〝白い獣〟:無論。
    〝白い獣〟:ワーディングの波の中で動くからには。この高度から傷も無く着地するからには、
    〝白い獣〟:尋常の生物ではない。
    〝白い獣〟:「……………………」
    逆瀬川苗:反射的に生成した果実を口にする。
    真神コルト:「アニマル・オーヴァード……?」
    〝白い獣〟:白い獣は、あなた達を見る。
    真神コルト:傘から一歩前に。右腕だけを獣化し、白い獣を見据える。
    〝白い獣〟:黒い、真っ黒な石のような瞳が何を想うのか。獣の心を知るのは難しいだろうが、
    〝白い獣〟:それは、がつっと歩道を蹄で蹴りつけ、
    〝白い獣〟:高く、先ほどまであなた達が居たビルの屋上まで跳ね上がった。
    逆瀬川苗:「……逃げましたか。」敵の数からリスクを鑑みたか?それならば知性が十分あると言える。
    真神コルト:「追ってみます。この人のこと、お願いします」
    真神コルト:白衣の男を指して。
    白衣の男:「い……いなくなった、の……か?」男は、獣の去った方角を見て怯えている
    逆瀬川苗:「危険ですよ。」
    逆瀬川苗:「感染性の能力を使ってくる相手がいるんですから、近接型のあなたはリスクが高い…」
    逆瀬川苗:「…といっても、踏みとどまりはしなさそうですが……危険だと思ったら手放しで逃げてください」
    逆瀬川苗:「それとも、撤回をしてもらえると」
    鏑木 鵠:「なら、私が同行します」
    逆瀬川苗:「…あなたも近接型じゃないですか……」
    鏑木 鵠:という声と共に、あなた達の頭上から、翼を畳みながら鏑木が降り立つ。
    鏑木 鵠:「近接型ですが、私の足場は無限の空です。人間ひとり担いで飛ぶ程度はできますし」
    逆瀬川苗:「戦闘の際には結局触れる必要があるんですよ…?」
    鏑木 鵠:「必ず戦闘になると決まった訳ではありません」
    真神コルト:「深追いはしません。逃げた方角でも掴めれば、情報収集の網も張りやすくなります」
    鏑木 鵠:「……今は相談より判断の時です。追うか、追わないか、どうしますか」
    真神コルト:「まずは、あのビルの上まで。追えそうなら、もう少し追跡しましょう」
    逆瀬川苗:「……分かりました。ツーマンセルで、片方は…鏑木さんのほうが相性良いですね。退路を必ず確保しながら追ってください。」
    逆瀬川苗:「戦闘は出来る限り避けて。どこに戻っていくのかを確認するのが第一義で。施設内部に入ったら潜入はしないでください。バックアップなしで行くのは虎の胃袋の中に向かうのと変わりありません」
    真神コルト:「はい。肝に銘じます」
    真神コルト:「では、行きます」
    真神コルト:一跳びして道路標識の上に。更に一跳びしてビルの壁面に。
    真神コルト:更に一跳び、を繰り返してビルの屋上へ。
    GM:そうして追って行くならば、
    〝白い獣〟:ビルからビルへ。獣は脚力に任せ、飛び跳ねて渡っていく。
    〝白い獣〟:隣のビルへ。また隣へ。身軽である。忽ちに数十m、数百mも出没地点から遠ざかり──
    〝白い獣〟:遠く離れた路地に降り立ち、ようやく足を止める。
    真神コルト:「むむ……あっという間にあんな所まで……」
    真神コルト:追いながら端末を取り出し、獣が足を止めた所でカメラアプリを起動して最大望遠で撮影。頑張れ手ブレ補正。
    真神コルト:遅れて自身もまた、路地に降り立つ。
    〝白い獣〟:ならば。追われていた事は、知っているのだろう。
    〝白い獣〟:獣は足を止めて、あなたを待っていて、
    〝白い獣〟:「……なんで、追いかけてくるんだ」
    〝白い獣〟:獣の口のままで、人の言葉を発した。
    真神コルト:「逃げるからです。……お話し出来るのなら、伺いたいところですが」
    真神コルト:「そうですね。まず、貴方の、お名前は?」
    〝白い獣〟:「言わない」
    〝白い獣〟:「……なんで言わなきゃいけないんだよ」
    〝白い獣〟:ふてくされた子供のような物言いをして、
    〝白い獣〟:「俺は、やることがあるんだ」
    真神コルト:「名前が分からなくちゃ、呼びようがないじゃありませんか」
    〝白い獣〟:「なら、呼ばなきゃいい。……関わらないでくれ!」
    〝白い獣〟:「あんたら、UGNだろ?」
    真神コルト:「……そこまで分かって、ですか」
    真神コルト:「私たちには、話せない事情ですか?」
    〝白い獣〟:「……………………」
    〝白い獣〟:無言。それが答えともなろうか──そして。
    〝白い獣〟:「……俺が、やるんだ」
    〝白い獣〟:「お前達じゃない! ……役に立たないお前達じゃなくて」
    〝白い獣〟:「俺が! やるんだ!」
    〝白い獣〟:がっ
    〝白い獣〟:再び、蹄が地を蹴った。
    〝白い獣〟:馬鹿げた速度で獣は遠ざかって行く。……先にも増した、異常な出力で。
    真神コルト:「あっ」
    〝白い獣〟:並みのオーヴァードならば、ああは動けない。
    〝白い獣〟:……あるいは、その光景を見れば、過ぎる言葉もあるやも知れない。
    鏑木 鵠:「……ジャーム化している可能性もあります、あの様子だと」
    真神コルト:「……済みません、上手く聞き出せませんでしたね」
    鏑木 鵠:「今、無理に追うのは危険が伴います。……ワーディングもあまり長時間、広範囲に展開する訳にもいきません」
    鏑木 鵠:「いえ、私が問うより余程効果はあったと思います」
    鏑木 鵠:「……その上で、でも」
    鏑木 鵠:「一度、退きましょう──そして、支部に連絡を」
    真神コルト:「ええ。逆瀬川さんとも合流しませんとね」
    真神コルト:マップに獣の逃げた方向を記録して共有。今、出来ることはこれくらいだろう。
    真神コルト:(……男の子、って感じだったな)
    GM:きっと、
    GM:頭が固くて、まだ物を知らなくて
    GM:けれども正義感ばかりは強い、そんな子供なのだろう。
    GM:……きっと。

    GM:──死体は無かった。
    GM:それは、隠蔽されたとか、粉砕されたとか、そういう意味ではない。
    GM:生きたまま、捨て置かれていたのだ。
    GM:上層階の研究室。多くの研究員が、獣の蹄に打ち据えられたのだろう、痛みに呻きながら倒れている。
    GM:腕や脚のねじ曲がったもの。肋をへし折られたのだろう、青ざめた顔の者もいるが、
    GM:とどめをさされている者はいない。
    GM:……代わりに、設備の方は悲惨の一語であった。
    GM:大量のデータを収めていたと思われるコンピュータが、ぐしゃぐしゃに破壊されている。
    逆瀬川苗:(デジタルな資料はほぼ壊滅か……)
    GM:各種の書類が、引き千切られ、撒き散らされ、それが誤作動したスプリンクラーからの水を受けてふやけている。
    逆瀬川苗:「へへへ…アナログも駄目だこりゃ…」
    GM:その破壊は、あまりに執念深く行われていた。
    逆瀬川苗:爆破をされなかっただけ、すくえる情報もあるかとは思うが
    逆瀬川苗:生きてる人間達を集めて全員から聴取を行うぐらいが当座か
    GM:──ところで、逆瀬川 苗。唐突な質問なのだが。
    GM:〝足跡〟を追ったことはあるか?
    逆瀬川苗:トラッキングは狩りの手法
    逆瀬川苗:畑についた足跡から情報を得つつ追い立てる行為は飽きるほど行った
    GM:ならば。此処は地面ではなく、床ではあるが、
    GM:雨の代わりに──スプリンクラーから降り注いだ水がある。
    GM:その水が僅かに形を成しているだろう。
    GM:足跡だ。
    GM:……非常階段の方へと向かう、靴の跡。
    GM:蹄ではない。
    GM:──加えて言おう。これはきっと、あなたなら気付くことだ。
    GM:コンピュータ類を打ち壊した打撃痕は、蹄によるものだが。
    GM:アナログ資料を取り出し、引き裂く作業は、誰かの〝手〟によるものだと。
    逆瀬川苗:ちなみに靴のサイズは大まかに大きい 小さいは分かりますか
    GM:ふむ。分かるでしょうね。
    GM:靴のサイズは、あまり大きくはない。24前後というところか。
    GM:ヒールは平たいが、細身。女物の靴だろう。
    逆瀬川苗:OK
    逆瀬川苗:(…一応、この後二人に連絡して、濡れている女性を探してもらう手もあるけど…)
    逆瀬川苗:(おそらく周到だろう…。獣の襲撃に対応して動いたのならば)
    逆瀬川苗:足跡の終点をたどります
    GM:では。
    GM:足跡は非常階段を降りて、そのままに街へ溶け込んでいく。
    GM:今日は日照が弱いが、それでも今は夏だ。
    逆瀬川苗:短い髪をすいて、己の髪の濡れを払う
    GM:歩く内に足跡は乾いて、やがては、大勢の靴痕の中に紛れて消えているだろう。
    GM:……自然に街へ溶けていけるもの。即ち、
    GM:人間の姿をしたもの。
    GM:今、分かるのはそこまでだろう。
    逆瀬川苗:十分だ。
    逆瀬川苗:意思疎通の出来る生き物がこれだけいる森(とし)で、濡れた人間が歩き回ったのだ
    逆瀬川苗:大衆の目全てから逃げるのならば、エフェクトのひとつやふたつ…もしくは、裏道を使う等の必要がある
    逆瀬川苗:隠し切り取れば、輪郭が際立つ。
    逆瀬川苗:「…進展、ありですね……へへへ」
    逆瀬川苗:独りごち、踵を返す
    GM:風化する速度の遅いだろう映像の筈だ──薄曇りの日、水に濡れて街を歩く女の姿というのは。
    GM:この手がかりを辿れば良い。
    GM:調査の進展を確信した時、あなたの所有する通信端末が、着信を示すだろう。
    GM:音声通信だ。
    逆瀬川苗:端末を耳に当てましょう
    GM:連絡内容は、至ってシンプルだ。
    支部員:「急いで支部にお戻りを」
    支部員:「速水支部長が倒れられました。先日の件との関連性が疑われます」
    逆瀬川苗:「……分かりました。至急引き上げます」
    支部員:「逆瀬川さんは戻り次第、もう一度精密検査を。念のために同行したお二人もお願いします」
    逆瀬川苗:「はい。現場の引き継ぎ要員も急いで…沢山の人間がいますので、確保をお願いします……」
    GM:──では。
    GM:はじまり、としようか。

    GM:ロイス取得のみ可能!
    逆瀬川苗:真神コルト/連帯感/不安○/ロイス で取得します
    真神コルト:逆瀬川さんに ●尊敬/劣等感 で取得します。
    真神コルト:こちら以上で。
    GM:OK!

    シーン1


    GM:合流シーン、全員登場でお願いします
    天城康介:天城 康介の侵蝕率を+10(1d10->10)した(侵蝕率:47->57)
    速水 やどり:速水 やどりの侵蝕率を+3(1D10->3)した(侵蝕率:42->45)
    真神コルト:真神コルトの侵蝕率を+9(1D10->9)した(侵蝕率:48->57)

    逆瀬川苗:51+1d10
    DoubleCross : (51+1D10) → 51+4[4] → 55


    GM:──第九支部、医務室。
    GM:速水やどり。あなたはベッドの上で目を覚ますだろう。
    GM:目覚めて真っ先に視界に入るのはきっと、あなたの顔を覗き込む少年の、
    GM:不安や、心配や、様々な色の混ざった表情だ。
    速水 やどり:(……)視線を巡らせる。状況を把握する。
    天城康介:僅かに口が開く。何度も名前を呼んでいた唇も、下も、喉も乾ききっていて。
    天城康介:「─やどり」
    速水 やどり:「……おはよう、ございます」何を言うかしばし迷った末、その言葉を選択する。
    天城康介:ようやく絞り出した声は、ひどくカサついていた。
    速水 やどり:「……ご心配、おかけしました……」もう大丈夫、とまでは言えないが。なにせ、自分の体に何があったのか、全く分かっていない。
    天城康介:「……うん、おはよう、やどり。でも、まだ横になってた方がいい」
    天城康介:ゆっくりと動き出したきみの両肩に、手を添えて。
    速水 やどり:「はい」大人しく言葉に従う。その言葉を振り切って動くだけの気力と情報が、まだ足りていない。
    天城康介:そうっと。小さな体を、ベッドに押し付けるように寝かせてから。手を離す。
    天城康介:「……ごめんな、やどり。俺といると、なんだか、こんなことばっかりで」
    天城康介:「倒れたのが俺なら、まだよかったんだけど」
    速水 やどり:「縁起でもないことを言わないでください、もう。よくないですよ、どっちも」
    逆瀬川苗:ノック音
    速水 やどり:「はい、どうぞ」
    天城康介:「ッ!?」
    天城康介:ノックと、それに応じる声に。慌てて、ベッドに乗り出していた上半身を退く。
    逆瀬川苗:扉を開ける「ああ……これはこれは……取り込み中ですか…」
    真神コルト:「良かった、目が覚めたん……で……?」一緒に顔を覗かせて。
    真神コルト:「天城くん……?」
    真神コルト:今、ベッドの上にいたように見えた、ような。
    天城康介:「……や、やあ。逆瀬川さん、真神さん。いやその、話に熱が入ったいたというか、うん」
    速水 やどり:「私を気遣ってくださってたんです。それ以上でも以下でもないので、追及は後で」
    鏑木 鵠:「後で、ですか。ほうほう」
    逆瀬川苗:「はあい」
    逆瀬川苗:元気そうな様子で一安心
    真神コルト:「そうですか。では、後で。……心配しましたよ」
    逆瀬川苗:「じゃあ早速容態の詳細を確認させて頂けると……」
    鏑木 鵠:「では、ホワイトボードにタスクとして記入しておきます。真神さんに一任しましょう」
    天城康介:「鏑木さんまで……」
    GM:──容態、であるが。
    GM:少なくとも、今は落ち着いている。
    GM:まだ詳細検査の結果は出ていないタイミングだが、自覚症状はほぼ無いと言って良いだろう。
    GM:もっとも、目を覚ましたばかりではあるから、気怠さは幾分か残っているかも知れないが。それくらいのものだ。
    逆瀬川苗:(──似たような反応だ。)
    速水 やどり:「今のところは。体に、おかしなところは考えつきません。……逆にそれこそが妙といえば妙ですが」突然倒れたのに、健康であるはずがない。
    逆瀬川苗:症状が似るということは、因果の元は同じ可能性が高い。そして思い当たるものは身近に一つ。
    真神コルト:「検査の結果は、どのくらいで分かるんでしょう?」
    鏑木 鵠:「まだもう暫くはかかる、と。具体的な時間までは分かりませんが……」
    鏑木 鵠:「解析組も全力でやってるということですが、その……」
    鏑木 鵠:「……うちは慢性的に、人手不足なので……」
    天城康介:「……元々、怪我をしてたんだよな。俺があの子を連れてくる直前に」
    真神コルト:「……あれですか」駒さん。あの日、直前まで一緒にいた人のこと。
    逆瀬川苗:「そうですねえ…駒さんが自決した際のもらい事故だったんですが…」
    天城康介:「……自決」
    天城康介:どういうことがあったのか、さらりと聞いていてはいたけれど。改めて告げられた言葉に、少女が眼にした光景を想像する。
    逆瀬川苗:「ええ。まあ…全く持ってないことではないですが…唐突でしたからねえ。」
    逆瀬川苗:「支部長には親しい知人がついてくれたこと、感謝しておりますよ…ええ」
    速水 やどり:「光景は凄惨でしたが。今はもう、処理はできてますから、えぇ」天城君に、だいじょうぶだと告げる。
    真神コルト:「その後の検査では、異常は見つからなかったんですよね」
    逆瀬川苗:「ですが、症状が出た…と言えるのかも定かではありませんが、仕掛けられている可能性は無視出来ません…特に。今回関わっている対象の常套手段を思えばこそ…はい」
    天城康介:本人の宣言と、逆瀬川さんが口にした状況。「このまま少し休んでくれ」、という言葉を飲み込む。
    天城康介:「……真神さんたちが仕事をしてたってことは。まだまだ、これからも調査と……場合によっちゃ、戦いにもなるんだな」
    真神コルト:「いえ、私と逆瀬川さんのお仕事がどこまで関与しているかは……」
    真神コルト:「……常套手段?」
    真神コルト:逆瀬川さんの方を見る。
    逆瀬川苗:「駒さんの体内から蜂の羽音が聞こえました…これは支部長も確認できていると思います」
    速水 やどり:「はい、あの時確かに」
    逆瀬川苗:「体内に生物を住まわせる手法…特に、蜂や蝶を用いる手法は多く確認され、過去に事件例も多く確認されております。そのいずれも、インリークォの特定人物が関わっていました…“ポリスティナエ”」
    天城康介:「……ぇ?」
    天城康介:「……待ってくれ。そいつは確か、あの子の」
    逆瀬川苗:「人体を培地として運用するやり口から、感染に発展しても…どうされましたか。」
    天城康介:この支部に連れ込んだ少女、聞かされた─そして伝えた素性の中に、その名があったことを思い出す。
    天城康介:「……安楽はづき。俺が、ここに連れてきた子。その子は、ずっと」
    天城康介:「そいつの下にいて、色々された、って」
    逆瀬川苗:「…成程。」
    逆瀬川苗:「その子の診断も必要ですね…感染爆発を避けるための措置も…」
    天城康介:「……出来たら、優しくしてやってほしい。刃物と薬は、特に駄目だ」
    真神コルト:「……私たちのお仕事も、無関係とは言い難くなってきましたね」他ならぬ駒さんから引き継いだ案件なのだから。
    真神コルト:「とにかく、その、安楽……さんの検査はすぐに手配しましょう」
    真神コルト:「あとは、調査……ですが……」端末に目を落として。
    真神コルト:「どうしましょうやどりちゃん。人、ここにいる三人以外にはちょっとすぐに捕まらないかも……?」自分と、逆瀬川さんと、鏑木さん。
    逆瀬川苗:「全員出払ってるんですか…?うーん……」
    真神コルト:「ええ」行動予定がぎっしり詰め込まれたリストを見せ。
    逆瀬川苗:(…いや、まあ。性質を考えるならば少ないのもある意味正しい)
    真神コルト:「……イリーガルに協力を要請しますか?」
    逆瀬川苗:「そうしましょう…一人で良いです…」
    天城康介:「……その、一人にさ」
    天城康介:「俺を入れてくれないか」
    天城康介:支部側の話だからと、挟むのを控えていた口を。ぽつりと開く。
    鏑木 鵠:「……支部長。彼の力量は?」
    速水 やどり:「ひいき目抜きで、十分かと。お墨付きです」
    天城康介:「うん。……調査はともかく。戦って、みんなで生き残ることなら、自信がある」
    真神コルト:「……やどりちゃんが、反対しないのなら。腕は私も疑ってませんし」
    鏑木 鵠:「と、言うことですが。……逆瀬川さんは?」
    逆瀬川苗:「…良いですよ。」
    逆瀬川苗:「あなたが戦うのなら、支部長に万一があっても安心出来ますからね…。一番連携できるでしょう…」
    天城康介:「……うん。ありがとう、みんな」
    鏑木 鵠:「……〝不用意に人を増やしたくない〟くらいの慎重論を言い出すんじゃないか、って思ってました」
    逆瀬川苗:「この人数が適当でしょう…」
    逆瀬川苗:「理由は……まあ、いいでしょ、言わなくても……へへへ。」
    逆瀬川苗:…逆瀬川の、“戦力を最大化出来る人数”がこの数だ。
    逆瀬川苗:要するに、『これから相手する存在を、全力を持って叩き潰す』という意識であるが…まあ、言わなくても良いことだ
    逆瀬川苗:自分なりの怒りを、味方にみせてもしようがない
    速水 やどり:「……私も、検査の結果が出次第動きます。一度標的にされてしまっているのなら、奥に引っ込んでいるよりも前に出た方が良い……皆さんがいるなら、安心できますしね」
    速水 やどり:「改めて、皆さん。よろしくお願いします。既に犠牲者も出ている過酷な任務ですが……必ず。無事に戻りましょう」
    天城康介:自分も動く。ああ、彼女ならそう言うだろう。そう言うに決まっている。─そんなところも含めて、自分は─。
    鏑木 鵠:「はいっ!」踵をかつんと打ち合わせ、背筋を伸ばして応じた。
    天城康介:「……ああ。よろしくな」
    天城康介:喉まで出かかった言葉を、飲み込んで。精一杯、柔らかな笑みで─。
    真神コルト:一瞬驚いて、すぐに表情は元に戻り。
    真神コルト:「はい。……貴方がそう決めたのなら、異存はないです」しばらくぶりの笑顔に。
    真神コルト:その道を阻むものを破壊する。それが私だから。
    逆瀬川苗:「じゃあ…そういうことで。へへへ。」
    逆瀬川苗:「具体的な所が見えてはいないですが…それ即ち、相当な脅威です…油断をせず、地道に…」
    逆瀬川苗:「…そして、見つけた時は苛烈に行きましょう…それが、このメンバーで一番活きるところでしょうから」
    GM:号令一下。
    GM:あなた達は動き出す。

    GM:ロイス&調達が可能!
    速水 やどり:ロイスは一旦保留。調達はシューターズジャケット狙いで。
    速水 やどり:2dx+1>=13 シューターズジャケット調達
    DoubleCross : (2R10+1[10]>=13) → 7[3,7]+1 → 8 → 失敗

    速水 やどり:失敗の以上で。
    天城康介:こちらも、逆瀬川さん用のシューターズジャケット狙いで。
    天城康介:3dx>=13
    DoubleCross : (3R10[10]>=13) → 10[7,9,10]+8[8] → 18 → 成功

    天城康介:買えてしまった。
    真神コルト:さすが特異点。
    GM:デザインがメイド服だったりするんだろ
    天城康介:どうぞお使いください。ちゃんとしたシューターズジャケットです。メイド服じゃないです。信じてください。
    逆瀬川苗:“獣型のオーヴァード”/興味○/不審/ロイス
    逆瀬川苗:シナリオロイス取ってと
    逆瀬川苗:いただきます
    天城康介:ロイスは保留で!こちらは以上となります。
    逆瀬川苗:行動値が減るけどトップが再行動要員なので助かります
    真神コルト:ロイスはひとまず保留。購入はやどりちゃん用のボデマかな
    逆瀬川苗:照準器を狙います
    逆瀬川苗:4dx+2
    DoubleCross : (4R10+2[10]) → 10[2,4,8,10]+8[8]+2 → 20

    逆瀬川苗:成功。必中の弓を指定します。達成値+1
    真神コルト:せっかくなので手配師&ストーンも入れて……
    GM:財産点がけずれねえ……
    真神コルト:4dx+4>=12 UGNボディアーマー
    DoubleCross : (4R10+4[10]>=12) → 8[2,7,7,8]+4 → 12 → 成功

    真神コルト:わーい。やどりちゃんにシューッ!
    速水 やどり:いただきます!
    GM:では

    マスターシーン


    〝白い獣〟:「やったぞ。次はどこだ。どこにいる奴を狙えばいいんだ」
    〝白い獣〟:「俺は疲れてないぞ。すぐに戦えるんだ、場所を教えろ」
    〝白い獣〟:獣は蹄を地面に打ち付け、鼻息荒く戦場を要求する。
    〝白い獣〟:「俺が全部やる」
    〝白い獣〟:「悪い奴がいるんなら、俺が全員倒してやる」
    ???:「落ち着いて」
    ???:女は、獣を宥めながらに言う。
    ???:「君は強い。君なら出来る。ああ」
    ???:「他の誰にも出来なかったことを、君ならきっとやれる。そう信じたから私は、君に力を貸すんだ」
    ???:「君は多くの人を救える」
    ???:「多くの哀しみを未然に防げるんだ」
    ???:そして女は、地図を開く。
    ???:「此処と、此処。〝彼ら〟の研究施設がある。……私が手を出せなかった場所だ」
    ???:「手筈は同じ。君が敵を打ち破り、私がデータベースを掌握する。その後に」
    〝白い獣〟:「二度と同じ場所を使えないように、俺が完全に壊す」
    ???:「その通り」
    ???:女は、呆れるほどに優しい顔を作って微笑み、
    ???:「……君を応援しているよ」
    ???:「さあ、〝わるいやつら〟を倒しに行こう、正義のヒーロー」
    〝白い獣〟:白馬がいななき、蹄が打ち鳴らされる。

    シーン2


    GM:情報収集シーンです。全員登場ですが、
    GM:やどりちゃんのみ。登場侵蝕を振る代わりに、
    GM:1d10を振り,その数値を現在の侵蝕値から引いて登場してください。
    天城康介:天城 康介の侵蝕率を+2(1d10->2)した(侵蝕率:57->59)
    真神コルト:真神コルトの侵蝕率を+8(1D10->8)した(侵蝕率:57->65)
    速水 やどり:45-1d10
    DoubleCross : (45-1D10) → 45-6[6] → 39

    GM
    逆瀬川苗:55+1d10
    DoubleCross : (55+1D10) → 55+4[4] → 59


    GM:では早速ですが、情報項目から出します
    情報項目
    【速水やどりの容態】 目標値9 《情報:UGN》or《知識:レネゲイド》
    【〝白い獣〟】 目標値8 《情報:UGN》or《情報:噂話》

    GM:まずはこのふたつから。無論追加は生えてくると思っていただいて結構。
    GM:さあ……誰から行くかな?
    天城康介:まずは財産点の少ない自分が獣を叩いて、追加項目を財産点のある人にお任せするのがいいかな。
    真神コルト:やどりちゃん行かなくて良いんですか!
    天城康介:UGN技能がないんだ…いっていいならいきたい…!
    天城康介:一応、コネ込みで4dと固定値1は振れますね、UGN(そして財産点が2ある)
    逆瀬川苗:いきな
    逆瀬川苗:好きな女の心配も出来ないのは甲斐性じゃねえだろ
    天城康介:ヤッター!(「いのる」コマンド)
    天城康介:では、自分は【速水やどりの容態】を。先に振ってしまってもよいでしょうか。(これ次第で他の面子がどう動くかもあるので)
    真神コルト:ゴーゴー
    GM:どうぞどうぞ。
    天城康介:情報:UGNでコネ:UGN幹部を使って……。
    天城康介:4dx+1>=9
    DoubleCross : (4R10+1[10]>=9) → 5[2,5,5,5]+1 → 6 → 失敗

    天城康介:グエーッ
    GM:おおっと
    真神コルト:アバーッ
    天城康介:財産点を入れても、丁度1足りませんね。
    真神コルト:ではこちらでフォローしましょうか
    天城康介:お願いします…!
    真神コルト:情報:UGN、コネ起動!
    真神コルト:(3+2)dx+2>=9
    DoubleCross : (5R10+2[10]>=9) → 9[6,7,7,7,9]+2 → 11 → 成功

    真神コルト:よしよし。
    GM:固定値なしでも達成、みごと
    GM:ではまず、こちらを開示しましょう。
    【速水やどりの容態】
    詳細な血液検査により、特殊な型のレネゲイドウィルスが体内に混入している事が確認された。
    仮に、これを『特9型』と呼称する。
    『特9型』の感染が引き起こす症状に関しては調査中であるが、急な失神に関係していると思われる。

    その他に関して。
    僅かなレネゲイド出力の低下が確認されたが、現状は任務遂行の妨げにはならない程度だ。
    現時点では記憶の混濁は見られない。思考、記憶とも完全に正常と言って良いだろう。
    また、レントゲン検査などを行った結果、頭蓋内への異物の寄生などは確認されなかった。

    GM:併せて、【各種の検査結果】 目標値9 ※PP0/5 上限値30 《情報:UGN》or《知識:レネゲイド》 が解放される。
    逆瀬川苗:私には影響がないのは謎だな
    GM:歴戦のPL陣には説明することも無いと思うが……いわゆるSSSC準拠のPP式項目だ。
    天城康介:了解です。積み上げていこう。
    GM:さて、残りお二人。新しい項目に先に挑むか、獣を調査するか、どうするかな?
    逆瀬川苗:コルトさん獣を頼めますか
    真神コルト:あっ、私さっき振ったので……
    逆瀬川苗:やったのか
    逆瀬川苗:白い獣について振ります
    逆瀬川苗:4dx+2
    DoubleCross : (4R10+2[10]) → 9[1,3,9,9]+2 → 11

    逆瀬川苗:しまった、宣言諸々抜きでやっちゃった
    逆瀬川苗:しかも固定値ミス!
    逆瀬川苗:情報:UGNで振りました!固定値は1なので達成値10です
    GM:えーと、情報UGNが1か
    GM:OKOK,すると
    【〝白い獣〟】
    キュマイラシンドローム所持のアニマルオーヴァード、ないし獣化可能なオーヴァードと推定される。
    逆瀬川・真神両名が目撃した他でも、複数の研究施設において交戦が確認された。
    いずれも死亡者こそ出ていないが重傷者は多数。
    データを保管する媒体は物理的に破壊され、施設そのものも再利用が難しい程に打ち壊されている。


    情報項目
    【〝水に濡れた女〟】 目標値9 《情報:UGN》or《情報:噂話》
    【襲撃された施設の共通点】 目標値10 《情報:UGN》or《情報:噂話》or《情報:FH》

    GM:ふたつの情報項目が新たに示されます。
    GM:つまり〝このシーンで全部は無理だから次のシーンも使おうぜ〟ということだ。
    逆瀬川苗:やどり支部長は宣言どおりプライズを進めたほうが良さげですね
    速水 やどり:では最後、私。【各種の検査結果】について、〈情報:UGN〉でコネ:UGN幹部起動して振ります。
    速水 やどり:4dx+4>=9
    DoubleCross : (4R10+4[10]>=9) → 9[1,1,5,9]+4 → 13 → 成功

    GM:13、PP2だ。
    速水 やどり:次のシーンで財産ガっと入れてなんとかするのが良しかな。このシーンはこれで。
    GM:よろしい、では。
    【各種の検査結果】
    PP1:逆瀬川 苗の身体検査結果
    速水やどりと同様の『特9型』感染が確認されたが、その数は極めて少なかった。
    このまま放置すれば体内の免疫機能により自然に駆逐が完了する程度の個数である。
    逆瀬川 苗に体調の不良が見受けられないのも、その為かも知れない。
    速水やどりに比べて体格・基礎体力が優れていたが為であろう。

    PP2:安楽 はづきの身体検査結果
    特殊な〝共生型レネゲイドビーイング〟を体内に宿している。
    〝毒〟を無力化する為に自動化された装置のようなものだ。
    人為的・自然的を問わず、体内に取り込むことで肉体に作用する〝毒〟を中和する。
    この作用が為に安楽 はづきは、ほぼ全ての薬物が効力を発揮しない身体となっている。
    無論、麻酔薬もだ。

    また、頭蓋内に小型の〝蜂〟の寄生を確認。摘出が完了している。それに伴ってか、記憶の欠損は回復を始めた。
    『特9型』の感染は確認されなかった。


    GM:──第九支部に付随する医療設備の一区画。
    GM:そこで丁度、患者のひとりが意識を回復した。
    GM:オーヴァードである彼女の傷口は、既に抜糸も完了している。
    GM:……身体の各所のように、無為に傷痕を残すような、ずさんな処置ではないとも言い添えよう。
    GM:そうだな。
    GM:天城 康介。
    GM:君がこの事件の渦中に巻き込まれてから二度目になるが、
    GM:君は、眠っている病人が目を覚ますのを、ベッド脇で待っていたことになる。
    GM:……とは言っても、待つ姿は少々異なるのだろうが。
    安楽 はづき:「……………………あれっ」ぱち、と、少女は目を見開いた。
    天城康介:─ベッドの上に身を乗り出して、覗き込むようなことはしないけれど。
    天城康介:「……ぁ」
    天城康介:小さな声に反応して。ベッドサイド、パイプ椅子に腰を下ろして伏せていた視線を上げる。
    安楽 はづき:「……あれっ。私、寝てたんですか?」
    天城康介:「……よかった。おはよう、安楽」
    安楽 はづき:「お、おはようございます。……あれっ」
    安楽 はづき:「手術って聞いてたから、てっきり……また、痛くなるのかと思ってたんですけど……もう終わったんですか……?」
    天城康介:「……麻酔も効きづらいから、体温を下げて眠らせたんだってさ。UGNの人も、なんというか……無茶苦茶なこと、するよな」
    安楽 はづき:「ほ、ほんとうに? 実はどっきりで、今からもう一回手術ですとか無いですよね……?」
    天城康介:内心の焦り─安楽はづきと速水やどり、ふたりの少女の容態についてのもの─を、努めて押し隠すように。柔らかく、笑みを浮かべながら。
    天城康介:「大丈夫、だと思う。必要な施術はこれで完了だって話だし……うん、詳しくは」
    安楽 はづき:「よかっ……たぁ~~~………………」長く深く溜息をついて、ベッドの上で上体を起こす。よほど安堵したものか。
    天城康介:「この支部の人から、聞いて欲しい。……きみを連れてきた時は、どたばたしててゆっくり話すどころじゃなかったしな」
    安楽 はづき:「支部のひと?」かくっ、と首を傾げた。
    天城康介:「ああ。……頼めるか」
    天城康介:横たわる少女ではなく。カーテンの向こう側に、声を。
    速水 やどり:「……失礼します」お見舞いの花など持って、入ってくるのは少女の姿。
    安楽 はづき:「あっ」慌ててベッド脇に立ち上がり、頭を下げる。
    速水 やどり:「先日は負傷中で応対も満足にできなかったことをお詫びします。……私がUGN、N市第九支部の長……速水やどりです」
    真神コルト:「……まだ、目覚めたばかりでしょう? 座っていてくださいな」
    真神コルト:続いて現れ、目礼をする修道服姿の女。
    安楽 はづき:「い、いえいえ、こちらこそ大変な時にお邪魔してしまってもうしわけなくって……」ぺこぺこと頭を下げているが、
    逆瀬川苗:「術後に慌てるといろいろ差し支えますからねえ…」
    安楽 はづき:「そ、そう仰るなら……失礼して……」恐る恐るという風情で、またベッドへ戻った。
    逆瀬川苗:のそのそと現れる
    天城康介:「……大丈夫。この通り、優しい人たちだよ。安楽のことも、こうして、受け入れてくれたんだ」
    速水 やどり:「大勢で突然おしかけて、申し訳ありません。まずはゆっくり体を休めてください。……色々、大変だったと聞いていますから」
    安楽 はづき:「いっ、いえいえ、そんなそんな私なんてっ。みなさんの方こそよっぽど、ずっと大変だったみたいで──」泡を食ったように首を振るが、
    安楽 はづき:「──その、あの。ちょっとだけお話は聞いたんですけど、支部長さん……ですよね? お怪我なさったとかって……大丈夫ですか……?」
    速水 やどり:「えぇ、ケガ自体はもう、すっかり」微笑んで見せる。……裏でどうやら、もっと厄介な事になっているらしいのは……この子に話して心配させても、仕方のない事だ。
    安楽 はづき:「良かったぁ~……ちょっとだけ、ほっとしました」
    天城康介:「うん。……やどりも、安楽も、本当に」
    天城康介:─よかった、と。そう言い切るには、不安は多いけれど。
    天城康介:「……と、そうだ。安楽とは、少し話をしてたんだけど……詳しいことは、やっぱり、やどりからお願いできればって」
    天城康介:「そう、思う」
    速水 やどり:「えぇ。……安楽さん。今回、検査の結果『蜂』の寄生を確認したため、除去手術を行ったわけですが。その後、いかがですか? 特に、記憶の方などは」
    安楽 はづき:「きおく……?」
    安楽 はづき:「……あっ」ぽん、と手を打ち「すっきりしてます」
    安楽 はづき:「そうだ、なんで忘れてたんだろ……駒さんだ、あの人。駒 信隆って言ってたっけ」
    速水 やどり:「……っ」その名が出たことに、僅か固まり。
    安楽 はづき:「私を檻から出してくれて、〝すぐ戻るけど何か有ったら第九支部に〟って言って……そのまま戻ってこなかったんですけど」
    安楽 はづき:「あのっ、あの人って今、戻ってきてますか? 私、まだちゃんとお礼を言ってなくってっ」
    速水 やどり:「駒、さんは……」言いにくそうに、口を開く。
    安楽 はづき:「……あっ」その、言葉の澱みで。もしかすれば気付いたのだろう、声を詰まらせた。
    速水 やどり:「……すみません」察されたことを察する。
    速水 やどり:「……あなたの事は、我々が。これからは守りますので、どうか安心していてください」
    安楽 はづき:「……………………」少しの間、悲しげな顔をして、
    安楽 はづき:「はいっ」
    安楽 はづき:「ご迷惑をおかけするかとは思いますが、どうか、よろしくおねがいしますっ」にっこりと笑って、頭を下げた。
    真神コルト:安楽さんのお辞儀と前後して。ポロン、と携帯端末が着信を告げる。
    真神コルト:「あ、すみません。失礼して……」
    真神コルト:端末を二、三、捜査して。
    真神コルト:「速水支部長と逆瀬川さんの検査結果ですね。共有しますが、さわりだけお話ししましょう」
    真神コルト:「血液から『特9型』というレネゲイドウィルスが検出されています。これ、特殊な型のようで……」
    真神コルト:「症状に関しては未だ調査中とのこと。ただ、支部長の……体調と関係しているだろう、とありますね」
    真神コルト:安楽さんの前でもあるので、可能な限り言葉を濁す。
    速水 やどり:「ありがとうございます」情報を集めてきてくれたことと、その配慮に礼を。
    真神コルト:「いいえいいえ。他、レントゲン検査に異常はなし。逆瀬川さんの方は自然回復するだろう、だそうですよ」
    天城康介:「……逆瀬川さんの方「は」、か」
    真神コルト:「ええ。……支部長の方は」やどりちゃんに目を向けて。
    真神コルト:「若干、レネゲイド侵蝕の低下が見られます。今すぐどうこう、ということはなさそうですが」
    真神コルト:「どういう影響か不明ですから、何か異常を感じたらすぐ、周りの人に伝えてくださいね」
    速水 やどり:「はい」短く、明瞭な返事。
    逆瀬川苗:「気をつけていきましょう…。」
    真神コルト:「ああ、それと、一応。安楽さん」
    逆瀬川苗:「体力が大事というのならば、落とさないことです」
    真神コルト:「貴方はこの『特9型』ウィルスには感染していません。安心してくださいね」
    安楽 はづき:「そうなんですね……私、病気だけはしない方だからかなぁ」
    天城康介:「……逆瀬川さんの言うとおり。体力は大事だからさ。ご飯も、食べないと駄目だぞ。やどりも、安楽もだ」
    速水 やどり:「えぇ、大切にしますとも」
    安楽 はづき:「おなかいっぱい食べます……!」
    天城康介:「……インリークォ、だっけ。ただでさえ、今まで安楽は。酷い目に、遭わされてきたんだから」
    逆瀬川苗:(…ひとまず、私の方は安心…と。支部長の体力維持が当面の課題だが…暫くは動き回らないといけないだろうしな…)
    逆瀬川苗:「後は、現場で目撃された獣について……」
    逆瀬川苗:「類似する破壊活動の痕跡が多数発見されております…いずれも、当該施設の機能を完全に破壊する他、情報媒体を損失させることに注力しているようですね」
    逆瀬川苗:「現場の痕跡からして、白い獣が単独で全ての破壊活動を行ったとは考えづらいでしょう…少なくとも一人…女性の可能性が高いです…が、獣についております。」
    速水 やどり:「複数犯、ですか」
    逆瀬川苗:「現状ウイルスについての資料を持ち合わせてない我々が、情報やサンプルを得る行為を防ぐために行っている、と牽強付会に捉えることも可能ですが…柔軟にしていきましょう…」
    天城康介:「……丁度、やどりが倒れた頃に逆瀬川さんと真神さん、鏑木さんが張り付いてたんだよな、確か」
    真神コルト:「ええ。監視していたビルから白い獣が飛び出してきて……」
    真神コルト:「あ。付け加えて一つ、報告しますね」
    真神コルト:「白い獣を追跡した時、少し話をしまして。……その、獣と」
    真神コルト:「やることがある、と言っていました。それが何なのかまでは聞き出せませんでしたが……」
    真神コルト:破壊活動を伴う、ということは確かだろう。
    真神コルト:「それと、私と鏑木さんを一目でUGNだと見抜いていました」
    真神コルト:「……そして、私たちが『役に立たない』とも」
    速水 やどり:「……中々、言ってくれる獣ですね」
    逆瀬川苗:「個人に面識があるか…人間を助けるオーヴァードチームはUGNの可能性があると想定したか……」
    速水 やどり:「FHセルの拠点を壊滅させていく、しかしUGNにはどうやら敵対的な獣……更なる調査が必要そうですね」
    天城康介:「……放っておいていい相手じゃあない、ってことだよな。情報が手に入らないってことは……」
    天城康介:「……いや、まずはやらなきゃ始まらない、か」
    天城康介:最悪な想像を。「治療法」が見つからないという結末を、忘れるように。一度、大きく頷く。

    GM:ロイス取得&調達が可能!
    天城康介:ロイス2枠は引き続き保留!購入はホローポイント弾狙い。
    天城康介:3dx>=10
    DoubleCross : (3R10[10]>=10) → 10[1,9,10]+6[6] → 16 → 成功

    真神コルト:つよい。
    天城康介:無駄に!逆瀬川さんにお渡しします。
    速水 やどり:安楽はづき/〇庇護/不信感 で取得。購入はホローポイント弾狙いで。
    速水 やどり:2dx+1>=10
    DoubleCross : (2R10+1[10]>=10) → 5[4,5]+1 → 6 → 失敗

    速水 やどり:ここは失敗しときます。以上で。
    真神コルト:ロイス保留。購入はホローポイント弾。
    真神コルト:3dx+3>=10
    DoubleCross : (3R10+3[10]>=10) → 5[2,4,5]+3 → 8 → 失敗

    真神コルト:財産点2入れて買っちゃいましょうか。逆瀬川さんにシューッ!
    逆瀬川苗:いただきます
    逆瀬川苗:私自身もホローポイント弾
    逆瀬川苗:4dx+2
    DoubleCross : (4R10+2[10]) → 4[2,2,4,4]+2 → 6

    逆瀬川苗:だめじゃん…
    逆瀬川苗:以上です

    シーン3


    GM:シーンプレイヤーはやどりちゃん。無論今回も登場侵蝕減少でお願いします。
    GM:残る3人は任意登場!
    速水 やどり:39-1d10
    DoubleCross : (39-1D10) → 39-8[8] → 31

    逆瀬川苗:59+1d10
    DoubleCross : (59+1D10) → 59+2[2] → 61

    真神コルト:真神コルトの侵蝕率を+4(1D10->4)した(侵蝕率:65->69)
    天城康介:天城 康介の侵蝕率を+5(1d10->5)した(侵蝕率:59->64)
    GM:では、情報項目の残りはこれだ
    情報項目
    【各種の検査結果】 目標値9 ※PP2/5 上限値30 《情報:UGN》or《知識:レネゲイド》
    【〝水に濡れた女〟】 目標値9 《情報:UGN》or《情報:噂話》
    【襲撃された施設の共通点】 目標値10 《情報:UGN》or《情報:噂話》or《情報:FH》

    天城康介:検査結果をやどりちゃんに叩いてもらいつつ、他項目を埋めていきましょうか。
    真神コルト:そうですね。
    速水 やどり:【各種の検査結果】について、〈情報:UGN〉でコネ:UGN幹部起動して振りましょう。
    天城康介:こちらは水に濡れた女をいこうかと。
    逆瀬川苗:2進めたし、達成値20で一気に行きたい所
    速水 やどり:4dx+4>=9
    DoubleCross : (4R10+4[10]>=9) → 9[4,6,8,9]+4 → 13 → 成功

    逆瀬川苗:共通点を進めましょう
    速水 やどり:可能なら財産7点突っ込んで20まで持っていきたいです。
    逆瀬川苗:コネ使用。UGNで振ります
    逆瀬川苗:7dx+1>=10
    DoubleCross : (7R10+1[10]>=10) → 9[1,2,3,6,7,7,9]+1 → 10 → 成功

    逆瀬川苗:成功
    天城康介:ではコルトさんに後詰を頼みつつ、噂話でコネを使いつつ、水にぬれた女。
    天城康介:6dx+1>=9
    DoubleCross : (6R10+1[10]>=9) → 10[5,7,9,10,10,10]+10[2,10,10]+7[1,7]+1 → 28 → 成功

    GM:財産点、むろんOKです
    天城康介:なんでやねん。
    真神コルト:特異点。
    GM:なんか凄く分かったひとがいるな
    速水 やどり:では財産25→18で、達成値20まで。
    GM:では、それぞれに開示していこう
    GM:量が多いのでちょっとお待ちを
    天城康介:ヤー!
    【〝水に濡れた女〟】
    製薬会社支社の襲撃に前後して、頭から水を被ったような有様の女が、近くの路上で目撃されている。
    証言から足取りを追った結果、N市内の〝境界線〟──即ち地区と地区の狭間、明確に区分が出来ない地域で姿が散見されている。
    誰かを探しているようだ。
    ……部下や仲間に任せず、自分で直接探さねばならないものがあるらしい。

    【襲撃された施設の共通点】
    〝白い獣〟に攻撃された施設であるが、とある共通点が見つかった。
    いずれもインリークォの下級研究員が管轄する施設であり、また、保管されている筈の研究データが失われていた。
    襲撃者は事前に保存媒体からデータを奪取、しかる後に施設を破壊したのだろう。
    おそらくだが襲撃者の目的は、このデータ強奪であったと思われる。

    GM:上ふたつの情報獲得により、新たな項目が挑戦可能になります。
    【〝白い獣〟の居場所】 目標値12 《情報:UGN》or《情報:噂話》or《情報:FH》

    GM:そして残り
    【各種の検査結果】
    ・PP3:駒 信隆の再検死結果
    速水やどりと同様の『特9型』感染が確認された。
    逆瀬川 苗と同様、その数は僅少。

    また、脳髄に多数の損傷が見受けられた。
    損傷箇所から推察するに、他者の名前・顔を認識する能力が著しく低下していたようだ。
    死亡時に頭部から這いだして来た〝蜂〟との関連性が疑われる。

    亡骸のレネゲイド侵蝕率は100を上回っていた。
    駒 信隆は、ジャーム化した瞬間に自らを〝討伐〟したと認定された。

    ・PP4:湯川 環の身体検査結果
    インリークォセルの下級研究員、〝イシュ・ケリヨト〟。

    頭蓋内に小型の〝蜂〟の寄生を確認。摘出が完了している。それに伴ってか、記憶の欠損は回復を始めた。
    また、重度の『特9型』の感染が確認された。
    いかなる症状を引き起こすものかは不明だが、感染者の増加を防ぐ為、隔離環境への移動を行った。

    ……湯川 環から自発的な協力を得られる。
    以降、《情報:FH》の判定と【各種の検査結果】判定に、達成値+1。

    ・PP5:〝ふたつ〟だ。
    この一連の事件には、ふたつの生物兵器が関連しているようだ。
    ひとつは〝蜂〟。脳髄を食い荒らし、他者を認識する機能を奪うことで、オーヴァードの現世へのよすがを奪うもの。
    ひとつは〝特9型〟。特殊な形質のレネゲイドウィルスであり、傷口から感染し得る。

    このふたつは本来、全く別個の存在だ。最初に検死が行われた駒 信隆が双方に感染していた為、切り分けての調査が出遅れた。
    即ち、〝蜂〟に直接寄生されない限り、記憶の損壊は起こらないと確信して良い。

    そして〝特9型〟の、現時点で推察できる症状は──オーヴァード能力の弱体化である。
    被感染者の持つレネゲイドウィルスに干渉、食い合う形でレネゲイドコントロールの力を奪う。
    感染が長期間に及べば、或いは感染者は、オーヴァードの力を完全に失う可能性がある。

    ……だが、疑問点も有る。
    感染性を持ち、オーヴァード能力の弱体化という凶悪な力を持つ〝特9型〟は──なぜ〝広範囲に散布されていない〟?
    元より大量に──十分な体力がある成人の戦闘員にも効力を発揮する濃度で──撒き散らさなかったのは何故か?


    GM:──第九支部地下階、最下層。
    GM:ここにはいわゆる〝隔離施設〟がある。……〝凍結処分には及ばないが危険な存在〟を、安全が確保されるまで一時的に退避させる為の。
    GM:見栄えとしては、殺風景な、広い部屋だ。防弾ガラスなどの透明な、室内を監視できる大きな仕切りには、指をひっかける僅かな凹凸も無い。
    GM:天城 康介、真神 コルト。あなた達は仕切りの〝こちら側〟に居て、
    湯川 環:「ああ、この前のシスターさん。……と新顔のお客さん。よく来てくれたね、本当に嬉しいよ──嫌みとかじゃなくって」
    湯川 環:〝向こう側〟の声は、あなた達の傍に置かれたスピーカーから聞こえてくる。同様にこちらの声も、手元のマイクから向こうに伝わるだろう。
    真神コルト:「その様子。術後の経過はよろしいようで、何よりです」
    湯川 環:ぶらさがっていたり、横たわっていたりの時には分かりづらかったかも知れないが、〝それ〟は随分と背が高かった。
    湯川 環:190cmは越えているか。その背筋をぴんと伸ばしたまま、そこに立っている。
    天城康介:「……この人が、例の。……その、こんなこと聞くのも変な話だけど」
    天城康介:「アンタ、大丈夫なのか。身体は」
    湯川 環:「例の〝首つり死体〟かって?」
    湯川 環:「……まぁ、ちょっと運動不足なのは否めないし、なんだか身体が重くは感じるけど。頭はさっぱりしたよ」
    湯川 環:「まだ何もかも思いだしたとは言わないけどね、少なくともそこのシスターの顔を覚えてたろ?」
    湯川 環:「今までの私なら間違い無く、忘れてたろうね」
    湯川 環:「──で。わざわざ呼びつけるようなことをしてすまなかった。本当ならこっちから会いに行くのが筋なんだろうけどね」
    湯川 環:「何分、まだ隔離措置の身だ。勘弁してくれよ」
    真神コルト:「構いません。……お呼びになった、と言うことは、何かお話でも?」
    真神コルト:「こちらからもお聞きしたいことはありますが。まずは、ご用件を伺います」
    湯川 環:「ああ。そちら側の、危険度の認識を確かめたかったんだ」
    湯川 環:「シスター。それから少年。私達〝インリークォ〟を、二人はどんな風に認識している?」
    真神コルト:「そうですね……」下顎に指を当て。
    真神コルト:「私自身、インリークォセルと関わりを持ったのはごく最近です。が……」
    真神コルト:「その手口、影響を見る限り。……放置は出来ない」
    真神コルト:「少なくとも、そういう構成員がいる。そう認識しています」
    湯川 環:「……なるほど、なるほど。君の方は?」仕切り越し、顎で天城を指して。
    天城康介:「……俺が生まれ育った街だからな、ここは。そこで無茶苦茶をやろうっていう連中は、誰だって、放っておけるもんか」
    天城康介:「"インリークォ"だけじゃない。FHだろうが、そうでなかろうが、同じだ。それに」
    天城康介:「……もう一つ、許しちゃおけない理由が、できた」
    天城康介:路地裏で垣間見た、傷だらけの身体。焼き付いて離れないそれを、一瞬。瞼の裏に描いて。
    湯川 環:「そうか。……なるほど、当たり前のことを言うようで申し訳ないんだが」
    湯川 環:「UGNは、人として正しいな」
    湯川 環:「正しく人として成熟のプロセスを辿っている。……人間は社会的だからね。思想を生み出せる希少な動物と言おうか」
    湯川 環:「インリークォは、成熟していない人間の集まりだ」
    湯川 環:「困ったことに、知恵ばかりは研ぎ澄ましているんだが]
    湯川 環:「知りたい。叶えたい。勝ちたい。先を見たい。そういうストレートな欲望の為に邁進する私達は」
    湯川 環:「……必要ならば、君達と手を結ぶことだって出来る。君達が望めばだけど」
    真神コルト:「……手を、結ぶ。良いんですか? 組織の情報を売る、というのは組織人にとって重大なリスクだと思いますけど」
    湯川 環:「私個人はね。……だが、まぁ、それはそれとしてだ。少しだけ考えてみてくれ」
    湯川 環:「もし、仮にだ。インリークォが君達に同盟を申し出たとしたら、どうする?」
    湯川 環:「言っておくが、冗談じゃ無いよ。そういう事をやらかす奴もいるだろうと、私は想像してるんだ」
    真神コルト:「そうですね。ひとまず保留、検討の時間を貰って、徹底的に裏を洗うでしょうか」
    真神コルト:「その場でハイOKとならないのは、間違いないと思います」と笑う。
    湯川 環:「……ふむ、ふむ」
    湯川 環:二度、言葉に併せて頷き、
    湯川 環:「もうお一人のご意見は?」
    天城康介:「……俺も、賛成だ。アンタ個人は……なんというか。驚くほど、毒気の無い人で。こういう場でなきゃあ、信用しちゃいそうだと思う」
    天城康介:「だからこそ、ちゃんと考えて答えるべきだと思う。……いや、まあ。俺はイリーガルで、こういうことの意見を言える立場じゃあないけれど」
    湯川 環:「なるほどな。……では僭越ながら言わせてもらうが、お二人とも」
    湯川 環:「インリークォを一切信用してはしてはいけない。貰うべきは検討の時間でなく、その交渉を逆手に取り策を練る時間だ」
    湯川 環:「インリークォは、君達と手を結ぶことだって出来る。何故か?」
    湯川 環:「私達の最終的な目標は、君達UGNではないからさ」
    湯川 環:「最終目的を果たす為の過程として、或いは君達と利害が一致することが、瞬間的に発生するかも知れない」
    湯川 環:「──が、それでも。決して信用するな。我々は自分の利害しか考えない子供だ」
    天城康介:大人のような子供だと、そう告げる男から連想するのは。今も、大人の仮面を被り続ける、ひとりの女の子で。
    天城康介:隣に立つ、修道服姿の女性に。僅かに見上げるような視線。
    湯川 環:「ときに、お二人さん。……私の頭から出てきたのは、小さな蜂だったと言うが、確かかい」
    真神コルト:「……成程。よく、分かりました」
    真神コルト:傍らの少年から向けられる視線に、目を細めて返し。
    真神コルト:「ええ、そう聞いています」
    湯川 環:「少し思いだして来たんだが、そういうやりくちをする〝身内〟に心当たりがある。〝ポリスティナエ〟という女だが──」
    天城康介:「……また、その名前」
    湯川 環:「そいつに加えて六人の〝とびっきりの馬鹿野郎〟どもが進めている最終計画がある」
    湯川 環:「戴冠計画」
    湯川 環:「……私のような下っ端に全貌は明かされていないがね。何を狙っているのかは知っている」
    湯川 環:「私達は、君達UGNを敵視しているのではない」
    湯川 環:「私達が中指を立てている相手は、神様なんだ」
    湯川 環:「……もしかしたら、ここから先は其方の方がもう詳しいかも知れないがね、私からのアドバイスを纏めると」
    真神コルト:かみ、と唇が動く。
    湯川 環:「インリークォを甘く見るな。想定の倍は愚かで、想定の倍は性質が悪いと思ってかかるがいい」
    湯川 環:「……と、それだけだ。なんで私はまた、ひとを呼びつけてまでこんな話を聞かせようとしたんだろうな?」
    湯川 環:本当に分からないのだ、という顔をして首を捻った。
    真神コルト:「……身内にしてやられたようですし。記憶が完全に回復すれば、思い出せるかもしれませんね」
    湯川 環:「かも知れないな。どうにも、インリークォがすっかりいやになったのと、自分は死ぬべきだと思ったのは、はっきり覚えてるんだよな」
    湯川 環:「どうだい、シスターさん。ついでにひとつ、私を殺して行ってくれても構わないんだが」
    真神コルト:「汝、殺すなかれとも言いますよ?」
    真神コルト:「……まあ、私はもう、人の命を奪った人間なので。その教えには背いているんですけども」
    湯川 環:「残念だ。……また会いに来ておくれ。懺悔できる中身を思い出すかも知れないから」
    真神コルト:「それも間違い。懺悔を聞くことが許されるのは、神父様だけです」ふふ、と笑う。
    湯川 環:「難しいなぁ、宗教」
    真神コルト:「でも」
    湯川 環:「……ん?」
    真神コルト:「話したくなったら、聞きますよ。私は背教者で、見た目通りの女ではありませんから」
    真神コルト:「ええ。貴方の言葉に、耳を傾けましょうとも」
    湯川 環:「助かる。神父は苦手だ。同性じゃなきゃ話しづらいことってあるだろう?」
    真神コルト:「……え?」
    真神コルト:「じょ、せい、でいらっしゃる?」
    天城康介:「…………ぇ?」
    天城康介:隣に立つ女性に向けていた、痛々しいものを見るような視線が、一転。くわ、と見開かれる。
    天城康介:その先には、ガラスの向こう。端正な顔立ちの─。
    湯川 環:「ん? ……ああ」
    湯川 環:「アドバイスがもう一つ増えたね。外見で相手を判断すると、時々大変なことになる」
    湯川 環:「可愛い顔したウサギだって、インリークォに掛かれば君達の首を跳ねてくるんだ。気をつけたまえ」
    真神コルト:「……よく、覚えておきましょう」苦笑い。
    湯川 環:「ではご機嫌よう。探れる記憶は少ないが、その限りで言うならば」
    湯川 環:「久しぶりで、比べようもなく楽しい時間だったよ。ありがとう」
    真神コルト:「あっ、待って。最初にも言いましたけど、こちらかも確認しておきたいことがあるんです」
    湯川 環:「──あっ。すまない、これは素だ。記憶力云々の問題じゃなかったな」
    湯川 環:「失礼した、お話を伺おう」
    真神コルト:やどりちゃん。逆瀬川さん。そして、天城くん。それぞれが写された三枚の写真を取り出して。
    真神コルト:「これは、貴方が持っていた物です。そのことは覚えていますか?」
    湯川 環:「……そこの少年と……一人は有名人だな、速水やどり。UGNの第九支部長だったか。一人は知らない」
    湯川 環:「ふむ。これを私が。……となると、そうだな。狙えと命じられたのだろう」
    湯川 環:「私はこれで、そこそこに戦える。不意打ち専門だがね。加えて主武器として使うのは生物兵器だ」
    湯川 環:「極論だが、私自身の命を考慮に入れなければ、この内の一人に重傷を負わせることは可能だ──と自己評価をしている」
    湯川 環:「オーヴァードに一度だけ深手を与えたところで、それが何になるかは分からんがね」
    真神コルト:「成程。ちなみに、命じられたとするならば、それはどなたに?」
    湯川 環:「……『根』か『幹』か。つまり上層研究員か、それともより上位の幹部だろうが、『幹』から私のような下級研究員に直接声が掛かる事もないだろう」
    湯川 環:「なら、『根』だろうな。上層研究員の誰か一人。それが誰かまでは、わからん」
    湯川 環:「ぽっかりと穴が開いたみたいに、顔が出てこなくてな……」
    真神コルト:「そうですか。……よく、分かりました。ありがとうございます」すっかり笑みの消えた顔で、頭を下げる。
    天城康介:「……分からないってことが分かっただけでも、十分だろ。やどりや逆瀬川さん……第9の人はともかく、なんで俺も、っていうのは……気持ち悪い、けれど」
    真神コルト:「そうですね……。それを考えるのは、上と合流してからですね」
    天城康介:「うん。……その、何だ。ビックリしたことばっかりだったけど」
    天城康介:小さくひとつ。真神さんに、頷いてから。
    天城康介:「アンタと話ができて良かったと、思う。……じゃあな、湯川さん」
    真神コルト:「それでは、湯川さん。お大事に」
    湯川 環:「お互いに」
    湯川 環:「命と健康は大事にしたまえよ」

    真神コルト:「天城くん、何にします? 奢りますよ」自販機の前で。
    真神コルト:隔離施設からの帰路。話し続きで喉が渇いたので、休憩スペースに寄っていくことにした。
    天城康介:「……ぁ、いや、さすがにそこまでは─」
    天城康介:長椅子に腰かけながら、少し戸惑うように言いかけて。けれど。
    天城康介:「……じゃあ、コーヒーで。微糖のやつ」
    天城康介:この人は、こう見えて案外頑固なのだということを思い出して。素直に答える。
    天城康介:─飲み物のチョイスは、ちょっとばかり、素直ではないけれど。
    真神コルト:「遠慮なんかしなくても良いのに。はい、どうぞ」取り出し口から缶コーヒーを取り出し、手渡す。
    真神コルト:「私は……これかな~」アイスココアのボタンを押して。缶を手に、彼の隣へと腰を下ろす。
    天城康介:「ありがとう。……いただきます」
    天城康介:受け取った缶の、銘柄も確認せずに。プルタブを開けて、ひとくち。
    天城康介:─あまい。
    天城康介:「……真神さん。これ」
    真神コルト:「ん?」
    天城康介:「微糖って言ったよな、俺」
    天城康介:苦みとは別の理由で、顔がくしゃりと歪む。その半分以上は、恥ずかしさ。
    真神コルト:「言いましたねぇ、微糖」
    天城康介:「でも、これ」
    天城康介:改めて、缶を確認する。
    天城康介:─冷やしてあま~い、ミルクたっぷりカフェラテ。
    真神コルト:「背伸びも苦みも結構ですけど。こういう時は素直に飲みたいものをリクエストしてくれればいいと思いますよ」
    真神コルト:「それとも、取り換えっこします?」既に一口つけたアイスココアの缶を持ち上げて。
    天城康介:「ッ!?」
    天城康介:もうひとくち、と。釈然としない気持ちで缶に口をつけていたところに、そんな言葉をかけられて。盛大にむせる。
    天城康介:「なっ、な……何言ってんだ真神さん……!」
    真神コルト:ふふ、と笑ってもう一口。喉がこくりと動く。
    天城康介:視線を。喉、くちびる、細い指。それらから。なんとか引き剥がして。
    天城康介:「……うん。やっぱり、お見通しか」
    真神コルト:「……さっきの話じゃありませんけど。何かあるなら、聞きますよ?」
    天城康介:「……やどりに、内緒にしてくれるなら」
    真神コルト:「やっぱり。良いですよ、ここでのことは、この胸に秘めましょう」
    真神コルト:つ、と胸に指を伝わせて。
    天城康介:うん、と。小さく頷いて、視線は手の中の缶、そのぽっかりと開いた飲み口に向けたまま。
    天城康介:「……少し前にさ。俺と、やどりと、あと……ここの、パイライトくん。それに、第4の日馬支部長」
    天城康介:「そんなメンバーで、ちょっとした騒動に首を突っ込んで。……まあ、そこであったことを纏めると」
    天城康介:「─なにも、なかったんだ。なにもなかった世界で、俺とやどりは、兄妹みたいに暮らしてて」
    天城康介:「やどりのご両親も、一緒だった」
    真神コルト:「確か……やどりちゃんのご両親は……」
    天城康介:「……やどりが怖くなって、遠ざけた。そう、聞いてる」
    天城康介:「俺たちがいた「もしも」は、それもなくてさ。最初から最後まで、やどりとご両親は、ふつうの家族だった」
    天城康介:「家族を亡くした俺を、引き取って育ててくれもした。……いい人たち、だったよ」
    真神コルト:「……それが、その人たちの本来の姿なんですよ」
    天城康介:「そう、だよな。……でもさ、真神さん」
    天城康介:スチール缶を、弱々しく握りしめる。みしりと歪みはしても、潰すことすらできず。
    天城康介:「もし、このままやどりが、オーヴァードとしての力を失くしたとしても」
    天城康介:「今生きてるのは、優しかった「もしも」のあの人たちじゃあ、ないんだ。……やどりに、帰る場所は─」
    真神コルト:ある、と言うのは容易い。
    真神コルト:隣に座る少年ならば、そう言ってあげられるだけの積み重ねがあるだろう
    真神コルト:……私は、どうだろう? 私に彼女を満たしてあげることが出来るだろうか?
    真神コルト:「そうですね。ご両親を頼れないとなると、他の選択肢は……」
    真神コルト:「まあ……私自身、施設の育ちで。家庭を語れるような身ではないんですけど」苦笑い。
    天城康介:「……まあ、うん。俺も、一人暮らしになった後はしばらく……ちょっと、荒れてたから。どうこう言えるワケじゃあ、ないけどさ」
    天城康介:つられるように、覇気の無い苦笑い。
    天城康介:「……やどりが、ただの女の子になるだけなら、それでいい。それがいい、とも思う」
    天城康介:「けど、あの子は。……今まで、支部長としてやってきたことを。背負った荷物を全部降ろして、ただの女の子に戻ることは」
    天城康介:「きっと、受け入れない」
    真神コルト:「選びませんよね。やどりちゃんなら」
    天城康介:「……なあ、真神さん。俺、どうしたらいいんだろう」
    真神コルト:「どう、とは?」
    天城康介:「この先、どんなことになったとしても、それは。やどりに─」
    天城康介:「これからも、ずっと。戦って、傷付いてくれ、って。そう、言うことになるんじゃないかって」
    天城康介:「─そう言いながら俺は、あの子に。何を、してやれるんだろう」
    真神コルト:「……うーん。そうですね──」
    真神コルト:「天城くんが何を思って、やどりちゃんに何を言って、何をしてあげたとしても……」
    真神コルト:「あの子は、やっぱり、戦うことを選ぶと思うんですよね」
    真神コルト:「“ハーフミラー”の事件で一緒に戦った時。あの子、悪意には負けないって、言いましたもの」
    真神コルト:「それが『速水やどり』なんですよ、きっと」
    天城康介:「……うん」
    天城康介:「それが、俺が……俺たちが、大切に思う女の子だ」
    真神コルト:「ええ。私が恋した女の子は、そういう子なんです」
    天城康介:「……もうちょっと自分を大切にしてくれって。そう、言いたくもなるけど」
    真神コルト:「……それは私たちも同じです。特に、貴方は」
    真神コルト:「貴方がイリーガルとして手を挙げた時、やどりちゃんは止めませんでしたけど」
    真神コルト:「……私だったら、こんな危険な事件には関わって欲しくない。そう言っちゃう気がします」
    真神コルト:「貴方はとっくに、貴方だけのものじゃなくなってる。貴方がいなくなったら……」
    天城康介:「……真神さんもな。危険さで言えば、いつだって命がけだろ」
    天城康介:「この前の試験だって。何か間違ったら、死んでたっておかしくないんだ」
    天城康介:「……だからさ、真神さん」
    真神コルト:「はい?」
    天城康介:「……変わらないよ、俺は。これからも、勝手にやどりの心配をして、勝手に気を揉んで。勝手に戦って。でも」
    天城康介:「いなくなったりは、しない」
    真神コルト:「やどりちゃんにもそれ、ちゃんと言ってます?」
    天城康介:「勝手に、は言ってないよ。……言ったら、きっとやどりは怒るから。でも」
    天城康介:「……改めて、ちゃんと言わなきゃ駄目だよな。あの子は、いつだって一生懸命で、全力全開なんだ。そう見せないように、努力してるだけで」
    真神コルト:「ええ。人に寄りかかっても良いのに、なかなか仮面を外してはくれません」少し寂しそうに笑う。
    天城康介:「……うん」
    天城康介:缶の中身を飲み干して、空き缶をゴミ箱に放り投げる。丁度とはいかず、縁にぶつかって、辛うじて箱に収まって。
    天城康介:「でも、言うよ。……やどりを大切に思う気持ちは、誰にも負けてない」
    天城康介:「─真神さんにだって、負けるもんか」
    天城康介:自分が思うことを、あの子に伝えて。そしてあの子はどう思うのか。何と答えるのか。それは、とても不安で。
    天城康介:少し年上の女性を、挑むように見る瞳は。何かを我慢する、子供のようで─。
    真神コルト:ああ。この少年は。こうだから、放っておけないのだな、と。
    真神コルト:恋する少女には、少し申し訳なくも思いつつ。
    真神コルト:両手を彼の頬に伸ばして、やさしく、胸元に抱き寄せて。
    真神コルト:「──そう思うなら。そんな顔はしないの」
    真神コルト:「胸を張って言うの。負けていないなら」
    真神コルト:「じゃないと……」
    真神コルト:「取られちゃっても、知りませんよ?」耳元に口を寄せて囁く。
    天城康介:頭を抱えるように抱き寄せられた直後は。僅かに身じろぎも、したけれど。
    天城康介:「─それは、困る。とても困るよ。……だから」
    天城康介:不思議と。仮眠室で、あの子にそうされていた時とは真逆に。穏やかな気持ちになってゆくのを、感じながら。
    天城康介:「……頑張るよ。俺、本当に」
    天城康介:「負けるつもりなんて、これっぽっちも、ないんだからな」
    天城康介:─それでも、体温が。頬に感じる熱が、高まるのを誤魔化すように。挑戦的に告げて、目を閉じる。

    GM:第九支部、屋上階。
    GM:日照が弱い時、ビル風が故に、此処は地上より幾分か心地良い場所であろう。
    GM:髪が靡くのは、些か鬱陶しく感じるやも知れないが、
    GM:地上から見るより空が広いのも、この場所の良いところだ。
    GM:あなた達は、屋上階にいる。
    GM:……情報の共有がてら。そして、
    GM:〝告知〟の為だ。
    速水 やどり:「……私の"症状"がどんなものか。検査結果、出たのですよね」黒髪を風に流しながら、説明を待っている。
    逆瀬川苗:「はい…特9型の特性がこれにより概ね把握できたと言えます……」
    速水 やどり:「お話しお願いします。……えぇ、覚悟は……できている、とは言い難いですが。状況は待ってはくれないので」
    逆瀬川苗:「…こちらの特9型は……いわゆるT4ファージのように、レネゲイドウイルスを食い合うことで、宿主の保菌株を機能停止させる作用があるということです…」
    逆瀬川苗:「つまり、このまま症状が進行すれば……支部長は、全てのエフェクトを行使出来なくなる…とのこと、ですね。」
    逆瀬川苗:すらすら…とは言えないが、淀んでるとも言えない程度の読み上げ
    速水 やどり:「……」全てのエフェクト。それはつまり、《リザレクト》も、《ワーディング》すらであって。
    速水 やどり:「……成程。思っていたよりも、ある意味で深刻ですね……」表面上は、あくまでも冷静に。話を受け取る。
    逆瀬川苗:「駒さん、湯川氏の両名にも感染が確認されておりました…駒さんは微弱。湯川氏は重度……」
    逆瀬川苗:「湯川氏は隔離しております……場合によっては感染爆発の可能性がありますのでね…」
    逆瀬川苗:「…こういったところですかね…支部長。」
    逆瀬川苗:「どうしたいですか?」
    速水 やどり:「どうしたいか、ですか」その問いは想定していなかった、というように、目を丸くする。
    逆瀬川苗:「あなたは、極めて重大な役職に…人間社会の偏差としては、極めて若い段階で就任しています……」
    逆瀬川苗:「能力故に…人数不足故に、色んな理由がありますが…その、能力が消える、となれば」
    逆瀬川苗:「やり方によっては、あなたは退陣をするということも可能でしょう……悪い、言い回しになるかと思いますがね…」
    速水 やどり:「そうですね。……あるいは、ノイマン回路自体が消え失せるかどうかはともかくとして……」
    速水 やどり:「超人の体力と再生力を失ったとして。ただでさえ無力な私が、この街で支部長を続けるのは、おそらく難しいでしょう」
    速水 やどり:「退陣をすることが可能と言うよりも、迫られると言った方が余程正しい」
    逆瀬川苗:「……」
    速水 やどり:「……その上で、私はどうしたいかでいったら……」
    速水 やどり:「えぇ。私は、今のこの仕事を続けたい。勿論、十全な状態に体調を戻したうえで、です」
    速水 やどり:「……ウィルスに罹患しているのに、十全な体調に戻す、というのは、なんだかおかしな話にも聞こえますけども」
    逆瀬川苗:「それは、何故でしょう。」
    逆瀬川苗:「人数不足とはいっても…。支部長職に該当しうる人材ならば、他所から募ることだって可能です…」
    速水 やどり:「それこそ、雪ちゃんをお迎えしたみたいに。きっとそうすることができるでしょう」
    逆瀬川苗:「あなたほどの技量がすぐさま代替出来るとは到底思えませんがね…」皮肉そうな笑顔を一瞬浮かべる
    速水 やどり:「どうも。……まず打算的なことを言ってしまえば。今更異能を持たない女の子になったからって、帰る場所なんてないんですよ、私」
    速水 やどり:両親とは、もう長らく会っていない。大事な人であることには変わりないが、今更『正常な親子関係』を取り戻せるとは思っていない。
    逆瀬川苗:「……」
    速水 やどり:「この力を自覚してから、もう半分以上は共にありました。……きっと、気がついてない時から数えれば、もっと」
    速水 やどり:「切って離れて生きていけ、といわれても、想像が難しいくらいには、いっしょにあったものです」
    速水 やどり:「……そしてなにより、今ここで置いていくには、多くの事を知り過ぎて、多くの物を背負いすぎました。この若さであろうと、もう」
    逆瀬川苗:「もう?」
    逆瀬川苗:「もう……なんでしょう。」
    速水 やどり:「もう、忘れて生きるなんてしたくないだけのものが、手の中にあるんです。私は、それを……零したくない。手放したくない」
    逆瀬川苗:「…そうですか………はぁ。」
    逆瀬川苗:知らず力が入っていたようで、肩を落とすように息を吐く
    逆瀬川苗:「もうすぐ、怒るとこだったんですがねえ……」
    逆瀬川苗:「貴方くらいの年齢の人間にここまで重石を背負わせてきたのは、大人の機構…社会、なわけで……」
    GM:──ぶぅん。
    GM:その音は突如、なんの前触れもなく、あなた達の耳に届いただろう。
    逆瀬川苗:「帰る場所が無いのも…貴方はなんにも悪くはない…それ、でも」
    逆瀬川苗:「貴方は戦うというのならば」
    逆瀬川苗:手には打根。反射的に武装を取り出している
    GM:羽音だ。
    GM:……ひとつひとつは小さな、ちっぽけな、虫の羽が鳴らす音に過ぎない。
    GM:だが。そもそも音とは振動なのだ。
    GM:その羽音は数十も重なっていた。
    GM:数十の蜂の群れが、あなた達の頭上、十数mの地点でホバリングしており──
    GM:そして。その羽音は幾つも重なって、
    羽音:「戦うと言うのならば、なんだい」
    羽音:「教えてくれよヴォル・ディアナ」
    GM:機械が合成音声を造り上げるように、ひとの声をエミュレートして鳴らした。
    逆瀬川苗:「どうでしょうね」
    逆瀬川苗:「あなたには不利益しか発生しない話になるけど」
    羽音:「もったいぶるねぇ。いいさ、いいさ、構わない。それがお前らしさなのだろう」
    羽音:「……ああ、そちらの小さな支部長さんは初めまして。贈り物はご満足いただけた?」
    羽音:「お誕生日を知ってれば、ちゃんと合わせたんだけど。下調べが足りなくてごめんねぇ」
    速水 やどり:「……可能であれば、返品願いたいんですけど、これ」退路を確認しながら、じとりと蜂の集団を見上げる。
    逆瀬川苗:打根の鏃から白濁した液体が滴り、地面に焦げを残す。劇毒
    羽音:「いいよ、交渉次第では。クーリングオフはあまり性に合わないが、お嬢さんには特別だ」
    羽音:「……ふふ、即断即決のその資質はいいことだがねぇ、ヴォル・ディアナ。私をそう嫌わないでおくれ」
    羽音:「今日は平和におしゃべりに来たんだよ。おしゃべりに」
    羽音:羽音のエミュレートが、くく、と笑声を作る。
    羽音:「商談と行こうじゃないか、UGN」
    羽音:「私達の利害は、案外に一致させられるかも知れないのだから」
    速水 やどり:「……商談、ですか」無論、FHを簡単に信用するわけなどないが。
    羽音:「ああ。UGNの支部長につける価格としては、破格だと思ってるよ」
    羽音:「ストレートに言おう」
    羽音:「速水 やどり。私は、あんたの症状を治療する薬を持っている」
    羽音:「条件次第でそれを譲ってやってもいい……って話だ」
    速水 やどり:「……自分たちで害しておいて、薬を売りつけるというのは……商談とは言い難いと思いますが。いちおう、条件とやらを聞きましょう」
    羽音:「市場作りは商売の基本だと思ってたけどねぇ……しかしあんた、話が早くて何よりだ。まだ効き目が弱いかね、それとも頭の方はレネゲイド関係無し?」
    羽音:「ま、いいか。条件はふたつだ」
    羽音:「おおかた、あんた達のところで拾われてるんだろう〝カルチャータンク〟の身柄と」
    羽音:「そこにいる〝ヴォル・ディアナ〟の命だよ」
    速水 やどり:「決裂ですね」即座に。
    羽音:「お嬢さんはそう言うだろうねぇ。本音でも建て前でも、その他に答えは選べない」
    羽音:「……で。ご本人、どうだい。安い買い物だと思わない?」
    逆瀬川苗:「お断りします」即座に
    羽音:「おや。命は惜しい?」
    逆瀬川苗:「惜しいわねえ。価値を理解しない人間にわたす際には特に」
    羽音:「何を言うか。私ほどお前の価値を分かってる奴、UGNとFHと合わせてもそんなにいないと思うぞぅ」
    羽音:「私はねぇ、負けるのが嫌いでさ」
    羽音:「負けたら負けっぱなしにしておくのも、大っ嫌いでさ」
    羽音:「ほら、この前。お前、ショッピングモールで一暴れしたろ?」
    羽音:「あの後、ラウェインブレードは潰してやった。だからその次に、全霊込めて、お前を潰してやろうと思ってるんだよ」
    逆瀬川苗:「そう」
    逆瀬川苗:一切の怯みを見せない
    羽音:「そもそも、遡れば全部お前のせいなんだぞ?」
    羽音:「私が第九支部を狙ったのも。そちらの支部長さんのお友達の、背が低いガキが目をつけられたのも」
    羽音:「結局のところ、狙いは全部お前だ。お前の周りの足場を削り取って、ひとりぼっちにしてやりたいのさ」
    羽音:「だからね」
    羽音:「これからも私は、お前のいる場所を狙い続けるよ」
    羽音:「でも」
    羽音:「お前が死んでくれるなら、それをやめても良い──とまでは譲歩してるんだ」
    羽音:「……なぁ、頼むよ。どうか死んでくれ」
    羽音:「お前の死体が見られるなら、速水 やどりの命なんて、どうだっていいんだ」
    逆瀬川苗:「インリークォのエージェントは全員こんな感じ?」
    逆瀬川苗:「“エフェソス”の供述も確認したけど、相手するに耐えない戯言の羅列でしかなかった。」
    羽音:「〝エフェソス〟は、お前、良い奴だったろ。うちのセルには珍しいくらい」
    羽音:「私はあんな聞き分けが良くないよ。……人間の扱いに関しては意見が合致してるがね」
    逆瀬川苗:「“いいヤツ”ってのは、人権を侵害しない」
    逆瀬川苗:「妙な生物を作ったり」
    逆瀬川苗:「その過程で人間をモルモットみたいに扱ったりしない」
    逆瀬川苗:「いくら技術があろうと、社会に対してその程度の認識なのならば、我々はいかなる要求も認可しない。」
    羽音:「それが必要だからさ」
    逆瀬川苗:「ポン引きの言い訳?」
    羽音:「お前は買うつもりがあるのかい、ヴォル・ディアナ」
    逆瀬川苗:「大人が下衆な取引を子どもに仕掛ける際の常套句を、支部長の前で吐くんじゃない」
    羽音:「ふふ、ははは」
    羽音:「子供、かぁ!」
    羽音:「その子供にひとつの地区の重責を背負わせたUGNが、なんともまぁ愉快なこと言う!」
    羽音:「……ああ。ヴォル・ディアナ。逆瀬川 苗」
    羽音:「やはりお前は死んでもらわなきゃあ駄目だ」
    羽音:「お前の死体は私が検死する。この手に、お前の胎を裂く感触を確かめなきゃあ安心ができない」
    羽音:「死に顔に化粧はしてやるよ。お前、結構陰気な顔をしていたろう」
    逆瀬川苗:「死んでやるもんですか」
    逆瀬川苗:私が死ねば。この子は勝手に背負う
    逆瀬川苗:沢山の人間が、また背負う
    羽音:「殺すさ。最後にな」
    羽音:「気長に待っていろ。お前に関わったものを片っ端から殺して行くのに、どれほど掛かるか分からないが」
    羽音:「私は、負けっぱなしにするのが嫌いなんだ」
    GM:ぶうん。
    GM:羽音が病み──蜂は何処かへ飛んでいく。
    GM:もう、人の声は聞こえない。
    GM:ただビル風がごうごうと吹く、その音があるばかりだ。
    速水 やどり:「……えぇ、死なせるものですか」これ以上、零してやるものか。
    逆瀬川苗:「…やれやれ。」
    逆瀬川苗:打根が分解される。
    逆瀬川苗:「嫌な人間に粘着されましたね…。椿君については、全部終わったらカウンセリングが必要かもしれないですが…それはその時」
    逆瀬川苗:「支部長…勝手に断ってしまいました。すいません」
    速水 やどり:「いえ、私の結論と変わりないのですから。問題ありません」
    逆瀬川苗:「…ああいう……ふざけた連中はともかく……」
    逆瀬川苗:「帰る場所なんてのは…皆で作るもんなのですよ、普通は…“無い”って、言い切るのは、周りの人を信じなさすぎです、支部長…」
    逆瀬川苗:「私も、最近習いました…自分より一回りも幼い子にね……」
    速水 やどり:「それは……えぇ。失言でした」ぺこりと頭を下げる。
    逆瀬川苗:「まあ、まあ…貴方は、だから。逃げても良い。本来、貴方ほどの人間はあらゆる責任から逃げても良いんですよ…理由が出来たのならば、特に」
    逆瀬川苗:「それでも…」
    逆瀬川苗:「“引くわけには行かない”と」
    逆瀬川苗:「“やり切るまで下がるわけには行かない”と、言うのならば」
    逆瀬川苗:「……貴方は、私達の支部長で、同僚です。最後までお互いのために戦いましょう。」
    速水 やどり:「……はい。ありがとうございます。えぇ、お互いのために」
    逆瀬川苗:「…さて。交渉が決裂したとあれば…向こうは強硬手段を使うのが定番です」
    逆瀬川苗:「支部長は…まだ、エフェクトは使えそうですか?」
    速水 やどり:「えぇ……恐らく、まだなんとか」
    速水 やどり:「行けます。行きましょう」
    逆瀬川苗:「了解しました。」
    逆瀬川苗:「久しぶりにやる気が出てきました。久しぶりに現役時代の服でも出しますかね…へへへ」

    GM:では。
    GM:では、真神コルト。あなたの情報項目チャレンジのお時間だ。
    GM:項目は残りひとつ、これ。
    【〝白い獣〟の居場所】 目標値12 《情報:UGN》or《情報:噂話》or《情報:FH》

    真神コルト:湯川さんのおかげで情報:FHに補正が入るけど、ノーコネノー技能なんですよね
    真神コルト:というわけで情報:UGNにコネ起動で行きましょう
    真神コルト:(3+2)dx+2>=12
    DoubleCross : (5R10+2[10]>=12) → 8[2,3,4,5,8]+2 → 10 → 失敗

    真神コルト:財産点2入れて成功に。残り8->6
    GM:よろしい。では、情報を開示する
    【〝白い獣〟の居場所】
    第九地区、第十地区、第十二地区の境目にある廃墟で、〝水に濡れた女〟と同一だろう人物が目撃された。
    安楽 はづきが脱走し、十二地区チルドレン〝夜鳴鶯〟に保護された箇所に近い。
    各地で目撃された獣型オーヴァードの逃走方向とも合致する。
    ……おそらくはそこが、インリークォの研究施設を攻撃していた者達の拠点だ。

    GM:と、いうことだ。
    GM:あなたは他の面々に連絡し──
    GM:そして、戦いが始まる。

    GM:ロイス&調達が可能!
    天城康介:ロイス!コルトさんに「■連帯感/敵愾心」にて。
    速水 やどり:ロイスは保留、調達は……ジュラルミンシールドで
    速水 やどり:2dx+1>=12
    DoubleCross : (2R10+1[10]>=12) → 8[5,8]+1 → 9 → 失敗

    速水 やどり:財産3入れて18→15。購入して装備します。
    天城康介:ミドル戦闘もあるとなると、もうひとつふたつ、ホローポイント弾いきます?
    真神コルト:天城くんへのロイスを ●好意/ライバル で取得。
    真神コルト:湯川さんへのロイスを 有為/●不信感 に変更。忠告もいただけたので。
    逆瀬川苗:あとひとつ欲しいですね
    逆瀬川苗:自分も買おう
    天城康介:は、ではこちらで狙ってみましょう。
    逆瀬川苗:ホローポイント弾
    逆瀬川苗:5dx+2>=10
    DoubleCross : (5R10+2[10]>=10) → 8[2,3,4,5,8]+2 → 10 → 成功

    逆瀬川苗:手に入れたで
    真神コルト:w
    天城康介:おっと。そちらで買えたのなら…!
    逆瀬川苗:ミドル用に1個あればええわね
    逆瀬川苗:ほかのを狙ってもOKです
    天城康介:では、1個だけ。ブルーゲイル狙いは目が悪い…!
    天城康介:4dx>=10
    DoubleCross : (4R10[10]>=10) → 6[2,2,2,6] → 6 → 失敗

    天城康介:アバーッ!
    天城康介:失敗して、以上です。
    真神コルト:ふむむ。それではこちらも念のため狙ってみましょうホローポイント弾。
    真神コルト:3dx+3>=10
    DoubleCross : (3R10+3[10]>=10) → 10[6,7,10]+2[2]+3 → 15 → 成功

    真神コルト:超買えました。予備ということで、お渡しておきましょう
    GM:では

    シーン4


    GM:ミドル戦闘です。シーンプレイヤーは変わらず、やどりちゃんで登場侵蝕減少
    GM:他3人は任意登場、どうぞ。
    真神コルト:真神コルトの侵蝕率を+8(1D10->8)した(侵蝕率:69->77)
    速水 やどり:31-1d10
    DoubleCross : (31-1D10) → 31-10[10] → 21

    天城康介:天城 康介の侵蝕率を+10(1d10->10)した(侵蝕率:64->74)

    逆瀬川苗:61+1d10
    DoubleCross : (61+1D10) → 61+1[1] → 62


    GM:──N市。
    GM:どの地区と表現は出来ない。
    GM:ここは複数の地区の境目。健全な人間の目には見落とされやすい〝隙間〟の場所だ。
    GM:路地の奥。土地を知らぬものなら、些か迷路のように入り組んだ場所だが、
    GM:あなた達はきっと、容易に、その廃墟へ辿り着くことだろう。
    GM:昔、倉庫として使われていたのだろう建物は、今は壁も無く、赤錆の鉄骨を剥き出しに佇んでいた。
    鏑木 鵠:「……皆さん、準備は大丈夫ですか」声を潜めて鏑木が言う。……建物の影に小さくかがみ込んで。
    天城康介:「……ああ。いつでも」
    速水 やどり:「……えぇ、こちらも」
    逆瀬川苗:ほぼ黒に近い濃緑色の装束
    真神コルト:「はい、こちらも、いつでも」右腕の具合を確かめながら。
    天城康介:こういった空気の場所に立ち入るのは、3年ぶりくらいか。自然、言葉も、身体も。少し強張ってはいるけれど。問題は、ない。
    GM:古巣、か。
    GM:もしかすれば、3年も前には。
    GM:あなたも、あの赤錆の鉄骨の傍で地面に腰を下ろし、無為に夜を過ごしたのかも知れない。
    GM:その時には周囲に、似たような境遇の子供達が集まっていて──鍵開けをせずとも使える屋根は貴重だから──賑やかだったろうが。
    GM:どうも今、ここは、静かだ。
    GM:近寄ってはならぬ場所だと、子供達は気付いているのだろう。野良の獣の感を以て。
    鏑木 鵠:「さっき、上空から見て来ました。……直ぐに来ますよ」
    GM:その静寂も、直ぐに破られた。
    GM:がきっ
    GM:高所から降り立った蹄が、道に埋まった小石を踏み砕いて、
    〝白い獣〟:「……おい。戻ってきたぞ、どこだ」
    〝白い獣〟:と、誰かへ呼びかける。
    GM:果たしてその〝誰か〟は直ぐにも、廃倉庫の奥から姿を見せた。
    〝ポリスティナエ〟:「やあ、やあ、お帰り。よく戻ってきてくれたね」
    〝ポリスティナエ〟:「どうだい。怪我は無いかい」
    〝白い獣〟:「少しだけ。……おい、どういうことだよ」
    〝ポリスティナエ〟:「どう、とは?」
    〝白い獣〟:「俺、強くなったんだろ!?」
    〝白い獣〟:蹄が、苛立ちを示すように地面を蹴る。
    〝白い獣〟:「悪いやつらなんて、簡単にやっつけられるって聞いた! でも苦戦したぞ!」
    〝白い獣〟:「全然、お前の言うように、強くなんかないじゃないか!」
    〝ポリスティナエ〟:「……いいや。いいや、違う。君は強いんだよ。けれどね」
    〝ポリスティナエ〟:「敵も強いし、数が多いんだ。君ひとりの力じゃどうしたって──」
    〝白い獣〟:「それでも、俺は! ……俺ひとりで、やるんだ!」
    〝ポリスティナエ〟:「──仕方がないねぇ」
    〝ポリスティナエ〟:〝毒持つ翼〟は微笑みながら、懐に手を差し入れた。
    鏑木 鵠:「……っ、何かするつもりかも」
    速水 やどり:「仕掛けましょう」短く号令。
    天城康介:「─了解だ」 返答もまた、短く。
    真神コルト:「はい。行きます」やどりちゃんの声を受け、倉庫の中に。
    天城康介:二頭の獣が、倉庫に飛び込む。
    逆瀬川苗:倉庫の窓の上に、既に飛び上がっており
    逆瀬川苗:上から仕掛ける
    〝白い獣〟:「……っ!」獣は咄嗟に、あなた達の方へと振り向き、
    〝ポリスティナエ〟:「おや」
    〝ポリスティナエ〟:「おや、おや、おや」
    〝ポリスティナエ〟:その女は、迷わず頭上を見上げて、
    〝ポリスティナエ〟:「会いに来てくれたのかぁ!」大仰に腕を左右に開いて、そんな風に言ってのけた。
    〝ポリスティナエ〟:……その右手には、赤黒い液体──恐らくは血液だろうものが詰まった小瓶が握られている。
    逆瀬川苗:視界を軽率に散らす。戦闘に向いた対象ではない
    逆瀬川苗:だから地上にいる二人はやすやすとコンビネーションを組めるだろう
    天城康介:一瞬、注意が頭上に向いたからこそ。女が、その手に握ったモノを「使う」より早く。
    天城康介:「……ッ!」
    天城康介:歪んだ、異形の甲冑に包まれた右半身。その先にある、半ば腕と融合した剣槍を。
    天城康介:縦一文字。半円の軌道を描いて、女へと─。
    真神コルト:一陣の風。
    真神コルト:異形の騎士が剣槍を振るう、その刹那。
    真神コルト:女の背後へと回り込んだ修道女が拳を振るう。狙うは、女の右腕。
    〝ポリスティナエ〟:身を仰け反らせ空を仰ぐ、喉から下の正中線を全て晒した標的。
    〝ポリスティナエ〟:その肉を断つことは容易いように見えた、
    〝白い獣〟:が。
    〝白い獣〟:「っ!」
    〝白い獣〟:馬の如き姿──頭部に生えた角の他は全く白馬そのものと言えよう──の獣は、後ろ足ふたつで立ち、
    〝白い獣〟:前足を器用に振るい、蹄を、二者の攻撃軌道に割り込ませた。
    〝白い獣〟:その蹄の硬度は、過たず金属のそれ。
    〝白い獣〟:固い、というだけではない。本当にその蹄は、極めて強度の高い金属で構成されていた。
    天城康介:「くっ……!?」
    〝白い獣〟:刃が、拳が、蹄と衝突し火花が散る。
    真神コルト:「この、硬さは……!」
    天城康介:ギィン、と。生体同士がぶつかったとは思えない重い音が、二重に響く。
    逆瀬川苗:「二人とも、下がって」
    〝白い獣〟:……獣らしからぬ、鮮やかな〝蹴り〟であった。
    真神コルト:「天城くん!」声と同時に一跳び、距離を取る。
    天城康介:「ああ…!」
    〝白い獣〟:一瞬、前脚が地に着く。
    〝白い獣〟:地を蹴る。
    〝白い獣〟:瞬間的に加速した前脚が、攻撃を仕掛けて来た二者へ復讐の蹴りを──!
    天城康介:半ば、蹴り飛ばされるような形で。入口近く、速水やどりが立つ辺りへと。
    逆瀬川苗:刺股状の鏃が二矢、前足を弾いて強制的に地面へ降ろさせる。
    〝白い獣〟:やはり響くのは金属音。獣は四足歩行の態勢となり、
    GM:……ほぼ同時。あなた達の後方で、銃撃の音が聞こえるだろう。
    GM:後詰めの鏑木が交戦を開始したのだ。
    〝ポリスティナエ〟:「……ああ、ああ」
    〝ポリスティナエ〟:「あんた達は全く鼻が利くな、UGN」
    〝ポリスティナエ〟:「私の見立てだと、もう少し逃げ切れる算段だった。十分にあんたらの戦力を評価しても、尚」
    〝ポリスティナエ〟:「お荷物の支部長を抱えては、ろくに動けないと踏んでたんだが……違ったようだねぇ」
    逆瀬川苗:つばの尖った帽子を下げる
    天城康介:「……荷物な、もんか。やどりがそうであると……UGNの支部長であろうとする限り、俺は」 ─俺たちは
    天城康介:「命を預けるのに、迷いなんてありやしない。……そうでなくったって」
    天城康介:「大切な人のために命を張れなくて、どうする」
    真神コルト:「彼女が、お荷物?」敵意を隠そうともせず。
    真神コルト:「それは聞き捨てなりませんね。人は見かけによらないと、ええ、特に彼女に関しては」
    真神コルト:「貴方も、思い知ると良い」
    〝ポリスティナエ〟:「見かけに寄らない……か。ああ、本当にそうだねぇ」
    〝ポリスティナエ〟:「神の犬の姿を取りながら、嬉々として私を殺しに来るあんたもそうだし」
    〝ポリスティナエ〟:「……この子もなかなか、見かけ通りじゃない」
    〝ポリスティナエ〟:右手の瓶の蓋を開け、
    〝ポリスティナエ〟:「坊や」
    〝ポリスティナエ〟:「君の顔を見せてあげなさい」
    〝白い獣〟:「……………………」
    〝ポリスティナエ〟:「きっとそれは、効き目がある」
    〝白い獣〟:「……わかった」
    GM:あなた達の目の前で、獣は姿を変える。
    GM:本来の姿に戻る。
    GM:その変化は一瞬であったが故に、或いは獣が忽然と姿を消して、
    GM:その跡に少年が突然現れたようにさえ見ただろう。
    駒 隆広:「これで、いいか」
    〝ポリスティナエ〟:「ああ、これでいいんだよ」
    速水 やどり:「っ、あな、たは……」
    駒 隆広:「UGNの、速水支部長だよな」
    駒 隆広:「俺のこと、覚えてるのか」
    速水 やどり:「無論。そうそう忘れられるものではありません……」
    駒 隆広:「じゃあ、言ってみろよ」
    駒 隆広:「俺は誰だ?」
    速水 やどり:「……駒信隆の息子。駒、隆広……」
    天城康介:「……やどりが、お悔やみに行った家の子だな。きみは」
    駒 隆広:「そうだ」
    駒 隆広:「みんなを守るんだって言いながら家を出ていって、」
    駒 隆広:「誰にも守られないで帰って来た、父さんの子だ」
    速水 やどり:「わからない。あなたがUGNを憎むのは分かる。FHを憎むのも分かる。……何故その女に付き従うか。それが、わからない……!」
    〝ポリスティナエ〟:「く、くくっ」
    駒 隆広:「この人は」
    駒 隆広:「……この人は、俺に力をくれたんだ」
    駒 隆広:「この人がくれた力があれば、俺は、ひとりで戦えるんだ。だから……!」
    駒 隆広:「俺ひとりで、全部やる!」
    駒 隆広:「お前達が守れないんだったら、もういい! 俺がやるんだ!」
    天城康介:「……駄目だよ」
    天城康介:「ひとりじゃ、駄目だ。……さっき、自分で言ってただろ。苦戦した。それでも俺ひとりでやるんだ、って」
    駒 隆広:「……力が足りてないんだ。でも」
    天城康介:声を向けるのは、少年に対して。けれど、発する言葉に乗せた気持ちの半分は。
    駒 隆広:「もっと強い力があればいい、そうだろ!」
    天城康介:「そうだけど、そうじゃない。……強くたって、ひとりじゃ、辿り着ける場所なんてない」
    天城康介:─傍らの、少女に向かっていて。
    天城康介:「俺が、この4年で。……家族を亡くしてから思い知ったことは、結局、そういうことなんだ」
    駒 隆広:「……っ」
    駒 隆広:「あ……」
    駒 隆広:「あんたも、なのか……?」
    〝ポリスティナエ〟:「…………」
    天城康介:「……よくあること、なんて言わない。亡くすことは、全部、特別なことだ。だから」
    天城康介:「……戦わなきゃならないのか?俺たちは、本当に─」
    駒 隆広:言葉は無い。だが。
    駒 隆広:迷いが、浮かんでいた。
    駒 隆広:……考えもしなかったのだ。
    駒 隆広:考える余裕も無かった、と言うべきか。
    駒 隆広:自分の他に親を失った子供がいるだとか、
    駒 隆広:自分の他に、もっと正しく世界の形を見据えている人間がいるなんて。
    駒 隆広:哀しみに打ちひしがれた子供の目に、そんな事実が映る余地は無い。
    GM:だが。
    〝ポリスティナエ〟:「ぼうや」
    〝ポリスティナエ〟:毒を孕む唇が、少年の耳元で動いた。
    〝ポリスティナエ〟:「ぼうや。騙されたら駄目だ」
    〝ポリスティナエ〟:「彼らは、後から来たから言えるんだよ。でもね」
    〝ポリスティナエ〟:「君の悲しさを本当に分かってあげられるのは、私だけだ──」
    〝ポリスティナエ〟:Eロイス《歪んだ囁き》
    〝ポリスティナエ〟:駒 隆広が持つ〝謎の女性〟に対するロイスを、○盲信/偏愛 に書き換えます。
    〝ポリスティナエ〟:舌が、少年の耳朶に届く。
    〝ポリスティナエ〟:……その舌の上を這い、
    〝ポリスティナエ〟:ポリスティナエの口中から這いだした小さな〝蜂〟が、少年の耳の中へと入って行く。
    駒 隆広:「おねえさん、だけ……」
    駒 隆広:「……そ、っか」
    〝ポリスティナエ〟:「ああ。……さあ、お薬の時間だよ」
    〝ポリスティナエ〟:瓶の蓋を開け、逆さまにした。
    〝ポリスティナエ〟:中身は血液だ。
    〝ポリスティナエ〟:それは少年の白髪の上へ降り注ぎ──
    駒 隆広:「……」
    駒 隆広:その白髪を、酷く穢れたものへと変える。
    駒 隆広:そうして血に塗れた少年は、未だ迷いを残す瞳をあなた達に向けながら、
    駒 隆広:「……あんた達を殺したいとか、そういう訳じゃない」
    駒 隆広:「そういうわけじゃ、ないからさ……」
    駒 隆広:「……帰れよ」
    〝ポリスティナエ〟:「頑張れ、少年」
    〝ポリスティナエ〟:《瞬間退場》
    〝ポリスティナエ〟:……その毒婦は、溶けるように。
    〝ポリスティナエ〟:文字通り、肉体が液状と化して、どろりと。近くにあったマンホールの隙間から、地中へと消えていった。
    速水 やどり:「……まずは、彼を。取り押さえて、然るべき処置を」皆に告げる声は、いつもよりどこかか弱く感じて。
    逆瀬川苗:「…了解」
    真神コルト:「はい。急ぎましょう」
    天城康介:「……わかった。やれるな」
    天城康介:それは、自分への言葉であり。そして─。
    駒 隆広:「……帰ってくれよ! じゃないと!」
    駒 隆広:「俺は……!」
    速水 やどり:「あなたがどう思っていようと、私たちはあなたを放っておかない。それが、UGNです」少年に、声を張る。
    〝白い獣〟:「俺は……今さら……」
    〝白い獣〟:「今さら助けてもらったって仕方がないのに……!」
    〝白い獣〟:再び。
    〝白い獣〟:少年の姿は、白い獣と化した。
    〝白い獣〟:……その蹄に、ばちばちと音を鳴らしながら、火花を散らすものが。
    〝白い獣〟:帯電。
    〝白い獣〟:脚に高圧電流を帯び、蹴りを以て敵を制圧するこの戦闘スタイルは、
    〝白い獣〟:〝コモン・シーナリィ〟が切り札とした戦術と合致する。
    〝白い獣〟:蹄が打ち鳴らされて、
    〝白い獣〟:「どけよぉおおおぉおおおぉっ!!!」
    〝白い獣〟:獣が、吠える。
    エンゲージ

    〝白い獣〟[3]

    10m

    天城 康介[3] 逆瀬川 苗[6] 速水やどり[8] 真神コルト[3]

    ラウンド1


    GM:セットアップ!
    真神コルト:ありません!
    〝白い獣〟:《フルパワーアタック》 行動値が0になり白兵攻撃の攻撃力が+20
    逆瀬川苗:《ソードマスター》+《活性の霧》。自分に適用。指定武装は必中の弓。達成値+9 攻撃力+15 ドッジダイス−2
    逆瀬川苗:侵蝕68
    天城康介:なしで!
    速水 やどり:《常勝の天才》Lv3
    速水 やどり:ラウンド中対象の攻撃力+12。
    速水 やどり:対象は自身以外の味方PC。
    速水 やどり:侵蝕-6して15へ。
    GM:今回、やどりちゃんに関してのみ
    GM:エフェクト使用時、その分の侵蝕率を減少するという措置を取ります。
    GM:加えて。
    GM:ふむ、20を切りましたね?
    速水 やどり:切りましたねぇ
    天城康介:何かが発動しようとしている。
    GM:あらゆる判定に、マイナス1のダイスボーナスを差し上げます。
    真神コルト:ヒェーッ
    速水 やどり:ぼーなす。(ペナルティではない)
    GM:60になったらプラス1なのだから、20でマイナス1のボーナスはただしい筈だと強弁する
    逆瀬川苗:なるほどね
    天城康介:あ、そうだ改めて。やどりちゃんが《リザレクト》した場合、「回復したHP分の侵蝕を減らす」という扱いになりましょうか。
    GM:いえす
    天城康介:了解です!
    GM:2回もリザレクトしてしまえば良い具合にすっからかんかなぁ?
    GM:頑張りたまえよ騎士くん
    GM:では、続いて。勝利条件を指定します。
    天城康介:ガンバリマス。(カタカタ)
    GM:〝白い獣〟に1度タイタスを昇華させた後に撃破することだ。
    GM:では。
    GM:イニシアチブ。
    〝白い獣〟:もちろん《加速する刻》!
    天城康介:ですよねー!!
    〝白い獣〟:マイナー、《一角鬼》+《イオノクラフト》+《完全獣化》+《巨神獣化》
    〝白い獣〟:武器を用意しつつPL達のエンゲージに移動しつつ判定ダイスを増やしつつHPと攻撃力を上げるぜ
    エンゲージ
    〝白い獣〟[0]
    天城 康介[3] 逆瀬川 苗[6] 速水やどり[8] 真神コルト[3]

    〝白い獣〟:そしてメジャー。《コンセントレイト:キュマイラ》+《獣の力》+《雷の牙》+D亜純血による《増腕》。対象はPC4名全員だ
    〝白い獣〟:ドッジダイスはマイナス4される!
    逆瀬川苗:ふれないわね
    天城康介:オノーレ!!
    速水 やどり:ダイスボーナスの段階でもうドッジが振れない。
    〝白い獣〟:13dx7+4 命中判定
    DoubleCross : (13R10+4[7]) → 10[1,1,1,1,2,2,2,3,4,6,7,8,9]+4[1,3,4]+4 → 18

    GM:ドッジに挑めれば避けられるかも知れない数字だぜ
    逆瀬川苗:挑めねえんだけどなあ
    天城康介:ギリギリ挑めるけど、この後やることを思えば素手ガード一択なのだ。
    逆瀬川苗:素手ガード
    真神コルト:一応挑んでみましょうか、ドッジ
    真神コルト:(6-4)dx+1>=18
    DoubleCross : (2R10+1[10]>=18) → 9[8,9]+1 → 10 → 失敗

    速水 やどり:ジュラルミンシールドガードになる
    真神コルト:ダメでした。ダメージ来い!
    天城康介:そして少し早いですが、ダメージ適用前に、《軍神の守り》でやどりちゃんをカバーリングします。
    GM:では
    〝白い獣〟:2d10+49 装甲有効
    DoubleCross : (2D10+49) → 18[10,8]+49 → 67

    天城康介:死すので《リザレクト》!の前にカバーエフェクト分の侵蝕も上げて。
    天城康介:天城 康介の侵蝕率を+2した(侵蝕率:74->76)
    天城康介:天城 康介の侵蝕率を+1(1d10->1)した(侵蝕率:76->77)
    天城康介:よし安い。
    真神コルト:死! リザレクト!
    真神コルト:真神コルトの侵蝕率を+2(1D10->2)した(侵蝕率:77->79)
    逆瀬川苗:リザ!
    逆瀬川苗:68+1d10
    DoubleCross : (68+1D10) → 68+9[9] → 77

    GM:軽く演出!
    〝白い獣〟:──雷鳴。
    〝白い獣〟:獣の蹄に、角に、稲妻が走る。
    〝白い獣〟:そして、稲妻の如くに獣は駆け──首を横薙ぎに一閃!
    〝白い獣〟:明らかに、その角より広い範囲を薙ぎ払う雷の剣──加えて!
    〝白い獣〟:ほんの一瞬遅れて放たれるは、鋼の蹄による〝回し蹴り〟。二重の雷鳴が敵対者を纏めて打ち据える!
    天城康介:「ッ、ぐぁ……!?」
    天城康介:一撃目で剣槍が砕け、二撃目で肉が爆ぜる。けれど、決して。自分の後ろに、通しはしない。
    逆瀬川苗:(侵蝕の影響で、戦闘識閾が高い……即死は、避けて……)
    真神コルト:電撃が肉体を走る。焼く。
    逆瀬川苗:体表に金属の網を展開し、地面に接続する。皮膚は焼け焦げ、蹴りで骨にダメージは入るが、心肺や腕は機能を低下させたりしない
    真神コルト:「まっ、まだ……ですよ……っ!」意識を保つ。まだ、始まったばかりだ。
    速水 やどり:(……っ)目の前で皆が傷つくのを見るしかできない。……いや、それはいつもの事だ。見るのだ。見極めろ。
    逆瀬川苗:常人ならば意識を飛ばすレベルのダメージだろうと、倒れることは許されない。盾の命題であるゆえに
    〝白い獣〟:獣は──まるで格闘技者のように〝ステップ〟を刻んでいる。
    〝白い獣〟:UGN式の徒手格闘術に近い、あなた達には見慣れた筈のリズムで。
    逆瀬川苗:(…誰に習ったんですかねえ)
    GM:よく言うだろう。
    GM:門前の小僧、習わぬ経を読む。
    GM:……では、イニシアチブ。手番は行動値8、速水やどり!
    速水 やどり:はい! と言っても、待機!
    逆瀬川苗:マイターンよろしいか
    GM:では行動値6,逆瀬川さん!
    逆瀬川苗:押忍、マイターン!
    逆瀬川苗:マイナーでホローポイント弾使用。攻撃力+3
    逆瀬川苗:メジャー、《腐食の指先》で攻撃。対象は“白い獣”
    逆瀬川苗:5dx+27
    DoubleCross : (5R10+27[10]) → 8[1,1,3,4,8]+27 → 35

    〝白い獣〟:ふふふ……
    〝白い獣〟:《竜鱗》!
    逆瀬川苗:あら
    逆瀬川苗:成程ね、リアクションの代替だから巨神獣化の代わりにやれると…
    GM:ガードなら出来るからな……さあ
    GM:来い!
    逆瀬川苗:では命中。《腐食の指先》の効果でシーン中常に装甲−5の減算をしてください
    GM:折角の鱗が
    逆瀬川苗:5d10+29 ダメージ
    DoubleCross : (5D10+29) → 32[8,8,4,4,8]+29 → 61

    逆瀬川苗:サイドリール込です
    〝白い獣〟:竜鱗の効果による装甲20!……がマイナス5されて15……
    〝白い獣〟:なので46通し! ……余裕とは言わないが、まだ倒れない!
    速水 やどり:常勝乗ってます? それ
    逆瀬川苗:あ、乗ってないですね!
    逆瀬川苗:+12です
    GM:うわあ
    GM:58通しだぜ
    逆瀬川苗:73
    逆瀬川苗: 
    逆瀬川苗:両腕には打根。短く切り詰めた矢。弓手の白兵武装。
    逆瀬川苗:「一人で…何でも出来る、と。思うのは勝手ですが…」
    逆瀬川苗:「人は、強く振る舞った分だけ、周りに大きく禍根を残してしまいます…繰り返すほどに、強く、広く」
    逆瀬川苗:ステップを踏む獣に対して正面から迫る。角による突きか回し蹴りを誘っている。最も得意な動きを誘うように
    〝白い獣〟:無論。
    逆瀬川苗:「強いあなたなら、それも跳ね除けるかもしれませんね…1回は」
    〝白い獣〟:〝最も得意〟というならば、それは決まっている。
    〝白い獣〟:右脚の。
    〝白い獣〟:……いや、この獣ならば、右前脚の、
    〝白い獣〟:底で踏み押すような前蹴りだ。
    〝白い獣〟:雷鳴の速度で──蹴りが放たれる!
    逆瀬川苗:交錯するように
    逆瀬川苗:それこそ、動作の起こりを見てから同じく稲妻の速度で
    逆瀬川苗:片方の打根を捨て、己が“弓”を突き出す
    逆瀬川苗:「…へへへ。予想が外れてしまいました…」
    逆瀬川苗:“クゥレン・エルヘレン”は弦無き弓。故に番えたものは全て矢とする
    逆瀬川苗:交錯するように出した前脚もまた、例外ではない
    〝白い獣〟:どうぅ……ん
    〝白い獣〟:落雷の如き音がして、蹴りが着弾──否、
    〝白い獣〟:〝装填〟された。
    〝白い獣〟:「……っ!」
    逆瀬川苗:そしてもう一つの特性
    逆瀬川苗:強ければ強い程、無限に引き絞る力を蓄える。
    逆瀬川苗:その前脚の勢いをそのまま、放つ力として跳ね返す…!
    〝白い獣〟:その蹴りは、強い。恐ろしく強かった。
    〝白い獣〟:だが──それで〝獣〟を打倒するには至らない。
    逆瀬川苗:無論自分の筋力に耐えられないような肉体でもあるまい。一撃で絶命はしないだろう。だが、体勢を崩すには十二分
    〝白い獣〟:人間ならばいざ知らず、四つ足の獣。後ろ足ふたつが十全に威力を殺す──加えるに。
    逆瀬川苗:だからこそ、抜け目なくもう片方の打根でそのスキを見て鱗に傷を入れている。
    〝白い獣〟:ひと匙の躊躇。
    逆瀬川苗:腐食毒──堅牢なる肉体に瑕疵を与えた。それで、一合。
    〝白い獣〟:まだ〝殺す〟とまで腹をくくれぬ無意識の手加減が、獣自身を救った。
    逆瀬川苗:「成程」
    〝白い獣〟:「……っ、これだけかよっ!」
    逆瀬川苗:「……容赦が、あなた自身を救いましたね」
    逆瀬川苗:「強い振る舞いは、幾度となく帰ってくる…今から、少なくとも2回は」
    逆瀬川苗:侵蝕79
    GM:手番、行動値3.
    GM:獣が二頭。
    GM:どちらが先に行く?
    真神コルト:ではこちらで。
    真神コルト:マイナー、《完全獣化》《破壊の爪》
    真神コルト:真神コルトの侵蝕率を+9した(侵蝕率:79->88)
    真神コルト:続いでメジャー、《コンセントレイト》《獣の力》《獣王の力》《風鳴りの爪》
    〝白い獣〟:もちろん《竜鱗》!
    真神コルト:命中判定!
    真神コルト:(7+3)dx7+4
    DoubleCross : (10R10+4[7]) → 10[3,5,6,6,7,8,8,9,10,10]+10[1,6,6,7,8,10]+10[5,6,7]+10[9]+1[1]+4 → 45

    真神コルト:続いてダメージロール!
    真神コルト:5d10+29+12
    DoubleCross : (5D10+29+12) → 26[4,4,8,6,4]+29+12 → 67

    〝白い獣〟:15軽減で52通し……辛いがまだ生きている!
    〝白い獣〟:いや、瀕死なんですけどね
    真神コルト:真神コルトの侵蝕率を+9した(侵蝕率:88->97)
    〝白い獣〟:これミドル戦闘の火力……?
    真神コルト:ふふ、見てくださいこの侵蝕率
    真神コルト
    真神コルト:「今更、ですか……」
    真神コルト:孤独がどれほど心を蝕むか、痛いほどに知っている。
    真神コルト:そんな時、誰かと触れ合うことがどれほど心を救うか、痛いほどに知っている。
    真神コルト:だから。〝ポリスティナエ〟と出会った彼は。『こういう』救われ方をしてしまったのかもしれない。
    真神コルト:「仕方がないなんてこと、ないですよ」
    真神コルト:──故に。言葉で止まらないのなら、同じ暴力をもって。
    真神コルト:自分が何をしてきたかを、理解してもらうしかない。
    真神コルト:右腕だけを獣化。──次の瞬間、既に、修道女は獣の懐に。
    〝白い獣〟:「何を!」
    〝白い獣〟:左足。ジャブ。
    〝白い獣〟:牽制の鋭く小さな蹴りが、懐へ踏み込んだ女の顎を目掛けて突き上げられる。
    真神コルト:人のかたちを保ったままの左手で、叩き落とす。この修道女の腕力は、文字通り『見た目通りのそれではない』。
    真神コルト:「絶対に、ないですから。だから止めます」
    真神コルト:続いて、左手で掌底。お返しとばかりに、獣の顎をかち上げる。
    〝白い獣〟:「邪魔をするな──」
    〝白い獣〟:打撃。
    〝白い獣〟:「──がっ!?」
    〝白い獣〟:顎を打たれた獣は竿立ちになり踏みとどまる。
    〝白い獣〟:だが。
    〝白い獣〟:獣とて、オーヴァードとて生物だ。
    〝白い獣〟:後ろ脚、両足の膝が揺れる。
    〝白い獣〟:脳震盪。
    真神コルト:──さらに一歩、踏み込んで。
    真神コルト:「この腕を、振るってでも!」
    真神コルト:本命。踏み込みと同時に、猛烈な勢いの右肘を叩き込む!
    〝白い獣〟:四足の獣が格闘技を用いるに辺り、人に比べて明らかに不利となる点がひとつある。
    〝白い獣〟:即ち──
    〝白い獣〟:〝腹部のガード〟手段が少ない。
    〝白い獣〟:みしっ
    〝白い獣〟:馬の腹に肘が沈み、トンを数えるであろう巨躯が浮く。
    〝白い獣〟:かろうじて四足で着地。……脳震盪は薄れたか、膝の震えは収まっている。
    〝白い獣〟:「お前……!」
    〝白い獣〟:「邪魔するな!」
    真神コルト:「貴方が気付くまで、何度でも。お相手しましょう」
    真神コルト:(止めなくちゃ。ここで止められなかったら、駒さんに合わせる顔がない……!)
    〝白い獣〟:「お前達には何もしてないだろ! 俺は、ただ……!」
    〝白い獣〟:「俺はただ、父さんの代わりに……!」
    GM:手番。行動値3、天城くん。
    天城康介:は。マイナー、《完全獣化/一角鬼》、侵蝕86へ。
    天城康介:メジャー、《C:キュマイラ/獣の力》。白い獣に攻撃!
    〝白い獣〟:来い!
    天城康介:10dx7+4
    DoubleCross : (10R10+4[7]) → 10[1,2,2,3,4,4,4,5,6,9]+2[2]+4 → 16

    天城康介:ぐえーッ
    〝白い獣〟:巨神獣化してなかったらドッジ狙ってたレベル……
    〝白い獣〟:《竜鱗》!
    天城康介:2d10+10+12
    DoubleCross : (2D10+10+12) → 16[6,10]+10+12 → 38

    天城康介:しょっぱい!
    〝白い獣〟:15軽減で23通しだけれども
    〝白い獣〟:正直「これだけ装甲あったらひとり30点ずつのダメージで2ラウンドかな」とか甘く見てたんですよね
    〝白い獣〟:初期HP70+巨神獣化50=120……つまり
    〝白い獣〟:倒れる! 〝謎の女性〟○盲信/偏愛 をタイタス化し昇華、HP16で復活!
    天城康介:やたー!
    〝白い獣〟:というわけで演出をどうぞだ
    天城康介:ヤー!
    天城康介: 
    天城康介:「……立派な子だ。その年で、きみは」 ─きみたちは
    天城康介:「こうするべきだ、って考えて。実際にそうしてる。……偉いよ、本当に。でもさ」
    天城康介:右半身を、歪な装甲が覆う。せめて半身だけでも人の姿のままであるのは。
    天城康介:─お前もそうなのか。そんな言葉を受け止めるのは、これが2度目であって。
    天城康介:「─まだ、間に合うんだ。きみは、まだ─」
    天城康介:"前は"間に合わなかった。そんな悔悟の、現れで。
    天城康介:─その感情を、努めて装甲の下に押し隠して。
    〝白い獣〟:「まだ、ってなんだよ!」
    〝白い獣〟:「間に合うってなんだよ!」
    〝白い獣〟:「間に合わなかった! ぜんぜん、なんにも、間に合ってなんかない!」
    〝白い獣〟:「だから俺は──俺はっ!」
    天城康介:「……まだ」
    〝白い獣〟:雷鳴。
    〝白い獣〟:その角が、大気を焼き焦がす程の雷を帯びる。
    天城康介:荒れ狂う獣、雷舞うその間合いに、一歩踏み込んで。
    天城康介:「向こう側に行くのは早いって言ってんだ、馬鹿野郎……!」
    〝白い獣〟:迎撃!
    天城康介:身を焦がす雷も、肉を裂く角も、骨を砕く蹄も。ただ、真正面からぶつかっていって。
    〝白い獣〟:獣は跳躍。
    〝白い獣〟:前脚の蹄を揃え、角が発する電流と合わせ、
    〝白い獣〟:その身を雷の模して、もう一頭の獣の頭上へと降り注ぐ!
    天城康介:─落ちる雷鳴。その真下から。
    天城康介:焼け焦げ、砕け、根本だけが残った剣槍を。拳の如く、白い獣の頭、その眉間へと叩き込む。
    〝白い獣〟:二つの破壊力が交錯し、爆ぜるが如き音が鳴る。
    〝白い獣〟:打ち勝ったのは──地上の獣!
    〝白い獣〟:「うあああぁっ……!」
    〝白い獣〟:巨躯は地面に落ちる。……動くまい。
    〝白い獣〟:尋常の事では動くまいと確信できる一撃であった、が。
    〝白い獣〟:「……っ、負けない、俺は……負けない、絶対に……!」
    〝白い獣〟:「俺は、父さんの代わりに──」
    〝白い獣〟:「……………………」
    〝白い獣〟:「……誰だ、それ」
    〝白い獣〟:獣は、立つ。
    GM:では、獣の手番だ。
    〝白い獣〟:マイナー、無し。
    〝白い獣〟:メジャー、《コンセントレイト:キュマイラ》+《獣の力》+《雷の牙》+D亜純血による《増腕》。対象は変わらずPC4人。
    〝白い獣〟:13dx7+4 命中判定!
    DoubleCross : (13R10+4[7]) → 10[1,1,1,1,1,3,4,5,7,7,8,8,8]+10[1,7,8,9,9]+10[1,6,8,9]+1[1,1]+4 → 35

    速水 やどり:ドッジが振れないのでガード。
    天城康介:こちらも素手ガード。今回もやどりちゃんをカバーリングの予定です。
    真神コルト:避けられる気がしない。ガード!
    逆瀬川苗:ガード
    〝白い獣〟:ではダメージ
    〝白い獣〟:4d10+49
    DoubleCross : (4D10+49) → 20[7,6,1,6]+49 → 69

    逆瀬川苗:死ぬ!リザ!”
    逆瀬川苗:79+1d10
    DoubleCross : (79+1D10) → 79+6[6] → 85

    天城康介:相変わらず殺意が凄い!カバーリング分を上げた上でリザレクト!
    天城康介:天城 康介の侵蝕率を+2した(侵蝕率:90->92)
    天城康介:天城 康介の侵蝕率を+4(1d10->4)した(侵蝕率:92->96)
    天城康介:OKOK
    真神コルト:死わよ! リザレクト!
    真神コルト:真神コルトの侵蝕率を+1(1D10->1)した(侵蝕率:97->98)
    天城康介:!?
    真神コルト:やったぜ(?)
    〝白い獣〟:mohaya
    〝白い獣〟:もはや獣は死に体だ。……瀕死の獣は恐ろしいものだ。
    〝白い獣〟:技も何も無い。その体躯に任せ、脚力に任せ、
    〝白い獣〟:獣はあなた達の方へとがむしゃらに駆け寄り──速度任せに蹄に掛け、蹴り散らし、そのまま踏み越えんとする!
    逆瀬川苗:その質量と膂力と速度が乗るだけで、人は死ぬ。獣の強さとはそういうものだ
    天城康介:「……!」 その重さと速度は。受け止めようとすれば、踏み抜かれるのは容易に想像できて。─ゆえに。
    天城康介:"ただびと"に戻りつつある少女を、半ば押し倒すように抱き込んで。己の上を嵐が過ぎ去る一瞬、それを耐える。
    逆瀬川苗:吹き飛ぶように後ろに飛びダメージを減らす。対処としてはそれぐらいだろう
    真神コルト:打ち据えられ、なお、立ち上がる。倒れたら、彼に掛けた言葉が嘘になる。
    速水 やどり:「……ありがとうございます。後は、逃がさないでっ」庇われながら、踏み越えて行く獣を留めるように指示を出す。
    真神コルト:黄金色の瞳をレネゲイドの侵蝕で燃やしながら、修道女は立つ。
    GM:クリンナップ。此方は何も無い。
    天城康介:こちらもなし!
    真神コルト:ありません!
    速水 やどり:手番は放棄! なにもなし!
    GM:やどりちゃん待機だったごめん!
    逆瀬川苗:なっし
    GM:OK

    ラウンド2


    逆瀬川苗:ちょっとおまちを
    GM:ほう?
    GM:では、あらためて
    GM:セットアップ!
    〝白い獣〟:《フルパワーアタック》、行動値0に!
    逆瀬川苗:《活性の霧》のみ!自分に
    真神コルト:なし!
    逆瀬川苗:侵蝕88
    天城康介:なし!
    速水 やどり:なし!
    GM:では、まず手番はやどりちゃん!
    速水 やどり:変わらずの待機、で!
    GM:OK,では逆瀬川さん!
    逆瀬川苗:マイターン
    逆瀬川苗:マイナーなし、メジャーで《腐食の指先》で攻撃
    逆瀬川苗:6dx+18
    DoubleCross : (6R10+18[10]) → 10[2,3,5,7,10,10]+9[6,9]+18 → 37

    逆瀬川苗:さっきとさほど変わり無いわね
    〝白い獣〟:もちろんリアクションは《竜鱗》!
    逆瀬川苗:5d10+26 ダメージ!
    DoubleCross : (5D10+26) → 24[4,1,1,10,8]+26 → 50

    〝白い獣〟:15軽減で35通し……即ち!
    〝白い獣〟:撃破、勝利が確定だ!
    逆瀬川苗:やったぜ!
    〝白い獣〟:──がむしゃらに、獣は走る。
    〝白い獣〟:「う、ぁああああああぁあぁぁぁっ!!!」
    〝白い獣〟:獣の咆哮ではなく、
    〝白い獣〟:人の、
    〝白い獣〟:子供の泣き喚く声で。
    〝白い獣〟:獣の巨躯は再び、あなた達への突撃を敢行する!
    逆瀬川苗:「弱り、疲れたのならば…まずすべきは、争うことではない……」
    逆瀬川苗:動きが単調ならば、2度目は充分に見切れる。
    逆瀬川苗:練磨の回数が違う。その体全体を“矢”とし、弓を握り込んだ拳がその身を横切り−−
    逆瀬川苗:そして、反動で跳ね返る肘鉄が、とどめとばかりに脳を揺らす
    逆瀬川苗:「眠り、そして、よく考えましょう。」
    逆瀬川苗:「あなたのお父さんが、幾度となくやってきたことですよ……へへへ」
    逆瀬川苗:侵蝕90
    GM:──その一撃は、
    GM:あまりにも鮮やかに、獣の意識を刈り取るだろう。
    GM:獣は、
    GM:否。
    GM:それは人の姿に戻って倒れ伏すが故、もう獣と呼ぶべきではあるまい。
    GM:少年は地面に倒れ込む。
    GM:口を閉ざせば、ほんとうに小さな、ただの子供だった。
    GM:……戦闘終了。あなた達の勝ちだ。

    GM:ほどなく、後方の銃撃音も止むだろう。
    GM:そうなれば直ぐにも、後処理の為の専門の人員が送られて来る筈だ。
    GM:あなた達の仕事は、今は一通り終わった──と言えよう。
    鏑木 鵠:「ふぅ……大変な方を任せてしまって、すいません」
    鏑木 鵠:銃弾痕がスーツに幾つか昇る鏑木が、あなた達に合流する。
    鏑木 鵠:「…………隆広くんだったんですね」
    逆瀬川苗:「人数の割り振り的には妥当でしょう……」
    速水 やどり:「……えぇ」苦々しげに首肯する。
    真神コルト:「……駒さんの」
    逆瀬川苗:「…むしろ、一人で対応してもらって助かりましたよ、鵠ちゃん…へへへ」
    天城康介:「そっちも、楽ってわけじゃあなかったんだろ。……誰も彼も、楽に済むなんてことは」
    鏑木 鵠:「ちゃん付けはやめてください。……まったくもう」
    天城康介:無事とは言い難いエージェントと、意識を失った少年を、交互にゆっくりと見て。目を伏せる。
    鏑木 鵠:「……いやまぁ、こっちの方はただの足止めみたいなものでしたけど。どうせオーヴァードですし、撃たれたくらいで」
    鏑木 鵠:「──ん?」
    鏑木 鵠:ふと。鏑木が何かに気付いたような顔をする。
    真神コルト:「どうしました?」
    GM:あなた達も、直ぐにも気付くだろう。
    鏑木 鵠:「隆広くん、傷が」
    駒 隆広:「……ぅ、うううぅ」
    駒 隆広:少年は、地面に横たわっている。……あなた達が与えた傷は、然程の深さではない。
    駒 隆広:だが。
    駒 隆広:あなた達に見覚えの無い傷が幾つかと、そして。
    駒 隆広:その傷が〝治癒を始めていない〟。
    逆瀬川苗:「…リザレクトが出来ていない。オーヴァード能力を奪われてますね…これは特9型の特性でしょう」
    真神コルト:「すぐ、手当てを……っ!?」少年に伸ばそうとした手が止まる。
    速水 やどり:「リザレクト限界……いえ、レネゲイドの不活性? どっちにしろ、"処置"も含めて手当をしないと……」
    鏑木 鵠:「簡易測定器を使います!」
    鏑木 鵠:ポケットから取り出した小さな機材を、少年に取り付ける。
    天城康介:「……頼む。この子は……絶対に」
    天城康介:「このまま行かせちゃ、駄目なんだ…!」
    鏑木 鵠:……直ぐにもそれは、数値を示す。
    鏑木 鵠:「……正確な数値じゃないですけど」
    鏑木 鵠:「侵蝕率、8~12%」
    鏑木 鵠:「……逆瀬川さん、たぶん……あたりです」
    逆瀬川苗:「基礎数値を割り込んでいますね…」
    鏑木 鵠:鏑木は、横たわる少年を持ち上げ、肩に担ぎ上げると、
    逆瀬川苗:「急いで連れ帰ってください…鵠ちゃんが適正があるでしょう。状況にもよりますが《ワーディング》で気絶をしてもらいつつ、因子濃度を確保してあげると症状が緩和するかもしれません……」
    鏑木 鵠:「ワーディングを張って、支部まで飛びます。〝私を含めた〟隔離の手配をお願いします」
    逆瀬川苗:「キュマイラ同士の成分ならば拒否反応も少ないでしょう…頼みます」
    鏑木 鵠:「……ええ」
    速水 やどり:「えぇ、既に」タブレットを叩いて支部に通達。
    鏑木 鵠:少年を抱えた鏑木は、戦闘時の水準速度で飛んで行く。
    逆瀬川苗:(……さて、私達もそこそこの濃厚接触者。症状が現れる可能性が無いとは言えない…体力も戦闘で使った。)
    GM:そしてあなた達もまた、再検査の為に支部へ戻る必要があろう。
    逆瀬川苗:(事件を追うならば、急ぐ必要がある……)
    GM:然り。
    GM:既に交戦を開始した以上、
    GM:敵方もこれまで以上の速度を以て、目的へ邁進するのだろうから。
    GM:……けれども、今は。

    GM:あなた達は、支部へと帰還する。

    GM:ロイス&調達が可能。
    逆瀬川苗:ロイス保留
    天城康介:ロイスは残り1枠、保留で!
    真神コルト:こちらもロイスは保留。
    天城康介:調達物は何かあるかな…応急手当キットくらい?
    速水 やどり:ロイスは保留。調達は……応急手当キットで。
    逆瀬川苗:購入は応急手当狙いましょう。
    速水 やどり:1dx+1>=8
    DoubleCross : (1R10+1[10]>=8) → 5[5]+1 → 6 → 失敗

    逆瀬川苗:6dx+2
    DoubleCross : (6R10+2[10]) → 8[1,1,2,4,8,8]+2 → 10

    速水 やどり:失敗。以上で。
    真神コルト:ではこちらも応急。
    逆瀬川苗:財産使って買っても良いかも
    真神コルト:4dx+3>=8 応急手当キット
    DoubleCross : (4R10+3[10]>=8) → 9[3,4,6,9]+3 → 12 → 成功

    天城康介:自分も応急手当キットを。
    天城康介:5dx>=8
    DoubleCross : (5R10[10]>=8) → 10[1,2,6,7,10]+4[4] → 14 → 成功

    天城康介:めっちゃいいのが手に入った…。
    逆瀬川苗:つかおっと
    逆瀬川苗:6+2d10
    DoubleCross : (6+2D10) → 6+14[9,5] → 20

    逆瀬川苗:めっちゃ回復!以上です
    真神コルト:いい回復!
    GM:よろし
    GM:では

    シーン5


    GM:シーンプレイヤーは変わらず、やどりちゃん。登場侵蝕はやはり減算式。
    GM:その他は任意登場ですが、先に情報項目だけ。
    情報項目
    【速水やどりと駒 隆広の容態】 目標値9 《情報:UGN》or《知識:レネゲイド》
    【〝特9型〟】 目標値8 《情報:UGN》or《知識:レネゲイド》
    【安楽 はづき】 目標値11 《情報:UGN》or《知識:レネゲイド》 目標値8 《情報:FH》

    GM:以上三つだ。それも踏まえて登場するならばどうぞ。
    速水 やどり:15-1d10
    DoubleCross : (15-1D10) → 15-1[1] → 14

    天城康介:出ましょう。
    天城康介:天城 康介の侵蝕率を+6(1d10->6)した(侵蝕率:96->102)
    真神コルト:出ます!
    真神コルト:真神コルトの侵蝕率を+3(1D10->3)した(侵蝕率:98->101)
    天城康介:オゴーッ
    真神コルト:グワーッ
    逆瀬川苗:出るしか無さそうね
    逆瀬川苗:90+1d10
    DoubleCross : (90+1D10) → 90+1[1] → 91

    速水 やどり:最悪財産でひっぱたけるので穴を埋める形で動こうかな
    天城康介:ヤー!
    天城康介:はづきちゃんのは、情報:FHだと目標値が低いというわけでOKでしょうか。(別情報、ではなく)
    GM:そうですね、目標値が低いです
    GM:情報の内容は同じ!
    天城康介:了解です1
    真神コルト:湯川さん効果もありますね(達成値+1)
    天城康介:とはいえ、コネ的には容態か特9型かな。
    天城康介:シナリオロイスを調べに行きたいけど、財産点2じゃ目標11はちと怖く。
    真神コルト:ふむむ。残り財産的にはこちら容態が安定かな……?
    天城康介:では、こちらで【〝特9型〟】をやらせてもらいましょう。
    天城康介:というわけで判定に!
    天城康介:コネ:UGN幹部(カスタマイズ:ストーンつき)使用で情報:UGNにて。
    天城康介:7dx+1>=8
    DoubleCross : (7R10+1[10]>=8) → 10[1,2,2,2,4,7,10]+5[5]+1 → 16 → 成功

    天城康介:クリア。
    真神コルト:では容態いただきます。情報:UGNwithコネ!
    真神コルト:(5+2)dx+2>=9
    DoubleCross : (7R10+2[10]>=9) → 7[1,1,2,3,3,5,7]+2 → 9 → 成功

    真神コルト:あぶな!クリア!
    逆瀬川苗:じゃああとの
    逆瀬川苗:安楽はづきちゃんで
    逆瀬川苗:コネ使ってUGNで判定
    逆瀬川苗:8dx+1
    DoubleCross : (8R10+1[10]) → 10[2,2,4,9,9,9,9,10]+3[3]+1 → 14

    逆瀬川苗:成功だ
    真神コルト:お見事!
    GM:全部成功だな……ふむ
    GM:では。
    【速水やどりと駒 隆広の容態】
    ・速水 やどり
    オーヴァード能力の出力低下は続いている。
    それに伴い、今までひとつの地区を預かる支部長として戦い続けて来た心身の疲労が彼女を蝕んでいる。
    このまま〝特9型〟の侵蝕が続けば、長くとも数日で、速水やどりはオーヴァードの力を失うだろう。

    ・駒 隆広
    〝特9型〟の侵蝕が早く、急激に力を失いつつある。
    それによって、各地の研究拠点を襲撃した際に受けた傷が治癒できず、危険な状態にある。
    もし傷の治癒より先に、オーヴァード能力を喪失すれば、命を繋ぐことは出来ないだろう。

    駒 隆広へEロイス《予告された終焉》使用を宣言。シナリオ終了時までに治療薬が与えられない場合、この少年は死亡する。

    【〝特9型〟】
    血液または体液を経由し感染する、特異な型のレネゲイドウィルス。
    宿主の、本来所有するレネゲイドウィルスを停止させ、やがては食い尽くす生物兵器だ。

    そのオリジナルは〝毒持つ翼/ポリスティナエ〟──ブラムストーカー能力を所有するオーヴァードの体液である。
    ポリスティナエの体内から、体液に塗れたままに這いだした〝蜂〟が他者へ寄生する際、付随して感染を広げたものと推測される。

    この兵器の弱点は、感染爆発が始まった際、ポリスティナエ自身にも制御が効かないことだ。
    自分の手元に対抗手段の〝培養槽〟が無い状況で大々的に解き放つのは危険が伴う。
    故に、安楽 はづきを手元に留めている限り、これ以上爆発的に感染者が増えることはあるまい。

    【安楽 はづき】
    公的な書類上では行方不明となっている。両親がFHにより殺害された際、誘拐されたものと推測される。
    〝イシュ・ケリヨト〟湯川 環の〝対生物兵器〟研究の実験台として、人為的にレネゲイドビーイングを寄生させられた。
    その体細胞は、毒薬・ガス兵器・細菌兵器等に対して、極めて高い効果を持つ治療薬として作用する。

    相当量の細胞を確保する為に、kg単位の肉片の採取が必要となるが。
    安楽 はづきの細胞を用いて、〝特9型〟侵蝕の治療薬を作ることが可能だ。

    ……彼女の身体負荷を考えなければ、同時に数人分の生成が。
    彼女の命へ配慮をするなら、まずは一人分。それ以上は、彼女の体力の回復を待って、となるだろう。
    その場合、追加の治療薬の完成までは、現在の第九支部の人員数では数日以上が必要になる。

    GM:と、いうことだ。

    GM:──第九支部。
    GM:一時的に隔離措置を受けていたあなた達は、(速水やどりを除いて)は〝特9型〟の感染が無いと確認された。
    GM:故に、重度感染者──駒 隆広と、輸送中にその血液が大量に付着した鏑木 鵠の二名を隔離、
    GM:駒 隆広に関しては治療に対する最大限の努力が払われている。
    GM:だが、子供の小さな身体に、単身での戦闘による負傷の蓄積。
    GM:そもそもがオーヴァードの戦いというのは、リザレクトによる治癒が前提なのだ。
    GM:その前提を失った彼が、外科手術のみで生存できるか。……難しいところだろう。
    GM:さて。
    GM:あなた達は、そういう状況を知り、
    GM:また各種の解析データを手に、集まった。
    速水 やどり:「……さて。まずは、皆さんへの"特9型"の感染が無くてなにより。その上で、色々と……えぇ。現状を、お聞かせください」
    真神コルト:「……やどりちゃんの『特9型』侵蝕は、未だ続いていますね」
    真神コルト:「検査の時にもう聞いたかもしれませんが、時間の猶予は、あまり……」
    真神コルト:表情は険しいまま。報告するべきことは、もう一つある。
    真神コルト:「それに、隆広くんの方も……」
    真神コルト:「わずかに残ったオーヴァードとしての力で、辛うじて持ちこたえている、という状態です」
    真神コルト:「『特9型』の侵蝕が進んで力を完全に失ったら、彼は──」
    真神コルト:どうしても言い切ってしまうことが出来ない。そんな自分の甘さにも、悪化する状況にも、歯噛みをする。
    天城康介:「……その、特9型。大本はあの女……ポリスティナエの血だとかの体液、らしい」
    天城康介:「あいつ本来の能力は、あの子に……隆広に入れた"蜂"の方で。その蜂が体液塗れだったから、あの子にも……ってこと、か」
    天城康介:「……ただ、あいつ自身にも、制御はできない。だから、あいつは安楽を手元に置いて、"保険"にしてた」
    天城康介:「安楽は、あいつにとって。……大事だけど、備品みたいなもんだったんだ。だから、扱いも─」
    天城康介:安楽はづき本人が、断片的に聞かせてくれた話。それを思い出し、繋ぎ合わせ、第9支部の皆が出してくれた推論に。
    天城康介:嫌悪感や無力感を隠し切れず、眉間に皺を寄せて虚空を睨む。
    逆瀬川苗:「安楽はづきの肉体そのものが、特9型に対する特効薬になっているようですね……」
    真神コルト:「肉体? 血液などではなくですか?」
    逆瀬川苗:「全身の肉が対応しているようです…ですが、その量が問題らしく。」
    逆瀬川苗:「有意に機能させるためには肉体をKg単位で採取し生成しなければならないと医療班からの報告がありました……」
    速水 やどり:「……オーヴァードといえども、それは」大変な負担だ。ともすれば、命を失いかねない程の。
    逆瀬川苗:「生存を最優先にして採取するのであれば、1名。そこから更に採取を続けるのであれば、数日かかるとのことです…」
    天城康介:「それに、あいつには麻酔だって効かない。……前にやった、体温を下げてって方法は─」
    逆瀬川苗:「本来ならばあれは出血多量等の重篤患者に施す処置ですので…まあ、かんたんに言うことも出来ないでしょうねえ」
    速水 やどり:「取ることはできても、今回は手術の質が異なりますからね。身体への負担を考えると……」
    GM:では。会話中、本当に唐突に済まない。
    GM:6dx+2
    DoubleCross : (6R10+2[10]) → 10[1,1,3,7,8,10]+5[5]+2 → 17

    天城康介:!?
    GM:……………………
    GM:各人、目標値17の知覚判定をどうぞ。
    逆瀬川苗:ええ…
    GM:これは、シナリオにおいてゲーム的な有利不利は生まないと宣言しよう。
    逆瀬川苗:5dx+1 オラーッ
    DoubleCross : (5R10+1[10]) → 9[1,3,5,7,9]+1 → 10

    逆瀬川苗:だめ
    速水 やどり:-1個のダイスボーナスにより自動失敗。
    真神コルト:4dx やってやる、やってやるぞ!
    DoubleCross : (4R10[10]) → 10[2,3,10,10]+8[3,8] → 18

    真神コルト:やったぜ。
    天城康介:すごい
    速水 やどり:や、やってる!!
    天城康介:4dx+1>=17
    DoubleCross : (4R10+1[10]>=17) → 4[1,1,2,4]+1 → 5 → 失敗

    GM:すげえ
    GM:では……コルトさん
    GM:獣の勘か、聴覚か
    GM:あなたは部屋の外──扉の向こう、
    GM:誰かが遠ざかっていくような気配を感じ取る。
    GM:それは、気配を殺し、息を潜めていた、ほんの微かなものでしかない。
    GM:敵意や、殺意や、そういうものは一切纏っていないとも言い添えておこう。
    GM:邪魔をした、どうか続けて欲しい。
    真神コルト:「……っ! 今、誰か……!?」
    真神コルト:席を立ち、ドアの向こうを見る。
    真神コルト:「気……のせい……かな……」
    速水 やどり:「誰か、いたんですか……? 支部内ですから、まぁ、余程の事でなければ問題はないと思いますが……」
    天城康介:「……?用事だったら、入ってきそうなもんだけど……」
    真神コルト:(鏑木さんは隔離。エージェントもチルドレンも予定が詰まっている)
    逆瀬川苗:「………」
    逆瀬川苗:「まあ、続けましょう……大丈夫。」
    逆瀬川苗:「あとでちゃんと説明しましょう」
    真神コルト:(支部の誰か……あるいは……他に…………まさか……)
    真神コルト:「……はい。逆瀬川さんが、そう言うなら」
    真神コルト:飛び出しそうになる体をぐっと押さえつけて、腰を下ろす。
    速水 やどり:「えぇ。ともかく、皆さん。ありがとうございました……」手を組み、しばらくという程でもない、ほんの数瞬を思案して。
    速水 やどり:「……安楽さんには、負担をかけてしまいますが。まずは一人分、"特効薬"を作り出して……隆広くんに投与してみましょう」そう、口にする。
    天城康介:「…………」
    速水 やどり:その順番を『選んだ』場合、自分がどうなるのか。それは言わずに。
    天城康介:さらりと少女が口にしたその言葉を。ああ、と。半分、ため息のような返答で受け止めて。
    逆瀬川苗:「支部長は、そちらを選ばれるのですね」
    真神コルト:「……そう、言うと思っていました」力なく笑う。
    速水 やどり:「……安楽さんを万が一にも死なせてしまえば、"特9型"に対処できる者はいなくなる。まず真っ先に、彼女に負荷をかけるのは許されません」指を、一本上げて。
    速水 やどり:「隆広くんは実際に今、命の危機に瀕している。それを見過ごすことも……駒家からこれ以上、なにかが奪われることも。許せません」指を、もう一本上げて。
    速水 やどり:「……まだ、私の猶予は数日あります。打開策はまだあるはず。それを見つけるためにも、今ここで方針についてを迷ってはいられません」三本目を上げて。
    速水 やどり:「以上、これらが理由です。……皆さんの心配は痛み入りますが、口は挟ませません」
    逆瀬川苗:「いえ、いえ。……すいません」口元を抑えて
    天城康介:「……分かってる。分かってるよ。やどりは、自分で決める……決めなきゃいけないんだから」
    天城康介:「そうするんだって決めたなら。……何だって、全力でやる」
    逆瀬川苗:「非常に不謹慎ながら……支部長。私は、とても喜ばしいですよ……へへへ。」
    天城康介:「そのための、俺たちだろ」
    天城康介:悲しさ、寂しさ、感じた痛々しさ。そういったものは、なんとか押し込めて。……押し込めていたと、思う。
    逆瀬川苗:「どっちを選んでも後悔する選択肢を…誰しもが選べるわけじゃあないですよ…」
    逆瀬川苗:「貴方は、我々の誇る第九支部長でございます。」
    真神コルト:「ええ、本当に。そして、そんな貴方を支えるためにいるのが、私たちです」
    真神コルト:まだ、上手く笑顔を作れない。それでも、彼女が道を定めたならば。
    速水 やどり:「……全く。部下と友人に恵まれたものです」僅かに笑みを作って。
    速水 やどり:「やることが決まったのなら、早速行動に移しましょう。……残された時間、目いっぱい使って活路を見出さなくては」
    GM:その時だ。
    GM:ノックの音が、ドア向こうから聞こえた。
    支部員:「失礼します」
    速水 やどり:「どうしました?」
    支部員:「あの、安楽はづきさんは────ここじゃないですね」室内に入って来た支部員は、周囲を見渡して、
    支部員:「ここに居るかなぁって思ったんですが……どこ行ったのかな」と、首を傾げた。
    天城康介:「……ぇ。部屋に、いるんじゃ……」
    真神コルト:「……やっぱり、さっきのは……!」再び、表情を険しくして。
    支部員:「いえ、お部屋にはいなくって。少なくとも、下の階に降りてないのは確かなんですけど」
    逆瀬川苗:「……ここは…真摯に話さねばなりませんね…」
    支部員:「……? なにか、心当たりが?」
    速水 やどり:「……えぇ。少々」
    GM:そして。
    GM:悪いことは重なるものだ。……本当に。
    GM:続けざまにまた一人、室内へ駆け込んで来るものが──
    支部員2:「失礼します! ……っと、ごめん!」先にいた一人を突き飛ばし、ぜえぜえと肩で息をしながら、その支部員は
    支部員2:「〝イシュ・ケリヨト〟が自殺を図りました……!」
    支部員2:「いきなり、正気を失ったように叫びだして、爪で喉をっ……今は鎮静剤を投与して拘束しています」
    支部員2:「お手数ながら人員を、こちらに割いていただければ……!」
    速水 やどり:「……彼にはまだ聞きたいこともあります。私が出向きましょう……コルトさん、護衛お願いします」
    真神コルト:「はい。私も……行きます。急ぎましょう」
    真神コルト:死ぬべきだと思った。そう話す彼女の顔が、脳裏に浮かぶ。
    天城康介:「……なあ、逆瀬川さん」
    天城康介:"イシュ・ケリヨト"にあたるのがふたりなら。自然、安楽はづきにはこの二人が。そう踏んで。
    逆瀬川苗:二人を見送った後に返事する
    逆瀬川苗:「はい」
    天城康介:「安楽のこと。……俺に、任せてくれないか」
    天城康介:「あの子はまだ、大勢……って言っても二人だけど……と話すのには、慣れちゃいない。それに、なんというか」
    天城康介:「……せめて。やどりが「そう」と決めたなら」
    天城康介:「それを繋ぐのは、俺でありたい」
    逆瀬川苗:「…それは。意地とかではなく?」
    逆瀬川苗:「……年若い安楽さんは、同年代であり権限もあるやどり支部長が交渉するのが一般的な観点から見れば定石だと思います」
    逆瀬川苗:「…あなたの実力を疑っているのではなく。『やる』というのならば、勝算……それ以上に、覚悟を持ってやってもらえるのか。というのを聞いております……」
    天城康介:「うん。……してくれって言ったら、やどりはそうするだろうな。実際、"イシュ・ケリヨト"のことがなかったら、そうしてたはずだ」
    天城康介:「……あの子が。第9支部のみんなが。覚悟を決めて戦ってるのはよく知ってるし……今日、改めて感じた」
    天城康介:「だからさ。背負ったものを、無理矢理奪って肩代わりするんじゃなくて」
    天城康介:「……俺も、戦いたい。みんなが勝ち取る未来ってやつの中で」
    天城康介:「胸を張って、俺はここで生きている、って言いたいんだ」
    天城康介:─意地と言われれば、ある意味その通りではあるのだろう。子供らしい、ともすれば速水やどりの決意と比べ、幼いと言っていい決意。
    天城康介:けれど。伏し目がちなあなたの視線と、正面から交わる視線は。硬く熱い何かに満ちていて。
    逆瀬川苗:席を立つ
    逆瀬川苗:「……子供とお話する時は…優しくしないと駄目ですからね……」
    天城康介:「……大丈夫。任せてくれよ」
    逆瀬川苗:「はっきり言ってしまえば、私は…最善とは思っていません。文字通り身を提供する行いに対して、支部長が交渉するのは状況だけでなく、それが道義だからです…」
    逆瀬川苗:「…ですが……一番必要なものは、ちゃんと持っていますね……それで、今は充分です。はい……へへへ」
    逆瀬川苗:「交渉は頼みました…私は、ほかにやることがございますのでね……」
    天城康介:ああ、と。猫背気味の背中を見送りながら。
    天城康介:「……ありがとう、逆瀬川さん」
    GM:──では。
    GM:逆瀬川 苗が去り、少ししてのことだった。
    GM:まるで、何処からか覗き見ていたようなタイミングで、
    GM:天城 康介。あなたの私用端末にメッセージが届く。
    GM:内容と差出人は、以下の通りだ。
    御鳴 鳴唯:『屋上』
    御鳴 鳴唯:『一人で』
    GM:普段の言葉のように、極めて簡素な文面であった。
    天城康介:「……あいつ」

    GM:──第九支部地下階、最下層。
    GM:真神 コルト──あなたは、先に訪れた時に比べて、警戒度が高まっていることを感じ取るだろう。
    GM:透明な仕切りの向こうには、今は数人が待機している。
    GM:ひとりは、簡易ベッドに拘束された湯川 環。残りは、彼女がまた発作的に死を選ばないかと監視する支部員達だ。
    GM:あなた達の近くにあるスピーカーが、仕切りの向こうの声を拾う。
    湯川 環:「殺せ」
    湯川 環:「殺してくれ」
    湯川 環:「誰か……私を殺してくれ……」
    真神コルト:「……湯川さん」
    真神コルト:確保した時も、天城くんと来た時も。彼女のその主張だけは、変わらなかった。
    速水 やどり:「……一体、何が。あったんですか。"イシュ・ケリヨト"。湯川さん」報告で聞いたときには、まだ落ち着いていたはずだ。
    湯川 環:「……思いだした」
    湯川 環:「私が何をしたのか……全部思いだしたんだ……」
    湯川 環:「さっさと殺してくれれば良かったのに」
    湯川 環:「思い出すまでもなく殺してくれれば手間が省けたのに」
    真神コルト:「ずっと、最初からそう言っていましたね。自分は死ぬべきだって」
    真神コルト:「こうも、言いましたね。懺悔できる中身を思い出すかも知れない、と」
    真神コルト:「そして、覚えていますか? 貴方の言葉に耳を傾けると、私が言ったこと」
    真神コルト:やどりちゃんをちらりと見て。どうにか、笑顔を作って。
    湯川 環:「……あぁ」
    湯川 環:「物覚えは、いいんだ」
    湯川 環:「何もかも、フィルムを回したように……覚えてるよ……」
    真神コルト:「……聞かせて、くれますか?」
    湯川 環:「……………………」
    真神コルト:「なぜ、貴方は死なねばならないのですか?」
    湯川 環:ベッドにくくりつけられたままの患者が、視線を虚空へ漂わせて、
    真神コルト:「……敢えて、言い直すなら」
    真神コルト:「貴方はなんのために死のうとしているのですか?」
    湯川 環:「……なんの為、か」
    湯川 環:問いが変わった。吐き出そうとした言葉を飲み込む。
    湯川 環:「そうするべきだと思った、からだ」
    湯川 環:「もしくは……死にたいほどに苦しいから、と言うのかな」
    真神コルト:「インリークォがすっかりいやになった、とか」
    湯川 環:「こう言うと、返る問いが予測できる。それは何故? つまり先の問いに戻る訳だ」
    湯川 環:「おそらく、君が本当に聞きたい内容はそちらではないのか──と推測して、答えるよ」
    湯川 環:「……嫌になったことも間違いではない。けれどね」
    湯川 環:「……………………」
    湯川 環:息継ぎ。深く息を吸って、吐き出す。それから、
    湯川 環:「君達が〝特9型〟と呼ぶものの運用法を確立させ、その〝解毒剤〟を生み出したのは、私だ」
    速水 やどり:「……それが、何故死を望むほどの苦しみに? 確立の過程で何か問題が?」
    湯川 環:「答えたら……君達は私を殺してくれるのか……?」
    速水 やどり:「内容によります。……必要であると処断したならば、ありえなくもないでしょう」
    真神コルト:ばきゃり。乾いた破砕音が室内に充満する。
    真神コルト:──修道女の片腕が、壁に突き刺さっている。
    真神コルト:立ったまま。湯川環に向かい合ったまま。腕の振りだけで、壁を穿った。
    真神コルト:その顔からは、先程までの笑みは消え失せて。
    真神コルト:速水やどりの言葉を、何より雄弁に裏付ける。
    湯川 環:「……それは、苦しめて殺してやるという意思表示?」
    湯川 環:「いいか……それでも構わない。好ましいかも知れないな……」
    湯川 環:ふぅ、と息を吐いて。
    湯川 環:「……インリークォは知っての通り、生物兵器に特化したセルだ」
    湯川 環:「だが。どれほどに強力な怪物を生み出そうとも」
    湯川 環:「それ以上に強力なオーヴァードに、よってたかって攻撃されれば……生物兵器なんて役に立たないだろう?」
    湯川 環:「……〝特9型〟のコンセプトはそこから生まれた。自分達を強化するのではなく、敵を弱体化させる」
    湯川 環:「その為の材料として有用なものが、手近に居たのは……当時の私にとっては幸運だったがね」
    真神コルト:「〝ポリスティナエ〟……」
    湯川 環:「あれはブラム=ストーカーのピュアブリードだ。血を凶器に変えるのは得意分野……仕事は楽だったよ」
    湯川 環:「けれどね、分かるだろう?」
    湯川 環:「感染力の強い、オーヴァードを無差別に侵蝕する生物兵器なんて」
    湯川 環:「……対策手段がなければ、とても恐ろしくてまともに運用できないと」
    速水 やどり:「それは……えぇ」
    湯川 環:「こちらも、解は容易く得られた」
    湯川 環:「一部のレネゲイドビーイングには、自分自身または共生先がなんらかの異常に見舞われた時」
    湯川 環:「迅速にその異常を排除する為の機能を備えたものがある。群体型のものに見られる特徴だ」
    湯川 環:「それを人為的に、扱いやすいオーヴァードに埋め込む」
    湯川 環:「……共生するレネゲイドビーイングが力を使うことを抑えられない、非力なオーヴァードに埋め込む」
    湯川 環:「そうして私は、〝解毒薬〟を作った」
    湯川 環:「……すると、どうなったと思う?」
    速水 やどり:「ギミックを完成させるだけさせたらお払い箱、などでしょうか?」
    湯川 環:首を振る。
    湯川 環:「〝解毒薬〟には、麻酔すら効かなくなった」
    湯川 環:「……想像してくれ。その子の腹にメスを沈めて、悲鳴を聞いて初めて」
    湯川 環:「私は、自分が何を作ったか知ったんだ……それだけだ」
    湯川 環:「私が死を願うのに、十分な理由だと思ってくれたか?」
    速水 やどり:「……思いのほか。貴女が、繊細な方かもしれないというのは理解しました」
    真神コルト:「一つ、聞いても?」
    湯川 環:「……ああ」
    真神コルト:「その子を元に戻すことは、出来ないのですか?」
    真神コルト:あるいは、出来なかったのか。答えを待つ。
    湯川 環:「どこにいるかも知らないよ」
    湯川 環:「出来るかどうかも、試していない」
    湯川 環:「……君達の仲間のひとりと手を組んで、その子を逃がしてしまったからね」
    速水 やどり:「……なら。貴女を殺すわけには行かなくなりました」
    速水 やどり:「彼女は。"解毒剤"……否、安楽はづきは。我々で保護しています。そして、彼女は生きる事を諦めていない。……あなただけ、勝手に生きるのを諦めてもらっては、困ります」
    湯川 環:「────────」
    湯川 環:がしゃっ。
    湯川 環:その身をベッドに固定する金具が、音を立てた。
    湯川 環:「……そうか」
    湯川 環:「無事、望む場所に保護されたか……」
    湯川 環:「なら……後は静かな暮らしが出来るようにしてやってくれ。私の感染を治療する必要は無い」
    湯川 環:「……あれ以上、彼女の身を斬り刻み、痛みを与える必要はないだろう……?」
    真神コルト:「それは…………」その先を予感させる、長い沈黙。
    真神コルト:彼女を納得させる言い方はないと、分かっているのに。それでも何とか、言おうとして。
    真神コルト:結局、言葉が詰まる。傍らの少女に先を委ねるというどうしようもない現実に屈して、目を伏せる。
    速水 やどり:「……えぇ、えぇ。……必要がなければ、もう。静かな暮らしをしていただくつもりです。我々としても彼女は損なうわけにはいかない札。……ただ。あとたった一度だけ。その必要がある……」沈痛な面持ちで。
    速水 やどり:「"特9型"の感染で、リザレクトもままならないまま死のうとしている少年がいる。……彼を救うために、ただ一度だけ。彼女の力を借りたいのです」
    湯川 環:「感染……か」
    湯川 環:「……それは、私のせいなんだろうな」
    湯川 環:「……………………」
    真神コルト:「……上手く、言えないのですけど」
    湯川 環:暫しの間、湯川は口を閉ざしていたが、
    湯川 環:「……?」
    真神コルト:「例えば……そうですね。刃物でも、銃でも、それをもって誰かが傷付けられたとして」
    真神コルト:「その責めは、そうした者が負うべきではないですか?」
    真神コルト:「貴方が、『第9型』を生み出したのだとしても……」
    真神コルト:「貴方が、安楽さんを『解毒薬』にしてしまったのだとしても……」
    湯川 環:「シスター」
    湯川 環:「……元、シスター」
    湯川 環:「ロバート・オッペンハイマーは、悔いの中に死んだと思わないかい?」
    真神コルト:「……アルフレッド・ノーベルも、あるいはそうだったかもしれません。でも……」
    真神コルト:「今、生きている私たちは、そうならないため、手を尽くすことが出来ます」
    真神コルト:「……いいえ」
    真神コルト:「そうしなければ、私たちは、ここから先のどこにも行けなくなってしまう」
    湯川 環:「ここから、先?」
    真神コルト:「ええ。今、私たちが立っている、道の先です」
    湯川 環:「……………………」
    湯川 環:また、沈黙。
    湯川 環:思考を纏める為の空隙の後で、
    湯川 環:「あなたの名前は、なんと言うのかな。元シスター」
    真神コルト:「真神コルト。まことのカミと書いて、まがみ。コルトは、銃の名前だそうですよ」
    湯川 環:「自然に備わる名らしからぬ名乗りだ。……では真神さん、二つ問わせて貰う。答えるかどうかはあなたの自由だが、」
    湯川 環:「ひとつに」
    湯川 環:「あなたは背教者だと言う。神の教えを捨てたのだと言う」
    湯川 環:「私はインリークォを裏切ろうとした身だ。……それは、インリークォの理想が過ちであったと思ったからだが」
    湯川 環:「裏を返せばそれは、〝私はインリークォの理想こそ世界を良くする〟と信じていたからだ」
    湯川 環:「あなたはどうだ、元シスター」
    湯川 環:「神の教えを捨てたというあなたは、神は過ちを述べていたと思い直したのか?」
    真神コルト:「……神、あるいは主の存在を心の底から信じたことは、なかったかもしれない」
    真神コルト:「私が全てを失った時。目の前で全てを奪われた時。そして、最期の時にだって、祈りは届きませんでした」
    湯川 環:「当然だ」
    真神コルト:「ですよね」と笑う。
    湯川 環:「神がもし全知全能であるならば、世界のあらゆる理不尽を知っている」
    湯川 環:「あらゆる理不尽を知りながら、救う力を持ちながら、救わないというのであれば、悪を罰しないというのであれば」
    湯川 環:「つまり、神は善良ではないんだよ」
    湯川 環:「……一方で、神が善良で、世界の理不尽に心を痛めているとしたら」
    湯川 環:「その神は、世界を救う力を持たない」
    湯川 環:「……いずれにせよ。宗教者の祈りは決して、現実を改変することはないんだ」
    真神コルト:「そうですね。祈って何でも問題が解決するなら、世はもっと堕落していることでしょう」
    真神コルト:「……祈りは。きっと、自分を救うための儀式なんですよ」
    湯川 環:「ならば」
    湯川 環:「祈りは、あなたを救わなかったのか」
    真神コルト:「それは……何とも言い難い所がありますが。結論から言えば……」
    真神コルト:「私は、私を救えたと思います。死ぬことを選ばないで、生き延びて、そう思えるようになりました」
    真神コルト:「この破壊しか出来ない力に目覚めて、生きるために奪ってばかりの毎日で、そんなの、耐えられるはずがなくって」
    真神コルト:「……それでも生きて、この子に出会えたんです」傍らの少女の肩に、手を置いて。
    湯川 環:「この子、と来たか」
    湯川 環:「……支部長、とは呼ばないのだね」
    真神コルト:「対外的には、そう呼ばないといけないんですけどね」小さく舌を出して見せる。
    速水 やどり:咎める様子もなく、しかたないですね、とで言いたげに薄く微笑んでいる。
    真神コルト:「今、生きている。大切な人と出会えた。この力で誰かを助けられると思えた」
    真神コルト:「その人の未来を望む。そのために、その人と共にあることを望む。戦って、切り拓くために」
    真神コルト:「その道を選んだ。選ぶことが出来た。私は、きっと、私を救えたんです」
    湯川 環:「祈りでもなく、神でもなく……その子が、あなたの救いか」
    真神コルト:あるいは、この想いこそが。
    湯川 環:「……わかった」
    湯川 環:「では、先に言ったとおり。後ひとつだけ、聞かせてもらいたい」
    湯川 環:「先ほど、速水支部長は〝ただ一度だけ〟と言った──それは真実か?」
    真神コルト:「伺いましょう」
    真神コルト:「……貴方に嘘は言いたくないので。こちらの状況はお知らせしておきましょう」
    真神コルト:「今、『第9型』に確実に感染している者が二名。感染の可能性があって隔離されている者が一名います」
    湯川 環:「……本当に必要な量は、三人分か」
    真神コルト:「感染者のうち、片方が先ほど話に上がった少年。もう一人は……」
    速水 やどり:「……」視線を合わせる。
    速水 やどり:「えぇ。私ですとも」
    湯川 環:「……大金星を上げてしまったか」
    湯川 環:「なるほどな……では、三人分の治療薬を用意するのに、どれだけの時間が必要な見通しだ?」
    真神コルト:「安楽さんの協力が得られたとして、数日……あるいは、十日以上掛かる見込みですね」
    速水 やどり:「……私の力が消えるまでに、現状の人員と機材では『二本目』は間に合わない。その見通しです」
    湯川 環:「240時間以上か──なるほど、分かった」
    湯川 環:「その時間を1/20に短縮する手立てがある」
    速水 やどり:「……なんですって?」
    湯川 環:「私の身長は192cm、体重は80kgを越えている。安楽 はづきの体重の倍はある」
    湯川 環:「六時間で、安楽はづきに移植されたものと同型の人造レネゲイドビーイングを生成、この身体に移植し」
    湯川 環:「六時間で、この身体から二人分の治療薬を作ればいい」
    湯川 環:「単純な計算だ」
    真神コルト:「……ま、待って、ちょっと待ってください」
    真神コルト:「貴方、『特9型』の重度感染者なんですよね? それなら……」
    真神コルト:「そんなことしたら、貴方は……」
    湯川 環:「さあ、どうなるだろうな」
    真神コルト:今、生死の境を彷徨っている少年がいる。彼と同じ、ならば。
    湯川 環:「移植が間に合い解毒が正常に進行すれば、理論上は私のオーヴァード能力は正常に作用する。多少痛む程度で済むだろう」
    湯川 環:「少なくとも数十分前までは、私のリザレクトは正常に機能していた。これは客観的な事実だ」
    湯川 環:「万が一、移植完了時点で私のオーヴァード能力が完全に失われていたとしても。〝カルチャータンク〟式は、外部から取り込んだレネゲイドビーイングの力に依存する」
    湯川 環:「その場合、私が再生しないだけだ。然程の大事じゃあない」
    速水 やどり:「大事というんですよ。普通、それは……」だが、目の前に提示された案件そのものは、大変に魅力的で……やってみる、価値がある。
    真神コルト:「良いんですね。貴方は、それで」
    湯川 環:「最初から」
    湯川 環:「……ああ。本当に最初から、私は言っていただろう」
    湯川 環:「私は死ななきゃいけない奴だと思った」
    湯川 環:「だから、望むところさ」
    真神コルト:傍らの、想い人の手を、そっと握って。
    真神コルト:「……死んでしまっては、何も出来ません。笑うことも。泣くことも。選ぶことも。進むことも」
    真神コルト:「だから。生きることだけは、諦めないでください」
    湯川 環:「ここから先……か。私に与えられる先が、どんな形かも分からないけれどね」
    湯川 環:「処遇を決めるのは、きっと君達なのだろう。今の私ならば、どうか死が訪れるようにと願うところだが──」
    湯川 環:「それはそれ、だ。……後は君達に委ねよう。私の身体を使うも、使わぬも」
    速水 やどり:「……あなたの力、お借りします。……まずは、安楽さんとのお話が済んでから、ですが」
    速水 やどり:か細い、未来への糸。それはまだ、切れていないのだと。

    速水 やどり:第九支部、地下ブロック、最下層。隔離スペース最寄りの、休憩スペース。
    速水 やどり:湯川との話を終え、各所への本格的な連絡を前に、一度腰を落ち着ける事にして。
    速水 やどり:「……ふぅーっ」大きく、息を一つ吐いた。
    真神コルト:「……大丈夫ですか?」
    速水 やどり:「えぇ。バイタルのことなら問題なく。あれから、倒れるようなことは起きてません……いえ、そういう意味では、多分ないですね」
    速水 やどり:手が、震えている。
    速水 やどり:「……目いっぱい使って活路を探すなんて大見栄を切って、案外、すぐに見つかっちゃいましたが。……そうなったらなったで、また色々と不安も出てくるものです」
    真神コルト:手袋を外した手を、その小さな手にそっと重ねて。
    速水 やどり:「……ありがとうございます」
    真神コルト:「貴方ばかりに、大きな決断をさせてしまっています。支部長というのは、そういうお仕事なんでしょうけど……」
    真神コルト:「そんな貴方を支えると言っておいて、結局、大事な所は貴方任せです。……ごめんなさい」
    速水 やどり:「いえ。……いえ。いいんですよ。とても、助けになっています。間違いなく、支えられています」
    真神コルト:「不安。……もし、私が聞けることなら、聞きますよ」
    真神コルト:「ううん、違うかな……」
    真神コルト:「聞きたい。貴方が何を思っているのか。何を考えているのか。私、ちゃんと知りたい」
    速水 やどり:「……えぇ。懺悔ではないですけど、少し、弱音でも聞いてもらいましょうか……」
    真神コルト:小さく頷いて、先を促す。
    速水 やどり:ふっと、何かのスイッチが入ったかのように。少女の顔に、僅か。幼さが宿る。いや、逆だ。スイッチが切れて、幼さが戻ってくる。
    速水 やどり:「……わたし、こわかった。ううん、いまもこわいです。今のこの場所を、失ってしまう事が」
    速水 やどり:「希望が見えたからこそ、それがまた手からすり抜けたらどうしようって、不安になる。ずっと、怯えてばかりです」
    速水 やどり:「……支部長は、ずっと。毅然としていなきゃいけないのに。ごめんなさい」
    真神コルト:「仮面を被って支部長をしている姿は、確かに頼もしくて、だからこそ支えようと思えるけど」
    真神コルト:「……貴方は、11歳の女の子。こんな先の見えない事件の中で、不安になるのは当たり前だと思う」
    真神コルト:「当たり前、なんだよ。だから、それで良いと思う。時々、仮面を外して、誰かに寄りかかっても良いと思う」
    速水 やどり:「……私は。でも、何もない11歳の私は、不安で。何にもなくなっちゃったときに、誰か隣にいてくれるかが分からなくて……信じ切れてなくて」
    速水 やどり:「弱い子なんです。……オーヴァードでいたって弱いのに。それがもっと、なんて」
    速水 やどり:「……部下に対しても、お友達に対しても、面目がたたない……そういう気持ちが、あるんです……」
    真神コルト:「……こういう時、私がいるよって言うのは簡単なんだけど。きっと、そうじゃないんだよね」
    真神コルト:「貴方が本当に欲しいのは。貴方を満たしてくれるのは」
    真神コルト:だから。ふわりと、小さな体を抱き締めて。
    真神コルト:「私も弱い人間だけど、自分を支えるものを見つけられた」
    真神コルト:「貴方が教えてくれた。いつも、今も、私の中に貴方がいる」
    真神コルト:「やどりちゃん。私も、そうなりたい。貴方の中にいたい」
    速水 やどり:「コルト、さん……」
    速水 やどり:「……ありがとう、ございます。あなたは、いつも私に想いをくれる。……もらうばかりの、ずるい私ですけど」
    速水 やどり:「確かに。想い。受け取りました」
    真神コルト:「そう、なの? 私、受け止めてもらってばかりだと思ってた」
    真神コルト:「私からぶつけてばかりで。何も渡せてないって、思ってた」
    速水 やどり:「……そのまっすぐさと不器用さも愛おしいですが。たまには、私がずるいんじゃないかって疑ったほうがいいですよ」苦笑いを浮かべながら。
    真神コルト:「ひどい人だって言ってたのは、覚えてるよ」
    真神コルト:「ずるくなったって良い。今まで貴方が隠してきたこの姿を見せてくれたのだって、嬉しい」
    真神コルト:「だから、今度は胸を張って言うよ」
    真神コルト:抱き締めた体を離して。その瞳を見つめて。
    真神コルト:「……私がいるよ」
    真神コルト:「何もなくなったとしても、私がいる。隣にいる。私はどこにも行かない。……そして」
    真神コルト:「居場所も。希望も。失わせたりなんか、しない」
    真神コルト:「だから、どうか。貴方も隣にいて。自分には何もないなんて、言わないで」
    真神コルト:「……貴方を求める人間が。ここにも一人、いるんだから」
    速水 やどり:「……はい。はい……」つぅと一筋、涙を流して。それを拭って。あなたの手を、取る。
    真神コルト:その手を、もう片方の手で包んで。
    真神コルト:「一緒に行こう、やどりちゃん。この道を、私たちの未来まで」
    真神コルト:貴方が幸福である未来まで。願わくば、その隣にいられる未来まで。

    GM:第九支部、屋上。
    GM:時刻は──明確に定めないが、夕刻としておこう。
    GM:ここ数日、あまり天気が良くない。曇り空の続く日であったが、
    GM:ちょうど一時間ばかり前から雲が引いて、今、空は鮮やかに染まっていた。
    GM:鮮やかな青を、鮮やかな茜色が侵蝕する。
    GM:やがてこの空は、鮮やかな濃紺に染まって、やがて黒に変わるだろう。そういう時間帯であった。
    GM:天城 康介。
    GM:屋上に上がったあなたは、〝ひとりで屋上の柵にもたれかかる〟安楽 はづきの姿を見るだろう。
    GM:……無論それは、この屋上にあなた達二人だけが存在するという意味〝ではない〟。
    天城康介:引き合わされた時と同じように、案内は簡潔で。ひとつ違うとしたら、正真正銘。
    天城康介:「やあ。……探したぞ、って言う程走り回ったわけじゃあ、ないけれど」
    安楽 はづき:「……!」
    天城康介:自分と、彼女と、彼女の中にいる"何か"たち。その「三種類」の「ひと」がいるだけ、ということ。
    安楽 はづき:その少女は、背後からの声に身を震わせ、おずおずと振り向いた。
    安楽 はづき:「え、ええと」
    安楽 はづき:「天城、さん……ですよね?」
    天城康介:「うん。……ああ、そうか」
    天城康介:「今は、俺のことが。会った相手のことが、分かるんだな」
    安楽 はづき:「そう……ですね。元々、そんなに人の顔を覚えるのは得意じゃないんですけど」
    安楽 はづき:「今みたいに、一日のうちにたくさんの人の顔を見ること、あんまり無かったから……」
    天城康介:「……たった一日で起こるにしちゃ、色々ありすぎだけどな、さすがに」
    天城康介:苦笑い、けれど柔らかなそれを浮かべて。ゆっくりと、歩みを進める。
    GM:──では。
    GM:近づこうとするあなたは、
    GM:背後に、見えぬ誰かの気配を感じることだろう。
    GM:息を殺し、足音を消している。だが確かにそこにいると信じられるのは、
    GM:遮られるビル風と、後頭部へ向けられた視線が故。
    天城康介:─ああ、そうか。当たり前だ。元々、そういうことが得意な奴ではあるし。
    天城康介:そして、こうして「ここにいる」ことを、こちらの感じるままに任せているということは。
    天城康介:「……なにが「一人で」だよ」
    安楽 はづき:「……………………」
    天城康介:小声で呟く。見ている、と言外に宣言されていることに、僅かな憤りと、そして安堵を覚えて。
    天城康介:「……いや、悪い。ちょっとした愚痴だ。……そっち、行っていいか?」
    安楽 はづき:「……どう、ぞ」
    安楽 はづき:「でも」
    安楽 はづき:その少女は、ぶつ切りの言葉で応じて、
    安楽 はづき:「……あの、ごめんなさい。お話、聞いてました」
    天城康介:「……うん」
    天城康介:「……あいつから、君を任されたのに」
    天城康介:「俺たちは、君以外の誰かのために、君を傷つける話をしていた」
    安楽 はづき:「ですよね」
    安楽 はづき:「やっぱり……聞き違いじゃなかった、ですよね」
    天城康介:「嫌、だよな。……痛いのは、俺も嫌だ」
    天城康介:お互い、途切れ途切れに話す間も、歩みを進めて。
    GM:背後の気配は、距離を離すこともなく、あなたの背に張り付く。
    GM:……〝培養槽〟はそこから動かない。
    天城康介:少女の隣。柵の外側を向いて、立ち止まる。
    安楽 はづき:「……やっぱり……無かったことに、って……できませんか……?」
    天城康介:「俺が安楽の立場だったとしたら、同じように思う」
    天城康介:「……誰だって、同じだ。オーヴァードだって、人間で。痛いものは痛くて」
    天城康介:「……傷付かずに、傷付けずに生きていたいって、思う」
    安楽 はづき:「なんで、でしょう」
    安楽 はづき:「なんで、私で」
    安楽 はづき:「誰の為……なんでしょうか」
    天城康介:「こういう時、俺のためにしてくれって言えるくらい。カッコよく決められたらいいんだけど」
    天城康介:「……そうじゃ、ない。誰の為に、と言うなら……」
    天城康介:横に向き直って。少女と視線を合わせるように、身を屈める。
    天城康介:「……君に、第9支部に助けてもらえって言ってくれた人。もうこの世にはいない人」
    天城康介:「その人の子供。その人が、生きた証が。……君の助けを、必要としている」
    GM:がしゃん。
    GM:……あなたの横で、スライドの音が鳴る。
    安楽 はづき:少女は一瞬だけ肩を震わせたが、それだけだ。
    安楽 はづき:それ以上、音に対して何か驚愕を示すでもなく、怯えた目であなたを観ている。
    安楽 はづき:「私のせいで死んだから」
    安楽 はづき:「私が助けろって……そういうこと……?」
    天城康介:ぞくりと、背筋に冷たいものが走る。やはりやめたと、そう言ってしまいたくなるけれど。
    天城康介:「違う」
    天城康介:─そればかりは、違うと。
    天城康介:「……もし、君が今の境遇になかたっとしても。誰一人犠牲にならずに、君がここにいたとしても」
    天城康介:「俺は、君に同じことを頼んでいたと思う」
    安楽 はづき:「た、隆広くんって」話すことそのものに慣れていないのか、もう枯れかけた声。
    安楽 はづき:「……天城さんのお友達、なんですか……?」
    天城康介:「今は、違うよ。ついさっき、喧嘩してばっかりだ。……ああ、でも」
    天城康介:─また、思い出す。お前もなのかと、そんな言葉を受け取ったのが最後の会話になった、友達にはなれなかった少年。
    天城康介:「友達になりたい、と思う。……未来の友達だ。それと」
    天城康介:「……俺の、大切な人がさ。悩みながら、苦しみながら。でも、そんなことを悟らせないように努力して」
    天城康介:「安楽の力を借りて、あの子を……隆広を助ける。そう決めた」
    天城康介:「……俺は、誰かの代わりにはなれない。安楽の代わりに身体を使ってもらうことも、隆広の代わりに命を差し出すことも」
    天城康介:「……大切な人の代わりに、荷物を背負ってやることも」
    GM:ぴたっ。
    GM:……と。あなたのこめかみに、冷たい、金属の感触が触れる。
    安楽 はづき:「し……知らないっ、知らないもんっ」
    安楽 はづき:「そんなの私、何も知らないし……私、なんにも悪くない……っ!」
    安楽 はづき:そして、少女は。
    安楽 はづき:先ほどまでより幼げな、きっと彼女本来の言葉で、掠れた声で叫んだ。
    安楽 はづき:「私、何もしてない……! 変なウィルスだって、私のせいじゃない、誰かが死んじゃったのだって──」
    安楽 はづき:「私は何もしてないのに! ただ攫われて、ずっと捕まってて、やっと外に出られただけなのに!」
    天城康介:「……うん」
    安楽 はづき:「今度は、会ったこともない誰かを助ける為に……また、怖い思いをしろ、って」
    安楽 はづき:「……そんな、そんなの……酷いよぉ……」
    天城康介:泣くように叫ぶ少女の手に、恐る恐るという風に。自分の手を重ねる。
    安楽 はづき:少女は、涙で顔をぐしゃぐしゃにして──屋上に膝を着く。
    天城康介:「きっと、誰も悪くない。君も、隆広も、ひょっとしたら、君にそんなことをした奴らだって。悪いことをした、なんて思ってないかもしれない」
    安楽 はづき:あなたが重ねた手は小さく。そして皮肉にも、全くの健康体であった。
    天城康介:「……だから、これは。UGN第9支部長の決めたことである前に」
    天城康介:「俺が……天城康介が、安楽はづきに望むこと、なんだ」
    安楽 はづき:「……………………」
    安楽 はづき:「やだ、やだ、やだ、やだ」
    安楽 はづき:「やだ────」
    御鳴 鳴唯:「動くな」
    GM:……と、声がする。
    GM:そこにいるだろうとあなたが信じていた筈の人間が、正しくその通りに姿を見せる。
    天城康介:「……突きつける前に言えよ、それ」
    天城康介:視線は安楽はづきに向けたまま。
    GM:少しばかり、予想と異なるかも知れない点は、その顔を覆うガスマスク。
    GM:……むしろこちらの顔の方が、あなたには見慣れているかも知れないが。
    御鳴 鳴唯:「言う必要が無いなら、言わないつもりだった」
    御鳴 鳴唯:「……けれど」
    御鳴 鳴唯:「聞いてられなかった」
    天城康介:「……なら、聞くよ。そっちが言わなきゃならないって思ったこと」
    御鳴 鳴唯:「じゃあ、言う」
    御鳴 鳴唯:「……本当に、天城は。駒 隆広を助けたいと思ってる……?」
    御鳴 鳴唯:「……安楽が盗み聞きした分の話は聞いてる。その理解でいい」
    天城康介:「……俺が一番「助けたい」と思うのは、違う。それは、お前が思ってる通りだよ、鳴唯。相手が誰かっていうのもな」
    御鳴 鳴唯:「そう」
    天城康介:「けれど、それは俺の我が儘だ。……お互い、誰かの代わりになるのを求めて、求められて。最初はそうだった」
    天城康介:「何をするのが、あいつの為に一番いいのか。それが本当に正しいことなのか。……そんなことは、分からない」
    天城康介:「でも。あいつが胸を張って。自分は未来を守れたんだと。……俺があいつに、ここにいていいと。いてくれと」
    天城康介:「そう、言うために」
    天城康介:─今度は、相互不理解のまま終わらないために。
    天城康介:「俺は、隆広を助けたい。……結局は、我が儘に戻って来る話だとしても」
    天城康介:「……それが、安楽を傷付けることだとしても。俺に返ってくるものは、ぜんぶ受け止める」
    御鳴 鳴唯:「違う」
    御鳴 鳴唯:「……私が怒ってるのは、そこじゃない」
    御鳴 鳴唯:「そこじゃないの、天城」
    御鳴 鳴唯:「いや……同じなのかな。でも、やっぱり少しだけ違う。……ねえ、天城」
    天城康介:「……何だよ」
    御鳴 鳴唯:「速水 やどりは、あと何年生きると思う?」
    天城康介:「……それは」
    御鳴 鳴唯:「……弱いから、あっさり死んで五年かな。案外長生きして、十年かな。それとも」
    御鳴 鳴唯:「ずっと戦い続けて、大人になって、戦う必要がなくなった後も生き続けて……五十年かな。八十年かな」
    御鳴 鳴唯:「その、この先もずっと続く人生は」
    御鳴 鳴唯:「オーヴァードでいるのと、そうじゃないのと……どっちが幸せかな……」
    御鳴 鳴唯:「世界はもう壊れちゃってるんだって知ってる私達が、オーヴァードじゃなくなって」
    御鳴 鳴唯:「それでも幸せに生きていけるほど……この世界は優しいのかな」
    天城康介:「世界が優しいかどうかなんて、今更確認するまでもないだろ。俺たちは尚更だ」
    天城康介:友人とつるんでいた頃の世界。安楽はづきが叩き込まれた世界。─あの子が、家族から離れて身を置く世界。
    天城康介:そのどれもが、きっと。優しさからは遠いことくらい、分かっている。
    天城康介:「……行ったことがあるんだよ、俺とやどりは。「もしも」何も起こらなかったとしたら、こうなってたっていう世界に」
    天城康介:「けれど、戻ってきた。悲しくて、苦しくて、どうしようもないことばかりだって分かってても」
    御鳴 鳴唯:「……速水 やどりは」
    御鳴 鳴唯:「ううん」
    御鳴 鳴唯:「あなた達は……そこで、幸せだった……?」
    天城康介:「幸せだったよ。……でもさ、その幸せは、偽物で。そして」
    天城康介:「俺たちには、足りなかった」
    御鳴 鳴唯:「……足りない、か」
    天城康介:「うん。それは、今、この世界じゃなきゃ叶わないことだから。……それにな。大事なことだから、改めて言うぞ」
    天城康介:「俺が好きになったのは"リトル・ライト・ブルー"じゃない。「速水やどり」だ」
    天城康介:「人が人を好きになって、傍にいて欲しいって思うのに。オーヴァードかそうじゃないかなんて、関係あるもんか」
    御鳴 鳴唯:「……オーヴァードでいれば、出来たこと、叶えられたこと、何十年も生きていく内にきっと幾らでも出てくると思う」
    御鳴 鳴唯:「けど」
    御鳴 鳴唯:「その全部を、あなたは埋める……って?」
    天城康介:「俺じゃない」
    天城康介:「俺たちだ」
    天城康介:自分と彼女─彼女たち。彼女と、彼女の周囲の人たち。─あの、優くて柔らかくて、けれど力強さを感じさせる女性。
    天城康介:「……お前も、今は分かってんだろ」
    天城康介:「ひとりじゃないんだよ。俺たちは」
    御鳴 鳴唯:「……………………まぁね、でも」
    御鳴 鳴唯:「……そこで、〝俺が幸せにする〟って言わないのは……ちょっとだけ不満」
    御鳴 鳴唯:銃口が、降りた。
    御鳴 鳴唯:あなたに触れていた金属の感触が離れ、スライドは解除される。
    天城康介:「……咎めたいのか背中を押したいのか、どっちなんだよお前は」
    御鳴 鳴唯:「知りたかった」
    御鳴 鳴唯:「……安楽はづきは、あなたも良く知らない子供のために斬り刻まれるのか」
    御鳴 鳴唯:「あなたが、何に換えても守りたい、たった一人の為に斬り刻まれるのか」
    御鳴 鳴唯:「どうせなら……速水支部長の為に、どこかの子供を諦めるくらいでも良いなって、私なら思うけど」
    御鳴 鳴唯:「……そこは第九支部の気風、かな」
    天城康介:「……出会ったばかりの頃と比べて、今のやどりは。「取りこぼす」のを、ひどく怖がってる」
    天城康介:「何一つ諦めたくない。諦めてたまるものかって。……そこに、自分を計算に入れるのが遅れるのは変わってないけどさ」
    天城康介:「……なあ、安楽」
    安楽 はづき:「……はい」
    天城康介:今もまだ、こめかみに詰めたい銃口の感覚がある。それを忘れてしまわない間に。
    安楽 はづき:ずっと、膝を着いて震えていた少女が、まだ掠れたままの声で応じる。
    天城康介:「……頼む。ひとりの女の子が、どうしても助けたいと願った男の子のため」
    天城康介:「……その願いを叶えてやりたいと思う人(R:おれ)のため」
    天城康介:「君が、必要だ」
    御鳴 鳴唯:「……あなたがどうでも良い、ってことじゃない」
    御鳴 鳴唯:「あなたを大切に思っていない訳でも、粗雑に扱うつもりでもない」
    御鳴 鳴唯:「ただ……もっと大切なひとがいて、そのひとの願いを叶えて、誰かを助ける為に」
    御鳴 鳴唯:「今、あなたの体質が必要……それだけ」
    安楽 はづき:「……で、でもっ」
    天城康介:「……ああくそ。なんでこういう時に言葉が足りないんだ、俺は」
    御鳴 鳴唯:「天城」
    御鳴 鳴唯:「……言葉足らずはいつものことだから、はい」
    御鳴 鳴唯:と、差し出したものがある。
    天城康介:「……ああ」
    御鳴 鳴唯:それは、安楽 はづきを怯えさせぬように、今は刃を内側に収めている──折りたたみ式のナイフであった。
    天城康介:"友人"のフォローに、自己嫌悪半分、感謝半分といった声色で応じて。それを受け取る。
    御鳴 鳴唯:悪党気取りの子供達の間で流行った、刃が小指ほどの長さしかないナイフだが、
    天城康介:「言った責任は、取るよ」
    御鳴 鳴唯:刀身はやけに丁寧に研いである。
    安楽 はづき:「え……えっ?」
    安楽 はづき:「あっ、あの! なにを……!?」
    御鳴 鳴唯:「他人事だから言える、ってことじゃない」
    御鳴 鳴唯:「その証拠」
    天城康介:─無論、それでキログラム単位の肉が削げるわけでもない。だから。
    天城康介:─少女に重ねた手を、少しずらして。小指だけを立てて。
    天城康介:「……ッ、ぁ……!」
    天城康介:空いた手で。キュマイラシンドローム由来の膂力と、手入れの行き届いた刃の切れ味に任せて。無理矢理に、千切り取るように。
    天城康介:少年の指が、宙に舞って落ちる。
    天城康介:「……悪い。多分、こんなことをしても、何の意味もないんだろうな」
    天城康介:少し歪んでしまったナイフを、片手で苦労しつつも、そうっと折り畳む。血塗れの刃物を、長く眼前に晒さないように。
    安楽 はづき:「っ……」少しだけ青ざめた顔をした。けれど、倒れるようなことはなかった。
    安楽 はづき:自分の痛みではない。けれど、それがどれ程に痛いのかは想像が出来る。
    安楽 はづき:……自分の意志で、その痛みを飲み込む行為が、想像もつかない程に恐ろしいものだと感じる。
    安楽 はづき:ならば。
    安楽 はづき:きっとその言葉に、偽りは何も無いのだろう。
    安楽 はづき:だって、誰かを騙すための嘘に支払うには、あの痛みはあまりに大きすぎる──
    安楽 はづき:「……前にやってもらった、あの、身体を冷やすやつ」
    安楽 はづき:「ぜったい、ぜったいに使ってくださいね……?」
    天城康介:「……うん。それに、試せるものは全部試してくれる」
    天城康介:「俺も、ずっと見てる」
    安楽 はづき:「い」
    安楽 はづき:「痛くない、って、ほんとは分かってるけど、でも」
    安楽 はづき:「ううぅ、う」
    安楽 はづき:「こわい、こわいよぅ……」
    安楽 はづき:怯えながらも、震えながらも。少女は立ち上がっていた。
    安楽 はづき:立ち上がり、あなたの袖を掴んで、幾度も首を縦に振っていた。
    天城康介:「……安楽」
    天城康介:その、小さな体を。己の血で汚れた手で。
    安楽 はづき:「……終わったら、あのお弁当食べたいです……昨日のお昼に出た唐揚げ弁当って言うの……」
    御鳴 鳴唯:「……安上がり」
    天城康介:「……うん。いくらでも。あとお前には今後一切奢りは無しだ、鳴唯」
    天城康介:─そっと、半ば縋るようにかき抱きながら。自分も立ち上がって。
    御鳴 鳴唯:「じゃあね」
    GM:短い言葉と共に、その姿は掻き消えて、
    GM:屋上には、あなた達二人だけとなる。
    天城康介:その姿が。今度こそ、気配も消えたのを確信してから。
    天城康介:「……ありがとう」
    天城康介:応じてくれたことに。そして、何より。
    天城康介:「怖いって言ってくれて、ありがとう」
    天城康介:─気持ちを聞かせてくれたことに。
    安楽 はづき:「うー、うううぅー……!」
    安楽 はづき:べそべそと、予防接種を待つ子供のように泣きながら、それでも少女は足を止めないで、
    GM:……きっと直ぐにも、誰もいなくなる。

    GM:──第九支部内、治療室。
    GM:ラボに特化した支部でないとは言え、オフィスビルを支部棟として使うからには、スペースはあるのだ。
    GM:地区内で発生したR案件の負傷者を、他地区へ搬送する猶予も無い場合、自支部で治療するだけの設備は備えている。
    GM:一つの特色が無い代わりに大概のことは出来る──それがこの地区の強みであろうか。
    GM:だからこそ慢性的な人手不足であるとも言えるのだが。
    GM:……さて。逆瀬川 苗。
    GM:あなたは今、ガラス越しに、ベッドに横たわる駒 隆広の姿を見ている。
    鏑木 鵠:隆広の傍らには、鏑木 鵠。……どうせ感染者懸念で隔離するのならと、世話係に回された形で、
    鏑木 鵠:「隆広くんの侵蝕状況は、現時点で2%未満。ほぼ計測不能、リザレクトは変わらず機能していません」
    鏑木 鵠:「私の方は──まぁ、その。40%前後、平常です」
    鏑木 鵠:平常とは言うが──これは戦闘終了から然程経たぬ内の数値なのだ。
    逆瀬川苗:「把握しました」
    逆瀬川苗:「予断は許されませんが、交渉が通り次第すぐに処置が出来るように関係各所に話を通しておいて下さい…」
    鏑木 鵠:「各所って言っても、ほとんど身内ですけどね。……特に治療班には、もう一通りの話は伝わってます」
    鏑木 鵠:「……あの、逆瀬川さん、その……」少しばかり言い辛そうにしてから、
    鏑木 鵠:「〝治療薬〟の投与先は、どちらに決まりました……?」
    逆瀬川苗:「支部長が決められました…駒君です。」
    鏑木 鵠:「そうですか……」ベッド脇で、眠る少年を見下ろして
    鏑木 鵠:「ちょっとだけ、良かったなぁって思っちゃいました」
    鏑木 鵠:「あと、支部長らしいなぁとも」
    逆瀬川苗:「それは、良かったですね…はい。」
    逆瀬川苗:「選択に納得が出来るのは、幸福なことです……」
    鏑木 鵠:「UGNのチルドレンとしては、複雑な気持ちなんですけどね」
    鏑木 鵠:「支部長は替えの効かない戦力です。……子供をひとり、犠牲にしてしまったとしても」
    鏑木 鵠:「……それでも戦い続けてもらうのが、組織としては……本当はいいんだと、思ってます」
    逆瀬川苗:「無論、それも正しいです。」
    逆瀬川苗:「我々は幸運です……最悪なのは、両者とも大事なものを失う展開ですから」
    逆瀬川苗:「我々は守りたいものを守ることが出来る……その上で、もう片方も取りこぼさないチャンスがきちんと残ります」
    逆瀬川苗:「たらればを語るのは愚かかもしれませんが…そういうものですよ。チャンスというものは」
    鏑木 鵠:「チャンス──いいですね、チャンス」
    鏑木 鵠:「特になんとも思ってなかった言葉でしたけど、ちょっと好きになったかも──」
    駒 隆広:「いらない」
    GM:と、突然に声がした。
    GM:……見れば、ベッドの上で。死んだように眠っていた筈の少年が、ぱちりと目を見開いていた。
    逆瀬川苗:「……喋ると、消耗しますよ…」
    鏑木 鵠:「あ……隆広くん、駄目だよ寝てなきゃ──」
    駒 隆広:「いいんだ。別に疲れてないし……それよりさ、えーと」
    駒 隆広:「……えーと、そっちの。変な笑い方してるみたいな、おねえさん」
    逆瀬川苗:「はい、はい。私……ですね」
    駒 隆広:「俺、いいよ」
    駒 隆広:「先にあっちの子にやってよ」
    逆瀬川苗:「それは…何故に?」
    駒 隆広:「……………………」
    駒 隆広:唇を引き結んで、天井を睨んでいたが、
    駒 隆広:「いいだろ、別に」一度、ふてくされたような声音を挟んで、
    駒 隆広:「あんた達が言ってた支部長って、あの小さい奴だろ……二年生か三年生くらいの背しかない女子の」
    駒 隆広:「俺の方が背も高いし、男だし、ぜったい強い。だから、あっちが先だ」
    逆瀬川苗:「それは」
    逆瀬川苗:「あなたが……重症で、改善をしない限り、命の危険があるとしても…?」
    駒 隆広:「……………………」そうだ、と即答はしないが、
    駒 隆広:「……大丈夫だろ。俺、強いから」
    駒 隆広:その一点張りだ。
    逆瀬川苗:「……」軽く息を吐いて
    逆瀬川苗:「強いのですね。なら、あなたを一人の男性として話をしますが……」
    逆瀬川苗:「我らの支部長を侮辱するな」
    駒 隆広:「……っ」
    逆瀬川苗:「その背の高さで、何十人もの人間がギリギリのところで戦うこの支部を一人で支えられるのか」
    逆瀬川苗:「男性というだけで、直接戦闘能力もない自らが戦場に出向かう覚悟が出来るのか」
    逆瀬川苗:「我々は常に後手の対応、負け戦をしつづける。その強さとやらが、何人の手と手を繋ぎ合わせられると思っているのか」
    逆瀬川苗:「やどり支部長はその全てを是としたのだ。」
    逆瀬川苗:「その支部長が決めた判断だ。ならば、それは第九支部の判断で、命題だ。」
    鏑木 鵠:「…………」何も言わず、ただ座している。言葉を挟む必要は無いと思っているのだろう、平静の顔で目を閉じながら。
    駒 隆広:一方で、
    駒 隆広:「……っ、ぐ」
    駒 隆広:「でも、」
    駒 隆広:「でも……っ!」
    逆瀬川苗:「……」
    駒 隆広:途切れ途切れの言葉──目尻に滲む涙。
    駒 隆広:「じゃあ、俺が治ったとして、あいつに勝てるのかよ!」
    駒 隆広:少しだけ背が浮いた。身体を起こそうとしたのかも知れないが、それは叶わない。
    逆瀬川苗:「勝つ」
    逆瀬川苗:「私がいるからだ」
    駒 隆広:「うっ……!?」
    駒 隆広:何か、言葉を続けようとしていたらしい。いや。
    駒 隆広:言葉を、実際に吐き出しはした。だが、それは。
    駒 隆広:「……だって」
    駒 隆広:「だって、あいつ、あのポリスティナエって奴、普通じゃないから、だから」
    駒 隆広:「俺を治すより、あの速水って子を治した方がいいって思って……」
    逆瀬川苗:「……」
    駒 隆広:教師に叱られた子供の弁明のように、もごもごと口の中に残る音だ。
    逆瀬川苗:「……優しい、子ですね…さすが、駒さんの…」
    逆瀬川苗:「……あのですねえ、その場合でも…あなたを治療したほうが、勝ちますよ……はい」
    逆瀬川苗:「…我々は、盾です…。盾が一番活きるのは、守るものが健在であること。」
    逆瀬川苗:「己ばかりが健在で、守るものを殺す盾が盾であるものでしょうか……」
    鏑木 鵠:す──と、手が隆広の目元へ伸びる。涙を拭い、それから、老人のように白い髪へ触れて、
    逆瀬川苗:「後顧の憂いを消し、目の前の敵にのみ照準を合わせる。それが、現状の全力を出す方法です。」
    鏑木 鵠:「…………」言葉は添えない。〝代役〟のつもりなのだろう。
    逆瀬川苗:「もし、覚悟があるならば…今は、“守られて下さい”。それが一番我々を強くします」
    駒 隆広:「……」
    駒 隆広:「……でも、俺は」
    GM:本当に小さな、聞こえるか聞こえないかの呟きは、
    GM:駆け足で入室した支部員の足音に掻き消される。
    支部員:「失礼します。逆瀬川さん、速水支部長からこちらを」
    支部員:一枚の、印刷された用紙を渡す。……そこには、
    支部員:安楽はづきからの〝治療薬〟生成の行程が開始した事に加え、
    支部員:〝イシュ・ケリヨト〟湯川 環が、治療薬の生成元として名乗りを上げたこと。生成の前段階、レネゲイドビーイングの移植手術を開始したこと。
    逆瀬川苗:「………」文章に目を通す
    支部員:何事も無ければ、最初の治療薬は四時間後。二つ目、三つ目は十時間以内には完成するだろう──という見通しが記されていた。
    逆瀬川苗:「………分かりました。術後の状態に気をつけて…宜しくおねがいします」
    逆瀬川苗:用紙を畳んで、ポケットにしまう
    逆瀬川苗:「……お父様の件、私からも謝罪が出来たらと思っておりました……本当に、申し訳ございませんでした…」
    逆瀬川苗:少年に頭を下げる
    駒 隆広:「えっ。……ぁ」
    逆瀬川苗:「…平和は……そこに転がっているものではない。勝ち取るものです……あなたのお父様も、勝ち取るため戦った同僚です。」
    逆瀬川苗:「私達全員が、何かを守れなかったことを悔やんでいます…でも、駒さんは、あなたを守りきっていきました。」
    駒 隆広:ぶわっ……と
    駒 隆広:湧き出すように、少年の目が涙に覆われる。
    駒 隆広:腕を上げようとしたが、動かない。だから代わりに、
    駒 隆広:「……見んな!」
    逆瀬川苗:「…はい。」
    駒 隆広:少年はぎゅっと目を瞑って、それだけを叫んだ。
    逆瀬川苗:踵を返す
    逆瀬川苗:畳んだ資料を鏑木さんに渡す「私が去ってから読んで下さい。」
    逆瀬川苗:フェアな条件で語りたいからだ。
    鏑木 鵠:「はい。……いえ、一つだけ先に」
    鏑木 鵠:「私も、出られますか」
    逆瀬川苗:「…きちんと、したならば。」
    逆瀬川苗:それだけ言う
    鏑木 鵠:「行けるなら、私も行きます。……私だって同僚です!」
    逆瀬川苗:「勿論。…へへへ。宜しくおねがいします」
    逆瀬川苗:「……駒君…それでは。」
    逆瀬川苗:「あなたの強さは、充分知ってますよ。戦ったんですから」
    GM:少年は返事をしなかった。目を固く瞑ったままで、
    GM:……鏑木が掌でその目を覆い、代わりに、資料を持ったままの手を振った。
    逆瀬川苗:歩みを進める。行うべき話は行った。後は、倒すべきを倒す

    GM:四時間後。
    GM:治療薬一号完成。駒 隆広への投与が完了する。
    GM:五時間後。
    GM:侵蝕率、2%→35%程度まで回復。リザレクトによる肉体再生開始。
    GM:6時間後。
    GM:容態安定。また、湯川 環からの治療薬生成行程開始。

    GM:10時間後。
    GM:速水やどりへの治療薬投与完了。

    GM:──11時間後。
    GM:既にして空は白み始めていた。
    GM:街もようよう目を覚ますころ。空には鳥の声。
    GM:太陽が街にビルの影を伸ばし、その影が少しずつ短くなっていく頃合いだ。
    GM:あなた達は今、交互に仮眠など取りながら身体を休めている頃だろう。
    GM:……そうだな、舞台は再び休憩スペースとしよう。
    GM:真神コルトに関して言えば、日に三度目ともなる、そろそろ見飽き始めた光景だろうが──あなた達は身体を休めている。
    GM:そして、速水やどり。
    GM:確認するが、今までの登場侵蝕減少は、シーン2から4回で、6、8、10、1
    GM:それにエフェクトによる減少が6の、合計31で間違いはないかな?
    速水 やどり:えぇ。
    GM:では。
    GM:その数値を二倍した62を、現在の侵蝕率に足していただこう。
    GM:治療薬を投与され、1時間の仮眠を経て目を覚ましたあなたは、
    GM:頭の中で霧が晴れたように感じるだろう。
    速水 やどり:現在値が14の、62を足して76まで。
    GM:よろしい。
    速水 やどり:「……」どうしても感じていた倦怠感や、頭の冴えに対する曇りが取り払われたかのような感覚と共に目を覚ます。
    速水 やどり:ぐー、ぱー、と手を握り、開き。眼をしばたかせ。うん、と、誰にでもなく頷く。
    天城康介:その、普段のように冴えを取り戻した感覚の中に、ひとつ。今しがた、君が動かしたのとは逆の手に。
    天城康介:「─おはよう、やどり」
    天城康介:重なっている手と、そして。柔らかな声。
    速水 やどり:「おはようございます。こうすけさん」柔らかな声音と笑みで返す。
    天城康介:「ああ、おはよう。……ついさっきまで、真神さんが付き添ってたんだけど」
    天城康介:「ちょうど、交代の時間でさ。……うん。真神さんには悪いけど、お目覚めの言葉は、俺が頂いた」
    天城康介:くしゃりと、表情を崩して笑う。
    速水 やどり:「嬉しさ半分、残念半分ですね。コルトさんにも、支えられているので。そっちはそっちで、良い目覚めだったかもしれません」
    天城康介:「……うん。わかるよ。あの人はなんだか「お姉ちゃん」、って感じで。傍にいてくれると、安心する」
    速水 やどり:「……あら。あらあら。そうですか」彼にとっての『お姉ちゃん』が少々特別な事を知る故に、ちょっとじとっとした声など出してみる。
    天城康介:「……いや、違う。違うぞやどり。そういう意味じゃあ……」
    天城康介:─などと。まるで普段と同じように、慌てて言い訳じみた声色になりは、したけれど。
    天城康介:「……それで。やどりは、大丈夫なのか。スタッフの人たちは、安心していいって言ってたけど」
    天城康介:尻すぼみの言葉の後に。少し沈んだ声で、尋ねる。
    速水 やどり:「えぇ。大丈夫ですよ。……というよりも、そちらを心配してしまいますが。大丈夫ですか? 指、ちゃんとくっつきましたか?」覗き込むように確認する。
    天城康介:「……我ながら、馬鹿なことをやったとは思うよ」
    天城康介:重ねていた手のうち、片方。11時間と少し前、自ら切り落とし、そしてなんとか繋がりはした─けれどろくに動かない、右の小指を。少女の眼前に示して見せる。
    速水 やどり:「どうしても必要だと思ったのなら、咎めも怒りもしませんが。心配は、します」指を優しく包み込むように、手を伸ばす。
    天城康介:「そっくりそのままお返しするよ。……って言っても」
    天城康介:その手に、自分からも手を伸ばしながら。
    天城康介:「……これからも、こうやって戦っていくんだな。やどりも、UGNのみんなも。……きっと、俺も」
    速水 やどり:「えぇ。一緒に歩んでくださるのなら」
    天城康介:聞かれるまでもない、と。そう応えかけて。
    天城康介: ……言葉足らずはいつものことだから。
    天城康介:そう、どこか呆れたように言った友人のことを思い出して。
    天城康介:「やどりが望む限り、どこまでも」
    天城康介:動かない小指以外の、四本の指を。細くて小さな手に絡めながら。
    速水 やどり:「じゃあ、約束です。一緒に。勝手にいなくなったりしないって、もう一度」一度、手を離して。動かない君の小指に、自分の小指を絡めて。
    天城康介:「うん」
    天城康介:ぴくりと、僅かに痙攣だけ。それ以上に小指が動くことは、今のところ、ないけれど。
    天城康介:─ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます。ゆびきった。
    天城康介:そんな、子供がふたりで歌っているような声が、病室に染み入って。
    天城康介:「……うん。これで、大丈夫。……帰って来るよ、どんなことがあっても。だから」
    天城康介:「やどりも、ちゃんと。帰って来るんだぞ」
    速水 やどり:「えぇ。勿論ですとも」
    真神コルト:「ふふ……良い所ですけど、お邪魔しますよ」
    真神コルト:身支度を済ませた──見た目は変わらずとも──修道女が、姿を見せる。
    真神コルト:「おはよう、やどりちゃん。……大丈夫そうですね」
    天城康介:「わっ…!?」
    天城康介:慌てて、搦めていた指を解いて。いつの間にか前のめりに、ベッドに乗り出していた身体をパイプ椅子に戻して。
    速水 やどり:「はい。意識は明瞭、レネゲイドの作用も問題なさそうです」こちらはさほども慌てずに答える。
    真神コルト:「何よりです。はい、サンドイッチを作ってきました。何かお腹に入れておきませんとね」小さな籠を取り出して。
    天城康介:「……真神さん。休んでてくれ、って言ったのに」
    速水 やどり:「無理は禁物ですよ……それはそれとして、折角ですのでいただきますね」一切れに手を伸ばす。
    真神コルト:「天城くんこそ。……私の言ったこと、忘れていませんよね?」その手にサンドイッチを押し付ける。
    真神コルト:「朝早いのは慣れっこですから」ふふ、と笑う。
    天城康介:「……うん。ちゃんと、約束もした。……忘れないよ。これからも、ずっと」
    天城康介:何か言いたそうな顔を、一瞬したけれど。素直に頷いて、サンドイッチを受け取って。さっそく、ひとくち。
    天城康介:「……美味しい」
    真神コルト:「なら、良いです。お口に合ったようで、そちらも何より」自分も一切れ、口に放り込む。
    GM:──その時だ。
    GM:第九支部内に、警報が鳴り響く。
    GM:或いはこの支部に所属する者ならば、この音の意味を知っているだろう。
    GM:有っては成らぬ自体の証。
    GM:支部が何者かの攻撃を受けたことを示すものだ。
    速水 やどり:「……!! 行きましょう」体調も戻った。ならば、やることは一つだ。
    逆瀬川苗:「……皆さん…どうやら、向こうがしびれを切らしたようです…」
    逆瀬川苗:ふらりと現れる
    逆瀬川苗:「やれますか?」
    速水 やどり:「えぇ!」
    真神コルト:「こちらも。行きましょう」手袋をはめる。臨戦態勢に。
    天城康介:「……うん。大丈夫だ。やれるよ」
    GM:展開される《ワーディング》の気配。
    逆瀬川苗:「ならば良し」
    逆瀬川苗:「鉄槌を下してやりましょう」
    GM:それは屋上に降り立ち、階下へと歩いて来る。
    GM:二本の足で床をしっかりと踏みしめて、一歩一歩。
    GM:階段を降りて、おそらくは進路上の障害──支部に残っていた一般戦闘員を、相手にもせず振り払い。
    GM:あなた達の居る方へ、居る方へと、歩いてくる。
    GM:やがて。
    GM:あなた達のいる階層に声が響くだろう。
    〝ポリスティナエ〟:「会いに来たよ」
    〝ポリスティナエ〟:「そして、殺しに来た」

    GM:ロイス&調達のラストチャンス!
    逆瀬川苗:“獣型のオーヴァード”の感情を感服○/憤慨に変えます
    速水 やどり:真神コルト/〇信頼/恥辱 でロイス取得。
    逆瀬川苗:購入はボルトアクションライフル
    逆瀬川苗:難易度15だったかな
    逆瀬川苗:6dx+2
    DoubleCross : (6R10+2[10]) → 6[2,2,3,4,5,6]+2 → 8

    逆瀬川苗:財産7点で購入。やどり支部長に渡します。以上
    GM:あっアタッカーが増えた
    天城康介:ロイス残り1枠保留で。調達物も特にないかな……自分用に応急手当キット。
    天城康介:6dx>=8
    DoubleCross : (6R10[10]>=8) → 10[4,5,8,8,9,10]+6[6] → 16 → 成功

    天城康介:無駄に回る!早速使用。
    天城康介:2d10+4
    DoubleCross : (2D10+4) → 14[8,6]+4 → 18

    天城康介:いいところまで回復。以上です。
    真神コルト:湯川さんへのロイスを反転、P感情を表に。
    天城康介:おっとそうだ。安楽はづきへのロイスを「■慈愛/不快感」に変更しておきます。今度こそ以上!
    真神コルト:やどりちゃんへのロイスを 尽力/不安 → 純愛/不安 に変更。感情はPのまま。
    真神コルト:お買い物は応急。
    真神コルト:5dx+3>=8 応急手当キット
    DoubleCross : (5R10+3[10]>=8) → 10[2,3,4,8,10]+5[5]+3 → 18 → 成功

    速水 やどり:調達……こちらも応急手当キットで。
    速水 やどり:3dx+1>=8 調達
    DoubleCross : (3R10+1[10]>=8) → 6[1,2,6]+1 → 7 → 失敗

    速水 やどり:財産1点入れて成功に。財産15→14。
    速水 やどり:体力減ってる方にトスしますが、どなたが必要か。
    天城康介:まずコルトさんかな?
    真神コルト:私が自分で2個使って、そちらは天城くんにシュートかな。
    速水 やどり:じゃあ天城君に応急手当をパス。どうぞお使いください。
    天城康介:ありがたく!
    天城康介:2d10+18
    DoubleCross : (2D10+18) → 13[7,6]+18 → 31

    天城康介:全快!
    真神コルト:1+4d10
    DoubleCross : (1+4D10) → 1+28[2,10,9,7] → 29

    真神コルト:良い感じに。処理は以上です。

    クライマックス


    GM:全員登場! やどりちゃんも普通にだ!
    速水 やどり:速水 やどりの侵蝕率を+3(1D10->3)した(侵蝕率:76->79)
    真神コルト:真神コルトの侵蝕率を+1(1D10->1)した(侵蝕率:101->102)
    逆瀬川苗:91+1d10
    DoubleCross : (91+1D10) → 91+9[9] → 100

    天城康介:天城 康介の侵蝕率を+7(1d10->7)した(侵蝕率:102->109)

    GM:地下ブロック最下層、廊下。
    GM:そこに、敵が立っていた。
    GM:或いはあなた達の鋭敏な感覚ならば、既に気付いているだろう。
    GM:上層階でも戦闘が発生している。……おそらくそちらは足止めだ。
    GM:〝余分な戦力〟が下に降りて来ないように手筈を整えて、
    〝ポリスティナエ〟:「四人かぁ」
    〝ポリスティナエ〟:「少しだけ難儀をするかも知れないが、まぁいいさ。どうにかなる範疇だ」
    〝ポリスティナエ〟:〝ポリスティナエ〟が、そこに居た。
    天城康介:「……人の家に土足で上がり込んどいて、何言ってやがる」
    〝ポリスティナエ〟:「ごめんください」
    〝ポリスティナエ〟:「……って言えばいい?」
    速水 やどり:「言ったところで、許しはしませんが。……えぇ、随分と……なめられたものです、ウチも」
    真神コルト:「では、叩きのめして確保。ついでに私たちへの認識も改めてもらいましょうか」
    逆瀬川苗:「支部長」
    逆瀬川苗:「ええと……ちょっとばかし、使うものがここだと、施設が多少壊れるかもしれないんですが…かまいませんか……」
    速水 やどり:「かまいません。喉元まで噛み付かれている非常事態です。四の五の言わずに、手心なしで。責任は取ります」
    逆瀬川苗:「じゃあ、遠慮なく」
    〝ポリスティナエ〟:「何か面白いものを見せてくれる……ってわけか」
    〝ポリスティナエ〟:「いいなぁ。それもまた研究資料として私の脳裏に刻んでおくよ」
    逆瀬川苗:ポケットから銀色の包みを取り出す
    逆瀬川苗:剥いて、齧る。圧縮タンパク質
    逆瀬川苗:「“ヴォル・ディアナ”状況を開始する。」
    真神コルト:「“ジャガーノート”、同じく」
    〝ポリスティナエ〟:ぱかりと口を開いて、〝それ〟は笑う。
    〝ポリスティナエ〟:「〝毒持つ翼/ポリスティナエ〟──あんた達を真似るなら、そうだな」
    〝ポリスティナエ〟:「こう言おう」
    〝ポリスティナエ〟:「実験を開始する」
    天城康介:「……悪いけど。それは、ここで終いだ」
    天城康介:「今度こそ、最後にする。……せめて、その約束くらいは」
    天城康介:「……守らなきゃな」
    〝ポリスティナエ〟:「ふふ」
    〝ポリスティナエ〟:「ふっふふふ」
    〝ポリスティナエ〟:「ふふふふふふふふ……!」
    GM:嗤う。それだけでも、もう伝わるだろう。〝それ〟が持つレネゲイドが、高まり、蠢き、溢れ出している。
    GM:人の身に余る、過剰な出力。……既にして一線を踏み越えた者だけが放つ暴威が、
    GM:あなた達を酷く揺さ振り、そのレネゲイドを強制的に喚起する。
    GM:衝動判定……難易度は9!
    逆瀬川苗:4dx
    DoubleCross : (4R10[10]) → 10[1,4,7,10]+7[7] → 17

    真神コルト:4dx>=9
    DoubleCross : (4R10[10]>=9) → 8[1,3,4,8] → 8 → 失敗

    逆瀬川苗:成功!
    速水 やどり:7dx>=9 意志
    DoubleCross : (7R10[10]>=9) → 9[2,3,4,5,5,8,9] → 9 → 成功

    真神コルト:いちたりない。暴走!
    逆瀬川苗:100+2d10
    DoubleCross : (100+2D10) → 100+11[8,3] → 111

    速水 やどり:速水 やどりの侵蝕率を+11(2D10->7,4)した(侵蝕率:79->90)
    真神コルト:真神コルトの侵蝕率を+16(2d10->7,9)した(侵蝕率:102->118)
    天城康介:思い出の一品込みで!
    天城康介:4dx+2+1>=9
    DoubleCross : (4R10+2+1[10]>=9) → 10[6,7,9,10]+9[9]+3 → 22 → 成功

    天城康介:すっごい回った。
    天城康介:天城 康介の侵蝕率を+14(2d10->7,7)した(侵蝕率:109->123)
    GM:意志が強い
    GM:では
    エンゲージ

    〝ポリスティナエ〟[6]

    10m

    天城 康介[3] 逆瀬川 苗[6] 速水やどり[8] 真神コルト[3]

    ラウンド1


    GM:セットアップ!
    真神コルト:ありません!
    天城康介:《フルパワーアタック》!侵蝕127、行動値0に。
    速水 やどり:《常勝の天才》Lv3
    逆瀬川苗:コンボ【冷やす影、灯す夜】《ソードマスター》+《活性の霧》+《タブレット》+《多重生成》
    速水 やどり:ラウンド中対象の攻撃力+12。
    逆瀬川苗:対象全員。武装を指定して下さい。
    速水 やどり:対象は自分以外のPC3人。
    速水 やどり:侵蝕+6して96。
    〝ポリスティナエ〟:Eロイス《破滅の足音》を使用
    速水 やどり:逆瀬川さんのバフはボルトアクションライフルを指定します。
    逆瀬川苗:必中の弓を指定。指定武装による攻撃時達成値+12、攻撃力+18、ドッジダイス−2(後者拒否可能)
    〝ポリスティナエ〟:1d10+1ラウンド後のクリンナップ,PCは全員戦闘不能となる。
    〝ポリスティナエ〟:さあ、何ラウンド後になるかな?
    〝ポリスティナエ〟:1d10+1 1出ろ
    DoubleCross : (1D10+1) → 5[5]+1 → 6

    真神コルト:ほっ
    〝ポリスティナエ〟:ちぃっ
    〝ポリスティナエ〟:ただし効果発動までに一度でもポリスティナエが戦闘不能になれば、この効果は解除される
    〝ポリスティナエ〟:というおまけ付きだ……
    真神コルト:素手を指定。いただきます!
    天城康介:は、こちらも素手にいただきましょう!
    GM:では
    GM:行動値順、まずは8! やどりちゃん!
    速水 やどり:はい。
    GM:あっと、失敬!
    速水 やどり:おっと!?
    GM:ひとつ行動を忘れていた、割り込ませます
    〝ポリスティナエ〟:さらにオートアクションでEロイス《唯我独尊》
    〝ポリスティナエ〟:セットアップで使用できるEロイスを同時にもうひとつ使わせていただく。
    〝ポリスティナエ〟:一発で消し飛ばされたくないのでな……!
    〝ポリスティナエ〟:Eロイス《楔の呪い》!
    〝ポリスティナエ〟:このラウンドはタイタスを「戦闘不能からの回復」の他には使えない! ダイス増加やC値下げは遠慮していただこう!
    天城康介:げぇーッ!!
    GM:という訳で、ちょっとだけ演出を入れさせていただく
    速水 やどり:どうぞ。
    〝ポリスティナエ〟:ぴっ──
    〝ポリスティナエ〟:爪が──研いであるのだろう、刃物のような切れ味だった──手の甲を撫でた。
    〝ポリスティナエ〟:中指の腱に掛かる太い血管が切り開かれ、血が吹き出すも、それは血溜まりとは成らず、
    逆瀬川苗:「体内に多数の生命を飼っております……攻撃の度に、何かが飛び出すでしょう…そうでなくとも。」
    逆瀬川苗:「…くれぐれも、警戒されて下さい……」
    〝ポリスティナエ〟:赤い霧となって地下階に充満していく。
    〝ポリスティナエ〟:「そう。そうでなくとも」
    〝ポリスティナエ〟:「私の血は、毒だ」
    〝ポリスティナエ〟:「もう知っているだろうから、意気揚々とネタばらしをさせてもらうがね」
    〝ポリスティナエ〟:「一度も呼吸せずには戦えないだろう、UGN……ふ、ふふふふふっ」
    GM:改めて、やどりちゃん!
    速水 やどり:はい!
    速水 やどり:マイナー。戦闘移動。10m後方へ移動。
    速水 やどり:メジャー。
    速水 やどり:《弱点看破》Lv5+《アドヴァイス》Lv7+《戦場の魔術師》Lv2
    速水 やどり:対象3体のラウンド中攻撃力+15、次のメジャーアクションのダイス+7個、C値-1(下限6)。
    速水 やどり:無論、対象は味方PC3人。
    速水 やどり:侵蝕+10して106まで。
    速水 やどり:メインプロセス終了時の侵蝕が100を超えたのでバフ量変動。
    速水 やどり:セットアップ分含めて現在のバフを纏めると、自分以外のPC全員は次のメジャーアクションのダイス+8個、C値-1、このラウンド中の攻撃力+34。
    GM:ちょっとわけわかんない威力になってますね
    速水 やどり:さらに逆瀬川さんのぶんも乗るのでそこは各自計算してほしい。
    GM:PT内火力を一気に3桁上げて来よった
    速水 やどり:演出。
    GM:GO!
    速水 やどり:「……」一呼吸もせずには戦えない。それはそうだ。自分の僅かばかりの力は、声に乗る。
    速水 やどり:だが。それがどうした。
    速水 やどり:口元に気休め程度に袖を当て、息を吸う。
    速水 やどり:「……えぇ。あいつに思い知らせて、やりましょう……我々が、何者かを!!」凛とした声が跳ぶ。そこに一点の陰りも無く、聴く味方の冷静と奮起を同時に促す。
    〝ポリスティナエ〟:「何者か、と来たか!」
    〝ポリスティナエ〟:「たかが人間が! たかがガキ一人が!」
    〝ポリスティナエ〟:「お前は何者だと叫ぶつもりだ!」
    速水 やどり:「正義の砦。日常の楯。未来を掴む者。その全てです!!」
    〝ポリスティナエ〟:「ならば全て一度に砕けるか──手間が省けるなぁ!」
    GM:手番、行動値6かつPC優先法則。逆瀬川さん
    速水 やどり:では、そのイニシアチブに。Dロイス「触媒」を起動。対象は逆瀬川さん。行動権を消費せずにメインプロセスを行ってもらいます。
    逆瀬川苗:では、マイターン
    GM:おのれぇい!
    逆瀬川苗:マイナーでホローポイント弾を使用。攻撃力+3
    逆瀬川苗:マイナーで《腐食の指先》。対象“ポリスティナエ”
    逆瀬川苗:14dx9+30
    DoubleCross : (14R10+30[9]) → 10[1,2,3,3,4,5,5,5,7,7,7,8,9,10]+6[5,6]+30 → 46

    GM:固定値ぃ~
    〝ポリスティナエ〟:ドッジ!
    〝ポリスティナエ〟:7dx+1
    DoubleCross : (7R10+1[10]) → 10[3,3,4,4,6,10,10]+4[4,4]+1 → 15

    〝ポリスティナエ〟:避けられない!
    逆瀬川苗:ではダメージ。《腐食の指先》によりシーン中装甲を−10減算して下さい
    逆瀬川苗:6d10+66 サイドリール込
    DoubleCross : (6D10+66) → 27[1,2,2,7,5,10]+66 → 93

    〝ポリスティナエ〟:せっかくおしゃれ着(装甲15)着てたのに……
    〝ポリスティナエ〟:えー
    〝ポリスティナエ〟:初手から88通りです
    〝ポリスティナエ〟:何この威力
    〝ポリスティナエ〟:流石にまだ死なないけどな演出来いやコルァ!
    逆瀬川苗: 
    逆瀬川苗:逆瀬川が体内に仕込んだ戦闘用植物5種のうちひとつ
    逆瀬川苗:まずは、竹
    逆瀬川苗:捻じくれた地下茎を弓で地面に叩き込めば、床を割って大量の幹が乱杭歯の如く“ポリスティナエ”を咀嚼する
    逆瀬川苗:槍の包囲陣となんら変わり無い。さらに言うならば、ここは地下。土は壁にまで通っている。立体的な竹林の歯が苛むだろう
    〝ポリスティナエ〟:「──そういうことも出来るのか!」〝それ〟は目を輝かせながら、左右側面と下──三方向からの槍を浴びる。
    逆瀬川苗:「あなた、痛みは……そこまで、苦しくはないタイプのようで…」
    〝ポリスティナエ〟:身を捩り、心臓などの重要な臓器を避けてはいるが──だが、相当の傷がある筈だ。なのに。
    〝ポリスティナエ〟:「うちのセルの研究室のひとつにね」
    〝ポリスティナエ〟:「他の感覚を完全に残したまま、痛覚だけ遮断する研究があった」
    〝ポリスティナエ〟:「譲り受ける交渉が面倒だったから、研究室ごと潰して奪ったが」
    〝ポリスティナエ〟:「おかげで──」
    〝ポリスティナエ〟:傷から、大量の血が溢れ出す。
    〝ポリスティナエ〟:……それは、己が身を貫く竹の槍を、少しずつ、じわじわと溶かし始める。
    〝ポリスティナエ〟:融解毒。
    逆瀬川苗:「…そう。」
    〝ポリスティナエ〟:「ああ」
    逆瀬川苗:毒を使うのはそちらだけではない。
    〝ポリスティナエ〟:「おかげで、どちらかが死ぬまで戦える」
    〝ポリスティナエ〟:「素敵な時間だと思わないかい、ヴォル・ディアナ」
    逆瀬川苗:防護服も使っているようだが、貫いた竹から滲み出る成分がほころびを作っている。機能はかなり低下するだろう
    逆瀬川苗:「無様な生き様を晒す時間が増えたというわけね。」
    〝ポリスティナエ〟:「楽しみと言っておくれよぉ!」
    逆瀬川苗:「精々好きにやればいいわ」
    逆瀬川苗:侵蝕113
    逆瀬川苗:侵蝕ミス!現在侵蝕124
    逆瀬川苗:そのままマイターン
    逆瀬川苗:マイナーホローポイントもいっこ使用。
    逆瀬川苗:メジャーで《腐食の指先》。
    逆瀬川苗:7dx+30
    DoubleCross : (7R10+30[10]) → 10[3,4,7,8,9,9,10]+10[10]+4[4]+30 → 54

    GM:わあ
    〝ポリスティナエ〟:ドッジ!
    〝ポリスティナエ〟:7dx+1
    DoubleCross : (7R10+1[10]) → 9[1,3,7,8,8,9,9]+1 → 10

    〝ポリスティナエ〟:目は悪くないけどそりゃあね!
    逆瀬川苗:7d10+66 ダメージ!同じエフェクトなので重複しない
    DoubleCross : (7D10+66) → 40[3,4,9,2,3,9,10]+66 → 106

    〝ポリスティナエ〟:101通しで、この二手で受けたダメージトータルは189
    〝ポリスティナエ〟:賢者の石か何かか?
    〝ポリスティナエ〟:まぁそれでも生きてるんだな……演出2来い!
    逆瀬川苗: 
    逆瀬川苗:洋梨のような果実をかじり、自分の周りの竹を左腕の一振りでまとめて叩き折る
    逆瀬川苗:竹を圧縮。番え、撃つ。内包する空気が節を砕いて加速し、更に“ポリスティナエ”に着弾する
    逆瀬川苗:…第二の植物
    逆瀬川苗:ヤドリギ
    逆瀬川苗:圧縮した竹に仕込んでおいた。毒ある身から体液を啜り、枯れるまで無理やり実る
    逆瀬川苗:「ほぼ使わないのだけれど」
    逆瀬川苗:「状況によっては全部使わせてもらう。長引かせはしない」
    〝ポリスティナエ〟:多段式ロケットの如き矢が、肉片の一部を爆ぜ散らした──散った血肉が意志を持つかのように継ぎ戻る。
    〝ポリスティナエ〟:「それは情熱的な言葉だ。本気と言う訳か──」
    〝ポリスティナエ〟:その、再生の行程の途中だった。
    〝ポリスティナエ〟:ぐしゃっ、と不愉快な水音がして、継ぎ戻った筈の肉片が潰れる。
    〝ポリスティナエ〟:乾いて干からびた、〝血を失った〟肉片は、ミイラのようにかさついたままで床に落ちた。
    〝ポリスティナエ〟:「……寄生植物!」
    〝ポリスティナエ〟:笑みを消す。認識は速い。だが。
    〝ポリスティナエ〟:知ってどうなるものでもない。
    逆瀬川苗:「本来は人間を喰らう生態ではないのだけれど、いじらせてもらった」
    〝ポリスティナエ〟:「そうかいそうかい、お前も私達と似たような趣味が有ったのかい」
    〝ポリスティナエ〟:「ならば実体験としてお聞きしたいんだが、ヴォル・ディアナ。私の血は美味しいかい?」
    逆瀬川苗:「犬が残飯を漁る様を眺めて楽しむ趣味はない」
    逆瀬川苗:「毒を無理やり吸わされて良い感想が聞けるわけないでしょう」
    〝ポリスティナエ〟:「あまり口説いてくれるな。嬉しくなるじゃないか」
    GM:では、行動値6,〝ポリスティナエ〟の手番だ。
    逆瀬川苗:侵蝕126
    〝ポリスティナエ〟:ふむ、どう行くかな
    〝ポリスティナエ〟:では
    〝ポリスティナエ〟:マイナーアクション、戦闘移動。前衛三人と同一のエンゲージに飛び込む。
    エンゲージ

    〝ポリスティナエ〟[6]
    天城 康介[3] 逆瀬川 苗[6] 真神コルト[3]

    10m

    速水やどり[8]

    〝ポリスティナエ〟:そしてメジャーアクション。《紅の刃》+《血の宴》+《殺戮領域》+《コンセントレイト:ブラムストーカー》、対象は同一エンゲージの天城、逆瀬川、真神!
    〝ポリスティナエ〟:12dx7+6 命中判定
    DoubleCross : (12R10+6[7]) → 10[1,2,3,4,4,6,6,6,7,7,8,10]+10[2,3,6,10]+10[8]+10[9]+4[4]+6 → 50

    逆瀬川苗:念の為ドッジ
    逆瀬川苗:4dx
    DoubleCross : (4R10[10]) → 9[2,7,8,9] → 9

    真神コルト:暴走リア不!
    逆瀬川苗:だめ
    天城康介:一応こちらもドッジ!そしておふたりのどちらかをカバーに入る予定ですと宣言しておきつつ。
    天城康介:4dx+1
    DoubleCross : (4R10+1[10]) → 10[5,6,8,10]+3[3]+1 → 14

    天城康介:回ったけどダメ!
    GM:カバーリングがダメージロールの直前だからこういう感じになるのだな
    天城康介:ですね。というわけで、今回はコルトさんのカバーリングに入ります。
    天城康介:天城 康介の侵蝕率を+2した(侵蝕率:127->129)
    GM:おk、ではダメージ行くぞ
    〝ポリスティナエ〟:6d10+14 装甲有効
    DoubleCross : (6D10+14) → 29[2,9,3,6,4,5]+14 → 43

    天城康介:装甲無し、2倍頂いて戦闘不能!
    逆瀬川苗:しんじゃう!“ポリスティナエ”にあわれみ/憐憫○を取得して昇華復活します
    〝ポリスティナエ〟:──攻撃の予兆はほとんど存在しなかった。
    〝ポリスティナエ〟:ただ、空間に立ちこめる血霧に、僅かに流れが生まれただけだ。
    〝ポリスティナエ〟:「良い場所だ!」
    〝ポリスティナエ〟:「狭っ苦しい、遮蔽物も少ない!」
    〝ポリスティナエ〟:血霧が変化する──槍だ。蜂の針を模した鋭利な槍と化した血液が、
    〝ポリスティナエ〟:指揮の為に距離を取った速水やどりを除く三者目掛けて、空間のあらゆる方向から突きかかる!
    逆瀬川苗:(知性を持ったアスベストに近い…殺傷力をこうも持たせるなんて)咳き込む。
    天城康介:「ッ……ごめん、真神さん……!」
    逆瀬川苗:体内に皮膜を作り致命傷を防ぐ。
    天城康介:速水やどりの「声」で活性化した思考が。自身に備わった、僅かな「領域使い」としての知覚が。極々狭い、安全地帯を見出す。すなわち。
    天城康介:今、自分がいる場所に。真神コルトを無理矢理に引き寄せて。代わりに、元々彼女がいた位置に、自分が。
    天城康介:そして、身体の内外から貫かれ、血を吐き。それでも。立っている。
    〝ポリスティナエ〟:「……お?」
    天城康介:ポリスティナエに執着/■脅威でロイスを取得。昇華してHP14で復活。
    真神コルト:「天城くん!?」突然の出来事に思わず振り返り、彼が何をしたのかを知る。
    真神コルト:「もう、無茶して……!」
    〝ポリスティナエ〟:攻撃の中に隙間が生まれた。……それ自体はありえることだ。だが、当然だがそれは意識して作った訳でもなく、
    〝ポリスティナエ〟:つまりは繰り手にすら知り得ないほどの、極めて僅かな陥穽。
    〝ポリスティナエ〟:その一点を的確に、防御に用いたものがいる。
    〝ポリスティナエ〟:「ノイマンの高速思考か? ……オルクスの方かな、どちらかだろう」
    〝ポリスティナエ〟:「ヴォル・ディアナには劣るが──ああ。用途が思いついた」
    〝ポリスティナエ〟:「そこの坊や。あんたは外付けの演算装置にしよう。きっと優秀な兵器になってくれる、保証するよ」
    天城康介:「嫌だね。……俺の居場所は、とっくに予約済みだ」
    天城康介:「他所になんて、行ってやるものか」
    〝ポリスティナエ〟:「頼んでるんじゃないんだ。決定事項の告知だよ」
    〝ポリスティナエ〟:「……それとも。古典的な悪党のように、人質でも取って見た方が良かったかな?」
    〝ポリスティナエ〟:そう、軽口を叩く女の身体から、突如、
    〝ポリスティナエ〟:どぐん
    〝ポリスティナエ〟:……と、地鳴りの如き音が聞こえた。
    〝ポリスティナエ〟:「……準備が出来たようだ」
    〝ポリスティナエ〟:オートアクション《夜魔の領域》
    〝ポリスティナエ〟:ラウンド中、行動値0となり、未行動状態になる。
    GM:では。
    GM:手番は行動値3の二人に移る。いずれか!
    天城康介:は、こちらは行動値0に落ちておりますので…!
    GM:そうだった!
    真神コルト:では、行きましょう
    真神コルト:マイナー、《完全獣化》《破壊の爪》
    真神コルト:真神コルトの侵蝕率を+9した(侵蝕率:118->127)
    真神コルト:続いてメジャー、《超侵蝕》《コンセントレイト》《獣の力》《獣王の力》《一閃》《風鳴りの爪》
    真神コルト:(8+4+8)dx6+14+12
    DoubleCross : (20R10+14+12[6]) → 10[1,2,3,3,3,4,4,5,6,7,8,8,8,8,9,9,10,10,10,10]+10[1,2,2,3,5,5,5,5,6,7,10,10]+10[1,5,7,9]+10[9,10]+10[6,10]+10[5,8]+10[8]+5[5]+26 → 101

    天城康介:!?
    GM:うっわぁ
    真神コルト:あら……?
    〝ポリスティナエ〟:ド……ドッジ……
    真神コルト:合ってるよね……?
    〝ポリスティナエ〟:7dx+1
    DoubleCross : (7R10+1[10]) → 9[1,3,3,5,7,9,9]+1 → 10

    〝ポリスティナエ〟:どうやったって避けられんわ!!!
    真神コルト:えっと、それじゃダメージロールしますね……?
    真神コルト:11d10+44+16+18+18
    DoubleCross : (11D10+44+16+18+18) → 63[1,5,3,1,8,9,10,8,7,5,6]+44+16+18+18 → 159

    真神コルト:1,1,3を振り直し
    真神コルト:154+3d10 装甲ガード有効
    DoubleCross : (154+3D10) → 154+9[3,1,5] → 163

    GM:もう装甲値の5が3%の誤差でしかない
    GM:158通しでトータルダメージ352……まだ生きてはいるけどさぁ……!
    GM:347だった
    GM:ということで演出来いや!
    真神コルト:「〝ポリスティナエ〟」
    真神コルト:「貴方には、あの子の分まで、借りを返しておきましょう」
    真神コルト:口元からロザリオを落とし、地を蹴って跳ぶ。
    〝ポリスティナエ〟:「誰だい、あんた」
    〝ポリスティナエ〟:「覚えの無い借しは──」
    〝ポリスティナエ〟:反応は早い。周囲の血霧が、ポリスティナエの周囲に結集。
    〝ポリスティナエ〟:それは忽ちに、分厚く固い〝殻〟となる。
    真神コルト:「名乗るほどの者では。ただ──」
    真神コルト:逆瀬川さんが生やした竹、壁、天井。あらゆるものを足場に、縦横無尽の動きで〝ポリスティナエ〟の死角を探す。
    真神コルト:全身から噴き出したレネゲイドで漆黒に染まり、跳びながら獣へとカタチを変え。
    〝ポリスティナエ〟:元より、その動きを追う目は無い。
    〝ポリスティナエ〟:キュマイラの、獣の反射神経も。エンジェルハイロゥの目も。ノイマンの思考力も、何も持っていない。
    〝ポリスティナエ〟:故に用いるのは、人間の域の中で磨き上げた思考速度と攻撃パターン予測。
    〝ポリスティナエ〟:「名も無い獣ならば!」
    〝ポリスティナエ〟:「〝冠生物〟の前にこうべを垂れろ!」
    真神コルト:やがて〝ポリスティナエ〟の頭上に迫った獣は、おもむろに腕を振る。
    真神コルト:さながらそれは、死と災いを振りまく、魔神の如く。
    真神コルト:技も術理もない剛腕の一振りが、血の殻ごと〝ポリスティナエ〟を打つ。
    〝ポリスティナエ〟:〝殻〟が歪む。
    〝ポリスティナエ〟:それは、地に足をつける生物の共通弱点、頭上を守る為に偏重し、傘の如くに変じた。
    〝ポリスティナエ〟:傘とは言うが、鋼にも勝る強度を備えたその壁はさながらシェルター──
    〝ポリスティナエ〟:「──その馬鹿力で砕けてしまえ!」
    真神コルト:そう、砕けてしまえ。
    真神コルト:〝ポリスティナエ〟の殻に叩き付けた拳に、さらなる力、質量、レネゲイドの噴出まで加えて。
    真神コルト:咆哮と共に、強引に殻を割り砕く。
    〝ポリスティナエ〟:みしみしと、殻が軋む。
    〝ポリスティナエ〟:支える床が軋む。
    〝ポリスティナエ〟:やがてその出力が最高潮に達した時、
    〝ポリスティナエ〟:びぎっ
    〝ポリスティナエ〟:「……っ、ちいぃっ!」
    〝ポリスティナエ〟:拳は傘を突き抜け、その先の標的へ着弾する。
    〝ポリスティナエ〟:傘を支えていた腕が、紙切れで作った人形のようにひしゃげて千切れ飛ぶ。
    〝ポリスティナエ〟:噴き出す鮮血は、周囲の霧の密度を増しながら、止まることを知らぬかのように流れ続ける。
    〝ポリスティナエ〟:ブラム=ストーカー能力者にとって、血は武器であるが、同時に生命線だ。
    〝ポリスティナエ〟:「……名の無い獣なら、あんたは実験動物に過ぎない」
    〝ポリスティナエ〟:「良くも人間に牙を向いたな」
    〝ポリスティナエ〟:「殺処分だ、あんたは」
    真神コルト:『名無しの獣にこれだけやられて、腹いせですか?』
    真神コルト:血に汚れ、ぐるる、と呻くその口から人の言葉が漏れる。
    真神コルト:『言ったでしょう?』
    真神コルト:『思い知ると良い、と』
    〝ポリスティナエ〟:「神の使徒の紛い物が、利いた風な口を叩くな!」
    GM:では。
    GM:手番、行動値0のPC優先。天城くん。
    天城康介:は!マイナー、《完全獣化/一角鬼》、侵蝕は138へ。
    天城康介:メジャー、《C:キュマイラ/獣の力》でポリスティナエを攻撃。
    天城康介:この判定に特異点を使用。達成値+20を付与。
    天城康介:割り込みなければ判定へ!
    GM:来い!
    天城康介:ヤー!
    天城康介:21dx6+4+12+20
    DoubleCross : (21R10+4+12+20[6]) → 10[1,1,1,2,3,3,4,5,6,6,6,7,7,7,8,8,8,8,9,9,10]+10[3,4,4,5,7,7,7,8,8,10,10,10,10]+10[2,2,4,5,6,8,9,9,10]+10[3,4,4,8,9]+10[6,10]+10[1,6]+4[4]+36 → 100

    天城康介:ピッタリ!
    GM:達成値3桁を二人連続で出すんじゃない
    〝ポリスティナエ〟:ドッジ
    〝ポリスティナエ〟:7dx+1
    DoubleCross : (7R10+1[10]) → 10[4,6,6,7,7,9,10]+5[5]+1 → 16

    〝ポリスティナエ〟:ええい!!!
    天城康介:ではダメージだ!
    天城康介:11d10+33+18+16+18
    DoubleCross : (11D10+33+18+16+18) → 53[2,4,6,7,3,10,4,3,4,4,6]+33+18+16+18 → 138

    天城康介:装甲有効、138点。
    GM:133通し……なんだこれ……
    GM:通算347+133で480ダメージ……一応……ギリギリ生きてます……
    GM:演出カモン!
    天城康介:押忍!
    天城康介:─血霧が内外から己を苛む。この女の言う通り、ここでは、息をするだけで致命傷だ。だけど。
    天城康介:「…………」
    天城康介:敢えて、大きく息を吸い込む。─レネゲイド殺しのそれは、しかし。少年の身体を、それ以上蝕むことはなく。
    天城康介:「─やどりを」
    天城康介:目を閉じる。"ここにはいない自分"をイメージする。
    天城康介:「やどりの、仲間を」
    天城康介:くぐもった声を遺して、一瞬。この世から、存在そのものが消え失せる。
    天城康介:『─やどりの、友達を』
    天城康介:─血霧と、己が流した血。それらが凝り固まったような、赤黒い、歪な騎士甲冑めいた姿が出現する。
    天城康介:『俺たちを。舐めるな、化物……!』
    〝ポリスティナエ〟:「……なんだ、こりゃあ」
    〝ポリスティナエ〟:瞬時に姿を変えるオーヴァードは、さして珍しくもない。そこまでなら理解の範疇だ。
    〝ポリスティナエ〟:出血で思考が鈍り始めていることを差し引いても、想定までは出来る筈だった。
    〝ポリスティナエ〟:だが。
    〝ポリスティナエ〟:これは、何かが違う。
    〝ポリスティナエ〟:獣ではない。自分の用いるような、血の操作能力か──それともモルフェウスか。
    〝ポリスティナエ〟:そういう力で生み出された鎧と仮定するのが合理的に思える。……だが、ならば。
    〝ポリスティナエ〟:その直前、ほんの一瞬、視界から消えたように見えた現象と、
    〝ポリスティナエ〟:眼前に確かに存在する、異形の気配の説明が付かない。
    〝ポリスティナエ〟:「ああ」
    〝ポリスティナエ〟:「……答えはそれか」
    〝ポリスティナエ〟:血霧が結集する。再び壁を無し、防御を固めながら、
    〝ポリスティナエ〟:「その呼び名を借りればいいのか」
    〝ポリスティナエ〟:「化物め」
    天城康介:『……そうだ。俺は怪物。角持つ獣。けれど、俺は』 ─俺たちは
    天城康介:『人であることを、諦めたりなんて……する、ものかッ!!』
    天城康介:右腕と半ば融合した剣槍を。ただただ愚直に、真正面から。女へと叩きつける。
    〝ポリスティナエ〟:単純な衝撃への対策は──単純な防御力の強化。
    〝ポリスティナエ〟:先の一撃で破られた傘を再構築し、正面に備える。……十分に防ぎ得る筈の力だと認識していた。
    〝ポリスティナエ〟:先の攻撃は頭上から。即ち、死角を狙う不意の一撃だ。
    〝ポリスティナエ〟:だが。今度は正面──単純な出力による真っ向勝負と言うならば、
    〝ポリスティナエ〟:〝たかがオーヴァード〟と〝ジャーム〟のいずれが出力で勝るかなど、誰もが知っている筈だった。
    天城康介:─対抗種、という存在がある。レネゲイドを食うレネゲイド。この女の能力とは似て非なる、レネゲイド殺し。
    〝ポリスティナエ〟:着弾。
    〝ポリスティナエ〟:その余波が、地下階層を揺らす。
    天城康介:無論。少年の身に、これ以上の異能は無い。─しかし。取り込んだ"ポリスティナエ"の体液が。いかなる偶然か、少年の体内で変異を遂げて。
    天城康介:着弾の衝撃に乗るように。運動エネルギーと、血霧を貪る何かが。"ポリスティナエ"へと、受け手ごと浸透する。
    天城康介:『……ただ強くて、悪辣で、最悪で。けれど、ただそれだけの奴に』
    天城康介:もう、一歩。声と、地下に茂る植物と、もうひとりの獣の力を借りるように。
    天城康介:『俺たちは、負けやしない……!』
    天城康介:踏み込み、そして。血霧の盾を構えた女を、剣槍の一振りが、吹き飛ばす。
    〝ポリスティナエ〟:その〝何か〟が、血霧の壁を喰らって脆くしたのだろう。……それは理屈だ。
    〝ポリスティナエ〟:レネゲイドコントロールを身につけた者の声は他者に力を与える。……それも理屈だ。
    〝ポリスティナエ〟:先の、三つの攻撃があった。痛みを感じぬ身体であれダメージは蓄積する。多種の要因があったのだろう。
    〝ポリスティナエ〟:だが、それでも。
    〝ポリスティナエ〟:理屈だけを並べるならば足りない。
    〝ポリスティナエ〟:ジャームの、超常の力を最大限に用いた壁はしかし、たった一人の少年に打ち砕かれ、
    〝ポリスティナエ〟:ポリスティナエの身体は暴風の中の木の葉のように、よじれながら舞い上がった。
    〝ポリスティナエ〟:天井に打ち付けられ、床に落ちる。瞬きほどの時間すら掛からず。
    〝ポリスティナエ〟:……理屈のみを並べるならば、こうまでの力は得られるまい。
    〝ポリスティナエ〟:明暗を分けたのはきっと、人の域に留まるか、その域を踏み越えてしまったか、そういう差異で──
    〝ポリスティナエ〟:どぐん
    GM:イニシアチブプロセス
    〝ポリスティナエ〟:《更なる絶望》
    〝ポリスティナエ〟:心臓の音だった。
    〝ポリスティナエ〟:そして──生誕の音であった。
    〝ポリスティナエ〟:あなた達は見るだろう。
    〝ポリスティナエ〟:俯せに倒れ伏すポリスティナエの背を突き破り現れる一対の羽を。
    〝ポリスティナエ〟:脇腹を突き破り外へと現れる、三対六本の脚を。
    〝ポリスティナエ〟:それは。
    〝ポリスティナエ〟:それは、〝ポリスティナエ〟と癒合した巨大な〝蜂〟である、
    〝ポリスティナエ〟:「……やれ、やれ」
    〝ポリスティナエ〟:「内蔵がずいぶん足りなくなった気がする」
    〝ポリスティナエ〟:「おかげでスペースが空いたけど」
    〝ポリスティナエ〟:「後で何を入れて埋めようか。……ああ、いいや。それこそ後で考えればいい」
    〝ポリスティナエ〟:人の身体。
    〝ポリスティナエ〟:……虫の羽。虫の脚が、その肉体から生えている。
    逆瀬川苗:「…“冠生物”」
    〝ポリスティナエ〟:「ふふ」
    〝ポリスティナエ〟:「ふふふふふ……さぁて、ね」
    〝ポリスティナエ〟:「けれども、これは合理的な姿だと思わないか、ヴォル・ディアナ」
    〝ポリスティナエ〟:「この世界で最も栄えた種族である虫の力を、私達人間の知能で運用する」
    〝ポリスティナエ〟:「兵器としての在り方ならば、なかなか上等の範疇だと思うんだけどねぇ」
    逆瀬川苗:「下衆に使われる虫が哀れでならない」
    〝ポリスティナエ〟:「優しいねぇ……でもね、ヴォル・ディアナ」
    〝ポリスティナエ〟:「お前もこんな風にしてやるのもいいかなぁ──って、今は思い始めたところだよ」
    〝ポリスティナエ〟:「そう嫌わないでくれ」
    GM:手番、行動値0のポリスティナエ。
    〝ポリスティナエ〟:マイナーアクションは無し。そして
    〝ポリスティナエ〟:メジャーアクション
    〝ポリスティナエ〟:《赤色の従者》9+《愚者の軍団》4+常時エフェクト《声なき者ども》4+《赤河の従僕》7+《愚者の兵装》4+《コウモリの羽》1
    〝ポリスティナエ〟:能力10.10.10.10、HP55で行動値は30、白兵技能4を持ち常時飛行状態である従者をポリスティナエと同一エンゲージに4体出現させます。
    〝ポリスティナエ〟:──嗤う口から、蜂が這い出す。
    〝ポリスティナエ〟:四匹。喉を通過する程度であった筈のそれは、直ぐにも肥大化し──
    〝ポリスティナエ〟:人の上半身ほどの大きさもある、奇怪な虫へと変貌する。
    〝ポリスティナエ〟:「さて。これで数の上ではこちらが有利になった訳だ」
    〝ポリスティナエ〟:「もう暫く仲良くやろうよ、UGN」
    〝ポリスティナエ〟:「時間が掛かれば掛かるほどに、私の勝ちは揺るがなくなる」
    エンゲージ

    〝ポリスティナエ〟[6] 従者1~4[30] 〝鎧王蜂〟[7]
    天城 康介[3] 逆瀬川 苗[6] 真神コルト[3]

    10m

    速水やどり[8]

    GM:さらなる絶望で出現した〝鎧王蜂〟は未行動だが、行うことが無い。行動を放棄する。
    GM:クリンナップ。何かあるかな?
    速水 やどり:こちら無しで。
    真神コルト:メジャーの侵蝕増やし忘れたので、このタイミングで。お前はいつもこうだ。
    真神コルト:真神コルトの侵蝕率を+11した(侵蝕率:127->138)
    逆瀬川苗:なしです
    真神コルト:他にはなしです。
    天城康介:やっておこう、《フルパワーアタック》継続!
    逆瀬川苗:まだセットアップではない
    天城康介:でした!
    天城康介:すみません、クリンナップなしで。
    GM:では、エネミー側も無しだ。

    ラウンド2


    GM:セットアップ!
    真神コルト:なし!
    〝ポリスティナエ〟:《楔の呪い》の二つ目を使う。ダイス増加やC値減少にタイタスを切るのは無しだ!
    速水 やどり:こちらのエフェクトは回数切れ! なし!
    〝鎧王蜂〟:Eロイス《悪意の伝染》
    〝鎧王蜂〟:血霧の濃度が増す。以降、このシーンにあらたなキャラクターは登場できない!
    天城康介:改めて《フルパワーアタック》を継続!
    天城康介:侵蝕は現在、146に。
    〝鎧王蜂〟:そして……E《唯我独尊》を噛ませてセットアップエフェクト《融合》!
    〝鎧王蜂〟:対象はポリスティナエ。これによって〝鎧王蜂〟は行動済となる。
    逆瀬川苗:さっきのコンボをもっかい全員に
    GM:従者達はセットアップエフェクトを持たない。無し!
    GM:ほう、つまり
    GM:《ソードマスター》+《活性の霧》+《タブレット》+《多重生成》ですね?
    逆瀬川苗:です!指定変わらず
    GM:その霧を待っていた
    〝ポリスティナエ〟:融合により取得したオートアクション《異世界の因子》
    天城康介:あーッ!
    〝ポリスティナエ〟:その《活性の霧》をレベル1で取得する。侵蝕ボーナスも入って3だ
    〝ポリスティナエ〟:それを踏まえて
    〝ポリスティナエ〟:《活性の霧》+《ヒュドラの怒り》!
    逆瀬川苗:あっ
    逆瀬川苗:ドッジダイス減るの問題ないやつ
    〝ポリスティナエ〟:ラウンド中の攻撃ダイスを+3、攻撃力は+18になる。
    〝ポリスティナエ〟:そう!
    〝ポリスティナエ〟:ドッジダイスは減ってしまうが……どうせヒュドラで暴走だ!
    GM:では、一通りの処理は終了だ。
    GM:手番に入る。行動値30、従者〝蜂〟4体の行動を同時に行う。
    従者〝蜂〟:マイナーアクション。3番の蜂だけが飛行状態で戦闘移動し、やどりちゃんにエンゲージする。
    逆瀬川苗:侵蝕137
    従者〝蜂〟:メジャーアクション。
    従者〝蜂〟:1番が天城くん、2番は逆瀬川さん、3番やどりちゃん、4番コルトさんへ
    従者〝蜂〟:エフェクトを使わない白兵攻撃!
    従者〝蜂〟:14dx+4 命中判定
    DoubleCross : (14R10+4[10]) → 8[1,1,2,3,3,3,4,4,5,6,7,7,8,8]+4 → 12

    従者〝蜂〟:(1体目)
    従者〝蜂〟:14dx+4 2体目
    DoubleCross : (14R10+4[10]) → 9[1,2,2,2,5,5,6,6,7,8,8,9,9,9]+4 → 13

    従者〝蜂〟:14dx+4 3体目
    DoubleCross : (14R10+4[10]) → 10[1,1,2,3,4,4,4,5,6,8,9,9,10,10]+1[1,1]+4 → 15

    従者〝蜂〟:14dx+4 4体目
    DoubleCross : (14R10+4[10]) → 10[1,2,2,3,5,6,7,7,8,8,10,10,10,10]+9[4,6,6,9]+4 → 23

    GM:ちょっとコルトさんにだけ殺意が強まった
    逆瀬川苗:ドッジ!
    逆瀬川苗:3dx
    DoubleCross : (3R10[10]) → 7[4,6,7] → 7

    逆瀬川苗:だめ
    真神コルト:殺処分されちゃう。暴走リア不!
    速水 やどり:ジュラルミンシールドでガード!
    天城康介:うおお、ドッジ!ワンチャンありますよ!
    天城康介:6dx+1>=12
    DoubleCross : (6R10+1[10]>=12) → 8[1,3,4,7,7,8]+1 → 9 → 失敗

    天城康介:なかったわ。
    GM:ふっ……ダメージ!
    逆瀬川苗:まってくだされ
    GM:おっ
    GM:何が来るのかな……?
    GM:では、順に処理をしていこう
    GM:まずは天城くんへのダメージ!
    従者〝蜂〟:2d10+8 従者の爪 装甲有効 1体目
    DoubleCross : (2D10+8) → 15[8,7]+8 → 23

    天城康介:十分に死!戦闘不能!
    天城康介:切るなら……こちらか。綾瀬真花へのロイスをタイタス化、昇華してHP14で復活。
    GM:よろしい。では次、逆瀬川さんへのダメージだが
    GM:そのまま行くか防ぐか、どうするね
    逆瀬川苗:喰らいます!
    天城康介:は、今回は対応なしで!
    GM:OK!
    従者〝蜂〟:2d10+8 2体目 逆瀬川
    DoubleCross : (2D10+8) → 17[10,7]+8 → 25

    逆瀬川苗:死
    逆瀬川苗:獣型のオーヴァードのロイスを昇華して復活します
    従者〝蜂〟:2d10+8 3体目 やどりちゃん
    DoubleCross : (2D10+8) → 13[8,5]+8 → 21

    速水 やどり:装甲が8、ガードが6。14弾いて、残り7点を通して。HP28→21で生存。
    GM:固いぞこの幼女……
    従者〝蜂〟:2d10+8 4体目 コルト
    DoubleCross : (2D10+8) → 4[2,2]+8 → 12

    GM:ばかな
    真神コルト:あ、死んでない……
    GM:まさか二人生き残るとは……
    真神コルト:装甲0、29-12で残りHP17。
    GM:軽くだけ演出!
    従者〝蜂〟:周囲を漂う血霧は薄れ始めている。……代わりに現れたのは、より視覚的に明瞭な脅威だ。
    従者〝蜂〟:人の上半身ほどもある巨大な蜂が四匹。ポリスティナエの周囲を飛び回り、
    従者〝蜂〟:次の瞬間──一人一殺! あなた達へとその針を向けて飛翔する!
    速水 やどり:「きゃっ……」配備してあった楯でその突撃を受ける。よろけはするが、体は無事だ。
    GM:では、リアクションがあればちょこちょこ入れてもらいつつ
    GM:平行してやどりちゃんの手番もどうぞだ!
    逆瀬川苗:(攻撃が多彩になってきた……この数を対応できるのは…私くらいか)
    速水 やどり:手番いただきまして。マイナーは放棄。
    速水 やどり:メジャー。
    速水 やどり:《弱点看破》Lv6+《アドヴァイス》Lv8+《戦場の魔術師》Lv3
    速水 やどり:対象3体のラウンド中攻撃力+18、次のメジャーアクションのダイス+8個、C値-1(下限6)。
    速水 やどり:対象は自分以外のPC3人。
    速水 やどり:侵蝕+10して116まで。
    速水 やどり:「……落ち着いて。えぇ、落ち着いて対処してください。我々が与えた傷もまた、浅くはない……!!」声を再び飛ばす。まだ、踏ん張れる。そう思わせる。自分に、皆に。
    天城康介:装甲の隙間。開口部。様々な箇所から、騎士鎧の中に侵入する蟲。それらに肉を貪られながらも。背後から聞こえる悲鳴と、それに続く声に。
    天城康介:『ああ。まだ……まだまだ、やれる……!』
    天城康介:奮起し、足元を─植物の根に覆われ、大地のように変じた床を踏みしめ、立ち上がる。
    〝ポリスティナエ〟:「無理に決まってんだろォ!」
    〝ポリスティナエ〟:「あんたらはここで殺す、ここで死ぬと私が決めた!」
    〝ポリスティナエ〟:「まずは後ろのチビからだ! 次はそこの犬っころ! 次はそこの化物!」
    〝ポリスティナエ〟:「ヴォル・ディアナ──お前は最後のお楽しみに取っておいてやる!」
    速水 やどり:「なら、貴女の言葉の一番最初。私が倒れない事で、根こそぎ挫いてみせましょう……!」
    真神コルト:針を受けて手傷を負う。しかし、纏わりつく羽音を振り払って。
    真神コルト:『ええ、まだです。私たちは、こんな悪意なんかに負けたりしない……!』
    逆瀬川苗:「吠えるか。」
    逆瀬川苗:「人間は確信を得た時、その態度を知らず崩す。お前の底が見え始めた証拠だ」
    〝ポリスティナエ〟:「ああ、ああ、ああ」
    〝ポリスティナエ〟:「その物言い、本当にいつまでも、いつまでも憎たらしい……!」
    〝ポリスティナエ〟:「だからこそ、楽しみになるんだよ」
    〝ポリスティナエ〟:「物言わぬお前の骸をこの手にする瞬間が──!」
    GM:行動値7、〝鎧王蜂〟。融合中につき行動不可。よって手番は行動値6、逆瀬川 苗。
    逆瀬川苗:マイターン
    逆瀬川苗:ホローポイント尽きたな!マイナーなし
    逆瀬川苗:メジャー、《腐食の指先》+《タブレット》+《多重生成》
    逆瀬川苗:対象は従者蜂の1、2、4、鎧王蜂の4体
    GM:ほう……そう来たか
    GM:妨害は無い!
    逆瀬川苗:OK
    逆瀬川苗:16dx9+30
    DoubleCross : (16R10+30[9]) → 10[1,1,2,2,4,4,5,5,5,6,6,7,8,9,9,9]+8[7,7,8]+30 → 48

    従者〝蜂〟:まず、蜂3体はガードを選択
    〝鎧王蜂〟:こちらも選択はガードとなるが、
    〝ポリスティナエ〟:こいつの体から脚と翼だけ生えてる構造上……鎧王蜂だけを狙った攻撃はこいつが受けないと不自然なのよね……だから!
    〝ポリスティナエ〟:《崩れずの群れ》で鎧王蜂をカバーリング!
    逆瀬川苗:OK
    逆瀬川苗:ダメージ
    逆瀬川苗:6d10+47
    DoubleCross : (6D10+47) → 39[1,9,6,6,8,9]+47 → 86

    GM:わっほう
    GM:計算するまでもなく、まず蜂3体は落ちる……HP55だもん!
    GM:そしてポリスティナエは……
    〝ポリスティナエ〟:……まだ生きる! だがもう八割以上の血を失った、ほぼほぼ死にかけだ!
    逆瀬川苗:生きるわね
    〝ポリスティナエ〟:しぶといぞぅ
    GM:演出あらば!
    逆瀬川苗: 
    逆瀬川苗:…ポケットから、通信端末を取る
    逆瀬川苗:『第九支部へ。“ヴォル・ディアナ”より通達します。これよりプランナインを実行します。20秒以内に部屋の隅へ出来るだけ移動を行って下さい。』
    逆瀬川苗:支部内の拡声器を伝って支部全体に伝わったことだろう
    鏑木 鵠:『は!?』
    鏑木 鵠:通信機が声を拾う。
    鏑木 鵠:『ちょ────馬鹿ーっ!!!』
    逆瀬川苗:『緊急をなめないでくださいね…へへへ』
    逆瀬川苗:ぶつりと切って
    逆瀬川苗:「行きますよ……皆さん。下がって下さい。戦闘距離ギリギリまで」
    逆瀬川苗:みちり
    逆瀬川苗:その左手に、苗木が握られる
    逆瀬川苗:それを
    逆瀬川苗:拳の一撃で、無理やり地面に埋め込む
    〝ポリスティナエ〟:「なんだ」
    逆瀬川苗:「“ハイペリオン”」
    〝ポリスティナエ〟:「何をするつもりだぁ!?」
    〝ポリスティナエ〟:その目は──好奇心に輝いている。
    〝ポリスティナエ〟:或いは、この攻撃を放つものが、この場にいた他の誰かであれば、
    〝ポリスティナエ〟:この瞳の輝きは、警戒を示す色であっただろうに。
    逆瀬川苗:「私が、何を植えたか、当ててみなさい」
    逆瀬川苗:第三の植物
    逆瀬川苗:竹を先に使用しなければいけない。地盤が万一にも緩ければ危険極まりない
    逆瀬川苗:何故なら
    逆瀬川苗:世界で一番巨大な植物だからだ
    逆瀬川苗:ズ ガ
    逆瀬川苗:竜が立ち昇ったように錯覚しただろう
    逆瀬川苗:実態はそう変わり無い。
    〝ポリスティナエ〟:「ふ、ふふ」
    〝ポリスティナエ〟:「ハハハハハハハハハハハハッ!」
    〝ポリスティナエ〟:「当てろだと!」
    〝ポリスティナエ〟:「知っている、知っているさ、こんなものはインリークォなら誰だって知っている!」
    〝ポリスティナエ〟:「そうだ、こいつは……!」
    逆瀬川苗:『セコイア』が、フルサイズで地面から生えれば、誰だってそう思う
    〝ポリスティナエ〟:きらきらと、目を輝かせている。
    〝ポリスティナエ〟:生まれて初めて動物園を訪れた時の、
    〝ポリスティナエ〟:博物館で初めてティラノサウルスの化石を見た時の、
    〝ポリスティナエ〟:そういう、未知に出会った子供の見せる目だった。
    逆瀬川苗:その勢いのまま、蜂達は打ち上げられる
    逆瀬川苗:大技だ。そう何本も打ち上げられるものではない。だが躊躇なく切る価値はあったはずだ
    逆瀬川苗:侵蝕144
    GM:地下十数m。
    GM:射出距離はきっと、115m程なのだろう。
    GM:差し引き約100mの空に、虫の残骸が散っていた。
    GM:大地から突き上げる樹木の槍に打たれた虫が、外骨格の形状すら想像できぬほど粉々に砕かれた故であった。
    GM:そして。
    GM:木の頂点より更に高く打ち上げられた、人の形をした怪物が落下に転じる。
    GM:余りにも遠くて、その声は聞こえまい。
    GM:ただ、あなた達に分かることがある。
    GM:地下から大空へと、第九支部を貫いて聳え立つ樹木が、茜色に染まっていると。
    GM:朝だ。
    GM:あなた達は夜明けを踏み越えた。

    GM:では、GM強権の発動により。
    GM:これより戦闘区域が樹上へと移動します。
    GM:尚、希望者は現在の位置関係を保ったままで樹上へ移動も出来ますし
    GM:逆に地上に残ってもいいです。
    GM:地上に残る場合、〝ポリスティナエ〟が存在するエンゲージから115m離れた位置へと移動することになります。
    GM:さあどうする
    天城康介:殴りに行かないと始まらないので、自分は上に登りましょう。
    真神コルト:こちらも上に。
    速水 やどり:下に残留しましょう。
    逆瀬川苗:上に向かいます
    GM:OK,ならば
    エンゲージ

    〝ポリスティナエ〟[6] 〝鎧王蜂〟[7]
    天城 康介[3] 逆瀬川 苗[6] 真神コルト[3]

    115m

    従者3[30]
    速水やどり[8]

    GM:位置関係はこのように変更される
    GM:では、続いて。行動値6、ポリスティナエの手番だ
    〝ポリスティナエ〟:マイナーはやはり何も無し。
    〝ポリスティナエ〟:メジャーアクション、《紅の刃》+《コンセントレイト:ブラムストーカー》。対象は速水 やどり。
    〝ポリスティナエ〟:12dx7+6 命中判定
    DoubleCross : (12R10+6[7]) → 10[1,2,4,4,6,6,6,6,6,7,9,10]+6[2,4,6]+6 → 22

    速水 やどり:ワンチャンドッジ!
    速水 やどり:4dx>=22
    DoubleCross : (4R10[10]>=22) → 7[1,3,4,7] → 7 → 失敗

    〝ポリスティナエ〟:そうそう避けられはせんさ……ダメージ!
    〝ポリスティナエ〟:3d10+32
    DoubleCross : (3D10+32) → 20[3,9,8]+32 → 52

    速水 やどり:死! ポリスティナエ/好奇心/〇憤懣 でロイス取得、タイタス化して昇華、復活! HP11に!
    〝ポリスティナエ〟:──打ち上げられ、落下に転じた体が、上空で翼を広げる。
    〝ポリスティナエ〟:街は朝を迎えている。東から延びる光の中、異形の羽と脚を備えた怪物が、地上へ影を落としている。
    〝ポリスティナエ〟:「なんとも象徴的じゃないか! 跳ね上げられた時は驚きもしたが!」
    〝ポリスティナエ〟:「私が空に在り、あんた達は地を這う! なるほど上から見下ろすのは気分がいいものだなぁ!」
    〝ポリスティナエ〟:血霧から生み出す刃。……異形と化したポリスティナエは、それを、両手と〝脚〟六本、合わせて八つも掴み、
    〝ポリスティナエ〟:──投げ落とす! 弾丸の速度で放たれる断頭の刃は全て速水 やどり目掛けて降り注ぐ!
    速水 やどり:「っ……!」回避運動を試みるも、無為に終わる。被弾。"ポリスティナエ"のものでない鮮血が舞う。
    速水 やどり:それでも。
    速水 やどり:「……私は、屈しない……!!」持てる意志を総動員して、膝を折るまいと振舞う。
    〝ポリスティナエ〟:「その小さな体で立ち続けるのは、意地って奴かしら」
    〝ポリスティナエ〟:「悪くはないけどねぇ。未成熟過ぎて胎の使い道に困る。あんたはあんまり好きじゃない」
    〝ポリスティナエ〟:また次の刃が、空に舞う血霧から装填される。
    〝ポリスティナエ〟:《夜魔の領域》
    〝ポリスティナエ〟:行動値0となり、未行動状態へ移行。
    GM:手番、行動値3、真神コルト。
    真神コルト:まず、〝ポリスティナエ〟に 嫌悪/●憤懣 でロイスを取得。理由は言わずもがな。
    〝ポリスティナエ〟:うふふふふぅ
    真神コルト:ゆるさんぞーっ
    真神コルト:マイナーで一応暴走解除。
    真神コルト:メジャー、《コンセントレイト》《獣の力》《獣王の力》《風鳴りの爪》
    真神コルト:対象は〝ポリスティナエ〟、命中判定!
    真神コルト:(9+4+8)dx6+4+12
    DoubleCross : (21R10+4+12[6]) → 10[1,1,2,3,3,4,4,4,5,5,5,5,6,6,7,7,7,8,9,9,9]+10[1,1,3,3,4,5,7,7,7]+10[5,8,10]+5[4,5]+16 → 51

    〝ポリスティナエ〟:ヒュドラで暴走リア不!
    真神コルト:ダメージロール!
    真神コルト:6d10+34+18+18
    DoubleCross : (6D10+34+18+18) → 39[6,7,10,2,9,5]+34+18+18 → 109

    真神コルト:2を振り直し
    真神コルト:107+1d10 装甲ガード有効
    DoubleCross : (107+1D10) → 107+6[6] → 113

    〝ポリスティナエ〟:装甲5、108点通し──累計ダメージ566+108=674
    〝ポリスティナエ〟:最大HP……635!
    〝ポリスティナエ〟:ついに倒れる……!
    〝ポリスティナエ〟:《不死不滅》
    〝ポリスティナエ〟:が、まだ終わらんよ。HP30で復活!
    真神コルト:往生際が悪い!
    真神コルト:真神コルトの侵蝕率を+9した(侵蝕率:138->147)
    真神コルト
    真神コルト:『……本当に、嫌がらせには余念のないことで』
    真神コルト:獣の顔が憎悪に歪む。
    〝ポリスティナエ〟:「失礼な。合理的判断と言って欲しい」
    真神コルト:陽光の差し込む穴の向こう、〝ポリスティナエ〟が飛ぶ、115m上空を睨みつけて。
    〝ポリスティナエ〟:「私は無益な行動があまり好きじゃない。だが言葉で人が弱るなら、幾らでも吐き出してみせようさ」
    〝ポリスティナエ〟:「事実、お前はどうだい。神の使徒でいられず、人でもいられなくなった名無しの獣よ」
    〝ポリスティナエ〟:「……ちなみに聞くけど、一応哺乳類? だったらエフェソスのお墓にでも供えてやろうかしらん」
    真神コルト:『生憎と、まだ、人ですよ。私にはまだ、理性もあれば、誰かを思いやる気持ちだってある』
    真神コルト:『──人を、愛する心だってある』
    〝ポリスティナエ〟:「愛!」
    〝ポリスティナエ〟:「そいつは酷く残酷な言葉じゃないか!」
    〝ポリスティナエ〟:「その獣の牙と爪で、誰の体を引き裂きたいって言うんだね!」
    〝ポリスティナエ〟:「情欲か! 食欲か! 或いは渾然一体か! 興味は尽きないが専門外だ、実に残念!」
    真神コルト:『それが貴方の愛ですか。……成程、あわれなことですね』
    真神コルト:声音だけを残して。
    真神コルト:破壊された天井、壁面、そして巨木の幹を伝って、瞬く間にその頂へ。
    〝ポリスティナエ〟:じっ──と羽が鳴る。
    真神コルト:『さあ、〝ポリスティナエ〟』
    真神コルト:駆け上がった勢いのままに、踵落としを叩き込み。
    〝ポリスティナエ〟:速水やどりへ投擲する為に生成した刃を、人間としての二つの手と、蜂の脚六つに掴み、
    〝ポリスティナエ〟:「眠たい!」
    〝ポリスティナエ〟:四つ。両腕と、脚の内の前側にある二つが掴んだ刃を重ねて踵を受ける。
    〝ポリスティナエ〟:朝日より尚も赤い火花が散る──刹那、残る四つの刃が、振り下ろされた脚の付け根を切断せんと迫る!
    真神コルト:その反動で肉体を持ち上げ、迫る刃を空中で躱すと。
    真神コルト:『今度は、犬っころの怒りを思い知ってもらいましょう』
    真神コルト:返り血に塗れた銀毛を朝陽に輝かせながら。
    真神コルト:紅い軌跡を引いて、血の刃の先、〝ポリスティナエ〟目掛けて拳を突き出す!
    〝ポリスティナエ〟:「!」
    〝ポリスティナエ〟:斬撃を放った一瞬の隙。迫る拳を目視する。
    〝ポリスティナエ〟:体ごとの回避は間に合わない──首を横へ。
    〝ポリスティナエ〟:だが、交わしきれなかった。
    〝ポリスティナエ〟:獣の拳は、〝ポリスティナエ〟の右目を中心に、顔の半分を削ぎ落とす。
    〝ポリスティナエ〟:「かっ……!」痛みは無い。痛みを感じる機能が無い。視界を奪われた苛立ちに吠えながら、
    〝ポリスティナエ〟:その目は、歪な再生を始める。
    〝ポリスティナエ〟:……複眼だ。
    〝ポリスティナエ〟:人の造形をした顔。右目が複眼に代わり、瞳の向きも分からないようになって、
    〝ポリスティナエ〟:「獣風情が図に乗るなぁっ!」
    真神コルト:『敢えて、言いましょうか?』
    真神コルト:『虫風情が図に乗るな、と』
    〝ポリスティナエ〟:再度の追撃──此方には羽が有り、彼方は四肢の力で跳ぶ。
    〝ポリスティナエ〟:ならば、この空中において我の有為は揺らがぬ──と、〝ポリスティナエ〟は信じている。
    〝ポリスティナエ〟:じっ
    〝ポリスティナエ〟:羽が鳴り、巨大な蜂が、その標的を真神 コルトへと変えて急降下する。
    GM:手番、
    GM:行動値0PC優先、天城くん。
    天城康介:はあい!マイナーなし、メジャーでポリスティナエに、《C:キュマイラ/獣の力》で白兵攻撃。
    天城康介:判定!
    天城康介:21dx6+4+12
    DoubleCross : (21R10+4+12[6]) → 10[1,2,2,2,2,3,4,4,5,6,6,6,7,8,8,9,10,10,10,10,10]+10[1,2,4,4,4,4,7,7,9,9,10,10]+10[2,4,7,9,9,10]+5[1,1,2,5]+16 → 51

    天城康介:こちらも達成値51!
    GM:使用エフェクトに対して盛られたバフがデカすぎる
    〝ポリスティナエ〟:暴走リア不!
    天城康介:6d10+33+18+18
    DoubleCross : (6D10+33+18+18) → 30[2,9,1,5,4,9]+33+18+18 → 99

    天城康介:惜しい。装甲有効、99点。
    〝ポリスティナエ〟:94通し……そしてHPは30……無論
    〝ポリスティナエ〟:耐えられる筈も無い!
    〝ポリスティナエ〟:が!
    〝ポリスティナエ〟:《蘇生復活》! これが最後だHP1!
    GM:演出どうぞ!
    天城康介:蜂が獣に迫る。その間に、立ちはだかる影がひとつ。
    天城康介:─影。そう、影だ。それは最初は、ひどく朧気で。触れれば霧散しそうで。けれど。
    天城康介:守るためではなく。明確な敵意を。倒すべき敵を倒すという意志を以って。
    天城康介:『─お前は、ここにいちゃ、いけない』
    天城康介:転移した黒騎士が、樹冠の葉枝を踏みしめて。
    天城康介:実体を伴い、跳躍。自らの質量と膂力、正面から飛来するポリスティナエの速度。それらを全て、一点に。
    天城康介:─ポリスティナエの腹部に向けて突き出した、剣槍の切っ先に集約して。二人、もつれあうように。樹の幹へと突き進む。
    〝ポリスティナエ〟:腹部を貫く槍──その手応えは奇妙だ。
    〝ポリスティナエ〟:人体ならば、外側は柔らかく、筋肉の層に至れば固く、またその先の臓腑で柔らかさが戻る──骨ばかりは刃を阻む。そういう構造だろう。
    〝ポリスティナエ〟:触れた皮膚の時点で、既にポリスティナエは甲殻の如き強度を有していた。
    〝ポリスティナエ〟:「あんたも」
    〝ポリスティナエ〟:「いいや、あんたらも!」
    〝ポリスティナエ〟:「生物の枠から外れた化物って点じゃあ同じだろうが!」
    〝ポリスティナエ〟:──甲殻の強度が稼いだ、貫通までの僅かな猶予。羽が鳴り、その体が富裕する。
    〝ポリスティナエ〟:背に近づく木の幹から逃れ、再び大空へ舞わんと!
    天城康介:『……違う。違うだろ。もしも、俺たちとあんたたち。行き着く先が同じだとしても』
    天城康介:半ばまで埋まった剣槍。その、ポリスティナエの胎内に埋まった部分から。普段は融合している、手首から先が機能を取り戻して。
    天城康介:内臓か、背骨か、それとも全く別の未知の器官か。ポリスティナエの中にあるものを、がしりと掴んで、離さない。
    天城康介:『─俺たちが戦うのは、いつだって。誰かにために、何かをしたい』
    天城康介:『それが。それだけが、あんたと俺たちの違いだ……!』
    天城康介:繋がった二人分の体重。それが、ふわりと浮いて。けれど、勢いはそのままに。
    天城康介:血に濡れた切っ先が、ポリスティナエの背中から生える。
    〝ポリスティナエ〟:体内に備わるものは。
    〝ポリスティナエ〟:人のような臓腑と、毒を生み出しばらまく為の器官と、
    〝ポリスティナエ〟:多量の〝卵〟。
    〝ポリスティナエ〟:既にそのうちの幾つかは孵化を始め、急激な成長の過程にある。
    〝ポリスティナエ〟:ただ生きているだけで増殖し人を殺す、単一個人からなる群れだ。
    〝ポリスティナエ〟:その巣たる腹から背へ掛けて──刃が貫いた。
    〝ポリスティナエ〟:「……っ!」
    〝ポリスティナエ〟:痛みは無い。だが、喉を迫り上がる血が言葉を途切れさせた。
    〝ポリスティナエ〟:悪罵の代替品として血を吐き散らしながら、その体は落下へと転じて──
    天城康介:─そのまま、ふたり。くるくると、螺旋を描いて─。
    GM:手番、行動値0──《夜魔の領域》によるポリスティナエの再行動。
    〝ポリスティナエ〟:1d4
    DoubleCross : (1D4) → 1

    〝ポリスティナエ〟:ふむ
    〝ポリスティナエ〟:では、マイナーは無し。
    〝ポリスティナエ〟:メジャーアクション、《紅の刃》+《血の宴》+《殺戮領域》+《コンセントレイト:ブラムストーカー》。対象は同一エンゲージの、天城、逆瀬川、真神!
    〝ポリスティナエ〟:12dx7+6 命中判定
    DoubleCross : (12R10+6[7]) → 10[2,3,3,4,6,6,7,8,8,8,9,10]+10[1,3,3,5,6,8]+2[2]+6 → 28

    逆瀬川苗:念の為ドッジ
    逆瀬川苗:3dx
    DoubleCross : (3R10[10]) → 7[1,6,7] → 7

    逆瀬川苗:だめ
    天城康介:こちらも一応ドッジ!
    天城康介:10dx+1
    DoubleCross : (10R10+1[10]) → 10[1,1,2,4,6,8,8,9,9,10]+8[8]+1 → 19

    真神コルト:ドッジ!
    GM:あぶねえな
    天城康介:くそッ!
    真神コルト:(9+4-2)dx+1>=28
    DoubleCross : (11R10+1[10]>=28) → 10[1,1,1,2,4,4,5,6,9,9,10]+4[4]+1 → 15 → 失敗

    真神コルト:ぐぬぬ。
    〝ポリスティナエ〟:3d10+42 装甲有効!
    DoubleCross : (3D10+42) → 11[2,7,2]+42 → 53

    天城康介:あ、ロール前に!
    天城康介:《軍神の守り》で逆瀬川さんをカバーリングします。
    天城康介:天城 康介の侵蝕率を+2した(侵蝕率:148->150)
    真神コルト:死!
    天城康介:(そしてメジャーの分を上げ忘れていたので、侵蝕154です)
    天城康介:同じく、戦闘不能!
    逆瀬川苗:コンボ【牛耳と牛角の巨木】《奇跡の雫》+《タブレット》+《多重生成》
    逆瀬川苗:対象は天城君、真神さん。戦闘不能を回復し、HP10で復活させます
    GM:よろしい!
    GM:じゃあ短めに!
    〝ポリスティナエ〟:──墜落していく〝蟲〟が、己が腹を六の脚にて掻き開く!
    〝ポリスティナエ〟:既にして天城の刃が埋める傷口が拡張され──その隙間から這い出すものは、多量の血と、
    〝ポリスティナエ〟:いまだ成体として完成はせぬものの、人の拳ほどの大きさに至った蜂の群れ!
    〝ポリスティナエ〟:「か、は────っ、飛べ! 殺せ!」
    〝ポリスティナエ〟:号令一下、血みどろの蜂の群れはその針を以て、樹上の敵を穿たんと飛来する!
    天城康介:「ッ……!」
    天城康介:数にして、おおよそ3分の2程。飛び出した蟲の過半数を、その身で押し留めるも。残りは、樹冠へと飛んで行く。
    真神コルト:『天城く──ッ!?』
    真神コルト:落ちていく二人の方に向かおうとして、突如、眼前に現れる血色の蜂。
    真神コルト:回避することもままならず、その針に穿たれる。
    逆瀬川苗:「こらえて下さい」
    逆瀬川苗:左手の皮膚が破れ、ギザギザの多肉質の葉がロゼットを描いて幾重にも伸びる
    逆瀬川苗:第四の植物
    逆瀬川苗:見る間に葉の潤いが増し、緑の燐光を放つ…異能と逆瀬川のカロリーを込めて作った、超活性液糖が満ち満ちている
    逆瀬川苗:リュウゼツラン。先端を右手がカットし、ドロリと二人の全身に液体を降り注いだ…見る間に傷が引き、アナフィラキシーを寛解させてゆく。
    逆瀬川苗:「最後まで、立っていることこそが……最大の、攻撃になります」
    逆瀬川苗:侵蝕155
    GM:クリンナップ!
    〝ポリスティナエ〟:処理無し!
    天城康介:なっしん!
    真神コルト:なし!
    速水 やどり:クリンナップなにもなし!
    逆瀬川苗:なし!
    逆瀬川苗:ちなみにこれでタブレット打ち止めです
    GM:OK!

    ラウンド3



    GM:セットアップ!
    天城康介:今回は無しで…!
    〝鎧王蜂〟:《融合》、対象はポリスティナエ!
    真神コルト:なし!
    〝ポリスティナエ〟:《ヒュドラの怒り》+《活性の霧》!
    速水 やどり:なし!
    逆瀬川苗:《ソードマスター》+《活性の霧》自分。指定変わらず必中の弓
    逆瀬川苗:侵蝕161。レベル2侵蝕に到達しました
    GM:OK,そして
    逆瀬川苗:達成値+15、攻撃力+21、タブレット1個復活
    GM:手番、行動値30! 蜂の3番!
    従者〝蜂〟:マイナー無し、メジャーアクションはエフェクト無しの白兵攻撃、対象は速水やどり!
    従者〝蜂〟:14dx+4 命中判定
    DoubleCross : (14R10+4[10]) → 10[1,1,2,3,4,5,5,5,5,6,6,7,7,10]+9[9]+4 → 23

    速水 やどり:う、ガードで!
    従者〝蜂〟:3d10+8 装甲ガード有効ダメージ!
    DoubleCross : (3D10+8) → 19[8,1,10]+8 → 27

    速水 やどり:装甲ガードで14点弾いて……3足りない! 逆瀬川さんのロイスをタイタス化、昇華して復活!
    〝ポリスティナエ〟:「……殺せ!」
    〝ポリスティナエ〟:空から声がする。血の泡を吐きながら呪詛を交えた、悍ましきものの声。
    従者〝蜂〟:じっ、と羽の音が応じ──矢玉の如くに跳ぶ!
    従者〝蜂〟:狙い定めて針を突き出したる先は、速水やどり──の、喉!
    速水 やどり:「く、かっ……」楯を突き出すも間に合わない。喉元への一撃を受け、せき込み地面を転がる。
    〝ポリスティナエ〟:「ふ──まず、一人!」
    GM:手番、行動値8,速水やどり。
    速水 やどり:はい。
    速水 やどり:マイナーアクションはなし。
    速水 やどり:メジャー。
    速水 やどり:《弱点看破》Lv6+《アドヴァイス》Lv8+《戦場の魔術師》Lv3
    速水 やどり:対象3体のラウンド中攻撃力+18、次のメジャーアクションのダイス+8個、C値-1(下限6)。
    速水 やどり:対象は自分以外のPC3人。これが3回目の使用。戦場の魔術師は残り1回。
    速水 やどり:侵蝕+10して126。
    速水 やどり:(それが、それがどうした……皆さんは、もっと苦しい中で、戦っているんですよ……)血を流しながら、ゆらりと立ち上がる。
    速水 やどり:「皆サん……勝ッて、くだサい……!!」喉に無理矢理手を当て穴をふさぎ、掠れと気泡の混じった……半分声にならない声を上げる。
    速水 やどり:遥か頭上の皆に、物理的には届きもしなさそうなその声は、しかしレネゲイドの伝播で響き渡っていく。
    逆瀬川苗:「勿論」
    逆瀬川苗:「支部長の命とあらば」
    逆瀬川苗:リュウゼツランの残りの液体を自分の喉に流し込む。
    〝ポリスティナエ〟:「ちっ──」舌打ちと共に、人の形を保つ両手が耳を塞ぐ。
    〝ポリスティナエ〟:「小うるさい声が……声がする……!」
    〝ポリスティナエ〟:「私が殺したんだ!」
    〝ポリスティナエ〟:「そのまま死んでいるのが筋だろうが!」
    GM:手番。行動値7〝鎧王蜂〟待機。行動値6,逆瀬川 苗。
    逆瀬川苗:マイターン
    逆瀬川苗:マイナーなし、メジャーで《腐食の指先》。対象ポリスティナエ
    逆瀬川苗:ギチ ギュ 服の中で、筋肉が張る。肉体強化の最高濃度を自己投与した。侵蝕の効果もあって、今の逆瀬川はキュマイラに匹敵する筋力を得る
    逆瀬川苗:16dx9+33
    DoubleCross : (16R10+33[9]) → 10[1,4,4,5,5,6,7,7,7,7,8,9,9,9,10,10]+10[1,6,8,9,10]+5[4,5]+33 → 58

    〝ポリスティナエ〟:暴走中、リアクション不可!
    逆瀬川苗:ダメージ!
    逆瀬川苗:7d10+50
    DoubleCross : (7D10+50) → 33[1,2,7,5,10,1,7]+50 → 83

    〝ポリスティナエ〟:……復活エフェクト無し。また〝女王蜂〟であるポリスティナエの撃破により、他の蜂は戦闘力を失う。
    〝ポリスティナエ〟:あなた達の勝ちだ。演出をどうぞ。
    逆瀬川苗: 
    逆瀬川苗:セコイアの頂点から地上へ、墜落していく“ポリスティナエ”を追いかけるものがある
    逆瀬川苗:リュウゼツランを加工した縄。逆瀬川が弓で射出したものだ。その身をたやすく絡め取り、地面への激突を防ぐ。慈悲か?……否。
    逆瀬川苗:全てを精算させる鉄槌のためだ
    逆瀬川苗:「……お二人共。」
    逆瀬川苗:「もう、終わりです。支部長の所へ、先に……支えてあげて下さい」
    真神コルト:『分かりました……!』逆瀬川さんの声に短く応え、巨木より身を躍らせる。
    真神コルト:あの子が立つ、地の底へ。
    天城康介:『……ああ。頼む、逆瀬川さん……!』
    天城康介:植物が"ポリスティナエ”に追いつくより先に。掴んでいたモノを離し、ずるりと胎内から剣槍を抜いて。
    逆瀬川苗:縄に接続された矢を、天頂へ。先程までは彼女が見下すための領域としてあった、天空の座へ
    天城康介:その身体を、上空へと蹴り上げ。その反動で加速し、落下してゆく。
    天城康介:地上で、自分たちを見守る少女の下へ。
    逆瀬川苗:無論、拘束された“ポリスティナエ”も引っ張られて行く。最早人間ごときの荷重では、逆瀬川の弓威を妨げもしない
    逆瀬川苗:「……お望み通り。あなたの求める空に送ろう。」
    逆瀬川苗:「そして、そのまま言葉を返す」
    逆瀬川苗:自分も落下。地面から三合目あたりで、セコイアを中途で折り飛ばし
    〝ポリスティナエ〟:「ヴォルディアナ! ──お前も来い、この空へ!」
    逆瀬川苗:モルフェウスの力で、全圧縮。超々密度の一矢を構成
    逆瀬川苗:「下らん。」
    〝ポリスティナエ〟:「人の世は終わるかも知れない、神の手で! だが!」
    〝ポリスティナエ〟:「私達が神を殺す! 神に成り代わる! ただそれだけで──」
    〝ポリスティナエ〟:「それだけで世界の形は保たれる! 簡単な話だろう!」
    〝ポリスティナエ〟:絡め取られ、再び空へ打ち上げられる時。
    〝ポリスティナエ〟:〝そのジャーム〟は、あなたに呼びかけた。
    逆瀬川苗:「頭をすげ替えるのは、お得意の技術というわけか」
    逆瀬川苗:「もう、充分だ」
    〝ポリスティナエ〟:「いいや、まだだ!」
    〝ポリスティナエ〟:「まだ足りない、まだ満ち足りない! まだ、まだ、何も終わってはいない!」
    〝ポリスティナエ〟:「お前が生きて居る限り、私の中では」
    〝ポリスティナエ〟:「永遠に、何も、終わりはしない!」
    逆瀬川苗:「良かったな。」
    逆瀬川苗:圧縮した矢が、重力に惹かれて落下していく
    逆瀬川苗:「良い土産になれそうで何よりだ。地獄で元気にやっていくがいい。」
    逆瀬川苗:天に掲げた弓に、矢が収まる。“番えた”。
    〝ポリスティナエ〟:「命を寄越せ、ヴォル・ディアナァッ!!!」
    〝ポリスティナエ〟:崩れかけた体が、禍々しく変色した羽を広げる。
    〝ポリスティナエ〟:人の腕は、脚は、もはや力も入らずに垂れ下がる。
    〝ポリスティナエ〟:異形の姿を照らす光は既に茜色ではない。
    逆瀬川苗:1000トン×9.80665 m/s^2
    逆瀬川苗:その運動エネルギー+逆瀬川の引く力
    逆瀬川苗:全てを“クゥレン・エルヘレン”が受け止め、撃つ
    逆瀬川苗:——支部内の全ての窓ガラスが割れる
    逆瀬川苗:圧倒的質量が、音速を3倍は超えて、空へ駆け上り
    逆瀬川苗:愚か者の肉体を千千に引き裂いて、ようやく爆散した
    逆瀬川苗:「楽しかったか?空の旅は」
    逆瀬川苗:「遊びは終わりだ。似合いの奈落がお前を待っている」
    逆瀬川苗:侵蝕163
    GM:……朝の、晴れ渡る青空に。ここ数日とは違う、白い雲が掛かっている。
    GM:その雲の、ちょうどあなた達の真上にあたる箇所が丸くえぐり取られていた。
    GM:空から振るものは、粉々に砕けたセコイアの木の欠片と──
    GM:たった一対の、蜂の羽。
    GM:混ざり物のにわか雨が止んで、また晴れ空に戻った後には、街の声が聞こえ始めるだろう。
    GM:おはよう。
    GM:悪い夢はおしまいだ。

    バックトラック


    GM:バックトラック!
    GM:Eロイスは
    GM:《予告された終焉》《歪んだ囁き》《破滅の足音》《唯我独尊》《楔の呪い》《更なる絶望》《楔の呪い》《悪意の伝染》《唯我独尊》
    GM:9個。そのうち二つが楔の呪い、ダイス2個相当のものなので、
    GM:合計11個分どうぞだ!
    天城康介:わあい、振るー!
    天城康介:154-11d10
    DoubleCross : (154-11D10) → 154-60[7,1,8,8,6,10,6,1,4,2,7] → 94

    真神コルト:振ります振ります。
    天城康介:よし帰って来た。
    逆瀬川苗:ふります!
    逆瀬川苗:163-11d10
    DoubleCross : (163-11D10) → 163-49[2,3,6,6,8,9,1,1,7,3,3] → 114

    真神コルト:147-11d10
    DoubleCross : (147-11D10) → 147-71[6,4,9,10,7,10,9,5,2,8,1] → 76

    逆瀬川苗:見れる数字になった
    速水 やどり:振りましょう。
    速水 やどり:126-11d10
    DoubleCross : (126-11D10) → 126-72[10,8,3,3,4,5,5,10,6,8,10] → 54

    真神コルト:すごく帰ってきた。
    GM:そのまま通常のロイス分も!
    速水 やどり:残ロイス4本、等倍振り。
    速水 やどり:54-4d10
    DoubleCross : (54-4D10) → 54-22[6,7,4,5] → 32

    逆瀬川苗:一応倍ふり
    逆瀬川苗:114-8d10
    DoubleCross : (114-8D10) → 114-38[6,4,2,3,5,10,4,4] → 76

    逆瀬川苗:帰還!3点
    速水 やどり:3点で帰還。
    天城康介:ロイス4本、等倍振り!
    天城康介:94-4d10
    DoubleCross : (94-4D10) → 94-30[5,9,10,6] → 64

    真神コルト:6個、等倍!
    天城康介:4点域で帰還!
    真神コルト:76-6d10
    DoubleCross : (76-6D10) → 76-39[2,10,7,6,4,10] → 37

    真神コルト:3点!
    GM:OK,では
    GM:そこにシナリオ経験点5、Eロイス11、いつもの5。そこに侵蝕分の経験点を足したのが各人の分け前!
    速水 やどり:24点いただきます!
    逆瀬川苗:24点!
    真神コルト:24点、おいしくいただきます!
    天城康介:は、25点いただきました!
    GM:C((24+24+24+25)/3)
    DoubleCross : 計算結果 → 32

    GM:私は32っぽい
    GM:という訳でお疲れ様でした帰還おめでとう!
    天城康介:わーい!ありがとうございます!
    真神コルト:やったー!!

    共通ED


    GM:巨木の矢が空を貫き、ようやく、あの声が聞こえなくなった。
    GM:速水やどり。あなたはきっと空を見ていたことだろう。
    GM:敵が確かに斃れたと確信できるまでは。
    GM:……そして今、その確信に至った。
    速水 やどり:(……ふぅ)終わった。喉も再生が始まっている。地下階の惨状と、地上階の混乱……あるいはさらなる惨状も、とりあえずは、今ばかりは。
    速水 やどり:「なんとか、済みましたね……」ほんのちょっとだけ、勝利の余韻に浸ってもいいだろう。
    真神コルト:「やどりちゃんっ!!」行きと同様にあちこちを伝って。
    真神コルト:落下の勢いを器用に殺しながら、人の姿に戻った修道女が降り立つ。
    真神コルト:「だっ、大丈夫ですか!? さっき凄い声が……!」
    真神コルト:駆け寄り、おろおろあわあわと。
    速水 やどり:「えぇ、えぇ。なんとか再生も始まりましたから……」まだちょっと掠れの残る声で応じる。
    真神コルト:「もう……! ああ、もう!」今くらいは良いかな、と。己を律する鎖を解き放って。
    真神コルト:ぎゅ、と。小さな体を抱き締める。
    速水 やどり:「わぷ」体温に溺れる。
    速水 やどり:「コルトさんも、無事でなによりです」
    真神コルト:「……天城くんと逆瀬川さんに、助けてもらっちゃいました」ふふ、と笑う。
    速水 やどり:「全く、皆さん頼りになりますね、本当……」こちらも笑みで返す。
    真神コルト:そうして、少女の感触と温もりを味わっていると。
    天城康介:─べき、ばき、と。何かが、具体的には樹木の枝葉が砕ける音が、頭上から。
    天城康介:次いで、聞こえるのは。
    天城康介:「うわああああああああああああああッ!?」
    天城康介:少年の悲鳴と。ふたりのすぐ傍に、何かが落下して。床を砕く音。
    天城康介:落下の最中、何度も枝に引っ掛かったのか。歪な装甲は砕けて落ちて、セコイアの葉が制服のあちこちにこびりついてはいるけれど。
    天城康介:「痛ッ……つ、ぁ……」
    速水 やどり:「こうすけさん!?」抱きしめられたまま、首を向けて。
    真神コルト:「あっ」音の方に目を向けて。
    天城康介:「……ああ、良かっ、た。やどりも、真神さんも」
    天城康介:「無事、だな」
    天城康介:倒れていた身を、なんとか引き起こして。膝に力を入れて、立ち上がろうとして。
    真神コルト:「……おかげさまで」少女をホールドする腕を解く。
    天城康介:「うん。……逆瀬川さんも、きっと、上で。……ああ、本当に」
    天城康介:よかった、と口にしながら。ふらりと、前のめりに─。
    速水 やどり:「わ、わっ……」支えようと前に出るが、子供一人ではとても支えきれない。そのまま一緒に倒れ込まんとして——
    真神コルト:「はい、キャッチです」
    真神コルト:二人分の体重と体温を、胸に預かって。
    真神コルト:「……ただいま。そして、おかえりなさい」
    天城康介:温もりと、柔らかさと、気まずさと、恥ずかしさと。色々なものが、ぐるぐると頭を駆け巡って。
    天城康介:「……うん。ただいま、おかえり」
    天城康介:なんとか、そんな風に。告げられた言葉を、繰り返す。
    逆瀬川苗:そんな中で、スルスルと縄の擦過音が響いて。逆瀬川は縄を使って降りてくる
    逆瀬川苗:着地。「どぉあ!いだだだだだ……」
    逆瀬川苗:地面に転がった。どうやら先程の射出で腰に負荷をかけすぎたようだ
    天城康介:「逆瀬川さんっ!?」
    真神コルト:「……ひゃっ!?」やどりちゃんに何事か囁こうとして、ぎょっとして振り向く。
    天城康介:縋るように寄せていた体重を、なんとか、自分のコントロール下に戻す。
    速水 やどり:「……逆瀬川さんも、本当にお疲れさまでした」労いの声をかける。
    天城康介:「……そうだよな。無茶してたのは、誰か一人じゃあない。誰が欠けたって、きっと」
    真神コルト:「だ、大丈夫ですか? 立てます?」
    逆瀬川苗:「し」
    逆瀬川苗:「しばらくは……厳しいかも…へへへ」
    天城康介:「……今回の無茶とはまた別の話として」
    天城康介:「ちゃんと身体、大事にしてくれよ。ただでさえ細っこいんだから、逆瀬川さんは」
    真神コルト:少しだけ、名残惜しんで。二人から離れて。
    真神コルト:「しっかり……せっかくみんな帰ってきたんですから」逆瀬川さんを支える。
    真神コルト:「逆瀬川さんも、おかえりなさい。……助かりました。ありがとうございます」
    逆瀬川苗:「まあ…だいぶ腹に据えかねましたのでね…へへへ。皆のおかげですよ…」
    真神コルト:「これで、終わったんでしょうか?」空を見上げる。
    速水 やどり:「支部ぐるみの大粘着でしたからね。解決してくれていることを祈るばかりですが」
    天城康介:「……少なくともさ」
    天城康介:「守りたい、っていう想いは、繋げることができた。理不尽に泣かされる女の子は、もういない」
    天城康介:「……それは、うん。喜んで、いいんじゃないか」
    逆瀬川苗:「…そうですね…」
    逆瀬川苗:「第九支部は、ああいう人間に屈しない。へへへ」
    逆瀬川苗:「今後とも、証明していきましょう……」

    ED2


    GM:──地下階、隔離施設。
    GM:あなたがこの場所を訪れるのは、今回の事件においては四度目だ。
    GM:もうそろそろ、見飽きるを通り越して、すっかり慣れ親しんだ光景となったことだろう。
    GM:さて、言い添えておこう。
    GM:あれから数日が過ぎた。
    GM:今、あなたの頭上はきっちりと天井で塞がれている。日光が直接この地下階まで届くような有様ではない。
    GM:外から見えない場所だけに、まだ一部の壁や天井が配管剥き出しだったりもするが、それはさておき。
    湯川 環:「やあ」
    湯川 環:「死んだとは聞かされなかったから、生きているとは思ってたけど」
    真神コルト:「こんにちは。しばらくぶりですね」
    湯川 環:「その後、感染者の増加などは見られるかい?」
    真神コルト:「おかげさまで、その様子はありません。本当にありがとうございました」
    真神コルト:ぺこりと頭を下げる。
    湯川 環:「そうかそうか。……まぁそうだろう。あれで治せなかったら、私の立つ瀬が無い」
    湯川 環:「そんなことを聞いたら能動的に死ぬ前に、羞恥心で悶え死んだかも知れないな」
    湯川 環:「いくら死にたがりでも、その終わりは勘弁してほしい」
    真神コルト:「……貴方が死なないでいてくれて、私も嬉しいですよ」くすりと笑う。
    湯川 環:「体重と体力は大事だ、ということだ」
    真神コルト:「痛感します。……その様子だと、お加減も良さそうですね」
    湯川 環:「ああ。頭もはっきりと働いている。記憶の混濁は一つとして無し」
    湯川 環:「自分のやり残しは無いと断言できる。……だから改めて、あなたに頼みたいことがある」
    湯川 環:「……推測はできるかな」
    真神コルト:「ええ、まあ。──正直な所、二択なのですが」
    真神コルト:「つまり、貴方がまだ当初の通り望んでいるかどうか、ですね」
    湯川 環:「そうだね」
    湯川 環:「正直なところ……私自身に大きな変革が訪れたわけではない」
    湯川 環:「多少なりと働いたとは言え、それで罪が許されるとは思っていない」
    湯川 環:「だから、叶うというのならば」
    湯川 環:「……掃除の手間が省けるのならば、また今ここで喉を裂いているだろうさ」
    湯川 環:「そうしないのは、どうせ治療が間に合ってしまうこと。それであなた達の手間を増やすこと。その二点が大きいね」
    真神コルト:「そうまで、私たちのことを気にかけてくださる。充分すぎるほど、ここでやっていけると思いますけど」
    湯川 環:「ほう? ……それは私に、ここで働けと言っているのかな」
    真神コルト:「……その前に、第九支部としての意向をお伝えしておきましょうか」
    湯川 環:「聞こう」
    真神コルト:「貴方はFH──インリークォセルの構成員でした。しかし、そこでなさったことを反省している」
    真神コルト:「命を絶とうとするほどに。また、今回の事件において、極めて大きな功労者でもあります」
    真神コルト:「まあ、そういう建前はあるんですが。実際のところ……」
    真神コルト:「『特9型』の脅威が完全に去ったか、確認されていない。故に、対抗手段となりうる貴方を手放したくない」
    真神コルト:「……というのが、組織としての判断ですね」
    湯川 環:「ふむ。確かに私に移植した〝カルチャータンク〟式は有効なままだ」
    湯川 環:「単純な効率から言っても、私ひとりを手元に抑えておけば安楽 はづき二人分の〝治療薬〟が生み出せる」
    湯川 環:「それで。私は永久にこの地下に繋がれるということかな」
    真神コルト:「そこは、支部長からも一言いただいておりまして」
    真神コルト:「当面は監視を付けて、支部内で過ごしてもらう……まあ、本当に最初の最初は今の待遇かもしれませんが」
    真神コルト:「そのうち監視付きなら『お散歩』も出来るようになりますよ、ですって」
    湯川 環:「……まだだな」
    湯川 環:「あなた達が相当な譲歩をしてくれているのは分かる。その事実にまず感謝をしよう」
    湯川 環:「だが……望みの通りの死か、それとも監視の目にさらされたままのせいかを比べろというのなら」
    湯川 環:「あなたは忘れているかも知れないが、私も女だよ」
    湯川 環:「加えるに私は研究者の端くれだ。しかも一度は、インリークォを一つの解として導き出したような」
    湯川 環:「尋常を良しとせず異常を好み、好奇心の為に我が身も命も捧げる類いの生き物だ。ならば──」
    湯川 環:仕切り板の向こう、湯川は身を乗り出して、
    湯川 環:「やはりあなたの言葉を聞きたいよ、元シスター」
    真神コルト:「……そうですね。ここまでは、第九支部としての、第九支部エージェントとしての言葉です」
    湯川 環:「ああ」
    湯川 環:「あなたという人間の言葉ではなかったね」
    真神コルト:壁を見る。始末書を書く羽目になった──自業自得だが──穴は、すっかりなくなっている。
    湯川 環:視線を追いかけるように壁を見る──目は、有機物を視る時に比べれば眠たげだ。
    真神コルト:「つまるところ、これです」
    湯川 環:「……?」
    真神コルト:「やどりちゃんを救ってくれた貴方を穿つ手を、私は持たない。私は、貴方を殺さない」
    真神コルト:「もし、貴方が自死を選んでも、私の目が、耳が、手が届く限り、止めましょう」
    真神コルト:「そして……そうですね。貴方のお話を聞いて、お望みならお説教でもしますよ」
    湯川 環:「ふむ」
    湯川 環:「つまり、私が面倒なことをするたび、あなたが会いに来るというわけか」
    真神コルト:「お説教とか、げんこつとか、慣れっこなんです。以前、施設で子供の面倒を見ていましたから」
    湯川 環:「それは私の自死を妨げるどころか、促す効果になるかも知れないな」
    真神コルト:「あら。私のお説教はそれほどお気に召さない?」
    湯川 環:「あなたは言葉の因果関係を紐解く訓練を積むのが良いだろう……それはさておき」
    真神コルト:冗談が通じませんね、と肩を竦める。
    湯川 環:「あなたが楔となるというのなら、それは一つの正解かも知れない。私は未だ、あなたに対して解けぬ疑問を持っているからだ」
    真神コルト:「……以前にも話した、信仰について?」
    湯川 環:「ああ。あなたは神、または主の存在を、心から信じたことはなかったかもしれないと言った」
    湯川 環:「にもかかわらずあなたは、人生のある時点までは、信仰の道を歩むものだったと言う」
    湯川 環:「そして今、あなたはその道にいない」
    湯川 環:「もし私が、あなた達に協力すると言うのなら──或いは私の在り方は、あなたのそれに近くなるのだろう」
    湯川 環:「だから、問う」
    湯川 環:「そもそもあなたは何故、信仰の道を歩んだんだ」
    真神コルト:「………」
    湯川 環:「私の場合は単純だ。インリークォのやり方が世界を救うと思っていた。……研究者には居心地の良い場所だったという実利もあるが」
    湯川 環:「純粋で馬鹿な子供の集まりの中。私も全く無邪気な子供のままで、」
    湯川 環:「〝おおきくなったら正義のヒーローになりたい!〟を追求していたのだろうな。……というのが、自己分析だね」
    真神コルト:「……私の方は、つまらない話ですよ。それに、ちょっと長くなります」
    湯川 環:「聞こう。時間はいくらでもある」
    真神コルト:ふう、と息を吐き出して。
    真神コルト:「私、さっき話した施設にいたんです。小さい頃に母親が預けに来て、それっきりで」
    真神コルト:「親代わりに私を育ててくれたのは、親以上に愛情を注いでくれたのは、施設を運営していた修道院の人たちでした」
    真神コルト:「そのうち施設を手伝うようになって、年少の子の面倒を見るうちに……」
    真神コルト:「こんな笑みが顔に張り付いて。言葉遣いもこうなって。中学の頃にはもう、こんな感じでした」
    湯川 環:「張り付いて、というのは」
    湯川 環:「一般的な感性で言うなら、よくないことの形容に使われるように思うね」
    真神コルト:「そうですね。だって、子供たちが私を見ているんですよ? 何かあると、お姉ちゃんって頼ってくるんですよ」
    真神コルト:「いつでも笑顔でいなくちゃ、子供たちを不安にさせてしまうって。そう思っていたら、いつの間にか」
    真神コルト:それが嫌だったわけじゃないんですけど、と、染み付いて離れない笑顔を見せる。
    湯川 環:「ふむ」
    湯川 環:「感情と裏腹の表情を取り繕うことは、よいことであるとは言い切れない」
    湯川 環:「だが。子供達へ配慮をすること自体には、悪感情を抱いていない」
    湯川 環:「……というより。子供達は好きだったのだろうね。これまでの会話と」
    湯川 環:「速水 やどりへ向ける親密な態度からそれが──ああ、邪魔をした。続けてくれ」
    真神コルト:いいえ、と今一度笑って。
    真神コルト:「……私はきっと、私の大好きな人たちと同じになりたかったんでしょうね」
    真神コルト:誰かを助け、誰かを笑顔に出来る、そんな素敵な人間に。
    真神コルト:だから、もし神や主が実在し、正しく人を救う存在だったとしても。
    真神コルト:きっと最期の祈りは届かなかっただろう。信心ありきではない信仰など、そんな末路がお似合いだ。
    真神コルト:「ただ、後悔はありません。一時でも信仰の道を歩んで、得たものはあります」
    真神コルト:「最期に全て失ったけど、それは間違いのないことです。これまで歩んだ道の全てが、今の私を形作っている」
    真神コルト:だからこそ、覚悟の象徴に、この姿を選んだのかもしれない。
    真神コルト:誰かに投げかける言葉に、主の教えを選んでいるのかもしれない。
    湯川 環:「──なるほど。なるほど、なるほど、そういうことか」
    湯川 環:「ありがとう。私はあなたという人間に対して、そしてあなたが思う信仰の形に対して、一つの仮定を得た」
    真神コルト:「もっときちんとした理由を期待していたのかもしれませんけど。私はこんな、ふんわりした人間ですよ」
    湯川 環:「いいや、十分以上の理由だ。おそらくあなたは信仰というものを、信仰者以上に申請視しているのだろう」
    湯川 環:「……ああ。だが、これ以上の仮定を述べることは差し控えよう。私の理解はまだ表層的なものであり」
    湯川 環:「これ以上に理解を深める機会が、私には与えられているからだ」
    湯川 環:「……真神さん」
    真神コルト:「はい、湯川さん」
    湯川 環:「第九支部の申し出を受けよう」
    湯川 環:「端的に言って、今。私はあなたという人間への興味を抱いている」
    湯川 環:「あなたという人間が完全に停滞するか、さもなくば命を失うか。そのような事が無い限り」
    湯川 環:「私は、あなた達が落胆するような行動は取るまい」
    湯川 環:「……一応希望するなら。風呂場は監視を無しにしてほしいがね。カミソリは持ち込まないから」
    真神コルト:「……ああ……それは、まあ、はい、まあ……一応、具申はしておきます」
    真神コルト:自分が覚醒した時、監視が付いている間はどうだったかな……などと思い出しながら。
    湯川 環:「頼むよ。それ以外の監視は我慢しよう。……まぁ、何、人手不足の支部だ。腕前を見せて信用を勝ち取る自身が、無いとは言わないけどね」
    真神コルト:「そうですね。せっかく貴方の道の先が繋がったんですから、ぜひそうしてください」
    湯川 環:「道の先──か」
    湯川 環:薄く……ほんの薄く、その唇が弧を描いた。
    湯川 環:それは一瞬の事で、浅く小さな変化に過ぎなかったが、
    湯川 環:確かに湯川 環は笑ったのだ。
    湯川 環:「……随分と時間をもらってしまった。私も退屈していたのだね」
    湯川 環:「楽しい時間だったよ、コルトさん──そのお礼という訳じゃあないが、ひとつだけ」
    真神コルト:「いいえ……はい?」
    湯川 環:「あなたはもしかすると、信仰とは神に向けるものだと思ってはいないかい?」
    真神コルト:「……一般的に信仰とは、そういうものかと。私の祈りは、どうやらそうではありませんけど」
    湯川 環:「私の解釈では、そうではない」
    真神コルト:「伺いましょうか」
    湯川 環:「前提として──宗教は人間の心が作りだしたものだ。ならば」
    湯川 環:「何故、宗教は生み出された?」
    湯川 環:「これを、神学だとか文化だとかの専門家に向ければ貴重な意見が得られようが、私はこう定義する」
    湯川 環:「宗教とは、人間が幸せになるために作られたのだと」
    湯川 環:「神という概念すら、その為の補助器具に過ぎないのだ──と、ね」
    真神コルト:「そうですね……」
    真神コルト:「ええ、素敵な考えです。人の寄る辺であれば、人の心を救うものであれば、と私も思いますよ」
    湯川 環:「……ああ。つまりだ、信仰を向けるべき先は、神などではないんだよ」
    湯川 環:「最初のどこかの誰かが、百万遍の嘘偽りを並べてでも幸せにしてやろうと思いついた相手」
    湯川 環:「つまりは、人間だ」
    真神コルト:「汝の隣人を愛せよ、ですか」
    湯川 環:「……ああ、なるほど。最適な言葉があるんじゃないか」
    湯川 環:「良い言葉だ。……だからね、信仰を捨てたなどと言うことも無いのだ、と私は思うんだよ」
    湯川 環:「神という概念に落胆し、見限ってしまったとしても」
    湯川 環:「私のような赤の他人を救おうとするあなたの行為は、きっと信仰者と呼ぶに相応しいのだろうから」
    湯川 環:「……ということを、言いたかった」
    湯川 環:「宗教者の祈りは決して、現実を改変することはない」
    湯川 環:「だが、行動は現実を改変する。そうだろう?」
    真神コルト:「……ええ。ええ、そうです。そうですとも」
    真神コルト:だから私は、己の異能を、破壊と暴力をもって、戦うのだ。
    真神コルト:「貴方と話せて、良かったです。背教者の名を背負ったとしても──」
    真神コルト:「私は胸を張って、この道を歩いて行けます」
    真神コルト:……その時を見計らったかのように、面会時間の終了を告げるアラームが鳴る。
    真神コルト:「ここまで、ですね。それでは私、失礼します。これでも正規のエージェントですから、次の予定もあるというもの」
    真神コルト:そう言って席を立ち。一礼して、ドアを開け。
    真神コルト:「あ、そうだ」
    湯川 環:「そうか。また暫く、退屈な時間を耐えることになりそうだ──ん?」
    真神コルト:くるりと振り返って。
    真神コルト:「一つ、訂正しておきましょう」
    湯川 環:「ほう」
    真神コルト:「私、やどりちゃんと出会ってこの方、子供扱いしたことなんて一度もありませんよ?」
    真神コルト:「あの子は、そう──」
    真神コルト:「私が恋い焦がれる、最愛の人……ですから」
    湯川 環:「……………………」
    湯川 環:「…………」
    湯川 環:「……道徳的にどうなんだそれは……?」ぼそり
    真神コルト:「オーヴァードの世界は、一般的なそれとはかけ離れているそうですよ?」
    湯川 環:「す、すまない。あまりの事に少々動揺してしまった……ああ、いや、その」
    湯川 環:「……うん。公序良俗に反しない範疇で……ね……?」
    真神コルト:ふふ、と目を細めるその笑顔は。
    真神コルト:おそらく、それまでで一番美しく見えた……かも、しれない。

    ED3


    GM:──第九支部内、治療室。
    GM:速水 やどり。逆瀬川 苗。
    GM:見舞いに訪れたあなた達は、ベッドの上に胡座をかいて漫画本を読んでいる少年から、こんな第一声を受けるだろう。
    駒 隆広:「おい、あの木はなんだよ!?」
    駒 隆広:「危なく部屋の外に持ってかれそうになったんだけど!?」
    逆瀬川苗:「何でしょうね…あいたた……」
    速水 やどり:(あ、シラを切り通す気ですか)
    逆瀬川苗:「全力を出した結果ですのでね……はい」
    速水 やどり:「……この支部のピンチでしたので。使える手は、なんでも使ったまでです」
    逆瀬川苗:魚肉ソーセージ食べてる
    駒 隆広:「……ファルスハーツの仕業か……? やっぱりあいつら、悪いやつらなんだな……」
    駒 隆広:と言った少年が、なんとなく二人の言葉のニュアンスを受けて
    逆瀬川苗:大技を連射したのだ。体重が2Kg落ちている
    駒 隆広:「……ん?」
    駒 隆広:「……まさか」じっとりとした目を、あなた達二人に向ける。
    速水 やどり:「えぇ。必要とあらば。そして、必要でしたので」その視線を平然と、真正面から受け止めて言う。
    逆瀬川苗:「へへへ」
    駒 隆広:「マジか……UGNって思ってたよりヤバいな……」
    駒 隆広:ものすごく深刻な声音であった。
    速水 やどり:「……まだ、一定の評価をしていただけていたことに感謝するばかりですね」
    駒 隆広:「うちの母さんもUGNだしな……もうちょっと安全な仕事してるんだと思ってたけど」
    駒 隆広:「〝支部が壊れたから修繕の手伝いに行ってくる〟って朝っぱらに言われたりしたら、さすがに驚くだろ」
    逆瀬川苗:「この市は、たまに物騒なんですよねえ……」
    速水 やどり:(たまに、で済んでますかね、これ)
    駒 隆広:「たまに、じゃないだろ」
    駒 隆広:「どう考えても〝たまに〟じゃないだろ」
    速水 やどり:「……だとしても。日常を護るのが、我々です。それは、何度だって言いますとも」
    駒 隆広:「日常……か」
    駒 隆広:「それって、レネゲイドが無いように見える世界のこと……なんだよな?」
    速水 やどり:「はい。いずれは、その先にある景色のために。……まずは、今のままの日常を」
    駒 隆広:「その先って、何年くらい掛かるかな」
    逆瀬川苗:「何年かかるでしょうねえ」
    駒 隆広:「8年は掛かる?」
    速水 やどり:「……正直、どれだけかかるか、あるいはいつ突然訪れてしまうのかも、想定も出来ませんが。なぜ8年と?」
    駒 隆広:「母さんが、高校だけは出ておけって言ってた」
    駒 隆広:「その後は、俺が好きに決めていいって」
    駒 隆広:「だから、8年経ってもまだUGNがあるんだったら……俺、UGNに入ろうと思う」
    逆瀬川苗:「それはそれは…」
    速水 やどり:「ふふ。その折は勿論、歓迎しますよ」何がなんでも世界を護らなければならない理由が、また一つ。増えてしまった。
    駒 隆広:「ああ。だからさ、父さんのコードネーム、他の人が使わないように取っておいてくれよ」
    駒 隆広:「その時に、俺が使うから」
    速水 やどり:「はい。お待ちしています」
    駒 隆広:「頼む──」
    駒 隆広:発した言葉を、少年は途中で飲み込み、
    駒 隆広:ベッドから降り、真っ直ぐ背筋を伸ばして立ち、あなた達を見据えた。
    駒 隆広:「……ひどいことを言ったの、ごめんなさい。それと」
    駒 隆広:「ありがとうございました」
    駒 隆広:頭を下げる。
    駒 隆広:……そのまま、暫く俯いて。顔を上げようとはしない。
    駒 隆広:肩は震えている。拳は握られているが──涙をこぼしてはいない。
    駒 隆広:ぎゅっと唇を引き結んで、少年は耐えていた。
    逆瀬川苗:(8年後………)
    逆瀬川苗:(33歳か…………)
    逆瀬川苗:「……ええ、はい。待っておりますよ。我々は」
    逆瀬川苗:「あなたが、まだ戦う意志をそこまで持てているのならば」
    逆瀬川苗:「誰が、何と言おうと……仲間たりえます……」
    速水 やどり:「……えぇ。時が来たならば。共に戦いましょう」
    駒 隆広:「お願いします」
    駒 隆広:そう言って少年はベッドの上に戻り、あなた達に背を向けた。
    駒 隆広:先ほどまで読んでいた漫画本に手を伸ばし、ぱらぱらと数ページだけを捲り、
    駒 隆広:……それをすぐベッドの上に放り出して、腕で目元を拭った。

    ED4


    GM:さて。
    GM:一応、外部の人間を一時的に滞在させる為の、言うなれば客室のような場所である。
    GM:第九支部。オフィスビル的な構造の建物の中にある、比較的簡素な印象を受ける部屋で、
    GM:ついでに言うならば結構な被害を被って急遽再建した後なので、真新しい壁紙の匂いもあるのだが。
    GM:今。その匂いが気にならないほど、この部屋には──
    安楽 はづき:「んぐ、んぐ、むぐ……んくっ、ん」
    GM:唐揚げ弁当の匂いが充満していた。
    GM:……尚、現在は三つ目の蓋が開いたところである。
    天城康介:「……うん。よく食べるのはいいことだし、いくらだってご馳走してやるつもりだ。でもな」
    天城康介:「ほんとにから揚げ弁当ばっかりいくつも食べる奴がいるか……?」
    天城康介:怒っているのではない。呆れ半分、楽しさ半分。それに加えて、まあ。
    天城康介:諸事情で、ここのところ劇的に改善されつつある自分の食事情と比べて。あまりに偏り過ぎた食事が、心配でもあって。
    安楽 はづき:「美味しいから良いんです!」きっぱりと、力強い宣言。
    天城康介:「あ、ああ……」
    安楽 はづき:「凄く美味しいからいいんです……ん、む」ペットボトルのお茶を手に取って、
    安楽 はづき:「ん、んく……ぷ、はーっ」
    安楽 はづき:輝けるばかりの笑顔であった。
    天城康介:こうもきっぱり言われては、反論の余地もない。それに、まあ。
    天城康介:「……いいよな。笑ってるんだから」
    天城康介:それが、何よりも嬉しくて。
    安楽 はづき:「はい! ……まだちょっと、現実的な問題は目の前に色々広がってますけど」
    安楽 はづき:「とりあえず今は、ごはんが美味しいからいいんです!」
    天城康介:「うん。でもな、安楽」
    安楽 はづき:「ん?」頬袋にたんまり白米をため込んだまま
    天城康介:つん、と。己の頬を、人差し指で突いて、それを示すようにしながら。
    天城康介:「弁当、ついてる。女の子だから……ってワケじゃあないけど、気にしてくれ。頼むから」
    安楽 はづき:「……………………」
    安楽 はづき:指で、ひょいと頬についた米粒を摘まみ取り
    安楽 はづき:ごくん、頬袋の中身を飲み込んで
    安楽 はづき:「食べます?」
    天城康介:「どこで覚えてきたそんなの!?いや言わなくていい、あいつだな!?」
    安楽 はづき:「あはははは、バレてるー!」
    安楽 はづき:笑いながら、結局はその米粒を自分の口に放り込む。
    安楽 はづき:三つ目の弁当が空になって、それでようやく空腹が解消されたのであろう。ふぅ、と一息ついて、
    安楽 はづき:「ごちそうさまでした! ……普通に食べるご飯って、美味しいですねぇ」
    安楽 はづき:目を細めて、幸せの余韻に浸る顔。
    天城康介:「……うん。それにな」
    天城康介:「誰かと……大好きな人と一緒に食べるご飯も、とても美味しいんだ」
    天城康介:自分の分のお茶を、ひとくちだけ口にする。
    安楽 はづき:「ほー」フクロウのように縦に首を動かして頷く。
    天城康介:「む。その顔、半分くらい信じてないな」
    安楽 はづき:「んー。信じてないと言うより、よくわからないって言いますか……」
    安楽 はづき:「だって私、ちょっと前までずっと檻に入ってたんですよ? そんなの知ってるわけ無いじゃないですか!」
    安楽 はづき:……と、やけに明るく言う。
    安楽 はづき:「……それとも。天城さんが教えてくれるんですか?」
    天城康介:「……うん。そりゃ、そうだ」
    天城康介:こちらも、努めて。ごく自然な会話のように、さらりと受けて。
    天城康介:「……誰と一緒なら美味しいかとか。誰と一緒なら、楽しいかとか」
    天城康介:「誰と一緒なら、幸せだ、っていうのは。……やっぱり、自分で探すしかないんだと思うよ」
    安楽 はづき:「無責任なー」
    天城康介:「あのなあ。もしここで、俺が安楽を口説いたりしてみろ。多分、次の瞬間には、俺の頭に─」
    安楽 はづき:「大丈夫です」
    安楽 はづき:「……そういう方向の〝好き〟を期待してる訳じゃないですから」
    安楽 はづき:「それは私、天城さんのことは大好きですよ。私を助けてくれた他の人も、この支部の人はみーんな」
    安楽 はづき:「だから、みんなでご飯が食べられれば、それできっと。天城さんの言うようなこと、分かるかなって思います」
    天城康介:「……そっか」
    天城康介:その、言葉に。ようやく、心底安堵したという風に。
    天城康介:「良かった。安楽が、誰かを好きだって思ってくれていて」
    安楽 はづき:「はい」
    安楽 はづき:「好きな人だって、好きなことだって、いっぱいあったし、いっぱいあるし」
    安楽 はづき:「これからやりたいことだって……今はたくさん思い浮かんでます!」
    天城康介:「……ああ。ここの支部の人たちは。やどりたちは、きっと」
    天城康介:「安楽の"やりたいこと"を、応援してくれる。好きなことを見つける手伝いだって、してくれる」
    天城康介:「もちろん、俺もな。……イリーガルだから、ここにずっと詰めてるわけじゃあないけれど」
    天城康介:「また、会いに来て、いいかな」
    安楽 はづき:「はい、もちろん! ……とは言っても、私もいつまでもここでお世話にはなれませんし」
    安楽 はづき:「働き口と……住むところを見つけたら、そしたら連絡します」
    天城康介:「そうだな。じゃあ、その時は。就職祝いと引っ越し祝いだ」
    安楽 はづき:「そしたら今度は、ちゃんと私のお金でご飯を買って──」
    GM:その時だ。
    天城康介:「……から揚げ弁当で良かったら、次も俺が─」
    GM:天城 康介。あなたの私用端末にメッセージが届く。
    天城康介:「……うん?」
    GM:内容と差出人は、以下の通りだ。
    御鳴 鳴唯:『入り口のロビーにいる』
    GM:普段の言葉のように、極めて簡素な文面であった。
    天城康介:「……悪い、安楽。ちょっと行ってくる」
    安楽 はづき:「はい! ……ありがとうございました、天城さん」
    安楽 はづき:「また会いに来てくださいね!」
    天城康介:「うん、必ず会いに来るよ。それまで、お互いに─」
    天城康介:「元気でな、安楽」
    天城康介:お互い、笑顔でそう告げて。
    GM:……そうしてあなたは部屋を去り、安楽 はづきは一人残される。
    GM:少女は膨れた腹を満足げにさすり、幸福感を目一杯に示す微笑みを浮かべて呟いた。
    安楽 はづき:「だいじょうぶ、私は分かってます」
    安楽 はづき:「助けてもらった感謝を、その他の感情と間違えてはいけません」
    安楽 はづき:「天城さんも困ってそうでしたし」
    安楽 はづき:ペットボトルのお茶の中身、残った分を一息に飲み干して、
    安楽 はづき:「んー……ちょっとだけ美味しくない」
    安楽 はづき:「ごちそうさまでした」

    GM:第九支部、一階。即ち、通常の企業のオフィスロビーのような場所。
    GM:その端の方にあるソファに、あなたが探す人物は腰掛けていた。
    御鳴 鳴唯:「……こっち」片手をひょいと上げて、手招きをしながら。
    天城康介:ああ、と。短く答えて、招きに応じる。
    御鳴 鳴唯:「安楽の調子、どうだった?」
    天城康介:「……笑ってたよ。楽しそうだった。それに」
    天城康介:「これからのことを、話してくれた」
    御鳴 鳴唯:「……そう。良かった」
    御鳴 鳴唯:「先のことを考えられる子は」
    御鳴 鳴唯:「あの路地裏には、似合わない」
    天城康介:「……そうだな。だから」
    天城康介:「やどりや、あざみさんに出会った後の俺は。あそこには、いられなかったんだ」
    御鳴 鳴唯:「……………………」
    御鳴 鳴唯:「……ふたり、か」
    天城康介:「そうだよ。……どちらかだけだったら、助けられただけで終わったか、それか……」
    天城康介:─お互いを、誰かの代わりとしか見れずに、そのまま─。
    天城康介:「……うん。今みたいな関係には、なっていなかった」
    御鳴 鳴唯:「……はぁ」
    御鳴 鳴唯:ポケットに手を入れる。
    御鳴 鳴唯:……取り出したのは、〝あの時〟に使った折りたたみナイフだ。
    御鳴 鳴唯:無論、刃は伸ばしていない。それを天城の手へ押し付けて。
    御鳴 鳴唯:「……聞こうと思ってたことがある」
    天城康介:「何だよ。改まって」
    天城康介:妙にしっくりと手に収まるそれを、受け取って。二度三度と、握り込みながら。
    御鳴 鳴唯:「……先に言うと。これは、知り合いの色恋沙汰が気になるとか……そういう話じゃない」
    御鳴 鳴唯:「少しの間でも、同じ場所で生きてきたあなたにだから、聞くこと」
    御鳴 鳴唯:「天城。……あなたは、速水 やどりと結婚するの……?」
    天城康介:「……そう出来れば、いいと思うよ。あと7年経ったら、やどりも、それを望むと思う」
    御鳴 鳴唯:「そう」
    天城康介:「当たり前の幸せ、のゴールのひとつだから。……けれど、俺は」
    天城康介:「幸せになって欲しい人が。幸せにしたい人が、ふたり、いる」
    御鳴 鳴唯:「楊原 あざみ?」
    天城康介:「ああ。当たり前の幸せを味わわないまま、大人になってしまったあざみさんに」
    天城康介:「当たり前の幸せを取り上げられたまま、大人になろうとしたやどりに」
    天城康介:「……当たり前の幸せを、一緒に探せる大人に。俺は、なりたい」
    御鳴 鳴唯:「……その大人になるまでに、何年かける予定?」
    御鳴 鳴唯:「速水 やどりと結婚できるまで7年……なら」
    御鳴 鳴唯:「楊原 あざみの方は? ……彼女は今、何歳なの?」
    天城康介:「……30を超えて。あんな身体だから、相当、無理もしてると思う」
    御鳴 鳴唯:「30過ぎ…………そう」ほんの少し、目を伏せて
    御鳴 鳴唯:「……そのナイフ、あげる」
    御鳴 鳴唯:「あなたが一度、選んだ証に」
    御鳴 鳴唯:そう言って、ソファから立ち上がった。
    天城康介:「……鳴唯はさ。前も今も、俺より年下なのに、色々考えてて。かけてくれる言葉の真意は、絶対教えてくれなかったけど」
    天城康介:「友達を裏切るようなことは、絶対にしなかった。それだけは信じてるし、有難いと思ってる」
    天城康介:「……大丈夫。決めたことは、忘れない」
    御鳴 鳴唯:「少し違うかも。……友達だと思ってた相手はいなかった。けど」
    御鳴 鳴唯:「たぶん、誰かに手を放されるのが怖くって、だからこっちから手を放さなかった」
    御鳴 鳴唯:「けどね、天城」
    御鳴 鳴唯:「私達の手はそんなに長くもないし、多くもない」
    御鳴 鳴唯:「それに……あなたと、速水やどりと、楊原 あざみと……」
    御鳴 鳴唯:「7年の価値はたぶん、3人に平等じゃない」
    御鳴 鳴唯:「……親子くらい歳の離れたふたりが、ひとりの男を分け合うなんて、〝当たり前の幸せ〟とは思えない」
    御鳴 鳴唯:「そう、言いに来た」
    天城康介:「……うん。受け取るよ、その言葉。……今すぐに何かを決めることは、できないけれど」
    御鳴 鳴唯:「うん。……でも、いつかは決めないといけない」
    御鳴 鳴唯:「十代の、まだ行く道を選べる子供のためにも」
    御鳴 鳴唯:「三十代の、まだ引き返せるかも知れない大人のためにも」
    御鳴 鳴唯:「……もしかしたら、いつか生まれてくるあなたの子供のためにも」
    御鳴 鳴唯:「けど、お願い」
    御鳴 鳴唯:「私みたいな子供だけは、増やさないで」
    天城康介:「……ずるいよ。お前自身を、引き合いに出すのは」
    天城康介:分かった、と言葉にはしないけれど。確かに深く、頷いて。
    御鳴 鳴唯:「今、あなたにだけは〝ずるい〟って言われたくないけど──いいよ」
    御鳴 鳴唯:「安楽を助けてくれた」
    御鳴 鳴唯:「……それに免じて許しても、もうちょっとお釣りが出る」
    御鳴 鳴唯:「……ありがと」
    御鳴 鳴唯:歩き始める。
    御鳴 鳴唯:いつぞやのように、姿を消して、足音を消していくのではない。
    御鳴 鳴唯:普通の人間のように歩いて、街の風景に消えていく。
    天城康介:その背中を、幻を見ているような気持ちで見送る。
    天城康介:けれど、手の中の、刃を畳んだナイフは現実のもので。今しがた交わした言葉も、そうだった。
    天城康介:─ああ、だから。こんな時には。
    天城康介:「こっちこそ。ありがとう、だ。……ああ、くそ」
    天城康介:「……言い損ねたな。友達は大事に、って」
    天城康介:感謝と、悪態と。そのどちらにも。親愛、と呼んで差し支えないであろう気持ちを、込めて。

    ED5


    GM:──さて。
    GM:逆瀬川 苗。これはまた少し時間が過ぎた後のことだ。
    GM:あなたは侵蝕率軽減の期間を兼ねて、休暇を得た。
    GM:休日に、無理に支部に留まっていることもあるまい。
    GM:という訳で外出を推奨したいのだが──休日の過ごし方はどのような具合かしら?
    逆瀬川苗:目立ったことはしないですかね
    逆瀬川苗:日課の鍛錬をして、喫茶店で甘いものでも食べてるでしょう
    GM:おーらい、ならば喫茶店としよう
    GM:あなたは喫茶店で、何かその日に気になった甘味をもぐもぐ食べていたのだ。
    逆瀬川苗:抹茶づくしセット
    GM:すると──今回は窓際の席だったことにして欲しい──すぐ傍の窓ガラスを、こつこつと叩くものがある。
    鏑木 鵠:見れば、鏑木がいつもよりは眉間の皺が少ない顔で立っていた。
    逆瀬川苗:「ふへぇ……」
    逆瀬川苗:「何でしょうね……」
    逆瀬川苗:取り敢えず店の中に招く
    鏑木 鵠:ほどなくして鏑木は、あなたが座る席の正面にやってくるだろう。
    鏑木 鵠:そして声を潜めて、「お疲れ様です。休暇中にすいません」と呼びかける
    逆瀬川苗:「どうしましたか?急に……」
    鏑木 鵠:「あんまり気にしないでください。通りかかっただけですから……あ、でも」
    逆瀬川苗:「やはり抹茶は冷たいタイプのものが多くて口がひんやりしますね…ウェハースを食べてリセットするといいんですよね…」
    鏑木 鵠:「通りすがりですけど言いたいことはありますよ。食べるのを邪魔はしませんけど」
    鏑木 鵠:「……わざわざ言わなくても気にしなさそうですね!」
    鏑木 鵠:「……変に気をつかうこともありませんでした。ほんとにもう……」
    逆瀬川苗:「へへへ」
    逆瀬川苗:「言いたいことってなんですか?始末書は勤務時間内に書いてるので気にしないでいいですよ…」
    鏑木 鵠:「あれについては別口で文句があります! 流石に死ぬかと思いましたよ!」
    鏑木 鵠:「……こほん、そうじゃなくって」咳払いを一つ挟み
    鏑木 鵠:「……随分、今回は無茶をしましたね」
    逆瀬川苗:「バカにされれば誰だって不快でしょう…」
    鏑木 鵠:「それだけにしては、無茶の度合いが過ぎます。……一応は戻ってこれたからいいようなものの、結構な危険域でしたからね」
    逆瀬川苗:「随分と、長いことバカにしてきましたからね…あの人は。かなりはしたなく憤激しました…」
    鏑木 鵠:「あの人……〝ポリスティナエ〟ですか」
    逆瀬川苗:「はい…あの領域まで行ったのは……さすがに1度や2度程度でした……」
    鏑木 鵠:「……〝戴冠計画〟の参画者のひとり、だとか」
    逆瀬川苗:「計画は以前の事件で他のエージェントである“エフェソス”が語っておりました」
    逆瀬川苗:「合計で7体。特定の生命種を追求した個体を持って“神”を穿つ、と」
    鏑木 鵠:「資料に記載されてる分は確認しました。……エフェソスのものは、哺乳類でしたか」
    逆瀬川苗:「はい…戦闘中にも口走りましたね。」
    鏑木 鵠:「逆瀬川さんも、その個体は直接確認したのですか?」
    逆瀬川苗:「“ポリスティナエ”が冠生物だと主張するものは繰り出しては来ませんでした。おそらく、蜂だと思うのですが……」
    逆瀬川苗:「以前の事件では、東雲君が対応したもので直接は見ておりません……」
    鏑木 鵠:「なるほど。そこに気付いてたんですね、逆瀬川さん」
    逆瀬川苗:「哺乳類の冠生物、“イェソド”……聞く限り、相当な異形でした。初期のうちに処置出来たから良かったものの、雪だるま式に影響規模を広げる機能を持っておりました。」
    鏑木 鵠:「それに比べれば、〝ポリスティナエ〟の蜂は──」
    鏑木 鵠:「率直な言葉を使うなら、〝イェソド〟ほどの脅威ではなかった」
    鏑木 鵠:「……と?」
    逆瀬川苗:「………鵠ちゃん。インリークォは……どういうセルですか?」
    鏑木 鵠:「生物兵器を生み出し、その力でやがて〝神〟に対抗しようという技術者の集団──と認識しています」
    鏑木 鵠:「その本質は、創造する者……と」
    逆瀬川苗:「はい……極端な考え方をすれば、彼らは……生物の強弱を、本質的には求めていない」
    逆瀬川苗:「“イェソド”本体は、極めて弱かった、と“バルカノーツ”から聞いておりました……それの生み出す個体が、敵対者を写し、脅威となる、と。」
    鏑木 鵠:「生み出したいのは、あくまでも種族」
    逆瀬川苗:「生物的な防衛機能は、彼らにとってパーツの一つでしかない。それが兵器として運用されるものだとしても」
    鏑木 鵠:「単一個体の性能にはそこまで拘りが無い……?」
    逆瀬川苗:「性能は…まあ、こだわりがあるでしょう。それが、戦闘能力に限らないということです…現にインリークォが開発した生物でも、無害な個体はいたりしますからね…」
    鏑木 鵠:「なるほど、なるほど。さすが逆瀬川さんの見解です、勉強になります」
    鏑木 鵠:ほがらかに微笑んで、鏑木は言う。
    逆瀬川苗:「へへへ……まあ、憶測にすぎませんが…」
    逆瀬川苗:「…私が言いたいのは……そういう、“凝り性”とでも呼べるものが、“ポリスティナエ”の繰り出す個体からは余り感じられませんでした…」
    鏑木 鵠:「ええ。ならばつまり、こういうことでしょう」
    鏑木 鵠:「あれは〝冠生物〟ではない」
    逆瀬川苗:「そうです。」
    逆瀬川苗:「間違いなく“イェソド”よりも、あの生物群は強かった…と思われます……ですが、そういうことではない」
    逆瀬川苗:「こと、あの人間が生み出す悪意が……あの程度で収まるとは思えませんでした……」
    鏑木 鵠:「あの程度のものが、〝冠生物〟である筈はない──ええ、全く同意です」
    鏑木 鵠:「そもそもですね、根本的なコンセプトが間違っています」
    鏑木 鵠:「虫の強みとは、小さいことでしょう?」
    鏑木 鵠:「小さく、数が多く、どのような場所にでも入り込む。」
    逆瀬川苗:「………」
    鏑木 鵠:「あのように肥大化し、一個体の力で全てを解決しようという試みは」
    鏑木 鵠:「兵器として有効ではあっても、〝虫〟の王としては決して優れていると……私は思いません」
    鏑木 鵠:「でもきっと、あの人もそれを理解してたと思うんですよ」
    逆瀬川苗:「…えらく、鵠ちゃんは……肩を持ちますね」
    鏑木 鵠:「そうですかね?」
    鏑木 鵠:「ううん、そんなつもりはないんですが。愛着というものはやっぱりあるんでしょうか」
    鏑木 鵠:「……ああ、そうだ。逆瀬川さん。もう一つだけ聞きたいことがあったんです」
    逆瀬川苗:「…はい」
    鏑木 鵠:「この個体は、何故」
    GM:かたん
    GM:……眼鏡を、テーブルの上に置いた。
    鏑木 鵠:「十分な視力を持っているのに、度の入っていない眼鏡なんて掛けてるんでしょう」
    逆瀬川苗:「それは」
    逆瀬川苗:「お前に女心を理解する気概が無いからだ」
    鏑木 鵠:「……なるほど? すると、お洒落って言う概念なのかな」
    鏑木 鵠:「ごめんなさい」
    ???:「私、まだ人間の思考パターンが良く分かってないみたい」
    逆瀬川苗:「なるほど」
    逆瀬川苗:《ワーディング》
    逆瀬川苗:「あの女の悪意に似つかわしい。随分と悪辣な置き土産をしてくれたな」
    ???:「……そうですか? 私は最大限、人間を尊重するつもりでいるんですが」
    ???:「だからこうして、静かに、他の人に迷惑のかからないように会いに来たんじゃないですか」
    逆瀬川苗:「他種族を乗っ取る。ジガバチのような特性か?」
    ???:「……でも。人間だって馬に馬具をつけて、自分のものにするでしょう?」
    ???:「名前をつけて大事にかわいがって、怪我をしたら看病し、死んでしまったら泣くでしょう?」
    ???:「私も同じです。この個体は気に入りました。傷ついたりしたら、とても悲しいです」
    逆瀬川苗:「そうだろうな。」
    逆瀬川苗:「それはお前たちの種族から見た視界だ」
    ???:「……?」
    ???:「そう言われれば、そうですけど……でも」
    ???:「あなた達だって、牧場を作るでしょう?」
    ???:「畑だって。必要なら木を切り倒して材木にしますし」
    逆瀬川苗:「我々は傲慢たる人間だ。同胞がそのような扱いを受ければ、自らの行為を顧みずに怒る。」
    ???:「……なるほど」
    逆瀬川苗:「これを合理の話と思っている時点で、お前の擬態は不完全だ」
    ???:「人間って、良く分からない生き物ですね」
    ???:「私は人間がしているように、できるだけ人間の価値観に合わせたいなあって、本当に思ってるんです」
    逆瀬川苗:「そうか。」
    ???:「人間が牛馬を愛するように、私は人間を愛します」
    ???:「人間が作物を愛するように」
    ???:「人間が、木材や、金属や、鉱石に感謝を捧げるように」
    ???:「私達はあなた達に感謝し、最大限の敬意を払って生きていきたいんです」
    ???:「……その為に、少しだけ人間を分けてもらう必要はありますけど」
    ???:「数十億の人口から見れば、ほんの少しだけです……いいでしょう?」
    逆瀬川苗:「人間の傲慢さをかけらも理解していない弁舌、ご苦労」
    ???:「……駄目ですかぁ」
    逆瀬川苗:「実際単純なことなのだけれど」
    逆瀬川苗:「二本足で歩いて間もないあなたには、少々説明に時間が掛かりそうね。」
    ???:「そうですね。……でもいつか、分かるといいなぁって思ってます」
    ???:「私、人間が大好きで、大事にしたいと思ってるんです」
    ???:「だから」
    ???:「人間が他の動物にするように」
    ???:「少しだけ、ほんの少しだけ。もらって、大事に使わせてもらいますね」
    ???:「……残念ですけど今は、それが落としどころかなぁって」
    ???:どろり
    ???:……と。
    ???:鏑木 鵠の身体が〝溶け落ちる〟。
    逆瀬川苗:「……!」
    ???:人体が、液体のように崩れていくのだ。
    ???:殺したのか?
    ???:いいや。
    ???:人間に例えて考えてみろ。誰がわざわざ好んで、お気に入りの馬を殺すだろう。
    ???:どろどろに溶けた身体は衣服だけを残して、床の隙間から染み込んで行く。
    ???:きっとそれは、やがては地下の水路に至り──この街の何処かに潜伏するのだろう。
    ???:そして、地下から声がする。
    ???:「初めまして、逆瀬川さん──そして人類の皆さん」
    ???:「私は〝ホド・ネツァク〟」
    ???:「あなた達の良き隣人であろうとするものです」
    ???:と。
    逆瀬川苗:「………」
    逆瀬川苗:…眼の前の皿をすべて空ける。味はしない。
    逆瀬川苗:《ワーディング》を解く前にレジに入って、自らの会計を手打ちで済ませて、その後に支部に連絡を入れる
    逆瀬川苗:「こちら“ヴォル・ディアナ”」
    逆瀬川苗:「R案件発生!“戴冠計画”!」
    GM:第九支部は人手不足だ。
    GM:……今日もまた、新たな事件が発生した。
    GM:日常へおかえり、ヴォル・ディアナ。
    GM:おかえり、穏やかならざる日常へ。



    昨日と同じ今日、今日と同じ明日。
    いつまでもいつまでも、あなた達には幸せに暮らしていただきたいのです。
    だって私は、あなた達のことが大好きだから。

    ──人が〝溶けた〟。
    液体のように、どろどろに成り果てて、地下へと流れ落ちていったのだ。
    UGNはこれを、エージェントからの報告を受けて、インリークォセルの生物兵器の仕業と断定。
    無差別に一般市民を攻撃する〝ホド・ネツァク〟捜索・討伐の為の人員を募る。
    救うべきは無辜の民衆。滅ぼすべきは、相互理解不可能の社会。
    いずれとすべきか分からぬものは、大空に恋焦がれる一羽の鳥。

     12:14
    しかし、
    女は自分の場所である荒野に飛んで行くために、
    大きなわしの二つの翼を与えられた。


    ダブルクロス The 3rd Edition.

    『エクサポーダ・ダイアデム』

    「私は人間が大好きです」
    「決して、あなた達を滅ぼすつもりはありません」
    「……だから少しだけ。私達が生きる為に、人間を分けてくださいね?」

    ダブルクロス、それは裏切りを意味する言葉。



    GM:Dx3rdセッション『僭王戴冠』、一切の行程を終了致します。
    GM:お疲れ様でした!
    天城康介:お疲れ様でしたー!!
    真神コルト:お疲れ様でした!
    逆瀬川苗:お疲れさまでした!
    速水 やどり:お疲れさまでしたー!!