『いただきます』

※このセッションには人命を軽視する描写・台詞、食人描写、残酷・悪意有る描写、その他〝悪趣味〟に分類されるものが含まれます。


PC1:〝イート・ミー(わたしをたべて)〟 :寒林 鎮歌(かんばやし・しずか)(キャラシート)PL:藤(肉球)
PC2:〝タップ・クラップ・ステップ〟 藍谷 瑠璃(あいたに・るり)(キャラシート)PL:とくにな
PC3:〝コルヴァズの剣〟 天ヶ瀬 アマタ(あまがせ・ - )(キャラシート)PL:海野しぃる

メイン雑談

目次

  • プリプレイ
  • OP1
  • OP2
  • OP3
  • シーン1
  • シーン2
  • マスターシーン1
  • シーン3
  • シーン4
  • マスターシーン2
  • シーン5
  • シーン6
  • シーン7
  • クライマックス
  • バックトラック
  • ED1:食後のトークタイム
  • ED2:夜会
  • ED3:〝Cパート〟

  • プリプレイ

    ■トレーラー
    喰うことは快楽だ。
    他の存在を己へ組み込む支配。
    他の存在と己を交わらせる官能。
    生存の為だけに喰らうなど獣の所業。
    人であるからには、喰うことを愉しまねば。

    ダブルクロス The 3rd Edition.『いただきます』

    「子羊のステーキ、ベリーレア」
    「足の本数は知りたいですか?」

    ダブルクロス────それは裏切りを意味する言葉。

    ■自己紹介
    GM:自己紹介!
    GM:そうだな、今回はちょっと捻くれてるシナリオだから順番もひねくれよう
    GM:PC3! 天ヶ瀬 アマタ!
    GM:キャラシURLを張りつつ君から自己紹介をよろしく!
    天ヶ瀬アマタ:うす!
    天ヶ瀬アマタhttp://character-sheets.appspot.com/dx3/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEYhujF0QIM
    天ヶ瀬アマタ:第十二支部エージェント、医療班所属、“コルヴァズの剣”天ヶ瀬アマタ。
    天ヶ瀬アマタ:ピュアウロボロスという貴重なシンドロームの持ち主ながら、普段は医療スタッフの一員として支部の皆の健康を見守っています。
    天ヶ瀬アマタ:特に生傷の絶えない支部ですからね。
    天ヶ瀬アマタ:本人はレネゲイドを自在に操る“申し子”と呼ばれるこれまた貴重なオーヴァードなのですが、普段はその力の大半を殺人衝動の制御に使っています。
    天ヶ瀬アマタ:なので前線に自ら出てくることは基本的にはないのですが理由ができちゃあしょうがねえなあ~~~~~~~~!
    天ヶ瀬アマタ:殺人衝動を抑えずに済みそうですねぇ!
    天ヶ瀬アマタ:性能は低侵蝕のうちからアージエフェクト『鮮血の修羅』を叩き込み、巨人の影でレベルを上げ、クリンナップに大ダメージを出します。
    天ヶ瀬アマタ:妖精の手もたくさん持っているけどあんまり期待しないでくれよな! アタッカーだから!
    天ヶ瀬アマタ:以上です!
    GM:ピュアウロ特権でサイレン持ってきてさらに鮮血の修羅とか酷い
    GM:そして診療所勤務ということで、まぁ
    GM:真っ先に事件に遭遇することになるだろうハンドアウトはこちらです
    PC3:天ヶ瀬 アマタ(PL:海野しぃる)
    ・シナリオロイス:指定なし(任意)

    あなたの勤務先に、宇都宮 零路という患者が搬送される。
    資産家の男、付き添い人は無し。首筋と肩に大きな傷口があり、その深さからは即死さえも有り得たように見える。
    だが男は生きていて、そればかりか容態も安定している。
    UGNのデータにも、この男がオーヴァードだという記録は無い。

    数時間後。男の傷は完全に塞がり目を覚ます。
    男はあなたの喉笛を噛み裂こうとした。

    天ヶ瀬アマタ:なんてことだ……原因を調査し、このようなことが無いようにしなくては
    GM:医療関係の描写は全部任せた!
    GM:はい、という訳でお次ですが
    GM:このまま逆順で良いな
    藍谷瑠璃:「はーい、あたしの出番だね!」
    GM:PC2! 藍谷 瑠璃!
    藍谷瑠璃:あ、もうちょっと右行こ、右
    藍谷瑠璃:被っちゃうのは良くないよ
    GM:同様にURLから!
    藍谷瑠璃:えーと、このへんなら大丈夫かな!
    藍谷瑠璃:「はーい、そんなわけで改めてPC2、UGNイリーガルの“タップ・クラップ・ステップ”藍谷瑠璃です! よっろしくー!」
    藍谷瑠璃https://character-sheets.appspot.com/dx3/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEYspSX4QIM
    藍谷瑠璃:ということで超手癖汎用型おきらくおねーさんでございます。高2の17歳!
    藍谷瑠璃:誕生日が早いのをいい事に同学年までは「あたしのほーがおねーさんですしー?」とか言い出しちゃうタイプです。年齢マウンティングだ!
    藍谷瑠璃:はい、どう考えても明らかにこの表書きとはそぐわないキャラでございます。
    藍谷瑠璃:ひとりくらいそういうキャラがまぎれ込んで、ちゃんとショックを受けてちゃんと怒れた方が引き立つかなって……
    藍谷瑠璃:シンドロームはモルフェウス・ハヌマーンです。まーモル混じりのわりに特になにか作る様子は見せないんですが。
    藍谷瑠璃:能力を使うと何もないところで空中ジャンプを繰り返す感じの挙動を見せます。ブースターとかもありません。ふしぎですね。
    藍谷瑠璃:イージーエフェクトの《軽功》も取ったので名実ともに建物とか登れるやつです! みがる!
    藍谷瑠璃:Dロイスの関係上なんかFHの邪悪研究所でひどい目にあったことがあるらしいので、モル混じりっぽくないのは多分その影響ですね。
    藍谷瑠璃:とはいえここは今回モノローグ以上には触れる気が無いのでそんな感じでお願いします。枝葉だしね。
    藍谷瑠璃:データ的には強さひかえめの小器用なタイプです。
    藍谷瑠璃:目玉としては《砂の加護》で誰でもなんでも判定ダイスを増やせます。なんと最初から+4D! どんどん頼ってくださいね!
    藍谷瑠璃:あと範囲攻撃できます。隠し玉。
    藍谷瑠璃:これは能力の種をバラしちゃうやつなのであんまり使いたがらなかったんですが、今回は160点なので無理を言って搭載してもらいました。
    藍谷瑠璃:そんなとこかな。今回は積んでいたBloodbornを遊んで頭をグロモードに切り替えてきました。我が胃をだめにしてくれ。
    藍谷瑠璃:ではではよろしくお願いします!
    GM:たぶんヤーナムほどグロくはないさよろしくお願いします。
    PC2:藍谷 瑠璃(PL:とくにな)
    ・シナリオロイス:〝夜鳴鶯〟御鳴 鳴唯

    少年少女の行方不明事件は、この街には多い。
    だが、ここ数日で五件ばかりが連続した。これは偶然とは思えない。
    心を痛めていた矢先、あなたはとある任務に召集され──

    ──そして、何らかの関係の知人である、御鳴 鳴唯に相談を持ちかけられる。

    「スナッフフィルムって……知ってる……?」

    GM:えー、そしてハンドアウトはこちらなのですが、改めてメインタブでお聞きしますと
    藍谷瑠璃:スナック? お菓子の話かな???
    GM:シナリオロイスとの知人具合はどれくらいにしましょうかしら
    藍谷瑠璃:少なくともこちらからは話しかけるし友達だと思ってるし、何かあったら(特にUGNに言いづらい事なら!)頼ってねって言ってる、くらいでどうでしょう
    GM:OK,そんな具合でいきましょう
    GM:少し前まではだいぶとげとげしかったが、最近割と丸くなってきたくらいの認識でどうぞ
    GM:ということで
    GM:はいラスト!
    GM:PC1、寒林鎮歌!
    寒林鎮歌:はい!
    寒林鎮歌http://character-sheets.appspot.com/dx3/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEY46Pj2QIM
    寒林鎮歌:「ンエェ……自己紹介?」舌打ち。
    寒林鎮歌:苦々しい顔になって、それからささっと、あるかなしかの微笑を作る。
    寒林鎮歌:微笑と言うより、ぼんやりした表情……と言った方がいいが。笑い方などよく分からない。
    寒林鎮歌:「寒林鎮歌(かんばやし・しずか)です。聞いたことありません? 〝食人鬼〟寒林槇星(てんせい)
    寒林鎮歌:「あの人の娘……ってことで、世間様では色々言われていますけれど。父は……誤解されているんです」
    寒林鎮歌:「ずいぶん昔にいなくなっちゃって、ずっと行方を捜しているんですけれど。お前、何か知りません?」
    藤(肉球):というわけで、食人目的の殺人を行った犯罪者の娘。ブラム=ストーカーとエグザイルのクロスブリードです。
    藤(肉球):血色の花嫁と紅のベーゼで仲間から血液(HP)を奪い、戦闘不能になったら赤の聖餐で復活させ、しかるのち増やしたHPを災いの魔剣につぎこんでどーん!
    GM:エグい
    藤(肉球):という、やや変則的な、趣味に走った構成をしていますので、事故ったら申し訳ない。
    藤(肉球):ただ万一のために、アージエフェクト・犠牲の血で全体攻撃を自分に収束させる切り札もあるので、なんか一つ仕事はできるでしょう。
    藤(肉球):よろしくお願いします!
    GM:よろしくお願いします。いやはやぶっとんでやがるぜ
    PC1:寒林 鎮歌(PL:藤(肉球))
    ・シナリオロイス:〝流れ星〟宇都宮 一

    二年前。
    いわゆる〝ストリートチルドレン〟が複数人、Dr.フィティアンの診療所へ運び込まれた。
    生き延びたのはひとりだけ。それも、オーヴァードであった為だ。
    他の子供達は皆死んだ。運び込んだ男達は、決して多くを語ろうとはしなかった。

    現在。
    宇都宮 零路という男を捜す少女が、診療所を訪れる。
    思うような情報を得られなかった彼女は立ち去ろうとするが、その場で昏倒する。

    GM:ハンドアウトをこんな風に書いてから、聞き忘れてたことを思い出したのですが
    GM:ドクターフィティアンのとこで働き始めたの、いつくらいからです?
    寒林鎮歌:18歳ぐらいですねー
    GM:なるほど、OKです。全然問題無かった
    GM:ではまぁ、二年前の事を思い出したりしつつ
    GM:やりたかったらOPではDrとの一人二役なんかもしつつ、PC1をよろしくお願いします
    GM:ではそんな訳で
    GM:始める!
    寒林鎮歌:よろしくお願いします!
    天ヶ瀬アマタ:よろしくおねがいします!
    藍谷瑠璃:よろしくおねがいしますー!

    OP1


    GM:PC1、登場侵蝕をどうぞ。
    寒林鎮歌:1D10
    DoubleCross : (1D10) → 3


    GM:二年前。夏。
    GM:台風が通過しようとしている、風の煩い夜のことだった。
    GM:窓は閉じきっていても、がたがた、がたがたと、枠組みを打ち付けて鳴り続け、
    GM:湿度も温度も共に高く、冷房無しでは、拭った傍から汗を掻くような、不愉快な夜だった。
    寒林鎮歌:「ンエェ……」舌打ち。「あっつい……」
    GM:舌を出しても、診療所内の空気は熱を奪ってくれない。
    GM:この気怠い夜はいつまで続くのだろう。或いはいつまでも──
    GM:などと思ってしまうような時間が、
    GM:がん、がん、がん
    GM:玄関扉を叩く音に遮られる。
    GM:風ではない。荒っぽいが、ノックの音だった。
    GM:「誰か!」「誰かいないか!」二人分の男の声。
    寒林鎮歌:「あ?」暑さのあまり、イラッとした声が出てしまう。
    寒林鎮歌:「やれやれ……」きゅっと顔を引き締めて。「診療時間は終わりでーすーよー」
    寒林鎮歌:とはいえ、ここはモグリのヤミクリニックなので、診療時間などは適当だ。
    寒林鎮歌:(わりと必死な声……それに……なんだろう、これ)
    寒林鎮歌:(血の匂い……?)らん、と。
    寒林鎮歌:見開いた目が、冷たい蛍光灯の光をつややかに照り返した。
    GM:──然り。
    GM:それは数人分の、酷く大量に流された血液の臭いであり、
    GM:〝傷口を消毒しないで数時間放置した〟ような、腐った魚にも似た悪臭である。
    GM:「開けてくれ!」「ドクターはいるか!」
    寒林鎮歌:「チッ!!!」めいっぱい顔をしかめ、聞こえてもかまわないほど、大きく舌打ちする。
    寒林鎮歌:(ああ、嫌だ嫌だ、こんなドブ以下の臭いに反応しちまうなんて……)
    Dr.フィティアン:「はーいはいはいはい、寒林くーん、早く扉開けてあげてねー」
    Dr.フィティアン:てててててて、と軽い足音と共に、どうみても十歳ぐらいの少年が出てくる。
    Dr.フィティアン:眼鏡をかけ、サイズを合わせた白衣とスーツ姿。彼がこの診療所の「医者」である。
    寒林鎮歌:「はいはいっと……」ガチャッ、ギー……
    寒林鎮歌:「いらっしゃいませ、フィティアンホスピタルです。推定お客様ですか? つまり料金は支払えますか?」
    寒林鎮歌:「支払いは臓器提供、献血、労働力でもお受けいたしております」
    Dr.フィティアン:「私は良心的な医療従事者だからね! 後払いでけっこうだよ!」
    黒服の男:「ああ」と、その男は言った──男のうちの一人が。
    GM:暗い夜に似合いの、真っ黒な連中だった。
    GM:黒い大型車が数台、診療所の前に横付けされて、黒服の男が十数人。
    GM:……血の臭いは彼らのものではない、どちらかと言えば、火薬の臭い──と、
    GM:幾分かの香辛料の臭いばかりがする男達だ。
    黒服の男:「足りるか?」と、男のうちのひとりが、ジュラルミン製のケースを突き出す。
    寒林鎮歌:(あーあーあーあー、またうさん臭い……ま、ちゃんと金を払ってくれるなら構わない……)
    Dr.フィティアン:「うんうん、支払ってくれるなら構わない! オペの用意を!」
    寒林鎮歌:「はーい」(ほらそう言うと思った)
    黒服の男:「……運び込め」
    GM:恐らくリーダー格なのだろう男の指示のもと、他の黒服達は
    GM:車一台から一つずつ、担架を引き出して、診療所へと運び込み始めた。
    GM:全部で五人。いずれもが、赤を通り越してどす黒く染められていたが、肌は蝋のように白かった。
    寒林鎮歌:(……何をやったら、こんな出血の仕方するんだ? 拷問でもしていたのかね)
    寒林鎮歌:(ああ、それにしても)
    寒林鎮歌:「……もったいない……」小声で、ぽつりと言って。
    寒林鎮歌:顔を引き締め、仕事に入る。
    黒服の男:「え?」
    黒服の男:と、男は聞き返して
    GM:五台の担架に乗せられた者達のうち、一人だけが、ぴくりと指を動かした。
    GM:一人だけだった。
    GM:いずれもが十台前半から半ばの少年少女。四人は既に死んでいた。
    GM:かろうじて一人生きていたのは、それがオーヴァードであったからだが、
    GM:既に再生が始まっているとは言え、彼女の体は大きな欠けが有った。
    寒林鎮歌:どこでしょう
    GM:腕、脚、脇腹、背──様々な箇所の肉が削ぎ取られ、その出血が為、生死の境を彷徨っていた。
    GM:そうだな、分かり易く例えると
    GM:凌遅刑だ。
    寒林鎮歌:「…………」ぎし、と。思わず歯ぎしりする。
    寒林鎮歌:「はぁ~ああ~あ~~~」盛大なため息。
    寒林鎮歌:「バッカじゃないの!!!!????」
    寒林鎮歌:がぁん! 近くにあるゴミ箱を蹴飛ばす! 壁を蹴る! スタンドを蹴倒す!
    寒林鎮歌:「バーカバーカバーカバーカ! ざっけんなてめええええ!」
    Dr.フィティアン:「あー、また始まった始まった。すいませんね、うちのナース、友愛精神が強くて」
    黒服の男:「……………………」苦々しげな顔をして、その罵倒を浴びている。
    黒服の男:「……どれ程、治せる?」
    寒林鎮歌:「誰がなんでこんなことをしたぁっ! 人間の体をなんだと思っているッ!」
    Dr.フィティアン:「治すのは問題ないさ。確実に、綺麗に戻る」
    寒林鎮歌:「ケッ!」
    寒林鎮歌:がんがんと壁を蹴り続ける。
    寒林鎮歌:(ああ、胸くそ悪い……くそっくそっくそっくそっくそっ)
    寒林鎮歌:(こんなに…………■■■を……粗末に……しや……が……)
    寒林鎮歌:「うっ」
    寒林鎮歌:さっと顔色が真っ青になり、口元を押さえるが。しかし時すでに遅し。
    寒林鎮歌:「うう゛ぉえええええええええええええええええええ!!!」
    寒林鎮歌:盛大に、クリニックの床に嘔吐した。
    GM:胃液の臭い。雨の匂い。血の臭い。香辛料の匂い。
    GM:四つ混ざった酷い悪臭の中、黒服の男は言う。
    黒服の男:「これは、相談なのだが」
    黒服の男:「今日、私達が此処に来たことを忘れてもらいたい」
    黒服の男:「……そして、もし〝治らない〟ものがいた場合」
    黒服の男:「〝自然死である〟という旨で葬って欲しい」
    黒服の男:「できるか?」
    Dr.フィティアン:「ま、見合う金額があればだが、その問題はすでに片付いている」肩をすくめる。
    黒服の男:「なら、頼む」吐瀉物を避けて、手に持っていたケースを置く。……床を打つ音。相当な重量であるとは分かるだろう。
    黒服の男:それから男は、玄関先に止めた車の一台、後部座席の窓から
    Dr.フィティアン:「まーいどーありー」
    黒服の男:「……あの一人は間に合うでしょう。他は……」
    ???:「あら、ざんねん」
    ???:と、声がした。
    ???:「もったいないわ」
    ???:「あんなに美味しかったのに、もう食べられないなんて」
    ???:悲しげな、女の声だった。
    Dr.フィティアン:「ん?」
    Dr.フィティアン:思わず寒林の方を振り返る。
    寒林鎮歌:床に手を突いてえづきながら、その言葉にぴくりと反応した。
    寒林鎮歌:「う゛ぇえ、げほっおごっ」
    寒林鎮歌:しかし、再度吐いて何かを言いつのることはできない。
    GM:……夜が明ける前に、全ては終わったことだろう。
    GM:台風と共に、黒い群れは去っていった。かろうじて生き延びた少女ひとりを診療所に残して。
    GM:アスファルトを濡らし、野の草を濡らした雨の香り。からりと乾いた風に、眩い日の光。
    GM:なんとも心地よい、夏の朝のことだった。

    GM:夏にはまだ遠い。春というには暖かい。そういう季節になった。
    GM:まる二年とまでは言わないが、〝あの夜〟から相応の時間が過ぎて、
    GM:「そういうことも有った」と思い出すこともあろう、記憶へと降格した頃合いのある日。
    GM:とん、とん、とん
    GM:「ごめんくださーい」と声がした。
    寒林鎮歌:「はーい」
    GM:診療所の玄関をノックする、その音自体に押し負けそうな非力な声で、
    GM:玄関扉を開けたなら、あなたは厄介ごとの臭いを嗅ぎつけるだろう。
    GM:〝その少女〟は、もはや特別な嗅覚を持たずとも明瞭に分かるほどの血の香りを漂わせていて、
    寒林鎮歌:「……お前は」
    宇都宮 一:「申し訳ない。ドクター・フィティアンなる方の診療所はこちらですか?」と、青ざめた顔で言った。
    Dr.フィティアン:「はい、噂のドクターです。ナリは子供だが、それを気にしなくて、金が払えるなら大歓迎」
    宇都宮 一:「はは、容姿の方は結構結構。お前さま、腕が立つとは噂でございますから」
    宇都宮 一:「だからこそ敢えてこちらを訪ねましたが、はて──お代が足りるのかだけ、少ぅし心配ですね」
    宇都宮 一:「何せ今回の来訪、治療目的ではございませんでして……」
    宇都宮 一:と、喋る女は、随分とふらふらしていた。
    寒林鎮歌:「お代なら、臓器提供や献血、労働力でも受けつけております」硬い表情で定型句を唱える。
    寒林鎮歌:「もっとも、あなた……血が足りないのでは?」
    宇都宮 一:……見れば、隻脚である。右膝から下が無く、杖に体重の半ばを預けている。だがそればかりではあるまい。
    宇都宮 一:あなたの指摘の通り、明らかに血が足りていない様子なのだ。
    寒林鎮歌:「ともかく座って」折りたたまれていた車椅子を開いて、座らせます。
    宇都宮 一:「はは、お気遣いなく。放っておけばその内治りますとも──とと、お気遣い感謝する」
    宇都宮 一:車椅子に座った時、その背中の方で
    宇都宮 一:べしゃ
    宇都宮 一:とか、
    宇都宮 一:ぐちゃっ
    宇都宮 一:のような音がした。水袋を握り込んだ時のような。
    宇都宮 一:が、それに構わず、その少女は言うのだ。
    宇都宮 一:「二つばかりの捜し物でして。まずは問わせて頂きます」
    宇都宮 一:「その後にそちらで値をつけて、答えるかどうかお決め頂くとよろしいかなぁと」
    Dr.フィティアン:「へえ?」
    宇都宮 一:「あまり真っ当なお仕事をしてないので、予算が限られているのです、ははは──さて」
    宇都宮 一:「……唐突にお聞きするのですが。宇都宮 零路、という男がこちらに運び込まれたりしていませんか?」
    GM:おそらく、聞いた事の無い名であろう。然程の有名人でもない。
    Dr.フィティアン:「ないね。記録を確かめてもいいが、まず居ない」
    宇都宮 一:「ふむ。……〝表〟の医者には掛かれないだろうと思いましたが……なるほどありがとうございます」
    宇都宮 一:「なれば、後はもう一つなのですが──」
    宇都宮 一:車椅子の上で、ぴ、と背筋を伸ばして
    宇都宮 一:「これはきっと、二年も前のことなのですが──」
    宇都宮 一:「〝食い殺された子供〟が運び込まれては来ませんでしたか?」
    Dr.フィティアン:あちゃあ、と顔をしかめたその後ろで。
    寒林鎮歌:ぎりっと音を立てるように、眉根がつり上がった。
    寒林鎮歌:足を蹴り上げたくなるのを堪えて。「……お前、あの粗末にされた子らのなんだい?」
    寒林鎮歌:「ものの価値も道理も分からない連中に、大事な血を肉を粗末にされて、むごたらしく死んだ」
    寒林鎮歌:「見たとこお前も重傷のようだが。した側か? された側か?」
    宇都宮 一:「ふぅむ。当たりと言えば良いのでしょうか、藪をつついてバシリスクとでもいいましょうか……」
    宇都宮 一:「お代を払う前に教えていただいた事は感謝します。なれば私も、偽りなくお答えしますが」
    宇都宮 一:ひょい、と右脚を持ち上げる。着物の裾を手で払い、露出する右膝。……膝から下は無い。
    宇都宮 一:「この脚を喰った女を捜しています。……先に挙げた名の男から、繋がりを探れると思ったのですが」
    寒林鎮歌:「……なるほど」す、と頭を冷やす。「すると二年前の子供たちは、その男の犠牲者かもしれない。そういうこと?」
    寒林鎮歌:男じゃない、女!
    寒林鎮歌:いや合っているのか。
    宇都宮 一:「……………………」少しの間、口を閉ざしたまま、視線を天井へ向けて
    寒林鎮歌:「ただ、そうだ。思い出した」
    宇都宮 一:「お?」ひゅっ、と目玉が正面へ戻る。
    寒林鎮歌:「二年前、子供らを運んできた連中は、車の後ろに偉そうな女を乗せていたよ」
    寒林鎮歌:「〝もったいない〟〝もう食べられないなんて〟ってね。ふざけたことを」
    寒林鎮歌:「食べるために人を切り刻むなんて。バカなことをする」
    寒林鎮歌:「……本当に……バカな、ことを……」ぐる、と。少し目が回る。
    寒林鎮歌:首を振って気を取り直した。
    宇都宮 一:「ははぁ。……かぼそいツテを探し回った甲斐は有った。半分までは見つけたようです」
    宇都宮 一:「が──そこまで教えてくださるなら、宇都宮 零路の方は……やはり来ていないのでしょうね」
    宇都宮 一:はぁ、と溜息を吐き出しながら立ち上がり、
    宇都宮 一:「さて、お代の程は?」
    宇都宮 一:と問う。
    Dr.フィティアン:「いやまずはその大けがで安静にしてくれない?? 医者の前ではちゃんと治療に協力して???」
    Dr.フィティアン:言いつつ、ちゃちゃっと普通の治療費+保険適用なし、ぐらいのお金+10%ぐらいの額面を示します。
    Dr.フィティアン:りょうしんてき!
    宇都宮 一:「あらま、お安い。その場で一括現金払い、なんて贅沢が出来るじゃありませんか」
    宇都宮 一:と言って懐から財布を取り出し、提示額にだいたい合う枚数の紙幣を引き抜いた──
    宇都宮 一:「──はれ」
    宇都宮 一:その時、だった。
    宇都宮 一:青ざめた顔はいつのまにか、さらに白く変わり果てていて、
    宇都宮 一:少女の身体は真後ろに、衝立を押したかのように倒れ込む。
    宇都宮 一:べしゃっ。
    寒林鎮歌:「あっ」抱き留めようとするが——
    宇都宮 一:水音。
    宇都宮 一:……異音の正体を、きっとあなたは、然程の間を置かずして知るだろう。
    Dr.フィティアン:「うわ」
    宇都宮 一:それは、一時的にレネゲイドウィルスの侵蝕が高い水準で進んだが為、リザレクトすら行えなくなった少女が、
    宇都宮 一:重ねたビニール袋をビニールテープで背に巻き付け、血が零れ落ちるのを防いでいたが為であった。
    宇都宮 一:……浅い呼吸を繰り替えしながら、少女の意識は途絶えていた。
    寒林鎮歌:これ肉体どれだけ残っているんだろう?
    GM:ふむ
    GM:では──こう描写しようか。
    GM:〝背は幾つかの銃弾や、ナイフ、刀剣の類いで抉られていたが、それは戦傷としてまだ有り得る範囲だ〟
    GM:〝決してあの夜のような、〟
    GM:〝同等の存在同士の間では決して生まれない傷などではない〟と。
    寒林鎮歌:女の体を受け止めた手が白く、ぶるぶると震えている。ナースとして、凄惨な現場はいくらでも見てきた。恐怖のためではない。
    寒林鎮歌:ただ、傷の理由が。〝食われた〟〝もったいない〟そんな言葉が胸に刺さって。
    寒林鎮歌:「————」
    寒林鎮歌:がぶり、と。自分の口に手を突っ込み、四本の指に力一杯歯を立てる。
    寒林鎮歌:「う、うう、うううううううう」
    寒林鎮歌:だらだらと、血混じりのよだれがぼた、ぼた、と。リノリウムの床に滴り、宇都宮の血とまた混ざる。
    寒林鎮歌:血が混ざる、血が混ざる、タンパク質を分解する酵素が混ざる。栄養が消えていく。乾いていく。また濡れる。
    寒林鎮歌:「ううううううううう……!」
    Dr.フィティアン:ばしゃり!
    Dr.フィティアン:バケツにいっぱいの水道水を、鎮歌の頭からぶちまけた。
    Dr.フィティアン:「はい、仕事仕事。急がないとほんとこの人死ぬよ」
    寒林鎮歌:そっと宇都宮の体を下ろし、彼女を抱えていた手で自分の顎をつかみ、引っ張る。そうしないと口が開かない。
    寒林鎮歌:がば、と手を自由にして、宇都宮を両手で抱え直す。
    寒林鎮歌:「はい。もう大丈夫」頭から水を滴らせながら、もう、口からよだれは垂れなかった。

    GM:ロイス取得のみ可能!
    寒林鎮歌:宇都宮零路に P:共感/N:憎悪 で!
    GM:OK!

    OP2


    GM:ここは……PC3を先にやる! 登場侵蝕!
    天ヶ瀬アマタ:なにっ?!
    天ヶ瀬アマタ:47+1d10
    DoubleCross : (47+1D10) → 47+1[1] → 48

    GM:おちついておる

    GM:夜。十二地区にある診療所、としよう。
    天ヶ瀬アマタ:はい
    GM:あなたは恐らく、急患が運び込まれる為の、
    GM:あれなんて言えばいいんでしょうね、医療ものとかに良く出る通路。
    GM:緊急退院が運び込んで、ドクターとか看護師さんが担架に併走するところ。
    天ヶ瀬アマタ:急患用の夜間出入り口が
    GM:それだ!
    天ヶ瀬アマタ:床材はわりとリノリウム!
    天ヶ瀬アマタ:抗ウイルス効果もあるのでリノリウムは見直されているんだぜ!
    GM:──ならば。リノリウムの床を濡らす湿気を、誰かの靴がきゅうっと鳴らしたところからにしよう。
    GM:あなたは急患を待っていた。そして今、救急車から担架が一台降ろされた。
    職員:「天ヶ瀬先生! こちらの患者が──」酷く困惑した様子で、担架を押しながら、ひとりがあなたに呼びかけた。
    天ヶ瀬アマタ:「バイタル確認をしてから処置に移ります。救急隊の──」
    天ヶ瀬アマタ:「いかがしましたか?」
    天ヶ瀬アマタ:素早く振り返る。
    職員:「な……」
    職員:「治り始めてるんです……」
    GM:──重傷を負った患者が運ばれてくる、ということだった。
    GM:首と肩に大きな傷。大量出血で、命が危ぶまれる。そういう話だった。
    天ヶ瀬アマタ:「……いかんな、覚醒か」
    天ヶ瀬アマタ:「十二支部へ連絡、ジャームだった場合は僕が先行して対応します」
    GM:だが、今、担架に横たわっている男性を見ると──あなたの推測が正しいだろう。
    GM:常人ならば死に至る傷は半ば塞がっており、容態は安定しているように見える。
    天ヶ瀬アマタ:「加減は苦手ですが──そうも言ってはいられません」
    職員:「は……はいっ!」
    天ヶ瀬アマタ:至近距離まで詰め寄る。
    天ヶ瀬アマタ:あくまで通常の患者として治療もできるように、距離を。
    天ヶ瀬アマタ:「バイタルは悪くない。出血は止まり……」
    天ヶ瀬アマタ:念の為に消毒液を塗布し、傷口の再生そのものは本人の治癒力に任せる。
    GM:少なくとも、今。男はただの怪我人であり、目覚めたばかりのオーヴァードである。
    GM:レネゲイドチェッカーなどを用いたならば、その数値は40前後を示したことだろう。
    天ヶ瀬アマタ:「ジャームではない可能性もある以上、僕は命を見捨てません。僕は……医師ですからね」
    天ヶ瀬アマタ:「善き医師とは、そういうものですからね」
    天ヶ瀬アマタ:傷口の消毒を終え、バイタルを確認。
    GM:職員はあなたの指示通りに動き、十二支部へと連絡が届く。……そして、
    GM:その男性は、他の患者から隔離された一室に入った。
    GM:バイタルは時間経過と共に安定していく。目は覚まさないが、
    GM:体温、脈拍、その他。大概の数値は、せいぜいが〝激しい運動をした直後〟程度に収まることだろう。
    GM:血液検査などすれば、レネゲイドウィルスが検出される。
    GM:……今は、その程度だ。
    GM:今は。
    天ヶ瀬アマタ:「覚醒をしたオーヴァードがオーヴァードに留まるかジャームになるか。それは非常に危うい最初の関門です」
    天ヶ瀬アマタ:「医学的に正しい処置をしながらも、覚醒時の暴走に巻き込まれても無事で居られるオーヴァード医師にはこういう存在価値が有るわけですね」
    天ヶ瀬アマタ:手慣れた仕草で鎮静剤も用意する。
    天ヶ瀬アマタ:暴れる患者を取り押さえて鎮静剤をうつのも慣れたものだ。並のオーヴァードならば何時だって対応はできる。
    天ヶ瀬アマタ:全ては十全に正しく行われている。今の所。
    GM:そう。今の所。

    GM:それから、数時間ばかりが過ぎた。
    GM:夏が近づいたこの街であるから、夜明けもまた早まっている。
    GM:既に空は黒でなく、紺色でなく、暗いながらも水色と呼べよう程になった。
    GM:さて、天ヶ瀬アマタ。
    GM:この場合あなたは、数時間この患者の傍にいたか、それとも他の患者の対応などもしていたか、どちらかな?
    天ヶ瀬アマタ:基本的には患者の傍に居たと思いますが、まあ急患来たらそっちですね!
    天ヶ瀬アマタ:そんなに大きくない診療所なので!
    GM:よろしい。ならばこの夜は運良く、他の急患は無かったこととしよう。
    天ヶ瀬アマタ:やったー!
    GM:だからあなたは、患者が目を開いた瞬間に立ち会うことができるし、
    天ヶ瀬アマタ:じゃあきっと覚醒者対応マニュアルとか読みながら起きた時に備えています。
    GM:……その前段階で。患者の所有する物品などから、既に身元の特定も完了している。
    天ヶ瀬アマタ:ほう!
    GM:これは情報収集の判定を行うまでもない。免許証なり保険証なり名刺なりを見て、UGNへ問い合わせれば、数時間の間に調べてくれただろうから。
    天ヶ瀬アマタ:大事ですね、ご家族が居ないと手術の同意とかもとれなかったりしますからね
    GM:男の名前は、宇都宮 零路(うつのみや・れいじ)。N市ではないが、その近くの市で不動産業の他、幾つかの会社を経営する資産家だ。
    GM:結婚歴は二度、現在は独身。戸籍上は娘がひとり居ることになっているが、連絡はつくまい。
    天ヶ瀬アマタ:「しかしご家族に連絡が取れない資産家となると……色々厄介ですね」
    天ヶ瀬アマタ:「おっと、責任重大というのが善良な医師というものですか」
    天ヶ瀬アマタ:パタンとマニュアルを閉じる。
    天ヶ瀬アマタ:「なんにせよ、目を開けていただいて、それからはようこそオーヴァードの世界へ……ですね」
    GM:紙と紙がぶつかって空気をはじく、ぱたん、という音。
    宇都宮 零路:それに反応したかのように、ベッドの上で、男は目を開いた。
    宇都宮 零路:「……………………」
    天ヶ瀬アマタ:「おや、目を覚ましたのですね」
    宇都宮 零路:四十代ほどの、見た目ばかりを言うなら、何処のオフィス街にもいそうな、凡庸な容姿の男性である。
    宇都宮 零路:「ここ、は……」
    宇都宮 零路:彼は、ベッドの上できょろきょろと周囲を見渡す。
    宇都宮 零路:……室内に設置されたレネゲイドチェッカーは、30台前半の数値を示している。
    天ヶ瀬アマタ:「ここは十二地区にある鹿島神社前の診療所です」
    天ヶ瀬アマタ:「お怪我をなさっていたので運び込まれました」
    宇都宮 零路:「鹿島神社前……ああ、あそこか……」
    宇都宮 零路:「……すると、私は……助かったのか……」
    天ヶ瀬アマタ:「ええ、お加減はいかがですか?」
    宇都宮 零路:ほぅ……と、男は溜息を吐きだして目を閉じ、
    宇都宮 零路:「……悪くない」
    宇都宮 零路:と言った直後、
    宇都宮 零路:きゅるるるる……と、腹から音を鳴らした。
    天ヶ瀬アマタ:人懐っこい笑みを浮かべる。目の前の男性の元気そうな様子を心から喜んでいる。
    宇都宮 零路:「……………………」幾分か気恥ずかしそうに、眉がぴくりと動く。
    天ヶ瀬アマタ:「お腹が減るのも健康な証拠です。病院内の自販機で何か買ってこさせますか?」
    宇都宮 零路:「あ、ああ……」
    宇都宮 零路:「……………………」男は少しの間、視線を頭頂の方向へと逸らして
    宇都宮 零路:ぐるり、と目玉が正面に戻る。
    宇都宮 零路:「君、君」
    天ヶ瀬アマタ:(妙だな)
    天ヶ瀬アマタ:(せん妄状態か? 患者のせん妄状態はレネゲイドの暴走に直結するからな……)
    天ヶ瀬アマタ:「これは失礼、医師の天ヶ瀬アマタです。いかがなさいましたか?」
    天ヶ瀬アマタ:警戒しながらも受け答えはきっちりとする。
    宇都宮 零路:「さっきから気になってたんだが……あれは何だね?」
    宇都宮 零路:男は、あなたの頭上──天井を指差す。
    天ヶ瀬アマタ:なにがありますか。
    GM:天井がありますね。
    天ヶ瀬アマタ:「……宇都宮さん、何が見えていますか?」
    天ヶ瀬アマタ:「色、形、大きさなどを教えていただければと」
    宇都宮 零路:「────────」
    天ヶ瀬アマタ:(仕掛けてくるか……?)
    宇都宮 零路:男の表情が少しばかり変わったのは、名字を呼ばれた時だった。
    宇都宮 零路:冷静に考えるなら、知られていて当然だ。身元が分かるものを処分する時間は無かった。
    宇都宮 零路:だから男は、己の失態に苛立ち舌打ちをしながら、
    宇都宮 零路:ひゅっ、と右手が閃く。あなたの左右の目を、親指と中指が狙った。
    天ヶ瀬アマタ:その攻撃をあえて受ける。
    天ヶ瀬アマタ:メガネが割れ、血まみれになり、一時的に視覚を失うが──
    天ヶ瀬アマタ:相手のいる場所は分かる。
    天ヶ瀬アマタ:「術後せん妄、オーヴァードが相手であり、対処困難の為エフェクトを使用」
    宇都宮 零路:男は、手を引かない。
    宇都宮 零路:むしろ手を押し込み、そのまま眼球を──眼窩を狙わんとする。
    宇都宮 零路:掴もうとしているのだ。
    宇都宮 零路:内側から眼窩を掴み引き寄せようと──
    天ヶ瀬アマタ:声を聞くものが居るかどうかは別として、査察を受けた際にモルフェウスのオーヴァードが場所の記録を読み取ることがある。
    天ヶ瀬アマタ:これはその対策だ。
    天ヶ瀬アマタ:「うなれ」
    天ヶ瀬アマタ:天ヶ瀬アマタの切り裂かれた瞳から、真紅の光が放たれる。
    天ヶ瀬アマタ:触れれば、腕くらいならいともたやすく両断する光が。
    宇都宮 零路:ざしゅっ
    宇都宮 零路:鮮やかに血の華を裂かせて、男の腕は断ち割られる。
    宇都宮 零路:「かっ──」
    宇都宮 零路:だが、痛みに呻くのも、ほんの一瞬。〝どうせ治る〟腕だ。
    宇都宮 零路:口を開く。牙は無い。せいぜい、犬歯が歯列の中で少し上に突き出ているだけだ。
    宇都宮 零路:その口が言葉を発さぬまま──あなたの喉笛を狙い、噛み付かんとする。
    天ヶ瀬アマタ:「患者は殺しません」
    天ヶ瀬アマタ:次の瞬間、光に照らされて一瞬生まれた宇都宮の影が、爆発四散する。
    天ヶ瀬アマタ:鮮血の修羅。
    天ヶ瀬アマタ:噛みつきの一撃を避けずに受けるが、同時に影の中に潜んだ天ヶ瀬のレネゲイドが宇都宮の身体へ呪いのような作用を与える。
    天ヶ瀬アマタ:すなわち影と同様に宇都宮を引き裂く力を発生させる。
    天ヶ瀬アマタ:「僕は貴方の命を守りたいと思っています」
    天ヶ瀬アマタ:「落ち着いていただけますか?」
    宇都宮 零路:ならば、その〝呪い〟は覿面に、彼の体を引き裂いたことだろう。
    宇都宮 零路:切り離される肉。骨。腱。ぶつり。
    宇都宮 零路:「ぎああぁあぁっ!?」
    宇都宮 零路:ようやく悲鳴が上がり、男は床に倒れ伏す。……リザレクトは始まっている。しかし激痛を刻まれた心は容易には癒えない。
    宇都宮 零路:応じる言葉こそは無いが──少なくとも〝鎮圧〟には成功した形だろう。
    宇都宮 零路:……そして。
    宇都宮 零路:レネゲイドチェッカーはようやく、60程度の数値を示していた。
    天ヶ瀬アマタ:「大丈夫です。人間はどの血管が破壊されると死ぬか、一般的なオーヴァードのリザレクト能力ならばどこまで破壊しても大丈夫か、そういった人体の知識は僕の頭の中にあります」
    天ヶ瀬アマタ:「僕は医師です。貴方を生かします」
    宇都宮 零路:ジャームではないのだ。
    宇都宮 零路:この男は全く正常のままにあなたを殺そうとして、
    宇都宮 零路:「……腹が減った」
    宇都宮 零路:などと、言った。
    天ヶ瀬アマタ:「暴走傾向あり、経過観察が必要ですね」
    天ヶ瀬アマタ:先程までの穏やかな態度を取り戻し、淡々と続ける。
    天ヶ瀬アマタ:「さて……困りましたね。小さな診療所で緊急対応できる規模は越えています。早く大病院と提携している医療施設の充実した支部に連絡しなくては……」
    天ヶ瀬アマタ:(そうでなければ──)
    天ヶ瀬アマタ:連絡端末でそういった旨の手配を開始した。
    GM:では──万事は滞りなく進むだろう。
    GM:宇都宮 零路という男は、UGN監視下で拘束される。……この先、脅威として数える必要は無い。
    GM:何か異常事態が発生したとて、殺すも殺さぬも組織の自由。その程度の存在をして数えて良いだろう。
    GM:それは、あなたには物足りないか?
    GM:まぁ、いい。
    GM:……あなたは事の顛末を報告するだろう。ならば折り返し、そのまま任務が与えられる。
    GM:彼は負傷して運び込まれ、行動に異常が見受けられた。〝同様の事件〟が発生しては厄介だ。
    GM:適切に対処せよ、と。

    GM:ロイス取得可能だが……出て来たキャラがおっさんとかしかいない!
    GM:好きなタイミングで好きな相手に取るがいいさ。
    天ヶ瀬アマタ:おっさん……!
    天ヶ瀬アマタ:まあ後からでも取れるかもだしね!
    GM:ロイスの取得ってたぶんオートアクションですしな。
    GM:ならば次!

    OP3


    GM:お待たせしましたPC2!
    藍谷瑠璃:あったしのでばんだね!!!
    GM:登場侵蝕!
    藍谷瑠璃:1d10+36
    DoubleCross : (1D10+36) → 4[4]+36 → 40

    藍谷瑠璃:いいねえ、いつでも楽しそうな数字です

    GM:では──そうだな。
    GM:少しインタビュー的なアレから始めさせてもらおう。ライトに。
    GM:というのも、あなたはこのOP、休日の午前を満喫していることになる。
    GM:場所としては、十二地区が良いでしょう。
    藍谷瑠璃:なるほどなるほど
    GM:おそらく、ところどころに古い街並みの残る、N市内でも〝和〟オーラの街並みだ。甘味処とかも有ったりするが、
    GM:そういうところを歩くとしたら、あなたにはどういう理由があります?
    藍谷瑠璃:甘味食べ歩きタイムです。おだんごとか……あんみつとか!
    藍谷瑠璃:ぱたぱたとスニーカーの足音が響く。
    藍谷瑠璃:手に持っているのは色も鮮やかなおだんごだ。
    藍谷瑠璃:ひとつくわえて横から引き抜く。
    藍谷瑠璃:もっちゃもっちゃ。
    藍谷瑠璃:もっちゃ。
    藍谷瑠璃:もっちゃもっちゃもっちゃ。
    藍谷瑠璃:ごくん。
    藍谷瑠璃:表情はもう幸せそのものだ。
    藍谷瑠璃:「はー、やっぱり七夕堂のおだんごはおいしいねえ」
    GM:平和で幸福な午前中。日もうららかに、風もおだやか。
    GM:甘みを食べ歩くなら、十二地区に勝る場所は無い。街の香りが少し古風だからだ。
    GM:コンクリートと鉄でなく、木と畳の香りがする街並みである。
    藍谷瑠璃:ふたつめ。もっちゃもっちゃ。
    藍谷瑠璃:「あ、お茶欲しくなってきちゃった。一緒に買えばよかったかなあ、でも荷物になっちゃうしなあ」
    GM:ふむ。
    GM:ならば少し先の方に目を向けてみよう。
    GM:ちょうど、自動販売機が有るぞ。
    GM:……そして、自動販売機に寄りかかって、UGNの支給端末を操作している少女の姿も見えるだろう。
    御鳴 鳴唯:遠目にも誰と分かる、コート姿の少女だった。……既に五月であるが、冬用のコートにブーツ、手袋という出で立ちの。
    藍谷瑠璃:「あれ、もうここまで来てたんだ」むぐむぐ。もっちゃもっちゃ。
    藍谷瑠璃:やわらかくもちもちとした食感におちついた甘さがたまらない。
    藍谷瑠璃:ごくん。
    藍谷瑠璃:「あ、おひさー」団子を持っていない方の手を振る。
    御鳴 鳴唯:「…………」あなたの声に気付いていないのか、彼女は険しい表情で端末の操作を続けている。
    御鳴 鳴唯:……随分と暑そうな姿だが、これでも随分マシになった。数ヶ月前までは、ここにガスマスクを装着していたのだから。
    藍谷瑠璃:あたしも人の事いえないなあ、薄手とはいえトレンチコートですよこーと
    御鳴 鳴唯:ガスマスクが無くなった分、表情は随分と見えやすくなった。……眉根を寄せて、丸く大きな目を細めて。
    藍谷瑠璃:これはつまりいたずらのチャンスなのでは……?
    藍谷瑠璃:こっそり視界の端から近寄ると、
    藍谷瑠璃:いきなり目の前に顔を出します。
    御鳴 鳴唯:ならば──そのいたずらに、彼女は余程驚いたものだろう。
    御鳴 鳴唯:挙動は機敏だった。仰け反りながら、端末を持つ左手を背中側へ引きながら、
    御鳴 鳴唯:右手はポケットから、小振りのナイフを引き出していた。逆手に持ち、胸元まで引き上げ、
    御鳴 鳴唯:「びっ……くり、したぁ……」
    御鳴 鳴唯:ナイフを振るう寸前、目の前の相手が誰なのかに気付き、手を止めていた。
    藍谷瑠璃:「やっ」あらためて手を振ります
    藍谷瑠璃:「やー、これさ、人前でナイフは危なくない? 人目についちゃまずいでしょ」おかげで距離を離せない
    藍谷瑠璃:とか平然としていますが掌は汗でびっしょりです。
    御鳴 鳴唯:「……藍谷」年長者相手だが、呼び捨てはいつものことだ。手慣れた仕草でナイフをポケットへ戻す。
    藍谷瑠璃:「めーちゃん気付いてくんないんだもん、ついね?」
    御鳴 鳴唯:「あんまり驚かせないで……私は、ナイフは銃ほど得意じゃない」
    御鳴 鳴唯:「手が滑って……深く斬る、かも……しれない……」
    御鳴 鳴唯:「……気をつけて」
    藍谷瑠璃:「だーいじょうぶでしょ、めーちゃんだし、今だってちゃんと止めてくれたし?」プレイヤーは信頼って重いんだなーって実感しています
    御鳴 鳴唯:「運の問題」
    御鳴 鳴唯:左手の端末もまた、ポケットへぐいと押し込んで、
    御鳴 鳴唯:「……今日、休み?」学校に通っていない少女だ。曜日の感覚も何も無い。
    藍谷瑠璃:「じゃあなおさら大丈夫だ」あたし運には自信あるからね、と笑います。
    藍谷瑠璃:「そうそう、日曜日だもの、にちよーび! おやすみ!」
    御鳴 鳴唯:「にちようび……そっか」
    御鳴 鳴唯:「……毎日が日曜日だから忘れてた」
    藍谷瑠璃:「大丈夫? 年がら年じゅうあっつい格好して季節感までなくしちゃわないよーにね???」
    藍谷瑠璃:「いやあたしも似たようなものだけどさ」
    御鳴 鳴唯:「余計なお世話。ちょっと暑いだけ」
    御鳴 鳴唯:「……それに。肌を出すのは……あんまり好きじゃないし……」
    御鳴 鳴唯:数ヶ月前の姿に比べれば、随分と身軽になってはいるのだ。
    藍谷瑠璃:「それはねー、わかるわかる。日に焼けちゃうのとかもたいへんだしねえ」
    藍谷瑠璃:「ところでさ、何見てたの? あたしがこんなに近づけたの初めてじゃない」いつもならもうちょっと早く気付くでしょ、と。
    御鳴 鳴唯:前髪を半分だが切ったし、ガスマスクも外した。ある種の偏執的な傾向さえ見えるほど、〝自分の姿〟を隠したがる少女ではいたが、
    藍谷瑠璃:「そんなに熱心に見ちゃうなんて……もしかしてカレシからの連絡でも待ってた???」
    御鳴 鳴唯:ここ数ヶ月、彼女は〝無防備〟になり始めている。
    御鳴 鳴唯:「……彼氏が……いると思う?」
    藍谷瑠璃:「うん」
    御鳴 鳴唯:「節穴」
    御鳴 鳴唯:そんな風に応じながらも、ポケットの中の左手が、通信端末をぎゅっと握る。
    藍谷瑠璃:「えあっ!?」おおげさに驚いたポーズを取って見せます。
    御鳴 鳴唯:「ナンパされたことは……そんなに、無いよ」
    御鳴 鳴唯:「〝いくら?〟って聞かれたことなら……結構、あるけど……」
    藍谷瑠璃:「めーちゃん、ただでさえ元が良いのに、最近かわいいところを押し出してる感じしてたからねえ、絶対恋だと思ったんだけど」
    藍谷瑠璃:「それは断って」
    藍谷瑠璃:「だいじょうぶだよね!? ことわったよね!??!」
    御鳴 鳴唯:「……………………」微笑んでいるとも言い難い、微妙な顔をしてその言葉を受け、
    藍谷瑠璃:「こ、断りづらいなら呼んでよね!? どーにかしたげるから!」
    御鳴 鳴唯:「……相変わらず、だね」と、呟くように。
    藍谷瑠璃:「そりゃね、おねーさんですから」
    御鳴 鳴唯:「…………」
    御鳴 鳴唯:少し、無言。
    御鳴 鳴唯:それから、半歩だけ距離を詰めるように歩を進めた。
    御鳴 鳴唯:「その人助けは」
    御鳴 鳴唯:「趣味?」
    御鳴 鳴唯:「……それとも、仕事?」
    藍谷瑠璃:「ん、どったの?」首を傾げる
    藍谷瑠璃:「さあねえ」
    藍谷瑠璃:「お仕事じゃないよ、義務じゃない」
    藍谷瑠璃:「あたしそんな“やんなきゃいけないから”ってだけで誰かを助けられるタイプに見える? 大変な思いをしてまでさ」
    御鳴 鳴唯:「わからない。……だから、聞いてる」
    藍谷瑠璃:「そりゃそっか」
    御鳴 鳴唯:「……人助けってね、難しいんだけど」
    藍谷瑠璃:「んじゃ正直言っちゃうとね、あたしもよくわかんないんだなー」
    御鳴 鳴唯:「この街には……うっかり、〝それができる〟ようになっちゃった人がたくさんいるから……」
    御鳴 鳴唯:「……〝助ける〟って簡単に言うひと……結構、いるよ」
    藍谷瑠璃:「すごいよねえ、言いきれちゃうの。あたしはそこまで言い切れる自信がないなあ」
    藍谷瑠璃:「あ、もうちょっと言葉足した方がいい?」
    藍谷瑠璃:「その顔はもーちょっと聞きたいって顔だね、ほしがりさんめ! おだんごあげちゃおう」手は空いてるようなので残り一個の団子をおしつけます。おいしいんだよ?
    御鳴 鳴唯:「…………」先ほどまでナイフを掴んでいた右手が、団子の串を受け取る。
    藍谷瑠璃:「あたしはねえ、あたしが見てるひとたちがそれなりに幸せに暮らしていられるって信じられれば十分なのよ」
    藍谷瑠璃:「だからひどい目に遭っている人がいたり、困ってたりしたら手伝ってあげたいし、それ以上のことはできないわけさ」
    御鳴 鳴唯:串を横向きに、ぱくり。唇と歯で食んで、首を横に振って串から団子を引き抜き──もぐ、ごくん。
    御鳴 鳴唯:「……じゃあ」
    御鳴 鳴唯:「見えない人は……諦める……?」
    藍谷瑠璃:「まーね、あんまり向いてないんだけど。めーちゃんはまーこーしてちょくちょく会えるけどさ。そうでもなきゃ後の面倒まで見られるわけじゃないしねえ」
    藍谷瑠璃:「見えない人はわかんないもの」
    藍谷瑠璃:「そういうのはさ、教えてよ」得意でしょって笑います。
    御鳴 鳴唯:その笑いに少女は応じず、
    御鳴 鳴唯:「……そう」
    御鳴 鳴唯:とだけ言って、コートの内ポケットに左手を押し込んだ。
    御鳴 鳴唯:少しポケットの中を探って、何かを見つけたのだろう、手が握られて、
    御鳴 鳴唯:「……じゃあ、藍谷」
    御鳴 鳴唯:「私を助けてくれる……?」
    藍谷瑠璃:「でさ、あたしの手はね、UGNにいない分短いけど、別の所に届いちゃうわけさ」
    藍谷瑠璃:孫の手みたいにね
    藍谷瑠璃:「もちろん!」
    御鳴 鳴唯:「……なら」
    御鳴 鳴唯:「私……これから、十二支部に呼ばれてて……任務があるけど……」
    御鳴 鳴唯:「それ、代わって」
    藍谷瑠璃:「……んー、やっぱごめん、ちょっとまって」
    藍谷瑠璃:「理由次第?」
    御鳴 鳴唯:「理由……んー、じゃあ……検索禁止で聞くけど……」
    御鳴 鳴唯:「スナッフフィルムって……知ってる……?」
    藍谷瑠璃:「スナップ???」
    藍谷瑠璃:「ちょっとまって、スナップっていったら日常を切り抜いた一コマでしょ」
    藍谷瑠璃:「それで……フィルム……???」
    御鳴 鳴唯:「……大丈夫、藍谷」
    御鳴 鳴唯:首を振りながら、コートの内ポケットから取り出したものをあなたに差し出す。
    御鳴 鳴唯:……それは一枚のSDカードだった。
    御鳴 鳴唯:ラベルも何も無く、薄汚れている。何が入っていると、手がかりも無い。
    藍谷瑠璃:「……そういうことじゃない、よね」めーちゃんは元から口数が多いほうでないとはいえ、これだけ口を重くすることなんてそうはないと、知っているから。
    藍谷瑠璃:受け取ります。
    藍谷瑠璃:再生機器あったかな~~~!
    御鳴 鳴唯:「……それ、十二支部に届けて。……天ヶ瀬アマタって言う……えーと……なんて言うかな……」
    御鳴 鳴唯:「悪い顔の医者のところ……」
    御鳴 鳴唯:「……それでたぶん、伝わると思う」
    藍谷瑠璃:「で、なに? もしかしてなんだけど……」
    藍谷瑠璃:「これにはめちゃくちゃ酷いことの記録が入ってて、めーちゃんはこれをひとりでどうにかしに行くから支部に届けには行けなくなるって?」
    御鳴 鳴唯:「………藍谷」
    藍谷瑠璃:「だから、めーちゃんが危ないところへ行くのを見過ごせって?」
    藍谷瑠璃:「それは、うん、怒るよ。おねーさん怒っちゃうよ」
    藍谷瑠璃:「必要なのはわかるよ、誰かが届けなきゃ。そりゃわかるけどさ……!」
    御鳴 鳴唯:「藍谷」
    御鳴 鳴唯:二度、繰り返す。
    御鳴 鳴唯:「……あなたは、誤解してる」
    御鳴 鳴唯:「私は……死にに行くとか、そういう殊勝なことをするつもりは全く無い、けど……」
    御鳴 鳴唯:──少女の姿が虚空へ溶け始める。薄く、透明に、光の全てを透かすように。
    御鳴 鳴唯:〝見えなくなる〟姿──一方で、声の出所が代わり始める。
    御鳴 鳴唯:足音は無い。
    藍谷瑠璃:「ま、でもそっか、見つかんないのは得意だもんね」こうなったらわたしには見つけられなくなる。
    藍谷瑠璃:ため息一つ。
    藍谷瑠璃:「わかった、わーかったよ」
    藍谷瑠璃:「届けたら、あたしもなんかうまいこと手伝いに行くから」
    藍谷瑠璃:「無茶しないでよ」
    御鳴 鳴唯:「……一つだけ」
    御鳴 鳴唯:「私に、彼氏はいないし……」
    御鳴 鳴唯:「たぶん……積極的に作ろうとはしない……と思う」
    御鳴 鳴唯:「……それだけ」
    御鳴 鳴唯:声は最後にそれだけ伝えて、それっきり、完全に気配を断ってしまう。
    藍谷瑠璃:「そっか、そっかー」肩を落とす。面白ネタだと思ったのに!
    御鳴 鳴唯:何処かを歩いてはいるのだろう。が。
    藍谷瑠璃:大丈夫かな……会えるかな……
    藍谷瑠璃:あ、じゃあ声を張り上げます。たぶん届くから。
    御鳴 鳴唯:足音が無い。呼吸音で探るのも難しかろう。……透明化までは能力。音の方は身のこなしだ。
    藍谷瑠璃:「めーちゃん!」
    藍谷瑠璃:「あとで白玉パーティだかんね!」ぜんざいとか団子とかそういうのだ!
    GM:からん。
    GM:あなたの何mか後方で、
    GM:串が一本、路上に突然転がった。

    GM:ロイス習得が可能!
    藍谷瑠璃:ろいす!
    藍谷瑠璃:めーちゃんに〇友情/不信感で取りましょう。あんなこと言っておいて無理しないかなって
    GM:OK!

    シーン1


    GM:PC2&PC3登場侵蝕!
    天ヶ瀬アマタ:48+1d10
    DoubleCross : (48+1D10) → 48+5[5] → 53

    天ヶ瀬アマタ:よし、低い侵蝕
    藍谷瑠璃:1d10+40
    DoubleCross : (1D10+40) → 2[2]+40 → 42


    GM:UGN、N市第十二支部。
    GM:時刻は……そうだな、昼頃としよう。
    GM:天ヶ瀬 アマタ、藍谷 瑠璃。あなた達は支部内の一室に集められている。
    薬師院 小夜子:「支部の外の人間が首を突っ込むのもアレだが、そこは勘弁しておくれ」
    薬師院 小夜子:「第八支部、薬師院 小夜子。〝サボり〟の子と、まぁ、知り合いっちゃあ知り合いでね」
    天ヶ瀬アマタ:「いえいえ、何処まで行っても僕は医師。こういった時の指揮は手慣れた方にやっていただくのが一番ですから」
    藍谷瑠璃:「あ、支部の外っていうならあたしもそーなので大丈夫です」似たよーなものですよ、と手をぱたぱた振ります
    天ヶ瀬アマタ:「あの子、手がかかるでしょう?」
    天ヶ瀬アマタ:クスクスと笑う。
    薬師院 小夜子:「イリーガルの瑠璃ちゃんね、データベースにあるだけの資料は目を通した。悪い顔の大人ばっかりですまないが、肩の力を抜いとくれ」
    藍谷瑠璃:「そーかなあ……」首を傾げる。手のかからない人間ってほんとにいる???
    天ヶ瀬アマタ:悪い顔と聞いて不思議そうに首を傾げる。
    藍谷瑠璃:「ええ、どうも、藍谷瑠璃ですー、よろしくおねがいします」
    薬師院 小夜子:「……で。〝手がかかる〟なんてもんじゃねえや、行方不明だぜ行方不明。通信機器、全部電源落としてやがる」
    藍谷瑠璃:マジかって顔をします
    天ヶ瀬アマタ:「ふむ……ああ、天ヶ瀬アマタ、医師兼UGNエージェントです」
    天ヶ瀬アマタ:「まあ隠密任務を担当するならばそういうことも珍しくはありますまい」
    薬師院 小夜子:「へぇ、ホワイトハンド?」
    天ヶ瀬アマタ:「ええ、そちらから十二支部に出向しております」
    天ヶ瀬アマタ:目が開いているのかどうかわからない顔でニッコリ微笑む。
    藍谷瑠璃:「えっ早くない? ついさっき別れたのに!?」
    天ヶ瀬アマタ:「早いからこそ、あえて連絡を絶ったという見方もあります」
    天ヶ瀬アマタ:「我々にできるのは手がかりがあった時にいち早く動くことくらいかな、と」
    薬師院 小夜子:「早くは動きたいが、そうもいかない──というか、ねぇ」
    薬師院 小夜子:「一人減ったせいで、余計にお仕事が大変になるわけさ」
    天ヶ瀬アマタ:「まあ、でしょうねえ」 苦い笑みに変わる。
    藍谷瑠璃:左右を見てはあわあわしています。腕がいいのを知ってるのと信じるのは別なので……ヤバいのでは……?
    薬師院 小夜子:「……天ヶ瀬さん。あんたが、〝例の患者〟を見たお医者様だってね?」
    天ヶ瀬アマタ:「ああ、その通り。単純な術後せん妄ではなかったようですね」
    天ヶ瀬アマタ:(藍谷さん、慌ててますね。ふむ……後で一応心配しないようにだけ伝えておきましょうか)
    薬師院 小夜子:「──っと、配慮が足りなかった。瑠璃ちゃん、ちょっと昨夜から今朝くらいにかけて、面倒ごとが有ってね」
    藍谷瑠璃:「めんどうごと」
    薬師院 小夜子:「病院に運び込まれた非オーヴァードの筈の男が、オーヴァード能力に目覚めた上で医者を襲った」
    薬師院 小夜子:「襲われた医者っていうのが、そこのお兄さん」
    藍谷瑠璃:「っていうと……なんか患者さんがいきなり”ガオーッ”って……?」
    藍谷瑠璃:「わあ」
    天ヶ瀬アマタ:「そうですね。まれに元気の良い患者さんはいらっしゃいますから」
    天ヶ瀬アマタ:「そういう時に鎮圧が可能な医師が市内の随所に必要とされる訳です」
    藍谷瑠璃:「えっなんですか実は目を開けたら必殺技を使ったりとかできちゃうやつなんですか」すごいなあ
    藍谷瑠璃:「なるほどー」戦闘能力が必要なの、たいへんだなあ
    天ヶ瀬アマタ:「ハハハ、必殺技。まあそのようなものだと思ってください。生きるか、死ぬか、シビアな判断を強いられる仕事ですから」
    天ヶ瀬アマタ:プルプルと震えながら笑っている。必殺技という単語がツボに入ったらしい。
    薬師院 小夜子:「運が良かったって言うんだか、悪かったって言うんだか。……まぁ、おかげで初動は随分早くやれたさ」
    天ヶ瀬アマタ:「ええ、そのはずですね。初動対応は自信があったのですが……話はどうにも穏やかじゃない」
    薬師院 小夜子:「ああ」
    薬師院 小夜子:「慢性的な人手不足の中でも、第一発見者の天ヶ瀬アマタを主軸に、土地勘と隠密能力持ちってことで一人、あと誰か──って算段をつけようとしてたところ」
    薬師院 小夜子:「その誰かさんが行方不明になった挙げ句、瑠璃ちゃんが来てくれたってわけ」
    藍谷瑠璃:「なるほどなあ」
    藍谷瑠璃:「ん、んー、ちょっといいですか」
    薬師院 小夜子:濃い目の化粧でも隠しきれない目の下の隈を、更に強調するように目を細めながら
    薬師院 小夜子:「ん、なんだい?」
    藍谷瑠璃:「オーヴァードじゃないはずなのに? 覚醒しちゃうのは……あんまりよくないとはいえ……それなりには“よくあること”でしょう」
    天ヶ瀬アマタ:(確かに御鳴ちゃんと前に任務に行った時はしゃぎすぎたけど、嫌われちゃったか……?)
    薬師院 小夜子:「他の街ならいざ知らず、此処ならね、確かに」
    藍谷瑠璃:「“なのにわざわざ覚醒してなかった人が覚醒しているのがマズい”っていうのが、よくのみこめなくって」
    天ヶ瀬アマタ:「凶暴すぎるんですよね。通常よりはるかに」
    藍谷瑠璃:「えっジャームだったとか……?」
    天ヶ瀬アマタ:「いえ、まあ患者さんにこんなこと言ってはあれですが、侵蝕の数値以外はジャームみたいな振る舞いでしたよ」
    天ヶ瀬アマタ:「奇妙なことに侵蝕の数値は通常なのに……ジャームみたいでしたねえ」
    藍谷瑠璃:「え、その筋の人だったとか……?」やくざものならワンチャン納得できる
    天ヶ瀬アマタ:(御鳴ちゃん、僕の能力からまさか僕を疑ってはいないだろうか……)
    天ヶ瀬アマタ:「まあ患者がFHの潜伏者とかなら納得はできますよねえ……」
    薬師院 小夜子:「怪我人として運び込まれた──ってとこも、付き添いが誰もいなかったってのも、気になる話は幾らでもあるが」
    薬師院 小夜子:「そうだねぇ、こう言ってしまおうかい」
    薬師院 小夜子:「〝よくあること〟だろうが、厄介ごとには違いない。おろそかにして良いもんでもないし」
    薬師院 小夜子:「同じように医者に噛み付こうとする患者が増えたら、厄介ごとの度合いが二つ三つ跳ね上がっちまう」
    藍谷瑠璃:「かみつく」
    天ヶ瀬アマタ:「僕なんか目をえぐられましたよ、オーヴァードでなければ労災ものです」
    藍谷瑠璃:「えっ」
    藍谷瑠璃:「ろ、労災で済むかなー……?」
    天ヶ瀬アマタ:「十二支部の人間ならば目をえぐられても戦えます。まあそれはさておきこんなことを繰り返すわけにはいきませんよね」
    薬師院 小夜子:「──で、話を戻すぜ」
    薬師院 小夜子:「とにかく、だ。そういうきな臭い話の調査に当てようとしてたチルドレンが一人、音信不通になって」
    薬師院 小夜子:「どうしたもんかと困ってた矢先、そいつに遭遇したって子が来てくれた訳だ」
    藍谷瑠璃:「……なるほど」真顔になります
    薬師院 小夜子:「……どういう話だったんだい?」
    藍谷瑠璃:「あたしもよくわかってないんですけれど……」
    天ヶ瀬アマタ:「そうですね。御鳴ちゃんのような優れたチルドレンならば、何かあなたに託していると踏んでいますが」
    藍谷瑠璃:これを見てもらった方が早いはず、とテーブルにSDカードを滑らせます。
    藍谷瑠璃:「めーちゃんは、“スナッフフィルムを知ってるか”って」
    藍谷瑠璃:「知らないならこれを天ヶ瀬せんせーに届けろ、って言って、そのまま行っちゃった」
    薬師院 小夜子:〝スナッフフィルム〟という単語を聞いて、顔が強ばる。
    藍谷瑠璃:「あたしにわかってるのもここまでです」
    天ヶ瀬アマタ:「…………」
    藍谷瑠璃:「……無事だといいんですけれど」
    薬師院 小夜子:歪んだ形で凍り付いた表情のまま、視線だけを天ヶ瀬アマタへ向け、
    薬師院 小夜子:「ドクター」
    薬師院 小夜子:「スプラッタ映画はお好き?」
    天ヶ瀬アマタ:「サメ映画くらいでしょうかね……」
    天ヶ瀬アマタ:「とはいえ」
    天ヶ瀬アマタ:コホン、と咳払いをする。
    天ヶ瀬アマタ:悪い顔の医者らしいことをしよう。偶には。
    天ヶ瀬アマタ:そんなことを思ったのだ。
    天ヶ瀬アマタ:「藍谷さん、そのスナッフフィルムというのは趣味の悪い猟奇殺人鬼の類が犯行現場を映像にして後から金稼ぎの手段にしたり自分の娯楽につかったりするものなんですが……」
    天ヶ瀬アマタ:そこまで一息に言い終えてから、深呼吸。
    藍谷瑠璃:うぐぇ、という顔をします
    天ヶ瀬アマタ:「恐らくその中にある情報は心に毒かと思います。内容によっては女性陣にお見せしたくない内容かもしれません」
    藍谷瑠璃:「あー、うん、観ます」
    天ヶ瀬アマタ:「ですので僕が最初から最後まで見て皆さんに内容をご報告できればと思うのですが──ん゛っ!?」
    天ヶ瀬アマタ:目を見開く。
    薬師院 小夜子:「……いちおう、建前みたいなもんだがね。止めとくよ」
    天ヶ瀬アマタ:「マジ、ですか」
    藍谷瑠璃:「最悪がどうなのか、知らないでぶつかるよりはましだと思いますから」
    天ヶ瀬アマタ:「よくありませんよ。実によくありません。未成年が見るべきものではありません。最悪に子供がぶつからない為に我々エージェントが居るのですから」
    天ヶ瀬アマタ:いたって、真剣な面持ちである。
    藍谷瑠璃:「言っていましたよね、めーちゃんと連絡が取れない、って」つまり既に映っている可能性までは頭の隅にあります
    天ヶ瀬アマタ:「彼女が狙われている、と?」
    藍谷瑠璃:「それに、こんなのがあるってことは」
    藍谷瑠璃:「可能性は、きっと。めーちゃんかわいいから、悪趣味な連中にも大人気になっちゃうでしょう」
    天ヶ瀬アマタ:目を細めて思索する。オーヴァードを使ったスナッフフィルム。まあ無い話ではないと納得はする。
    藍谷瑠璃:「こんなのがあるってことは、」
    藍谷瑠璃:「そういう目にあっている子がいるか、最中の子か、まだ間に合う子がいるかもしれなくて」
    藍谷瑠璃:「間に合うようなら、心構えとかできてたらちょっとはマシな顔して会えるかもしれないでしょう」
    藍谷瑠璃:「そのときにひいちゃいたくはないんだなー」
    天ヶ瀬アマタ:「まったく……ふっ……君は良い子ですね……。分かりました。僕は折れましょう。気持ち悪くなったらすぐに我々に言うのですよ」
    天ヶ瀬アマタ:「まったく……良い子だ」
    藍谷瑠璃:「おねーさんですから」
    薬師院 小夜子:「……オーケーだ。気分の良いもんじゃねえだろうが」
    薬師院 小夜子:部屋の照明を落とす。プロジェクターにSDカードを差し、スクリーンを引き下ろして
    GM:再生。

    GM:画質自体は、綺麗なものだった。
    GM:ぶれがあるのは、撮影者が三脚の類いを使わず、手持ちのカメラで撮影しているからだろう。
    藍谷瑠璃:「良いカメラ使ってるなあ、これお金持ちですよ」小声
    GM:音も入っている。和やかな親睦会という雰囲気の、落ち着いた男性達の声が入っている。
    GM:が。
    GM:そんな声が気にならない程の悲鳴が、数人分。
    天ヶ瀬アマタ:「…………」 腕を組んだまま目を見開いている。真剣な表情だ。
    映像の中の誰か:「子供は元気だ」「不思議ですよねぇ。私達より小さい体の、何処にあれだけの体力があるのか」
    藍谷瑠璃:無意識にてのひらを握りしめる。
    GM:映像は、それまでは、壁を映していた。
    GM:カメラの向きが変わる。
    GM:……唐突だが。
    GM:『ロッキー』という映画を観たことはあるか? 名作だ。今でも色褪せない。
    GM:あんな具合だった。
    GM:生きている、という違いはあるが。
    映像の中の誰か:「けれど、みな痩せ型ですねぇ」「仕方がない。裕福な家庭ではないのですから」
    GM:天井から、人が吊されていた。
    GM:裸体の、少年少女、合わせて五人。年齢は──下は十歳前後か、上も十五かそこらだろう。
    GM:彼らは肩甲骨の下からフックを突き刺されて、それを鎖で巻き上げられ、天井からぶら下がっていたのだ。
    GM:まるで大冷蔵庫の中に吊された肉のように。
    天ヶ瀬アマタ:「……ッ!」 眉根を寄せる。
    藍谷瑠璃:ぐえっ
    映像の中の誰か:「誰から行きますか?」
    宇都宮 零路:「右端から順に、でどうでしょう」
    天ヶ瀬アマタ:「あの男は……!」
    宇都宮 零路:フレームインした男は、上等の夜会服に身を包んでいたが、その右手には医療用のメスを持っていた。
    宇都宮 零路:そして左手には、
    天ヶ瀬アマタ:「あの男です……僕が治療した患者は……! ッ!? まさか……」
    宇都宮 零路:「では、さっそく」
    宇都宮 零路:左手には──取り皿を。
    宇都宮 零路:彼は全く躊躇いもせず、吊された少年少女のうち、運悪くもっとも右側に吊されていた者の太腿へ、
    宇都宮 零路:メスを当て、肉を切り取った。
    GM:聞くに堪えない悲鳴が上がる。
    GM:血しぶきが男の夜会服を濡らす。
    GM:けれど、最も悍ましいのは、その光景を楽しんでいるのだろう、談笑の声だ。
    天ヶ瀬アマタ:「……」
    天ヶ瀬アマタ:拳を強く握りしめる。
    藍谷瑠璃:大事なことはひとつだ。——顔が見える。
    GM:太腿。二の腕。肉付きの良い部分を狙って抉る。……太い血管の通っている箇所でもあるから、
    GM:実際の時間としては〝あっさり〟と、その子供は死んだ。
    GM:体感時間の方は? さぁ。
    GM:苦痛と恐怖の中での死だったとは思うが。
    GM:……さて、二人目。一番幼い少年だった。
    GM:彼に関しては食う部分が少ないからだろう、
    GM:名うての資産家であろう参加者達が意地汚く、骨に残った肉をこそげ落としていた。
    GM:三人目。
    GM:十三か、十四か、それくらいの年齢に見える少女だった。
    GM:〝まだ〟前髪を伸ばしていなかったから、案外に丸く大きなその目が、はっきりと見えたことだろう。
    GM:顔立ちは今より少しばかり幼い。それを以て〝この映像は何年か前のものだ〟と判断が出来る筈だ。
    GM:藍谷 瑠璃。あなたの探している〝彼女〟──御鳴 鳴唯の、過去の姿だ。
    GM:彼女もまた身体をメスで抉られ、肉を削がれ、悲鳴を上げながら藻掻き、鎖をガシャガシャと鳴らしていたが、
    宇都宮 零路:「おお……オーヴァードですか」
    映像の中の誰か:「おお、それは……!」「運が良い」「なら、その子は最後にしませんか?」「ええ、それが良い」
    映像の中の誰か:「治るまで待てば、また食べられ──」
    GM:──ぶつっ。

    薬師院 小夜子:プロジェクターの電源コードを、薬師院が引き抜いていた。
    天ヶ瀬アマタ:「いかがなさいました?」
    薬師院 小夜子:彼女は青ざめた顔をして、
    薬師院 小夜子:「……昼食、早めに食うんじゃなかったなぁ」などと、つとめて冗談っぽく言った。
    天ヶ瀬アマタ:「……」
    天ヶ瀬アマタ:(腹立たしいという気持ちは沸かない)
    天ヶ瀬アマタ:(根本的に、僕と彼らが何ら変わらない存在だからだろう)
    藍谷瑠璃:「ね」冗談めかして返す。——きっと今は、ともだちには見せられない顔をしている。
    薬師院 小夜子:「十分だろ、十分に見た。後は映像解析に回しゃあ良い」
    天ヶ瀬アマタ:「そうですね。専門の部署に頼むのが一番です」
    天ヶ瀬アマタ:「僕たちが生命のやり取りをする相手が、どういう相手か理解はできた」
    藍谷瑠璃:「やー、それにしても、ひとついい事ありましたよいいこと」
    藍谷瑠璃:「これ、ばっちり顔が映ってたじゃないですか」
    藍谷瑠璃:「……UGN的にこの人には手出しをしちゃダメ、みたいなの、いませんよね?」
    天ヶ瀬アマタ:「ええ、そうですね。宇都宮氏の顔も……」
    天ヶ瀬アマタ:「いやぁ居るかも知れないですけど居たとしても僕のような下っ端には分かりませんねえ」
    藍谷瑠璃:「やー、よかったーはははー」手をひらひらと振る。掌にはくっきりと爪の痕がついているのが見て取れる。
    藍谷瑠璃:あれは、そう、人間に対して、いやおよそ生きたものに対してしていい扱いではなかった。
    天ヶ瀬アマタ:「こいつらを殺すのは……楽しそうとか思ったりしてます?」
    藍谷瑠璃:「こんなことをして喜べるやつを野放しになんてしておけない、とは」
    天ヶ瀬アマタ:「やはり、君は良い子だ」
    藍谷瑠璃:「……めーちゃん、“助けて”って、こういうことだったんだ」
    藍谷瑠璃:わたしは
    藍谷瑠璃:わたしはこんなの、けしてみせられないっていうのに。どこまで重かったんだろう。
    GM:あまり感情表現の上手い娘ではない。
    GM:表情を作るのも、声の抑揚をつけるのも、人一倍の下手くそだ。
    GM:そのくせ、冗談は良く言うから、肝心の言葉がぼやける。
    御鳴 鳴唯:〝私に、彼氏はいないし……〟
    御鳴 鳴唯:〝たぶん……積極的に作ろうとはしない……と思う〟
    薬師院 小夜子:部屋の明かりをつけ、ドアを開ける。体半分、もう廊下に踏み出しながら、
    薬師院 小夜子:「……解析班が或る程度、初動捜査の手がかりになるもんを探す。それまではすまないが、ちょっと待機してておくれ」
    薬師院 小夜子:「なんなら、昼飯くらいは買ってくるよ。食べたいものはあるかい?」
    藍谷瑠璃:「んー……」
    藍谷瑠璃:「おにぎり! 葉物のやつおねがいします!」高菜とか……
    天ヶ瀬アマタ:「おやおや、ここは紳士的に僕が行きましょう。薬師院さん、何か食べたいものは?」
    薬師院 小夜子:「良い感じに葉っぱみたいなのを探してくるさ。……私が食べたいのはね、外の空気」
    天ヶ瀬アマタ:「オーケー。それでは選択はおまかせします」
    藍谷瑠璃:「冷房で頭を冷やしてまってまーす」
    GM:部屋のドアがぱたりと閉じられて、
    GM:それから、待つだけの時間が少し。

    GM:ロイスのみ取得可能!
    天ヶ瀬アマタ:よし!
    天ヶ瀬アマタ:藍谷瑠璃 好感◯/殺意 良い子は大好きだから殺そうとしても胸が痛んで殺せないという意味です
    藍谷瑠璃:まずめーちゃんへのロイスを「友情/〇不信感」から「〇尽力/後悔」へ。わるいこと言っちゃった。
    藍谷瑠璃:アマタさんには……「〇タフだ/あやしい」でとります!
    藍谷瑠璃:眼鏡と糸目は怪しいコンボが重なってあやしすぎでしょ……
    天ヶ瀬アマタ:確かにな?????
    GM:間違ってはいないな
    GM:OK!

    シーン2


    GM:合流シーンだ全員登場!
    天ヶ瀬アマタ:53+1d10
    DoubleCross : (53+1D10) → 53+3[3] → 56

    藤(肉球):寒林鎮歌の侵蝕率を+3(1D10->3)した(侵蝕率:37->40)
    藍谷瑠璃:1d10+42
    DoubleCross : (1D10+42) → 5[5]+42 → 47


    GM:午後──Dr.フィティアンの診療所。
    GM:招きもしないのにやってきたあの客は、未だに目を覚まさない。
    GM:とは言え、寝かせておいても使うスペースは常人より、脚半分は少ない。さほど邪魔にはなるまい。
    GM:……さて、寒林 鎮歌。
    GM:おそらくあなたは、応急処置なりなんなりをようやく終えて、やっと一息ついたころだったろう。
    GM:が。
    GM:とん、とん、とん。
    GM:玄関扉をノックする音がする。
    寒林鎮歌:さあそろそろお昼を……と取り出しかけたランチボックスを、一瞬未練がましく見つめ。
    寒林鎮歌:一旦机の上に置いて、「はーい」と返事した。玄関へ向かう。「休診時間ですよー」
    寒林鎮歌:※休診とかきっちり決まってない。
    GM:玄関先に居た面子は──堅気にはまず見えまい。
    GM:その中でも特に堅気らしくない、10cmはあろうヒールを履いた派手な女が、
    薬師院 小夜子:「昼時に申し訳ないねぇ……私ら、UGNって言うんだけどさ。知ってる?」と言った。
    寒林鎮歌:「ああ、そちらの方ですか。一応、お仕事させてもらっていますが」
    寒林鎮歌:説明しよう! 鎮歌はエムブレム「デリバリー」もちなので、いざって時はすぐUGNのお仕事に駆けつけられるのだ!
    薬師院 小夜子:「そりゃあ良かった。今後ともごひいきにお願いしたいとこだが──」と、少し声を潜めて
    薬師院 小夜子:「二年前、ここに死体が四人と──ほぼ死んでたオーヴァードが一人、運び込まれた筈なんだが」
    薬師院 小夜子:「ちょっと相談させてもらってもいいかい?」
    寒林鎮歌:「……激務の上昼食がまだなので、食事しながらでもよろしいですか?」
    寒林鎮歌:「食事は。大切なので」んぎ、と無理に微笑みを作ってみる。
    薬師院 小夜子:「……構わないけどさぁ」と、眉の端を下げて疲れた顔をしながら、後方に連れた面子へ振り返り
    薬師院 小夜子:「この話題、お食事中に聞かせていいと思う?」
    天ヶ瀬アマタ:「いやはや、忙しいですよね医療従事者は」
    寒林鎮歌:「あ、口に物入れたまましゃべりませんよ。行儀が悪いので。筆談します」
    天ヶ瀬アマタ:「食事は大事。食べられる時に食べなきゃですよ」
    天ヶ瀬アマタ:ニッコリと微笑む。天ヶ瀬アマタは気にする様子もない。
    藍谷瑠璃:「あんまりよくないんじゃないかなーって気は……しますね!」
    寒林鎮歌:「血なまぐさい話なら慣れてますので」
    天ヶ瀬アマタ:「ですよね。そんな気がしました」
    天ヶ瀬アマタ:こころなし嬉しそうだ。
    薬師院 小夜子:「プロは強えなあ……」
    寒林鎮歌:と、ここで。きゅぅぅ……と。
    寒林鎮歌:おなかがなりました。
    寒林鎮歌:「……………………」
    藍谷瑠璃:「平気そうなのと平気なのは違う……けど、ほんとに大丈夫です……? 度をこして不穏なはな」
    寒林鎮歌:きゅうう、と。もう一度。
    藍谷瑠璃:「あっごめんなさい! ごはんだいじ!!!」
    天ヶ瀬アマタ:「貴重なお昼休みと食事の時間です。全てに優先します」
    寒林鎮歌:「…………~~~~~」
    寒林鎮歌:赤くなって顔を伏せる。
    天ヶ瀬アマタ:「まずは食べましょう。そして失敬、お腹がなりました。僕もまだお腹減ってたのでスニッカーズを食べます」
    薬師院 小夜子:「……んじゃまぁ、ちょっと一方的に話すよ。その上で協力できそうか判断してくれ──」
    薬師院 小夜子:「──しかし、可愛らしいお嬢さんだ。巻き込むのが申し訳なくなるねぇ」
    寒林鎮歌:「どうぞお話し下さい。こちらもこちらで、食べさせていただきますね!」
    寒林鎮歌:耳まで赤くなって、気を取り直してもまだ早口だ。
    寒林鎮歌:ぱかり、ランチボックスから出てきたのは、卵サンド。だし巻き卵、スクランブルエッグ、卵サラダなどとにかく卵。
    寒林鎮歌:もぐもぐ
    寒林鎮歌:あ、自分のぶんとみんなの分の椅子とお茶をお出ししてから、食べますね。もぐり
    GM:接客が行き届いてる
    藍谷瑠璃:「あ、ありがとうございます」ほわっと座り
    藍谷瑠璃:「たまごまつりだ……」
    寒林鎮歌:食事しながら話すのは態度悪いとはさすがに思うけれど、食事は決して譲れないからね……。
    天ヶ瀬アマタ:寒林さんが気にしないように無礼を承知でスニッカーズをもぐもぐします。
    GM:では、玄関先に椅子など用意して、あなたは話を聞くだろうし──写真を見せられるだろう。
    GM:よほど記憶力に優れていれば、或いは見覚えが……とも思うが、二年の間にあなたが見届けただろう死の数を考えれば、その四人の顔を覚えていろというのは酷な話だ。
    GM:けれども、捕捉説明を口頭で示されれば、思い出すのではないか。
    GM:鋭利な刃物で身体を、複数箇所を生きたまま抉られたことによる失血死。十代の少年少女で、同時に四人。
    GM:特殊な事例であり、死体の処分に携わった者も記憶しているだろうし──其処まではUGNも容易に探り当てた。
    GM:故に此処に来た……という話だった。
    寒林鎮歌:もくもくと食事しつつ、紙にペンでさらさらと書きましょう。
    寒林鎮歌:『ええ。確かに二年前、運び込まれてきました』
    寒林鎮歌:『生き残ったのは一人だけ。酷い有り様で。胸くその悪い事件でした』
    天ヶ瀬アマタ:その文字を読んでコクコクと頷く。
    天ヶ瀬アマタ:「趣味の悪い連中も居たものですよ」
    寒林鎮歌:『趣味?』
    寒林鎮歌:『趣味の問題だと私は思わない』
    寒林鎮歌:『あれは、品性下劣です』
    藍谷瑠璃:行儀よさそうに座っています。指が白い。
    藍谷瑠璃:「その品性下劣な連中のひとりが運び込まれてきた……ん、ですよね」
    藍谷瑠璃:天ヶ瀬せんせーをみます。
    寒林鎮歌:『加害者側が?』
    天ヶ瀬アマタ:「ええ、僕の務める小さな病院に」
    天ヶ瀬アマタ:「しかも、オーヴァードになって……奇妙な事件です」
    寒林鎮歌:『オーヴァードの肉でも食べたのでは?』
    天ヶ瀬アマタ:「興味深い仮説ですね。そういった感染症も存在します」
    寒林鎮歌:『発症していないキャリアーの肉、という可能性もありますが』
    藍谷瑠璃:「えっ食べたらうつるの???」
    寒林鎮歌:『レネゲイドはありとあらゆる感染経路があります』
    薬師院 小夜子:「レネゲイドウィルスの経口感染、まぁ聞く話ではあるしねぇ。血なんか特に良く聞くよ」
    天ヶ瀬アマタ:「エボラ出血熱などはまさしくそれですしね」
    寒林鎮歌:『食べるということは、自分の体の中に取り入れるんですよ? そこまで濃厚な接触、いくら感染しても不思議ではありません』
    寒林鎮歌:血、というところに、ぴく、と小さく反応したが。何事もなかったようにサンドイッチをぱくつく。
    寒林鎮歌:マヨネーズ、かいわれ大根、スクランブルエッグ、カレー粉。味のハーモニーが口に広がる。
    藍谷瑠璃:「なるほどなあ、べんきょうになります」指の白さが増す。
    天ヶ瀬アマタ:「事件の動画、まだ気になってますか?」
    天ヶ瀬アマタ:心配そうな表情を浮かべる。
    寒林鎮歌:動画? と無言のまま小首をかしげて藍谷さんを見ます
    藍谷瑠璃:「あー、うん、まあ」
    藍谷瑠璃:「動画まで撮ってるんだから、あれっきりじゃないでしょうしねえ」ひらひらと手を振る。
    天ヶ瀬アマタ:「ああ、これは申し訳ありません。先程お見せした資料の動画版をこの子も見たもので」
    天ヶ瀬アマタ:笑顔を繕って寒林さんへ説明もする。
    寒林鎮歌:『それはつまり。被害者が何をされたか、という犯行の?』
    藍谷瑠璃:「まさにお食事中のやつですねえ」肩をすくめて見せます
    天ヶ瀬アマタ:「ええ、そうなります」
    天ヶ瀬アマタ:スニッカーズの最後のひとかけらを放り込む。
    寒林鎮歌:(お食事中……)
    寒林鎮歌:ぎん、と。目をすがめて。
    薬師院 小夜子:こくん、と頷いて「何処かの阿呆が撮影してたのを──手癖の悪い子でしてね、盗んだんでしょうよ」
    寒林鎮歌:『その動画、私も見せていただいてよろしいですか?』
    天ヶ瀬アマタ:「捜査にご協力いただけるなら、構いませんよね薬師院さん?」
    天ヶ瀬アマタ:やや声が弾んでいる。
    藍谷瑠璃:「持ってきてるんです?」と薬師院さんと天ヶ瀬せんせーを見ます
    天ヶ瀬アマタ:(もしかしたらこの人、もしかするんじゃないだろうか。なにせこういう場所に務めているのだから……)
    寒林鎮歌:そういえば解析に回されてたりするのかな……w
    天ヶ瀬アマタ:「データは複製できますからね……」
    薬師院 小夜子:「もちろん。……ああ、ですが一応……釈迦に説法でしょうが言いますとね」
    薬師院 小夜子:「調味料としちゃ、下も下な映像ですよ」
    薬師院 小夜子:と応じながら、UGNからの支給端末を操作する。映像データだからコピーして保存できるのだ。
    寒林鎮歌:こくん、と。サンドイッチの最後の一つを呑みこむ。お茶を飲み干す。
    寒林鎮歌:ITだ。
    寒林鎮歌:「ご馳走さまでした」手を合わせて。「調味料なら、もうご不要ですよ」と告げる。
    藍谷瑠璃:「たはは、実はコピーしてくるのを忘れてましたーとか、わざわざSDで渡されたデータだからコピーはしづらいーとか、あるかなーって……」
    藍谷瑠璃:「食べた直後でもつらいかもですよ、こんな顔になっちゃいますよ!」しわしわの顔をします。
    GM:いえす、IT革命。
    GM:だからあなたはたんまりと、文明の利器の恩恵に預かることになるだろう。
    GM:カメラが良かったのだろう。ピンチインで拡大してみても、中々映像が荒くならない。
    GM:ダビングする度に映像が劣化する──を味わっている世代よりは、あなたは若いか。
    天ヶ瀬アマタ:「…………」
    GM:どういう映像か、改めて語ることもあるまいが。
    GM:先ほどは途中で映像を切られた。最後まで見たのなら、少しだけ書き足そう。
    GM:四人目。五人目。彼らの肉体は娯楽として消費され、欠損させられ、そして死んだ。
    GM:その後に、カメラの外で誰かがこう言った。
    映像の中の誰か:「そろそろ治りましたか?」
    宇都宮 零路:「完全ではないですが、ええ」
    宇都宮 零路:「また使える程度にはなったでしょう」
    宇都宮 零路:「あまり1ファイルが長くなってもアレですから、一度切っておいてください」
    映像の中の誰か:「ああ、確かに。気が利きますね」
    GM:それで、映像は終わっている。
    藍谷瑠璃:ぎり、と歯が鳴る。——あのこがこういう目に遭ったのはいちどでは終わらなかった、と、わかってしまった。
    寒林鎮歌:「……」
    寒林鎮歌:「ゲスが」
    寒林鎮歌:手短に、刃物を一つ降らしたようなつぶやき。聞いた人間の腹の底に、さくりと突き刺さる。
    寒林鎮歌:そういう、短くも重く鋭い、抑えた声音だった。
    天ヶ瀬アマタ:(胸が痛い……僕は最低の男だ……)
    天ヶ瀬アマタ:(彼らを殺すくらいしか……僕がこの世界に居る価値は無いんだよな……)
    寒林鎮歌:「……こういう連中が……いるから……ッ」ぎり、と拳を握りしめる。
    天ヶ瀬アマタ:「僕も、同感です」
    天ヶ瀬アマタ:「……?」
    天ヶ瀬アマタ:(ああ……ああ……もしかして? いや、まだだ、まだ抑えろ)
    天ヶ瀬アマタ:こほんと咳払いをして
    天ヶ瀬アマタ:「この事件にかつて関わっていたUGNのメンバーが独自に行動をしているところでして、どうにも人手が足りないのですよ」
    天ヶ瀬アマタ:「ねえ、薬師院さん?」
    藍谷瑠璃:上手い事いうなあ、という目で天ヶ瀬せんせーを見ます
    寒林鎮歌:「犠牲は少ない方がいい。こんな連中に、餌を与えないようにしないと」
    寒林鎮歌:「……ああ、失礼。口調が荒れていますね
    天ヶ瀬アマタ:(面白い女だ……協力してもらいたい。というよりも、僕が彼女を観察したい)
    天ヶ瀬アマタ:(少しずるい手を使ったが、この案件では“悪性こそが役に立つ”と見るべきでしょう)
    薬師院 小夜子:「…………」数秒、返答が遅れつつも
    薬師院 小夜子:「仕方がないさ。そんなもんを見て、平然としてられる方がおかしいんだ」
    薬師院 小夜子:「まともな人間なら、はらわた煮えくり返らずにゃいられないよ」
    薬師院 小夜子:「……でね。人手が足りないってのはまぁ──いや、うん、その通りなんだが」
    寒林鎮歌:「……まともでない人間にも、その権利はありますよ」
    寒林鎮歌:「私はあなた方が想像するような、まともな善人とはたぶん、違います」
    天ヶ瀬アマタ:(これは……間違いない)
    寒林鎮歌:「でも、こういう連中は許してはおけない。……ズタズタに、私が食い殺す」
    寒林鎮歌:「それで利害は一致でしょう。今回もお仕事させていただきますよ、UGNさん」
    藍谷瑠璃:「え、えーと……実は日夜筋トレに励んでるとか???」
    藍谷瑠璃:「まともじゃないレベルで?」
    藍谷瑠璃:「だからおひるごはんがタマゴ祭りだったんです……???」
    薬師院 小夜子:「……瑠璃ちゃん……そのままの瑠璃ちゃんで居てほしいね……」遠い目をしてぼそりと。
    天ヶ瀬アマタ:「仮に貴方がそういう人間でも、守りたい日常が有る。素晴らしいことじゃないですか」
    天ヶ瀬アマタ:「僕も、薬師院さんも、藍谷さんも、守りたい日常がある。利害は一致、ですね……」
    寒林鎮歌:「卵? 好きですよ。大好き。だって罪悪感が、少ないじゃないですか」
    寒林鎮歌:「卵は、生まれてこなかった命ですもの。食べるために殺されたお肉やお魚じゃないんです」
    寒林鎮歌:「殺されていないけれど、命だから。美味しくて、少しだけ気持ちが軽くて。素敵ですよ」
    天ヶ瀬アマタ:「気持ちが軽くなるの、大切ですよね」
    天ヶ瀬アマタ:「軽やかな気持ちでなければ、楽しめない……!」
    寒林鎮歌:あ、と。唇を噛んで。「ああ、うん。そういう中二病なんです、私。気にしないでください」
    天ヶ瀬アマタ:(仲間だ……!)
    薬師院 小夜子:「仕事が終わったら報酬にホビロンを追加しときますよ」
    寒林鎮歌:「いえそれはご遠慮します」早口!
    寒林鎮歌:ホビロン……卵のまま中の雛を煮殺したりして食べる料理。バロットとか。だったはず。
    薬師院 小夜子:「……失礼、ちょいと意地悪をしたくなっただけ。ささくれてましてね」
    寒林鎮歌:音を立てて鎮歌から薬師院さんへの好感度が下がるぞ。
    天ヶ瀬アマタ:「それはよくありませんね。甘い物を食べましょう甘いものを」
    天ヶ瀬アマタ:「夜勤の味方スニッカーズはまだあります。口直しといきましょう」
    天ヶ瀬アマタ:二人にすいっと差し出して人懐っこく微笑む。
    寒林鎮歌:くれるならもらいます。
    寒林鎮歌:「チョコレート……好き……」
    藍谷瑠璃:「そうそう、終わったら白玉パーティもありますよ」
    寒林鎮歌:「ありがとう。いい人ね」
    寒林鎮歌:「白玉……」
    藍谷瑠璃:「なんか……通じ合ってる!」
    寒林鎮歌:食べ物に釣られていく。
    薬師院 小夜子:「──まぁ、とにかく」
    薬師院 小夜子:「さっきの映像に映ってた一人、宇都宮 零路って男が病院に運び込まれて、そこの天ヶ瀬さんを襲った」
    薬師院 小夜子:「同様のオーヴァード化、凶暴化の案件が連続しないように調査──と思ってたら、うちの従業員がひとり無断欠勤した」
    薬師院 小夜子:「……そいつが残したSDカードに、とんだクソ野郎どもの乱痴気騒ぎが記録されてた」
    薬師院 小夜子:「さしあたって、宇都宮 零路の周りから調査を始めたい。そこが今、一番太い手がかりだ」
    藍谷瑠璃:「そこでおしごと押し付けられたのがあたしでーす」手を上げる
    藍谷瑠璃:「こりゃもう白玉パーティのお金は半分出してもらわなきゃだよ」でも残り半分は出すつもりだ!
    天ヶ瀬アマタ:「ええ、宇都宮の一族で彼と交流の有る人間が居れば良いのですが……」
    寒林鎮歌:「それなら、一人ちょうど手がかりになりそうなのがいますが」
    寒林鎮歌:「本人が重傷で、どこまで話を聞けるか……ですね」
    GM:かつん。とん。
    宇都宮 一:「ええ」
    宇都宮 一:「半死人──いえ、四分の三死人の言葉でいいなら」
    宇都宮 一:「息も絶え絶え、お伝えはできますが」
    GM:足音と、声と。
    藍谷瑠璃:「ちょっとだけでも聞けないかな……」
    寒林鎮歌:「……お早いお目覚めで」
    藍谷瑠璃:なんか靴音っぽくない音がするなあ、とこっそり首を傾げています
    藍谷瑠璃:「えっそれ大丈夫!??!?」
    寒林鎮歌:「あなた、来たときも自分の状態を無視して、ぶっ倒れるまで話していましたよね?」
    天ヶ瀬アマタ:「……おお!」
    寒林鎮歌:「患者としてきたなら患者らしく、もう少しおとなしく寝ててくださいませんか? ベッドでも話はできるでしょう」
    藍谷瑠璃:「えっそれはよくないんじゃ!!?」
    寒林鎮歌:「まったくもってよくないですよ!」
    天ヶ瀬アマタ:(医師としては怒るべきだが……こういうタイプの人間は……結構好きだ)
    藍谷瑠璃:「な、なるべくてばやく終わらせましょ」ね、ね? と見回します。
    天ヶ瀬アマタ:「まずは話しましょう。不味そうならば、僕が医師としてストップをかけます」
    宇都宮 一:杖と脚とで、跳ねるように──随分足取りは重いが──現れた少女は、
    宇都宮 一:「ええ、まぁ、はい。良くないのは分かっているのですが、死にたいほど嫌いな名前が聞こえたので」
    天ヶ瀬アマタ:「宇都宮氏のお知り合いで?」
    宇都宮 一:「……ううん」
    宇都宮 一:「ごめんなさい、うそを言いました」
    宇都宮 一:「殺したくなるほど嫌いな名前、でした」
    宇都宮 一:「一応は父なんですが、はい」
    宇都宮 一:とまで言って──ぺたり。床に尻餅をつく。
    寒林鎮歌:「父」
    藍谷瑠璃:「それは……また、なんか」言葉を探す
    天ヶ瀬アマタ:「ふむ、ふむ……!」
    藍谷瑠璃:「……大変ですねえ」しみじみ。身内がひどいやつって大変でしょ……!
    寒林鎮歌:「家庭は、それぞれですからね」はぁ、とため息しながら。
    寒林鎮歌:どうりで名字が同じなわけだ、と納得しながら。棟のうちがざわつくのを感じる。
    藍谷瑠璃:「あ、おねーさん、椅子どうぞ」自分の椅子を譲るだぜ!
    寒林鎮歌:「ああ、ちょっと仮で座ってください。車椅子をご用意しましょう」
    宇都宮 一:「ありがたく」と応じて、両手でよじ登るように椅子に座り、
    宇都宮 一:「はっはっは。お前さま、私とそう年齢は変わらないでしょう」
    宇都宮 一:「それとも私、そうも老け顔に見えます?」と、ぶりっこ気味に首を傾げながら、
    宇都宮 一:目は笑っていない。狙撃手の目が、すうっと横に二度滑って室内を見渡す。
    藍谷瑠璃:「あれ、ほんと? なんかこー凄みとかそーいうのがあるから年上かなーって」
    藍谷瑠璃:「やー、ほんっとごめんねえ」手を合わせてみせます
    藍谷瑠璃:「くるまいす! ぶんめいのりきだぜ……!」
    天ヶ瀬アマタ:「おやおや女性を立たせるわけにはいきませんね。藍谷さんはこちらへどうぞ」
    天ヶ瀬アマタ:(いかんいかん、興奮して人間らしい振る舞いを忘れていた……)
    藍谷瑠璃:「大丈夫ですよお、ほら、わかさぱわーが有り余ってますので」
    寒林鎮歌:ぱたぱたと手を動かす。体を動かせば、そのぶん少し思考が静まる。たぶん。おそらく。
    寒林鎮歌:人を食べる父親。父を殺したい娘。食人の集まり。
    寒林鎮歌:車椅子は、皆が集まっているところから少し離れて、死角の位置にある。
    寒林鎮歌:一瞬、誰の視線もないことで、ふいに周りが真っ暗になった気がした。自分の内に沈む感覚。
    寒林鎮歌:ぐ、とそれを堪えて、車椅子を取って戻る。気を抜けばまた、自分の手を噛みそうだった。
    天ヶ瀬アマタ:「ふふ、しかし今度は僕の立つ瀬が無くなります。ただでさえそちらの女性に椅子をお譲りしそこなったというのに……ね?」
    寒林鎮歌:「ほら、宇都宮さん、こちらへどうぞ」
    寒林鎮歌:「移乗介助いたしますから」
    寒林鎮歌:※足腰が弱い方が椅子に座ったり降りたりする手助けのこと。
    宇都宮 一:「いやはや、何から何までご協力感謝する。一方で私からお返しできるもの、情報面ではさほども無く!」
    宇都宮 一:「何せ、何処に居るかも知りませんでしたもの。もっと早くに知ってたら、遠くから矢ぁぶっ込んでドーンですよドーン」
    藍谷瑠璃:「や、すっごい大事な情報があるよ! ちょーあるよ!」
    藍谷瑠璃:「まずはそう、お名前……」
    藍谷瑠璃:「矢」
    藍谷瑠璃:「矢!?」
    宇都宮 一:「はい。矢──とと、そういえばそうでした、失敬失敬」
    天ヶ瀬アマタ:「そりゃあ、オーヴァードですからね」
    藍谷瑠璃:「あ、聞くなら自分からだね」
    寒林鎮歌:「ただの石つぶてを使うオーヴァードもいるし」とチャチャ
    藍谷瑠璃:「あたしは藍谷瑠璃、友達が無茶してそうだから足突っ込んでるおねーさんだ」
    宇都宮 一:「私、メインのお仕事は傭兵、また或る時はUGNイリーガル、コードネームは〝流れ星〟。宇都宮 一(うつのみや・はじめ)と申します」
    天ヶ瀬アマタ:「“コルヴァズの剣”、天ヶ瀬アマタです」
    天ヶ瀬アマタ:「医師、UGNエージェントをやっております」
    藍谷瑠璃:「おー、綺麗なコードネームなんだねえ、飛んでく矢のことかなあ」
    藍谷瑠璃:「あ、あとそう、コードネーム!」すっかりおねーさんモードになったので忘れていた
    藍谷瑠璃:「“タップ・クラップ・ステップ”ってUGNイリーガルでございます」
    宇都宮 一:「そうですねぇ。飛翔する矢が前方の空気を圧縮し、それが故に空気も矢も燃えて光る。その様が故でございますとも」
    宇都宮 一:「……けれども今は、矢どころかリザレクトもままならぬオンボロの身……ううう」
    藍谷瑠璃:「“タップ・クラップ・ステップ”と言えば少しは名が通っていたり……はしないんだけどね」
    寒林鎮歌:「では改めて。UGNイリーガル、ここの看護師、寒林鎮歌です」
    藍谷瑠璃:「わー、そのうち見てみたいねえ」
    藍谷瑠璃:「そのためにも、早いとこ治さなきゃだ」
    寒林鎮歌:「コードネームは〝イート・ミー〟。なんでこんな名前かは……そちらのUGNの方なんか、ご存じなんじゃないですか? 私の父のこと」
    藍谷瑠璃:「いやほんと無理に立ったりするんじゃないよもー!?」
    藍谷瑠璃:「そうなんです?」と天ヶ瀬・薬師院の引率の大人組を見ます
    天ヶ瀬アマタ:「んん……噂では聞いています」
    薬師院 小夜子:「……まぁ、調べては来たがね」
    薬師院 小夜子:と言いつつ、視線は宇都宮の方に固定されている
    藍谷瑠璃:「あんまし穏やかじゃないけど……」
    天ヶ瀬アマタ:「…………」 なんとも困ったような顔。
    宇都宮 一:「はは、〝私を食べて〟とは情熱的なお方。いや、情に厚いのは助けて頂いたことからも確かですが──」
    宇都宮 一:「ならばますます、うちの父親がご迷惑を。……しかもどうやらこれは、二年前ばかりか今回も何かしでかしたようで」
    藍谷瑠璃:ああー薬師院さんも傷の具合が心配なのかなーわかるかわるー
    寒林鎮歌:「二年前が初めてなのかどうかも気になるところだけど。二年間何度やらかしたことやら」
    天ヶ瀬アマタ:「UGNや警察の目をかいくぐっていたことになりますからねえ」
    天ヶ瀬アマタ:(そうなった場合、それらの組織に何がしかの繋がりが存在する可能性もある、か)
    天ヶ瀬アマタ:(まあ良い。僕が出るのだ。僕の前の全てを斬る。それだけだ)
    寒林鎮歌:「UGNも警察も、見つかる事件の方が少ないものだと、私は思っているけれど」
    寒林鎮歌:「……それにしても、このカニバルクラブの連中は、派手すぎる」
    天ヶ瀬アマタ:「資産家がメンバーというのも気になります」
    天ヶ瀬アマタ:「まあ何が有っても、僕はUGNエージェントとして悪質なオーヴァードおよびジャームの制圧権限があります。僕と薬師院さんに責任を押し付けて思い切りやってしまってください」
    天ヶ瀬アマタ:「ねえ薬師院さん?」
    宇都宮 一:座ったまま、上体をぐっと前に倒して
    宇都宮 一:「……一応お聞きしますが。まだ調査の開始段階、何らかの情報を見つけた訳ではない、そんな頃合いという認識でよろしいので?」
    藍谷瑠璃:「そうそう」
    天ヶ瀬アマタ:頷く。
    天ヶ瀬アマタ:「宇都宮零路に目をえぐられたくらいですよ」
    藍谷瑠璃:「友達が連中が今どこで何をやってるのか探りを入れてくれてるんだけど、さっき話してた映像一つ残して連絡が取れなくなっちゃったのだ」
    藍谷瑠璃:「やっぱそれ相当じゃない!!??」
    寒林鎮歌:「UGNの人手不足、ってそれ?」
    藍谷瑠璃:「ですか!!?」
    寒林鎮歌:「オーヴァードならリザレクトで手足の一本や二本治りますよ」
    寒林鎮歌:ぱちくりと目をまたたいて。「藍谷さんでしたね。もしや、まだオーヴァード歴は長くない?」
    寒林鎮歌:「だいぶ人間っぽいですね」
    天ヶ瀬アマタ:「ええ、覚醒した彼の戦闘能力も一般的なレベルでしたし……UGNの施設なら問題なく拘束できるレベルで……」
    天ヶ瀬アマタ:「そこが良いんですよ、藍谷さんは」
    藍谷瑠璃:「いやー、治るのと、平気なのは違うでしょ……目はなんかヤじゃないですか目は……」
    藍谷瑠璃:「だって目だよ……?」
    天ヶ瀬アマタ:「僕は沢山の人を殺してきた罪深い人間です」
    天ヶ瀬アマタ:チラリと寒林さんの方を見る。
    天ヶ瀬アマタ:「目をえぐられるくらい、あって当たり前ですよ……」
    藍谷瑠璃:えっと息を詰まらせて、
    藍谷瑠璃:いったん吐いて、
    寒林鎮歌:ひとまず黙って聞きます。
    藍谷瑠璃:「それでも、お医者さんとして助けてもきたんでしょう」
    藍谷瑠璃:「当たり前なんてあってたまるかって話ですよ」
    薬師院 小夜子:一度、周りの様子を眺める。それからまた、視線を宇都宮へと戻して、
    薬師院 小夜子:「私が聞くよ。話したいことがあるなら言っておきな」ぴたり。視線を再び固定する
    宇都宮 一:「では。……いえ、具体的な情報提供とかではないのですが。少なくとも宇都宮 零路個人に関しては、五年くらい前からだろうなあって話でして」
    薬師院 小夜子:「……根拠は?」
    藍谷瑠璃:言って聞く姿勢になります
    藍谷瑠璃:「ごねんまえ……」
    天ヶ瀬アマタ:耳を傾けています。
    藍谷瑠璃:「ずいぶんと前だねえ」許せないレベルがごりっと上がった!
    宇都宮 一:「私が〝食われた〟のがその辺りだからです。正確な日付は分かりませんが、およそ五年前」
    藍谷瑠璃:「は???」
    藍谷瑠璃:「食われた? ウツノミヤレイジに?」
    天ヶ瀬アマタ:「それで……UGNに保護された時に咄嗟に僕を襲って逃げようと……」
    寒林鎮歌:「さっきの動画でも、食べていたものね」
    宇都宮 一:「いいえ」
    宇都宮 一:「いいえ、いいえ、そうではありません」
    天ヶ瀬アマタ:「?」
    宇都宮 一:「皆様、誤解のままで盛り上がっておられる。だから止めようとしたのです」
    寒林鎮歌:「……違うの?」ちょっとびっくりしたように、目を見開く。
    宇都宮 一:「人の生き死にが楽しいというのは良く分かります。良ーく分かりますが、誤解です」
    宇都宮 一:「宇都宮 零路のような小者が、この街で五年も、あのような行いを続けることなど出来はしません」
    宇都宮 一:「誤解というのはこの事で、〝主犯〟と〝場所〟が異なるのですよ」
    天ヶ瀬アマタ:「成程……読めてきた」
    宇都宮 一:「国外をあちらこちらと飛び回って、決して一所には留まらず。この街を訪れるのは、私が調べた限りでは二年ぶりとなりましょうか」
    宇都宮 一:「二年ぶりの、二度目。それさえ希少なことです。この街にはオーヴァードが多いから、良い餌場だと思ったのでしょう」
    寒林鎮歌:「……なるほど。確かに、この町でずっと、なんて思い込んでいた」
    寒林鎮歌:ふんふんとうなずきながら、耳を傾ける。
    天ヶ瀬アマタ:「それがこれからの課題という訳だ」
    宇都宮 一:「……〝主犯〟の方は、はて。未だ名も知れぬまま。誰という調べもついてはいませんが」
    宇都宮 一:「ひとつ覚えていることは、女であったこと」
    宇都宮 一:「私の脚を楽しそうに、丁寧に、上品に食べて、なんともまぁご満悦の顔をしていましたとも」
    宇都宮 一:「……ですから、皆様方。宇都宮 零路の如き者ばかり追ってはなりません」
    宇都宮 一:「あれは私に下げ渡してくだされば、それで結構なのですから」
    藍谷瑠璃:下げ渡すって、そうしたらかれをどうするの……とは、聞けなかった。答えが想像できてしまったからだ。
    天ヶ瀬アマタ:「その辺りの権限は無いので何ができるとは約束しかねますが……肩入れはしますよ。貴方みたいな気合の入った人を見ると、支部の仲間を思い出します」
    天ヶ瀬アマタ:人懐っこく、人らしく、人のように、それは微笑んだ。

    GM:ロイス&調達可能!
    天ヶ瀬アマタ:よし!
    藍谷瑠璃:全方位心配になりつつある
    天ヶ瀬アマタ:まずはアルティ冥土服を狙う!
    天ヶ瀬アマタ:1dx+2>=20
    DoubleCross : (1R10+2[10]>=20) → 2[2]+2 → 4 → 失敗

    天ヶ瀬アマタ:無理!
    寒林鎮歌:藍谷瑠璃 ●P:誠実/N:隔意、天ヶ瀬アマタ ●P*協調/N:不審
    天ヶ瀬アマタ:続いてロイス!
    寒林鎮歌:んー、これでロイス六枠。一個開けておこう。そしてワイヤーウィップを手配師使って買います。
    寒林鎮歌:(1+0+-3)dx+3@10>=12 <調達>
    寒林鎮歌:(1+0+-3)dx+3@10 <調達>
    寒林鎮歌:あー、チャパレ失敗しているな……
    藍谷瑠璃:+-が悪さしてますね
    藍谷瑠璃:たぶん
    寒林鎮歌:入れた覚えのない−がついてた
    天ヶ瀬アマタ:これだ!
    寒林鎮歌 連帯感◯/殺意 美人だし声が良いし同じように自らの悪性を社会とすり合わせようとしているので殺し合う事はできないという意味です
    宇都宮一 親愛◯/殺意 支部の仲間を思い出す肚の据わった姿勢を見ていると一戦交えてみたくなるし高揚してしまうものの大義名分がないし戦いたくないという意味です

    寒林鎮歌:(1+0+3)dx+3@10 <調達>
    DoubleCross : (4R10+3[10]) → 10[4,4,6,10]+2[2]+3 → 15

    寒林鎮歌:やった! ワイヤーウィップが買えました。
    寒林鎮歌:声……
    藍谷瑠璃:寒林鎮歌に〇信用/あやしい。言ってることは嘘じゃないけどなんかヤバそう
    藍谷瑠璃:宇都宮一に〇信用/心配。 けが大丈夫……???
    天ヶ瀬アマタ:声が聞こえますね
    藍谷瑠璃:あ、これでいっぱいだ!
    寒林鎮歌:ロイス、藍谷さんについては「すごく普通のまっとうな人だな……いい人だけどわかり合えないな……」という気持ち。
    寒林鎮歌:アマタマンについては「目的のためには協力できそうだけれど、何かくさい。信用できない」です。
    天ヶ瀬アマタ:これ殺人鬼フィルターを取り除くと
    天ヶ瀬アマタ:「今回のお仕事美人に囲まれまくってて嬉しいなうほほ~い!なんですよね
    天ヶ瀬アマタ:楽しみすぎでは?
    天ヶ瀬アマタ:寒林さんに「仲間だよ怖くないよ」ってシグナルを頑張って送っている
    藍谷瑠璃:防弾防刃ジャケット狙います、目標値10!
    藍谷瑠璃:4dx10>=10
    DoubleCross : (4R10[10]>=10) → 10[1,4,8,10]+1[1] → 11 → 成功

    藍谷瑠璃:いけた、意外。
    藍谷瑠璃:なんか頑丈なやつを用意してコートの胸ポケットに仕込みます。装甲が3だぜ!
    GM:では、これで全員だな
    GM:OK!

    マスターシーン


    GM:──宇都宮 一が親元を離れ、単身で国外へ渡ったのは、僅かに十二歳の頃であった。
    GM:僅かな食料と水だけを手に、貨物船で密航したのだ。
    GM:平和な、法の正常に働く地では日本に送り返されるかも知れないから、危険な土地へと流れ続けた。
    GM:その結果、必然のように彼女は武器を持ち、たどたどしい言葉の少女兵士として、誰かを殺したり味方を殺されたりするようになった。
    GM:適性が有ったと言うのだろう。
    GM:或いは壊れてしまっていて、その壊れ方が偶然に、戦場の歯車に噛み合う形になっていたのだろう。
    GM:負けたり死んだりすることは、ほぼ一年、一度も無かった。
    GM:夏の蒸し暑さや冬の雪や、日本の土地を懐かしく思うことは有ったが、帰る手立てを探すことはなかった。
    GM:「ハジメ。パパやママが恋しくならないのか?」と、倍も歳が上の兵士が言うと、
    宇都宮 一:「死ねばいいのに、って思ってる」と答えるような子供だった。

    GM:運良く敗北を知らずに居た少女は、運悪く敗北に遭遇した。
    GM:戦場ではおかしな噂を聞く。撃っても死なない兵士の話。口から火を吐き空を飛ぶ化物の話。
    GM:出来の悪いオカルトだと一笑に付してきたものに、運悪く出会ってしまった少女は──
    宇都宮 一:「……ひっ、ぃ……い、うぅ……」
    宇都宮 一:酷く怯えていた。日本に居たころより随分日に焼けた肌が、白く思える程に青ざめていた。
    宇都宮 一:それは恐怖が故ばかりではなく、右膝、肉と骨を露出した輪切りの断面から血を溢れさせていたが為だ。
    宇都宮 一:「ひぐっ、う、うっ……あ、あし……あしが……」
    宇都宮 一:啜り泣きながらも、ズボンのベルトで傷口を締め上げる。応急処置程度の意味しかない。
    宇都宮 一:仲間は誰も彼も、周囲で肉片になって散らばっている。助けが来ない以上、死に至るまでの時間を引き延ばすだけの意味しかないと分かっている。
    宇都宮 一:それでも、苦痛と恐怖を長引かせるだけの行為だと分かっていても、少女は傷を抑えて──
    宇都宮 一:「血が……止まっ、とま、ら、ないっ。止まらない、やだ、やだ」
    宇都宮 一:数ヶ月ぶりの母国語で、うわごとのように繰り返した。
    ???:「止まらない方がいいのよ」
    ???:捨て置けば死ぬばかりの少女の姿を、〝その女〟は楽しげに眺めていた。
    ???:「血の滴るお肉もいいけど、ほら。血抜きをしっかりして、ちゃあんと味付けをして」
    ???:「若くて柔らかいあなたは、とっても美味しくなるわ。ねぇ」
    ???:「だってこの脚も、とっても美味しいもの」
    宇都宮 一:「ひ……いぃっ」
    GM:女の笑みは綺麗なものだった──唇に差した紅が、宇都宮 一の血だということを除けば。
    GM:その女は、切断された宇都宮 一の右膝から下を、露出した脛の骨を掴んで、そのまま獣のように、火も通さぬままに食い付いていたのだ。
    GM:ぶじゅっ。
    GM:瑞々しいというには、その水音はあまりに悍ましい。唇の端から滴る赤のねばつきも。
    GM:少女は怯え竦み、絶望し、この場を逃れる為に手足を動かすことさえ忘れていた。
    ???:「……けど、どうしようかしら。臭み抜きもする……? ううん……時間が掛かるのよね……」
    ???:「〝折角だから手間暇かけたい〟〝折角だから新鮮な内に〟、両立できないから悲しいわ」
    GM:銃弾飛び交う戦場で、徒手空拳、のどかに腕組みして悩む女。
    GM:この日の少女に、それはいっそ神々しくすら見えるほど超越していたから──
    宇都宮 一:「……助けて……ください……」
    宇都宮 一:か細い声で、少女は言った。
    ???:「嫌よ」
    宇都宮 一:「お願いです……お金なら、たくさん」
    宇都宮 一:逡巡すら挟む余地もなく。
    宇都宮 一:「お父さんが、出しますから……」
    ???:女は聞く耳を持たず、ポケットから悠々とナイフを取り出した。
    ???:戦闘には一度も用いなかったそれは、余程磨き上げたのだろう、太陽光をギラギラと照り返し凶暴に輝いていた。
    宇都宮 一:「お、お父さんはっ……! お父さんは、不動産会社の社長でっ、お金ならたくさんっ、だから」
    宇都宮 一:「私を助けてくれたら、きっと……!」
    GM:首筋に触れる刃。皮膚が容易く切れる。肉が1mm、2mm、3mm──
    宇都宮 一:「……っ、ぃい、いやぁああぁああぁぁぁっっ!」
    ???:「あっ、そうだ」
    ???:──女は唐突にそう言って、刃を引いた。そうして少女に問うたのだ。
    ???:「あなたのお父さんって、大きなお屋敷とか持ってないかしら?」
    ???:「うん。そうよ、ちょうど良い機会だもの。腰を落ち着けるのも悪くないわ」

    GM:果たして少女は、全く捕食者の気まぐれによって生を得た。
    GM:殺したいとまで嘯く父親の名を用いて、父親に身柄を下げ渡される運命を許容してまで。
    GM:怖い。死にたくない。それだけの為に、ちっぽけな矜持さえ全て投げ捨てたのだ。
    GM:傷口を丁寧に止血され、担ぎ上げられて何処かへと運ばれていく間、少女は泣きじゃくっていた。
    GM:公園で年上の子供にいじめられて、ぎゅっと目を瞑って立ち尽くす幼子のように
    GM:……宇都宮 一がオーヴァードとなるのは、もう一年ばかり先の話だ。

    シーン3


    GM:このシーンは情報収集パートです。挑戦したい人が出れば良い的なあれですが
    GM:項目の数的に、実質的に全員登場になる気もします、
    GM:先に項目を出すと、こちら。
    情報収集
    【〝スナッフフィルム〟の推測入手経路】 目標値8 《情報:UGN》or《情報:裏社会》
    【宇都宮 零路】 目標値8 《情報:UGN》or《情報:学問》

    GM:ということで
    藍谷瑠璃:でます!
    GM:挑戦したい人は出な! 途中参戦もアリアリだ!
    藍谷瑠璃:1d10+47 情報収集ガール
    DoubleCross : (1D10+47) → 6[6]+47 → 53

    藍谷瑠璃:1d10+47 情報収集ガール
    DoubleCross : (1D10+47) → 5[5]+47 → 52

    寒林鎮歌:でるぞー
    天ヶ瀬アマタ:56+1d10 登場!
    DoubleCross : (56+1D10) → 56+1[1] → 57

    藤(肉球):寒林鎮歌の侵蝕率を+10(1D10->10)した(侵蝕率:40->50)
    寒林鎮歌:あんな話を聞いたからあらぶってる!
    天ヶ瀬アマタ:こちらは女の子が可哀想な殺人では興奮ができないので……
    GM:では
    GM:良い感じに相談して挑むが
    GM:挑むがいいぞ
    GM:まぁ実質全員と言ったところからこう、察して上手く分担してほしい!
    寒林鎮歌:アマタマンおめえ……
    天ヶ瀬アマタ:俺は宇都宮 零路でいく!
    天ヶ瀬アマタ:こいつ、良いやつだろ????
    天ヶ瀬アマタ:喰らえ情報:学問!
    寒林鎮歌:うい、じゃあアマタマンがもし失敗したら私も宇都宮で振りたい。
    天ヶ瀬アマタ:1dx+1>=8
    DoubleCross : (1R10+1[10]>=8) → 7[7]+1 → 8 → 成功

    藍谷瑠璃:あたし〝スナッフフィルム〟の入手経路を推測したいです
    天ヶ瀬アマタ:降りてきたわ、ダイスの女神が
    GM:ほほう、まず一つ成功
    寒林鎮歌:あっ成功。では、スナッフフィルムどうぞー
    藍谷瑠璃:まだダイスボーナスはないから……
    藍谷瑠璃:3dx10>=8
    DoubleCross : (3R10[10]>=8) → 10[7,7,10]+1[1] → 11 → 成功

    藍谷瑠璃:ぱーふぇくと
    GM:ふむ、両方一発か
    GM:では
    藍谷瑠璃:UGNには詳しくないけどめーちゃんがどういう手を取るかなら推測が立ちます
    【〝スナッフフィルム〟の推測入手経路】
    映像に映っていた人物の中に、一年前、R案件でUGNの調査を受け拘束された者がいる。
    また、その人物の調査に御鳴 鳴唯が携わっていたことも確認できた。

    問題のSDカードは、当該人物の住居・拠点などの調査時に取得、隠匿していたもののようだ。
    何らかの思惑を以て、これまではUGNにも明かすことなく、密かに保持していたと思われる。

    尚、この調査に付帯して御鳴 鳴唯の足取りが掴めた。
    UGNと取引のないバイヤーを巡り、銃器弾薬を買い集めていた様が確認されている。

    【宇都宮 零路】
    市外で不動産関連の会社を経営する男性。結婚経験二回の独身男性。
    過去に幾度か児童虐待の嫌疑が掛かっているが、その都度うやむやになっている。
    オーヴァードであったという記録は無い。
    二年前のストリートチルドレン殺害事件における主犯のひとり。

    スナッフフィルムの映像解析により、撮影現場は、彼が所有する物件の一つであると判明した。
    N市内の別荘地、背の高い針葉樹で形成された森の奥にある洋館である。
    当該の洋館では現在、一部財界人を招いたパーティーが行われている。

    GM:そして……項目が一つ増える
    【御鳴 鳴唯の〝標的〟】 目標値9 《情報:裏社会》or《情報:噂話》

    寒林鎮歌:手番的にこれは私ですね。社会素振りですが、いきます。
    GM:さあこい
    寒林鎮歌:こんなやつだが、裏社会にはあまり詳しくないんだよな……
    寒林鎮歌:1Dx<~9
    天ヶ瀬アマタ:大丈夫、妖精の手もあるよ~
    寒林鎮歌:まちがい!
    寒林鎮歌:1Dx<=9
    DoubleCross : (1R10[10]<=9) → 1[1] → 1 → 成功

    天ヶ瀬アマタ:妖精の手!
    寒林鎮歌:不等号ミスったな、失敗です。
    寒林鎮歌:やるか!?
    GM:出たな妖精
    天ヶ瀬アマタ:57→61
    天ヶ瀬アマタ:やるさ!
    寒林鎮歌:では10+1の1Dx+11?
    天ヶ瀬アマタ:1dx+10かな?
    GM:1dx+10かしら?
    寒林鎮歌:はーい。では振り直します。
    GM:いずれにせよ……宣言だけで成功だよ!
    寒林鎮歌:1Dx+10>=9 まあ成功なんだけれど、関数のやり方思い出さないとね
    DoubleCross : (1R10+10[10]>=9) → 10[10]+8[8]+10 → 28 → 成功

    GM:わっ
    寒林鎮歌:回りすぎなんだよぉ!
    GM:めっちゃ分かった
    天ヶ瀬アマタ:分かり手だったみたいだなぁ!
    GM:では
    【御鳴 鳴唯の〝標的〟】
    洋館の〝パーティー〟に参加する為、市外から訪れている、とある資産家の一家がいる。
    N市内のホテルの上層階に、複数の護衛と共に宿泊している──叩けば幾らでも埃の出る身のようだ。
    だが、非オーヴァードの護衛など何の役にも立たないことは、あなた達も良く知っているだろう。

    彼女の〝最初の〟標的はこの一家だ。
    冷静さを欠いた子供に対しては、些か手厳しい躾けも必要になるだろう。

    寒林鎮歌:情報の内容が不穏!
    天ヶ瀬アマタ:しかたねえなあ~~~~~~~~~
    GM:加えて、めっちゃ分かった補正で……そうだな
    天ヶ瀬アマタ:可愛い後輩が道を誤ろうとしているとなれば放っておけねえよなあ~~~~~~~~!
    藍谷瑠璃:わーっさすがGM,話がわかるぜえ!
    GM:その資産家の一家(モブなので得に名前はない)は、後ろめたさの故に護衛をつけているが
    天ヶ瀬アマタ:ヒューッ!
    GM:彼らは悪質だが愚かではない。オーヴァードに恨みを買っている可能性を考慮できるくらいの頭と知識がある、と知っていて良い
    GM:知っていて良いは変だな、分かって良い
    寒林鎮歌:しかしオーヴァードを雇えるほどの力はない、か。まあ何か対抗策があるのかもしれない。
    GM:が──御鳴 鳴唯がそこまで分かるかは疑問だ。アレはあまり賢い方ではない。
    寒林鎮歌:中の人に断言されてる……
    GM:中学校にも通ってないんだもの……
    GM:と、いうことで
    GM:以上を共有した上で、
    GM:悪い子が善良な市民を襲う前に止めに行くことになります
    寒林鎮歌:ミドル戦闘ですな~
    GM:そうですわよ~

    GM:──傍目には、特に面白みのないワゴン車に見える。ありふれた白、砂埃で汚れていて、それなりの年数を重ねていそうな。
    GM:だがその実は、ドアもガラスも防弾使用。紛争地帯でも用いることが出来るレベルの、強靱な装甲車だ。
    GM:あなた達はその車両の中、めいめい気に入った席にでも座って、通信機越しに薬師院 小夜子の声を聞いているだろう。
    薬師院 小夜子:「……突撃前の再確認だ」
    薬師院 小夜子:「各人、調査の結果は……どんなもんだい?」
    藍谷瑠璃:「とりあえずはあのカードの出所から」後部座席、運転席の後ろから声を上げる。
    天ヶ瀬アマタ:「はい、こちらは宇都宮零路の居場所とパーティー会場を確認。こっちの用事が片付いたらいつでも向かえますね」
    寒林鎮歌:「……」ドライブスルーで買った、マ●クのアップルパイをかじって無言。
    藍谷瑠璃:「って言っても偶然なんだけど……最近のめーちゃんの活動報告を洗ってたら、あの映像に映ってたやつがいてね」
    藍谷瑠璃:「こう……別件で調べて、UGNで拘束したらしいんだけど」
    藍谷瑠璃:「たぶんその時にSDカードも見つけてたんじゃないかな」
    藍谷瑠璃:「あとは最近ちょくちょく外出してたみたいなんだけど……」
    藍谷瑠璃:「……」言いよどむ。
    藍谷瑠璃:頭を振ると、改めて言葉に乗せる。
    藍谷瑠璃:「……どうも、個人的に弾薬を集めてた、って」それもUGNとは関係ないところからね、と付け加える。
    藍谷瑠璃:「で、そこからの足取りはわかんない! こんな感じです!」
    薬師院 小夜子:「良い着眼点だ。……弾薬って事は、一人二人狙おうって話じゃねえな」
    天ヶ瀬アマタ:(まったく、困った子だなあ御鳴ちゃんは……)
    藍谷瑠璃:「パーティ会場とかわかってるなら、たぶんそこだと思います。あたしたちも向かってるわけですけど、結局どこなんです?」
    天ヶ瀬アマタ:(駄目じゃないか、悪いことをするなら、丁寧に隠さなきゃあ……)
    天ヶ瀬アマタ:「そうだね。まあパーティー会場に向かうのが妥当だ……が」
    寒林鎮歌:「…………」
    天ヶ瀬アマタ:「どうだい? 寒林さん?」
    寒林鎮歌:じゃくじゃくと、脂ぎったパイの皮を咀嚼する。甘ったるいリンゴを飲んで、無糖の紅茶でさっぱりと後味を流す。
    寒林鎮歌:両手を合わせて。「ごちそうさまでした」
    寒林鎮歌:「御鳴さんという子、危険ね」
    寒林鎮歌:「ホテル上層に宿泊中の、資産家A——彼女の今の標的は、おそらくそいつら。理由は……説明、いる?」
    寒林鎮歌:「調べた限り、連中の護衛にオーヴァードはいないけど。オーヴァードに恨まれていることを理解する頭はある」
    藍谷瑠璃:首を振る。……後部座席では見えないが
    寒林鎮歌:「一人で突っ込めば、やけどじゃ済まないでしょうね」
    天ヶ瀬アマタ:「まあ、彼らから狙った理由が分かるなら知りたいですが……」
    天ヶ瀬アマタ:(イリーガルに足取りを追われているようじゃあ、良くないよ……実にねえ、良くない)
    天ヶ瀬アマタ:(帰ってきたら美味しいパフェでもごちそうしてあげましょうかね、ふふ)
    薬師院 小夜子:「……狙った理由か……こいつは推測でしかないんだが」
    薬師院 小夜子:「〝最初に見つけた〟……ってだけなんじゃないかと思うよ、私はね」
    寒林鎮歌:「資産家連中は、命ぐらいは助けてやってもいいけれど。友達は心配、でしょ?」後部座席の藍谷さんをのぞき込みます。
    寒林鎮歌:「私、あまり友達いないので。手伝えることがあれば、やるわ」
    藍谷瑠璃:こっくりと頷く。どう切り出そうかと悩んでいたのだ。
    天ヶ瀬アマタ:「……そうですか」
    藍谷瑠璃:「わ、あ、ありがと!」
    天ヶ瀬アマタ:「彼女は僕にとっても身内、少し口の悪い妹のようなものです」
    薬師院 小夜子:「窓ガラスを拭く時、右上から始めるか左上から始めるか、あんまり考えないだろ」
    薬師院 小夜子:「どうせ最終的に、全部拭くんだから……それくらいの話だろうさ」
    藍谷瑠璃:「なーるほど、わかりやすい理由ですね」なかばあきれた声だ!
    天ヶ瀬アマタ:「分かりました。それでは彼女の暴走を止めるということで、皆さんよろしくおねがいします」
    寒林鎮歌:「出鼻をくじくのは申し訳ないけれど。無謀なことは命を粗末にするだけだもの」
    寒林鎮歌:「頭を冷ましてもらわないと、ね」
    薬師院 小夜子:「頼むよ。現地の人払いは、こっちで可能な限り先に済ませておく」
    薬師院 小夜子:「……で、天ヶ瀬さん」
    天ヶ瀬アマタ:「はい」
    薬師院 小夜子:「あんたの方は、随分ざっくりした報告だったが──共有しとくことはあるかい?」
    天ヶ瀬アマタ:「そうですね。宇都宮家の彼は何件かの児童虐待の容疑がかかっていること、あとまあスナッフフィルムの撮影場所を彼が提供していること、パーティーが今起きていること。それくらいですが……」
    天ヶ瀬アマタ:「ああ!」
    天ヶ瀬アマタ:ハンドルを握りながら、今まるで思いついたように叫ぶ。
    寒林鎮歌:「なに?」
    寒林鎮歌:うるさそうにちょっと眉をしかめて。
    藍谷瑠璃:「踏み込んで一網打尽にするチャンス、とか???」
    天ヶ瀬アマタ:「薬師院さん、敵は数が多く厄介な相手です。広域破壊に適した能力の僕ですが、戦闘中で手加減出来ない可能性があります」
    天ヶ瀬アマタ:「もしもがあった時の為に、先に謝っておきます」
    天ヶ瀬アマタ:心底不安そうな顔である。自分の大きすぎる力に怯えるような表情だ。
    藍谷瑠璃:「だめですよお、ちゃーんと捕まえてやらなくっちゃなんですから」口調こそおどけていても、声はそうではない。……顔はバックミラー越しには伺えない。
    寒林鎮歌:「まあ、殺してしまったなら、その時はその時よ」
    寒林鎮歌:「救える命なら救うだけだけど……」
    天ヶ瀬アマタ:「ええ……善処いたします……!」
    薬師院 小夜子:「……もしもがあった、か」
    薬師院 小夜子:「可能な限り、それは無しで頼みたいとこだがねぇ」
    薬師院 小夜子:……と。半ば諦めたような溜息。

    GM:ロイス&調達が可能!
    天ヶ瀬アマタ:みせちゃりますよ、黄金のアルティメイド服
    寒林鎮歌:ロイスは保留で。
    寒林鎮歌:ボディアーマーを狙います。手配師カモン!
    藍谷瑠璃:ろいすはいっぱい!
    天ヶ瀬アマタ:2dx+2>=20
    DoubleCross : (2R10+2[10]>=20) → 10[2,10]+4[4]+2 → 16 → 失敗

    寒林鎮歌:(1+0+3)dx+3@10>=12 <調達> ぼでまーっ
    DoubleCross : (4R10+3[10]>=12) → 10[5,5,9,10]+3[3]+3 → 16 → 成功

    天ヶ瀬アマタ:財産点4使ってメイド服装備
    寒林鎮歌:買えました。
    藍谷瑠璃:買うのは……リアクティブコート狙います
    藍谷瑠璃:いやハードコートにしとこ……
    天ヶ瀬アマタ:財産点10→6
    藍谷瑠璃:3dx>=9
    DoubleCross : (3R10[10]>=9) → 10[4,9,10]+8[8] → 18 → 成功

    藍谷瑠璃:成功、重ね着します。行動-2でアマタマンと同値、装甲+2。
    GM:よし、OK!

    シーン4


    GM:ミドル戦闘! 全員いらっしゃい!
    天ヶ瀬アマタ:61+1d10
    DoubleCross : (61+1D10) → 61+6[6] → 67

    藤(肉球):寒林鎮歌の侵蝕率を+9(1D10->9)した(侵蝕率:50->59)
    寒林鎮歌:高い高い
    藍谷瑠璃:1d10+53
    DoubleCross : (1D10+53) → 2[2]+53 → 55

    藍谷瑠璃:まだくーるでいなければならないからね

    GM:〝和〟の風情が第一印象としてあげられる十二地区だが、それでも洋風のホテルのひとつやふたつ有るのだ。
    GM:むしろ昭和初期から連綿と、崩落戦の災禍も幸運にも逃れて、長い年月、上流階級御用達の評判を掲げ続けている。
    GM:『ホテル・ハリス』
    GM:あなた達は、先行していたUGN職員の誘導に従い、最上階に辿り着いたところだ。
    藍谷瑠璃:「——で、あのこがどこから来るかとか、だれかわかったりしません? あたしあの子がどういう挙動をしてるのかはわかんないんですよね」見えなくって!
    藍谷瑠璃:みたいなことを言いながらエレベーターを降ります
    寒林鎮歌:「付き合いの長いお前に分からないこと、私が分かるわけないじゃないですか」肩すくめ。
    寒林鎮歌:なにげに言い方が砕けてきている。
    藍谷瑠璃:「ですよねえ」へらっと笑っちゃう
    藍谷瑠璃:「困ったことにさ、あたし友達付き合いはしてるけど、どういうわざをつかうのかは知らないんですよ」なんか見えなくなる、くらいしかわかんないの
    天ヶ瀬アマタ:「まあ」
    天ヶ瀬アマタ:「どう転んでも僕が始末はつけます」
    天ヶ瀬アマタ:「家族の、ようなもの……ですからね……」
    寒林鎮歌:「情報保全としては正しいわね」
    寒林鎮歌:藍谷ちゃんへのコメントね
    藍谷瑠璃:「お互いそういうのを知らなくても友達はやれるけどさ、こういう時は困っちゃいますねえ」
    天ヶ瀬アマタ:能力について全く知らない訳ではない。だが、不用意に自分が喋るのは危険だ。この三人以外にも、聞いているものがいるかもしれないのだから。
    天ヶ瀬アマタ:そういった計算を天ヶ瀬アマタはしていた──が。
    天ヶ瀬アマタ:それ以上に、高揚しているのも事実だった。
    藍谷瑠璃:「それもあるけど、知らなくても友達ってできるじゃないですか。大事なのは仲良くしたいかどーかで、実際そうしてるんだもの」それ以上って要らないよ
    藍谷瑠璃:始末をつける、っていうのがどういう事なのか、わかっていないから流してしまう。
    天ヶ瀬アマタ:「ええ、ええ」
    天ヶ瀬アマタ:「良いお友達に恵まれて……彼女は幸せですね」
    天ヶ瀬アマタ:満足気に頷く。
    寒林鎮歌:天ヶ瀬の言葉に死臭を。いや、血の匂いを感じて、少し唇を噛む。
    寒林鎮歌:(……なのに。こっちのお嬢さんは、〝始末〟が意味するところすら曖昧なのね)
    寒林鎮歌:なんだか不思議な気持ちがした。水槽の向こうでおよく綺麗な魚みたいな、〝自分たち〟とは違う生き物だ、という。
    寒林鎮歌:生き物はみんな命を食べる。常日頃はそれを無視して。自分が命をもらっているという事実から、目をそらす。
    寒林鎮歌:それが、人間の命となればなおさらに。殺すにせよ、食べるにせよ、だ。
    寒林鎮歌:それと向き合うことが異常なのだと世間は言うけれど。殺し殺される場に身をおくならば。
    寒林鎮歌:(……彼女は、大丈夫かしらね)
    寒林鎮歌:少し、藍谷瑠璃という人間が、気になった。
    GM:11dx
    DoubleCross : (11R10[10]) → 10[4,5,5,7,8,8,9,9,10,10,10]+10[8,10,10]+3[1,3] → 23

    GM:では、突然だがみなさん
    藍谷瑠璃:お、穏当
    GM:目標値23で知覚判定をどうぞ
    寒林鎮歌:ぎええ
    GM:ごめんね! ダイス運がね!
    天ヶ瀬アマタ:3dx 知覚
    DoubleCross : (3R10[10]) → 5[2,4,5] → 5

    寒林鎮歌:(3+0)dx+0@10>=23 <知覚>
    DoubleCross : (3R10+0[10]>=23) → 10[3,5,10]+1[1] → 11 → 失敗

    寒林鎮歌:ぴー
    藍谷瑠璃:「さあてどこから来るかな……」エレベーターからじゃないと思うんだけど、ときょろきょろ見回します。無色無音の相手を前に、ほんとうに見つけられるのか。
    天ヶ瀬アマタ:誰か妖精できそうな……
    藍谷瑠璃:3d+1のところ砂の加護。4d増やします(55>58)
    藍谷瑠璃:7dx+1>=23
    DoubleCross : (7R10+1[10]>=23) → 10[3,4,4,6,10,10,10]+8[1,4,8]+1 → 19 → 失敗

    天ヶ瀬アマタ:よし、藍谷ちゃんに妖精うちます!
    天ヶ瀬アマタ:67→71
    寒林鎮歌:いけー!
    GM:よろしい
    天ヶ瀬アマタ:まあ1dx+21ならいけるやろ
    藍谷瑠璃:1dx+21
    DoubleCross : (1R10+21[10]) → 6[6]+21 → 27

    GM:おのれ……!
    藍谷瑠璃:おっけー足りました
    GM:正直そこまではっきりくっきりイベントという訳でもなかったが
    GM:ここまでされたら明確なメリットをプレゼントせねばなるまい
    寒林鎮歌:わあい
    GM:藍谷瑠璃さんはミドル戦闘において、1ラウンド目のセットアップの前に、任意のエンゲージへの移動を許可します
    GM:ということで、

    藍谷瑠璃:既に砂を散らしている。……能力を生かして砂を散らし、離れた場所に“何か”を錬成するのが藍谷の能力だ。
    藍谷瑠璃:見えないといっても実体はあるのなら、散った砂を見ていれば痕跡の一つもみつけられるかもしれない、との考えだ。
    GM:砂が広がる。埃一つ許さぬフロアに、レネゲイドコントロールにより制御された砂が広がる。
    GM:エンジェルハイロウ能力の透明化は、光情報を捩じ曲げる。
    GM:〝散った砂が透明な何かに妨げられる〟という映像さえ、〝違和感無く広がっているように〟見せかける事は可能だ。
    GM:だが。
    GM:砂を操っているあなたは、或いは、見えるものと〝手応え〟が食い違う奇妙さに気付くかも知れないし、
    GM:もしかすれば風の音のようにしか聞こえなかった〝息づかい〟を、鋭敏に察知したのかも知れない。
    GM:十数m向こうの廊下、壁に寄りかかって、
    GM:誰かが立っている。
    藍谷瑠璃:巧妙な技の前に、砂を目立たせないことを意識するなら小細工でしかない。しかけが単純なればこそ、破るのも簡単なものだ。目視で違和感が無ければ、十分にすり抜けられてしまうだろう。
    天ヶ瀬アマタ:「……藍谷さん」
    藍谷瑠璃:光学欺瞞を見抜ける目を、藍谷瑠璃は持ち合わせていない。
    寒林鎮歌:「……っ」
    天ヶ瀬アマタ:「違和感があります。強めに砂の探査を」
    藍谷瑠璃:「方向は」
    天ヶ瀬アマタ:「申し訳ありません……殺意しか感じ取れなくて……」
    寒林鎮歌:「方向性が分かりやすいわね……」
    天ヶ瀬アマタ:「十二支部の剣士であれば殺気と殺意の双方を完璧に探知できるのですが……」
    寒林鎮歌:ワイヤーウィップをポケットの中で握りしめる。
    藍谷瑠璃:「えっなにそれこわっ!?」
    寒林鎮歌:「殺意が分からないと、死ぬわよ?」心底不思議な顔。
    天ヶ瀬アマタ:「僕はエセ剣士にすぎませんから……」 竹光に手をかける。
    天ヶ瀬アマタ:(僕たちに向く殺意じゃないのが……難しいんだよな)
    藍谷瑠璃:来るとしたらどこからだ。エレベーターではない。到着したことがわかりやすすぎる。階段か。いや、違う、
    藍谷瑠璃:「わかった……こっち!」……半分くらいは勘で駆け寄る。これで当たっていたら観念してくれないものかと、半分くらい希望まじりだ。
    藍谷瑠璃:単に走るだけではかわされる。こっそりと目立たないように、横長の棒を錬成する。どこかは引っかけられないか。
    GM:とんっ
    GM:床を蹴る音がした。
    寒林鎮歌:「!?」
    GM:絨毯敷きの床であるから、その音は本当に小さいものでしかないし、
    GM:着地の音はそれよりも更に抑えられていたが──
    GM:靴の形に絨毯が歪む光景は、はっきりと見えただろう。
    藍谷瑠璃:……「見える、そこっ!」靴跡のあたりに錬成した礫をばらまく。あんまり重くないようにしたからゆるしてほしい……
    天ヶ瀬アマタ:「ん……!?」 彼は戦闘者ではない。殺戮者だ。それ故に対応は一瞬遅れる。見送るしか無い。
    寒林鎮歌:「くっ……」
    藍谷瑠璃:「……やっ、おまたせ」手をひらひらと振る。
    GM:そして、まるで立体映像を投影でもしたのかと思えるほど非現実的に、虚空から姿を現した少女は、
    御鳴 鳴唯:「…………」更に一歩後退。飛礫を避け、再び壁に寄りかかった。
    天ヶ瀬アマタ:「御鳴さん、部隊にお戻りなさい。支部長に怒られてしまいますよ。今ならまだ、僕の拳骨だけで済みます」
    藍谷瑠璃:「約束通り、助けに来たよ」まーそう見えないかもだけどね
    御鳴 鳴唯:「…………流石に、早いね」
    御鳴 鳴唯:「もう少し手こずってくれてたら……お互い、困らなかったのに……」
    寒林鎮歌:「私はその手伝い」ぺこり。「初めまして」
    藍谷瑠璃:「めーちゃん仕込みですから?」たぶん情報収集の手管を教わったりした
    御鳴 鳴唯:「初めまして──かな。……二年ぶり……かな」
    天ヶ瀬アマタ:「困りますよ。君の行動には戦術も戦略もかけている」
    天ヶ瀬アマタ:「殺す時は丁寧に、順を追って、です」
    天ヶ瀬アマタ:コホンと咳払い。
    天ヶ瀬アマタ:「ほら、帰りますよ」
    御鳴 鳴唯:「……天ヶ瀬。いつもそうやって……分かりきったことに限って、上からものを言うよね……」
    御鳴 鳴唯:「……おじさんくさい……」
    天ヶ瀬アマタ:「お兄さんですからね……お兄さん」
    天ヶ瀬アマタ:「ふふっ」 いつもどおりのやり取りに、思わず笑ってしまう。
    藍谷瑠璃:「ふっ、ふはっ、ほんと怪しいおじさんになっちゃってるよねえ!」
    寒林鎮歌:「なかよし……」
    天ヶ瀬アマタ:「ええ、僕、結構人徳あるんですよ」
    藍谷瑠璃:「おねーさんもそういうこと言っちゃおう」
    御鳴 鳴唯:「……金で人を買うくせに……お説教みたいなことをする……」
    御鳴 鳴唯:「そんなおじさんみたい……」
    天ヶ瀬アマタ:「セクハラで訴えますよ????」
    藍谷瑠璃:「いったん落ち着いてさ、4人がかりでどうにかする……っていうのはどうかな」この“どうにか”はもちろん捕縛だ
    藍谷瑠璃:「まーその、ね。……あんな連中のせいでめーちゃんの手を汚すっていうのは嫌なんだなーあたし。おねーさんとしてはね」
    御鳴 鳴唯:「……藍谷」
    藍谷瑠璃:「それじゃあ何にも終わんないっていうのもわかるけど、わかっても、それでもヤなんだよ、あたし」
    藍谷瑠璃:「その人が何者なのかを決めるのは、その人が何をやっているかだよ」
    藍谷瑠璃:「……あたしは、めーちゃんに、恨みでだれかを傷つける人にはなってほしくないんだな」
    御鳴 鳴唯:「そう」
    御鳴 鳴唯:「……そう、なんだね……」
    藍谷瑠璃:「そうなのだ」静かに笑います。
    御鳴 鳴唯:「……四人がかり、は……やめた方が、いい」
    御鳴 鳴唯:「UGNは、関わらなくていい。私は私で……やるから」
    寒林鎮歌:「なぜ? あなたの復讐心を満たすため?」
    御鳴 鳴唯:「……看護師さん」
    御鳴 鳴唯:「デジタルタトゥー……は、知ってる……?」
    御鳴 鳴唯:「……あれに似てる、かな」
    寒林鎮歌:「なぜ、デジタルタトゥーが……」
    御鳴 鳴唯:「例えとして、一番近い」
    寒林鎮歌:「……消せない記録、だから?」
    御鳴 鳴唯:「そう」
    御鳴 鳴唯:「何人が持ってるかも、分からない」
    御鳴 鳴唯:「誰の管理が甘くて、何処から漏れるかも分からない」
    御鳴 鳴唯:「例えば私が、こんな仕事をしてるのに死なずに済んで、五年、十年、十五年、二十年──」
    御鳴 鳴唯:「……普通の人みたいに、生きられるようになった時に……〝あんなもの〟が出てきて……」
    御鳴 鳴唯:くく、と笑う。愉快だからではない。自嘲をことさらに滲ませる笑声。
    御鳴 鳴唯:「……お金が欲しくって、ついていっただけで、みんな死んだ」
    御鳴 鳴唯:「馬鹿みたいだけど……本当に、それだけ……だったんだよ……」
    寒林鎮歌:ぎり、と握りしめた手を、更に強く握り混む。
    寒林鎮歌:記録なら、UGNにも残っているだろう。そしてそれを組織が公開することはない。
    寒林鎮歌:けれど、そういうものは。残っているだけで嫌な——厭な物だ。
    寒林鎮歌:「……その気持ち、少し分かる」
    御鳴 鳴唯:「そう」
    寒林鎮歌:「私の父、〝食人鬼〟寒林槇星って、聞いたことあるかもしれない」
    寒林鎮歌:「父が、自分の妻を、私の母を殺した事件。私のことは名前を伏せてあったけど。新聞になって、ニュースになって、ずっと記録に残ってて」
    藍谷瑠璃:えっ食人!? ってびっくりして顔を向けます。最悪これで不意を打たれてもいいと思ってるから隙だらけ。
    寒林鎮歌:「それで学校を辞めるはめになったり、まあ色々あったから」
    寒林鎮歌:「私は……そういう記録も、記憶も、無くなればいいと思ってる」
    天ヶ瀬アマタ:(やはり……あの事件の……!)
    御鳴 鳴唯:「……………………」壁から背が離れる。意識的にか、無意識にか、二歩ほど近づいて。
    寒林鎮歌:「でも、私とお前は、違う」
    御鳴 鳴唯:ぴたり。
    御鳴 鳴唯:意識的に、足を止める。
    寒林鎮歌:「今日やろうとしていることは、いい方法だと思えない。お前の友達も来てる」
    寒林鎮歌:「お前のことはよく知らないけれど。私は、お前の友達の味方をする」
    寒林鎮歌:「だから、こんなことやめて、帰ろう?」
    寒林鎮歌:「お前の望みを叶えるために、もっといい手を、みんなで考えるから」
    御鳴 鳴唯:「……………………」右手が天井を指差す。何も持っていない──ように見えるが。
    御鳴 鳴唯:指の形をよく観察すれば、そこには〝透明な拳銃〟が握られていることが分かるかも知れない。
    藍谷瑠璃:「……本気?」
    御鳴 鳴唯:「……〝そこにいたかも知れない〟〝データを持ってるかも知れない〟だけで……襲うのは」
    御鳴 鳴唯:「UGNらしくない……と、思うから」
    御鳴 鳴唯:「UGNは、UGNらしく……ちゃんとしてて、欲しい……かな」
    御鳴 鳴唯:「そういう身勝手は……私だけで、やる」
    GM:ドンッ
    GM:サイレンサーなど装着されていない拳銃が、天井のスプリンクラーを撃ち抜く。
    天ヶ瀬アマタ:「ではちゃんと貴方を制圧し、怪しい連中の根城も根絶やしにして帰りましょう」
    藍谷瑠璃:雨! 軌跡は見えやすくなるけど……砂は流れる!
    藍谷瑠璃:「……本気か、そりゃそうだよねえ」ため息一つ。
    御鳴 鳴唯:すかさず左手が、ポケットから引き出して床に叩き付けたものは──発煙弾。
    寒林鎮歌:「うわっ!」
    御鳴 鳴唯:たちまち廊下全体に、大量の白煙が充満する。
    藍谷瑠璃:「……まー、やっぱり”このまま帰ります”とはいかないよねえ」
    天ヶ瀬アマタ:刀を抜き放つ。御鳴鳴唯はこれが竹光だと知っていることだろう。
    GM:二度、三度、銃声が鳴る。その全ては天井や壁を狙ったものだが──
    寒林鎮歌:「けほっけほっ」
    藍谷瑠璃:重いだけの障害物でバリケードを作る。すり抜けさせてやるもんか。
    武装兵士:ざっ──
    武装兵士:と、足並みを揃え、近くの部屋から飛び出してきたものがある。
    武装兵士:それは三人の武装兵士であった。
    天ヶ瀬アマタ:「……ふふっ」
    武装兵士:「……襲撃者か」「オーヴァードか?」「だろうな」
    寒林鎮歌:「やれやれ……ガチガチな私兵まで」
    天ヶ瀬アマタ:真意の見えない笑みが溢れる。
    武装兵士:「〝三人〟か」「勝てるか?」「無理な相手ではないだろう」
    御鳴 鳴唯:……少女の姿は白煙の中に溶け消えている。
    御鳴 鳴唯:「……ごめんね」
    GM:武装兵士三人が目視した〝敵〟は三人のみ。即ち、あなた達だ。
    藍谷瑠璃:「かかってきてよ、そんな簡単にすりぬけさせたりはしないんだから。随分わかりやすいでしょ?」どこへともなく声をかける。
    藍谷瑠璃:「……とはいったって、これなかなかピンチじゃない? めーちゃんひとりを相手にするわけにもいかないし、こっちの3人を先に片付ける……っていうのも難しそうだ」その間にすり抜けられちゃったらあたしたちの負けでしょ、と。
    御鳴 鳴唯:「……こう見えても、私……」
    御鳴 鳴唯:「……暗殺とか……得意だから……」
    御鳴 鳴唯:平時のような軽口が、あなた達の背後から聞こえた。
    寒林鎮歌:「隠密相手は厄介ね……オーヴァードではない、というのが幸いにしても」
    天ヶ瀬アマタ:「いえ」
    天ヶ瀬アマタ:「皆殺しにします」
    藍谷瑠璃:「えっ」
    藍谷瑠璃:今のうちに改めて盤面と勝利条件を……確認しておきたいぜ!
    エンゲージ
    武装兵士1[7] 武装兵士2[7] 武装兵士3[7]

    5m

    寒林鎮歌[10] 天ヶ瀬アマタ[2]

    5m

    御鳴 鳴唯[14]


    ・任意
    藍谷瑠璃[5]

    GM:勝利条件:敵の全滅
    GM:戦闘終了条件:御鳴 鳴唯の戦場離脱
    GM:さて、藍谷瑠璃
    藍谷瑠璃:めーちゃんのエンゲージに居ます
    GM:問う前に答えよって
    GM:OK
    エンゲージ
    武装兵士1[7] 武装兵士2[7] 武装兵士3[7]

    5m

    寒林鎮歌[10] 天ヶ瀬アマタ[2]

    5m

    藍谷瑠璃[5] 御鳴 鳴唯[14]

    GM:ならば、エンゲージはこうだ。
    GM:敵は四人。
    GM:三人は、あなた達が〝雇い主〟を狙う襲撃者であると誤解している。
    GM:一人は──あなた達と戦うなどという危ない橋を渡る気が無い。
    GM:さて、穏便に済ませるのか。
    GM:それともこのフロアを血に染めるのか。
    GM:どうぞ、どうぞ、お気に召すまま。

    ラウンド1


    GM:セットアップ!
    藍谷瑠璃:「まーなんだ、よくある台詞を言っちゃおっか。先に行きたかったらあたしを殺していきなさい、だ」
    天ヶ瀬アマタ:とくになし!
    藍谷瑠璃:「これから血塗れになるのなら、別にひとり増えたところで変わんないでしょ?」
    藍谷瑠璃:「まー今度も止めてくれると嬉しいんだけどね」とか言うだけでゲーム的な行動は無いです
    寒林鎮歌:セットアップのエフェクトは今はなしで。
    寒林鎮歌:ふう、とため息ついて。
    武装兵士:三人とも無し。
    寒林鎮歌:「そこの私兵連中はこっちで相手するわ。どっちにせよ邪魔だし」
    寒林鎮歌:めーちゃんは藍谷ちゃんにお任せして、殺さない程度にころがしてやりましょう。
    御鳴 鳴唯:無しだ。
    天ヶ瀬アマタ:※侵蝕計算間違ってました71→73で
    藍谷瑠璃:えっ高くない……!?
    GM:高いな……
    寒林鎮歌:妖精二発はねえ
    藍谷瑠璃:ひとりだけ70越えてるのフィーバーしすぎでは……!?
    GM:ここからまだまだ先は長いぞ頑張れ
    GM:では
    GM:イニシアチブに何も無いなたぶん。行動値順で14、鳴唯のターンだ
    藍谷瑠璃:ホテルの人には申し訳ないが、床を穴だらけにしたりと足場をどんどん悪くしているぞ! もちろん簡単にはすり抜けさせないためだ(エンゲージ表現)
    御鳴 鳴唯:マイナーアクションで《陽炎の衣》を使用。
    御鳴 鳴唯:メジャーアクション、《コンセントレイト》+《見えざる死神》 使用武器はナイフ、白兵での判定。対象は同一エンゲージの藍谷瑠璃
    御鳴 鳴唯:遺産『夜の小鳥』とエンブレム『イリーストレース』が適用されるぞ
    御鳴 鳴唯:7dx8+1 命中判定
    DoubleCross : (7R10+1[8]) → 10[2,2,3,3,4,5,8]+4[4]+1 → 15

    GM:リアクションは……どうする!
    藍谷瑠璃:リアクション可能なら……ドッジだぜ!
    藍谷瑠璃:8dx+2>=15 まあ8Dあれば避けられるといいね
    DoubleCross : (8R10+2[10]>=15) → 10[1,1,1,2,3,3,5,10]+4[4]+2 → 16 → 成功

    GM:おおう
    藍谷瑠璃:ぎりぎり避けられた
    寒林鎮歌:すげえ!
    天ヶ瀬アマタ:やるじゃん!!!!!
    御鳴 鳴唯:……くっ、後出しできるものは無い!
    天ヶ瀬アマタ:友への絆が刃を遠ざけた
    御鳴 鳴唯:「…………」
    御鳴 鳴唯:ひゅぅっ──と白刃が、白煙の中に閃く。
    御鳴 鳴唯:〝背後から喉笛を狙う〟〝動脈を〟〝肝臓を〟様々な技を教えられた筈のナイフは、
    御鳴 鳴唯:しかし狙った箇所はアキレス腱。低くかがみ込んでの横薙ぎ!
    藍谷瑠璃:呼吸を読め。ひとつ、ふたつ……「今っ!」
    藍谷瑠璃:いまいちキレがない。前に見たときよりも。だから避けられた。
    藍谷瑠璃:たぶん見ていなければ、たぶんいつものキレだったら、避けられなかっただろう。
    藍谷瑠璃:とん、と適当に錬成してあった物体に着地する。ジャンプまでしたのはおおげさだったのかもしれない。
    藍谷瑠璃:「ちょ、ほんとに本気だね!?!?」自分で煽っておいてこんな事を言う
    御鳴 鳴唯:「……退いて」
    藍谷瑠璃:「……やだよ」
    御鳴 鳴唯:「痛いよ、これ」
    御鳴 鳴唯:「本物のナイフだから……」
    御鳴 鳴唯:「……肉を切られるのは、とても、痛い……よ」
    藍谷瑠璃:「しかも今度は止めてくんないわけだ」笑って返す。笑って見せろ。ずいぶんとこわばっている自覚はあるけれど。
    GM:では
    GM:行動値10、寒林鎮歌!
    寒林鎮歌:オウイェー
    寒林鎮歌:えー、GMから親切情報があったので、エンゲージはせずこのままワイヤーウィップ伸ばして叩きます。
    寒林鎮歌:対象は武装兵士1
    寒林鎮歌:コンボ|ためしぐい(侵蝕5)>コンセントレイト:エグザイル+貪欲なる拳
    GM:さあ来い
    寒林鎮歌:(4+0+0+4)dx+1+-1@8
    DoubleCross : (8R10+1+-1[8]) → 10[1,4,7,7,7,9,9,10]+10[4,9,10]+10[2,10]+7[7] → 37

    寒林鎮歌:殺意たけえ
    GM:うひゃあ
    武装兵士:ドッジ!
    武装兵士:9dx
    DoubleCross : (9R10[10]) → 10[1,2,3,5,7,7,7,8,10]+7[7] → 17

    武装兵士:回ったが……でも直撃!
    寒林鎮歌:怖い怖い……ダメージロールいきます。
    寒林鎮歌:4D10+6 もろもろ有効だよー
    DoubleCross : (4D10+6) → 19[3,2,10,4]+6 → 25

    寒林鎮歌:もう一息欲しかったが、どうだ。
    武装兵士:それは……ギリギリ倒しきられる……! まず一人撃破だ演出どうぞ!
    寒林鎮歌:よし
    寒林鎮歌:ポケットに突っ込んでいた手を抜き放つ。ひゅんひゅんひゅん、と振り回す鋼の線。
    寒林鎮歌:「……血を見るよ」
    寒林鎮歌:べろり、舌を出して。
    寒林鎮歌:「食らいつく!」
    寒林鎮歌:ぎゅん! まるで生きた弾丸のように、ワイヤーウィップが飛びかかる。
    寒林鎮歌:武装兵士の腕に、胴に、ずばん! と炸裂音を立てて巻き付き、骨身を抉る衝撃を叩きつける!
    寒林鎮歌:どくどくと、血が流れる手応え、脈打つ命の手応え、呼吸する肉の手応えが、くっきりと伝わって。
    寒林鎮歌:飢えた脳がクリアになる。
    寒林鎮歌:「ま……殺しゃしないよ」
    寒林鎮歌:少し残念そうにつぶやいて、ワイヤーを戻した。
    武装兵士:まるで〝安い肉を調理する際の下ごしらえのように〟肉が打たれ、骨が軋んだ。
    武装兵士:「がはっ……!」一人、ヘルメットの内側に血を吐いて倒れ込むも──死んではいない。
    武装兵士:苦痛に呻きながら、膝を腹へ抱え込む。芋虫のように丸くなって、残りは二人。
    GM:いや、三人か。
    GM:では、行動値順
    GM:行動値7の武装兵士残り二人だ
    武装兵士:二名ともマイナーは無し!
    武装兵士:兵士2、ショットガン(スラッグ弾)を用いて寒林さんへ、エフェクトなど無い通常の射撃攻撃!
    寒林鎮歌:おっす
    武装兵士:兵士3、アサルトライフルを用いてアマタマンへ、同様に通常射撃!
    天ヶ瀬アマタ:きゃー!
    武装兵士:10dx+4 寒林
    DoubleCross : (10R10+4[10]) → 9[1,1,2,2,6,7,8,8,9,9]+4 → 13

    武装兵士:10dx+4 天ヶ瀬
    DoubleCross : (10R10+4[10]) → 7[1,1,1,2,3,4,4,5,7,7]+4 → 11

    天ヶ瀬アマタ:2dx 回避
    DoubleCross : (2R10[10]) → 9[3,9] → 9

    天ヶ瀬アマタ:惜しい~
    寒林鎮歌:(4+0)dx+0@10 <回避> うおー
    DoubleCross : (4R10+0[10]) → 10[2,3,7,10]+1[1] → 11

    寒林鎮歌:惜しい、
    GM:ではどちらも命中だな
    武装兵士:2d10+5 寒林
    DoubleCross : (2D10+5) → 17[7,10]+5 → 22

    武装兵士:2d10+9 天ヶ瀬
    DoubleCross : (2D10+9) → 16[9,7]+9 → 25

    武装兵士:nanka
    武装兵士:なんかこいつら優秀じゃない?
    武装兵士:どちらも装甲有効!
    天ヶ瀬アマタ:耐えた
    天ヶ瀬アマタ:15通し
    天ヶ瀬アマタ:残りHP13
    藍谷瑠璃:SATUI
    寒林鎮歌:ボディアーマーで耐えて
    天ヶ瀬アマタ:人間にしちゃあ優秀だったな
    寒林鎮歌:14通しか。生きてます。
    天ヶ瀬アマタ:褒めてやる
    GM:OKさくっと
    藍谷瑠璃:銃声に振り向きかかるので誰か「こっちは任せろ」って言ってほしい
    寒林鎮歌:あ、あとさっきのコンボ侵蝕入れてませんでいた。+5で59→64です。
    武装兵士:「……ただのオーヴァードなら楽だったが」「そうでもないらしい」
    武装兵士:仲間をひとり撃破されながらも、兵士達は冷静に銃器を構える。
    武装兵士:射撃! ショットガンが、小銃が、躊躇い無く火を噴く!
    寒林鎮歌:「ちぃ……っ!」
    寒林鎮歌:「この服、一張羅なのに……!」
    寒林鎮歌:穴だらけになるロングカーディガンを嘆く。痛みは……あるが、問題なし! 生きている!
    天ヶ瀬アマタ:「こちらには構わず続けてください」
    天ヶ瀬アマタ:「全て始末しますので」
    天ヶ瀬アマタ:鮮血に染まり嗤う修羅。
    藍谷瑠璃:「……わかった!」視線をめーちゃんから外しかかったが、戻す。もう一度消えられれば、捉えられる気はしない。
    GM:では
    GM:行動値5,藍谷瑠璃!
    藍谷瑠璃:マイナー、“タップ”。《インフィニティウエポン》。なんか自分でも名前を付けてないよくわかんない武器を装備します。(58>61)。
    GM:なにものだ……?
    藍谷瑠璃:メジャー、“クラップ・ステップ・クラッシュ!”《コンセントレイト:ハヌマーン》《音速攻撃》で攻撃。対象はめーちゃんだ。
    藍谷瑠璃:砂の加護はアマタマン予定なので自分のには乗せない。一番殴る相手が多いところに入れたいですからね!
    藍谷瑠璃:とはいえ9Dあればいけるでしょ
    藍谷瑠璃:マイナーでダイスボーナスが増えて9D!
    藍谷瑠璃:9dx+4
    DoubleCross : (9R10+4[10]) → 10[1,3,3,4,5,6,7,9,10]+3[3]+4 → 17

    藍谷瑠璃:加護を使っておくべきだったのでは???
    寒林鎮歌:んおお
    御鳴 鳴唯:ドッジ……!
    天ヶ瀬アマタ:あ
    御鳴 鳴唯:1dx+1>=17
    DoubleCross : (1R10+1[10]>=17) → 10[10]+8[8]+1 → 19 → 成功

    天ヶ瀬アマタ:コンセ計算してねえ!
    御鳴 鳴唯:マジ?
    寒林鎮歌:あらら
    藍谷瑠璃:あ、ほんとだ
    御鳴 鳴唯:あっほんまや
    GM:コンセ有りで振り直せい!
    藍谷瑠璃:振りなおして……いいでしょうか!えーとクリティカルした2Dだけ抽出
    藍谷瑠璃:ぜんぶ?
    藍谷瑠璃:やったぜ
    天ヶ瀬アマタ:優しさ!
    藍谷瑠璃:9dx8+4
    DoubleCross : (9R10+4[8]) → 10[1,1,2,2,3,7,7,9,10]+10[2,8]+5[5]+4 → 29

    寒林鎮歌:やったあ!
    天ヶ瀬アマタ:これが心か……
    御鳴 鳴唯:ちっ……命中したか……
    藍谷瑠璃:あっダメージ増には1足りない
    藍谷瑠璃:おしい
    藍谷瑠璃:そういや音速攻撃の分の3Dも振ってない
    藍谷瑠璃:ぐだぐだじゃん!
    藍谷瑠璃:ご、ごめんなさい、これも振っていいですか!
    天ヶ瀬アマタ:コンボデータは先にまとめておくんじゃよ……
    GM:今回だけね!
    藍谷瑠璃:ご、ごめんよ……!
    藍谷瑠璃:3dx8+4
    DoubleCross : (3R10+4[8]) → 7[5,7,7]+4 → 11

    藍谷瑠璃:まあとはいえ30は越えず
    藍谷瑠璃:3d10+8 だめーじろーる!
    DoubleCross : (3D10+8) → 21[7,9,5]+8 → 29

    藍谷瑠璃:高い
    藍谷瑠璃:ライダーキックだ
    御鳴 鳴唯:固い手応え……防具を着込んでいる! 21点通しでまだ立ってるぞ!
    御鳴 鳴唯:演出あればゴー!
    藍谷瑠璃:追撃を頭上を飛び越してかわすと(ほんとに容赦ないね!?)、着地、床をかかとで打ち付ける。
    藍谷瑠璃:“タップ”。能力を意識して使うための……誰かを傷つけるための合図(58>61)。
    藍谷瑠璃:普段は散らした砂を使うところだけれど、生憎スプリンクラーはしばらく止まってくれそうにない。幸いここは狭いので……こうして飛び回るのには支障がない。
    藍谷瑠璃:跳ねて、壁を蹴って、後ろへ、もう一度回り込んで、
    藍谷瑠璃:——ここだ。
    藍谷瑠璃:すれ違いざまに回し蹴りを叩き込む。
    藍谷瑠璃:靴の補強も忘れない。
    藍谷瑠璃:「……そろそろ、止まってくれると嬉しいんだけど!」
    御鳴 鳴唯:みしっ
    御鳴 鳴唯:強化された靴が、痩躯の骨を軋ませる。或いは罅も入ったか。
    御鳴 鳴唯:……無論、常人ならさておきオーヴァードならば、それでも動くことは出来る。出来るのだが、
    御鳴 鳴唯:「ぎっ……! ぅ、うううぅっ……!」
    御鳴 鳴唯:痛みばかりはどうにもならない。瞬間的に襲い来る激痛。歯を食い縛って、どうにか膝も着かずに耐えた。
    藍谷瑠璃:攻撃コンボは侵食4!61>65!
    GM:では
    天ヶ瀬アマタ:いぇー!
    GM:なんか行動値が2じゃなかったらしいけどまぁいずれにせよ同じことだね天ヶ瀬アマタ!
    天ヶ瀬アマタ:いや~~~~~
    天ヶ瀬アマタ:この後はクリンナップが待ってて楽しみですね
    天ヶ瀬アマタ:それでは
    天ヶ瀬アマタ:マイナーは特に無し
    天ヶ瀬アマタ:メジャー→「殺戮刃空“死憑雨《シノツキサメ》」
    原初の赤:サイレンの魔女+原初の灰:鮮血の修羅+リミットブレイク(巨人の影)

    藍谷瑠璃:砂の加護。メジャーの判定ダイスを+4Dしてください。
    天ヶ瀬アマタ:対象は武装兵士2,3と御鳴ちゃん
    藍谷瑠璃:(65>68)
    天ヶ瀬アマタ:支援貰って判定行きます
    天ヶ瀬アマタ:9dx+9 RC
    DoubleCross : (9R10+9[10]) → 7[1,1,1,3,3,4,6,7,7]+9 → 16

    天ヶ瀬アマタ:不安なので回転させましょう
    御鳴 鳴唯:再びの奇跡を狙って……ドッジ!
    寒林鎮歌:ん? コンセは?
    天ヶ瀬アマタ:妖精の手 71→75
    御鳴 鳴唯:1dx+1
    DoubleCross : (1R10+1[10]) → 8[8]+1 → 9

    寒林鎮歌:あ、サイレンだからか
    天ヶ瀬アマタ:サイレンにこんsはねえ!
    天ヶ瀬アマタ:1dx+19
    DoubleCross : (1R10+19[10]) → 1[1]+19 → 20 → ファンブル

    天ヶ瀬アマタ:やった~20になった~!
    天ヶ瀬アマタ:というわけでダメージ行きます
    GM:matei
    武装兵士:兵士2ドッジ
    武装兵士:9dx
    DoubleCross : (9R10[10]) → 9[1,2,3,3,5,5,7,9,9] → 9

    武装兵士:兵士3ドッジ
    武装兵士:9dx
    DoubleCross : (9R10[10]) → 10[2,3,4,5,6,7,9,9,10]+1[1] → 11

    天ヶ瀬アマタ:あ、そうだそうだ兵士もドッジな
    天ヶ瀬アマタ:では今度こそ
    GM:全員駄目だった!
    天ヶ瀬アマタ:では武装兵士2,3が耐えきれず死に御鳴ちゃんなら耐えてくれるくらいの二連攻撃が入ることでしょう、ダメージ行きます
    天ヶ瀬アマタ:21+3d10 装甲無視
    DoubleCross : (21+3D10) → 21+16[6,5,5] → 37

    天ヶ瀬アマタ:ダメージを受けた場合、クリンナッププロセスにHP50ロストです
    天ヶ瀬アマタ:まあ鬼ではないので巨人の影は使いません
    GM:深く考えるまでもなく全員倒れるね!
    天ヶ瀬アマタ:じゃあ演出入るか~~~~~~~!
    GM:という訳で演出どうぞだ
    天ヶ瀬アマタ:「刃折れ、刃尽き、刃鳴散らす」
    抜刀、一閃、赤光遍く命を散らす。
    腰から抜き打ちに放たれた刀は真紅の光を放ち、刃の軌跡を象るレーザーとなり、寒林・藍谷・己自身を除く周囲の一切合切を通り抜ける。

    天ヶ瀬アマタ:「死憑雨が崩し“鼻唄三丁矢筈斬り”」
    それは古く語られし剣豪、白井権八の絶技。
    受けし者は仕手の納刀するその時まで、自らが切られたことにすら気づかないと言う。
    本来ならば不可能であり幻想として語られたに過ぎない架空の術理を、実現するレネゲイドコントロールの天才が居た。
    武器を握る指先、逃走防止の足の腱、そして皮膚表面の痛点という痛点を、風の刃は精密に執拗に切り刻む。
    だが天ヶ瀬アマタの狙いはそちらではない。これは彼にとって牽制に過ぎない。

    天ヶ瀬アマタ:「友に刃を向ける。支部の人々を裏切る。これだけ悪いことをしようとしておいて、君は優しすぎる。最初からすべきではない。無駄だ。君には……悪いことをする才能が無い」
    チキ、とわざとらしい納刀の音が鳴り響く。作り物の音だ。殺戮の号令だ。
    そうして赤い雨が降る。鮮血の修羅が薄く薄く微笑む。悪は此処に有り、お前ではないのだと厳しく、叱りつけるように。

    GM:反撃手段を断ち、逃走手段を断ち、そして痛みを与える。
    GM:これは攻撃ではない。
    GM:こういうものは、拷問と呼ぶのだ。
    GM:兵士も少女も等しく苦痛に呻き、のたうち回る事だろう。……無力化の術としては正しいのかも知れないが。
    藍谷瑠璃:あ、それは……演出カバー良いですか、めーちゃんの風の刃いくらか引き受けたい
    GM:結果、雨が止んだ後に残るのは、床に転がった体が三つ。
    GM:いや、先に倒れたのも合わせると四つか。
    GM:そして、藍谷 瑠璃
    GM:それは勿論許可しよう。演出なのでダメージとかも受けなくて良いし判定も特に要らない
    藍谷瑠璃:じゃあめーちゃんに覆いかぶさっています。なんかやべーのが入ってるのに気付いてから割って入ったので全てを止められたわけでもないけど。
    天ヶ瀬アマタ:75→93
    天ヶ瀬アマタ:「……君に良い友だちが居て僕は嬉しいよ」そう呟いて背を向ける。
    GM:ならば、覆い被さった体の下で
    御鳴 鳴唯:「っ、ぁ、が……っ、……!」声にならぬ声。斬撃から少しでも逃れる為に体を縮めて呻いている少女には、
    御鳴 鳴唯:もう、戦いを続ける力は残っていないように見えるだろう。
    藍谷瑠璃:しまったなあ、と他人事のように考える。応急手当キットのひとつも用意しておけばよかった——というところでこっちも気絶したいぜ!
    藍谷瑠璃:痛点狙いからズレているからそんな痛くは無いんだけど、刃にそのまま飛び込んじゃったので必要以上に深く斬れたんだよね
    寒林鎮歌:その一部始終を見て。「ンエェ……」舌打ちを一つ。
    寒林鎮歌:(まったく、気質じゃないだろうとは思ったけれど……そいういうことか)
    寒林鎮歌:堅気
    寒林鎮歌:ため息をつきながら、ワイヤーウィップをしまって。ハンカチで口と鼻を覆った。
    寒林鎮歌:「……吐きそ」
    寒林鎮歌:以上です!
    天ヶ瀬アマタ:あ、処理忘れてましたがHP13→5です
    GM:では。
    GM:この表現が適切かどうか、些か迷うところはあるが──
    GM:やはり、こう言おう。
    GM:〝あなた達の勝ちだ〟。

    GM:──戦闘は終わった。
    GM:どういう状況であるか見渡してみると──そうだなぁ。
    GM:武装兵士三人と少女二人が床に転がっている、というところか。
    GM:文字にしてみると、中々に中々だ。
    GM:そうだな。
    GM:藍谷 瑠璃、端的に聞くが
    GM:無事か?
    藍谷瑠璃:「ぐぇぇぇぇ……」潰れたカエルのような声を上げます
    藍谷瑠璃:いきてる
    藍谷瑠璃:あとなんなら血文字で「あまた」とか書く余裕もあります!
    藍谷瑠璃:絨毯が赤いのでわかんないけど……
    天ヶ瀬アマタ:「くっ……なんてことを……急いで治療しなくては……!」
    天ヶ瀬アマタ:服の袖でぐいと自分にかかった返り血を拭い、目に入らないようにする。
    寒林鎮歌:「…………」苦々しい顔で周囲を見渡している。
    寒林鎮歌:こんなに凄惨な有り様にするつもりではなかったというのに。
    寒林鎮歌:「……お前」
    寒林鎮歌:どん、と。天ヶ瀬の背を蹴る。小突くなんてものではない。大の男がたたらを踏むには、十分な勢いで。
    天ヶ瀬アマタ:吹き飛んで転がる。
    寒林鎮歌:どういうつもりだ、と返事を待っている。
    天ヶ瀬アマタ:「……まずはこのホテルに潜んでいる人々をとらえ、引き渡しましょう」
    天ヶ瀬アマタ:ゆっくりと起き上がる。
    天ヶ瀬アマタ:「それが、UGNとして、“為すべきこと”です」
    天ヶ瀬アマタ:「説明のために時間はとります」
    天ヶ瀬アマタ:「それもまた、“為すべきこと”です」
    天ヶ瀬アマタ:「申し訳ないが、そのためにお力を……貸してください」
    天ヶ瀬アマタ:機械のように、なにか、自分の意志を一切感じさせない物言いで。
    天ヶ瀬アマタ:彼は頼む。
    寒林鎮歌:「それに異論は無いよ」
    寒林鎮歌:「やることはやってやる。で? お前、このやり用は何?」
    寒林鎮歌:「ここまでする必要、あったか?」
    天ヶ瀬アマタ:「……」 ため息をつく。
    天ヶ瀬アマタ:「殺戮衝動」
    天ヶ瀬アマタ:「暴走、衝動、オーヴァードなら誰しも抱える症状です。僕の場合は殺戮衝動」
    天ヶ瀬アマタ:「僕はそれが特に強い」
    天ヶ瀬アマタ:「はっきり言って、必要はありませんよ」
    天ヶ瀬アマタ:「僕でなければ多分、もっと穏便に済んだと思います」
    天ヶ瀬アマタ:服の袖に染み付いた鮮血をじっと見る。
    寒林鎮歌:「チッ……!」大きく舌打ちする。
    寒林鎮歌:「開き直りやがって……」
    天ヶ瀬アマタ:「人を殺さずにはいられない獣が、ですよ」
    天ヶ瀬アマタ:「それでも人間の形に生まれてしまった。そうしたら、どう生きればいいと思います?」
    天ヶ瀬アマタ:瞳を開く。寒林の瞳を覗き込むように。
    寒林鎮歌:「……殺してもいいやつを探す。そういうやつだけを殺す」
    寒林鎮歌:「猫は人と暮らしても、爪とぎを辞められない。だから爪とぎ板がいる……」
    御鳴 鳴唯:「……殺していいやつ、って……だれ、かな……」
    御鳴 鳴唯:胎児のように丸まって横たわる少女が、その姿勢のままで言う。
    天ヶ瀬アマタ:「良い質問です」
    寒林鎮歌:「お前、しゃべらないほうがいいよ」
    寒林鎮歌:「その傷で無理をするな」
    天ヶ瀬アマタ:「彼女はこの程度の傷で自分の意思を止める人間ではないです」
    御鳴 鳴唯:「……だい、じょぶ」
    御鳴 鳴唯:「オーヴァードだから……体の傷は、治る……」
    御鳴 鳴唯:「どっちかって言うと……あなたの方が、重傷に見えたから」
    天ヶ瀬アマタ:「殺しても良いやつの話題に話を戻しますが……そんなものいません」
    天ヶ瀬アマタ:「死んで良い命とか、ジャームであれオーヴァードであれ人間であれそれ以外であれ……いませんよ」
    天ヶ瀬アマタ:「嫌な話ですが、社会の枠組みを維持する為にそれが決まる」
    天ヶ瀬アマタ:「……あっ」
    天ヶ瀬アマタ:ポン、と手を打つ。
    天ヶ瀬アマタ:「僕が死んで良いと断ずることができるのは、僕くらいなものです」
    藍谷瑠璃:がば、と跳ね起きる。
    藍谷瑠璃:「あのねえ!」
    寒林鎮歌:「あ、一番重傷そうなやつ」
    天ヶ瀬アマタ:驚いてそちらの方を向く。
    藍谷瑠璃:怒った勢いで跳ね起きちゃったけどしまっためーちゃん逃げられるようになったよっていうか言う言葉見つかんないんだけどえーとって頭を振って言葉を探します。
    藍谷瑠璃:「……死んでいいひとなんていないよ、同じ言葉を返すけど」
    天ヶ瀬アマタ:静かに頷く。
    寒林鎮歌:「…………」
    藍谷瑠璃:「あなただってそうだ、って、そう言ってるんです!」頷いてる場合ですかってんですよもー!
    天ヶ瀬アマタ:「……嬉しいな。僕もそうであって欲しいと思っている」
    天ヶ瀬アマタ:ため息をつく。
    藍谷瑠璃:「えーと、だからその……」ちょっと言葉を探して、
    御鳴 鳴唯:「……はぁ」
    天ヶ瀬アマタ:そうとは思えないけど、という言葉は飲み込む。年下の少女をそこまで強く否定したくない。
    寒林鎮歌:(調子狂うな、こいつら……)
    御鳴 鳴唯:「藍谷」小さな声で呼ぶ。
    藍谷瑠璃:ため息を聞いて慌ててそっちを見ます。これで消えられたらここでやってたこと無駄になっちゃう!
    藍谷瑠璃:って言う様子じゃないのに気付いていったん落ち着く
    藍谷瑠璃:「……ん、なーに?」
    御鳴 鳴唯:「動画、見た?」
    御鳴 鳴唯:どの動画、とは──言うまでもあるまい。
    藍谷瑠璃:しわしわのピカチュウみたいな顔をします。
    御鳴 鳴唯:その顔を見れば答えは分かる。一度、こくんと頷いて
    藍谷瑠璃:「……ごめん、あたし無神経な事言った、あの自販機の前で」彼氏がどうって茶化した話だ
    御鳴 鳴唯:「……気にしない方がいい」
    御鳴 鳴唯:「私は、たぶん」
    御鳴 鳴唯:「人一倍〝地雷〟が多いだけ……」
    御鳴 鳴唯:「……………………」
    御鳴 鳴唯:少しの間を開けて、
    御鳴 鳴唯:「……自分で言っても全く面白くないジョーク……」
    天ヶ瀬アマタ:「ともかく、です」
    藍谷瑠璃:「……あたしさ、ともだちの地雷を踏んで悪いと思えない人間でいたかないよ」
    御鳴 鳴唯:「そう」
    天ヶ瀬アマタ:「“為すべきこと”は為しましょう。例の家族を確保し、後方部隊に引き渡します」
    藍谷瑠璃:「そんだけ! この話おしまい!」振れられるまで自分からは振れないぞ宣言ですね
    御鳴 鳴唯:「……でもね、藍谷。あの動画を見た後で、それでもまだ……」
    藍谷瑠璃:「ジョークは数で勝負だよーめーちゃん、数で磨いてこ」もう外からこすられるまで
    寒林鎮歌:そうだね、と天ヶ瀬にうなずく。
    御鳴 鳴唯:「〝死んでいいひとなんていない〟って……言える……?」
    藍谷瑠璃:「らーじゃー! やるべきことは大事ですね!」
    天ヶ瀬アマタ:寒林さんに「少しだけ先行しましょう」と言って二人から離れようとします。
    寒林鎮歌:このやりとりは、彼女たち自身に任せた方がいい。そう判断して天ヶ瀬に従いますよ。
    藍谷瑠璃:「……言うよ。あたしおねーさんだからね、言わなきゃなのだ」だからここにいるんだよ、と笑って見せたのは、自然に笑えているだろうか。
    藍谷瑠璃:「それはそれとしてもちろん報いは受けさせるべきだし、そのためにめーちゃんが手を汚すのはヤだったわけだ」
    御鳴 鳴唯:「報いを与えても……改心はしないような……そういう相手でも……?」
    藍谷瑠璃:「それにねー、たまに思うのよ。死んでおしまいじゃあ一瞬じゃないかって」
    藍谷瑠璃:「次はさせない。なにがあっても。」
    藍谷瑠璃:「……それじゃだめかな」
    御鳴 鳴唯:「……理想論の綺麗事」とぶっきらぼうに言って、
    藍谷瑠璃:「まーねー、口先くらいは理想論と綺麗ごとを言えなきゃ、理想なんてどこにも無くなっちゃうじゃない?」
    御鳴 鳴唯:「……下手なお説教より……いいか……」
    御鳴 鳴唯:と続ける。
    御鳴 鳴唯:それから、まだ床に横になったままで首を動かして
    御鳴 鳴唯:「寒林……えーと……寒林なんとか……なんだっけ」
    寒林鎮歌:「かんばやししずか。まあ名字だけでも、別に」
    藍谷瑠璃:動くなら肩を貸します。たぶんカバー傷は見せないようにしてる。
    御鳴 鳴唯:「……じゃあ、寒林」
    御鳴 鳴唯:「あのね……藍谷はね」
    御鳴 鳴唯:「いつもこの調子だから……あんまり気にしない方がいい……」
    寒林鎮歌:「……なるほど」手をぽんと打ち合わせて。「わかった」
    藍谷瑠璃:「あはは、言うねえ」
    御鳴 鳴唯:「……脳天気だし、根拠もないことを平気で言うし……深いことを考えないで喋る癖があるけど……」
    御鳴 鳴唯:「〝自分はこうだからしょうがない〟って言い訳だけは……絶対、しない」
    御鳴 鳴唯:「……そういういきもの」
    藍谷瑠璃:「な、なに、なんか珍獣扱いされてない!?」
    天ヶ瀬アマタ:「いえ、だいぶ褒められてますよ?」
    御鳴 鳴唯:そこまでを言い切ってから、よろよろと立ち上がり、貸された肩に腕を回して
    御鳴 鳴唯:「……疲れた」
    天ヶ瀬アマタ:クスリと笑って藍谷と御鳴を順番に見て、また背を向ける。
    藍谷瑠璃:「そ、そうかなー……?」
    寒林鎮歌:「〝自分はこうだからしょうがない〟か……」
    寒林鎮歌:「そうであれれば、いいわよね」
    御鳴 鳴唯:「……難しいけど、ね」
    御鳴 鳴唯:その言葉を最後に、体からふうっと力が抜ける。
    御鳴 鳴唯:意識が抜け落ちた人間に特有の重さが、藍谷の肩にのし掛かるだろう。
    藍谷瑠璃:「……ま、おねーさんに任せな、ね?」
    天ヶ瀬アマタ:「本当に……良いお友達を持ちましたね」
    天ヶ瀬アマタ:(嫌われているようですし、僕も正直君のそのガラの悪いところが慣れなくて嫌いですが……)
    天ヶ瀬アマタ:(誰かの肩によりかかることのできる貴方の姿を見ていると……結構嬉しいんですよ)
    寒林鎮歌:「……」
    寒林鎮歌:(まったく、こんなに仲が良い子たちなのに、ままならないもんね)
    天ヶ瀬アマタ:「ところで寒林さん。これは歴戦の連続殺人鬼としての質問なのですが」 コホンと咳払い
    寒林鎮歌:「あん?」柄の悪い声。
    藍谷瑠璃:「れきせんのれんぞくさつじんき」
    藍谷瑠璃:「れっ!?」
    天ヶ瀬アマタ:「貴方のご両親が行方不明になった事件」
    天ヶ瀬アマタ:「……犯人は、案外身近に居るのではないかと」 
    天ヶ瀬アマタ:(というより、君だろう)
    天ヶ瀬アマタ:とまでは言わないが。
    天ヶ瀬アマタ:医師である彼は、殺人衝動の申し子である彼は、死体を消すとてもシンプルな方法に心当たりがある。
    寒林鎮歌:「……母については、ニュースでも触れられた」
    天ヶ瀬アマタ:「……」
    寒林鎮歌:「父が母を殺した、それは報道された通り事実」
    寒林鎮歌:「人殺しだって世間は言うけれど。父は……誤解されている」
    寒林鎮歌:「殺してもいいやつ、って話。さっきしたね。うちの母もそうだった」
    寒林鎮歌:そこで、表情を柔らかなものにする。小さいころの、懐かしい思い出を語るような。そんな顔に。
    寒林鎮歌:「母は、父に食べてもらいたくて結婚したから」
    寒林鎮歌:「いつも私に聞かせてくれた。二人の出会い、食べる約束、どんな料理になりたいか。たくさん、たくさん」
    天ヶ瀬アマタ:表情をしかめる。理解の外だ。
    藍谷瑠璃:「あ、あー……か、かわったご趣味ですね……?」あんまりわかんないぞの顔をします。
    寒林鎮歌:「母を料理する練習に、私は二人と一緒に色々作った」
    寒林鎮歌:「ママは……母は、最後まで悩んでいた。生きたまま順番に、体を切って食べてもらうか。ひと思いに殺してもらってから、ゆっくり食べてもらうか」
    寒林鎮歌:「生き物はね、心臓が動いているうちから、頸動脈を切って血抜きした方が美味しいの」
    寒林鎮歌:「だからママは、死んでから解体して料理される方を選んだの。そっちの方が美味しいからいいね、って」
    寒林鎮歌:「パパと一緒にママをさばいて、二人でたくさん料理して、保存食を作って、一年かけて、食べた」
    寒林鎮歌:「パパはママの脂身を塩漬けにしたおつまみで、よくお酒を飲んでた。私も大人になったら食べたいって思ったけれど、その前に食べ尽くしちゃったな」
    寒林鎮歌:「クリスマスのごちそうに、ママの背中肉のローストを食べた。あれは一番美味しかったな。臓物煮込みは食べるの大変だったけど、パパは美味しい美味しいって」
    寒林鎮歌:「脳みそもそんなに美味しくなかった。でも、今の私ならどっちももりもり食べられると思う、ああ、ごめんね、ママ」
    寒林鎮歌:「パパはママから剥がした爪を瓶に入れて大事にしていたのに。警察に持って行かれちゃった。一枚ぐらい取っておけば良かったな」
    寒林鎮歌:「……分かる? 天ヶ瀬数多。宇都宮のカニバルクラブは、下品すぎる」
    寒林鎮歌:「パパとママは深く愛し合って、苦痛を最小限にして、大切に調理して、感謝して、食べた」
    寒林鎮歌:「あいつらみたいなゲスが、命を踏みにじって人を食らう。だからパパへの誤解が深まる」
    寒林鎮歌:「私は、それを許さない」
    天ヶ瀬アマタ:「そこは分かりますよ。僕だって何の力もない弱い人々を一方的に踏みにじって命を奪うのは嫌いです」
    寒林鎮歌:「そ」肩をすくめる。
    天ヶ瀬アマタ:「純度が、鮮度が、強度が……落ちます」
    天ヶ瀬アマタ:小さく呟く。
    天ヶ瀬アマタ:「僕の哲学ではない」
    天ヶ瀬アマタ:藍谷瑠璃の方を振り返る。
    天ヶ瀬アマタ:「藍谷瑠璃さん」
    天ヶ瀬アマタ:反応を伺う。
    藍谷瑠璃:「ひゃいっ!?」
    天ヶ瀬アマタ:「あなたの味方であるべき我々でさえ、このような感じです。ですが、それでも、死んで良い人間などいないと言い続けてください」
    藍谷瑠璃:正直途中でフリーズしていたのだ。あんまりにも壮絶で――まったくカケラもわからないとは、言えなかったから。
    天ヶ瀬アマタ:「そうしたらきっと」
    天ヶ瀬アマタ:御鳴の方を見てため息をつく。生意気な子供で、事あるごとに喧嘩を売ってくるし、信じられないほど短絡的な真似をするが、それでも。
    天ヶ瀬アマタ:「一人、間違いなく、一人。医師では救えない命が救われます」
    天ヶ瀬アマタ:「お願いします」
    藍谷瑠璃:「……そりゃあもう」
    GM:まだ夏が遠いとは言え、蒸し暑い夜だった。
    GM:空調だけで誤魔化せない熱気が、真新しい血の臭いを広げている。

    GM:ロイス&調達可能!
    天ヶ瀬アマタ:ロイス!
    寒林鎮歌:うーん、ロイス、めーちゃんに取りたい気もするが、黒幕の女がまだ未知数だしな
    寒林鎮歌:保留で。アイテムは……応急処置を買います。
    藍谷瑠璃:調達、ゲーム的にはともかく藍谷的には応急手当キットをめーちゃんに使いたいんですよね
    天ヶ瀬アマタ:御鳴鳴唯 親愛/殺意◯ 本気で殺しにかかっても一回くらい殺しただけなら死なないので独断専行や任務と無関係に非オーヴァードへの攻撃を仕掛けたことへの警告として殺しますがそれはそれとしてお前本当に嫌い! 嫌いだけど幸せになれ!
    天ヶ瀬アマタ:殺意以上の感情が若干芽生えつつありますね
    天ヶ瀬アマタ:応急手当キットをとる!!!!!
    藍谷瑠璃:また長くなった!w
    GM:なげえよ!
    GM:句読点で区切れよ!
    天ヶ瀬アマタ:3dx+2>=8
    DoubleCross : (3R10+2[10]>=8) → 10[4,5,10]+2[2]+2 → 14 → 成功

    寒林鎮歌:2Dx>=8 手配師はつきたので、侵蝕ボーナスだけがともだち
    DoubleCross : (2R10[10]>=8) → 9[2,9] → 9 → 成功

    天ヶ瀬アマタ:面倒くさいオタクなんだよこいつは!
    寒林鎮歌:OK
    寒林鎮歌:GM、応急手当はこの場で使っても大丈夫なのでしょうか?
    GM:OKです!
    天ヶ瀬アマタ:手当キットは……死にそうだし一応自分に使うかなあ
    天ヶ瀬アマタ:8+2d10
    DoubleCross : (8+2D10) → 8+17[9,8] → 25

    藍谷瑠璃:あ、前回のアマタストライクでめーちゃんの服がひどいことになってそうなので(だって全身に斬撃属性ですよ!?)
    寒林鎮歌:2D10
    DoubleCross : (2D10) → 17[7,10] → 17

    寒林鎮歌:ありがとうございます! 完全回復しました。
    藍谷瑠璃:カジュアル取ります
    天ヶ瀬アマタ:殺人鬼ですよ?
    天ヶ瀬アマタ:女の子が嫌がるようなことはしません
    天ヶ瀬アマタ:純度が落ちるので
    天ヶ瀬アマタ:でも服は着替えさせてあげたほうが良いわ……
    藍谷瑠璃:えっ服の内側に斬撃が……???
    天ヶ瀬アマタ:血染めだし
    藍谷瑠璃:でしょでしょ
    天ヶ瀬アマタ:装甲無視斬撃だから……
    藍谷瑠璃:3dx>=2 めーちゃんの替えの服を用意します
    DoubleCross : (3R10[10]>=2) → 8[3,5,8] → 8 → 成功

    藍谷瑠璃:かんぺき
    GM:カジュアルを購入しよった
    藍谷瑠璃:藍谷チョイス、やっぱパーカーかなあ、春先だし涼しそうなやつ
    GM:えーと、はあ
    GM:はあってなんだ
    GM:じゃあ
    藍谷瑠璃:あ、もちろん立ち絵を変えてほしいとかでは……ないです!
    藍谷瑠璃:なんかゆったりしていて傷に障らなさそうなやつ……
    御鳴 鳴唯:パーカーはないけど少し薄着に
    寒林鎮歌:細やかな気遣いだぜ
    天ヶ瀬アマタ:可愛いわね……
    GM:ではそういう訳でまぁ、気絶してる人間を着替えさせるのは大変だったかも知れないが
    GM:そんな感じでOK!

    マスターシーン2


    GM:Dr.フィティアンの診療所。
    GM:何もしていなければ、肌に汗が玉となって滲むような、蒸し暑い夜だった。
    GM:その〝患者〟は外の風が欲しくて窓を開けた。
    GM:特におかしなことは何もない。が──無防備だと、自分では思う。
    宇都宮 一:「……銃弾が飛び込んでくる事もない」
    宇都宮 一:「盗人がそうそう忍び込んでくるでもない」
    宇都宮 一:「平和なのですよねぇ、本当に」
    宇都宮 一:夜風が耳飾りを揺らす感触を、目を細めて堪能しながら、宇都宮 一は呟いた。
    宇都宮 一:戦場は好きだ。子供が公園に遊びに行くように、自分は戦場を遊び場にしている。
    宇都宮 一:得られなかった子供時代を今更やり直すのは、先の事を考えなければ、案外に心地良い。
    宇都宮 一:けれども……平和な土地の静かな夜。誰かに守られているのだなぁと思いながら過ごす日も、
    宇都宮 一:それはそれで良いものだ──
    GM:さぁっ
    GM:風の音に混ざって、薄布の擦れる音。
    宇都宮 一:「……誰です? 泥棒さんなら諦めなさい、此処には怖ぁい鬼がいますよ」
    GM:返事はない。
    GM:気配が近づいて来る。
    宇都宮 一:「…………」ベッドの枕元に置いた異形弓〝潮汐〟を手に取る。人の膂力では引けぬ弓。放つ矢は対物ライフルにも勝る代物。
    宇都宮 一:それを引いて、矢を──
    ???:「ばぁ」
    宇都宮 一:「──ひっ!?」
    宇都宮 一:矢を放つことは出来なかった。
    ???:窓の外に、女が立っていた。
    ???:三十になったからならぬか、それくらいの年頃だろう。
    ???:顔立ちばかりは穏やかだ。背丈も然程は高くない。フレームの目立たない眼鏡、ファーを贅沢に用いたコート。
    ???:唇を飾るのは、今宵は血でなく、化粧である。
    ???:「ごめんね」
    ???:「あなたを守る傘は、もう無いのよ」

    シーン5


    GM:さて、このシーンは追加の情報収集パートです。
    寒林鎮歌:はーい
    寒林鎮歌:アマタマンは侵蝕もきついだろうし、出ます
    GM:が、情報収集に入る前、あなた達全員に知らされることはあるでしょう。
    GM:まぁ、お察しの通り。
    GM:診療所から宇都宮 一が姿を消した、という話でした。
    GM:ドクターが病室を訪れたら、窓から室内に風が吹き込んでいた。そういう具合の。
    藍谷瑠璃:おさんぽかな???
    GM:その上で、情報項目はこちら
    寒林鎮歌:ぶっちゃけ逃走する系の患者には馴染みが……w
    【〝食人パーティー〟事件の首謀者】 目標値9 《情報:裏社会》

    GM:リアルが世知辛いぞぉ
    GM:ということで、挑む者は登場するが良い。もちろん途中登場も有りだ
    藤(肉球):寒林鎮歌の侵蝕率を+3(1D10->3)した(侵蝕率:64->67)
    天ヶ瀬アマタ:まずは待機!
    藍谷瑠璃:出よ出よ
    藍谷瑠璃:1d10+68
    DoubleCross : (1D10+68) → 3[3]+68 → 71

    藍谷瑠璃:おとなしめ!
    藍谷瑠璃:んー、どうしましょ、こっちで挑みましょうか、それとも砂の加護投げてチャレンジしてもらう方がいいか……
    寒林鎮歌:んー、9ならまだワンチャン
    藍谷瑠璃:こっちだと素で4D(DB込み)なのでわりといけそうではあるんですよねえ
    寒林鎮歌:私が素振りしますんで、駄目なら藍谷ちゃん尾根がいします
    寒林鎮歌:お願い
    藍谷瑠璃:素振り、2D素振りでは
    藍谷瑠璃:ともあれらーじゃ、結果を待ちます
    寒林鎮歌:2Dx>=9 とうっ
    DoubleCross : (2R10[10]>=9) → 8[5,8] → 8 → 失敗

    寒林鎮歌:財産点! ない!
    寒林鎮歌:後は頼んだ……(ガクリ
    藍谷瑠璃:ざ、ざいさん! 財産で「札束で顔をはたく」しまデキナイーッ
    藍谷瑠璃:かなしみがみつかりましたね
    GM:さぁ……行け!
    藍谷瑠璃:んー、4Dかつ財産も5点あるんだしどうにかなるでしょ
    藍谷瑠璃:4dx>=9 素振り! いきます!
    DoubleCross : (4R10[10]>=9) → 9[7,7,8,9] → 9 → 成功

    藍谷瑠璃:ぱーふぇくと
    寒林鎮歌:やった!
    藍谷瑠璃:人生裏街道を歩み始めてますね
    藍谷瑠璃:ほんとか???
    天ヶ瀬アマタ:ククク…
    GM:では
    【〝食人パーティー〟事件の首謀者】

    クリスティーナ・バーンズ。
    裏の筋の人間だと、知っていることもあるかも知れない程度に有名な名前だ。
    かつては傭兵として名を馳せたが、今は戦場から離れている。
    〝超の後に繰り返し記号が4つ5つも付くような金持ちの男〟と結婚し、死別の末にその財産を全て相続した──つまり分与をもくろむ親族は誰もいなかった──女である。

    彼女こそが、森の洋館の〝パーティー〟主催者だ。
    他国のUGN支部が持つデータと照らし合わせて推測するに、彼女が関わっていると見られる〝晩餐会〟は、五年前から始まっている。
    世界を転々とし、一つ所に留まらない。N市への滞在も、あと一日か二日で終えることだろう。

    あからさまな正面攻撃など仕掛ければ逃してしまう可能性は高い、が。
    もし其処へ紛れ込む事が出来るならば。
    ……幸いにしてあなた達は、参加者のひとりの確保に成功している。
    その同行者に扮することで、事を荒立てずクリスティーナに近づくことが出来るだろう。

    GM:と、いうことで
    GM:そうだな、場所は……十二地区の何処かにあるUGN系の施設としよう。
    GM:時間帯は早朝。
    GM:ふむ。モーニングが愉しめる喫茶店とかいいか。
    寒林鎮歌:おっけでーす
    GM:天ヶ瀬アマタはおそらく、医者としての業務が為に診療所へ先へ向かっている。故に合流が遅れている。
    GM:だからあなた達二人は、一足先に優雅な朝食を堪能している──という具合になるだろう、
    GM:食欲が失せる話題と共に。
    藍谷瑠璃:フレンチトーストをもっしゃもっしゃしてます。もっしゃもっしゃ。
    藍谷瑠璃:むしろ口の中を甘くしないとやってらんない。
    薬師院 小夜子:「昨日は遅くまでお疲れさん。……どうだい、体調の方は?」
    藍谷瑠璃:「ぱーふぇくと、いつでもいけます」
    寒林鎮歌:オニオンスープをすすっている。傍らにはサラダと目玉焼きのトースト。
    寒林鎮歌:「こちらも問題ありません」
    寒林鎮歌:あ、上の発言は筆談です。
    藍谷瑠璃:「むしろもー口の中が甘くないとやってらんないですよこれー」ヴェーって悲鳴なんだか愚痴なんだかよくわかんない声が出る。なんだこれ
    薬師院 小夜子:「そいつぁ良かった。……接待交際費で落とすんだから、デザートでも何でも食べちゃいな」
    藍谷瑠璃:「あ、やった!」ふるーつぱふぇおねがいしまーす!
    薬師院 小夜子:「で──だ。昨日あんたらが捕まえた奴への調査で、こういうことが分かった」
    薬師院 小夜子:と、A4用紙1枚程度の簡素な資料を二人に渡す。
    寒林鎮歌:プリンを注文します。
    藍谷瑠璃:「あ、Understand...」ここだけやたら良い発音で言います
    藍谷瑠璃:「あのー、これ“分与をもくろむ親族は誰もいなかった”って、誰もいなかったって言うかだれもいなくなったのでは???」
    寒林鎮歌:こくこくうなずいて、同意を示します。
    藍谷瑠璃:とりあえず目についたところを挙げる。ヤバくない……???
    薬師院 小夜子:「さぁ、ねえ。そこは調べてみないと、はっきりとは言えないところだが」
    薬師院 小夜子:「結婚から一年か二年で親族全滅。手が後ろに回ることもなかった──ってのは」
    薬師院 小夜子:「ああ、きっとそういう事だろうさ」
    藍谷瑠璃:「えっなにホラー小説の話してます???」現実にあった事とは思えないぞ、の意
    藍谷瑠璃:「これホラー小説の話じゃなかったですよね!?」
    薬師院 小夜子:「事実は小説より奇なりだよ、お嬢さん」
    寒林鎮歌:『ホラーみたいにたちの悪いことやっている女だよ』と書き書き。
    寒林鎮歌:食人パーティー主催やぞ
    GM:その通りとしか言えない
    藍谷瑠璃:「それにしたってここまでとは思わないじゃないですか、うわー、こわ……」
    寒林鎮歌:(ほんとお人好しな子……)
    藍谷瑠璃:悩むに足ることなんて世界にはないみたいな顔してパフェをむさぼるガールですよ
    GM:では、
    GM:血みどろな任務の、つかの間の休息の時間のことである。
    GM:寒林 鎮歌、あなたの持つ通信端末──
    GM:ガラケーかスマホかはまぁさておき、それが鳴動するだろう。
    寒林鎮歌:スマッホンですね多分。ぴぽっ
    GM:通知画面には、あなたの雇用主の登録名が表示されるか。
    GM:Dr.フィティアンか、それともまた別な表記か。そして文体がいかなるものであるか、それは全て横において、
    GM:内容を要約すると、こうだ。
    GM:〝宇都宮 一が姿を消した〟。
    寒林鎮歌:きゅ、と眉をしかめて。藍谷ちゃんと薬師院さんに見えるようスマホの画面を向けます。
    藍谷瑠璃:「え、えー……?」
    薬師院 小夜子:「……〝流れ星〟が?」
    藍谷瑠璃:「……おさんぽかな???」口調ほど笑ってはいない。口の端がひきつっているのが自分でもわかる。
    薬師院 小夜子:「っちゃ~……宇都宮 零路の監視、厚くしとくか……」
    薬師院 小夜子:「狙撃手がやけっぱちになった時って面倒なんだよなぁ……」
    藍谷瑠璃:「対狙撃戦とかあたしやれないですよ、まいったなあ」
    寒林鎮歌:『うちはああいう医院だから、支払いをせず患者も多いのだけれど。申し訳ありません』書き書き
    藍谷瑠璃:「あー、お金は受け取ってるんです? 大丈夫……?」
    寒林鎮歌:『確か前払いがあったはず』
    藍谷瑠璃:「あー、じゃ、じゃあとりあえずそっちは心配いらないんですねえ」
    寒林鎮歌:こくり、こくりと。オニオンスープの残りを飲み干す。
    寒林鎮歌:野菜とスパイスと、塩胡椒。人類が長い歴史の中で培った、滋養ある工夫がたっぷり作った特別な液体。
    寒林鎮歌:「ごちそうさまでした」手を合わせて。
    藍谷瑠璃:乾いた紙ナプキンで頬をこする。クリームは肌が好きだからね!
    寒林鎮歌:デザートもサラダもパンも平らげて、藍谷さんに向き合う。
    寒林鎮歌:「あなたの食事中には向かない話題かもしれないけれど。今さらもう、あまり関係ないかもしれないから、言うね」
    藍谷瑠璃:首を傾げる。頭上に?が浮かんじゃうやつだ!
    寒林鎮歌:「あなた、私が気持ち悪くないの?」
    藍谷瑠璃:「ん、んー……?」さらに首を傾げる。
    寒林鎮歌:怖くないの、ではなく、気持ち悪くないのか。それが少し不思議だった。
    寒林鎮歌:「私の父がやったことと、私が父と一緒にやったこと。みんな、それを聞くと拒否反応が凄いから」
    寒林鎮歌:「人殺しが悪いことぐらい知っている。でも、私は……〝どうしてみんな、大事な人を食べもせず棺桶に入れちゃうんだろう〟って」
    寒林鎮歌:「それが分からないし。他人は、分からない私が厭みたいだから」
    寒林鎮歌:「でも、あなたは少し、違った気がするの」
    藍谷瑠璃:「あ、あー、なるほど」なるほどー……
    藍谷瑠璃:答えはいくつか考え付いた。何を言うべきか。どれを言うべきか……
    藍谷瑠璃:「あたし、おねーさんでいるって決めてから、一個だけ決めてることがあるんですよ」これだけは守ろうって。
    藍谷瑠璃:「誰かが大事なものを大事にしようって」
    藍谷瑠璃:「たとえそれがわからないことでも、それだけは」
    藍谷瑠璃:「少なくとも、寒林さんのは――あたしにはよくわかんないけど――大事にしてるのはわかったから」
    藍谷瑠璃:「だからあんまし否定したくないんだなー。大事だからひとつになりたい、っていうのはちょっとわかっちゃったし……」
    寒林鎮歌:「……」きゅ、と。鼻頭から朱が散って。
    寒林鎮歌:みるみる、耳まで真っ赤になる。そんなこと言ってくれた人は今までいなかった。
    寒林鎮歌:鎮歌を引き取って育てた叔父は、「もうあんなこと忘れなさい」と言い。
    寒林鎮歌:自分の性質を知った上で雇ったDr.フィティアンは、「君は君、僕は僕」でひどくフラットで。それはそれで樂だったけれど。
    藍谷瑠璃:「でーもやっぱりあたしは大事だから綺麗な形で覚えていたい派かなー」棺桶に入れるのはそういうことだと思う、って。
    寒林鎮歌:「うん。体を残しておいて欲しい、って人がいるのも、知ってる」
    寒林鎮歌:「料理するとなると、剥がしたり、割ったりしちゃうから」
    寒林鎮歌:「……ありがとう。そんな風に、大事だって理解してくれる人、今までいなかったから」
    寒林鎮歌:「だからね、藍谷瑠璃。あなたに一つ、お願いしたいことがある。ちょっと難しいから、断ってくれてもいい」
    藍谷瑠璃:「え、えーと、なんだろ、あたしにできることなら?」安請け合いするタイプだ
    寒林鎮歌:「その、ね」周りの目を伺い、薬師院さんをちらっと見てから。そっと耳に近づいて囁きます。
    寒林鎮歌:「あなたのちがほしい」
    藍谷瑠璃:「ち」
    寒林鎮歌:「……そう、血液」姿勢を戻して。「私は、ブラム=ストーカーとエグザイルのクロスブリード」
    寒林鎮歌:「ブラムスは血液を利用するでしょ? 私は、人から血を借りて戦うことが出来る」
    寒林鎮歌:「それで。私は、そんなに強いオーヴァードじゃない。一番、必殺の一撃を出すには、私の血だけじゃ足りないの」
    寒林鎮歌:「だから藍谷さん、あなたの血が欲しい。もしかしたら、戦えなくなるほど奪ってしまうかもしれないけれど……」
    寒林鎮歌:「私なら、自分の血で立ち上がる活力を与えることだって出来るから。少し、体がだるいだけで澄むと思う」
    藍谷瑠璃:「あ、あー、なるほど……なるほど?」理解に時間がかかっている声音だ
    藍谷瑠璃:「えーと、肉はご入り用でない?」
    寒林鎮歌:「…………欲しいって言ったら」じゅる、と。舌が。出て。「くれるの…………?」
    寒林鎮歌:はたとかぶりを降って、打ち払う。
    寒林鎮歌:「そういう冗談は、いいから!」
    藍谷瑠璃:あっやぶへび! って顔をします
    藍谷瑠璃:冗談で済ませてくれるってことなので大人しく冗談で済ませてもらおう、だ
    藍谷瑠璃:あ、いやでもこれちゃんと聞いておかないとだ
    寒林鎮歌:「私は……肉は、食べないようにしてるから」
    寒林鎮歌:「肉食獣の肉は、あまり美味しくないって言うし」
    藍谷瑠璃:「あー、その……あとから“実は肉も欲しい”って言われても困っちゃうから、確認しておきたかったのだ」
    寒林鎮歌:「うん。そこは安心して。食べないから」
    寒林鎮歌:——だって、私は肉を食べたいんじゃなくて——
    寒林鎮歌:「とにかく。あの女との決戦になったら、お前の血をもらう。約束ね?」
    藍谷瑠璃:「ま、まーそれなら」
    藍谷瑠璃:「あ、いっこだけお願いが!」
    寒林鎮歌:「なに?」
    藍谷瑠璃:「めーちゃんには見せないでほしいかな……たぶん、あのこのトラウマに突き刺さっちゃうだろうから」
    寒林鎮歌:「ん。まあ、あの傷なら戦線には来ないと思うけれど。覚えておく」
    藍谷瑠璃:「はー、それじゃあよろしくおねがいしますー」
    藍谷瑠璃:「あ、あんまり痛くしなでねって言ったら通ります?」
    寒林鎮歌:「蚊は人の血を吸うとき、麻酔を打ってくれるんですって」
    寒林鎮歌:「だから蚊に刺されてかゆくなるのはその麻酔のせいなんですって」
    寒林鎮歌:「別に私の歯は麻酔が出ないけど……かゆい方がいい?」
    藍谷瑠璃:「そ、それはそれで集中できなくなりそうかなあ!」
    寒林鎮歌:くすりと微笑んで。「じゃ、できるだけ痛くないよう気をつけるから」
    藍谷瑠璃:「うう……期待はしておきます」あんまり期待していない声で
    藍谷瑠璃:ブラックのままのコーヒーをひといきに飲み干す。話しているうちにすっかり冷めてしまった。
    GM:随分暖かくなったとは言え、コーヒーの湯気を何時までも保てるほど、早朝の日光は強くないのだろう。
    GM:その、さほどでもない日光を染めた金髪に照り返しながら──薬師院 小夜子は
    薬師院 小夜子:「~♪」両耳にイヤホンを押し込んで、軽く頭を揺らしていたが、
    薬師院 小夜子:「……お。内緒話はそろそろ良い頃合いかね?」
    薬師院 小夜子:と、イヤホンを外してポケットに押し込んだ。
    藍谷瑠璃:「おおー、大人の配慮、デキるおねーさんって感じですねえ」
    藍谷瑠璃:「やー、ありがとうございます」
    薬師院 小夜子:「そー、割といろんなこと出来るおねーさんなの。そしておねーさん、ちょっと解析班のデータ洗い直してたんだけどさ」
    薬師院 小夜子:「……クリスティーナ・バーンズが滞在してるだろう洋館。オーヴァード兵士はたぶん、そんな数は居ないだろうけど」
    薬師院 小夜子:「建物の構造を見るに、外へ逃げるルートがかなり多い。真っ正面から派手にしかけたら、まず間違い無く逃げられるね」
    薬師院 小夜子:「捕まえるなら方法は二つ。大量の兵員を連れ出して一気に360度取り囲むか」
    薬師院 小夜子:「それとも少数で潜入、一気に近づいて拿捕するか、だ」
    藍谷瑠璃:「ひゃくにんくらいひつようなやつでは???」<包囲
    寒林鎮歌:「それはどう考えても後者で行くしかなさそうね」
    薬師院 小夜子:「理解が早くて助かるよ。……本当は包囲の方が良いに決まってんだ、危なくないから。でも、それが出来ないからね」
    薬師院 小夜子:「あんた達に危ない橋を渡らせることになるのは、本当にすまないが──改めて頼むよ」
    藍谷瑠璃:「え、闇医者ネットワークに声をかけたらめちゃくちゃ集まったりしません? ひゃくまんにんくらい……」
    寒林鎮歌:「UGNがそんなに手数があれば、私みたいなイリーガルもいらないでしょうし」
    寒林鎮歌:「ヤミ医者をなんだと思ってるの???」
    薬師院 小夜子:「……百万人かぁ……いたら良いよねぇ……」遠い目
    薬師院 小夜子:「そしたら人手不足とか全く無縁になってさぁ……楽だよねぇ……」
    薬師院 小夜子:「……ってあぶねえ。妄想の世界に沈むとこだ。んで、お嬢さんがたお二人とも」
    薬師院 小夜子:「ちょっくら、つかぬことをお聞きするんだが──」
    藍谷瑠璃:首を傾げる
    寒林鎮歌:「はい」
    薬師院 小夜子:「プロムナードの経験は?」
    寒林鎮歌:「ぷろむなあど……?」
    寒林鎮歌:「香辛料や料理名じゃない……」ぽちぽちとスマホで検索。「……ああ」
    寒林鎮歌:「ないですね」
    薬師院 小夜子:「私もだ。日本人だからね」
    藍谷瑠璃:「ぷらもでるの親戚……???」
    藍谷瑠璃:画面を見せられて「……なるほど」
    薬師院 小夜子:「これから2、3時間の内に、あんたらには」
    薬師院 小夜子:「予算UGN持ちで、フォーマルなパーティーに出席できるような服を選んで貰う」
    藍谷瑠璃:「ふぉーまる」
    薬師院 小夜子:「フォーマル」
    藍谷瑠璃:「ふぉーまるは……わかんないかな……」
    寒林鎮歌:「ンエェ……」めちゃくちゃ厭そうに顔を歪めて、舌打ち。
    寒林鎮歌:「分かりました……侵入のためには、仕方ない」
    藍谷瑠璃:「はっもしかして……女の子の夢なすっごいふわぁっとしたドレスを……着られるのでは???」
    藍谷瑠璃:「いやこんな機会で着たいものでもなかったよ!?!?」
    藍谷瑠璃:「う、動きやすいのにしよ……どんなのかな……」どんなのが動きやすいのかなあ、うーん……
    薬師院 小夜子:「寒林さん」
    薬師院 小夜子:「そちらのレディーのエスコート、よろしく」
    寒林鎮歌:「はい…………」

    GM:ロイス&調達可能!
    藍谷瑠璃:寒林さんのロイスを更新しよう
    寒林鎮歌:うーん、ロイスも調達も特にないです。
    天ヶ瀬アマタ:登場してないのでできないぜ!
    藍谷瑠璃:調達無し!(フォーマルに挑んで成功したらセンス良くなるとか考えたけど無いよこれ!)
    GM:OK!
    藍谷瑠璃:寒林さんへのロイスを「〇まー悪い人ではないでしょ/ほんとか???」に変えます
    寒林鎮歌:ふふっ

    シーン6


    GM:全員登場、登場侵蝕!
    藍谷瑠璃:1d10+71
    DoubleCross : (1D10+71) → 8[8]+71 → 79

    藍谷瑠璃:殺気立ってる
    天ヶ瀬アマタ:93+1d10
    DoubleCross : (93+1D10) → 93+5[5] → 98

    藤(肉球):寒林鎮歌の侵蝕率を+9(1D10->9)した(侵蝕率:67->76)
    天ヶ瀬アマタ:死にたくない
    寒林鎮歌:ぴいぴい
    藍谷瑠璃:あっアマタマン

    GM:N市の──これは、郊外とでも言うべきか。
    GM:針葉樹の森がある。何とも、欧州の北の方から土ごと森を抉って、日本にまで持ってきたような風情の森である。
    GM:此処では日の光はまばらになり、空気は湿度こそ高いが、肌に張り付くそれではなくて、ひんやりと寒さを感じる程だ。
    GM:あなた達は今、馬車を降りた。
    GM:……そう、馬車だ。時代錯誤の。
    GM:あなた達の目の前には洋館の正面大扉。黒服の男が銃器を手に、来訪者を迎え入れている。
    天ヶ瀬アマタ:「……さて」
    天ヶ瀬アマタ:漆黒のタキシードとシルクハットに身を包み、いかにも良家の子息でございという体で降り立つ。
    天ヶ瀬アマタ:顔は少しだけ華美に飾った眼鏡で覆い隠し、知り合いに出会っても問題ないような最低限の隠蔽は行っている。
    藍谷瑠璃:馬車を降りると警備員にドレスの裾をつまんで一礼します
    寒林鎮歌:とん、と。水色の色留め袖で現れる。振り袖で着飾るような気分にはなれない。
    寒林鎮歌:上半身に柄はなく、下半身に鯉と睡蓮があしらわれた清涼な衣装だ。
    藍谷瑠璃:白の地が足元へ向かうにつれて若草へ染まるドレス。胸元にはやや赤みがかった黄色の——髪の色にも似た——薔薇の刺繍。すずらんの髪留め。
    藍谷瑠璃:あまり話すとボロが出るので、黙って礼だけ。
    寒林鎮歌:あまりここで口をききたくはない。黙って会釈して、さっさと先へ進む。
    GM:既にあなた達の身分偽装は完了している。
    GM:あのホテルの戦闘後に確保した、いわゆる〝資産家A〟の家族にして同行者──というのが、あなた達の立ち位置である。
    GM:無論、その為には〝資産家A〟も共にこの場に来てはいるのだが、
    GM:馬車の御者は、UGNのエージェントの一人であり、監視を兼ねている。資産家が逃亡する・密告するなどの可能性は考えなくていい。
    GM:……さて。
    GM:あなた達は洋館の奥へと通される。
    GM:外から見ると大きな建物だが、それは天井がやけに高いからで、実際に行動できるスペースは然程でもない。
    GM:仰々しい螺旋階段を登り、二階へ上がって正面。そこが〝パーティー〟の会場であった。
    GM:扉を開けた瞬間、真新しい血の臭いが、廊下へと流れ出した。
    黒服:「どうぞ、お入りを。皆様お待ちでいらっしゃいます」
    天ヶ瀬アマタ:口元だけ歪めてにやりと笑う。趣味の悪い金持ちのガキという装いを崩さないように。
    天ヶ瀬アマタ:視線を浴びる盾となるように、真っ先に、一歩踏み出す。
    寒林鎮歌:「……」舌打ちしたい気持ちを抑えて、ぺこり。
    藍谷瑠璃:まだ目をほとんど閉じている。お辞儀といえば目を閉じるもの、というイメージがあるだけじゃない。まだ目つきでバレないように、だ。
    GM:長いテーブルに真白のテーブルクロス。絵に描いたような〝晩餐会〟の舞台。
    GM:あなた達は椅子を引かれ、着席することになるだろう。最も入り口扉に近い席。横に三人並んで。
    先客達:「やぁ、お久しぶりです。来られないかと思って、残念に思っていた所ですが──いや良かった良かった」
    資産家A:「は、はは……」
    天ヶ瀬アマタ:静かに座る。必要とあればこの場に居る敵を皆殺しにできるように。
    天ヶ瀬アマタ:「A先生、こちらの方々は先生のお知り合いで?」
    藍谷瑠璃:座ると膝の上に手を重ねる。逃がさないための手はある。でもまだだ。まだ飛び出すな。全員揃ったのを見届けてから。
    資産家A:「あ、ああ、ぁ……そう、なんだよ」
    寒林鎮歌:人前に出るのは嫌いだ。だが、慣れてはいる。なんでもないように取り繕うことだって。
    寒林鎮歌:すっと背筋を伸ばして着席、あたりを涼やかな目で睥睨する。
    天ヶ瀬アマタ:「先生にはお世話になっておりまして、その縁でお連れいただいたものです。今後ともよろしくおねがいします」
    資産家A:怯えている。目の前の人喰い仲間には裏切りを働いていて、背後のUGNは味方ではないという状況にだ。
    資産家A:これではロクな受け答えは出来ないだろうが、
    天ヶ瀬アマタ:名前については触れない。仮面舞踏会ではないが、こういう場ではそういうものだろうと分かっている。
    先客達:「ほう、それはそれは、お若いのに。こちらこそ、どうぞよろしく」
    天ヶ瀬アマタ:「はい……先生には頭が上がりません。よろしくお願いいたします!」
    寒林鎮歌:(舌が良く回る人で助かるわ……)おしゃべりは天ヶ瀬に任せておこう、と決意。
    先客達:「……ところで、新しいご友人よ。この会の参加者には、まず必ず聞くことがあるのですが」
    天ヶ瀬アマタ:(こいつらの血も見てえなあ~~~~~~!)
    寒林鎮歌:「よろしくお願いします」ぺこり、これぐらいは言っておく。
    天ヶ瀬アマタ:「はい、なんでしょう?」
    藍谷瑠璃:静かに首を傾げる。
    先客達:客人達は、部屋の奥──つまりはあなた達から最も遠い席に視線を向けた。
    GM:そこに、血の香りを香水のように纏う女が座っていた。
    クリスティーナ・バーンズ:「今まで、〝こういう種類の肉〟を召し上がった経験は?」
    クリスティーナ・バーンズ:写真資料で容姿は確認出来ている、としよう。
    クリスティーナ・バーンズ:この宴の主催者が、そこにいた。
    寒林鎮歌:「ありますよ」口を開く。
    寒林鎮歌:「この会の皆さんなら、私と父のことも、ニュースでご存じじゃないかしら。〝食人鬼〟ですから」
    天ヶ瀬アマタ:「そちらの彼女はね。僕はお恥ずかしい話ですがこういった美食の経験は無かったもので……少し緊張しております」
    クリスティーナ・バーンズ:「あら」
    クリスティーナ・バーンズ:「あら、あら、まぁ」
    クリスティーナ・バーンズ:両手をポンと顔の前で合わせて、両目を細めてニコニコと微笑み
    天ヶ瀬アマタ:そこまで踏み込んだことに驚きの表情を見せる。
    藍谷瑠璃:寒林さんを見ます。潜り込むためとはいっても、そこまでさらして見せていいの、って。
    寒林鎮歌:「忘れられない味、というものですね」らん、とバーンズを見据える。
    寒林鎮歌:「再び口にする機会をいただき——ありがとうございます」
    寒林鎮歌:血の通わない肉のように。青ざめた骨のように。淡々と、荒涼と、言い切った。
    天ヶ瀬アマタ:(いや、逆に僕が嘘を付く必要が減ったか……)
    天ヶ瀬アマタ:調子に乗った金持ちのボンボン面をして少し怯えたような表情を横で浮かべる。
    クリスティーナ・バーンズ:「良かった。本当に良かったわ。やっぱりね、どうしても、初めての参加者さんは、食べられないで終わる人も多いのよ」
    クリスティーナ・バーンズ:「それが〝経験者〟だなんて、ああ、こちらこそありがとうって言いたいわ!」
    クリスティーナ・バーンズ:「……ちなみになんだけど、あなた。どの部位が好みとかあるかしら」
    寒林鎮歌:(おしゃべりは天ヶ瀬に任す、と思ったのに)胸中舌打ち。(つい反応しちゃった……)
    寒林鎮歌:「好みということなら、平凡だけど背中や腹ですが」
    天ヶ瀬アマタ:(さては寒林、何も考えずに突っ込んだなお前?)
    天ヶ瀬アマタ:いつでもバトンタッチできるように、静かに待機する。
    寒林鎮歌:「子供のころ食べた時、臓物と脳はあまり美味しくなくて。今なら違うと思うから、リベンジしたいですね」
    寒林鎮歌:人を食べる。その話題は。どうしても抑えがたい情動に突き動かされる。だが、悔やんでも遅い。
    クリスティーナ・バーンズ:「ふふ。良かった、期待してて良いわ。ラムでもマトンでもお好きなように──よ」
    クリスティーナ・バーンズ:女は、酷く上機嫌である。ともすれば無防備にも見えるし、彼我の距離は10mも無い。
    天ヶ瀬アマタ:(人肉食への愛情、洞察力、思いが深い……)
    天ヶ瀬アマタ:(僕のような食人の素人では出せない言葉だ……! 認めざるを得ない……寒林鎮歌)
    クリスティーナ・バーンズ:或いは、この場で飛びかかれば刃は届くのではないか──そういう距離だ。
    クリスティーナ・バーンズ:が。
    クリスティーナ・バーンズ:「じゃあ、皆様お揃いになったことだし」
    クリスティーナ・バーンズ:「改めまして。本日はお集まりいただきありがとうございます」
    天ヶ瀬アマタ:(対するこの女、この女も一流だ。人間の尊厳を陵辱し蹂躙し略奪しつくすことにかけては……!)
    天ヶ瀬アマタ:表情が明るくなる。まるで始まりを待ちわびるかのように。
    クリスティーナ・バーンズ:「不幸にして先日、私達は長年の友を一人失いましたが──」
    クリスティーナ・バーンズ:「あまり美味しくありませんでしたわね」
    先客達:ははは、とあくまでも上品を装った笑い声。
    クリスティーナ・バーンズ:「けれど、今日の食材はもっと上等なものをご用意できましたの。少し筋張ってるのと、食べられる部位が少ないけれど」
    天ヶ瀬アマタ:「ふふふ……」 こんな人間の屑どもならば任務に巻き込んで少し殺しても怒られないかも知れない。そう思うと笑みが溢れる。
    クリスティーナ・バーンズ:「きっと皆さんにもご満足頂ける味と──レネゲイドに満ちている筈ですわ」
    天ヶ瀬アマタ:「……れねげいど?」
    天ヶ瀬アマタ:小さく呟く。
    天ヶ瀬アマタ:(まさか、いや、まさか……)
    クリスティーナ・バーンズ:ぱん、ぱん、と手を叩く。
    GM:すると、会場奥のキッチンから、水槽が運ばれてくる。
    GM:何故水槽かと言えば、零れ落ちる血を無駄にしない為だ。
    GM:既に切り分けは済んでいる。それは見て分かることだろう。
    GM:切り分けが済んでいる〝のに〟生きている。オーヴァードとは全く、奇跡的な存在だ。
    天ヶ瀬アマタ:「──ッ!」
    寒林鎮歌:何分割されているんでしょう
    GM:キッチンからは蛋白質に熱を通した時の、あの香ばしい空気が漂ってきて、
    GM:ふむ。
    GM:そうだな……
    GM:上半身と下半身は、そのまま繋がっている。首と胴も。
    寒林鎮歌:ダルマになっているのか、もっと細かいのかなと
    寒林鎮歌:良かった首つながってた
    GM:両腕はそれぞれ、体の横に
    GM:水槽の角に立てかけておいてあるだろう。
    GM:脚は二本とも、中途半端な形だ。股肉を全て削ぎ取られているが為だろうが、
    GM:器用に、皮膚だけは残されている。骨の上にぺらぺらの膜が被さっているような有様だろう。
    GM:顔を見分けるのが、一瞬だけ苦労したかも知れない。頬を丸く切り取られているからだ。
    寒林鎮歌:ああ、じゃあ焼いてるの頬肉かあ
    寒林鎮歌:足の皮膚残しているのは器用だな……
    GM:きっと美味だと思うぞ。
    GM:食べた事は無いから知らないが。
    寒林鎮歌:柔らかいからね
    GM:……そういう風に、食材として加工された宇都宮 一が、抗う気力も無く水槽に収められていた。
    藍谷瑠璃:重ねた手を握りしめる。ふたりにちらと視線を向ける。意味は明白だ——はじめていいですか。
    寒林鎮歌:挙手してバーンズさんに質問の意を示します。
    天ヶ瀬アマタ:「おお、なんてことでしょう……!」 調子に乗ったボンボンが度肝を抜かれた時のような声を漏らす。
    天ヶ瀬アマタ:そうしながら、藍谷瑠璃の腕をしっかりと掴む。
    クリスティーナ・バーンズ:「はい、新人さんどうぞ」
    クリスティーナ・バーンズ:満面の笑顔のまま、話を促す。
    寒林鎮歌:「内臓はこれから抜くんですか? 断食で腸内が空になってないなら、直腸けっさつをお手伝いしたいのですが」
    寒林鎮歌:「客人の身で出過ぎた真似なら、おとなしく座っています」
    寒林鎮歌:※直腸結紮……内臓を取り出す前に中身が溢れないようにとる処置。詳しくは略。
    寒林鎮歌:鎮歌はこうやっておしゃべりして時間稼ぐから、藍谷ちゃんは呼吸とか落ち着けてね。
    天ヶ瀬アマタ:「我々はこちらで見ていましょうね……こういう場面は初めてなのですから」
    天ヶ瀬アマタ:アマタマンが傍に居てしっかり止めるからね~。
    クリスティーナ・バーンズ:「あぁ、あなたは〝駄目な人〟なのね」
    先客達:「無理も無い。最初は私達も──」
    先客達:「──慣れれば、一つの珍味ですとも。多少の事で死なない体になるのですし」
    藍谷瑠璃:困った顔をして首を傾げます。しゃべってなくてもバレるの、潜入が向いていないのでは???
    天ヶ瀬アマタ:(殺した方が世のためになる悪党だらけ! 同じ悪党でも僕だけビュッフェスタイルなんて申し訳ないですねぇ~!)
    クリスティーナ・バーンズ:「……って言うお客様が多いの、ごめんなさい。手足とか背中とか、お肉だけ取り分けるわ」
    天ヶ瀬アマタ:瑠璃ちゃんに向けてニッコリと微笑みます。大丈夫ですよ、と付け加えて。
    寒林鎮歌:「……つまり、内容物ごと? 身の部分でないのは、それはちょっと」眉根を寄せる。
    寒林鎮歌:「ありがたくお肉の部分をいただきます、お気遣いありがとうございます」
    寒林鎮歌:言い忘れたけれど、骨髄ローストも所望しておけば良かったかな……
    クリスティーナ・バーンズ:「人によってはだけど。香草系のごはんを食べさせて少し経った胃を希望する方もいるのよ」
    寒林鎮歌:「いいですね。胃は下処理に時間がかかりますが、みかんぶりってあるじゃないですか」
    寒林鎮歌:「三ヶ月柑橘類を食べさせれば、人間でも柑橘の風味が肉につくと思うんですよね。豚だって、木の実の味がつくんですし」
    クリスティーナ・バーンズ:「大丈夫、保証するわ」
    クリスティーナ・バーンズ:「確かにちゃんと美味しくなる、ってね」
    クリスティーナ・バーンズ:ぱちん、と茶目っ気たっぷりのウィンク
    寒林鎮歌:「実践済みなんですね。素晴らしいです」ぱちぱちぱち、と無理やり微笑んで拍手する。
    クリスティーナ・バーンズ:「……あっ」
    クリスティーナ・バーンズ:「でも、ひとつだけ、まだ試してないことがあるのよね」
    クリスティーナ・バーンズ:「煙草の葉っぱを沢山吸わせたら煙草代わりになるのかしら、って」
    寒林鎮歌:「それは……どうでしょう」首かしげ。「ニコチンが溜まって、味も健康にも悪いと思います」
    寒林鎮歌:「燻製なら大賛成ですけれど」
    クリスティーナ・バーンズ:「マリファナ詰めなら試したんだけどね。オーブンに押し込んだらコックがみんなおかしくなっちゃって!」井戸端会議の参加者のような手振りで、笑い話として言って
    寒林鎮歌:「それに、肺が美味しくなくなってしまうのでは?」
    クリスティーナ・バーンズ:「……煙草の葉での燻製?」
    寒林鎮歌:「いえ、ニコチンやタールのないチップで、普通の燻製」
    クリスティーナ・バーンズ:ぱちん、と指を弾く。
    寒林鎮歌:「親子二人で人間一人は大変なので。腸詰めや燻製で、たくさん保存食を作ったんです」
    寒林鎮歌:「ママの味のベーコンは最高ですよ!」渾身のジョーク!
    クリスティーナ・バーンズ:「うらやましいわ……」と、その言葉ばかりは、笑みも無く、本当に悲しげに発せられる。
    クリスティーナ・バーンズ:「……肉親の味って……どんな風だったかしら」
    クリスティーナ・バーンズ:「覚えてないのよね……」
    クリスティーナ・バーンズ:「……………………」
    先客達:にわかに、他の客達がどよめき始めた。
    寒林鎮歌:「……大事な、思い出ですね。私にとっては、生涯最高のごちそうです」
    寒林鎮歌:「……また、あの味に出会えたら」ふと、喉が詰まる。
    寒林鎮歌:「なんて、少し夢見ちゃって。だから、ここへ来ました」
    寒林鎮歌:言い切った声は、少し震えていた。
    先客達:何か、〝暗黙の了解〟を踏み外したとでも言うような──焦りが参加者達の顔には見えて、
    クリスティーナ・バーンズ:「……ごめんなさいね。ここで用意できるものだと」
    コック:コックが、皿に、皿の白が透ける程に薄く切った肉片を乗せて運んでくる。
    コック:まずは二皿。一つはクリスティーナの前に置いて、
    コック:長テーブルを大きく回って、あなたの前に。
    コック:冗談のように薄っぺらいベーコンは、あなたの好きな背中の肉だ。
    クリスティーナ・バーンズ:「他のお二人さんも、味見してみる?」
    天ヶ瀬アマタ:「……ではお兄さんの僕から失礼します」
    天ヶ瀬アマタ:「よろしいですか?」
    天ヶ瀬アマタ:寒林さんの方を見る。
    寒林鎮歌:どうぞ、と無言の会釈でうながす。
    天ヶ瀬アマタ:(藍谷ちゃんだけは守らないとなあ)
    天ヶ瀬アマタ:ぺろり、と頂く。
    天ヶ瀬アマタ:「…………」
    寒林鎮歌:「あなたは初めてよね。お味はどう?」
    天ヶ瀬アマタ:味は……そう変わったものではない。
    天ヶ瀬アマタ:「少し酸味を感じます」
    クリスティーナ・バーンズ:「あらっ」ぱぁっと、花が咲いたように綻ぶ顔。
    クリスティーナ・バーンズ:「あら、あら、まぁ、まぁ。今日は本当に、とっても、とっても素敵な日だわ!」
    天ヶ瀬アマタ:「普段、美食を楽しんではいるのですが、なかなかこれは……新鮮な風味ですね」
    天ヶ瀬アマタ:「もっと、麻薬のようにとろける美味か、あるいは嫌悪感で食べられないような味になっているかと思ったのですが……」
    天ヶ瀬アマタ:「珍しいお肉の一種、ふむ、前後の文脈も踏まえて噛みしめる楽しみがあるという意味で普段の美食にプラスアルファがある……」
    天ヶ瀬アマタ:「そういう趣向ですね? 実に面白い……」
    先客達:「さすが先生のお連れさんだ、お若いのに良く分かっていらっしゃる」
    天ヶ瀬アマタ:「それに料理人の腕も良いです。迷いなく、丁寧に処理をしているから塩味が澄んでいる……」
    寒林鎮歌:(ほんっとよく舌が回る男…………)呆れつつ感心。
    先客達:「ええ、そうなのですよ。ただ美味な肉を食べたいだけなら、ほんの少しだけ金を積めばいい」
    天ヶ瀬アマタ:(料理人共も、こんな悪党にノリノリで加担している時点で殺して構わないな……)
    天ヶ瀬アマタ:「人間を、食べる。このプラスアルファが“良い”訳ですね」
    天ヶ瀬アマタ:「これは……楽しめそうです」
    天ヶ瀬アマタ:満面の笑みを浮かべる。
    天ヶ瀬アマタ:(お前たち悪党の悲鳴を……なぁ?)
    先客達:「うむうむ。千ドルのステーキと一万ドルのステーキの間に、十倍もの味の違いは無いのですから」
    先客達:「本当に美味しいものを食べたいならば、もう、飾り立てるしかないんです!」
    クリスティーナ・バーンズ:「……………………」
    天ヶ瀬アマタ:その裏に隠された本当の欲望を知るものは、少ない。
    先客達:「どうです、お連れさん。もしよろしければなのですが、食事会の後……」
    天ヶ瀬アマタ:クリスティーナに目を合わせて、ニコリと微笑んだ。
    先客達:「〝下ごしらえ〟の方にもご参加なさいませんか?」
    天ヶ瀬アマタ:「ええ、ぜひ」
    クリスティーナ・バーンズ:「撮影禁止ですよ」と、被せるように女が言った。
    クリスティーナ・バーンズ:「……ルールを守れないひとは、次の食材にするしかなくなるんですからね」ぷうっと頬を膨らませて
    先客達:「は、はは……承知してますとも」
    GM:……さて。
    GM:あなた達のおかげで、今宵の主催者は上機嫌のようだ。多少の〝タブー〟に触れても癇癪を起こさない。
    GM:だから晩餐会は、至って平和に進むだろう。
    GM:参加者は十人少々。あなた達の先客の中にも、結局、フォークを手に取ることが出来ぬままに終わった者はいた。
    GM:……そう簡単にひとは、禁忌を踏み越えられるものではない。
    GM:時折、キッチンからコックがやってきて、水槽から〝追加の肉〟を持って行く。
    GM:けれどもオーヴァードの再生力が故か。〝反撃する意思〟さえ摘み取られていたから、未だ低侵蝕域にある為か。宇都宮 一は生きていた。
    GM:キャスター付きの水槽の中、抉られた頬も埋まって、元の顔に随分近くなった頃合い──
    クリスティーナ・バーンズ:何も言わず、主催者の女が席を立った。
    クリスティーナ・バーンズ:誰が止めるでもないまま、あなた達の背後、廊下に面した扉から部屋を出て、そのまま何処かへ──
    クリスティーナ・バーンズ:がらがらと、水槽を押しながら歩いて行く。
    GM:それと殆ど同時に。
    GM:寒林 鎮歌。あなたに耳打ちする黒服がいる。
    黒服:「クリスティーナ様がお呼びです」
    黒服:「ご足労いただけますね?」
    寒林鎮歌:「……分かりました」否やはない。
    黒服:いただけますか、とは聞かない。そういう質の問いであった。

    GM:ロイス取得のみ!
    寒林鎮歌:クリスティーナ・バーンズ P:親近感/●N:絶対に許さない で!
    天ヶ瀬アマタ:とくになし!
    寒林鎮歌:七枠OKです
    藍谷瑠璃:宇都宮一へのロイスを尽力/〇心配に変えてあります。ケガってレベルじゃないよ!!!
    藍谷瑠璃:これで今後正気に戻れたらそれはそれでしんどいやつじゃん……
    GM:OK!
    藍谷瑠璃:あとアマタマンがぺろっと食べちゃったのでタフだ/〇必要なのはわかるんだけど! にし。
    藍谷瑠璃:おしまい!
    GM:力強くていいな、絶対に許さない
    GM:「タフだ」
    GM:シンプルイズベストだ
    GM:そしてOK!

    シーン7


    GM:PC1のソロシーン……登場侵蝕をどうぞ!
    藤(肉球):寒林鎮歌の侵蝕率を+4(1D10->4)した(侵蝕率:76->80)
    寒林鎮歌:ボーナス!
    GM:ちょうど乗った

    GM:──黒服に案内され、あなたは館の中を少しだけ歩いた。
    GM:建物自体は品が良いかも知れないが、あまり調度品に気を使っている様子は無いように思えた。
    GM:金を掛けていない、とは言わない。相応の見識を持つ人間に任せて、揃えさせてはいるのだろうが、
    GM:この館の調度品には、館の主の思想が無い。
    GM:寝室もまた、同様であった。
    GM:広く大きくはあるが、その実、眠れればいいというだけのベッド。
    GM:机の上には本が数冊、適当に積み上げられていて、椅子の背もたれはコート掛けの代わりになっている。
    GM:〝どうでもいい〟のだろう。
    GM:そういう、ある種の投げやりさを思わせる部屋に招かれたあなたを、
    クリスティーナ・バーンズ:「好きなところに座ってちょうだい」
    クリスティーナ・バーンズ:「床でも椅子でもベッドでも」
    クリスティーナ・バーンズ:ベッドの上で、膝を抱えて座っている女が歓迎した。
    寒林鎮歌:「お招きいただき、恐縮です」手近の椅子に座ります。
    寒林鎮歌:「何か失礼をいたしてしまったでしょうか?」
    寒林鎮歌:「ご気分を害されたなら、申し訳ありません。実際、いつもよりはしゃぎすぎたようです」
    クリスティーナ・バーンズ:ふぅ、と息を吐いて、ぼんやりと虚空に視線を飛ばしている。
    クリスティーナ・バーンズ:目の焦点を何処へも合わせぬまま、視界の端であなたが腰を下ろしたのを見て取り、
    クリスティーナ・バーンズ:「……違うのよ、ただのやきもち」
    クリスティーナ・バーンズ:「あなたが悪いんじゃないわ」
    クリスティーナ・バーンズ:「……いや、悪いのかも。悪いことはしてるわよね、お互いに」
    寒林鎮歌:「……そうですね」
    寒林鎮歌:「私にとって、父と母は生まれた時から、食べるものと食べられるものの関係でした」
    寒林鎮歌:「父が母を殺して、私は解体と料理を手伝って。二人で美味しく食べた日々は、一番幸せな記憶です」
    寒林鎮歌:「母と別れるのは辛かったけれど。なんて言うんでしょうね。卒業式? ああいう感じです」
    寒林鎮歌:「母は、本当に幸せそうでしたから」
    クリスティーナ・バーンズ:「いいなぁ」
    クリスティーナ・バーンズ:「……きっと、すっごく美味しかったんでしょうね」
    寒林鎮歌:「そう言われたのは、正直初めてですね。今まで、ずっと非難されてきたので」少し照れる。本音だ。
    寒林鎮歌:「誰も……分かってくれなかったから」藍谷瑠璃の顔を思い浮かべながら。
    クリスティーナ・バーンズ:「分からないわよ、私だって」
    クリスティーナ・バーンズ:……急に、声が低く重いものになる。
    クリスティーナ・バーンズ:だが、それも僅かな時間のことで
    クリスティーナ・バーンズ:「ね、ね。お父様は? まだ誰かを食べてらっしゃるの?」
    寒林鎮歌:思わず顔が曇る。
    寒林鎮歌:「父は、行方不明です。あの事件からずっと」
    寒林鎮歌:「母を食べ尽くした後、しばらくの間、私は父の手で飼育されました」
    寒林鎮歌:「美味しい体になるように、食事と健康を徹底的に管理されて。私は毎日、食べられるのを楽しみにしていました」
    寒林鎮歌:「最初は左手でした」
    クリスティーナ・バーンズ:「右利きなのね、あなた」
    寒林鎮歌:「ええ。手術だったから、ちっとも痛くなくて」
    寒林鎮歌:「切り落とした私の指先に熱湯をかけて、ペンチで丁寧に丁寧に、愛おしそうに、父は爪を剥がしていきました」
    寒林鎮歌:「腕の肉を切り落としたらマリネ液に漬け込んで、ローストして。あれも美味しかったなあ」
    寒林鎮歌:「残った骨はこんがりローストして、岩塩のスープにしました」
    寒林鎮歌:「その次は左足。剥がした皮はオーブンでカリカリに焼いたおせんべいになって」
    クリスティーナ・バーンズ:じゅる。口の中に湧いた唾液をすする音。
    クリスティーナ・バーンズ:くぅぅ。腹の虫が鳴く。あれほど喰った筈なのに。
    寒林鎮歌:「〝鎮歌にはまだ早いかな。でも、アルコールは飛ぶから〟って言って、ビール煮に」
    寒林鎮歌:「骨は、今度はスープにせず二つに割って、中の骨髄をスプーンですくって食べました」
    寒林鎮歌:「あれは子供だったからよく分からなかったけれど、今食べたらもっと美味しいでしょうね。残念です」
    クリスティーナ・バーンズ:「ねえ、ねえ」
    寒林鎮歌:「はい」
    クリスティーナ・バーンズ:「それで、その後はどうなったの?」
    クリスティーナ・バーンズ:「腕を料理して、脚を料理して。内蔵? 脳? 眼球?」
    寒林鎮歌:「……それが、私にもよく分からないんです」
    寒林鎮歌:「手足が全部無くなって、内臓を取って、舌や頬や目がなくなって」
    寒林鎮歌:「もうどこを取っても死ぬ、そうなった時までの記憶はあります」
    寒林鎮歌:「なのに。気がついたら、父はいなくなって。私は五体満足で病院にいたんです」
    寒林鎮歌:「目が覚めて、最初に思ったのは〝おなかすいたな〟ですよ。笑っちゃいますね」
    寒林鎮歌:「舌がなくなってから、ご飯の味が分からなくなったあたりから。私は怖かった」
    クリスティーナ・バーンズ:「……………………」悲しげな顔。また、くうぅと腹が鳴る。
    寒林鎮歌:「お父さんは美味しい美味しいって言ってくれるけれど、私にはもうそれが分からない。それが悲しくて。かなしくて」
    寒林鎮歌:「どうしてか、私は知らない間にオーヴァードになって、それ以来、父には会っていません」
    寒林鎮歌:「ただ……最後まで、食べて欲しかったな。って。そう思います」
    クリスティーナ・バーンズ:「……お父様、かわいそうね」
    クリスティーナ・バーンズ:涙が一粒、頬を伝う。
    寒林鎮歌:「……っ」目が潤む。こんな話、長いこと誰にもしていなかった。
    寒林鎮歌:警察や叔父に無理やり聞き出されて以来だろう。
    寒林鎮歌:「ここへ来たのは。もしかしたら、父の手がかりもあるかも。って、そういうのもあるんです」
    寒林鎮歌:「でも、会場にはいないみたいでした」
    クリスティーナ・バーンズ:「……ええ。会ったことも無いわ。でも会えたら、聞いてみたかった」
    クリスティーナ・バーンズ:「だって、お話を聞いてるだけでも。本当に美味しそうなんだもの」
    クリスティーナ・バーンズ:「珍しい料理って訳でもないのに。なんでかしら、聞いてるだけでお腹が空くの。絶対美味しいだろうなって分かるの、なのに……」
    クリスティーナ・バーンズ:「お父様は、あなたの心臓を食べられなかったのね」
    寒林鎮歌:ぎゅっと、自分の胸を押さえる。
    寒林鎮歌:「ママの心臓は、とっても美味しかった」聞かせると言うより、独り言のように語る。
    寒林鎮歌:「最初は新鮮なお刺身で。次に焼き肉で。そして甘いアーモンドクリームの煮込みで」
    寒林鎮歌:「体中に血を送るために、働き続けてるあの臓器。あれにしかない歯ごたえと、血の味で」
    寒林鎮歌:「父さんは、これが愛(ハート)の形だよ、なんて。ふふっ」笑みがこぼれる。
    クリスティーナ・バーンズ:「ねえ」
    クリスティーナ・バーンズ:ぎっ
    クリスティーナ・バーンズ:と、ベッドのスプリングを軋ませて、女は床に降りた。
    クリスティーナ・バーンズ:「私、ずっと探してるものがあるの」
    寒林鎮歌:「それは、なに?」
    クリスティーナ・バーンズ:「分からないの」
    クリスティーナ・バーンズ:「それはね、すっごく美味しい食べ物だったんだって言うのは覚えてて」
    クリスティーナ・バーンズ:「いつ、どこで食べたとか。材料はなんだったとか、そういうのは全部覚えてるんだけどね」
    クリスティーナ・バーンズ:「どうしてそんなに美味しかったのか分からないし、どんな味だったかも、ちゃんと覚えてないの」
    クリスティーナ・バーンズ:「……本当に美味しかったのよ。美味しかったことだけ覚えてるのに」
    寒林鎮歌:「夢の中で食べたごちそうみたいですね。美味だった、という感動だけが、ずっと残響している」
    寒林鎮歌:「目を覚ました自分は、残り続ける余韻に聴覚を狂わされるように、なんだか足下がふらついて」
    寒林鎮歌:「無意識のうちに、残響に似た何かにつま先を向けてしまう。そういう強烈な、味の記憶」
    クリスティーナ・バーンズ:「うふふっ……詩人ね、あなた。でも本当にそうなの。夢みたいなのよ」
    クリスティーナ・バーンズ:かくん──と。手の重さに引かれるように、腕が、肩が、低く垂れ下がる。
    クリスティーナ・バーンズ:腕の付け根を起点に、振り子のように腕を揺らし。背中を丸めて、俯いて──口元は笑み。目元に涙。
    クリスティーナ・バーンズ:「でもね、夢じゃないの。それだけは絶対よ」
    寒林鎮歌:? と怪訝な顔。
    クリスティーナ・バーンズ:「だって、食べ残しはね。お腹だけ、お行儀悪く穴が空いてた残りはね」
    クリスティーナ・バーンズ:「ちゃんと、お母さんの顔をしてたのよ」
    寒林鎮歌:どことなく、それは予機した答えではあった。
    クリスティーナ・バーンズ:「臭み抜きなんてしてないし、火も通してないし。痩せてて、歳を取ってて、お肌もかさかさで」
    寒林鎮歌:「ああ……だから、さっき」腸内を空にしていないのか、という質問への返事を理解する。
    クリスティーナ・バーンズ:「食べ残しをちょっと齧ってみたらね、やっぱり全然美味しくないのよ」
    クリスティーナ・バーンズ:「なんでかなって、ずっと、ずっと考えてたわ」
    クリスティーナ・バーンズ:「どんな風に料理をしたら美味しくなるだろう。料理はプロに任せた方が良いって言われたから、雇ったわ」
    クリスティーナ・バーンズ:「ただ食べるだけじゃ美味しくないって言われたから。下ごしらえまできちんとするようにしたわ」
    クリスティーナ・バーンズ:「こう言うひともいるのよ。〝自分で殺したから美味しいんだ〟って。〝手間を掛けて殺すから美味しい〟って言うひとも」
    クリスティーナ・バーンズ:「ぜんぶ、ぜんぶ試したけど、ぜんぶ違ったの。美味しいけど──」
    クリスティーナ・バーンズ:ゆら、と体が左右に揺れる。揺れと共に半歩ずつ、じわりじわりと進み始める。
    クリスティーナ・バーンズ:「美味しいけど、あんなものじゃない! もっと美味しかったの、なんで分かってくれないのよぉ!」
    クリスティーナ・バーンズ:……〝子供の癇癪〟の叫び声は、廊下に反響する程の声量であった。
    寒林鎮歌:「……そう」らん、と目が光る。
    寒林鎮歌:「だから、ずっとこういうこと、していたのね」
    クリスティーナ・バーンズ:「あなただけ、ずるい」
    クリスティーナ・バーンズ:「もう私は、お母さんを食べたり出来ないのに」
    クリスティーナ・バーンズ:「あなただけはずっと、どれだけ美味しかったかを覚えてられるなんて」
    寒林鎮歌:「ずるい? 当たり前じゃない」
    寒林鎮歌:「〝親が子を食べさせる〟って言うでしょう? 養って、育てて。食べさせてもらうことって、すごいのよ」
    寒林鎮歌:「でも、ねえ。あなた——食べ物にちゃんと感謝したこと、ある?」
    寒林鎮歌:「動画に残っていたパーティーはとても食べ物に感謝している様子じゃなかったわね、お前」
    寒林鎮歌:ぎらりと。油のように、ギトギトとした憎悪で語調が光る。
    クリスティーナ・バーンズ:「それが、なんなの」
    寒林鎮歌:さっきまで淡々と、いっそおしとやかだった声音が、今は侮蔑に満ちていた。
    寒林鎮歌:「食の基本も知らないの? 下品な女」
    寒林鎮歌:「命をもらうこと。相手の命を自分のものにして、ずっとずっと育んでいくこと。生きることの根源よ」
    寒林鎮歌:「お前が美味しかったママの味は、お前を生かす命の味に他ならない!」
    寒林鎮歌:「ただの飽食が! 悪食が! その程度のクッッッッセェドブ以下の料理が! 命の味にかなうわけねえ——だろ、バァ——————カ!!!」
    クリスティーナ・バーンズ:だらりと下がった両手が、どちらも硬く握りしめられる。
    クリスティーナ・バーンズ:ぎゅうっと拳をつくって、それでも足りずに爪が掌に食い込む。指先が掌を貫通して骨に届く。
    クリスティーナ・バーンズ:総身を震わせて、女は、
    クリスティーナ・バーンズ:「……なんでそんなこと言うのよ」
    クリスティーナ・バーンズ:「なんでそんな酷いこと言うのよ……!」
    クリスティーナ・バーンズ:子供のように泣いていた。
    クリスティーナ・バーンズ:……子供なのだろう。
    クリスティーナ・バーンズ:言葉を覚えても。戦う術を覚えても。体が大きくなっても。
    クリスティーナ・バーンズ:この女の時間は、はじまりの日から先に進んでいない。
    寒林鎮歌:「お前がきちんと、食に感謝していただいているなら、私だって文句はないさ」
    寒林鎮歌:「相手の了解を取って、苦しまないように殺して、きちんと調理して、衛生管理もして」
    寒林鎮歌:「〝美味しい〟ってのは、幸せってことだよ、クリスティーナ・バーンズ」
    寒林鎮歌:「食べる側にとっても、食べられる側にとっても、例えば飢えた極限での、致し方ない行為であっても」
    寒林鎮歌:「食べられたくないものだって、食べるために殺されるぐらいなら、せめて美味しいと思ってもらわなくちゃ、損だ」
    寒林鎮歌:「だって、食べる側には、責任があるだろ。殺して、いただいて、しかもそいつの命を持ってその先を生きていくんだからさ」
    寒林鎮歌:「だから私は、お前が生きながら人をなぶり殺して食うことを、認めない」
    寒林鎮歌:「〝食べ物で遊んじゃいけません〟って言うだろ」
    クリスティーナ・バーンズ:「うるさい、うるさいうるさいうるさいっ!」
    クリスティーナ・バーンズ:「そんなルール知らない! 聞いたこともないもの!」
    寒林鎮歌:「チッ!」
    寒林鎮歌:「聞き分けのねえバラガキが」
    クリスティーナ・バーンズ:「〝美味しい〟より大事なことって何なのよぉっ!!」
    寒林鎮歌:大きく開いたその口に、自分の手を突っ込む。
    クリスティーナ・バーンズ:「──むぐっ!?」
    寒林鎮歌:「なら食えよ、クリスティーナ・バーンズ。私の血を、肉を」
    寒林鎮歌:「お前と私じゃ、〝美味しい〟の定義が違うみたいだ。この世は弱肉強食。なら、殺し合おう?」
    クリスティーナ・バーンズ:目を見開いて、白黒させて、口から伸びる腕を見る。何が起こったのか分からないという顔をして、だが。
    クリスティーナ・バーンズ:食えと言われたのだ。躊躇うことなど無い。
    寒林鎮歌:「私は草食動物じゃない。肉食動物でもない。吸血鬼でも食人鬼でもない。でも、……」
    寒林鎮歌:ぎちりと、手に食い込む歯の痛み。皮膚を破られ、肉を抉る痛みを堪えて。
    寒林鎮歌:「私が勝ったら、お前を食う。私が負けたら……お前が美味しいと思うよう、好きにしな」
    寒林鎮歌:「来いよ、餓鬼!」
    クリスティーナ・バーンズ:がしゅっ
    クリスティーナ・バーンズ:──その歯は、鉈のように容易く、あなたの骨をも断ち割って指を食い千切るだろう。
    クリスティーナ・バーンズ:衝動は飢餓。〝喰う〟為に特化したオーヴァード。
    クリスティーナ・バーンズ:口の中に残された指を、女は易々と噛み砕いて飲み込み──
    クリスティーナ・バーンズ:「……いじわる」
    クリスティーナ・バーンズ:「全然、ちっとも、美味しくないじゃない」
    寒林鎮歌:「調理のレパートリーはあるんだろ。いくらでもやってみな」
    寒林鎮歌:〝イート・ミー〟。衝動は自傷。〝食われる〟ことに焦がれる、人を食ったオーヴァード。
    寒林鎮歌:この気持ちは、いつか父にすべて食べてもらうため。だから……こんなところで、食われる訳にはいかない。
    寒林鎮歌:背水の陣が、今開く。
    クリスティーナ・バーンズ:骨の破片を床に吐き捨てる。〝ごちそうさま〟も言わないで
    クリスティーナ・バーンズ:闘争の原初の形の一つ。
    クリスティーナ・バーンズ:〝喰うか喰われるか〟。

    GM:ロイス取得のみ可能。
    寒林鎮歌:ロイスはなし!
    GM:OK!

    クライマックス


    GM:全員登場!
    藤(肉球):寒林鎮歌の侵蝕率を+4(1D10->4)した(侵蝕率:80->84)
    天ヶ瀬アマタ:98+1d10
    DoubleCross : (98+1D10) → 98+6[6] → 104

    藍谷瑠璃:1d10+79
    DoubleCross : (1D10+79) → 8[8]+79 → 87

    藍谷瑠璃:2シーン続けて高いの、ステイしすぎたのでは

    藍谷瑠璃:どかん、と音が響く。開いたドアに刻まれた足型。
    藍谷瑠璃:立っているのはもちろん藍谷だ。鍵がかかっている可能性も考えて、全力で蹴り開けた。
    藍谷瑠璃:「はあい、ノックは必要だったかな?」しゃれを忘れた瞬間死ぬのでこういうこと言う
    藍谷瑠璃:返事を待たずに部屋の様子を見て、寒林さんの手がひどい事になっているのに気付きます。
    藍谷瑠璃:「ちょっと、その手!?」自分から食べさせたとは思わないので許せないゲージがさらに上がりました。
    寒林鎮歌:「ああ、これはお駄賃みたいなものだから」無事な方の手をひらひらふって。
    寒林鎮歌:「ところで、下見えてるけど、いいの?」指さし指摘。
    クリスティーナ・バーンズ:「……!」ぴく、と肩が動く。振り向こうとはせず、そのままベッド側に飛び退いて、乱入者と寒林を同時に視界に収める位置に。
    寒林鎮歌:いいつつ自分も色留め袖の裾を破く。
    藍谷瑠璃:慌てて足を降ろしてから思いなおして「……今気にしてても仕方ないから、後で!」頭ひっぱたいたら見た人の記憶が消せないかと本気で思っているぞ!
    天ヶ瀬アマタ:「おや」
    天ヶ瀬アマタ:開け放たれた扉の前に、黒い影が一つ。
    天ヶ瀬アマタ:「おやおやおや」
    天ヶ瀬アマタ:べっとりと、返り血に塗れている。
    天ヶ瀬アマタ:「先についていましたか、ならばよし」
    天ヶ瀬アマタ:「ここに来るまでに、皆さんの抵抗が激しかったもので出遅れてしまいました」
    寒林鎮歌:あーあ、という顔で天ヶ瀬を一瞥し。無言。
    クリスティーナ・バーンズ:「……一人はさておいても」
    クリスティーナ・バーンズ:「二人は〝こちら側〟の臭いだったけれど……そう」
    寒林鎮歌:「そりゃ殺されそうになったら、死に物狂いで抵抗するでしょうよ」思わずつっこんでしまった。
    天ヶ瀬アマタ:「ワーディングでも気絶せず抵抗する方が多かったものですから……時間がかかりましたよ」
    天ヶ瀬アマタ:「?」
    藍谷瑠璃:「さっすが、仕事が早い早い」
    寒林鎮歌:「? じゃねーよ!」
    藍谷瑠璃:「えっころされ」そこまでやったんですかの視線が飛びます
    天ヶ瀬アマタ:「大人しく投降してくれれば殺さずに済んだんですが……僕の……ッ、不徳のいたすところです……!」
    天ヶ瀬アマタ:左手で顔を覆う。下の表情は分からない。
    クリスティーナ・バーンズ:「敵だったのね」子供の癇癪が収まり始めている。傭兵の冷徹な顔が表出する。 
    クリスティーナ・バーンズ:「皆殺しは楽しかったかしら」
    寒林鎮歌:(うさんくせえ……)一切信頼していないコールド目線。
    天ヶ瀬アマタ:「……」
    クリスティーナ・バーンズ:「私の大事なお客様に、コックに……生き残りはいる?」
    クリスティーナ・バーンズ:「また一から集めるの、とっても大変なのよ」
    天ヶ瀬アマタ:ため息をつく。
    天ヶ瀬アマタ:「やだなあ」
    天ヶ瀬アマタ:「僕は正義と自由のUGNエージェント」
    天ヶ瀬アマタ:「無抵抗の相手をなぶり殺す悪趣味な連中と一緒にしないでいただけますかね?」
    天ヶ瀬アマタ:「生き残りは居ます。おそらく後方部隊が確保していることでしょう」
    天ヶ瀬アマタ:「良かったですね……」
    天ヶ瀬アマタ:満足げに頷く。
    クリスティーナ・バーンズ:「〝抵抗があれば嬲り殺していい〟という理屈は通らないのよ、悪人さん」
    クリスティーナ・バーンズ:「……けど、そう。UGNかぁ……派手にやり過ぎたのかしらね、やっぱり」
    クリスティーナ・バーンズ:「それともただ。ただ、運が悪かったのかしら」
    寒林鎮歌:「ほんと、よく今まで見つからなかったわね」
    藍谷瑠璃:「抵抗が無ければやっていいって理屈も通りませんよ」
    天ヶ瀬アマタ:「人間面もできなくなっちゃあおしまいだぜ、ケダモノ」
    天ヶ瀬アマタ:瞳がボゥっと赤く光る。
    天ヶ瀬アマタ:「踊ろうか、人でなし共の舞踏会だ」
    寒林鎮歌:「ンエェ……それ、藍谷さんと私も入ってんの?」舌打ち。
    藍谷瑠璃:「似たようなものでしょ、あたしは否定できないよ」“殺さないけど生まれてきたことを後悔するくらい痛めつける”方向だったらたぶん諸手を上げて賛成していただろうから。
    クリスティーナ・バーンズ:「お生憎様──うちは晩餐会専門よ。ダンスホールは無いの」
    クリスティーナ・バーンズ:コートの袖で頬の涙後を拭いながら──脚が、壁の一点を押し込んだ。
    クリスティーナ・バーンズ:洋館の中に鳴り響くブザー。……クリスティーナの寝室を目指して、近づいて来る気配が複数。
    GM:……直ぐにも気配の主の、正体が明らかになるだろう。
    GM:それは少し、クリスティーナに似ている少女達だった。
    寒林鎮歌:なんだと
    GM:皆一様に、日の光を知らない白い肌。食べる為の肉がちゃんと残るように計算された体格。
    GM:少女達の顔に、それぞれの差異は無い。
    GM:一番先にそれが何かを理解するのが、おそらくは天ヶ瀬アマタだろうとして、
    GM:その材料が何であるかを理解するのは、きっと寒林 鎮歌だけだ。
    天ヶ瀬アマタ:無論そうだ。キラリと目を光らせる。
    GM:クローンの少女が四人。
    GM:クリスティーナの傍に立つ。
    GM:……さて。此処で一つ、困ったことがある。
    GM:彼女達には名前が無いのだ。
    GM:管理番号程度のものはあるだろうが。それでは些か分かりづらいな。
    GM:うむ。
    GM:こうしよう。
    エンゲージ

    クリスティーナ・バーンズ[0]
    〝砂糖菓子の造花〟[6]
    〝レッド・ホット・ブラッド・スープ〟[8]
    〝マドモワゼル・フュメ〟[7]
    〝冷たい骸のソルベ〟[8]

    5m

    寒林鎮歌[10] 藍谷瑠璃[5] 天ヶ瀬アマタ[5]

    寒林鎮歌:フルコースだ
    藍谷瑠璃:あー、なるほど!
    天ヶ瀬アマタ:ひょー!
    GM:アミューズやサラダは省略したコースだが、
    GM:ご堪能いただければ幸いだ。
    寒林鎮歌:スープが二つにデザート類が二つ。じゃあメインは私たちと彼女か。
    藍谷瑠璃:なるほどなあ
    GM:さあ御覧あれ。この部屋こそが皿の上。
    GM:死んだり殺されたり、喰ったり喰われたり。そういう原始的な争いの舞台だ。
    GM:けれども、ほんのひとさじの調味料分だけ文明的。
    GM:調味料の名前はきっと、哲学なのだろう。
    GM:そして哲学を理解できない子供は、〝前菜〟に囲まれて牙をむく。
    GM:腹が減った。美味しい物が食べたい。
    GM:その思いだけで狂った女の衝動が、波となってあなた達を打つ!
    GM:衝動判定、目標値は9!
    寒林鎮歌:思い出の一品! パパとママの結婚指輪、一つの鎖でつないだペンダント。
    寒林鎮歌:懐に入れたそれを握りしめて、判定します。
    寒林鎮歌:(1+2)dx+1@10>=9 <意志>
    DoubleCross : (3R10+1[10]>=9) → 9[3,5,9]+1 → 10 → 成功

    藍谷瑠璃:3dx>=9 まーダイスボーナスもあるしいけるでしょう、たぶんきっと
    DoubleCross : (3R10[10]>=9) → 8[5,6,8] → 8 → 失敗

    寒林鎮歌:OK
    藍谷瑠璃:いちたりない!
    天ヶ瀬アマタ:6dx+1>=9
    DoubleCross : (6R10+1[10]>=9) → 10[2,3,4,8,10,10]+10[5,10]+2[2]+1 → 23 → 成功

    寒林鎮歌:アマタマンなんでそんなに回ってんの!
    天ヶ瀬アマタ:見せちまったなあ……エージェントの《意思》をさあ
    藤(肉球):寒林鎮歌の侵蝕率を+8(1D10->8)した(侵蝕率:84->92)
    藤(肉球):寒林鎮歌の侵蝕率を+1(1D10->1)した(侵蝕率:92->93)
    寒林鎮歌:ふう、まだ100いかないか
    藍谷瑠璃:2d10+87
    DoubleCross : (2D10+87) → 14[7,7]+87 → 101

    天ヶ瀬アマタ:104+2d10
    DoubleCross : (104+2D10) → 104+11[6,5] → 115

    藍谷瑠璃:あ、ぴったり
    GM:格差よ

    ラウンド1



    GM:セットアップ!
    藍谷瑠璃:冷静さの差が出ましたね
    クリスティーナ・バーンズ:ない! 子分達も無し!
    藍谷瑠璃:なし!
    寒林鎮歌:うーん、さすがに1Rで決着はつかんだろうし。セットアップはもう少し見送って、何もなし。
    天ヶ瀬アマタ:ないよ~
    寒林鎮歌:藍谷ちゃんが正気の時に花嫁もらいたいしね
    GM:では
    GM:イニシアチブで
    クリスティーナ・バーンズ:使わせてもらおう《加速する刻》
    クリスティーナ・バーンズ:まずはマイナーアクション、《赫き剣》+《破壊の血》
    寒林鎮歌:ひゃい
    藍谷瑠璃:げえっ早い
    天ヶ瀬アマタ:ぴえん
    クリスティーナ・バーンズ:HPを16消費して攻撃力43、ガード値5の武器を作成します
    クリスティーナ・バーンズ:メジャーアクション、《コンセントレイト》+《渇きの主》+《血の宴》+《瞬速の刃》
    藍谷瑠璃:たっか
    クリスティーナ・バーンズ:〝砂糖菓子の造花〟、〝レッド・ホット・ブラッド・スープ〟〝マドモワゼル・フュメ〟〝冷たい骸のソルベ〟を対象に攻撃だ。
    寒林鎮歌:ん? 自分の従者を?
    クリスティーナ・バーンズ:11dx7+10 命中
    DoubleCross : (11R10+10[7]) → 10[1,2,2,4,5,6,6,8,8,8,10]+10[5,5,6,10]+6[6]+10 → 36

    GM:攻撃対象はイカサマで、装甲0ガード値0のガードでリアクション統一
    クリスティーナ・バーンズ:4d10+43 装甲貫通。命中時にHPを28回復する
    DoubleCross : (4D10+43) → 31[9,5,8,9]+43 → 74

    GM:さて、これで同一エンゲージの四人は全滅する
    GM:そして
    〝砂糖菓子の造花〟:《ラストアクション》
    〝レッド・ホット・ブラッド・スープ〟:《ラストアクション》
    〝マドモワゼル・フュメ〟:《ラストアクション》
    〝砂糖菓子の造花〟:《流血の胞子》+《コンセントレイト》。対象は藍谷さん
    寒林鎮歌:ちょw
    藍谷瑠璃:リアクションできませんもんねえ
    〝レッド・ホット・ブラッド・スープ〟:《プラズマカノン》+《コンセントレイト》 対象はアマタマン
    〝マドモワゼル・フュメ〟:《魔獣の衝撃》+《コンセントレイト》 対象は寒林さん
    〝砂糖菓子の造花〟:7dx7
    DoubleCross : (7R10[7]) → 10[2,3,3,6,7,7,10]+4[1,3,4] → 14

    〝レッド・ホット・ブラッド・スープ〟:7dx7
    DoubleCross : (7R10[7]) → 10[2,4,6,7,7,10,10]+10[2,6,7,7]+10[5,7]+10[7]+10[10]+10[9]+1[1] → 61

    GM:ん?
    〝マドモワゼル・フュメ〟:12dx7
    DoubleCross : (12R10[7]) → 10[2,3,3,4,5,5,6,6,6,9,9,10]+10[2,4,8]+10[8]+4[4] → 34

    GM:処理が長くなってすまなかった……リアクションをどうぞ!
    寒林鎮歌:藍谷さんにだけ優しくない?
    天ヶ瀬アマタ:笑ってしまう面白すぎる
    寒林鎮歌:(4+2)dx+0@10>=34 <回避> きえーっ
    DoubleCross : (6R10+0[10]>=34) → 10[2,3,4,8,9,10]+4[4] → 14 → 失敗

    藍谷瑠璃:暴走中なのでリアクション不可! 命中です!
    天ヶ瀬アマタ:5dx
    DoubleCross : (5R10[10]) → 10[1,4,5,9,10]+9[9] → 19

    寒林鎮歌:もうちょっとだったんだけどなー
    天ヶ瀬アマタ:まあ回避無理です
    GM:では
    〝砂糖菓子の造花〟:藍谷さんには邪毒5をプレゼントだ。クリンナップのたびに15点ずつダメージだよ
    〝レッド・ホット・ブラッド・スープ〟:7d10+20 装甲ガード有効
    DoubleCross : (7D10+20) → 38[10,4,5,1,4,4,10]+20 → 58

    天ヶ瀬アマタ:死!
    藍谷瑠璃:15点! その程度で止められると思うなだぜ……!
    〝マドモワゼル・フュメ〟:4d10+5 装甲ガード有効
    DoubleCross : (4D10+5) → 26[8,2,10,6]+5 → 31

    寒林鎮歌:なんと鎮歌、まだリザレクトできるんですねえ!
    天ヶ瀬アマタ:御鳴ちゃんロイスを昇華! 精々幸せになりやがれ!
    藤(肉球):寒林鎮歌の侵蝕率を+6(1D10->6)した(侵蝕率:93->99)
    寒林鎮歌:すごい! もう一回リザレクトできるよ!(その前にエフェクト使うけどな)
    GM:ではちょっとだけ演出!
    クリスティーナ・バーンズ:──がっ。
    クリスティーナ・バーンズ:手を大きく左右に広げ、傍に立った〝同じ顔の少女達〟を腕の中へ引き寄せた。
    クリスティーナ・バーンズ:その次の瞬間、少女達の体──クリスティーナに触れられていた箇所が抉れて消える!
    GM:首を、肩を、一瞬で致命傷になるまでえぐり取られた少女達はだが、絶命の間際、あなた達へ牙を向ける。
    GM:毒の体液の霧が、血を燃料として燃え上がる火球が、もはや破壊力さえ伴う断末魔の悲鳴が!
    天ヶ瀬アマタ:超高熱の火球が胸を抉る。
    寒林鎮歌:「ぐっ……!」ばっと耳を塞ぎ、口を開く。
    天ヶ瀬アマタ:ブスブスと煙を上げながら、ヘラヘラと笑みを浮かべている。
    藍谷瑠璃:肌の焼ける感覚。息苦しさ。熱。
    天ヶ瀬アマタ:今確実に死んだ。そう、命を捨てて殺しに来た。
    寒林鎮歌:地雷を前にした時の対処と同じ。外から大きな衝撃波を受けた時、口を閉じていると、行き場のない空気が鼓膜を破る。
    寒林鎮歌:だが——この衝撃波の前には無意味だった。ばつん! ばつん! と、細胞の一つ一つがはぜる感覚がして、血がしぶく。
    天ヶ瀬アマタ:そんな異常な命たちに、その存在に、高揚を禁じ得なかった。彼の中のレネゲイドがざわりと高ぶる。
    藍谷瑠璃:こみ上げる灼熱は後で血でも吐くことになるのか。
    藍谷瑠璃:それがどうした。——それが、どうした……!
    寒林鎮歌:ばん! と叩きつけられるように、地へ倒れ伏す。即座に始まる再生。リザレクト。
    寒林鎮歌:まったくレネゲイドというやつは、どこから自分の血肉を持ってくるのだろう?
    藍谷瑠璃:——こうなってまで自分の味方をしてくれるこを、こいつは平気で傷つける!
    寒林鎮歌:もしかしたら、彼らは父や母の血肉がどこにあるかも、知っているんじゃないか?
    藍谷瑠璃:「なんって、ことを……っ!」
    寒林鎮歌:生まれたてのような桃色の肌と見ながら、そんなことを思ってしまう。「……ったく」
    寒林鎮歌:「本当に、下品」
    クリスティーナ・バーンズ:「美味しいのに」
    GM:では、行動値順。行動値10,寒林さんの手番!
    寒林鎮歌:「あんたとは舌が違う」
    寒林鎮歌:ちらりと、藍谷さんの様子を見る。少しおかしいのは、レネゲイドのざわめきに気を取られているからか。
    寒林鎮歌:(あの子の血をもらうのは……今はアテにできない、か)
    寒林鎮歌:まずは自分の力だけで。それで事が済めば、御の字だ。
    寒林鎮歌:あれ、クローン四体ってラストアクションしたから、全員戦闘不能ってことでOK?
    GM:四体全部戦闘不能、うち四体だけラストアクションというちょっとわかりにくい奴だぜごめんなさい!
    GM:うち三体だけ
    寒林鎮歌:はーい。砂糖菓子は生きてますね。うーん、でもここは本体を殴ろう。
    寒林鎮歌:対象、クリスティーナ・バーンズ。
    GM:あ、全部戦闘不能になっただけなので生きていると言えば生きてるし、行動可能なのはクリスティーナのみです。
    寒林鎮歌:コンボ|おまえをくらう(侵蝕5)>コンセントレイト:エグザイル+貪欲なる拳
    寒林鎮歌:なるほどトドメを刺せると。
    寒林鎮歌:(4+2+0+4)dx+1@8
    DoubleCross : (10R10+1[8]) → 10[1,2,4,4,5,6,7,8,10,10]+10[3,6,9]+6[6]+1 → 27

    寒林鎮歌:良い殺意だ。
    寒林鎮歌:侵蝕99→104
    クリスティーナ・バーンズ:これは……普通にガード、ガード値は5!
    寒林鎮歌:ではガード装甲有効で、ダメージロール。
    寒林鎮歌:3D10+6
    DoubleCross : (3D10+6) → 28[9,9,10]+6 → 34

    藍谷瑠璃:えっ高い!
    GM:殺意が高い
    クリスティーナ・バーンズ:29点通し……だが、流石にまだまだ元気だ!
    寒林鎮歌:演出いきます。
    寒林鎮歌:「さっきから囓られっぱなしってのも、不公平だよね」
    寒林鎮歌:ひゅん! ワイヤーウィップを解き放つ。
    寒林鎮歌:虚空に伸びる手は渇望。自分ではない命を求める、飢えた幼子のすがりつく指。
    寒林鎮歌:それだけでは届かない手が、関節を外し、腱と皮膚を伸ばし、蛇のような異形の動きに、人間のような道具を使う知恵持たせ。
    寒林鎮歌:ひょうっと放たれたワイヤーが、女の肩口を貫通する。
    寒林鎮歌:貫き、うがち、巻き付き、絞り、ちぎって、削って、まるで獣のあぎとのように、左の肩口をまるごと抉る!
    クリスティーナ・バーンズ:皮膚の感触は人間と一緒で、肉の感触は人間と一緒で、骨の硬さも人間と一緒だった。
    クリスティーナ・バーンズ:肉の塊に少しの骨がくっついたまま、女の肩がむしり取られる!
    クリスティーナ・バーンズ:「ぐ──うううぅっ!」
    クリスティーナ・バーンズ:傷口は修復こそ始まるが──それはあなた達のような、元の形へ戻るリザレクトではない。
    クリスティーナ・バーンズ:ぼこぼこと、湧いた湯の表面の気泡のように肉が生えて、女の傷は修復される。
    GM:では
    GM:行動値5の二人どちらか!
    天ヶ瀬アマタ:じゃあ行くぜ!
    藍谷瑠璃:靴を床に叩きつけて先に動こうとするんですが、ここはアマタマンに譲ります
    藍谷瑠璃:げきおこなので周りが見えてないのだ
    天ヶ瀬アマタ:「一秒、待ちなさい」
    天ヶ瀬アマタ:その言葉と同時に一歩前に出る。
    天ヶ瀬アマタ:マイナーアクションで移動
    天ヶ瀬アマタ:1m先に出ます。
    天ヶ瀬アマタ:メジャーアクション
    天ヶ瀬アマタ:コンボ「殺戮刃空“死憑雨《シノツキサメ》”」
    原初の赤:サイレンの魔女+原初の灰:鮮血の修羅+リミットブレイク(巨人の影)

    天ヶ瀬アマタ:対象はクリスティーナ・バーンズ、〝砂糖菓子の造花〟、〝レッド・ホット・ブラッド・スープ〟、〝マドモワゼル・フュメ〟、〝冷たい骸のソルベ〟
    天ヶ瀬アマタ:合わせて五体のキャラを指定
    寒林鎮歌:トドメだ……
    天ヶ瀬アマタ:無論、トドメを刺すことを宣言します
    天ヶ瀬アマタ:判定よろしいでしょうか
    GM:ほう、本当にいいのかな……?
    寒林鎮歌:わあこわい
    天ヶ瀬アマタ:もしかしたらね
    天ヶ瀬アマタ:改造されたりとか操られたりする子とかも居るかもしれないし
    天ヶ瀬アマタ:実は宇都宮さんを助けるのに必要な存在なのかもしれないが
    天ヶ瀬アマタ:後ろに暴走している子が勢い余って殺すくらいなら……罪は俺が被っていく~~~~~~~~~~~!
    天ヶ瀬アマタ:というわけでやります
    天ヶ瀬アマタ:※後ろに→後ろで
    GM:要は殺したいんだろ!
    GM:来いやぁ!
    天ヶ瀬アマタ:分かってらっしゃる
    天ヶ瀬アマタ:7dx+9 RC
    DoubleCross : (7R10+9[10]) → 10[1,2,3,3,5,5,10]+3[3]+9 → 22

    天ヶ瀬アマタ:念の為
    天ヶ瀬アマタ:妖精の手
    天ヶ瀬アマタ:115→120
    寒林鎮歌:来たぁ
    天ヶ瀬アマタ:1dx+29
    DoubleCross : (1R10+29[10]) → 7[7]+29 → 36

    天ヶ瀬アマタ:達成値36です
    GM:えーとね、
    GM:死人連中は死んでるのでそのままとどめを刺されて
    クリスティーナ・バーンズ:やはりガード。ガード値は5だ
    天ヶ瀬アマタ:よーしダメージだ!
    GM:それから
    GM:適用直前であってたか
    クリスティーナ・バーンズ:ラウンド1回の《斥力障壁》をここで使う!
    天ヶ瀬アマタ:おおおおお!?
    クリスティーナ・バーンズ:1d10+21 ダメージ軽減量
    DoubleCross : (1D10+21) → 4[4]+21 → 25

    寒林鎮歌:ぬうん
    クリスティーナ・バーンズ:ガードと合わせて30減らすぜ……来いやぁ!
    天ヶ瀬アマタ:セエエエエエエエエエフ!
    天ヶ瀬アマタ:24+4d10 装甲無視
    DoubleCross : (24+4D10) → 24+21[7,1,7,6] → 45

    クリスティーナ・バーンズ:届くんだもんなぁ
    寒林鎮歌:そうか、ノイマン入っているのはクローンだから、彼女はバロールブラムなんだね
    天ヶ瀬アマタ:出目次第では危なかった
    GM:いえす
    天ヶ瀬アマタ:スキを生じぬ二段構えなんですよね
    GM:クリスティーナのクローンではないからね
    GM:では……15点が通る!
    天ヶ瀬アマタ:まず侵蝕をコンボ分あげます
    天ヶ瀬アマタ:つまり鮮血の修羅が効く!
    天ヶ瀬アマタ:120→138
    藍谷瑠璃:ヘルコンボが入った
    天ヶ瀬アマタ:《巨人の影》発動
    天ヶ瀬アマタ:ダメージを与えたのでシーン中は《鮮血の修羅》Lv6→Lv8に上昇させます
    天ヶ瀬アマタ:クリンナップにはHP80ロスじゃあ!
    天ヶ瀬アマタ:では演出よろしいか!
    GM:OK
    GM:そして先に言っておくが
    GM:そんなくらったら流石に消し飛ぶわい!
    天ヶ瀬アマタ:まあ……
    寒林鎮歌:きゃは
    天ヶ瀬アマタ:    
    天ヶ瀬アマタ:「フルコースの筈がとんだビュッフェスタイルでしたね。もうお腹がいっぱいだ」
    今回、天ヶ瀬アマタは刀を持ってきていない。不要だからだ。
    彼の能力とはすなわち“触れれば死ぬ光”の放出。剣を振ることで斬撃を射出したように見せかけていたにすぎない。
    その光は室内を容赦なく包み込み、天ヶ瀬アマタが殺すと判断した者の“因果”に影を落とす。
    まるで、オルクスシンドロームかなにかのように。

    天ヶ瀬アマタ:「そこで、まずお礼にそちらのお嬢様がたに死をくれてやりましょう」
    天ヶ瀬アマタ:「哭け──死憑雨《シノツキサメ》」
    真紅の光が一瞬でその場に居た全員の視界を包み込む。
    光が消える。そして異変が起きる。
    失血死、窒息死、圧死、縊死、ショック死、爆死、病死、老死、餓死、焼死、水死、中毒死、凍死、扼死。
    クリスティーナたちの身体を突如襲ったのはレネゲイドにて再現される無数の死。死する度にレネゲイドが賦活され身体が一部再生し、与えられる再度の死。
    炎熱が冷気が吐き気がだるさが激痛が内部からの発熱が痺れが呼吸苦がプチプチと肉が潰れる音が聞こえ老化か貧血か足元はふらつく。
    幾度も、幾度も、幾度も、それは外科手術のごとき正確さと悪性の病の如き執拗さで繰り返す。
    死が、死が、死が、ありとあらゆる死の形が一瞬で彼女らを包んでいく。
    あるいは肉体の強靭さで耐えることもできたろう。高速で飛び回り天ヶ瀬アマタの引き起こす異常現象を回避することもできたかもしれない。
    しかしそれでもなお、その身がレネゲイドに触れる限り、死は内側から迫ってくる。
    そんな地獄のような有様を見下ろしながら、アマタは滔々と語る。

    天ヶ瀬アマタ:「僕の能力は光を浴びた相手に死因と死を押し付ける。なんでもできるが人殺しにしか使えません。さあ、存分に、召し上がれ」
    これこそ、ウロボロスの万能にも思える力を殺戮のみに費やす天ヶ瀬アマタの異常思考の果てに生まれた力。
    触れれば死ぬ光。
    UGN識別名称『サイレンの魔女』。所属症候群『ハヌマーン』。行使難度『特級』。ウロボロス症候群による模倣難度『超特級』。
    だがこれはそういうものではない。そういう切り分けができるものではない。もっと理不尽で、理解のできないこの世の悪性の一端だ。

    天ヶ瀬アマタ:侵蝕138→141
    GM:全くそれは残酷趣味のオンパレードだ。悪趣味の闇鍋だ。サラダボウルとはとても呼べない。
    GM:サラダボウルなら、まだ野菜が収まっていると思えるだろう。ツナかチキンがちょっと入ってご愛敬。
    GM:これは、人間が消化できるものではない。
    GM:殺すだけならただ殺せばいいのだ。
    GM:愉快な程に多種多様の方法で少女達は死ぬ。血を絞り出されて干からびて、押し潰されて、スルメのようだ。歯ごたえがありそうだな。
    GM:縊死と窒息死の違いに関しての詳細は、私に述べる術が無い。医者に聞け。
    GM:はて。死んだのにまだ終わらない。砕けて、病み、老いて、痩せ細って。食材としての鮮度が落ちていく。
    GM:火が通る。ベリーベリーウェルダン。水につけてももう、水を飲んで溺れ死ぬ機能は無いんじゃないか?
    GM:毒のスパイスをたっぷり利かせてフローズン。最後に首を絞めれば、素敵なデザートのできあがりだ。
    GM:……食べ物を粗末にするんじゃない。
    クリスティーナ・バーンズ:「…………あっ」
    クリスティーナ・バーンズ:多種多様の死を潜り抜けた果てに、その女は呆然と立ち尽くしていた。
    天ヶ瀬アマタ:「失敬、殺人鬼の流儀を通しました」
    クリスティーナ・バーンズ:死を経て心が砕けた──なんて殊勝な生き物ではない。
    クリスティーナ・バーンズ:「……なんてことしたの」
    クリスティーナ・バーンズ:「なんてことしたのよ!」
    クリスティーナ・バーンズ:だん、と床を、駄々っ子のように踏みつけて
    クリスティーナ・バーンズ:「私が食べたかったのにぃ!」
    GM:知っているか? 食い物の恨みは恐ろしい。
    天ヶ瀬アマタ:いやぁああ!
    GM:【クリスティーナ・バーンズの行動ルーチン変更:食事の時間が省略されました】
    GM:では
    GM:行動値同値で5,藍谷さん!
    藍谷瑠璃:「なんてことを?」
    藍谷瑠璃:「なんて、ことを?」
    藍谷瑠璃:あまりといえばあんまりな言葉に笑ってしまう。
    藍谷瑠璃:「はっ、はははっ」
    藍谷瑠璃:マイナー、“タップ”。《インフィニティウエポン》。侵蝕3。
    藍谷瑠璃:“蹴り込むやつ”改め“重い塊”を装備します。
    藍谷瑠璃:「お前が、いうなァッ!」
    藍谷瑠璃:メジャー、“クラッシュ”。《コンセントレイト:ハヌマーン》《音速攻撃》《一閃》、おまけで《砂の加護》。侵蝕10。
    藍谷瑠璃:対象はクリスティナ・バーンズです。
    藍谷瑠璃:えーダイスボーナスが3!
    藍谷瑠璃:砂の加護がレベル上がって+5D!
    藍谷瑠璃:初期ロイスの西明寺あいり:〇友情/劣等感をタイタス化、昇華してC値を下げます。
    藍谷瑠璃:——いまのわたしは、きっとあのこにみせられない顔をしている。
    藍谷瑠璃:(12+3+5)dx6+4 これだけ振れば達成値もすごいことになるでしょ!
    DoubleCross : (20R10+4[6]) → 10[2,2,3,4,4,5,6,6,6,6,7,7,8,8,10,10,10,10,10,10]+10[1,2,4,4,4,4,6,6,7,7,7,8,8,9]+10[2,6,6,7,7,7,8,9]+10[1,3,7,7,8,9,9]+10[3,6,8,10,10]+10[1,10,10,10]+10[7,7,10]+10[4,4,6]+10[7]+4[4]+4 → 98

    GM:うわ
    藍谷瑠璃:ヤバ
    GM:本当にすげえことになった
    藍谷瑠璃:藍谷にこんな達成値出せるとは思ってなかった
    寒林鎮歌:わあお
    GM:C値6でここまで来るか
    クリスティーナ・バーンズ:ガード!
    藍谷瑠璃:えーこんなのガードして耐えられるんですかー
    寒林鎮歌:C2抱のような
    藍谷瑠璃:避けられるかんなモンって話だよ!
    藍谷瑠璃:ダメージ行きます
    藍谷瑠璃:えーと10D+9! 10D……?
    天ヶ瀬アマタ:想いの拳だな
    藍谷瑠璃:10d10+9
    DoubleCross : (10D10+9) → 60[5,8,1,7,8,10,3,5,10,3]+9 → 69

    天ヶ瀬アマタ:キマったーっ!
    GM:64通しで蓄積ダメージ108……これは流石に……死ぬ!
    GM:だから
    クリスティーナ・バーンズ:オートアクション《不死不滅》
    クリスティーナ・バーンズ:侵蝕ボーナスものっけてHP50で復活だコラァ!
    クリスティーナ・バーンズ:……50しかないんだよ
    藍谷瑠璃:へっへっへ、だがきさまもクリンナップまでの命よォー!
    寒林鎮歌:まあそうなるな
    クリスティーナ・バーンズ:ひどくない?
    寒林鎮歌:アージはひどいね
    天ヶ瀬アマタ:悪いなあ~
    寒林鎮歌:アマタマンがやりました
    GM:ということで演出どうぞだぜ
    藍谷瑠璃:貴様は日頃の行いを鑑みるんだなァーッ!
    藍谷瑠璃:あ、ロール行きます
    藍谷瑠璃:頭のどこかで叫び声がする。落ち着けって。
    藍谷瑠璃:冷静でなければどうやって足場を維持する、どうやって相手の隙を見極める? それに。
    藍谷瑠璃:それに。
    藍谷瑠璃:——冷静だったらあのこたちを止められたんじゃないか、助けられたんじゃないか。
    藍谷瑠璃:理性をまとめて黙らせる。ずいぶんと、ともだちの声に似て聞こえた。
    藍谷瑠璃: 
    藍谷瑠璃:あれを許しておけるのか。
    藍谷瑠璃: 
    藍谷瑠璃:今は足も腕もどうなってもいい。
    藍谷瑠璃:ただ踏み込む。
    藍谷瑠璃:まっすぐに、後の事を考えない速さで、踏み込みで脚が折れても構わないくらいのつもりで。
    藍谷瑠璃:あまりの反動に足が折れる。藍谷はそんな力を入れて踏み込むことを想定して鍛えていない。
    藍谷瑠璃:握りこんだ拳に“重い塊”を重ねて叩きつける。
    藍谷瑠璃:殴り方も知らない拳。ただ重ねただけの金属は、もちろん自身をも傷つける。
    藍谷瑠璃:——それがどうした。
    藍谷瑠璃:寿命を迎えた塊が消えて砂へと還る。
    藍谷瑠璃:砕けた拳をぷらぷらと振って見せる。……どうせじき治る。
    藍谷瑠璃:「……さあ、もう終わり?」
    クリスティーナ・バーンズ:肉体を穿つ程の〝打撃〟──鈍器であろうが十分な力と速度を以てすれば、人体の貫通は可能だ。
    寒林鎮歌:(やった……か?)
    寒林鎮歌:様子をうかがいつつ、警戒を解かない。
    クリスティーナ・バーンズ:そうして失われた部位を異形の形で再生しながら──女はまだ、膝をつかずに居る。
    クリスティーナ・バーンズ:「終わりじゃないわよ……」
    クリスティーナ・バーンズ:「だって……だってまだ、ぜんぜん、お腹いっぱいになってないもの……」
    寒林鎮歌:「ンエェ……往生際の悪い……」
    クリスティーナ・バーンズ:「もっと、もっと……食べたい……!」
    天ヶ瀬アマタ:嬉しそうに微笑む。
    天ヶ瀬アマタ:もっと殺せる。
    クリスティーナ・バーンズ:「何処かには有るの、絶対に有る筈なのよ!」
    クリスティーナ・バーンズ:「〝心から美味しいと思えるたべもの〟が!」
    藍谷瑠璃:「そう、じゃあ何度でもやってあげる。してきたことを後悔するまで、何度でも……!」
    GM:……では。
    GM:行動値0、クリスティーナ・バーンズの本来の手番だ。
    クリスティーナ・バーンズ:マイナーは無し。
    クリスティーナ・バーンズ:メジャー、《コンセントレイト》+《紅の刃》+《虚空の陥穽》。RC射撃で対象は寒林さんだ。
    寒林鎮歌:受けましょう
    GM:早い。
    寒林鎮歌:あ、受けて立つって意味で、ドッジとかはします!
    GM:説明しよう。虚空の陥穽とは命中した相手を自分と同一のエンゲージに引きずり込む、範囲白兵にはうってつけのスーパー技なのだ。
    GM:ということで命中判定いきます
    寒林鎮歌:なんて親切な解説なんだ!
    藍谷瑠璃:kowaxtu
    クリスティーナ・バーンズ:8dx7+10
    DoubleCross : (8R10+10[7]) → 10[2,2,2,4,8,9,9,10]+10[3,8,9,9]+10[3,8,8]+10[8,9]+10[7,7]+10[3,7]+10[7]+6[6]+10 → 86

    GM:だからね
    GM:ダイスよ
    寒林鎮歌:(4+3)dx+0@10>=86 <回避> 求められているなあ~
    DoubleCross : (7R10+0[10]>=86) → 7[1,1,4,5,5,6,7] → 7 → 失敗

    寒林鎮歌:どうにもならになあ~
    GM:これで回避されたら一生語り継ぐよ
    クリスティーナ・バーンズ:9d10+13 ダメージ!
    DoubleCross : (9D10+13) → 35[6,6,8,6,1,1,4,2,1]+13 → 48

    寒林鎮歌:キュマイラ特異点PCの素振りで、どうでもいいところでドッジ56出したけれど、それでも足りませんね
    寒林鎮歌:しぬよ!
    寒林鎮歌:宇都宮零路をタイタス昇華して復活します!
    GM:ふふふ……では生き返ったついでに同一エンゲージに入ってもらおう……
    寒林鎮歌:拉致られました。
    寒林鎮歌:攻撃演出に合わせてタイタス演出とかするよ
    GM:おk、では
    クリスティーナ・バーンズ:「あなたも!」
    クリスティーナ・バーンズ:ぐちゃぐちゃに再生した異形の肉片が、体から切り離される。
    クリスティーナ・バーンズ:「あなただったら分かるでしょう!?」
    クリスティーナ・バーンズ:女の体から切り離された肉片は、それ自体が意思を持つ一つの生き物であるかのように床を蠢き、
    クリスティーナ・バーンズ:寒林 鎮歌の体に、あたかも大蛇が如くに巻き付き締め上げながら、その身を食卓へ──即ちクリスティーナ・バーンズの間合いの中へと引きずり込む!
    クリスティーナ・バーンズ:「食べたいものが食べられないのが、どんなに辛いか!」
    寒林鎮歌:「……チッ。そればかりは、〝一緒にすんな〟って言いづらい」
    寒林鎮歌:食べたいもの。あの日の家族の食卓。ママの手料理。
    寒林鎮歌:パパが食べたい。ママが食べたい。パパに食べられたい。ママに食べられたい。
    寒林鎮歌:だけど。
    寒林鎮歌:宇都宮零路。この女に従ったクソな父親と、そいつに食い物にされた宇都宮一。
    寒林鎮歌:「食事の時間は終わりだよ。食べて、ごちそうさまするまでが、お食事だ!」
    寒林鎮歌:身が張り裂け、骨が折れ、内臓が潰れ、何が何だか分からない、甘いのか辛いのか酸っぱいのか分からない体液が、ボトボトと垂れる。
    寒林鎮歌:その全てを無視して、なおも立ち塞がり叫んだ。
    寒林鎮歌:以上です!
    GM:では
    GM:イニシアチブ
    クリスティーナ・バーンズ:《さらなる絶望》
    クリスティーナ・バーンズ:《さらなる絶望》
    クリスティーナ・バーンズ:《さらなる絶望》
    寒林鎮歌:オワー
    寒林鎮歌:まあそりゃ来るよね!
    藍谷瑠璃:もういっかい殲滅できるぜ
    天ヶ瀬アマタ:アマタは喜んでるが今俺は恐怖でないている
    GM:──廊下を馳せる気配。部屋の扉を蹴り開け駆け込む、新たなクローンが三人。
    GM:彼女達にもやはり名は無く、管理番号でのみ呼ばれる存在であるからして、
    GM:このように名前を与えたい
    寒林鎮歌:サイレン、鮮血抜きで撃てる? アマタマン
    天ヶ瀬アマタ:撃てるよぉ~
    藍谷瑠璃:ダメならこっちでギガンティックモード叩き込みますけど、もちろんC下げ込みで
    エンゲージ

    クリスティーナ・バーンズ[0]
    〝偉大なるカッポーニ宮へ捧げる敬意と脳髄〟[8]
    〝ジュー・デ・ガトーショコラ〟[6]
    〝コーヒーをどうぞ〟[8]

    寒林鎮歌[10] 藍谷瑠璃[5]

    4m

    天ヶ瀬アマタ[5]

    GM:では、改めて
    GM:クリンナップだ
    GM:色々の処理をどうぞ!
    寒林鎮歌:私はなし!
    天ヶ瀬アマタ:ではクリスティーナさん!
    藍谷瑠璃:邪毒! 15点受けて健在!
    天ヶ瀬アマタ:HP80ロストしてください!
    天ヶ瀬アマタ:倒れる場合は軽く演出入れます!
    寒林鎮歌:はちじう
    藍谷瑠璃:(37>22)
    クリスティーナ・バーンズ:そら死ぬわさ
    クリスティーナ・バーンズ:だが……ここで終わりと思うな……!
    クリスティーナ・バーンズ:悪あがきの《蘇生復活》!
    クリスティーナ・バーンズ:HP1で生き返るぞ!
    天ヶ瀬アマタ:チィッ!
    天ヶ瀬アマタ:じゃあ特に無し!
    寒林鎮歌:まだそんなものがあったとは——
    GM:OK!
    藍谷瑠璃:灼熱。血を吐く。でも。でもだ。まだあと少し耐えなきゃ。立っていなくちゃ。そうでなければ——
    寒林鎮歌:うーん、斥力障壁を削りきれるかどうかだなこれ
    藍谷瑠璃:藍谷パンチだとC下げて狂ったダメージ出さなきゃ削り切れないかなあ
    寒林鎮歌:まあノーマルコンボで殴って、駄目そうならロイスで火力ブーストしてみよう
    GM:では

    ラウンド2



    GM:セットアップ!
    クリスティーナ・バーンズ:やっぱり無いよ!
    藍谷瑠璃:その手の小細工は……無!
    天ヶ瀬アマタ:こちらもなし!
    寒林鎮歌:セットアップ|サトゥルヌの宴(侵蝕8)>赤き聖餐+血色の花嫁+紅のベーゼ
    寒林鎮歌:対象、藍谷瑠璃
    寒林鎮歌:彼女のHPを30点もらいますが、まあ30ないですね。
    藍谷瑠璃:もってけ!
    GM:無いですね
    寒林鎮歌:HP0で戦闘不能になるので、そこを即座に赤き聖餐で回復。
    寒林鎮歌:結果、藍谷さんはHP10になります。
    藍谷瑠璃:らーじゃ!
    寒林鎮歌:えーつまり、藍谷さんからいただいたHPは22か
    藍谷瑠璃:そうですね、22です
    寒林鎮歌:あ、でももらったのに関わらないですねこれ。鎮歌のHP+30されます。
    寒林鎮歌:さっきロイスで起き上がったので、それと合わせてHP44!
    寒林鎮歌:侵蝕104→112
    寒林鎮歌:演出いきます。
    寒林鎮歌:「藍谷さん……ごめんね」
    寒林鎮歌:らん、と目を輝かせて。「約束通り。あなたをちょうだい」
    寒林鎮歌:くわ、と口を開いて。喉笛に噛みつく!
    藍谷瑠璃:「……おなか壊さないでよ、今毒入りだから」
    寒林鎮歌:「ぐっ……むぐっ……ふっ、うぅ……」
    寒林鎮歌:口の中に脈が伝わる。体温が、息づかいが。命の味が流れ込む。
    寒林鎮歌:ごめんなさい。ごめんなさい。ああ……
    寒林鎮歌:(とても おいしい)
    寒林鎮歌:とろけそうな気持ちで。それでも踏みとどまって。腕の中、力が抜けていく彼女を抱きしめる。
    寒林鎮歌:「こんな毒、ただのスパイス。それより……あなたの命は、返すから」
    寒林鎮歌:鉄と脂と塩。食べ物としてはそれだけの味なのに、どうしてこんなに美味しいんだろう?
    寒林鎮歌:その味わいと香りのそこに漂う命のスープ。それを、自分のどこか得体の知れない感覚が拾って、藍谷瑠璃の体に注ぐ。
    寒林鎮歌:「これで大丈夫なはず。あなたの命(ちから)、もらったから。終わらせるよ」
    寒林鎮歌:そう、宣言した。
    藍谷瑠璃:ふらとよろめいて、それでもしっかり立つ。……登ってた血が抜けてちょっと落ち着いた。
    藍谷瑠璃:「や、よろしくー」へらりとした——いつもの——笑みに戻って、後悔させてあげて、と無事な手を振る。
    GM:イニシアチブ。行動値順。
    GM:行動値10、寒林 鎮歌!
    寒林鎮歌:いきます。対象、クリスティーナ・バーンズ。
    寒林鎮歌:コンボ|カンビュセスの返礼(侵蝕2D10+5)>コンセントレイト:エグザイル+貪欲なる拳+災いの魔剣
    寒林鎮歌:HP残り1点になり、失ったHP分だけ火力を増やして攻撃します。
    クリスティーナ・バーンズ:来い! HPこそ無いが……防御エフェクトとガード値がある!
    寒林鎮歌:ダイスロールの前に、タイタス昇華! クリスティーナ・バーンズのロイスを切り、C-1。
    寒林鎮歌:(4+3+1+4)dx-1@6
    DoubleCross : (12R10-1[6]) → 10[2,2,2,3,4,5,6,7,8,9,9,10]+10[2,4,4,4,7,8]+5[2,5]-1 → 24

    寒林鎮歌:チッ。どうだ!
    クリスティーナ・バーンズ:ガード!
    クリスティーナ・バーンズ:そしてダメージ算出の直前に
    クリスティーナ・バーンズ:《斥力障壁》
    寒林鎮歌:ちなみに私の固定値は+49だ。
    クリスティーナ・バーンズ:1d10+21
    DoubleCross : (1D10+21) → 10[10]+21 → 31

    クリスティーナ・バーンズ:動いた動いた
    クリスティーナ・バーンズ:そして
    寒林鎮歌:むっ、まだ何かあるか……
    クリスティーナ・バーンズ:固定値で死ぬじゃねーかダメージどうぞ!
    寒林鎮歌:せやね! ではダメージ
    寒林鎮歌:3D10+49
    DoubleCross : (3D10+49) → 16[9,2,5]+49 → 65

    寒林鎮歌:はい。
    藤(肉球):寒林鎮歌の侵蝕率を+7(1D10->7)した(侵蝕率:112->119)
    藤(肉球):寒林鎮歌の侵蝕率を+4(1D10->4)した(侵蝕率:119->123)
    寒林鎮歌:123→128 ぐふっ
    寒林鎮歌:お召し上がりになって!
    クリスティーナ・バーンズ:食事の後ならアクアウィターエが有った、が……
    クリスティーナ・バーンズ:復活エフェクトは無し!
    クリスティーナ・バーンズ:撃破、そして戦闘勝利。副産物として死ぬ予定だったクローンが三体生き残ったぞ演出どうぞ!
    寒林鎮歌:「古代ペルシアの王、カンビュセスは、エチオピアへ進軍した際、極限まで飢えたそうよ」
    寒林鎮歌:「彼らは食料を得るため、クジを引いて、当たったものを食べることにした……」
    寒林鎮歌:「生きるための壮絶な抵抗。それでも……そこにだって、きっと食べ物への感謝はあったと私は信じてる」
    寒林鎮歌:「だから」はらりと、髪がほどけ。みるみる白く色を変える。
    寒林鎮歌:父が消えたあの日から、真っ白に色が抜けた髪。今までの色素の薄い髪は、染めていたに過ぎない。
    寒林鎮歌:髪のあわいから現れる、真っ赤なリボン。それは自らの血か肉か、自分自身にも分からなくて。
    寒林鎮歌:ただ、それは。求めている。
    寒林鎮歌:「食べ物に感謝できないやつは」
    寒林鎮歌:「死ね」
    寒林鎮歌:滴を一つ垂らすような、だがありたっけの、重力が狂ったような一言。
    寒林鎮歌:小さく短く重たくうがつ、命のすべてをつぎ込んだ一撃を、女に叩きつける!
    クリスティーナ・バーンズ:みし
    クリスティーナ・バーンズ:踏みとどまる。
    クリスティーナ・バーンズ:渾身の力を込め、己が血で強化した腕でその一撃を受け、
    クリスティーナ・バーンズ:ジャームと化した者に特有の、先の未来を思わぬからこその高出力を以て、女はその一撃をすら耐え凌がんとするも──
    クリスティーナ・バーンズ:「……なんで?」
    クリスティーナ・バーンズ:「なんでなの?」
    クリスティーナ・バーンズ:「そこの女の子……そんなに美味しいの……?」
    クリスティーナ・バーンズ:「ねぇ」
    クリスティーナ・バーンズ:「なんであんなに、幸せそうな顔が出来るのよぉ……」
    寒林鎮歌:「美味しいよ。命は、とても美味しい」
    寒林鎮歌:「食べたいものが食べられない苦しみも、分かるし、知っている」
    寒林鎮歌:「それでも。お前は、命を食い散らかした。食べたいもののために、やっちゃいけないことをした」
    寒林鎮歌:「だから。せめて〝ごちそうさま〟って言うんだ」
    GM:──幸せな時間の象徴とされるものの一つ。食卓の風景。
    GM:家族みんなで集まって、手を合わせて、いろんなものへの感謝の言葉を述べる。
    GM:子供がそれを忘れて、まっさきに箸と茶碗に手を伸ばした時、
    GM:〝それは駄目だよ〟と諭してくれる大人がいるかどうか。
    GM:いや。
    GM:いたかどうか。
    GM:或いは、最初はその程度の違いだったのかも知れない。
    クリスティーナ・バーンズ:誰にも食べてもらえない肉が、骨が、引き裂かれ、砕けて落ちる。散らばる。
    クリスティーナ・バーンズ:ついにクリスティーナ・バーンズは、血みどろの床に倒れ伏す。
    クリスティーナ・バーンズ:「……おなか、すいた……」
    クリスティーナ・バーンズ:「おなか、すいたよ……」
    クリスティーナ・バーンズ:か細い声で繰り返される言葉が、
    クリスティーナ・バーンズ:「おかあさん……」
    クリスティーナ・バーンズ:「ごはん…………」
    クリスティーナ・バーンズ:何回目かで違うものになって、それっきりだった。
    GM:敵対者の掃討、完了。
    GM:あなた達の勝利だ。

    バックトラック


    GM:Eロイスだが……実は結構ある
    GM:《さらなる絶望》が3個
    GM:そして、使われなかったが《飢えたる魂》+《傲慢な理想》のセットが2組
    GM:つまり7枠フルだ!
    GM:使う?
    藍谷瑠璃:んー、藍谷は戻って来過ぎそうなのでやめておきます
    寒林鎮歌:鎮歌は全力で日常に戻りたいので使います
    寒林鎮歌:戻りすぎぐらいでちょうど良いのだ。
    藍谷瑠璃:5Dで14は……出るでしょ!
    寒林鎮歌:7D10
    DoubleCross : (7D10) → 30[2,2,8,3,7,7,1] → 30

    寒林鎮歌:128→98
    天ヶ瀬アマタ:よし使う
    天ヶ瀬アマタ:141-7d10
    DoubleCross : (141-7D10) → 141-31[7,2,1,5,2,7,7] → 110

    天ヶ瀬アマタ:メモリーも使う
    天ヶ瀬アマタ:100
    寒林鎮歌:残ロイス5、等倍
    天ヶ瀬アマタ:黒瀬さんありがとう
    寒林鎮歌:5D10
    DoubleCross : (5D10) → 32[3,7,6,8,8] → 32

    藍谷瑠璃:ロイス5個、等倍!
    藍谷瑠璃:114-5d10
    DoubleCross : (114-5D10) → 114-26[4,3,1,8,10] → 88

    藍谷瑠璃:よーし88点、いいかんじです
    寒林鎮歌:66%か。メモリー使うまでもないな……
    天ヶ瀬アマタ:100-5d10
    DoubleCross : (100-5D10) → 100-29[7,7,4,5,6] → 71

    天ヶ瀬アマタ:安定帰還
    GM:全員帰還だな、よし!
    GM:経験点はいつもの5点にシナリオ10点、Eロイスは省かせてもらおう。
    GM:そこに侵蝕分をおのおの振りかけて召し上がれ。
    天ヶ瀬アマタ:わぁい! 20かな?
    藍谷瑠璃:わーい20点!
    藍谷瑠璃:経験点! 成長の味がする……
    寒林鎮歌:もしゃもしゃ経験点おいしい
    GM:ということで改めて!

    ED1:食後のトークタイム


    天ヶ瀬アマタ:「……みなさん、大丈夫ですか」血を拭いながらゆっくりと近づく。
    寒林鎮歌:「……」力尽きて倒れ伏している
    天ヶ瀬アマタ:「怪我も深いでしょう。一応診察をいたします」
    天ヶ瀬アマタ:二人の方を見て、怪我が重くないか、侵蝕の具合はどうか、まずは目視で様子を探る。
    寒林鎮歌:もううごきたくない、とのびきっている。
    天ヶ瀬アマタ:「寒林さんは……まあ大丈夫そうですか」
    天ヶ瀬アマタ:「藍谷さんは……」
    藍谷瑠璃:あんな扱いを受けてもまだ彼女のために戦った——そしてあんまりにもむごい末路を迎えた——少女たちに、
    藍谷瑠璃:……やつの最期の言葉にも、少しだけ。
    藍谷瑠璃:同情してしまっている自分に気付く。
    藍谷瑠璃:頭を振って振り払う。まずは生きている人だ。
    天ヶ瀬アマタ:「大丈夫そうですね」
    天ヶ瀬アマタ:つづいてクローンの生き残りの少女たちの様子も伺う。
    藍谷瑠璃:とりあえず寒林さんがぺちゃーっとなっているのを背中からぺしぺしします。「大丈夫ー? いきてますー?」
    寒林鎮歌:「う、うー……寝かせて……」
    天ヶ瀬アマタ:「君たち、UGNに投降してください。悪いようにはしません。少なくとも痛みや苦しみや危険から、UGNがあなた方を守ります」
    天ヶ瀬アマタ:二人のことは大丈夫だと判断して完全に背中を向けている。今の彼の興味対象は生き残りの少女たちだ。
    天ヶ瀬アマタ:純粋な善意と義務感から、彼女たちとの対話を試みている。
    藍谷瑠璃:とりあえず寒林さんはだいじょうぶそうだ。
    藍谷瑠璃:天ヶ瀬先生から少女たちを庇うように立ちます。
    天ヶ瀬アマタ:「ど、どうしました?」
    藍谷瑠璃:「……UGNが守っても、あなたはどうなんですか」
    天ヶ瀬アマタ:「守りますが……?」
    寒林鎮歌:むくり。
    天ヶ瀬アマタ:心底不思議そうな顔である。
    藍谷瑠璃:「これだけの事をして、まだあなたが守るって言えるんですか!」
    藍谷瑠璃:ああ、言えてしまうんだ、と。
    寒林鎮歌:がば、と起き上がって、天ヶ瀬の背中にとりつく!
    天ヶ瀬アマタ:(こ、この子、一体何を言っているんだ……!?)
    天ヶ瀬アマタ:「なっ!?」
    寒林鎮歌:その首にワイヤーウィップを巻き付けた!
    寒林鎮歌:「どの口がほざくんだ——!?」
    天ヶ瀬アマタ:すかさずウィップの間に腕を挟む。
    寒林鎮歌:「藍谷さんの友達にあんなことして、『そこまでするか』と思ったが。なるほど、あれはあんたなりの手加減だったんだね!」
    寒林鎮歌:「そこは分かった、よ——くわかった! けど、お前は分からない!」
    寒林鎮歌:ぎりぎりぎり、と邪魔な腕ごと締め上げる。
    天ヶ瀬アマタ:「くっ……鎖使いの方に訓練を受けてて正解でしたね……」
    藍谷瑠璃:おろおろします。これ止めないとヤバいんだけどでも止めない方が後のためじゃない……???
    天ヶ瀬アマタ:(ジャーム化していない以上、抵抗もできない……)
    寒林鎮歌:「今夏は世話になったが、お前はここで殺して……おいた、ほうが、はあ」
    寒林鎮歌:ずるずると力が抜けていく。体がズタボロなのだ。
    天ヶ瀬アマタ:(これはイリーガルによる抗議だ……甘んじて受け止める責務が有る……)
    寒林鎮歌:「くそ……いつか殺す……」
    天ヶ瀬アマタ:「御勝手に。社会はそれを許さないと思いますが、貴方の内心の自由までは妨げられません」
    寒林鎮歌:「ほざけ……どの口が……」息も絶え絶えに。
    天ヶ瀬アマタ:「僕はこの社会の中で最大限正しく振る舞い、そして望むことを為すだけです」
    天ヶ瀬アマタ:脳裏に浮かぶ。父の拳。
    天ヶ瀬アマタ:「父の口が」
    天ヶ瀬アマタ:『アマタ、人を殺すのは悪いことなんだ』
    天ヶ瀬アマタ:そんな声が頭の中で何時でも響いている。
    天ヶ瀬アマタ:倒れたクリスティーナを見下ろして、瞳を閉じる。彼女と己に違いがあるとするならば、それくらいだろうと。
    藍谷瑠璃:「……正しかったら、何をやっても良いんですか」激情を通り過ぎた声はいっそ静かだ。
    藍谷瑠璃:「自分が正しいと思えたら何をやってもいい、っていうのなら」
    藍谷瑠璃:倒れたクリスティーナを見る。
    藍谷瑠璃:「——あなたはきっと、彼女と何も変わらないですよ」——彼女だって、きっと自分は正しいと信じていたのだから。
    天ヶ瀬アマタ:「……申し訳有りません。不徳の致すところです」
    天ヶ瀬アマタ:(やはり俺には何か欠けているらしい)
    天ヶ瀬アマタ:(いつも、何処に居ても、同じ目が俺を見る)
    寒林鎮歌:「…………」こいつに説明しても無駄そうだな、という諦念を覚えた。
    天ヶ瀬アマタ:(どんなに逃げても、身を隠しても、結局はこれだ)
    天ヶ瀬アマタ:「私はやりすぎている」
    寒林鎮歌:「……少しでもそれが伝わったなら嬉しいよ」
    天ヶ瀬アマタ:「加減をしない、ではなく。苦しめない……から、始めてみます」
    藍谷瑠璃:静かに笑います。最大限の譲歩だとわかってしまったからだ。
    天ヶ瀬アマタ:「申し訳……ございませんでした。お目汚しを」
    寒林鎮歌:「そうしてくれ。でないと、次は本当に殺すと思う」
    寒林鎮歌:今もわりと殺したいけれど。
    天ヶ瀬アマタ:「こちらの方々は一端UGNに預けます。僕がそれ以上関わることは多分無いでしょう」
    天ヶ瀬アマタ:「……ご安心を」
    天ヶ瀬アマタ:ため息をつく。
    GM:──やがて、あなた達が任務完了の報告を行い、UGNの職員が洋館の確保に訪れるだろう。
    GM:N市UGNの風習として、任務の後には〝打ち上げ〟と称して皆で食事に出ることなど多いと言うが、
    GM:どうにもあなた達に限って言うなら、それは有り得ないようだ。
    GM:血の臭いに満たされた空間に長居して、麻痺しかけた嗅覚で食べる夕食の味はどんなものか。
    GM:……美味でないだろう事は確かだ。

    ED2:夜会


    藍谷瑠璃:事件を終わらせるための打ち上げ、白玉パーティ“打ち上げは2人でやるよのつどい”の合流場所に、藍谷瑠璃は現れなかった。
    藍谷瑠璃:30分前に「やっぱり無理」「行けなくなった」と連絡が入って、それっきりだ。
    藍谷瑠璃:いつもなら、事件が片付いたら打ち上げをするのが常だった。
    藍谷瑠璃:それでこの事件はおしまいだって、そういうことだ。
    藍谷瑠璃:人間関係が地獄煮込みみたいな感じだとしても、それでもやりはしたのだ。
    藍谷瑠璃:——今回は無理だった。
    藍谷瑠璃:終わったことに、できなかった。

    GM:〝パーティー〟の開催予定から、何時間かが過ぎた。
    GM:日が長くなり、夏が近づいたとは言え、雨など降る夜はまだ肌寒い。
    GM:丈の長いコートや暖房器具が恋しくなるような、寒く、湿った夜だった。
    GM:藍谷 瑠璃。あなたの持つ端末──それがいかなる形態であるかはさておき、イリーガルとしての支給物ではなく、私物である──
    GM:それが、通知を示して鳴動した。
    藍谷瑠璃:とりあえずロック画面を確認する。何の通知であれ、鳴るなら何の通知か確認できるようにしてあるからだ。
    GM:メッセージ、ではない。
    GM:写真の送付を示している。ロック画面からでは、〝写真が送付された〟という事実しか分からない。
    GM:だが、もし。もしロックを解除して、その写真を見たのなら。
    GM:あなたにもまだ、見覚えのある部屋だろう。
    GM:殺風景な壁や床。洗っても磨いても落ちぬ血肉のしみがこびり付いた空間。
    GM:天井から、肉を吊す為のフックがぶら下がっている。錆びなど知らず、丁寧に磨き上げられた刃物が、テーブルの上に並んでいる。
    GM:そういう空間での自撮り写真だった。
    GM:御鳴 鳴唯が、らしくもなくカメラに向かってVサインなどつくって、普段の仏頂面で映っていた。
    藍谷瑠璃:配慮が行き届きすぎていやしないか? 誰が送って来たのか、送信元のアカウントを確認する余裕がなくてもわかるようにするなんて——
    GM:──見たな?
    GM:既読のマークを付けてしまったのならば、追い打ちのように。
    GM:次は、短いメッセージが送られて来るだろう。
    GM:『来て』と。
    GM:『来るまで待つ』と。
    藍谷瑠璃:こみ上げる吐き気と、もう見たくもないって心とは裏腹に、それでも足は向かってしまう。
    藍谷瑠璃:交通機関なら多分、一番近くまで行けるのはバスだろう。それでもずいぶんと歩くことにはなるだろうけれど……
    藍谷瑠璃:それでも、あの場所でずっと待たせておくわけにもいかなかった。

    GM:カニバル倶楽部のパーティーに紛れ込んだ時は──調度品の哲学こそ欠けていたが、少なくとも見栄えの良い空間では有っただろう。
    GM:真新しい血の香りや、斬り刻まれて尚も生きている少女の呻き声、血泡混ざりの呼吸音。他の参加客の、上品を気取った悪辣な笑い声。
    GM:不愉快なものは幾らでも有っただろうが、それでも。
    GM:パーティーの会場というのは、見栄えは良いものなのだ。
    GM:此処は違う。
    GM:肉の下ごしらえをする場所。
    GM:……という名目で、人を嬲って遊ぶ為の場所。
    GM:おかしな話だが、この空間には設計者の哲学や思想が、むしろ上階に比べて色濃く反映されている。
    GM:部屋に存在する要素の全ては、誰かを苦しめる為だけに存在しているのだ。
    GM:その、部屋の隅の方。
    GM:数日以内に取り替えられたのだろう、真新しいシーツ──と、血が深くまで染み込んで変色したマット。
    GM:不釣り合いな二つで構成されたベッドの上に、御鳴 鳴唯は腰掛けていた。
    藍谷瑠璃:扉を開く。やけに重いのは、気のせいか、手入れのせいか、それともこの部屋の用途のためか。
    藍谷瑠璃:長年籠もった悪臭が鼻につく。怨念を塗り込んで作ったような場所だな、というのが最初の感想だった。
    藍谷瑠璃:シーツと鳴唯だけが、場違いに浮き上がって見える。
    藍谷瑠璃:「……やっ」手を上げる。いつも通りに。SDカードを受け取ったあのときと同じように。
    藍谷瑠璃:いつもと変わらない。変わらないように見せられている……はずだ。
    御鳴 鳴唯:「…………」
    御鳴 鳴唯:少しの間、無言。
    御鳴 鳴唯:それからベッドの上に、ごろりと仰向けになって
    御鳴 鳴唯:「……大怪我でもしたか、それとも──と思ったけど」
    御鳴 鳴唯:「元気そう、だね……」
    藍谷瑠璃:「ま、そりゃね。大怪我でもしてたら言うよ」嘘だ。きっと言わない。
    御鳴 鳴唯:「そう」
    御鳴 鳴唯:「……じゃあ、ドタキャンの理由は?」
    御鳴 鳴唯:あまり間を開けない──と言おうか。
    御鳴 鳴唯:与えない、と言おうか。
    藍谷瑠璃:なんでまたこんな場所をとか、どうでもいい事を言いかかって、遮られてしまう。
    藍谷瑠璃:「聞いてるでしょ、ここんとこボヤ騒ぎが増えてるらしいーって」隣でなんかすごいことになっていた紅蓮戦線が始まるちょっと前くらいのタイミングを想定しています
    御鳴 鳴唯:「さぁ」
    御鳴 鳴唯:「知らないし、聞いてない」
    御鳴 鳴唯:「……言えないこと?」
    藍谷瑠璃:「……ものすごく言いたくない」
    藍谷瑠璃:「……ものすごく言いたくないこと、かな」
    藍谷瑠璃:なにか言い訳を重ねようとして、思いつかなくなってしまったのだ。
    御鳴 鳴唯:「あなたから誘われて、あなたが約束をすっぽかした」
    御鳴 鳴唯:「それでも、言えない?」
    御鳴 鳴唯:「……私はすごく、残念に思ってる」
    藍谷瑠璃:「うう、かえすことばもございません」少しだけおどけてみせる。さわりだけ話すにしても、口を軽くするなにかが必要だった。
    藍谷瑠璃:「……どうなったか、聞いた?」
    御鳴 鳴唯:「何を?」
    藍谷瑠璃:この会場にいた連中がどうなったか聞いたか、と。
    御鳴 鳴唯:「……何人かは生きてる、って聞いた」
    御鳴 鳴唯:「自業自得」
    藍谷瑠璃:「……そだね、あいつら、生きてきたことを後悔するくらいの目には遭ったんじゃないかな」
    藍谷瑠璃:やった事だけではなく、だ。
    藍谷瑠璃:「いやあ、結局ひどい事になっちゃった」静かに笑う。
    藍谷瑠璃:「手を汚させたくないーだとか、偉そうな事を言っておいてね」
    藍谷瑠璃:「結局は抵抗した連中は皆殺しだ。あの助かった子たちだって、単に遅れてきたから生き延びられただけだよ」
    御鳴 鳴唯:「そう」
    御鳴 鳴唯:「……で?」
    御鳴 鳴唯:「それが、連絡も無しで約束をすっぽかした理由……?」
    藍谷瑠璃:「……ま、そんなとこ。ごめんね」手も合わせて拝んじゃう。
    御鳴 鳴唯:「…………約束って、ね」
    御鳴 鳴唯:「一生、残るんだよ」
    御鳴 鳴唯:ぽつりと、小さな声で。
    藍谷瑠璃:「一生」
    御鳴 鳴唯:「……私の、最初の友達」
    御鳴 鳴唯:「すっごい田舎の子だった、って」
    藍谷瑠璃:「……うん」
    御鳴 鳴唯:「事件が終わったら、街を案内してくれって言われて、約束した」
    御鳴 鳴唯:「……無理だった」
    御鳴 鳴唯:「その子は、死んじゃったから」
    藍谷瑠璃:「それは……」言葉が見つからない。ありふれた話だというのは傷が軽い事を意味しない。
    御鳴 鳴唯:「藍谷」
    御鳴 鳴唯:「選んで」
    御鳴 鳴唯:「ちゃんと、私を見て話すか」
    御鳴 鳴唯:「……私から逃げるのか」
    藍谷瑠璃:「……それを言われるとよわいなあ」頭を振る。
    藍谷瑠璃:「だいたい死んだ。聞いてるわけだ。やったのは天ヶ瀬先生だけどさ」
    藍谷瑠璃:一呼吸置く。
    藍谷瑠璃:——“あたしがやってた”。
    藍谷瑠璃:囁くような声だ。
    藍谷瑠璃:「あと少しだけ彼が動くのが遅ければ。あと少しだけ、あたしが早く動いていたら」
    藍谷瑠璃:「たぶんね」
    藍谷瑠璃:堰を切ったように続く。
    藍谷瑠璃:「あいつらは許しておけないことをしたから。邪魔だから。息があるうちはまだ邪魔をになるんじゃないかと思ったから」
    藍谷瑠璃:「たぶん、そうしたら、生き残りなんていなかったんじゃないかな」
    藍谷瑠璃:「あたし、天ヶ瀬先生にひどいこと言っちゃったわけだ」
    藍谷瑠璃:「——おんなじことを、やろうとしてたのにね」
    藍谷瑠璃:「あのひと、たぶん、あたしがやらなくていいようにしてくれたのに」
    御鳴 鳴唯:「…………」少しの間、また無言──それからベッドの上で、むくりと体を起こし。
    御鳴 鳴唯:「何を言って欲しいのか、まだ分からない」
    御鳴 鳴唯:「けど、これだけは言える」
    御鳴 鳴唯:「天ヶ瀬にそんな深い考えは無い」
    御鳴 鳴唯:「あれはただの人殺し」
    藍谷瑠璃:「それは……その通りならなんでUGNにいるんだろう」いられるんだろう、と言った方が正しいのか。
    御鳴 鳴唯:「世の中には、殺してもいい人間がいるから」
    御鳴 鳴唯:「……殺した方がいい人間がいる、から……かな」
    御鳴 鳴唯:「死んだ方が世の中の為になるやつ」
    御鳴 鳴唯:「そういうのを殺す時に、あれは役に立つ」
    御鳴 鳴唯:「……一緒に死ねば、もっと役に立つんだけど」
    藍谷瑠璃:「対消滅? なんか爆弾の話をしてるみたいだねえ」
    御鳴 鳴唯:「真面目な話をしてるつもり」
    御鳴 鳴唯:「藍谷」
    御鳴 鳴唯:「殺したかったの?」
    藍谷瑠璃:「殺したくない。誰かが死んだり、誰かを殺したりなんて、そんなのはやだよ」“今”どう思うかの話だ。
    藍谷瑠璃:少しの間。呼吸ひとつ。
    藍谷瑠璃:「……でも多分、あのときはそうしたいと思ってた」
    御鳴 鳴唯:「〝殺さないといけない〟と思ったのか」
    御鳴 鳴唯:「〝殺してやりたい〟と思ったのか」
    御鳴 鳴唯:「……ごっちゃにしてるから、藍谷、他が何も見えてない……と、思う」
    御鳴 鳴唯:「ひとつずつ、分けて考えて」
    藍谷瑠璃:「いっしょだよ。どっちにしろやってくる結果は同じだし……どっちも思っていたんだから」
    御鳴 鳴唯:「違う」
    御鳴 鳴唯:「考えて」
    御鳴 鳴唯:「考えないで、適当に結論を出さないで」
    御鳴 鳴唯:「……それを、〝逃げてる〟って言うの」
    藍谷瑠璃:「逃げてる、か」そっか。
    藍谷瑠璃:「……あたし、ここにいる連中を殺してやりたいと思った」
    藍谷瑠璃:「だから、理由を見つけて、だから“これならやっていい”って思ってたんだよ」
    御鳴 鳴唯:「……けど」
    御鳴 鳴唯:「理由探しを始めると……結構、ね」
    御鳴 鳴唯:「誰にでも、理由は用意できる」
    御鳴 鳴唯:「そのやり方だと、誰でも殺せる」
    御鳴 鳴唯:「……理由を最初から用意して、それに合わせた方がいい」
    藍谷瑠璃:「りゆう、を」
    御鳴 鳴唯:「天ヶ瀬のやってる方法」
    御鳴 鳴唯:「たぶん、すっごく簡単にすると……こうじゃないかな」
    御鳴 鳴唯:「〝ひとを殺すやつは殺していい〟」
    御鳴 鳴唯:「……あのね。誰かを殺してやりたいって思うまでは、珍しくないんだよ」
    御鳴 鳴唯:「でも」
    御鳴 鳴唯:「本当にやれるんなら……それはもう、そういういきものなんだよ」
    御鳴 鳴唯:「それは、諦めるしかない」
    藍谷瑠璃:「ひとを殺すやつは殺していい、やれるやつはそういういきものなんだから諦めるしかない……って、じゃああたしも?」あたしのことも諦めるしかないって? って、言ってしまって
    藍谷瑠璃:「ごめん、言葉尻捕まえてる、違うよね」と。そんなはずがない。これはもっとずっと大切な何かを伝えようとしているのだと。
    藍谷瑠璃:「……そっかあ、あたしもやれちゃうわけだ」しみじみ視線を上げます。
    御鳴 鳴唯:「どう思うかは、あなたの自由。そう思いたかったら好きにすればいい……けど」
    御鳴 鳴唯:「まず、自分のことを認めて」
    御鳴 鳴唯:「あなたは誰かを殺せる。力も、考え方も。まずはそこから」
    御鳴 鳴唯:「……そこを認めなかったら、自由が利かない」
    藍谷瑠璃:「……自由?」
    御鳴 鳴唯:「殺さない自由」
    御鳴 鳴唯:「殺したいから殺すなら、ジャームと同じ」
    藍谷瑠璃:ふっ、と。憑き物が落ちる思いだった。
    藍谷瑠璃:殺さない自由。
    藍谷瑠璃:そっか、そういうものもあるのか。
    藍谷瑠璃:ああ、たしかにそういうものもあったのだと、忘れていたのだと。
    藍谷瑠璃:「ジャームとおんなじ、っていうのは、なかなか手厳しいね?」
    御鳴 鳴唯:「何か違う?」
    御鳴 鳴唯:「……私も割と、そっち寄り」
    御鳴 鳴唯:「ただ、表に出るものが違うだけ」
    御鳴 鳴唯:と言いながら、ポケットから取り出したものは
    御鳴 鳴唯:傍目にも、ゼロが相当な数並ぶだろうと思われる貴金属──大粒の宝石がはめ込まれたブレスレット。
    藍谷瑠璃:「……おかねもち???」
    御鳴 鳴唯:「盗み癖」
    御鳴 鳴唯:「直そうとしてるんだけど、ね」
    藍谷瑠璃:「これで、もう使う人もいないんだしいいんじゃない、って言っちゃったら、さっきの話の焼き直しになっちゃうわけだね?」あーなるほど
    御鳴 鳴唯:ブレスレットを適当に、地下室の隅へと放り投げて
    藍谷瑠璃:「こーいうのは使ってこそとはいえ、さすがになー、これ悪趣味にならずに付けるのは難し、あっ!?」ブレスレットがかつんと音を立てる。
    御鳴 鳴唯:「……藍谷のそれは、藍谷の問題」
    御鳴 鳴唯:「誰かが何か言ったからって、魔法みたいに治ったりはしない」
    御鳴 鳴唯:「殺したいって思えて、本当に殺せる人間だっていうのは、変えられないこと」
    御鳴 鳴唯:「後は、自分で抑えて」
    藍谷瑠璃:「そっか」
    藍谷瑠璃:「……そっか」納得したように頷く。
    御鳴 鳴唯:「……エージェントやチルドレンになると、こういう事、基礎として勉強させられる」
    御鳴 鳴唯:「今から目指す?」
    藍谷瑠璃:「目指すのは……ちょっと保留」
    藍谷瑠璃:「天ヶ瀬先生の同僚になるーって思ったらちょっとためらっちゃわない???」
    藍谷瑠璃:「でもね、そういうのは……知っておきたいかな」
    御鳴 鳴唯:「……今、私、同僚なんだけど」
    藍谷瑠璃:「あはは、そのめーちゃんを見てるからねえ」朗らかに笑う。先ほどまでの影はもう、きっと残っていない。
    御鳴 鳴唯:「心外」
    藍谷瑠璃:「ごーめーんってー」
    御鳴 鳴唯:「許さない」
    御鳴 鳴唯:「許さないポイント、二つ目」
    藍谷瑠璃:「おわびに白玉団子おごっちゃうからさ! あんみつもつけちゃう!」手を合わせる
    御鳴 鳴唯:「この時間から?」
    御鳴 鳴唯:「……日程と場所、改めて連絡して」
    御鳴 鳴唯:「明日中に」
    藍谷瑠璃:「まーかせて! ちゃんと予約も入れちゃうから」
    御鳴 鳴唯:「言質」
    御鳴 鳴唯:その言葉を最後に、ひゅっ、と姿が掻き消える。
    藍谷瑠璃:「はっまさか録音とか!?」してなくてもするんだけどさ!
    御鳴 鳴唯:元より足音は無い。気配だけが何処かへ、普段と同じ速度で遠ざかって行った。
    藍谷瑠璃:辺りを見回す。やはりあの時見つけられたのはよほどいい条件が重なっていただけだったのだ。
    藍谷瑠璃:「まったくもう、森を歩くことになるんだから、帰り道、気を付けなよー!」声を上げる。届いているかも、もうわからないけれど。
    藍谷瑠璃:もちろん自分だって気を付けないといけないんだけど。
    藍谷瑠璃:うっかり転んで、白玉パーティどころじゃなくなったりしちゃったら大変だ。
    藍谷瑠璃:こぼれる笑みがいつも通りのものなのか心配する必要は、とっくになくなってしまっていた。

    ED3:〝Cパート〟


    GM:……さて。これは数日後の話となる。
    GM:一通り事件の後処理も終わって、罪には罰を、悲痛には配慮を。平時に戻す為の動きが始まって少し経過した頃だ。
    GM:完全に無力化されていた──と思われていた、今回の事件の共犯者。
    GM:宇都宮 零路が病院を脱走したと、報せが届いたのである。
    天ヶ瀬アマタ:「なんですって……脱走?」
    天ヶ瀬アマタ:「僕にこの報告が届けられたということは、うん、まあ捕縛をしろということなのでしょうが」
    天ヶ瀬アマタ:「まあこうしてはおれません。患者さんのカルテ整理などはありますが……追跡任務というやつもしてみましょうか」
    天ヶ瀬アマタ:そう言って座っていた椅子から立ち上がる。
    天ヶ瀬アマタ:名残惜しそうに患者の診断書やカルテの画面を消す。
    天ヶ瀬アマタ:(宇都宮の娘さん、結構好きなタイプの人だから恨まれたくないんだけどなあ)
    GM:では、そうだな。
    GM:あなたへと、このような任務が与えられた場合。
    GM:おそらくは高確率で、誰か他のエージェントないし協力者と行動を共にせよ、と命令も下るのではないか。
    GM:……能力への不信があるわけではない。むしろ信頼されているが故に。
    天ヶ瀬アマタ:「宇都宮一さんはまだ療養中、というより彼女を狙っての脱走と推測もされる」
    天ヶ瀬アマタ:「御鳴ちゃんは休暇の最中でしたかね……彼女が居れば彼女一人で済みますもんね」

    寒林鎮歌:——一方その頃、Dr.フィティアンの診療所では、遅めのランチが始まっていた。
    寒林鎮歌:今日のお弁当メインはスペルト小麦と野菜のハンバーグ。スペルト小麦とは品種改良前の古代小麦だ。グルテンレスで健康に良いらしいよ。
    寒林鎮歌:ズッキーニ、にんじん、カブをすりおろし、パセリやハーブと混ぜて焼いた肉なしのハンバーグ。
    寒林鎮歌:これにクリームチーズとサワークリームのソースをかけて食べる。お弁当には大きな野菜バーグが二つ、詰められていた。
    寒林鎮歌:手を合わせて「いただきます」
    寒林鎮歌:酸味が爽やかでクリーミーなヨーグルトソースは、肉のグリルや魚のフライにも合うと書いてあった。
    寒林鎮歌:鎮歌がそれらを口にすることは、おそらく無いだろう。
    寒林鎮歌:命はいつだって美味しい。生きて育って栄養を蓄えたその体、この世でもっとも力強いエネルギーは。
    寒林鎮歌:ふ、と舌先に、苦い鉄と塩気、脂が入り交じった味がよぎった。
    寒林鎮歌:(……藍谷さん。事件の後、打ち上げとかしたのかな)
    寒林鎮歌:この間お世話に……そう、とてもお世話になった彼女のことを、時々こうして思い出す。
    寒林鎮歌:別に。連絡したくなれば、すればいいのだろうけれど。用もないのにするのは、失礼ではあるし。何を話せばいいか分からないし。
    寒林鎮歌:だからまあ、申し訳ないけれど、くり返しこうして思い出す。彼女の姿を、彼女がくれた言葉を、もらった値の味を。
    寒林鎮歌:(……美味しい……)
    寒林鎮歌:記憶の味と、今食べている野菜の味とか混ざり合って、どちらがどちらか分からないけれど。それだけは事実。
    天ヶ瀬アマタ:「大変です! Dr.フィティアン! 寒林さん! ご無事ですか!」
    天ヶ瀬アマタ:ドアを勢いよく開けて叫ぶ。
    天ヶ瀬アマタ:心から心配しているのだ。本気で、心から。
    寒林鎮歌:「…………」思いっきり苦々しく顔を歪める。
    寒林鎮歌:舌打ちしないのは、食事中だからだ。
    天ヶ瀬アマタ:「おや、その顔はご無事な顔ですね! 良かった!」
    天ヶ瀬アマタ:「あ、構わずにご飯食べててください。いやあ~あの宇都宮零路がここを襲うかも知れないと聞いて駆けつけてきたんです!」
    寒林鎮歌:とりあえず何か緊急事態らしいので、手早く、しかし味わいながら残りのハンバーグを片付ける。
    天ヶ瀬アマタ:「昼食中ならばそのまま休んでいてください!」
    寒林鎮歌:もく、もく、もく、もく、もく。
    寒林鎮歌:「……ごちそうさまでした」
    天ヶ瀬アマタ:「食事中の民間人を襲う不埒なオーヴァードを守る為にUGNとして! できる最大限の……早い!」
    天ヶ瀬アマタ:「早いですよ!?」
    天ヶ瀬アマタ:目を丸くしている。
    寒林鎮歌:手を合わせて宣言。「もう半分ぐらい食べたから。それに、お前の傍で食事をしていると、隙を見せているようで厭」
    寒林鎮歌:(夕飯にもハンバーグ残してるから、夜は味わって食べよう……)
    寒林鎮歌:「で? あいつが脱走したって?」
    Dr.フィティアン:「やだなーもう、この間も窓壊されたのに」
    天ヶ瀬アマタ:「はい……許せません……!」
    天ヶ瀬アマタ:拳を固く握りしめて悔しそうに表情を歪める。
    天ヶ瀬アマタ:「こうしている間にも平和な日常がやつによって破壊されつつある……許せない……!」
    寒林鎮歌:「そしてお前はその予告編なわけ」
    寒林鎮歌:ひゅん、とワイヤーウィップを懐から取り出す。「食事は終わりだ。準備はいつでも出来ている」
    Dr.フィティアン:「ここで暴れないでくれよ!」
    天ヶ瀬アマタ:「もちろんです!」
    GM:まさに一触即発の気配。
    GM:この混迷の事態に──更に再び、ドアを突き飛ばすように飛び込むものがある。
    宇都宮 一:「荒事の気配!」
    宇都宮 一:片脚で器用に立ちながら、普段は杖代わりに用いる異形弓『潮汐』を──
    宇都宮 一:傍目には、金属の棒だ。良く見れば弦が張られているが、弦を弾いて金属棒を撓らせるような芸当を誰が出来るのか。
    宇都宮 一:そういう、〝引ける筈の無い弓〟を持った乱入者の少女であった。
    寒林鎮歌:「ンエェ……」今度こそ舌打ち!「けが人はおとなしくしてろっての」
    天ヶ瀬アマタ:「……!?」 明らかに困惑している。今回脱走した宇都宮零路の標的がこちらに来てしまうとは思わなかったのだろう。
    天ヶ瀬アマタ:「成程──それもまた武人ですね」
    天ヶ瀬アマタ:(うちの支部のメンバーならこれくらいやりますからね)
    天ヶ瀬アマタ:(宇都宮一、実に好ましい……)
    宇都宮 一:「……あれま」
    寒林鎮歌:「荒事なら確かに始まりそうだけれど、無理に起きてくるこたないだろ」
    寒林鎮歌:「これでも私は医療従事者でね」
    宇都宮 一:「存じております。しかしながら、そもそもですよ」
    宇都宮 一:「お前さま方、どちらもUGN寄りのお人なんじゃありませんでしたっけ」
    天ヶ瀬アマタ:「この宇都宮零路さんが逃げ出してきている危険な状況で……よくまあ」 グッバイコンプライアンス
    天ヶ瀬アマタ:「ん? ええ、まあエージェントですが……」
    寒林鎮歌:「もちろん。ただ、そっちの人間として一言添えておかないととは思って」
    宇都宮 一:「ご心配いただいてますことには感謝しますが、なんでまた殺し合いの予兆なぞ?」
    宇都宮 一:と、弓を降ろして杖の役割に戻しながら問う。
    宇都宮 一:……途中に聞こえた名前に対する反応は、無い。
    寒林鎮歌:(……突っ込みづらいな)父親の名前をスルーしたことを指摘すべきかどうか。
    天ヶ瀬アマタ:「どうにも彼は貴方を追いかけている可能性があります。万全ではない状況で貴方を危険に晒すのも心苦しいかと思ったのですが……大丈夫そうですね」
    天ヶ瀬アマタ:「ジャーム化の可能性もある危険なオーヴァードです。三人で協力し、町に平和をとりもどしましょう!」
    天ヶ瀬アマタ:ぐっと拳を握ってやる気を見せている。
    天ヶ瀬アマタ:ジャーム化の可能性については嘘ではない。収容施設を脱走するオーヴァードなど、大概正気ではないのだから。
    宇都宮 一:「……この人、いつもこんな調子なので?」と天ヶ瀬を指差し、寒林に問う
    Dr.フィティアン:「君らお互い話聞いてる??」天ヶ瀬と宇都宮を見比べて。
    寒林鎮歌:こくり。「出会って短いけれどだいたいこうでした」
    天ヶ瀬アマタ:「……まあ、少し興奮しすぎてしまいました」
    天ヶ瀬アマタ:「仕事となるとテンションが上がりすぎてしまうもので」
    天ヶ瀬アマタ:「ワーカホリックの気があるそうです」
    天ヶ瀬アマタ:しょんぼりとする。
    寒林鎮歌:「マーダーホリックじゃなくてか?」
    宇都宮 一:「あなたはワーカホリックでなくて、自分の言葉が大好きなだけではありませんか?」
    天ヶ瀬アマタ:「いやはやお恥ずかしい」
    Dr.フィティアン:「軽口はいいから、敵襲があるならうちに被害が及ばない体制を整えて迎撃してくれないか?」
    宇都宮 一:「やれ。ようよう退院してきたから、粛々とお礼を述べて行こうとのみ思っていましたのに」
    天ヶ瀬アマタ:(あっ、そうだったんだ)
    寒林鎮歌:「それはご丁寧に」ぺこり。「うちみたいな怪しい所は、用が済めばさようなら、で充分ですよ」
    寒林鎮歌:「このまま戦われるなら、せっかくつながった命、粗末にしないでくださいね。それ以上は、止めはしません」
    天ヶ瀬アマタ:「お一人で帰すのも危険ですし、UGNで送迎いたしましょうか?」
    天ヶ瀬アマタ:「いえ、まあ参加するつもりなら勿論止め立てはしませんが……」
    天ヶ瀬アマタ:殺すつもり満々で来たと思っていたので、少ししょんぼりのアマタなのであった。
    宇都宮 一:「いえいえ、全くご心配には及びません。あまり追い払おうとしてくださいますな」
    宇都宮 一:「……ふむ。どうも皆様、私より父の方に興味がお有りのようでして」
    宇都宮 一:「では、まぁ、簡潔に述べますと──」
    GM:──その言葉の終わるか終わらぬか、というタイミングであった。
    GM:宇都宮 一は、開け放たれたままのドア口に立っている。
    GM:屋外に背を向けて、あなた達の方を向いている。即ち、
    GM:傍目には酷く無防備に見える、ということだ。
    GM:物陰から駆け出し、その少女の背後についた者がある。
    GM:〝それ〟は病院から盗み出して来たのだろうメスを少女の喉元へ当て、
    宇都宮 零路:「動くな!」
    宇都宮 一:「──追って来てました、と言おうとしていたのですが」
    宇都宮 一:「どうも皆様、立て込んでおりましたもので中々言い出せず」
    宇都宮 一:落ち着き払って、少女は言った。
    寒林鎮歌:「そういうことは先に言え——!」
    Dr.フィティアン:「うちの玄関で死なないで欲しいんけどなあ」
    天ヶ瀬アマタ:「くっ……!」
    天ヶ瀬アマタ:「善良なイリーガルを人質にとるなんて……!」
    宇都宮 一:「そう仰いましても。私だってお世話になった方とのお話を楽しみたいという欲はですね」
    宇都宮 零路:「動くな! ……動けばこいつの喉を裂く。脅しじゃあないぞ……!」
    宇都宮 一:「人一倍有ったんですよ。やっぱり入院中って人恋しくなりますでしょう?」
    天ヶ瀬アマタ:「皆さん! 動かないでください……UGNエージェントとして、かつて彼を治療した者として僕が交渉します……!」
    寒林鎮歌:「お前に任せて、本当に大丈夫なんだろうな……」疑いのまなざし。
    天ヶ瀬アマタ:「零路さん、やけにならず今すぐ投降してください……あっ、寒林さんは一さんのご対応を」
    寒林鎮歌:宇都宮一が落ち着き払っているのは、何か対処の策があるのではと思えるが。
    寒林鎮歌:天ヶ瀬数多が二人とも殺しはしないだろうな、という危惧がある。
    寒林鎮歌:「そっちは言われなくてもやるさ」ひゅん! ワイヤーを振る。
    宇都宮 零路:「交渉だと……? はっ、信じられるものか! 特にお前はな!」
    天ヶ瀬アマタ:「えっ」
    天ヶ瀬アマタ:「なんで……?」
    天ヶ瀬アマタ:ぽかんとした表情を浮かべる。
    寒林鎮歌:「わからいでか」
    寒林鎮歌:言いつつ、一さんを助けられそうな位置を探してじりじりとすり足で動く。
    天ヶ瀬アマタ:(こいつ、僕がその気になればあの場で死んでたんだぞ……むかつくな……!)
    天ヶ瀬アマタ:(むかついてきた。そうだ……こいつ、医師なら何もしないと思いこんでいるな……!?)
    宇都宮 一:「……やっぱりそこな御仁、何かやらかしたんです?」
    天ヶ瀬アマタ:「いえ、暴走なさっていたときに制圧して、より大きなオーヴァード対策施設がある病院に搬送を手配しました」
    寒林鎮歌:「その行動自体は正しいんだがなあ」
    天ヶ瀬アマタ:「制圧に関しても動けなくなるだけの、最大限の加減をしていたはずなのですが……」
    宇都宮 一:「その行動がどう巡り巡って、お二人の殺し合い一歩手前に至ったのか非常に興味が──」
    天ヶ瀬アマタ:「不信感を……」
    宇都宮 零路:「うるさい!」
    宇都宮 零路:喉元に置いたメスを、また少し皮膚に近づけるが、
    宇都宮 一:「信用は大事です。信用なくては何事も上手くいきません。傭兵みたいなお仕事だと特に」
    宇都宮 一:「お前さまは組織人ですから、また事情も違うのでしょうが──と」
    宇都宮 一:平然と言葉を発しながら
    宇都宮 一:「よいしょ」
    宇都宮 一:と、首に巻き付けられた手を掴んだ。
    天ヶ瀬アマタ:「あっ」
    GM:みしっ
    GM:宇都宮 一の能力は、触れたものに対する重力制御である。
    GM:発動に些かの時間が掛かる故、ゼロコンマ秒を争う白兵戦闘で使うことは出来ないが、
    GM:悠長に人質を取ろうとした男になら、
    GM:……オーヴァードに対して〝メス程度〟が脅しになると思っている男になら、十分に通用する。
    宇都宮 零路:べしゃっ
    宇都宮 零路:男の体は、床に張り付いた。
    天ヶ瀬アマタ:「ああ……」
    宇都宮 零路:ギリギリまで首に縋ろうとしていた右腕だけが、あらぬ角度に折れ曲がっていた。
    寒林鎮歌:「……やれやれ。動けないよう縛る必要もないね」
    天ヶ瀬アマタ:「あああ……」
    天ヶ瀬アマタ:手が出せない。
    Dr.フィティアン:「寒林くん、後で床にモップかけといて」
    宇都宮 一:「この程度の生き物に、そう大騒ぎしてくださいますな。……私にとっては楽しいおしゃべりの方が大事な時間だったのですから」
    寒林鎮歌:「ンエェ……」舌打ちしながらこくり。
    天ヶ瀬アマタ:「申し訳有りません。大声を出して……」
    寒林鎮歌:「一応こいつもオーヴァードだけれど、考え方がまだ普通の人間基準だったわけか」
    寒林鎮歌:てっきり、メスで人の首を落とすぐらいのパワーはあるものかと思っていた。
    宇都宮 零路:「ぐ、ぐ……!」俯せで床に張り付いたまま、手足だけをもぞもぞと動かして、だが立ち上がることも出来ず
    宇都宮 零路:男は苦し紛れに言葉を吐き出す。
    宇都宮 零路:「く、そっ……! お前達、お前達、イカレてやがる……!」
    寒林鎮歌:「下品は食事会をやっていたやつが、何を今さら」
    天ヶ瀬アマタ:「失礼ですがご親族を相手にメスを突きつけるのはいかがなものかと……」
    天ヶ瀬アマタ:「胸は痛まないのですか? 僕は父親と戦ったときに胸が痛んで手が止まりましたよ? 信じられません」
    宇都宮 零路:「その〝食事会〟の連中……どれだけ生き延びた!? 答えられるのか!?」
    寒林鎮歌:「イカれた真似をすると、もっとイカれた連中に食われるものだよ」
    天ヶ瀬アマタ:「えっ」
    宇都宮 零路:「……あの会はな、素晴らしかった。素晴らしい空間だったんだ……!」
    天ヶ瀬アマタ:「そうだとしても、人の犠牲の上に、自分の楽しみを追いかける行為は間違っています」
    寒林鎮歌:「うるせえぞ口きくな」ドブが!」
    天ヶ瀬アマタ:(俺か、俺に言われたのか?)
    寒林鎮歌:「それ以上しゃべったら、一生流動食生活させてやる」
    天ヶ瀬アマタ:(俺じゃないっぽいな)
    寒林鎮歌:零路相手だから大丈夫だよ!
    天ヶ瀬アマタ:「ふふ、恐ろしい事を言ってはいけませんよ寒林さん。あくまで平和に、平和裏にです」
    宇都宮 零路:「女如きが生意気を抜かすな!」
    宇都宮 零路:「お前も! クリスティーナも! 一もそうだ! お前達に口を開く機能があるのが間違いだ!」
    寒林鎮歌:首にワイヤーウィップかけて、しゃべれないように締めてやりましょうか
    宇都宮 一:その場合、杖を差し込んで邪魔をします。
    寒林鎮歌:「くっ」阻まれた。
    宇都宮 一:「まぁまぁ、穏やかに。人殺しは良くないことです、そうでしょう?」
    寒林鎮歌:「殺すのはまだだが、早く黙らせたい」
    天ヶ瀬アマタ:「そうですよ。間違って殺してしまったら大変ですからね……!」
    宇都宮 零路:「……っ、はぁ……っ」身動きも取れぬまま、首を絞められるかと怯え竦んでいた男は、緊張の糸もほどけて
    宇都宮 零路:「ふふ……ふはははっ……! そうだ! そうだぞ一、お前は」
    宇都宮 零路:「お前は私の為に〝そう〟していればいい!」
    宇都宮 零路:「良いものを喰わせてやったのも、あの女から買い戻してやったのも、使い道があると思えばこそだ!」
    宇都宮 零路:「何をぼうっとしている、今なら許してやる、この束縛を──」
    宇都宮 一:「ふぅ」
    宇都宮 一:腰を下ろした。
    宇都宮 一:生物学上は父親という事になっている男の背中、牌の後ろ側だ。
    天ヶ瀬アマタ:(殺るのか……殺るのか……!?)
    天ヶ瀬アマタ:普段は細い目を開く。
    宇都宮 零路:それだけで男の声は止んだ。
    宇都宮 零路:言葉を発しなくなった、というのは違う。
    宇都宮 零路:口を動かしてはいるが、音が出てこないのだ。
    宇都宮 零路:顔色は一気に紅潮し、目には涙が浮かび、手足の藻掻きはより大袈裟になって、
    宇都宮 零路:みし、みし、みし
    宇都宮 零路:骨が軋む音ばかり聞こえてくる。
    宇都宮 零路:重力制御。今はまだ、たかだか十倍程度というところか。
    宇都宮 零路:オーヴァードなら死にはするまい。
    寒林鎮歌:「ああ……やっと静かになった」
    宇都宮 一:「いやはや、父がご迷惑をおかけしまして申し訳ない」
    天ヶ瀬アマタ:「あ、あの、UGNエージェントとして……確保した方への加害は……」
    天ヶ瀬アマタ:とはいうものの止めるつもりはあんまりない。
    宇都宮 一:「私、UGNの所属じゃありませんので」
    宇都宮 零路:みし、みし、みし
    宇都宮 零路:ばぎっ
    宇都宮 零路:……どれか、一つか二つ、骨がへし折れたらしい。
    寒林鎮歌:「好きに持って帰ってくれ。UGNより、お前に処理を任せた方が良さそうだ」
    Dr.フィティアン:「ぼくはなにもきいてませんー」
    Dr.フィティアン:(好きにしなさいの意)
    宇都宮 一:「では、ありがたく。……と」
    天ヶ瀬アマタ:「ど、どうしたものか……」
    寒林鎮歌:(……こんなのでも、骨が折れたら〝もったいない〟って思うの厭だなあ)
    天ヶ瀬アマタ:「……あっ」
    宇都宮 一:レジャーシート代わりに床に敷いた男のポケットを探り、
    寒林鎮歌:「元、患者だろ。今は違うんだろ」
    宇都宮 一:「……お財布が無い」
    天ヶ瀬アマタ:「元の施設に『信用できるご家族の方が迎えに来たので退院』という方向で話が通るようにお手伝いします」
    寒林鎮歌:「それだ」
    寒林鎮歌:「それでいこう、天ヶ瀬」小さくサムズアップ
    天ヶ瀬アマタ:「ジャームではないですからね!」嬉しそうに笑顔を見せる。
    宇都宮 一:「おお、それは素敵なご提案!」
    天ヶ瀬アマタ:「良かった~! ご家族の方に引き取られて……ッ……良かった~!」
    宇都宮 零路:いよいよ顔色は青を通り越して土気色となり、身もだえすら殆ど無くなった頃合い、
    宇都宮 一:「ところでドクター。こちら先日の窓の修繕費と、今日の分の床の清掃費ということで」
    天ヶ瀬アマタ:「とはいえ、もしも宇都宮零路が何か暴走したりしたら危険です。暴走とかしたら宇都宮一さんの責任になります。身許の引受を行う以上、忘れずにいてください」
    宇都宮 一:自分の懐から財布を取り出し、立ち上がる為、〝敷物〟に片手を置いた。
    宇都宮 零路:ばぎばぎばぎばぎばぎっ
    宇都宮 零路:胸の厚みが半分程に減った男は、血反吐を吐いて動かなくなった。
    Dr.フィティアン:「やあー、これはどうもどうも、ご丁寧に。次回ご来院の際にはサービスしますよ!」
    寒林鎮歌:「うちみたいなところ、利用しないのが一番なんですけれどね。ありがとうございましたー」
    天ヶ瀬アマタ:「まあリザレクトしますね。親子喧嘩の範囲です」
    天ヶ瀬アマタ:「僕も父親とこれくらいやりました。エージェントとしてセーフと判断します」
    宇都宮 一:「ははは、次はお互いに無いといいですねぇ。お世話になりました」
    寒林鎮歌:「いいわねえ、親子げんか」ちょっぴり、羨ましそう。
    宇都宮 一:潰れた〝敷物〟を肩へ担ぎ上げ、財布をその場に残して少女は去ろうした。
    宇都宮 一:その途上、くるりと振り向いて、
    宇都宮 一:「けれど、私はこいつを食べたいとは思いません」
    寒林鎮歌:「それがいいですよ。きっと、食べても不味いと思います」
    宇都宮 一:「そりゃ当然。人の肉なんて、美味しくないものですから!」
    宇都宮 一:《ワーディング》
    寒林鎮歌:「……言ってくれるわねえ」肩をすくめる。
    宇都宮 一:非オーヴァードの目に留まらぬように、だが悠々と、宇都宮親子は何処かへいなくなった。
    天ヶ瀬アマタ:「……あっ、待ってください! 書類の整理をやりますよ! UGNの施設からの退所は何かと事務手続きが面倒なのですから!」
    天ヶ瀬アマタ:「もー! だから捕縛任務って苦手なのに~!」
    寒林鎮歌:でも、彼女は生きながら食べられた側だったから。その点を踏まえれば、あまり怒る気にもなれなかった。
    天ヶ瀬アマタ:と言って宇都宮親子を追って駆け出していく。
    Dr.フィティアン:「いってらっしゃーい」手を振って見送ります。
    寒林鎮歌:「さーて、モップモップ」それを見送ることなく、掃除用具入れへ向かう。
    天ヶ瀬アマタ:「あ」
    天ヶ瀬アマタ:駆け出す前に立ち止まり振り返る。
    天ヶ瀬アマタ:「今回、色々とありがとうございました。もし何かございましたら再びご協力いただくかも知れません」
    天ヶ瀬アマタ:「その時はよろしくおねがいしますね! それじゃ!」
    天ヶ瀬アマタ:それだけ早口で言うと、また駆け出していった。
    寒林鎮歌:「チッ……」
    Dr.フィティアン:「あーこらこら、愛想良く愛想よく。堅気じゃなさそうだけど、そんな悪い人に見えなかったけどね?」
    寒林鎮歌:「色々あったんですよ……」
    寒林鎮歌:「できたら当分……会いたくはないです」
    寒林鎮歌:雇い主に返事して、今度こそ掃除用具入れへ。モップとバケツを用意して、床の血やらなんやらを片付けていく。
    寒林鎮歌:無心に作業しながら、思い出すのはやはり先日の事件。
    寒林鎮歌:——人は、どうして、人を食べないのが当たり前だと思うんだろう?
    寒林鎮歌:理屈では知っている。人間が人間を食う社会は、一定の大きさまで発展しえない。治安を維持する倫理が保てないから。
    寒林鎮歌:でも。それは。ただ人の倫理が未熟だから、そういう限界に引っかかるのだと思う。
    寒林鎮歌:だって、いつも思うのだ。この世には「人を食べること」と「肉を食べること」を混同する奴が多すぎる、と。
    寒林鎮歌:宇都宮零路も、クリスティーナも、「人」を食べるのではなく、「人という肉」を食べている悪食どもだった。
    寒林鎮歌:世間で言う〝食人鬼〟という言葉が指すのも、「人という肉」を食べるものだ。
    寒林鎮歌:(ねえ、お父さん)
    寒林鎮歌:(どうしてみんな、パパやママみたいに、人を食べようとしないんだろうね?)
    寒林鎮歌:人を人のまま食べる——たったそれだけのことを、みんな、どうして分からないんだろう?
    寒林鎮歌:死んだ人はただの物。そう言うなら、どうして葬式や墓地がある?
    寒林鎮歌:人は死んで肉になっても人だ。
    寒林鎮歌:人の肉を食べるなら、人を「いただく」礼儀を持つべき。たった、たったそれだけのことなのに。
    寒林鎮歌:(もっとみんな、そのことを分かってくれたらなあ……)
    寒林鎮歌:きっと、このことは、あの藍谷瑠璃にも、理解してもらうまで時間がかかるだろう。
    寒林鎮歌:別に、彼女にこんこんとその話をする気はないけれど。
    寒林鎮歌:いつか、いつか、分かって欲しい。
    寒林鎮歌:そう願わずには、いられなかった。



    GM:Dx3rdセッション『いただきます』、一切の行程を終了致します。
    GM:お疲れ様でした!
    寒林鎮歌:お疲れ様でした!
    天ヶ瀬アマタ:お疲れさまでした!!!!!
    天ヶ瀬アマタ
    藍谷瑠璃@見学:おつかれさまでした!

    天ヶ瀬アマタ:これも加えておこう…・…