烏が鳴くから
帰りましょ

姫ごと

作曲:困り猫Pさん(ニコニコ動画マイリスト
作詞:ハシブトガラス


少女十七可愛らし 蝶よ花よと籠の鳥で
そうと近づく猫なで声 あれは何ぞと羽広げた

浮名流す手練手管 紡ぐ言葉夢の如く
そうと近づく女の目に 酔わされた侭 嗚呼 子の刻

震える唇 犯すように
花 散らした

喘ぎは五月雨 閨の内に忍ぶ指
昇り詰めて今一度 唇は綻ぶ
掻き出せば乱れ 尚も枯れぬ泉
口を付けて啜れば 誘う桃源郷


少女十七(いろ)めいて 春に揺れる花の如し
あどけない娘の心 たった一人の女ぞ知る

求めて夜毎に嬌態嬌声 空虚を貫く愛に溺れ
重ねて果て無き果ての果てに 泣き濡れ叫び堕ちて逝く

震える唇 歌うように
花 開いた

心は五月雨 閨の内に忍ぶ恋
誘い出され知った空 翼に受けた風
望むなら乱れ 全て()に晒そう
舌を絡めて踊れば 想いは桃源郷


縺れた躰を 溶かすような
夜に咲いた

喘ぎは五月雨 閨を濡らす長い雨
二つ寄り添う百合の香を 舌で蕩かし拭う
諸共に乱れ 重ね合った泉
かれるまでと踊れば 果ても無い秘め事








 夜が更けるが先であったか、障子が開け放たれるが先であったかは分からぬ。
 ただ、木陰を宿に定めた私が、星の薄明りの中に見たものは、間違いなく女であった。
 二人の美しい女が手足を絡ませ、歌うように喘ぎ鳴いていた。

 ……とまあ、そういうお話のエロ歌詞です。
 piapro投稿第一号からエロ歌詞、かつ歌詞募集への応募という無茶ぶりでしたが、無事に採用されて動画となりました。
 実は「姫事」と書こうと思っていたところ誤変換し、そのまま気付かず話が進んで「いやでもこっちもいいじゃん?」と正式タイトルになったような、そんな裏話もあります。

 過保護に大事に育てられた娘を、色好みの女が誑かすという1番の歌詞。
 対して2番の歌詞で、誑かされた少女も女にぞっこんで、一見は分かりやすく少女→女の歌詞に思えるかも知れません。
 ただ、籠の鳥だった少女をわざわざ口説きに行って、目的を達成した後も離れられない時点で、女の側の方がどっぷりと浸かってると思うのです。
 籠の鳥は空の広さを知りました。後は飛ぶも自由、留まるも自由。
 飛んで去られるのが怖いから、必死に繋ぎ止めようとする女の歌、という風に思っていただければ幸いです。
 技巧的な試みは、第一作ということでさほど行っていません。
 敢えて言うとすれば、「かれるまでと踊れば」の部分、「枯れる」と「離れる」で、和歌によくある掛詞にしてるくらいです。
 よみがなもあまりひねくれたものは使わず、落ち着いた感じになってるんじゃないかと思います。

 この曲の動画化にあたり、イラスト担当の瀬名さん(pixiv)とお話をしてデザインを打ち合わせたのですが、
 唇に咥えた桜の花弁、ミクの手に絡み付く髪、年下のミクの方が余裕な表情等々、細かい所まで瀬名さんがリクエストに応えてくださいました。
 元々は畳の部屋の中、灯籠の灯りに照らされて睦み合う二人という筈だったところ、
 ふと「室内にカメラ置いて障子向こうの縁側で半青姦してるところ映すのどうでしょう?」と提案したら瀬名さんが超反応で仕上げて来たりも。
 あの方には是非、女体をキャンパスにライブペイントという無茶な案を実現して欲しいものです。

 ちなみに制作風景はだいたいこんな感じ↓
・楽曲制作
猫「このメロディはこうした方が!」
烏「いや歌詞がこうだから!」
猫「いやいやいやいや」
烏「いやいやいやいや」
猫「いやいやいやいやいやいやいやいや」
烏「いやいやいやいやいやいやいやいや」

・イラスト制作
烏「遊び人ルカ×誘い受けミク和風ややダークにエロティックで」
猫「おk」
烏「遊び人ルカ×誘い受けミク和風ややダークにエロティック!」
瀬「遊び人ルカ×誘い受けミク和風ややダークにエロティック!!」
烏瀬「ルカミク屋外和風エロティック万歳!!!」
猫「頭おかしい」