『ヘイズ・ロードの夢鍵』

これは誰かが見ている夢だ。夢の話だ。



PC1:〝空の華冠(セルリアン)ヰ乍 蒼治(いさ・そうじ)(キャラシート)PL:カムリ 文字色#009ce0
PC2:〝ライラ〟 私市 水琴(きさいち・みこと)(キャラシート)PL:いーさにうむ 文字色#0062b1

メイン雑談『眠深市/ヘイズ』ステージデータ
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目次

  • プリプレイ
  • OP1:ライラ
  • OP2:金と赤
  • ミドルシーン1:〝外交〟
  • ミドルシーン2:この先、強敵があるぞ
  • ミドルシーン3:尻が有効だ
  • ミドルシーン4:『ヘイズ』
  • クライマックス
  • バックトラック
  • 共通ED
  • ED2:闇の花
  • ED3:夜明け前

  • プリプレイ

    ■自己紹介
    GM:ちょっともう少し掛かりそうだから
    GM:おふたりそれぞれ自己紹介してておくれ!
    カムリ:はーい!
    ヰ乍 蒼治:では、手始めにこちらから。
    ヰ乍 蒼治:http://character-sheets.appspot.com/dx3/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEYr77JiwQM
    ヰ乍 蒼治:「オレの夢? 王様! ……なんだよ。笑うとこじゃね~って、そこ」
    ヰ乍 蒼治:ヰ乍・蒼治(いさ・そうじ)。コードネームはセルリアン。
    ヰ乍 蒼治:性格はお人好し。職業は高校中退バックパッカーです。フューチャー…オーノー…
    ヰ乍 蒼治:時代錯誤な「王様になりたい」という欲望を抱いており、そのために日本を飛び出して各地を放浪中のちゃらんぽらん。
    ヰ乍 蒼治:陽気で根明、暗いことは考えないように見える楽天家で、困っている人はどう頑張っても見過ごせないこれまた困った人です。
    ヰ乍 蒼治:覚醒経緯は不明ですが、ある時期からオーヴァードとしての能力が発現しました。
    ヰ乍 蒼治:UGNの分類コードでは『白猿の額冠』と称される遺産に寄生されて以降、物体や概念に生命を与える異能を駆使できるように。
    ヰ乍 蒼治:代償は、『未来の自分の可能性』。結構重めですが王様になるためにはそんなことは気にしていられない。
    ヰ乍 蒼治:性能的にはオルクス/ノイマンのRCサブアタッカー。申し訳程度のダイスバフと再回転もできるぞ。
    ヰ乍 蒼治:シーン1回の装甲無視範囲攻撃で立ちはだかる全てを粉砕して王になりたい!
    ヰ乍 蒼治:以上、よろしくお願いします。今回は憧れの先輩と一緒とのことなので張り切っちゃうぞ!
    私市 水琴:じゃあ、私も。
    私市 水琴:http://character-sheets.appspot.com/dx3/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEYj4uwiQQM
    私市 水琴:「……今日は、なにか飲んでいく?」
    私市 水琴:私市 水琴(きさいち・みこと) 20歳、県立大学に通う3年生。理工学部物理学科所属。
    私市 水琴:UGNチルドレンとして任務に就く傍ら、繁華街のバーでアルバイトもしている。
    私市 水琴:ややダウナーな表情が多く、目立つことは嫌い。どちらかというと堅実に生きていたいタイプ。
    私市 水琴:中性的な顔立ちと、青みがかったショートヘア、赤縁のアンダーリム眼鏡が特徴。女性にしてはやや背が高い。
    私市 水琴:眼鏡はシンドローム由来の良過ぎる視力を強制するためのもの。単純な筋力という意味では非常に貧弱で、並の人間以下。握力は10。
    私市 水琴:主たる能力はハヌマーンの機動力とエンジェルハィロゥの認識撹乱能力。
    私市 水琴:通電させることで瞬間的に強度と硬度を増す特殊な"糸"を戦闘に用いる糸使い。迎撃だけでなく、前述の能力から攻め入ることも不得手ではない。
    私市 水琴:また、"糸"を扱うための厚い革の指抜きグローブを嵌めることを、戦闘任務に当たる際の"スイッチ"としている。
    私市 水琴:データ的にはハヌマーン/エンジェルハィロゥ/ブラックドッグの隠密射撃型。
    私市 水琴:それなりの行動値から、D:業師で取得した《ライトスピード》で一気に単体を削り切る構成。装甲をおおよそスルーできるので決定力もそれなり。
    私市 水琴:後輩の目玉であるオート支援はあまり受けられないけど、今までもそれなりに一人でやってきたから。
    私市 水琴:……それじゃ、こんなところかな。よろしく。
    GM:OK待たせたなお二人とも

    ■トレーラー
    昨日と同じ今日、今日と同じ明日。
    昨日殺したあの男を、今日もまた殺す。
    あの女に昨日殺された、今日もまた殺される。
    異常こそ平穏。狂気こそ正常。霧の中に王はなく、故に秩序も訪れぬ。

    『ヘイズ』。
    未だ醒めぬ夢。

    ダブルクロス The 3rd Edition.

    『ヘイズ・ロードの夢鍵』

    「王って、なんだい?」

    ダブルクロス、それは裏切りを意味する言葉。

    ■ハンドアウト

    PC1:ヰ乍 蒼治(いさ・そうじ) シナリオロイス:平坂 歩(ひらさか・あゆむ)

    あなたはいずれかの組織に所属しないオーヴァードであり、故にフットワークも軽い。
    それを見込んでだろうか。とある夜、あなたに接触してきた女がいた。
    彼女は、人捜しの協力を依頼したいのだと言う。
    〝あるもの〟をその人物から奪い取りたいのだと。

    PC2:私市 水琴(きさいち・みこと) シナリオロイス:病花 竜胆(やみばな・りんどう)

    あなたは、とあるUGNの支部に所属している。
    数年前に交代した病花支部長が、今の直属の上司となる。
    ……その上司からの命令だ。〝コネクター〟なるオーヴァードを捕縛せよと。
    ここしばらく活動の痕跡は無いが、いずれ必ず脅威になるのだと言う。

    GM:ということで早速OPなのだが
    GM:まずはPC2から行かせてもらおうか!
    私市 水琴:了解。
    GM:ということで今日明日2コマ全力疾走するぜよろしくお願いします!
    私市 水琴:よろしくお願いします!
    ヰ乍 蒼治:よろしくお願いします!頑張ろうね、先輩!

    OP1:ライラ


    GM:私市さんの登場侵蝕!
    私市 水琴:私市 水琴の侵蝕率を1D10(→ 3)増加 (38 → 41)
    GM:よろしい
    GM:このシーンですが、なんかロリ支部長から
    GM:〝コネクター〟ってオーヴァードとっ捕まえてきて。ちょっと秘密任務な
    GM:って依頼されるだけの感じです。シンプルだよ!
    私市 水琴:ヤー

    GM:【某市UGN支部、支部長室】
    病花 竜胆:あなたの目の前には、机に腰掛けている少女がいる。
    病花 竜胆:……机だ。椅子ではない。
    病花 竜胆:もっとも、この支部長室の大机を前にして椅子に座ると、彼女の背丈では視認性が悪かろう。
    私市 水琴:今となっては慣れたものだ。特にそれに気を取られる素振りもなく、部屋に静かに入った後、彼女の口が開くのを待っている。
    病花 竜胆:「〝ライラ〟、わざわざ呼びつけてすまんのう」
    病花 竜胆:「……しかし、なんじゃな。このコードネーム」
    私市 水琴:「いえ、課題ももう終わる頃でしたし。……コードネームが何か?」
    病花 竜胆:「外人の名前を呼んどる気分じゃな。なんとかならんのか」
    私市 水琴:「前の支部長に言ってください。或いは、もっといいのを付けて下さるか」
    病花 竜胆:「じゃあ〝乳おばけ〟」
    私市 水琴:「……却下です」 僅かに眉を顰めて。
    病花 竜胆:「ちっ」舌打ちをひとつ挟んで
    病花 竜胆:「……して、事前連絡の通り。此度の任務は、お主の単独任務となる」
    病花 竜胆:「他の者に口外など、してはおらぬな?」
    私市 水琴:一つ頷く。「勿論」
    病花 竜胆:「よしよし。口を滑らせていたら、その無駄にでかい胸部をヒール踏みの刑に処していたところじゃ」
    私市 水琴:「……前から思ってたんですが、私の胸に何か思うところでも──?」
    病花 竜胆:「ほれ」
    病花 竜胆:数枚の書類をぱさっと広げるように差し出す
    私市 水琴:空中に拡がったかのように見えた書類が、その直後には女の手の内に収まっている。
    病花 竜胆:「思うところならば有るぞ。隠し事に向いていよう、とな」
    私市 水琴:「生憎、創作上の女暗殺者のようなタイプではないんです」 薄ら笑って。
    病花 竜胆:「……此度の標的は〝コネクター〟、FH絡みの案件よ」
    病花 竜胆:書類の内容は、〝コネクター〟というオーヴァードについての簡単な記述だ。
    病花 竜胆:これまでに確認されている行動。戦闘データ。等々。
    私市 水琴:「……」 FH絡み、という言葉を聞きながら、書類に目を通しつつ。ちら、と視線を上げて。
    私市 水琴:「……単独任務と言いましたね。FHが絡む案件を、私一人に?」
    病花 竜胆:「あまり大勢の耳には入れとうなくてな」
    私市 水琴:「目立った活動の痕跡もないようですが」
    病花 竜胆:「じゃな。こやつ、特定のセルの所属というわけではない」
    病花 竜胆:「言うなれば傭兵よ。思想も理想もなく、金を求めてセルを渡り歩く」
    私市 水琴:「マーセナリー、でしたか。そういう部類の」
    病花 竜胆:「雇用主はほぼFH故、FHの所属と言ってしまっても良いのじゃろうが、うむ」
    私市 水琴:「……それで?」
    私市 水琴:「目標を、どうすれば宜しいのでしょう」
    病花 竜胆:「とにかく。こやつを秘密裏に見つけだし、可能ならば捕縛する」
    病花 竜胆:「もし不可能ならば、捕縛も殺害もせずとも良い。が──」
    私市 水琴:「なるほど。……?」
    病花 竜胆:「こやつ、ちと〝厄介なもの〟を所持している可能性がある」
    病花 竜胆:「おそらくは装飾具の形をしておろう。具体的な形状はわからぬ」
    私市 水琴:「"厄介なもの"──遺産や、レネゲイドアイテム。そういう可能性ですか」
    病花 竜胆:「うむうむ。推測じゃが、こやつが〝なんらかの力〟を発揮しようとする時、発動の兆候があるじゃろう」
    病花 竜胆:「それがいかなるものであったか、私に報告する──それだけでも良い」
    私市 水琴:赤い縁の眼鏡の奥、翡翠色の瞳が細まる。「……分かりました」
    病花 竜胆:「もちろん上手いこと盗み出して、その無駄にでかい乳の間に隠して持ち帰っても構わんのじゃぞ」
    病花 竜胆:「そこまでできたら特別ボーナスものじゃ」
    私市 水琴:「確認だけでも良いなら、及第点の報告はできるでしょう。……それ以上は、あまり期待しないでいただければ」
    私市 水琴:「善処は、します」
    私市 水琴:僅かに左の唇が釣り上がる。自虐的な笑み。
    病花 竜胆:「よしよし」にかっと笑う。笑い顔だけなら、年齢相応の子供だ。
    病花 竜胆:……が。その子供は机から居り、あなたの傍へやってきて、
    病花 竜胆:背伸びをして耳元に口を寄せる。
    私市 水琴:「────」
    病花 竜胆:「……期待しておるのじゃぞ。他の誰でもなく、お主をな」
    私市 水琴:視線を、紫色の髪と。同色の瞳が捉える。
    私市 水琴:「……そう、ですか。有難いことです」
    病花 竜胆:「この任はお主だけのものじゃ。……そして、私だけの」
    病花 竜胆:「そしておそらく──お主が今考えているより、よほど愉快な未来を産むじゃろう」
    病花 竜胆:「良いか。これは単独任務」
    病花 竜胆:「私以外の誰にも──例え同胞、UGNであろうと」
    病花 竜胆:「かの〝リヴァイアサン〟にであろうとも、ゆめゆめ口外すまいぞ」
    私市 水琴:思いもしなかった名前が出たことに、ほんの少し瞳が見開かれる。また、元の形に戻る。
    私市 水琴:「……ええ、承知しました」
    病花 竜胆:「では、ゆけい。……と」
    病花 竜胆:ぽん、と、あなたに投げ渡されるものがある。
    私市 水琴:珍しく、一拍遅れて。それに手を伸ばす。
    病花 竜胆:分厚い財布だ。
    病花 竜胆:「使え」
    GM:……つまり。
    GM:〝正規ルートでの予算申請をするな〟ということだ。
    私市 水琴:「今どき、アナログじゃないですか?」
    私市 水琴:その意図を理解して、嗤って。
    私市 水琴:散々視線を注がれた胸の谷間に──タンクトップの布地が邪魔をして、入りはしないが。財布を、添えてみせる。
    病花 竜胆:「アナログ、結構ではないか。アナログでアナクロで、そういうやり方はのう」
    病花 竜胆:「日本国の貨幣が有効な場所なら、どこであろうが役に立つ」
    病花 竜胆:「POS端末やらレジスターやら、どこにでもあると思うでないぞ」
    私市 水琴:──そしておおよそ、痕が付かない。
    病花 竜胆:くっくっくっ……と小刻みな笑い声。
    病花 竜胆:……疫病草(えやみぐさ)。
    病花 竜胆:それが、この少女のコードネームだ。
    病花 竜胆:戦闘能力は低い。
    病花 竜胆:「のう、〝ライラ〟よ。お主にはなにか、望みというものはあるか?」
    私市 水琴:「……望み、ですか」 財布を、指で弄びながら。
    病花 竜胆:「今日明日何を喰いたい、という小規模なものではのうて」
    病花 竜胆:「将来、己はこういう未来に身を置きたい」
    病花 竜胆:「己はこう有りたいという──人生の目的とか、そういうものじゃな」
    私市 水琴:「それなら、決まってます」
    私市 水琴:「それなりの成績を修めて大学を卒業。UGN関連企業に就職し、安定した生活を得ます」
    私市 水琴:淡々と。"夢"を口にする。
    病花 竜胆:「それは目的ではない、手段じゃろう」
    病花 竜胆:「生涯使い尽くせぬ金が手元にあったとしたら、お主、そのような道を選ぶか?」
    私市 水琴:首を傾げる。「……さて。考えたこともなかったですね」
    病花 竜胆:くっくっくっ
    病花 竜胆:小刻みな笑い声が、また挟まる。
    病花 竜胆:「叶うぞ、何もかも」
    病花 竜胆:「私を信じて従えば、のう」
    私市 水琴:「……それが、貴女の言う。"愉快な未来"ですか」
    病花 竜胆:「おう。私は常々考えているのだとも」
    病花 竜胆:「誰もが等しく幸せになれる、素晴らしい世界の在り方をな」
    私市 水琴:「ご立派です。流石は支部長」
    私市 水琴:嘲るように、ではなく。本心からの言葉だ。
    病花 竜胆:「ふふふ。褒めよ褒めよ! 崇め称えよ!」
    病花 竜胆:むっちゃ上機嫌だ。
    私市 水琴:(……この人は。数年の付き合いだけど──分からないな)
    私市 水琴:底が見えない。見通そうとすれば、こちらが囚われ引き摺り込まれそうな──そんな感覚すら、ある。
    私市 水琴:そうであろうとなかろうと、深入りしようとは思わないが。
    私市 水琴:──彼女の言う通り、全ては"手段"なのだろう。
    私市 水琴:今こうして、彼女から任務を請けていることも。学生としての身分も、全て、全て。
    私市 水琴:(だけど。それで十分)
    私市 水琴:"夢"があるから、人は喪失を味わう。なら、ただ足元を見て歩みを進めることに、何の躊躇いがあるだろう。
    私市 水琴:("夢"なんて持つから)
    私市 水琴:ふるり、と。脳裏に過る、自分とよく似た色の瞳を、振り払う。
    私市 水琴:「……では。早速、掛かりますので」
    病花 竜胆:「うむ」
    私市 水琴:「随時、連絡はすると思いますが。数日途切れても、ご容赦下さいね」
    病花 竜胆:「構わんよ。こちらも捜索隊は出さん」
    病花 竜胆:「せいぜい自力で帰還して、私を喜ばせるが良い」
    私市 水琴:その言葉に、頷き。──ふ、と。その姿がかき消える。
    私市 水琴:一瞬の間。音もなく、扉が閉じる。
    私市 水琴:開いた窓を、外から閉めて。誰にも気付かれることなく、支部の外へ降り立って。
    私市 水琴:(……"愉快な未来"。そんな不確定なものは──望んでない)
    私市 水琴:私はただ、やるべきことを、するだけだ。

    病花 竜胆:「……人は平等に幸福であらねばならぬ」
    病花 竜胆:「王の下に、のう」
    病花 竜胆:髪飾りを手指で弄びながら、〝疫病草〟は笑った。

    GM:ロイスの習得が可能です、それに加えて、
    GM:財産点を3差し上げよう
    私市 水琴:美味しい もぐもぐ 谷間にしまいます
    私市 水琴:財産点が5になりました!
    私市 水琴:病花 竜胆 ◯有為/不信感 で取得。
    病花 竜胆:信じなさい……信じなさい……

    OP2:金と赤


    GM:蒼治くんカモン!
    ヰ乍 蒼治:ヰ乍 蒼治の侵蝕率を1d10(→ 10)増加 (28 → 38)
    ヰ乍 蒼治:オギャ…
    GM:バキバキじゃん
    GM:えー、蒼治くんはフリーランスというか、依頼とか受けてその金で旅してるみたいな
    GM:そんな認識で良いのかしら
    ヰ乍 蒼治:そうです!基本人助けとか日雇いのバイトとかでお金稼いでます!
    ヰ乍 蒼治:とはいえ正規人員に頼むよりよほど安い給金で動いているでしょう。一日先の食い物とお風呂の金があればそれでハッピー
    GM:ふむふむ。レネゲイド絡みの依頼も受けてる感じです?
    ヰ乍 蒼治:全然受けます。必要ならFHとかとも戦うかも知れません。
    GM:OK
    GM:ではそんな感じで、あなたの言動とか色々の噂を聞いた変な女に
    GM:そうだな、えーと
    GM:夜のビルの屋上に呼び出されたことにしよう

    GM:【某市、ビジネス街】
    GM:上層階がほとんど空いてしまったオフィスビルが一棟、そこにあった。
    GM:特に珍しい点は無い。外壁の汚れは目立つが、それだけだ。
    GM:しかし一点、特筆すべき点を上げるとしたら、
    GM:このビルの非常階段は外壁を伝って屋上まで伸びている。
    GM:……つまり外部の人間が、屋上まで上っていくことが可能だ、という点か。
    GM:あなたは今、そこに、ひとりで立っている。
    GM:月も星も無い、視界より下にしか灯りのない、暗い夜であった。
    ヰ乍 蒼治:「……見えね~~~」手をカメラの画角のように構え、空を映している。
    ヰ乍 蒼治:「星。屋上呼び出されたから、良い景色撮れっかもって思ったけど」
    ヰ乍 蒼治:溜息を吐く。「駄目そうだな……大人しく待つか」
    GM:鉛色の空、などと言う例えもあるが──夜の街の空というのは、
    GM:電源のついていないブラウン管テレビとか、指紋が付いたままのディスプレイとか、
    GM:そういう、くっきりとしない曖昧な黒色をしている。
    GM:……その中に、きらりと、銀色の光が混ざった。
    GM:良く良く見ればそれは、刃が地上の光を照り返したものだと分かるだろう。
    GM:それから、金色。赤。
    GM:赤い差し色の金髪が、見えたことだろう。
    平坂 歩:死神のような大鎌を担いだ女が、夜空に、さかさまに立っていた。
    ヰ乍 蒼治:「うおわあっ!?」叫んでひっくり返る。
    ヰ乍 蒼治:「……こんばんは?」
    平坂 歩:ゆっくりと、その女は降りてくる。……髪が、重力に従っていない。
    平坂 歩:普通に立っているかのように、顔の横に沿っていた髪は、
    平坂 歩:地上2mほどの高さで、ふっと、自然法則に身を委ねた。
    平坂 歩:「こんばんは、少年」
    平坂 歩:右手で大鎌の柄を掴んだまま、その女は、左手で屋上に着地した。
    平坂 歩:……言葉の途中でネクタイが垂れ下がり、逆立ちになった女の顔に被さった。
    ヰ乍 蒼治:……しばらく、言葉を失っていた。凄絶な色彩に、鋼のようなその美貌。
    ヰ乍 蒼治:ややあって、僅かに唇が動く。
    ヰ乍 蒼治:「……ネクタイ、直すッスよ」
    平坂 歩:「せっかちだね、君」
    平坂 歩:「初対面の女の胸元に手を伸ばそうとは」
    ヰ乍 蒼治:「あっいや!ごめんなさい!」
    平坂 歩:よっ、と軽いかけ声を入れて立ち上がる。……ようやっと重力に対応した立ち姿になった。
    平坂 歩:「……ふむ。ふむふむ」
    平坂 歩:「噂に聞いていた印象より、君、派手だねえ」
    平坂 歩:「なのに奥手と来たかい。それとも紳士なのかな」
    平坂 歩:立って並んでみれば、もう見上げる必要は無い。
    平坂 歩:いいや、寧ろ視線は斜め下に向けられるだろう。
    平坂 歩:女性としては高い背丈だが、それでも、あなたよりは小柄だ。
    平坂 歩:……身体の幅などは、ぴっちりと肌に張り付くような衣服のせいもあるが、
    平坂 歩:あなたの半分ほどしか無いのではないか。そんな見た目をしていた。
    ヰ乍 蒼治:「や……だって、困るでしょ。そのままだと、前見えないじゃないスか」
    ヰ乍 蒼治:「折角会えたんだから、顔見て話したいなって」緊張が解けたのか、笑って一息。
    平坂 歩:「顔が見たいのかい。ならば、ほら、ほら、ほら」
    平坂 歩:ずい、ずい、ずい
    平坂 歩:然程離れていない距離を歩み寄って、ネクタイも手で払い落とせば
    平坂 歩:何をしているわけでもないのに楽しそうな、彼女の顔が、ぐっと近づく。
    平坂 歩:「……ヰ乍 蒼治くん。高校中退。日雇いバイトの日々を送る根無し草」
    平坂 歩:「とんでもない夢物語を口にして、堅実な未来を投げ捨てた、素晴らしきフール」
    ヰ乍 蒼治:物凄い微妙な顔をする。
    ヰ乍 蒼治:……距離が、近い。お互いの吐息の温度が伝わるかも知れない。
    平坂 歩:「コミュ力なるものが大事なこの社会だとね、君みたいなタイプは」
    平坂 歩:「レールに乗れば真っ直ぐ、安定した人生を送れたと思うんだけど」
    平坂 歩:「脱線した理由を聞いてもいいかい? 同じ脱線組としてさ」
    ヰ乍 蒼治:「おねーさん、グイグイ来ますね。嫌いじゃないスけど……」少し恥ずかしそうにはにかむ。
    ヰ乍 蒼治:「つっても、めっちゃ下らねえことっスよ」
    ヰ乍 蒼治:身を起こして、死神のような女に顔を近づける。
    平坂 歩:「知ってる。だから君を選んだ」
    平坂 歩:背伸び。
    平坂 歩:……下から、額を重ねて行く。
    平坂 歩:「でも、ほら」
    平坂 歩:「こういうのは直接、本人の口から聞いてこそ意味があると思わないかい?」
    ヰ乍 蒼治:「――」
    ヰ乍 蒼治:猫のように光る瞳を見た。
    ヰ乍 蒼治:「……オレは、王様になりたいんだよ」
    平坂 歩:微笑んでいる。
    平坂 歩:笑ってはいない。
    平坂 歩:……嘲笑ってはいない。
    平坂 歩:笑みで細められた瞼の向こうに、瞳は確かにきらめいていて、
    平坂 歩:無垢な子供が星や月に向けるような目であなたを見ている。
    平坂 歩:星も月も無い夜。
    ヰ乍 蒼治:「大きなことが、出来る奴になりたい。オレの可能性を全部使って、多くのヒトを助けたい」
    ヰ乍 蒼治:その夜さえも塗りつぶすような欲望を、何の衒いもなく口にする。
    ヰ乍 蒼治:「……笑わないンすね。珍しいな」
    平坂 歩:「笑わないよ。……いいや、嬉しくて笑い出しそうだけど」
    ヰ乍 蒼治:「二人目すよ」
    ヰ乍 蒼治:呟くように言う。
    平坂 歩:「────」
    ヰ乍 蒼治:「オレの夢、きちんと聞いてくれたの」
    平坂 歩:口の形が一瞬、「ひ」の形を作って声を出しかけたが、
    平坂 歩:代わりに、この女は、夢のような言葉を吐き出した。
    平坂 歩:「君の願いを叶える術を知っている──と言ったら?」
    ヰ乍 蒼治:「!」目を見開く。
    平坂 歩:「取引をしたい」
    平坂 歩:「君の願いを叶えよう。だから私の願いを叶えて欲しい」
    平坂 歩:「私はその術を知っているが、私だけではその術を選べない」
    平坂 歩:とん
    平坂 歩:軽く一歩、後ろへ跳ね飛んだ。
    平坂 歩:その小さな跳躍だけで、彼女は、屋上の柵の上に立った。
    ヰ乍 蒼治:「っ、危な――」呼んで、手を掴もうとした。そうして、その女の名すらも知らないことに気付く。
    平坂 歩:「平坂 歩だ。……君を〝ヘイズ〟の王にする」
    平坂 歩:「その力を得るため──とある少女を捕らえて欲しい」
    ヰ乍 蒼治:「……”ヘイズ”?王様……」意味不明だ。だが、何かが動き出そうとしていることだけは予感できた。
    ヰ乍 蒼治:……けれど。
    ヰ乍 蒼治:「取引じゃない」
    ヰ乍 蒼治:「取引じゃ、嫌だ」
    平坂 歩:「ほう、利害関係ではいやだと」
    平坂 歩:「ならばどういう形がいいんだい。友愛かな、情愛かい?」
    ヰ乍 蒼治:「そうだよ。だって――」ぐ、と柵をよじ登る。
    ヰ乍 蒼治:「平坂さん、困ってるんだろ!」
    ヰ乍 蒼治:夜空を紗幕に、舞台に立ち上るように。
    ヰ乍 蒼治:「だったらオレは、平坂さんを助けるよ。だって、オレの夢を笑わなかった」
    平坂 歩:「────」
    ヰ乍 蒼治:「でも、助けられたから助けるとか、そうじゃなかったら見捨てるとか、そういうのは嫌なんだ。少なくともアンタとは」
    ヰ乍 蒼治:「困ってる奴を助けないで、王様になんかなれない」
    平坂 歩:唐突に、
    平坂 歩:その女は、笑いながらあなたへ手を伸ばした。
    平坂 歩:腕を、身体に回した。
    平坂 歩:あなたの腕を胴体に縛り付けるように、両腕でがっしりと、正面から抱きしめて──
    平坂 歩:「ははっ」
    平坂 歩:「あははははははははっ!!!!」
    平坂 歩:屋上から、柵の外へ、アスファルトの道路目掛けて、
    平坂 歩:なんの躊躇いもなく、あなたごと跳躍した。
    GM:地上が迫る。何トンもの重量を支える前提のアスファルトが迫る。
    GM:頭と足とが逆さになって、周囲の光景は走馬灯のじれったくなるほどゆったりとした速度で動いていって、
    ヰ乍 蒼治:「は――」気付けば、
    ヰ乍 蒼治:「ははっ、あはははははっ――!!」平坂さんと同じように、笑っていた。
    ヰ乍 蒼治:このまま彼女に叩きつけられて死ぬなら、それでも良いかと思ってしまった。
    GM:死ぬのだろうか
    GM:オーヴァードならば平気?
    GM:そんなことをたっぷりと、考える余裕があっただろう。
    平坂 歩:その女は笑っていて、
    GM:暗転。
    GM:あなたは、その女と共に闇に飲み込まれる。

    GM:《ディメンジョンゲート》

    平坂 歩:……世界が暗闇になる瞬間、あなたの耳元で声がした。
    平坂 歩:「……〝コネクター〟という少女が、初めの獲物だ」
    平坂 歩:「期待しているよ、私の王よ」
    ヰ乍 蒼治:虚ろな空に手を伸ばす。届かない。彼の夢が、そうであったはずのように。
    ヰ乍 蒼治:彼女は俺を、王様だと言った。何の可能性も持たなくなるはずの俺を。
    ヰ乍 蒼治:空に手が届きそうな、そんな予感がした。
    ヰ乍 蒼治:(……取引じゃない)
    ヰ乍 蒼治:(オレがアンタを従えてやる。オレを王にして良かったって思えるように、彼女の願いを叶えてみせる)
    ヰ乍 蒼治:(だから)
    ヰ乍 蒼治:ロイスを取得します。”最初の騎士”平坂歩 P:忠誠/N:絶望

    ミドルシーン1:〝外交〟


    GM:ではここからが本番だ
    GM:このシーンですが、シーン外でいさ平坂組がボーイミーツガール2話をやってたところ
    GM:2話予告編で動き始めた私市さんがこれまたシーン外で情報収集完了
    GM:「なんか私が追ってる獲物を追いかけてるオーヴァードがいるっぽいな」と気付いて接触する
    GM:そういう第三話相当な合流シーンです
    私市 水琴:了解。
    ヰ乍 蒼治:よっしゃ!
    GM:ということで双方登場侵蝕!
    私市 水琴:私市 水琴の侵蝕率を1D10(→ 3)増加 (41 → 44)
    ヰ乍 蒼治:ヰ乍 蒼治の侵蝕率を1d10(→ 8)増加 (38 → 46)
    GM:逆転したぞ
    GM:10も差があったのに……

    GM:【某市、工業地帯】
    GM:稼働停止した工場がひとつ。まだ廃棄はされていないが、ここ数ヶ月、シャッターが下ろされたままとなっている施設だ。
    GM:そこへ──私市 水琴、あなたは潜入している。
    GM:目的は、〝コネクター〟を追うオーヴァードふたり組。
    GM:奇襲を掛けるか? 話し合うか? それはあなたの判断に委ねよう。
    GM:確かなのは今、あなたは誰に気取られることもなく、無人の工場内を歩いているということだ。
    GM:標的はこの工場に、バロール能力を用いて出入りし、拠点としている。
    私市 水琴:──音もなく、姿を文字通り闇に融かし。女は、工場内を進む。
    私市 水琴:エンジェルハィロゥ由来の認識撹乱能力と、ハヌマーン由来の音の遮断能力。
    私市 水琴:それが、物心付く頃には既に"発現"していた彼女の特性であり、今や呼吸するように扱える能力である。
    GM:誰も、あなたに気付かない。故にあなたは聞き取るだろう。
    GM:例えるならば──
    平坂 歩:「んー、美味! 美味だねぇ! キャンプ用品にこんな力が隠されていたとは!」
    GM:──バーの酔客?
    GM:そんな感じの上機嫌な声と、
    GM:なにか美味しそうな臭いが流れてくるぞ。
    私市 水琴:(……廃棄された工場内で野外調理、とは)
    私市 水琴:呆れとも感心とも付かないため息が、無音のままに消える。
    平坂 歩:「こんな小さなボンベひとつでねぇ、すごいねぇ」
    ヰ乍 蒼治:「本だしとゴマ油で一気に味が締まるからね。缶詰の中で直接混ぜて入れれば、食器の無駄もない」
    平坂 歩:「ほら次、次だよ次のメニュー! おつまみー!」
    平坂 歩:けらけらと笑い声まで聞こえてくる。
    私市 水琴:彼方の愉快な声の主たちと、そう遠くはない距離。
    私市 水琴:それは。──気配に、非常に敏感なオーヴァードであれば。察することも、不可能な距離ではないが。
    ヰ乍 蒼治:「良く食いますね!平坂さんのそういうとこ好きっスよ!じゃあベーコンとチーズさっと炙って……」
    私市 水琴:「……随分、楽しそうですね」
    私市 水琴:男のすぐ、背後。背を合わせるように、声が。
    平坂 歩:「ん?」酒瓶を片手、もう片手は割り箸。そんな女が声の方に顔を向けた。
    ヰ乍 蒼治:「へ?」缶詰の蓋を口にくわえて、同じく振り向いている。
    私市 水琴:「ここで何をしているのでしょう。稼働停止しているとはいえ、所有者のいる施設です」
    私市 水琴:「中でキャンプごっこをするには少々──相応しくない場所かと、思いますが」
    平坂 歩:「スパイごっこにも相応しい場所とは言えないんじゃないかなぁ」
    平坂 歩:「鍵を開ける音も、シャッターを破る音もしなかった」
    平坂 歩:「君はどちらかと言うと所有者より、私達の側に近い気がするんだけど、どうだい?」
    私市 水琴:「こちらかそちらかと言われれば──そうですね」
    私市 水琴:「"ステュクス"。それから、"空の華冠(セルリアン)"」
    私市 水琴:「……ええ。貴女がたと同類であることは、確かです」
    平坂 歩:「……………………」
    ヰ乍 蒼治:「ええっ。じゃあ、プロじゃないスか……」間の抜けた声を出すが。
    平坂 歩:ぐりん、と首をヰ乍へ向けて
    平坂 歩:「バレてるよ、どうしたものか」
    ヰ乍 蒼治:「いや、でも、待って下さいよ。確かどっかで……」首を捻り、しげしげと女性を見る。
    平坂 歩:「必要とあらば数の暴力で叩き伏せてでも──ん?」
    私市 水琴:「……別に、ここでキャンプに興じていたことを咎めるつもりはありません」
    私市 水琴:「二三、話を聞かせてもらえれば、それで──」
    ヰ乍 蒼治:「あ~~~~ッ!! 水琴先輩!!」がばりと身を起こす。
    私市 水琴:「……へ?」 間の抜けたような声が漏れる。
    ヰ乍 蒼治:それはおおよそこの場には似つかわしくない頓狂な声だったが、同時に周りを弛緩させるような力があった。
    平坂 歩:「……せんぱい?」きょとん
    私市 水琴:(……情報を読み取る能力? それとも、或いは──)
    ヰ乍 蒼治:「高校の先輩なんスよ!頭良くて、いっつも本読んでたヒト」
    私市 水琴:「……待って。私は貴方のことなんか知らない。人違いよ」
    私市 水琴:表情を固め直し、そう告げる。
    ヰ乍 蒼治:「いやいやいや!!覚えてないです?2組のヰ乍蒼治!!」
    ヰ乍 蒼治:「ってかそっちが忘れててもオレが忘れませんって!先輩みたいな奇麗なヒトのこと!」
    私市 水琴:「いさ、そうじ……」 名前を反芻。その名前には──ある種"残念"なことに。
    私市 水琴:心当たりがあった。
    私市 水琴:「…………体育祭も文化祭も、マイク握って出し物してた?」
    ヰ乍 蒼治:「やっぱ覚えてるんじゃないっスか~。そうそう、クラスの奴等とバンド組んでエルレとか歌って……楽しかったな~アレ」
    私市 水琴:「………………」 どんどんと表情が険しくなっていく。
    私市 水琴:(あの時在学してた人間なら、誰だって知ってるわよ……)
    平坂 歩:「エルレ~? しゃらくさい若者の代表例じゃーん」けらけら
    平坂 歩:「……しかしその様子だと、覚えがあるようだねぇ。来訪者さん」
    ヰ乍 蒼治:「文化祭なんだから良いでしょ!それよりホラ、平坂さん!先輩っスよ!オレの自慢の!」
    私市 水琴:"陽キャ"を絵に描いたような男だ。楽しそうに人の中心に立っているのを、遠くから眺めてた類の人間には──縁のない人。
    私市 水琴:「自慢の、って……」
    ヰ乍 蒼治:「いつも、本読むときの姿勢めっちゃ良かったじゃないスか。オレ図書委員も掛け持ちしてたから覚えてるんスよね」
    私市 水琴:「……ええ、覚えてますとも。図書委員なんて、誰もやりたがらないから──『兼任上等! 二人分も三人分も働きます!』って」
    私市 水琴:「そんな啖呵切って委員会に顔出す男。忘れるわけないでしょう」
    私市 水琴:後半はほぼ、自棄だ。
    ヰ乍 蒼治:「そうそう。人数足りなかったぽいから入ってただけスけど、色んな人と仲良くなれるから悪かなかったスよ」
    ヰ乍 蒼治:そう言って、意趣返しのようににかりと笑う。
    私市 水琴:ぷい、とそっぽを向く。
    私市 水琴:「……ねえ。そのヰ乍くんが」
    私市 水琴:「こんなところに女性を連れ込んで、一体何に興じてるのかしら」
    私市 水琴:金髪の女に、視線を僅かに向けながら問う。
    ヰ乍 蒼治:「王様になろうとしてます!」
    平坂 歩:「そういう〝水琴先輩〟こそ、何をやってらっしゃるのかなー?」
    平坂 歩:「まさか、ヤンキーふたりの悪さを咎めるためだけに来たとでも?」
    ヰ乍 蒼治:「あ、いや…王様ゲームとかそういうことじゃなくて…っつか、何スかこのバチバチの雰囲気」
    私市 水琴:「王様……?」 一度訝しげな目を向け、それから金髪の女に向き直って。
    平坂 歩:「……少年、君の脳天気さは武器になるが、王としては少し不安になるなぁ」
    平坂 歩:「考えても見たまえよ。彼女は私達のコードネームを知っている」
    平坂 歩:「ある程度先に、私達の行動を調べているということだ」
    ヰ乍 蒼治:「えっ!水琴先輩オレら捕まえに来たんスか!?」
    私市 水琴:「……そこまで短絡的に事を運ぶつもりはないけれど」
    私市 水琴:「”場合によっては”そういう選択肢も、ありえるかもね」
    ヰ乍 蒼治:「カンボジアで警察に捕まった時の留置場がトラウマなんスよ!もう牢屋と名の付く所は勘弁!」
    私市 水琴:「一体何してたの?」 思わず素だ。
    ヰ乍 蒼治:「……いや……現地の警察が腐敗してたんで……色々……」
    私市 水琴:「……それについては、まあ、いいとして」
    私市 水琴:──思案する。どのように物事を運ぶのが、最善か。そして、何より。”何のために”彼らは、自分と同じものを追っているのか。
    ヰ乍 蒼治:「っつ~か、そもそもこんな辺鄙なトコ来る理由なんてそんなにないでしょ?」
    平坂 歩:横合いからヰ乍 の口元に手を伸ばし、
    平坂 歩:「えい」唇の上下を同時に摘まむ。
    ヰ乍 蒼治:「だからオレら……ムー!」抵抗せずに摘ままれる。
    私市 水琴:「そのまま、放っておいてくれれば楽だったのに」 薄く笑む。
    私市 水琴:(彼らはUGNのイリーガル登録もされている。同行させること自体は問題ない──いや、”コネクター”は)
    私市 水琴:(私だけが追うべきものだ。さて、どうしたものか……)
    私市 水琴:「……貴方達が、追っているもの。そこから、手を引いてくれさえすればいい」
    私市 水琴:「”それ”は、『私たち』の管轄になる」
    ヰ乍 蒼治:(……)無言で平坂さんを見る。
    平坂 歩:「無理だね」指を開き、彼の唇を解放しながら
    私市 水琴:ぴく、と眉が動く。「何故?」
    平坂 歩:「ふむ。そちらのバックはおおよその想像ができる。逆らうのは得策じゃないと思うが」
    平坂 歩:「けれど私達にも目的がある。ただ私達が損をしろ、というのは受け入れがたい」
    平坂 歩:「例えば、そうだな──」
    平坂 歩:「〝コネクター〟の身柄はそちらに渡すから、所持品はこちらがもらい受ける……とかどう?」
    私市 水琴:「それは、出来ない」
    私市 水琴:ふるり、と首を振り。そこで──思い至る。
    私市 水琴:(……所持品と言った。彼らは、知っているのか?)
    平坂 歩:「……おかしいな。もし私の勘違いでなければだけど」
    平坂 歩:「君が欲しがっているものは、UGNの在り方にはとてもそぐわないと思うんだよ」
    平坂 歩:「すると……君個人の願望かい?」
    私市 水琴:(私より。随分多くを知っている……)
    私市 水琴:「そういう、わけではないわ」
    私市 水琴:(或いは──好都合か。私は一旦情報と身柄を持ち帰ればいい)
    ヰ乍 蒼治:「……じゃあ、先輩は」先程から黙って聞いていたが、黙って口を開く。
    ヰ乍 蒼治:「例えば、”それ”を手に入れたとして……それで、任務を達成したとして」
    ヰ乍 蒼治:「何を得るんですか?」
    ヰ乍 蒼治:一歩近づく。
    私市 水琴:「……私は、別に」
    私市 水琴:口籠る。私が得るわけでは、ない。持ち帰って──それで、終わりのはずだ。
    私市 水琴:「貴方達には。貴方達の”在り方”には……必要なものだと言うの?」
    ヰ乍 蒼治:「何かしたいって思ったから、夢があるから……先輩は今、その仕事してるんでしょ」
    ヰ乍 蒼治:「オレ達には必要なんだ」目を見据える。空色の、透き通った瞳。
    私市 水琴:その瞳を、見た。
    私市 水琴:昏く淀んだ瞳と絡まるには、あまりにも眩しい光が在る。
    ヰ乍 蒼治:「言ったでしょ。王様になる……それで、平坂さんの夢を叶える。でも」
    ヰ乍 蒼治:一歩踏み出す。
    ヰ乍 蒼治:「叶えてみせるよ。先輩の夢だって」
    私市 水琴:「……夢なんて。ないわ」
    ヰ乍 蒼治:「だったらオレが」逃がさないと言うように、更に視線を絡める。
    私市 水琴:「──やめて」
    ヰ乍 蒼治:「先輩の夢になる」
    私市 水琴:言葉が、重なる。拒絶。
    私市 水琴:「……こうしましょう。私は、貴方達のことをUGNに報告しない。今のところは」
    私市 水琴:「その代わり。貴方達に同行します」
    平坂 歩:「……へぇ」
    ヰ乍 蒼治:「……良いよ。監視ってことでしょ、その位は当たり前だ」
    ヰ乍 蒼治:「平坂さんも、それでいいよね。きっと先輩は力になってくれるはずだ」
    私市 水琴:(そのものを得ることは、短期的な目標ではない。……だから、これでいい。そのはず)
    平坂 歩:「ふむ。構わないとも、我が王よ」
    平坂 歩:「君の決定は〝王命〟だ。……今はまだ言葉でしかないが」
    平坂 歩:「すぐにもそれは現実的な力を持つのだから」
    ヰ乍 蒼治:「ありがとね」柔らかく微笑む。「それでダメだったら、オレがUGNに連れてかれるよ。その代わり平坂さんには手出さないでくれ」
    私市 水琴:「今後次第、かしらね」
    平坂 歩:「────────」
    平坂 歩:不意に、ふらりと歩を進めた。
    平坂 歩:私市水琴の隣に立ち、その肩へ馴れ馴れしく片腕を回し──
    平坂 歩:「……絆された?」耳元に、小さな声で囁く。
    私市 水琴:「────っ!」 肩に回せば、隠しきれない華奢な体がぴくり、と震える。
    平坂 歩:「仕える王を選びたまえよ」
    平坂 歩:「我らは命を賭すのだから」
    私市 水琴:「……そういう風に見えたのなら。心外だわ」
    私市 水琴:その手を、革手袋に覆われた手で退ける。
    GM:腕が離れ、代わりに訪れるのは暫しの静寂。
    GM:……と、美味な夜食の香り。
    GM:或いはご相伴にあずかる──という手が無くも無いが。
    GM:とにかく今宵は、相互不可侵の条約が締結した。

    GM:ということで
    GM:ロイス&調達タイム!
    私市 水琴:ヰ乍蒼治 懐旧/◯警戒 で取得
    ヰ乍 蒼治:”二人目の騎士?”私市 水琴 ○懐旧/罪悪感で取得
    GM:調達はどうするかね?
    GM:ショートセッションだしあんまり調達チャンスは無いぞ!
    ヰ乍 蒼治:とりあえずボデマ!
    私市 水琴:あっ調達もあった じゃあボデマを
    ヰ乍 蒼治:3dx>=12
    DoubleCross : (3DX10>=12) → 8[3,6,8] → 8 → 失敗

    私市 水琴:1dx+2>=12 ボデマ
    DoubleCross : (1DX10+2>=12) → 3[3]+2 → 5 → 失敗

    私市 水琴:ふふっ 失敗で以上
    ヰ乍 蒼治:お金ないわ
    病花 竜胆:財布の厚みが足りなんだか……
    私市 水琴:もっとください

    ミドルシーン2:この先、強敵があるぞ


    GM:情報収集シーンだ! 両方登場!
    私市 水琴:私市 水琴の侵蝕率を1D10(→ 4)増加 (44 → 48)
    ヰ乍 蒼治:ヰ乍 蒼治の侵蝕率を1d10(→ 2)増加 (46 → 48)
    ヰ乍 蒼治:おそろい!
    私市 水琴:そう……
    GM:揃った
    GM:このシーンはサクッと情報抜いて、軽く共有するくらいの短いものを考えているぜ
    GM:情報項目はまずこちら
    GM:【〝コネクター〟】 目標値7《情報:UGN》or《情報:噂話》
    私市 水琴:それじゃあ私がいきましょうか。
    私市 水琴:コネ:UGN幹部使用。情報:UGNで判定。
    私市 水琴:3dx+4>=7
    DoubleCross : (3DX10+4>=7) → 6[1,1,6]+4 → 10 → 成功

    ヰ乍 蒼治:TUYOI
    GM:あっさりだわ
    GM:ではまずこちらから
    【〝コネクター〟】 ファルスハーツの複数セルを渡り歩いていた傭兵紛いのオーヴァード。
    最近になって、どのセルからも距離を置き、独立して活動しているようだ。

    独立の契機は、《ヘイズ・ロードの夢鍵》と呼ばれるEXレネゲイドを入手したこと。
    傭兵業で溜めた金銭を費やし、私兵を集めながら、〝眠深市〟という地方都市へ向かっている。
    現在は眠深市近隣の山中に潜伏しているようだ。

    本名は于幽悧。
    GM:sosite
    GM:もうひとつの情報項目はこちらだ
    GM:【ヘイズ・ロードの夢鍵】 目標値9《情報:UGN》or《知識:レネゲイド》
    ヰ乍 蒼治:じゃあこれはこっちが挑戦してみよう!
    ヰ乍 蒼治:≪援護の風≫。情報*UGNで判定するダイスに+5。
    ヰ乍 蒼治:8dx>=9
    DoubleCross : (8DX10>=9) → 9[2,4,5,5,5,7,8,9] → 9 → 成功

    ヰ乍 蒼治:これが王の力だ
    GM:やりおる……
    ヰ乍 蒼治:48→50
    GM:再登場するかなくらいに思っておったが
    GM:ではこれだが、ちょっと縦に長いぞ
    【ヘイズ・ロードの夢鍵】
    由来不明の極めて強力なEXレネゲイド(レネゲイドウィルスに感染した物品)。〝遺産〟に分類できるという見方もある。
    複数個の存在が確認されており、そのいずれも、効力は〝眠深市〟周辺の半径10km程度でのみ発動する。

    オーヴァードとオーヴァードの間に、王と臣下の如き不平等な契約関係を構築する。
    AはBから力を受け取り、BはAに夢を見る。
    王権の支配とは暴力なのだ。

    /ユニークアイテム《ヘイズ・ロードの夢鍵》
    種別:その他
    購入/常備化:購入不可/不可

    解説:大奇蹟を等分して生み出された奇跡の末端。契約者に王たる力を授ける装飾具。
    合意を得た対象を恒久的な〝契約状態〟とする。

    あなたは〝契約状態〟にあるPCのロイスを、自分が所有しているかのようにタイタス化・昇華することができる。
    また昇華時の効果に『ロイス所有者の所持エフェクトからひとつを、『侵食値:0』として、このラウンド中取得しているかのように使用できる。』を加える。
    このアイテムの効果は『眠深市/ヘイズ』ステージでのみ使用できる。

    GM:──ということで、あなた達は〝コネクター〟の所在についての調査を進め、
    GM:その過程で、彼女が所有するEXレネゲイドについての知識を得た。
    平坂 歩:「──山の中か。なるほど、市街地にはまだ踏み込んでなかったんだね」
    平坂 歩:「盲点だった。すぐにでも戦いに身を投じるかと思っていたが……いやはや」
    平坂 歩:「誰もが私の王のように、前向き全力ダッシュとはいかないようだ」
    私市 水琴:「随分荒稼ぎしたみたいだから。……今頃、それなりに手駒も揃ってると思うわ」
    ヰ乍 蒼治:「皆オレみたいになったら世の中回んないんだよなあ~」
    私市 水琴:「ある程度慎重な方が、私は好きだけど」
    平坂 歩:「だそうだよ、少年」
    ヰ乍 蒼治:「何でオレに振るの!?つっても、慎重な奴が行動に出るからにはそれなりの理由があるってことじゃんね」
    私市 水琴:「十中八九。”準備”が整いつつあるということでしょう」
    ヰ乍 蒼治:「そうそう。≪ヘイズ・ロードの夢鍵≫だっけ……海外を巡って遺産もEXレネゲイドも沢山見たし戦ったけど」
    ヰ乍 蒼治:「こんなヤバそうなのは、初めてだな」
    私市 水琴:「……それには、同感ね」
    私市 水琴:(何処まで知っていたのかしら。あの人は)
    ヰ乍 蒼治:「……”奇蹟”の分割。王権神授説をこの世に表す、地域限定のズル」
    私市 水琴:「文字通りの”王”の所業ね」
    平坂 歩:「地域限定〝だからこそ〟の、常識外れの出力だ。わかるかい」
    ヰ乍 蒼治:頷く。
    平坂 歩:「つまり──この力を得た者達は」
    平坂 歩:「本当に、あらゆる望みを成就する王となりえるんだ」
    私市 水琴:「……こんなものが、複数」
    平坂 歩:「ああ。……私の口から語れば、怪しい女の世迷い言に過ぎないが」
    平坂 歩:「計らずもUGNの調査力が裏付けになってくれた形かな」
    平坂 歩:「どうだい。私が欲しがる理由もわかるだろう?」
    私市 水琴:「十分な力を有する、危険なEXレネゲイドだということはよく分かったわ」 嘆息しながら。
    ヰ乍 蒼治:「あはは!そりゃ、こんなのあったら欲しくなるよね」けらけら笑う。
    私市 水琴:「正気?」
    私市 水琴:「こんなもの──誰も。幸せにならないでしょう」
    ヰ乍 蒼治:「大丈夫。平坂さんが悪いことに使わないって、信じてるから」
    ヰ乍 蒼治:「そうするとしたら、オレが止めるよ」
    私市 水琴:「……ねえ。気になっていたのだけど」
    平坂 歩:「────────」
    平坂 歩:曖昧な顔で笑みを浮かべる。
    ヰ乍 蒼治:「ン?どったの先輩」
    私市 水琴:「そもそも、使うのは平坂さん。貴女ではない──そうよね?」
    私市 水琴:彼女はずっと、彼を”王”とするための話をしている。
    私市 水琴:「これは、個人的な私の興味。『何のために?』」
    平坂 歩:「……なるほどねぇ」
    平坂 歩:「やはり君は、受け取るべき情報を与えられないままで任務に投げ込まれたのだね」
    平坂 歩:こくこく、と何かを納得したかのように頷いて
    平坂 歩:「私のような人間では、王になれないんだよ」
    平坂 歩:「ならば誰かを王に押し上げ、その力のおこぼれをいただく──」
    平坂 歩:「古来より王と臣下というのは、そういう形の契約関係じゃないかな?」
    平坂 歩:「……君はどうも、今の王との契約を正しく結べていないように思うが」
    私市 水琴:「そもそも、貴方たちの”契約”こそ成立していないでしょう。まだ、彼は『王』ではないのだから」
    私市 水琴:「それに、私は主君に仕えているつもりはないわ」
    私市 水琴:いずれ、途切れる関係だ。それまでの繋に過ぎない。
    平坂 歩:「ふふふ……君もきっと私と同じだ」
    平坂 歩:「鍵を手に入れたとしても、君では王になれない」
    ヰ乍 蒼治:「……」困ったような顔をする。「どのみちさ」
    私市 水琴:「なりたいとも思わないけれど」
    ヰ乍 蒼治:「”コネクター”にこんなもの渡すわけには行かない。そうだろ?」
    私市 水琴:「……そうね」 ふぅ、と息を吐いて。
    私市 水琴:(……妙に熱くなってしまう)
    私市 水琴:「少なくとも、”コネクター”の手に渡るよりは──ヰ乍くん。貴方が持っている方が幾らかマシ」
    私市 水琴:「……それを、放置するかは。私が決めるわ」
    ヰ乍 蒼治:「そうして欲しいな。いつだって、狂った王様には処刑台が必要だ」
    ヰ乍 蒼治:「それにさ。オレ、今楽しいんだよ。何か……冒険みたいでさ」
    平坂 歩:「……ふふふ」
    平坂 歩:曖昧な笑みを浮かべたまま、眼だけがやけに怖い色をして、
    平坂 歩:「では、獲物を狩りに行こうか」
    私市 水琴:「ええ。速いに越したことは、ありませんから」
    私市 水琴:懐から取り出した手袋をきゅ、と嵌める。
    平坂 歩:「一網打尽の時間だ。我が王よ」
    平坂 歩:「どうぞ、出撃の号令を」
    ヰ乍 蒼治:立ち上がる。パーカーの左腕から、僅かに除く棘冠の刺青が。
    私市 水琴:(──あれは)
    私市 水琴:思い出す。彼が、高校をある時中退したこと。その前に流れた、とある噂。
    私市 水琴:彼の手首に『茨の冠のような痣』があったという話。それから、『自分の国をみつけて王様になる』という、言葉も。
    ヰ乍 蒼治:「サンキュ。……うん、やるよ、平坂さん、水琴先輩」
    ヰ乍 蒼治:「夢を叶えに行こうぜ」

    GM:ロイス&調達が可能!
    私市 水琴:平坂 歩 連帯感/◯猜疑心 で取得
    ヰ乍 蒼治:ロイス保留。
    ヰ乍 蒼治:購入はボデマ!
    ヰ乍 蒼治:3dx>=12
    DoubleCross : (3DX10>=12) → 10[4,8,10]+2[2] → 12 → 成功

    私市 水琴:やるじゃない。
    ヰ乍 蒼治:これが王の力だ
    私市 水琴:同じくボデマ。
    私市 水琴:1dx+1>=12
    DoubleCross : (1DX10+1>=12) → 6[6]+1 → 7 → 失敗

    ヰ乍 蒼治:エヘヘ 購入して装備!
    私市 水琴:流石にね。失敗で以上
    GM:おーらい!

    ミドルシーン3:尻が有効だ


    GM:このシーンは〝コネクター〟に奇襲をしかけて、その私兵の大半をぶっ潰すパートです。
    GM:つまり戦闘前に双方の能力をお披露目して「わーすごーい」って言い合う為のシーン兼侵蝕調整。
    私市 水琴:わーすごーい
    GM:私兵を潰されたコネクターは逃走! それを追いかけて目的地へ!
    GM:というところでシーンが変更になり、その後は情報収集→クライマックスだよ!
    GM:というわけで
    GM:二人とも登場!
    私市 水琴:私市 水琴の侵蝕率を1D10(→ 4)増加 (48 → 52)
    ヰ乍 蒼治:全解之助(すべて わかりのすけ)
    ヰ乍 蒼治:ヰ乍 蒼治の侵蝕率を1d10(→ 1)増加 (50 → 51)

    GM:【眠深市近隣、山中】
    GM:あなた達は身を潜め、息を殺し、工事現場事務所として建てられ放置されたバラックへ近づいていく。
    GM:そこに〝コネクター〟が私兵を率いて逗留しているのは、既に調査済みだ。
    平坂 歩:「…………」軽く顎でバラック小屋を指し示す。
    私市 水琴:頷くその身体は、辛うじてシルエットが見える程度に、空間に溶けている。
    ヰ乍 蒼治:無言で頷く。彼の周囲に、凝った空気のような靄が溶けている。
    GM:作戦は決まっている。
    GM:奇襲。
    GM:先手を取って火力を叩き込み、兵を叩き潰す。
    GM:……短時間で、金で集められる兵士だ。アンチワーディング装備を着け、重火器で武装はしているだろうが、
    GM:それだけだ。エージェント級の戦力があるわけではない。
    GM:とは言え、数が重なれば相応の脅威。
    GM:可能な限りの力を以て、叩け。

    GM:ということで
    GM:楽しい判定タイムだ!
    ヰ乍 蒼治:ワオワオ!
    私市 水琴:イクゾーッ
    GM:おふたりには一発ずつ、攻撃判定を行ってもらいます
    GM:技能とかは指定なし! エフェクト武器その他戦闘時と同様の扱いで使用可! セットアップからメジャーまで全てのプロセス使用可!
    GM:敵兵士は15人。ひとり2ダメージで撃破できて、
    GM:余剰ダメージはそのまま〝コネクター〟に蓄積される。
    GM:今回は敵のガード値と装甲値は0。即ち達成値出す→ダメージ判定、で出た数値そのまま入るぞ。
    GM:不明点はあるかな!
    私市 水琴:ないわ。
    ヰ乍 蒼治:イベイジョンもなし?
    GM:無い! リア不扱いとしよう
    ヰ乍 蒼治:全てを理解した
    私市 水琴:おーけー。
    GM:では、行動値順でやってもらおう
    GM:先輩! 正規人員の貫禄を見せてくれ!
    私市 水琴:了解、それじゃあ……
    私市 水琴:マイナーで《陽炎の衣》 メインプロセス間、隠密状態に 侵蝕[+3]
    私市 水琴:私市 水琴の侵蝕率を3増加 (52 → 55)
    私市 水琴:メジャー。"ライラ・ワ・ライラ"  《C:エンジェルハィロゥ》《見えざる死神》 対象:単体 射程:1000m 隠密状態から射撃攻撃 侵蝕[+4]
    私市 水琴:(5+2+1+0)dx7+2
    DoubleCross : (8DX7+2) → 10[2,2,2,6,6,7,10,10]+10[4,7,7]+10[6,8]+3[3]+2 → 35

    私市 水琴:4D10+37
    DoubleCross : (4D10+37) → 29[5,6,9,9]+37 → 66

    私市 水琴:私市 水琴の侵蝕率を4増加 (55 → 59)
    私市 水琴:こんなところね。
    ヰ乍 蒼治:消し飛んどる
    GM:うそでしょ……
    GM:初手で〝コネクター〟がリザレクトしたわ
    GM:1d10
    DoubleCross : (1D10) → 6

    GM:HP6だわ……
    ヰ乍 蒼治:オラ行くぞッ 二発目ッ
    ヰ乍 蒼治:セットアップ無し。
    ヰ乍 蒼治:マイナーで一応後方に10m移動。鋼の顎は同エン不可だしね。
    ヰ乍 蒼治:メジャー。『論裏/空葬』:援護の風+鋼の顎+C:オルクス+虚構のナイフ
    ヰ乍 蒼治:9dx7+2
    DoubleCross : (9DX7+2) → 10[1,2,3,3,3,3,6,6,7]+10[9]+10[7]+1[1]+2 → 33

    ヰ乍 蒼治:4d10+16 装甲無視
    DoubleCross : (4D10+16) → 29[7,10,10,2]+16 → 45

    私市 水琴:中々やるじゃない
    GM:こいつら火力高いな……
    GM:まだダイスボーナス無いのに!
    GM:えー、二回目のリザレクトです
    GM:流石にボロボロだよ!
    ヰ乍 蒼治:やったね先輩!
    GM:1d10
    DoubleCross : (1D10) → 2

    私市 水琴:リザが比較的上手い
    GM:残HPは2。逃げた後で回復はするだろうが限度はあるし侵蝕も……むむ
    GM:……とにかく!
    GM:演出タイム!

    私市 水琴:扉が、開く。中にいる兵たちの視線が、一斉に注がれるだろう。
    私市 水琴:立っている、女と男。ただ二人に。
    私市 水琴:──注がれた視線、その後ろ側に。既に、女は移動を終えていた。
    〝コネクター〟:「……!? 誰!?」兵士達の中で最も反応の早い少女──写真資料にあった〝コネクター〟だ。
    〝コネクター〟:咄嗟に打撃の構えを取る。が──一手遅れた!
    私市 水琴:「…………」
    私市 水琴:ぱちん、と。指が鳴る──その瞬間。
    私市 水琴:"コネクター"から程遠くを囲んでいた兵たちが、一斉に地面に倒れ伏す。
    私市 水琴:それだけではない。関節が折れる寸前の逆方向へ捻子曲がり、下手に身動きすれば。自ら、その身体を壊してしまうであろう状態に、成り果てる。
    兵士:「ぐあぁっ!?」「が、ぐ、ぐぐぐっ……!?」
    私市 水琴:極細の、糸。それが、最初から"在った"かのように、彼らの身体に纏わりついている。
    ヰ乍 蒼治:(めちゃくちゃ速いな。強いとは思ってたけど、物理的な速度だけじゃない)
    〝コネクター〟:「──! オーヴァードか!」周囲の兵士に一瞬視線を向け、すぐに侵入者へ眼を戻す。
    私市 水琴:おおよそ、兵の半分以上は。ただの一瞬で無力化された。──そして、残りは。
    兵士:或いは床に転がり、或いは椅子に縛り付けられ、まるで動きも取れない有様の兵士達。
    兵士:それでもまだ、数人──
    ヰ乍 蒼治:(最初から”速く見せる”ための動きをしてる。だったら、オレのやることは)
    ヰ乍 蒼治:左手が、そっと空中の鍵盤を弾くように上がる。冠の刺青が、暗く暗く輝いた。
    ヰ乍 蒼治:空に触れる。空が捩じれる。空が咆哮する。
    〝コネクター〟:「ちっ! 使えないやつら──」動き出す。音が無い。能力ではなく体術。
    〝コネクター〟:多くの兵士達を無効化した侵入者へ、まず一撃を喰らわせんと、拳も握らず距離を詰める──
    ヰ乍 蒼治:気体の塊ですらない、座標上の概念であるはずの「空間」が歪んだ。それは”コネクター”の接近をあざ笑うかのように、
    :ば
    :                つん
    ヰ乍 蒼治:存在を断壊する。接近していた”コネクター”や、その射線に存在する兵ごと。
    ヰ乍 蒼治:距離。速度。一切が意味を持たない。
    〝コネクター〟:──踏み込む。床が悲鳴を上げる。
    〝コネクター〟:悲鳴を
    〝コネクター〟:「っ、ぎ」
    〝コネクター〟:「あああああああああぁああぁぁっ!?」
    〝コネクター〟:少女自身が、上げた。
    ヰ乍 蒼治:「っ、……!」表情が歪む。「ご、めん!」決定的な傷にならないほどに、ねじ切る。
    兵士:「うがああああぁっ!」「ぐ、はあっ!?」
    兵士:防御も、何もない。
    兵士:銃弾・刀剣を通さぬ筈のボディアーマーが、容易くねじ切られた。
    兵士:大きな欠損こそ無くとも、腕を、足を捻り壊され、
    兵士:かろうじて残っていた兵士達の全てが無力化する。
    〝コネクター〟:ましてや、奇怪な角度で腕を捻り上げられた少女は──
    〝コネクター〟:「──っぐ、ぎ」
    〝コネクター〟:腕を──
    私市 水琴:(……世界を旅して、というのは。伊達ではないようね) 確かな称賛を、心の中で。
    〝コネクター〟:「ぎいいいいっっ!」
    〝コネクター〟:ねじ切られる瞬間、身体だけを逃がした。
    〝コネクター〟:無理な角度で効果範囲に取り残された右腕が、肩から床へ落ちる。
    ヰ乍 蒼治:「……」真っ青な顔をしている。瀕死に至る者は誰一人として存在しないのに、
    〝コネクター〟:「っ、は……っは、はぁっ……!」
    ヰ乍 蒼治:まるで、”誰かが、決定的に失われた”とでも言いたげな表情。
    平坂 歩:「──待てっ!」
    平坂 歩:大鎌が躊躇なく、〝コネクター〟の首を狙うが──
    〝コネクター〟:《瞬間退場》
    〝コネクター〟:「く──っ、まだ、まだ負けてない、私はっ、負けてないっ……!」
    〝コネクター〟:その刃の下を潜り、バラック小屋の窓から外へと逃走──森の木々に身を隠しながら遠ざかっていく。
    私市 水琴:再び、糸を掛けんと試みるも。それより早く、撤退が始まる。
    ヰ乍 蒼治:「……平坂さん!」躊躇なく空間に生命を与える。”コネクター”の交戦圏から掴んで引き戻す。
    私市 水琴:「……残念。ここで、捕らえられれば一番だったのだけど」
    ヰ乍 蒼治:「追い詰められた奴は、何しでかすか解んないッスよ……手傷は負わせた、安全距離から確実に追跡しましょう」
    平坂 歩:「……っ」
    平坂 歩:引き戻され、だがその眼はまだ、〝コネクター〟の去った方角を睨み付けている。
    平坂 歩:確実に殺意があった。
    平坂 歩:……可能であれば彼女の鎌は、〝コネクター〟の頭部と胴体を切り離していただろう。
    私市 水琴:「遠慮がないね。貴方の"騎士"は」
    ヰ乍 蒼治:「……」後ろから肩を叩く。「色々あるのは、何となく解るスよ……でもオレ、そんなことして欲しくない」
    平坂 歩:「……少年、君は」
    平坂 歩:鎌を降ろす。肩を大きく上下させ、一度呼吸を整えて──
    平坂 歩:「……手傷は負わせたかもしれないが、でも」
    平坂 歩:「〝コネクター〟は領域に入ったよ」
    私市 水琴:「……それは、つまり」
    ヰ乍 蒼治:「眠深市」顔を上げる。
    平坂 歩:「『ヘイズ』の中でこそ王権候補者は、全ての力を発揮し得る……そして」
    平坂 歩:「あの空間の中では、人を殺すことはできない」
    ヰ乍 蒼治:「……アンタがさっきから言ってる、『ヘイズ』って――」
    平坂 歩:「……すまない、少年。君の王の道はどうやら、中々難易度が高いスタートを切ったようだ」
    GM:──『ヘイズ』とは。
    GM:その、問いとも言えぬ問いに対して、彼女は言った。

    GM:というところでシーン終了です
    GM:ロイス&最終調達としゃれ込もうか!
    私市 水琴:"コネクター" 執着/◯脅威 で取得。
    私市 水琴:購入はボデマ。隠密調達なんてことをしてしまおうね
    ヰ乍 蒼治:”コネクター” 興味/○憐憫 で取得。
    私市 水琴:陽炎の衣》 メインプロセス間、隠密状態に 侵蝕[+3]
    私市 水琴:私市 水琴の侵蝕率を3増加 (59 → 62)
    私市 水琴:4dx+1>=12
    DoubleCross : (4DX10+1>=12) → 7[5,5,5,7]+1 → 8 → 失敗

    私市 水琴:まあ情報収集残ってるし、頑張るほどでもないかな…… 失敗で以上
    ヰ乍 蒼治:購入はボデマ太郎
    ヰ乍 蒼治:3dx>=12
    DoubleCross : (3DX10>=12) → 10[6,6,10]+5[5] → 15 → 成功

    私市 水琴:王の力じゃん
    ヰ乍 蒼治:水琴先輩にパス!
    私市 水琴:……ありがとう。着用するわ。
    GM:兵士がドロップしたんだな
    私市 水琴:剥ぎ取り~
    GM:カット率が高いぜ
    GM:では

    ミドルシーン4:『ヘイズ』


    GM:情報収集って形になってるけど実際は平坂がお話する感じになるよ!
    GM:ふたりとも登場!
    私市 水琴:私市 水琴の侵蝕率を1D10(→ 2)増加 (62 → 64)
    ヰ乍 蒼治:ヰ乍 蒼治の侵蝕率を1d10(→ 6)増加 (61 → 67)

    GM:項目は……これ!
    GM:【〝ヘイズ〟】 目標値10《情報:UGN》or《情報:噂話》or《知識:レネゲイド》
    私市 水琴:取り敢えず振ってみようか。コネ:UGN幹部使用。
    私市 水琴:4dx+4>=10
    DoubleCross : (4DX10+4>=10) → 8[1,3,5,8]+4 → 12 → 成功

    私市 水琴:ふむ、成功だ。
    ヰ乍 蒼治:援護の風使うまでもなかったッスね…
    GM:つよいわね
    GM:こいつらなんかダイス数や固定値に対して出目がつよいぞ
    GM:では
    【〝ヘイズ〟】 眠深市の夜に発生するレネゲイド由来の現象。
    現実の世界と酷似した同位置の異界。
    街に覆い被さる夜霧のテクスチャー。

    この空間内で発生した破壊は、夜明けと共に否定される。
    例外は空間を構成するもの、即ちレネゲイドウィルスの恒久的性質変化──つまりジャーム化。
    それを除けば人命さえ、この否定/巻き直しの対象となる。

    《ヘイズ・ロードの夢鍵》適合者は、夜霧に鎖された世界でのみ、王たる力を十全に発揮できるのだ。

    /『ヘイズ』内においては「とどめをさす」宣言の効果を、「対象をシーンから退場させる」に変更する。
    平坂 歩:──以上が、眠深市へ向かう途上、平坂が語ったことだ。
    私市 水琴:「……まるで異界ね。通常の常識が通用しない、ということかしら」
    ヰ乍 蒼治:「……じゃあ、さ」思案する。「≪ヘイズ・ロードの夢鍵≫は猶更危険スよね」
    ヰ乍 蒼治:「”ヘイズ”の中での実質的な死がジャーム化なら、それを思いのままに与えられる”鍵”は」
    私市 水琴:「絶対的な権限、と言えるでしょう」
    平坂 歩:「そう。だから言ったのさ」
    平坂 歩:「〝仕える王を選びたまえよ、我らは命を賭すのだから〟」
    ヰ乍 蒼治:「……あれは文字通りの、生殺与奪」
    ヰ乍 蒼治:「じゃあ、平坂さんは……どうしてオレに、そんなに強大な力を渡そうとするんスか」
    平坂 歩:「それも、言った」
    平坂 歩:「王は臣下の力を召し上げ、臣下は王からおこぼれを頂戴する」
    平坂 歩:「王の権力が強大であればあるほどに、零れる蜜は甘くなるのさ」
    私市 水琴:目を細める。彼女の言うことは本意なのだろうが、真意は未だに見えない。まるで霧の中のように、曖昧だ。
    平坂 歩:「……どうしたんだい、怖じ気づいたのかい?」
    平坂 歩:「古今東西、優れたる王というものは」
    平坂 歩:「他者を圧倒することで領土を維持・拡張してきた勝利者──即ち」
    平坂 歩:「驚異的な殺戮者であるということくらい知っていると思ったのだけどね」
    ヰ乍 蒼治:「それでも、”夢鍵”を自分で使わない理由がない。そうしないってことは」
    ヰ乍 蒼治:「解ってるスよ。遺産には適合と代償のプロセスが存在する」
    ヰ乍 蒼治:「”夢鍵”が遺産みたいなモンだってンなら、扱うには資格が要る――そんで、その資格をオレは持っているらしい」
    ヰ乍 蒼治:「そうでしょ」
    平坂 歩:「……………………」
    私市 水琴:「レネゲイドアイテムなら、まあ。有り得ない話ではないでしょうね」 革手袋を弄びながら。
    ヰ乍 蒼治:「確かに、出来ることは多いスよね。びっくりしました。だからってオレはビビったりしない」
    ヰ乍 蒼治:「オレが考えてたのは、”他の”鍵を持ってる奴等のことッス」
    ヰ乍 蒼治:「――オレ以外に」目が細まる。虚ろな光だけが、瞳に。
    ヰ乍 蒼治:「王様は要らない」
    平坂 歩:「へえ」
    平坂 歩:「じゃあ、どうするんだい?」
    ヰ乍 蒼治:「他に、鍵を持ってる奴等がいたとして」
    ヰ乍 蒼治:「そいつらをジャーム化寸前まで屈服させれば、主従契約を取り付けられるかも知れない。つまり、絶対服従権を使って鍵を取り出せる」
    ヰ乍 蒼治:「……そんで、全部の鍵を集める。他の悪い奴等の手に渡らないように」
    平坂 歩:「自分が言っていることの理解はできているかな」
    平坂 歩:「つまり君はこう言ったんだ」
    平坂 歩:「〝誰かの願いも尊厳も、自分の為に貶める〟」
    平坂 歩:「〝自分は王になりたいから〟」
    平坂 歩:「〝他のやつらは奴隷でいい〟……と」
    平坂 歩:「それは随分と、傲慢な考え方だよねぇ?」
    平坂 歩:……にやにやと笑っている。
    ヰ乍 蒼治:「…………平坂さんは好きでしょ、そういう考え方」
    ヰ乍 蒼治:「だったら」
    ヰ乍 蒼治:「オレが、そいつらの願いもまるごと叶えてやる」
    平坂 歩:「好きかどうかと言われたら、今の君に関しては五分五分だ」
    平坂 歩:「君の思想に対して五分の好意を抱きながら、五分の憎悪があることも」
    平坂 歩:「認めざるを得ない。ああ全く、感情というやつは厄介だ!」
    ヰ乍 蒼治:にやりと笑う。「負けた奴の願いも思いも全部呑み込んで、全部を叶えるのが王様でしょ」
    ヰ乍 蒼治:「もしも、オレが全部を叶えられないんだったら――平坂さんが、オレを殺してくれ」
    ヰ乍 蒼治:「アンタだから頼めるんだ。好きも嫌いも抱えてくれる、心を持ったアンタだから」
    平坂 歩:──答えの代わり、その背が先へと進む。
    平坂 歩:敵が待つ街の方角へ。そして──
    平坂 歩:「……君の課題は、優等生的な回答を捨てることだねぇ」
    平坂 歩:「よくできました、の花丸はもう君には必要無い」
    ヰ乍 蒼治:「忠言どうも。我が騎士」にやりと笑う。
    私市 水琴:無言でその会話を聞き届け、その背を追う。
    GM:日が、西へ沈んでいく。
    GM:眠深市の西側には大きな湖があり、その水面を茜色が燃やして、
    GM:火が消える。
    GM:……白くけぶる、夜が来る。

    クライマックス


    GM:全員登場!
    私市 水琴:私市 水琴の侵蝕率を1D10(→ 10)増加 (64 → 74)
    私市 水琴:急に昂ぶってきた
    ヰ乍 蒼治:ヰ乍 蒼治の侵蝕率を1d10(→ 8)増加 (67 → 75)
    ヰ乍 蒼治:オギャオギャ

    GM:【眠深市──歓楽街区画
    GM:その通りは、夜だからこそ明るく輝いているのだが、
    GM:建物から漏れ零れる光は全て、うっすらと街を覆う白い霧に拡散している。
    GM:人の気配は──多くは無い。
    GM:どこか、街の遠くで、誰かと誰かが争っている気配がある。
    GM:建物の中で蠢く、何者かの気配がある。
    GM:……ただ、酒色に耽る一般人の気配は、この『ヘイズ』には存在しない。
    GM:あなた達が辿り着いたのは、とあるスナックの正面で、
    〝コネクター〟:「……ちっ。此処まで追いかけてくるなんて」
    〝コネクター〟:……落とした筈の腕は既に回復している。
    〝コネクター〟:臨戦態勢にある少女が、あなた達を見据えていた。
    私市 水琴:「それは、もう。むしろ、あのまま逃げ遂せると思っていたのかしら」
    ヰ乍 蒼治:(腕がもう直ってる。さっきは白兵戦を仕掛けて来てたし、肉体性能が高いな――エグザイルかキュマイラか?)
    〝コネクター〟:「……ふん。バカね」
    〝コネクター〟:「私が驚いたのは、あんた達の無鉄砲ぶり──というか無計画っぷりによ」
    〝コネクター〟:「この『ヘイズ』で、王権保持者でもないあんた達が」
    〝コネクター〟:──ごぎっ
    〝コネクター〟:異音が、その少女の体内で鳴った。
    ヰ乍 蒼治:「”鍵”か」既にアイテムの能力圏内――”ヘイズ”に侵入していることは認識している。
    〝コネクター〟:「……あたしに勝てる筈が無い!」
    〝コネクター〟:ごぎっ ごぎっ ごぎっ
    〝コネクター〟:──腕。
    私市 水琴:("何らかの力"を発揮しようとする時、発動の兆候が見られるはず──)
    私市 水琴:(まさか、これが)
    〝コネクター〟:幾本もの腕が、異音と共に、
    〝コネクター〟:少女の背や肩の皮膚を突き破って表出する。
    〝コネクター〟:〝本来の両腕〟に装着されたブレスレットはいよいよ煌々と紅く輝き、
    〝コネクター〟:あたかも動脈血のような不吉な鮮やかさを以て、力の行使を示している。
    私市 水琴:「────っ!」 息を呑む。
    ヰ乍 蒼治:「厄介だな。直接こっちに”契約”を結ばれることはなくても、自分自身の肉体にも命令できるのか?」
    平坂 歩:「……いいや、もっと単純な話だと思うよ、少年」
    ヰ乍 蒼治:「単純に、夢鍵の能力による増幅だけでこの圧――ってことか」冷や汗を垂らす。
    平坂 歩:「彼女にも臣下がいる。この場に立ってはいなくとも」
    平坂 歩:「だって慈悲深い君達は、彼らを殺さなかったじゃないか」
    私市 水琴:「つまり、あれは。──"彼ら"ですか」
    ヰ乍 蒼治:「……」”夢鍵”の能力。臣下のエフェクトを、まるで自身が所持しているかのように行使できる。
    ヰ乍 蒼治:「ごめんな。でも、間違ったことをしたとは思ってない」
    ヰ乍 蒼治:「死んだら夢を見ることも出来ない。それが一番残酷な気がする」
    ヰ乍 蒼治:「なあ、”コネクター”!気に食わないんだろ、だったらオレらとやろうぜ!」左手をまくり、刺青を露にする。
    〝コネクター〟:「ハッ」鼻で、努めて悪辣に笑い飛ばす。
    〝コネクター〟:「他人を思いやる優しい王様、なんて漫画みたいなことを考えてるのなら」
    〝コネクター〟:「そういう甘ったるい連中から喰われるのよ!」
    〝コネクター〟:「……あたしは王になる! そして、そうしたら──」
    〝コネクター〟:「〝もう誰に従う必要も無い〟!」
    私市 水琴:「……その点であれば。ご心配なく」
    私市 水琴:「人生余すところ無くハッピー、のような顔をしていますが。この男は」
    私市 水琴:「……私の知る限り、最も甘く。最も傲慢な男です」
    私市 水琴:反吐が出るほどに、と付け加えて。きゅう、と革手袋を絞る。
    私市 水琴:「少なくとも、現時点で。どちらが"マシ"かと言われればこちらですし──その力。放置はできません」
    GM:『夢鍵』の内包する悪夢的な力と、街を覆う霧が互いに呼応する。
    GM:そうして『ヘイズ』の大気に満ちるレネゲイドは活性化し、内在するオーヴァード達の心を闘争へと駆り立てる。
    GM:……では、衝動判定の時間だ。
    GM:難易度は9!
    ヰ乍 蒼治:ウオオオ行くぜ!!
    私市 水琴:3dx>=9
    DoubleCross : (3DX10>=9) → 10[7,10,10]+6[4,6] → 16 → 成功

    ヰ乍 蒼治:5dx>=9
    DoubleCross : (5DX10>=9) → 10[2,6,6,10,10]+4[1,4] → 14 → 成功

    私市 水琴:意思つよつよ
    私市 水琴:74+2d10
    DoubleCross : (74+2D10) → 74+16[9,7] → 90

    ヰ乍 蒼治:王の意志!
    ヰ乍 蒼治:75+2d10
    DoubleCross : (75+2D10) → 75+8[6,2] → 83

    GM:勝利条件──王権保持者〝輝刃拳の于幽悧〟撃退。
    エンゲージ
    〝コネクター〟[7]

    10m

    私市 水琴[12]
    ヰ乍 蒼治[9]

    GM:セットアップ!
    ヰ乍 蒼治:なし!
    〝コネクター〟:無し!
    〝コネクター〟:フルパワーアタック引っ張って来ようかと思ったけど移動距離足りなくなるわね!
    私市 水琴:なし。
    GM:では……イニシアチブだ。本来なら行動順の手番だが、
    〝コネクター〟:やるに決まってんでしょ《加速する刻》!
    ヰ乍 蒼治:やっぱり来たな!
    〝コネクター〟:マイナーアクションは戦闘移動、10m前進してPC二人とエンゲージ!
    〝コネクター〟:そしてメジャーアクション……の前に!
    〝コネクター〟:《ヘイズ・ロードの夢鍵》効果を使用し、『格闘傭兵』の所有するロイスを強制タイタス化昇華!
    私市 水琴:さ、早速!
    〝コネクター〟:『格闘傭兵』ピュアキュマの白兵オーヴァードだ。今は椅子にグルグル巻きでなんの役にも立たないが……
    私市 水琴:つまり引っ張ってくるのは──
    〝コネクター〟:その所有する『増腕』レベル1をラウンド中取得!
    ヰ乍 蒼治:やっぱり来たな!
    〝コネクター〟:そしてメジャー、
    〝コネクター〟:《マルチウェポン》5+《ヴァリアブルウェポン》2+《コンセントレイト:ノイマン》3+《増腕》1
    〝コネクター〟:使用武器はイノセントブレード×4。よって白兵攻撃の命中ダイスが+8です
    私市 水琴:ずるいぞFH武器!
    ヰ乍 蒼治:オエ~~~ッ
    〝コネクター〟:もちろん対象はPCふたり! とデータは無いが平坂歩!
    〝コネクター〟:12dx+4 命中判定!
    DoubleCross : (12DX10+4) → 9[2,2,2,2,3,3,3,3,5,5,5,9]+4 → 13

    〝コネクター〟:まちがえた!
    私市 水琴:フゥン?
    〝コネクター〟:12dx7+4
    DoubleCross : (12DX7+4) → 10[1,3,3,4,4,6,8,8,8,8,9,10]+10[1,5,5,6,7,9]+5[1,5]+4 → 29

    ヰ乍 蒼治:コンセントレイト!
    私市 水琴:やっぱりだめだったよ(諦念)
    ヰ乍 蒼治:ここは…ドッジします!
    私市 水琴:3dx+1>=29 ドッジ
    DoubleCross : (3DX10+1>=29) → 9[5,6,9]+1 → 10 → 失敗

    ヰ乍 蒼治:3dx+1>=29
    DoubleCross : (3DX10+1>=29) → 9[3,6,9]+1 → 10 → 失敗

    ヰ乍 蒼治:ダメ!コイツは肉体はクソザコ…
    〝コネクター〟:ではダメージ
    〝コネクター〟:3d10+32
    DoubleCross : (3D10+32) → 17[2,9,6]+32 → 49

    私市 水琴:装甲あっても吹き飛ぶ。リザレクト!
    私市 水琴:私市 水琴の侵蝕率を1D10(→ 8)増加 (90 → 98)
    ヰ乍 蒼治:装甲で13点弾くけど死!リザレクト!
    ヰ乍 蒼治:ヰ乍 蒼治の侵蝕率を1d10(→ 7)増加 (83 → 90)
    〝コネクター〟:さくっと演出!
    〝コネクター〟:──音もなく、地を蹴った。
    〝コネクター〟:その動きは、筋力や身体の特異性に任せたものではなく、武術家が長き年月を以て修める技術である。
    ヰ乍 蒼治:(やっぱりやってる奴の動きだ。ヤバいぞ)
    〝コネクター〟:音がする。それは即ちエネルギーの損失だ。
    〝コネクター〟:損失皆無のエネルギーは、予備動作から推測できぬほどの速度で〝コネクター〟の身を間合いへと運び、
    〝コネクター〟:「……シャアァッ!」
    〝コネクター〟:右崩拳。
    〝コネクター〟:……と同時の、背から生えた腕による薙ぎ払い。
    〝コネクター〟:……と同時の、肩から生えた腕による鉄槌。
    〝コネクター〟:同時の。同時の。同時の。
    〝コネクター〟:多数の腕が、長さも太さも全て違う腕が、
    〝コネクター〟:立ち位置をそのままに、同時に3者を殴りつけ──いや
    〝コネクター〟:「……まだまだぁっ!」
    〝コネクター〟:腕の幾つかが輝く──と見た瞬間、その手の中に、長剣が収まっている。
    〝コネクター〟:4振りの剣が、打撃の雨を締めくくるように──追撃!
    ヰ乍 蒼治:「うおっ!?」意表を突かれる。
    私市 水琴:通常の腕の数だけであれば──致命傷を避けるまでのことは、叶ったかもしれない。
    私市 水琴:しかし、まるで"接ぎ木"されたかのように蠢く幾多の腕が、退路を立つ。
    私市 水琴:ばらばらの距離感から降り注ぐ打撃斬撃の雨に、為すすべなく穿たれ、崩れ落ちた。
    私市 水琴:「……く……っ!」
    ヰ乍 蒼治:(どっちかを防げばどっちかが持ってかれる!嫌な手だ、よく練られてる!)
    ヰ乍 蒼治:「ぐ、ぼっ!」こちらも先輩と同じように、拳打の嵐の前にぼろきれのように吹き飛ばされる。
    ヰ乍 蒼治:「……いって、え……ぐはっ」
    〝コネクター〟:──モルフェウス/ノイマン。
    〝コネクター〟:怪物的な筋力も、人体の限界を超える可動域も何も無い──筈だ。
    〝コネクター〟:だが。
    〝コネクター〟:〝夢鍵〟はそのような定石を、容易く打ち砕く。
    〝コネクター〟:「ふー…………っ」
    〝コネクター〟:再び腕が振り上げられる。
    〝コネクター〟:またあの、打撃の雨が始まる──
    GM:というところで本来の手番だ。
    GM:行動値12、私市さん!
    私市 水琴:オーライ。
    私市 水琴:マイナーで《陽炎の衣》 メインプロセス間、隠密状態に 侵蝕[+3]
    私市 水琴:私市 水琴の侵蝕率を3増加 (98 → 101)
    私市 水琴:メジャー、"ライラ・ワ・ライラ"  《C:エンジェルハィロゥ》《見えざる死神》 対象:単体 射程:1000m 隠密状態から射撃攻撃 侵蝕[+4]
    私市 水琴:当然、対象は"コネクター"
    私市 水琴:妨害はありますか。
    〝コネクター〟:……無いわよ!
    私市 水琴:(5+2+1+3)dx7+2
    DoubleCross : (11DX7+2) → 10[1,1,3,3,3,4,4,5,5,7,8]+10[6,7]+4[4]+2 → 26

    私市 水琴:及第点でしょう。リアクションを。
    ヰ乍 蒼治
    〝コネクター〟:……回避! 肉体2にダイスボーナスが2個!
    〝コネクター〟:4dx+1>=26
    DoubleCross : (4DX10+1>=26) → 9[1,6,9,9]+1 → 10 → 失敗

    私市 水琴:3D10+40 ガード値有効、装甲-15(最低0)として算出
    DoubleCross : (3D10+40) → 18[3,9,6]+40 → 58

    〝コネクター〟:うがー!
    私市 水琴:私市 水琴の侵蝕率を4増加 (101 → 105)
    ヰ乍 蒼治:ナイス先輩!
    〝コネクター〟:一回倒れてリザレクト……
    〝コネクター〟:1d10
    DoubleCross : (1D10) → 1

    私市 水琴:リザが上手い
    〝コネクター〟:demo
    〝コネクター〟:でも結局殴った分とか色々を合わせると
    〝コネクター〟:これが最後のリザレクトだ!
    GM:という訳で演出をどうぞ
    私市 水琴:──その、振り上げられた腕は。再び、雨となり3人を穿つことはなかった。
    私市 水琴:掲げられた拳、剣。それらが、ひたりと空を仰いだまま静止する。
    私市 水琴:「……1手。遅くはなりましたが」
    〝コネクター〟:「っ!?」
    私市 水琴:暴力の嵐が止んだ、一瞬。「貴女──三度。まばたきをしましたね」
    私市 水琴:私市水琴の位置は、変わっていないように見える。事実、変わってはいない。
    私市 水琴:そこに、その三度の瞬間に位置を変え──糸を掛け、張り巡らせ。再び、この場所に戻っていたのだから。
    私市 水琴:ぎちぎちぎち、と何本もの腕が引き絞られる。
    私市 水琴:「……ええ、先程は。縛り上げて放置、などという"甘え"を見せてしまいましたから」
    私市 水琴:「きちんと。ここは、脅威を払っておくとしましょう」
    〝コネクター〟:「い、や」
    私市 水琴:革手袋に包まれた手、そこに煌めく幾多もの細い糸。それらが繋がる先は──彼女の、増えた肉体。
    〝コネクター〟:震える、微かな声。
    私市 水琴:つい、と。指先が振り下ろされた。
    私市 水琴:たった数センチ。その動作が、張り巡らされた糸を回れば──その力は、幾重にも増して。
    私市 水琴:ぶつん、
    私市 水琴:という切断音と。
    私市 水琴:ぼとぼとぼと、ぼと。
    私市 水琴:と。アスファルトに、肉の落ちる音が、順番に響いた。
    〝コネクター〟:「ひっ──」
    〝コネクター〟:痛みを叫ぶ前、人は、息を吸う。
    〝コネクター〟:空気が無ければ声を出せないし、その発声は大きく長くなることが予想されるから、
    〝コネクター〟:身体の方が、意識とは無関係に、まず息を吸うのだ。
    〝コネクター〟:ひゅうっ
    〝コネクター〟:「──ぃい、ぎ、ぃいいいっ、いいいいいいいいいっ……!!」
    〝コネクター〟:感覚の通った複数の腕が同時に落ちたのだ。
    〝コネクター〟:……痛みに慣れたオーヴァードとて、悍ましい声を上げる。
    ヰ乍 蒼治:「……!!」
    私市 水琴:息を吸う音と同じような、ひゅう、という音が鳴る。動いた指先が操る糸が風を切り、再び身体の何処かに掛かる。
    私市 水琴:「さて。次は何処を落としますか」
    〝コネクター〟:「ぃ」
    〝コネクター〟:「やだ、やめて」
    〝コネクター〟:「私は」
    GM:さて
    〝コネクター〟:「私は、ただ」
    〝コネクター〟:「〝誰にも命令されたくないだけなのにぃ〟……っ!」
    GM:手番、ヰ乍 蒼治。
    ヰ乍 蒼治:はい!
    ヰ乍 蒼治:そのお……キャラシートにこちらのミスで同エン不可を書いてなかったので……
    ヰ乍 蒼治:≪ヘイズ・ロードの夢鍵≫に最後のロイス ○P:挑戦心/N:猜疑心 で取得。
    ヰ乍 蒼治:そしてコネクターに白兵攻撃します。≪援護の風≫使用してダイス+5。
    私市 水琴:祈ることしか出来ない。がんばって!
    〝コネクター〟:ふん、素人の素手パンチごとき回避してやるわ……!
    ヰ乍 蒼治:夢鍵とコネクターちゃんと王様のロイスを昇華してC値-3!
    ヰ乍 蒼治:7dx7
    DoubleCross : (7DX7) → 10[3,3,4,4,8,8,10]+4[2,2,4] → 14

    ヰ乍 蒼治:≪妖精の手≫。
    ヰ乍 蒼治:20+1dx
    ヰ乍 蒼治:1dx7+20
    DoubleCross : (1DX7+20) → 5[5]+20 → 25

    ヰ乍 蒼治:25でストップ!リアクションどうぞ!
    〝コネクター〟:ぐぐ……!
    〝コネクター〟:4dx+1>=25
    DoubleCross : (4DX10+1>=25) → 8[1,4,6,8]+1 → 9 → 失敗

    〝コネクター〟:出目は悪くないのにぃ!
    ヰ乍 蒼治:あぶねええええ
    ヰ乍 蒼治:ダメージ行くぞ!
    ヰ乍 蒼治:2d10-5
    DoubleCross : (2D10-5) → 8[4,4]-5 → 3

    〝コネクター〟:ピンゾロなら助かったのに!!!
    〝コネクター〟:倒れる!
    私市 水琴:よし!
    ヰ乍 蒼治:あぶねえ~~~~~
    GM:演出どうぞだ!
    〝コネクター〟:「……っ、ぐ、ぅう、ぅうううっ!」
    〝コネクター〟:痛みに震える身体を叱咤し、立つ──と同時、
    ヰ乍 蒼治:「――平坂さん!」叫ぶ。
    〝コネクター〟:なり振り構わず、〝コネクター〟はあなた達に背を向ける。
    〝コネクター〟:逃げるのだ。身体に絡みついた糸が、また肉を削ぎ取ろうが、
    〝コネクター〟:その程度では死なない。逃げればまた機会がある──
    平坂 歩:──機会は無い。
    平坂 歩:「例えば──」
    平坂 歩:「もし君がキュマイラシンドロームの持ち主で、数十トンの過重にさえ耐えられるとしよう」
    平坂 歩:「だがそれは、〝両足が地についている〟場合だ」
    〝コネクター〟:「え……っ」
    〝コネクター〟:逃げようとする足は動いている。だが、身体が前に進まない。
    〝コネクター〟:それどころか、姿勢の制御ができない。倒れそうになる。地面に手を着こうとする。
    〝コネクター〟:……届かない。
    〝コネクター〟:その時にようやく彼女は、自分の身体が何十センチか浮かんでいることに気付いた。
    平坂 歩:「さあ」
    平坂 歩:「調教の時間だよ、少年」
    ヰ乍 蒼治:「サンキュ、平坂さん」一歩ずつ歩き出す。左手を構える。
    ヰ乍 蒼治:そして僅かに、”コネクター”にその指先を触れさせた。
    ヰ乍 蒼治:その瞬間――中空の牢に囚われた彼女に、ある変化が起きるだろう。
    ヰ乍 蒼治:体中が燃える。それは水分が揮発するような、刺し穿つ苦しみ。
    ヰ乍 蒼治:――ヰ乍蒼治の能力は、物体・概念への生命形質の付与。
    ヰ乍 蒼治:彼女の体内の水分に、生命を与える。生命とは即ち熱量。熱量とは即ち振動。
    ヰ乍 蒼治:体中の血液が暴れまわり沸騰する。痛みが、地獄の炎のように少女を責め苛む。
    〝コネクター〟:その口から発せられたのは、声ではなかった。
    〝コネクター〟:おそらくは、肺の機能も、内側から焼け爛れているのだろう。
    〝コネクター〟:だから息が吸えず、声も出ない。代わりに、別なものが出た。
    〝コネクター〟:それは水分が気化したが故の熱蒸気と、その発生に伴う〝じゅうぅっ〟という音。
    〝コネクター〟:やかんかポットにでもなったような少女は手足をばたつかせるが、
    〝コネクター〟:その身体は、どこへも逃げられない。
    〝コネクター〟:眼に涙が浮かんだのも、最初の数滴だけだ。
    〝コネクター〟:涙に回るだけの水分もなくなって、眼球までが乾いていく──
    平坂 歩:「うわぁ、ひっどい」
    平坂 歩:かつ、かつ、かつ。軽快な靴音を立てて、平坂が〝コネクター〟に近づく。
    平坂 歩:その手が、虚空を掻く少女の手元へ伸び──手首からブレスレットを引き抜いた。
    GM:……それは彼女の手の中で、小さな、そして奇っ怪にねじ曲がった、黒艶を持つ鍵へと変わる。
    ヰ乍 蒼治:……能力を解除する。
    GM:『ヘイズ・ロードの夢鍵』
    GM:それは、発生する咎に比べて、あまりにも小さな鍵であった。

    バックトラック


    GM:バックトラック!
    GM:Eロイスは無いよ!
    GM:だが!
    GM:『ヘイズ』の中の戦闘においては(とある理由から)、日常への帰還率が高まっている。
    GM:望むならあなたは通常バクトラの前に、侵蝕を1d10軽減してもよい。任意だ!
    私市 水琴:今回はなくても大丈夫そう。ロイス6枚、通常振り。
    私市 水琴:105-6d10
    DoubleCross : (105-6D10) → 105-31[3,1,10,10,6,1] → 74

    私市 水琴:5点ね。
    ヰ乍 蒼治:ロイス3枚、通常振り
    ヰ乍 蒼治:92-3d10
    DoubleCross : (92-3D10) → 92-19[8,8,3] → 73

    ヰ乍 蒼治:こちらも5点!
    GM:OK! そこにいつもの5点&シナリオ5点を足して経験点だ!
    私市 水琴:では、15点ですね。
    ヰ乍 蒼治:15点頂きます!
    GM:ということで

    共通ED


    GM:とさっ……と、軽い音がした。
    GM:本来の体重より、2kgか3kgか軽くなった少女が、力無く地面に落ちて、
    平坂 歩:「こーらぁ」
    平坂 歩:「頭が低いぞぉ、面を上げよ」
    平坂 歩:……その髪を平坂が掴み、地面に触れた顔を上げさせる。
    ヰ乍 蒼治:目線を合わせるようにかがみ込む。
    私市 水琴:眉を顰めるが、静止はせずに傍に佇んでいる。
    ヰ乍 蒼治:「平坂さん。ありがとう……放してあげて。大丈夫、立てるか?」
    ヰ乍 蒼治:”コネクター”を気遣うように。
    平坂 歩:「……無理だと思うけどねぇ」
    平坂 歩:言葉の通りに手を放せば、
    〝コネクター〟:またその顔は地面につっぷして、掠れた呻き声だけが返る。
    〝コネクター〟:「ぅ……ぁ、」
    〝コネクター〟:「や、」
    〝コネクター〟:「…………、だ…………」
    ヰ乍 蒼治:「……」痛ましいものを見るような顔をする。
    ヰ乍 蒼治:優しく少女を抱きかかえた。
    ヰ乍 蒼治:そして、口元に左手を持って行く。その手から、湧き水のように流れ出た。
    平坂 歩:「よりによって、君がそうするのかい」
    平坂 歩:「彼女の未来を鎖した君が」
    私市 水琴:「……本当に。傲慢ね」
    〝コネクター〟:水が唇を濡らし、喉を濡らす。……飲み始めるのは、潤滑がある程度行き渡ってから。
    ヰ乍 蒼治:”コネクター”の喉を潤すように、空気中の水分を”増殖”させた。
    〝コネクター〟:ごくん、ごくん、と喉を鳴らして、水を腹へ落とし込み、
    〝コネクター〟:「……やぁ、放して……助けてぇ……」
    〝コネクター〟:戦う力も意志も、全て削ぎ落とされた少女は、ようやく流せるようになった涙をぼろぼろとこぼす。
    ヰ乍 蒼治:落ち着けるように、背中をさする。
    ヰ乍 蒼治:「オレは、奪っちゃったから。せめて、こうする責任があるッスよ」
    平坂 歩:「……だって。先輩から言うべきことは?」
    平坂 歩:肩を竦め、視線を私市へ。
    私市 水琴:「……私から?」
    平坂 歩:「うん」
    平坂 歩:「だって、これは私の見立てというか決めつけだけれどね」
    平坂 歩:「もしかすると君の方が彼より、甘くもないし優しいんじゃないか?」
    私市 水琴:「どうだか」 同じように肩を竦める
    私市 水琴:「ただ、言えることがあるとするなら。そうね、有り体な言葉で言うなら──"責任取りなさいよ"、かしら」
    ヰ乍 蒼治:頷く。「オレの全部を使って、そうするよ」
    私市 水琴:「……勝手にしなさい」
    私市 水琴:ふい、と視線を逸して。「……鍵」
    私市 水琴:「使うの?」
    平坂 歩:「〝勝手にしなさい〟と許しが出たからねえ」
    平坂 歩:小さな鍵を、手の中へ閉じ込めている。
    私市 水琴:「別に許したつもりじゃない……今はまだ、その方がマシだと思うだけよ」
    平坂 歩:もう片手には大鎌。その刃を、当然のような仕草で〝コネクター〟の喉元へ突きつけて、
    平坂 歩:「ヰ乍 蒼治くん」
    ヰ乍 蒼治:「……」
    平坂 歩:彼の名を、低い温度で呼ぶ。
    平坂 歩:「私が聞きたいのは、解答用紙に花丸をつけてもらえるような優等生の言葉じゃあない」
    平坂 歩:「自分の善性を見せつけようという助平心でも無い」
    平坂 歩:「陳腐な言葉にはなるが……覚悟の程だ」
    平坂 歩:「君は、あらゆる術を用いてでも、王になる覚悟があるか?」
    ヰ乍 蒼治:「平坂さん」弱く笑う。「ありがとう」
    ヰ乍 蒼治:「オレを信じてくれて。オレの答えを……待ってくれて」
    ヰ乍 蒼治:左手の刺青に、手を遣る。
    ヰ乍 蒼治:生命を与える力。自らの可能性を代償に、新たな可能性を『作る』力。
    ヰ乍 蒼治:その能力を行使する際に、見える景色がある。それは自らが実現していたはずの、様々な未来。
    平坂 歩:「……君は今まで、口にしなかっただろう」
    ヰ乍 蒼治:「うん」その能力を使うたびに、後悔する。それでも手を伸ばしてしまう。
    平坂 歩:「他者の願いを踏み躙りながら進むのが、私の示す道だと聞いても」
    平坂 歩:「君は〝全員引き受ける〟とは言うが」
    平坂 歩:「〝自分は他者を踏み躙る〟とは明言しなかった」
    ヰ乍 蒼治:今回の選択もそうだ。未来が決まってしまう。誰かを傷つける、未来が。
    ヰ乍 蒼治:けれど――自分が誰かを助けた未来さえも捨てたなら、その選択に、どれほどの躊躇があるだろう。
    ヰ乍 蒼治:「……怖かったんだよ。オレは」
    ヰ乍 蒼治:「人が好きで、人を助けたかった。だから王様になろうとした……でも、それは全部オレの欲望だ」
    ヰ乍 蒼治:「アンタが教えてくれたんだ。だったら、とことんやってやる」
    ヰ乍 蒼治:「人を傷つけてでも、人を助けてやる。何もかもを蹂躙して、オレがヘイズの王になってやる」
    ヰ乍 蒼治:「鍵を寄越せ、平坂歩」
    平坂 歩:笑った。
    平坂 歩:唇の両端を吊り上げ、牙を晒すように。
    ヰ乍 蒼治:「オレはお前だけの王だ。そしてお前も今日から、オレだけの騎士だ」
    平坂 歩:「最も多くの未来を望める場所とは何処か?」
    平坂 歩:「ただ一歩も踏み出さず留まっている、その場所だ」
    平坂 歩:「先へ進めば進むほど、多くのものを取りこぼし、多くの道を通り過ぎて」
    平坂 歩:「行ける場所は限られて、可能性は削られていく」
    平坂 歩:「私は君を王にする」
    平坂 歩:「……君は、王になる他の道を選べなくなる」
    平坂 歩:右手を開く。小さな鍵が宙に浮く。
    ヰ乍 蒼治:「それがいい」
    ヰ乍 蒼治:「王になる道だけを、オレは今選んだ。だから、どれほどその玉座が空虚でも」
    ヰ乍 蒼治:「それは、オレたちの作った未来だ」
    ヰ乍 蒼治:鍵に手を伸ばし、掴む。
    GM:──
    GM:その手指を伝い、骨肉を伝い、
    GM:あなたの耳に声が届く。
    ???:「起きて、起きて」
    ???:「ねぇ、起きて」
    ???:「お父さん、お母さん」
    ???:「起きて……」
    GM:──
    GM:声は、すぐに止む。
    GM:そしてあなたの手の中で、
    GM:鍵は、指輪の形に変わっていた。
    ヰ乍 蒼治:左手の薬指に嵌める。
    ヰ乍 蒼治:「……なってみせるよ。平坂さん」
    ヰ乍 蒼治:「願いを叶える、王様に」
    私市 水琴:唇を引き結んだ。
    平坂 歩:「ああ」
    私市 水琴:歪な、この街だけの主従関係が始まろうとしている。
    平坂 歩:「全ての願いを殺す、私の王よ」
    私市 水琴:「……これから。どうするつもり?」
    平坂 歩:くるり。首を向ける。
    ヰ乍 蒼治:「……仲間を増やしたいな。賑やかなのは楽しいし」ぽつりと呟く。
    平坂 歩:「まずは〝それ〟を連れて、拠点を作ろうと思う」〝コネクター〟を顎で指す。
    ヰ乍 蒼治:「良いね。賛成」
    平坂 歩:「この街の夜は危険だが、しかし安らげる場所が無いでもない」
    平坂 歩:「そうだねぇ、このスナックの建物なんかは調度良さそうだ」
    平坂 歩:「……UGNに告げ口するかい?」
    私市 水琴:「……今のところは。私の中に、留めておくわ」
    私市 水琴:「ここには、ここのルールが有る。残念だけど、私はまだ、それを把握できていない」
    私市 水琴:「それを、理解して。その上で介入が必要だと判断したら──考えるわ。それと」
    私市 水琴:青年の顔を、見て。「貴方に。処刑台が必要だと、判断した時も」
    ヰ乍 蒼治:不敵に笑う。「やってみせろよ、お姫様」
    ヰ乍 蒼治:ぐ、と平坂歩を抱き寄せる。
    ヰ乍 蒼治:「どうせなら、二人で首を刎ねてくれれば浮かばれるかもな」
    平坂 歩:「ご冗談を。私は次の王に乗り換えるさ」
    平坂 歩:引き寄せられた腕の中で、けらけらと笑って、
    平坂 歩:「気をつけたまえよ、私市さん」
    私市 水琴:「私が?」
    平坂 歩:「君の王はきっと、私の王よりよほど優しいのだろう」
    私市 水琴:「だから、仕えているわけじゃ……」 小さく文句を言う。
    平坂 歩:「しかしその優しさが君を救うとは限らない。私の見立てでは、そうなっている」
    私市 水琴:「救われるかどうかは、私が決めるわ」
    私市 水琴:「……他人の夢に依って立つのは、趣味じゃないの」
    平坂 歩:「ならいいが、ロベスピエールに倣うんじゃあないよ」
    平坂 歩:「これでも私は君のことを気に入ってるんだ」
    平坂 歩:軽く手を振る。別れの挨拶としては簡素に過ぎる仕草。
    私市 水琴:「光栄なことね」
    私市 水琴:その言葉、一つ残して。不意に、姿がかき消える。
    ヰ乍 蒼治:「……」
    私市 水琴:『またいずれ、会いましょう。この街の、何処かで』
    私市 水琴:──そんな、声が。闇のどこかから、風にのって届く。
    ヰ乍 蒼治:彼女が残した風を握りしめるように、指輪の感触を確かめる。
    私市 水琴:最後に、ヰ乍の首に、ぞわり、とした糸の擦れるような感触を残して──完全に。気配が、消えた。
    ヰ乍 蒼治:「……オレさ。嬉しかったよ、また、先輩に会えて」
    ヰ乍 蒼治:「じゃあね、水琴先輩」歩き出す。彼の騎士が歩んだ轍を踏みしめるように。
    ヰ乍 蒼治:「また、夜に」
    GM:霧は未だ、街に満ちている。
    GM:夢が覚めるまではきっと、もう少し時が必要なのだろう。

    ED2:闇の花


    GM:【某市UGN支部、支部長室】
    病花 竜胆:「おお、生きて戻ったか」
    病花 竜胆:「よしよし、まずはそれが何よりの手柄じゃ。戻らぬのが一番困るでのう」
    私市 水琴:「ええ、まあ。潜入調査は、苦手ではありませんから」
    私市 水琴:潜入というには随分と──深入りしてしまったような気もするが。
    病花 竜胆:「得手じゃろーがなんじゃろーが、時の運というものはあるわい」
    病花 竜胆:「不運に捕まらず戻れた。まずはそれを喜ぶがいい」
    私市 水琴:「……単刀直入に訊きます」
    私市 水琴:労うような言葉を遮るように。
    病花 竜胆:「……ん?」
    私市 水琴:「何処まで、ご存知だったのですか?」
    病花 竜胆:「はて、なんのことかのう」
    病花 竜胆:少女は、髪飾りを弄りながら応えた。
    私市 水琴:「……言うつもりがないなら、別に構いませんが」
    私市 水琴:一つ、息を吐いて。
    私市 水琴:「"コネクター"は、堕ちました」
    病花 竜胆:「鍵は?」
    私市 水琴:「此処にはありません。ですが、居場所は──分かっています」
    病花 竜胆:「上等」
    病花 竜胆:「なれば機を見て兵を差し向けるまで──とは言うものの」
    病花 竜胆:「あの街におるでは、手出しも面倒じゃのう。上手いこと外へ誘い出すか」
    私市 水琴:「……知ってるじゃないですか。色々と」
    病花 竜胆:「んー? くっくっく、まぁ許せ」
    病花 竜胆:「いささか夢物語のような話故に、直接見せるのが得策と思うたのよ」
    私市 水琴:「……そういうことにしておきましょう」
    病花 竜胆:「……じゃが、お主を信用しているというのは嘘ではないぞ」
    病花 竜胆:「私がこうして支部長の机をぬくぬくと暖めていられるのも」
    病花 竜胆:「この〝かわいらしい悪だくみ〟が誰にも知られておらぬ証左であろ?」
    私市 水琴:「悪趣味ですね、貴女は」
    私市 水琴:「……私は、この組織の。そして、貴女の部下です」
    私市 水琴:「守れと言われたことには、可能な限り従います。それが、如何なる目的であれ」
    私市 水琴:「──少なくとも、今。私の不利益にならないのであれば」
    私市 水琴:「そこに私情を挟むつもりは、ありません」
    病花 竜胆:「なれば、私を信用せい」
    病花 竜胆:「私がその気になれば、お主に適当な嘘を吹き込んで」
    病花 竜胆:「〝契約〟をひっそり結んでおく……という手もあったのじゃぞ」
    私市 水琴:「…………」 背筋が、僅かに冷たくなる。
    病花 竜胆:「そうせなんだのは、お主に望みと呼べるものが何もなく」
    病花 竜胆:「ただ、己の安寧と生存を望む、その在り方が故じゃ」
    私市 水琴:「……だから、私なのですか」
    病花 竜胆:「お主は、獣よ」
    病花 竜胆:「縄張りに踏み込まれ、命を狙われれば牙も見せようが」
    病花 竜胆:「他の獣が縄張りの外で死ぬことに、さしたる感慨も見せぬ」
    病花 竜胆:「……尤も、お主の縄張りというのは、物理的な空間ではないようじゃがな」
    私市 水琴:「心外ですね。獣と呼ばれるには、些か力に欠けます」
    私市 水琴:「私はただの、弱い生き物に過ぎませんよ」
    病花 竜胆:「弱い人間に進化したならば、改めて口説いてやろうぞ」
    私市 水琴:「望みを持たなければ、人間ですらありませんか」 自嘲気味に笑う。
    病花 竜胆:「さあて、な」
    私市 水琴:「……私は、王を望みません。人に依って立つことは、好みませんので」
    私市 水琴:「口説き文句は、是非別の方に向けて下さい」
    病花 竜胆:「そうしよう。お主はこれまで通り、私の命に従うが良い」
    私市 水琴:「ええ」
    病花 竜胆:「お主にできるであろうことを見定め、相応の報酬と地位の安定を約束する」
    私市 水琴:「成程。悪い取引ではありません」
    病花 竜胆:「明日も明後日も、大きな変化が起こることはない」
    病花 竜胆:「くく。獣にあらねば木石かのう」
    私市 水琴:「……なんとでも」
    病花 竜胆:「じゃが、私はお主を人間扱いするよ」
    病花 竜胆:「そして私が思うに、人間とは皆」
    病花 竜胆:「王の下、平等に幸福であるべきなのじゃ」
    私市 水琴:「…………その幸福が」
    私市 水琴:「願いも尊厳も、王の名のもとに貶められた結果だとしても?」
    病花 竜胆:「しかり」
    病花 竜胆:「人間は平等であらねばならぬ。が」
    病花 竜胆:「王とは、人間の上に立つもの」
    病花 竜胆:「のう、〝ライラ〟」
    病花 竜胆:「私は王になりたい」
    私市 水琴:「……ええ、貴女は。それを望むのでしょう」
    病花 竜胆:「私ひとりが、平等の列から外れていたいのじゃ」
    私市 水琴:「構いません。貴女が王になろうが、誰が王になろうが」
    病花 竜胆:「……そのために、次の任を与えよう」
    私市 水琴:「──その時、私は。人間でないものとして。外側から、玉座を見ていましょう」
    私市 水琴:言って。言葉を切り、待つ。
    病花 竜胆:「所在を確認した『夢鍵』を回収せよ」
    病花 竜胆:「……無論、『ヘイズ』の中で戦えば苦戦は免れまい」
    病花 竜胆:「不意を打つでも、誘い出すでも、いかなる手でも躊躇うな」
    病花 竜胆:「なんなら、その乳で誑かしてやっても良いのじゃぞ」
    私市 水琴:「……馬鹿を言わないで下さい」 嘆息。
    私市 水琴:「善処はしましょう。……少なくとも、王たる資格を持つ男と、その男に付き従う女が障害となります」
    病花 竜胆:「うむ。なれば侵蝕回復の休暇が終了後、任務を開始せい。面倒な中間報告なぞは要らぬ」
    私市 水琴:「……承知しました」
    病花 竜胆:「金が要るか、耳に入れた方が良いと判断したか、その時のみ知らせに来るが良い」
    病花 竜胆:「……加えるに。人間になるつもりが出たら早急に言うのじゃぞ」
    私市 水琴:「ないとは思いますが。覚えておきます」
    病花 竜胆:「かかかっ」
    病花 竜胆:高笑いの後、小柄な身体が机から降りて椅子に座った。
    病花 竜胆:手指は、髪飾りを弄んでいる。
    私市 水琴:背を向ける。姿を消すでもなく、普通に、扉に手を掛けて。
    私市 水琴:思い出したように、振り向いた。
    私市 水琴:「……貴女は。何故、王になることを望むのですか?」
    病花 竜胆:「知れたことよ」
    病花 竜胆:手遊びを止めて、少女は顔を上げた。
    病花 竜胆:「王になりたい、と思った」
    病花 竜胆:「それが全て。他の理由は後付けの理屈、言い訳じゃ」
    私市 水琴:「そういうものですか」
    私市 水琴:「……なるほど。理解できないということを、理解しました」
    私市 水琴:きぃ、とノブが下がる。扉が開く。
    私市 水琴:「また、いずれ」
    GM:いずれ、また。
    GM:あなたは、霧の夜にゆくのだろう。

    ED3:夜明け前


    GM:【眠深市──太陽を呑む湖】
    GM:街の西にある湖は、昼間こそは観光名所として人の気配に満ちているが、
    GM:霧の夜には、魚の気配すら無い、静寂の空間となる。
    GM:王を目指し争うものは皆、街の中にいるのだ。
    GM:湖は霧に包まれて、ただ静かで広く、暗い。
    GM:……きぃ。きぃ。
    GM:オールが、船縁に擦れている。
    平坂 歩:ボートを漕いでいるのだ。
    平坂 歩:手慣れた様子でオールを使い、あなたを連れて、
    平坂 歩:彼女の駆るボートは、湖の中央へと向かっている。
    ヰ乍 蒼治:紅く染めた派手な短髪が霧に揺れる。
    ヰ乍 蒼治:「それでさ……この湖に何かあるって感じなの? 平坂さん」
    平坂 歩:「んー?」
    平坂 歩:「そうだねぇ。それを知りたかったら、仰向けになってみるといい」
    平坂 歩:「街の灯りが遠いから、空がよぅく見えるだろうさ」
    ヰ乍 蒼治:「ええ~。何スかそれ」笑いながら、ボートに身を横たえる。
    GM:言葉に従えば、なるほど、確かに空が良く見える。
    GM:湖面に広がる霧で、空は僅かに白く染まってはいるものの、
    GM:それでも街から見る夜空と比べれば、星の数は多く、明るさも強い。
    平坂 歩:「どうだい、綺麗なものだろう」
    ヰ乍 蒼治:「……すげえな」
    ヰ乍 蒼治:両手でカメラの画角のように四角を作り、空を映す。星が見えた。
    GM:風も無い夜だ。海のような、波も無い。
    GM:四角く切り取られた夜空が、揺れることも無いだろう──
    平坂 歩:枠を、覗き込む顔。
    平坂 歩:……と。
    平坂 歩:あなたの腹の上にのしかかる、人の重さ。
    ヰ乍 蒼治:「……平坂さん?」美しい獣のような彼女の重みに、わずか身を動かす。
    平坂 歩:「言葉というものは、中々面白いものだと思わないかい?」
    ヰ乍 蒼治:「言葉?」鸚鵡返しに。
    平坂 歩:「ただ星が綺麗だと言えば、君は首を反らすだけだったかも知れない」
    平坂 歩:「こうしてやりたいから横たわれと言ったら、少しの躊躇もあるだろう」
    平坂 歩:「言い回しを少し変えるだけで、君は自発的に横たわってくれたわけだ」
    ヰ乍 蒼治:「ホントにオレ王様なのかなあ。叶わないな、尻に敷かれちゃうじゃん」微笑む。
    平坂 歩:「……君。言葉ひとつさえ、武器にしたまえよ」
    平坂 歩:夜空への視線を遮る顔が、もう少し近づいてくる。
    ヰ乍 蒼治:細い、猫のような瞳を覗く。
    ヰ乍 蒼治:「解ってるよ。そうしないと、王様は厳しいって言うんだろ?」
    平坂 歩:「ああ。……自分は王になると、迷いもしていないようなふりをして」
    平坂 歩:「強く、悪びれず、罪悪感から逃げるための情けなど持たず」
    平坂 歩:「支配し、蹂躙し、従属させる。それでこそ、王だ」
    平坂 歩:「利害を抜いて考えた時、なぜ、人は誰かに従うと思う?」
    平坂 歩:「従いたい、と思ってしまうからさ」
    ヰ乍 蒼治:「……そして、従わせるだけの何かがあるから」
    ヰ乍 蒼治:うわごとのように呟く。
    平坂 歩:「この圧倒的な存在に支配されたら、自分はどれだけ幸せになれるだろう」
    平坂 歩:「そんな夢を見てしまうから、人は、誰かに膝を折る」
    ヰ乍 蒼治:「――」
    平坂 歩:「優しいだけじゃ駄目なんだぜ、少年」
    平坂 歩:「紳士の顔も獣の顔も、ふたつ揃えておかなくちゃあ」
    平坂 歩:「〝水琴先輩〟みたいな堅物は、そうそう靡かない」
    ヰ乍 蒼治:瞳が空を映す。夜一色に彩られた虚ろな空。
    ヰ乍 蒼治:あの日、王になると決めた日と同じ色。
    ヰ乍 蒼治:「……そうかも。おれもちょっと、頑張んなきゃな。うん……」
    平坂 歩:「ねえ、君」
    ヰ乍 蒼治:「平坂さんみたいには、行かないかも知れないスけど」彼女の手首を掴み、身を起こす。
    ヰ乍 蒼治:そして、言葉を待つ。
    平坂 歩:身を起こす──その動きが、
    平坂 歩:まるで〝隕石を持ち上げようとでもしているかのように〟
    平坂 歩:重く、妨げられる
    ヰ乍 蒼治:「……!」
    平坂 歩:空を見上げる眼の上に、ぱさっ……と落ちるネクタイ。
    平坂 歩:遮られた視界の向こうから、声だけが、
    平坂 歩:「ふたつの意味で聞くけど。……君、童貞かい?」
    ヰ乍 蒼治:「ははっ」
    ヰ乍 蒼治:軽く笑う。
    平坂 歩:「おかしなことを聞いたかな。でも、結構真剣に聞いてるんだよ」
    ヰ乍 蒼治:「ごめんね、平坂さん。ここに連れて来てくれた意味、解ってるよ。でもさ……オレ、言いたかったんだ」
    ヰ乍 蒼治:「うん。だから、オレも真剣に言う」
    ヰ乍 蒼治:「好きだよ。オレの物になってくれ」
    ヰ乍 蒼治:目だけは真っすぐ、重みを突き破るように。
    平坂 歩:「だぁめ」
    平坂 歩:「……ほら、また君の悪い癖が出た」
    平坂 歩:「君は答えづらい質問をされた時、真っ直ぐ答えを出さないんだ」
    平坂 歩:「近いような、関係のあるような、それでいて聞く分には感動的な」
    平坂 歩:「そういう台詞をぽんっと吐き出して、上手い感じに誤魔化しちゃうのさ」
    平坂 歩:「……だがそれじゃあ、私のようなひねくれ者は絆せないよ」
    ヰ乍 蒼治:「……仕方ないな」ため息を吐く。
    ヰ乍 蒼治:「その、さ。高校の頃は……まあ、居たんだけど。彼女みたいな子……」
    ヰ乍 蒼治:「逃げられちゃったよ。『身が持たない』って」
    平坂 歩:ぷっ
    平坂 歩:……と、真面目な顔に耐えかねたように噴き出す。
    ヰ乍 蒼治:「笑うなよ!だから言いたくなかったんだ……」
    平坂 歩:「微笑ましいじゃないか、なるほどなるほど」
    ヰ乍 蒼治:「結構真面目に凹んだんだからな!」
    平坂 歩:「はははっ、ごめんごめん。……じゃあ、もうひとつの意味は?」
    平坂 歩:「つまり、君」
    平坂 歩:「人間を殺したことはあるか、って聞いてるのさ」
    ヰ乍 蒼治:「――」
    ヰ乍 蒼治:ど くん
    ヰ乍 蒼治:鼓動が跳ねる。
    平坂 歩:手首を掴む、彼の手を
    平坂 歩:逆に、上から捕らえた。
    平坂 歩:……次の瞬間、くるりと。
    平坂 歩:身体の力ではない。重力が逆になったかのように、
    平坂 歩:二人の、上下の位置が入れ替わる。
    平坂 歩:彼の手を──
    平坂 歩:「慣れておきなよ、奪うことに」
    平坂 歩:首へ、引き寄せる。
    ヰ乍 蒼治:表情が歪む、が。
    ヰ乍 蒼治:その手は、抗うことはない。彼女の細い首筋に引き寄せられる。
    ヰ乍 蒼治:そして、首元を包み込む。
    平坂 歩:「雄の獣として、雌を組み敷き、自分のものにすることも」
    平坂 歩:「王として、誰かの願いと命を摘み取ることも──」
    平坂 歩:首に触れた手へ、脈拍と熱が返る。
    平坂 歩:暖かい。熱い程だ。
    平坂 歩:頬が上気している。目元にうっすらと涙が滲んで、だが、
    平坂 歩:口元に浮かぶ笑みは、恍惚と幸福に満たされている。
    ヰ乍 蒼治:命を作る手で、命を奪おうとしている。これが彼の選んだ道だ。
    ヰ乍 蒼治:「それでも、オレ。アンタが好きだ」
    ヰ乍 蒼治:「全部奪わなきゃいけないとしても、これがオレの選んだ道だとしても」
    ヰ乍 蒼治:「この道は、アンタから始まったんだ」
    ヰ乍 蒼治:返事を嚙み千切るかのように、獣の如く唇を奪った。
    平坂 歩:大柄な身体に閉じ込められるように、唇を奪われた。
    平坂 歩:言葉が封じられる。だから、
    平坂 歩:意志を示し得るものは、その肢体だけとなる。
    平坂 歩:手が、あなたの背を抱く。
    平坂 歩:脚が、あなたの腰に絡みつく。
    平坂 歩:……霧の夜には、全てがまき直される。
    平坂 歩:それは、ひとの命だとて。
    平坂 歩:だが、だからと言って。
    平坂 歩:〝どうせ元に戻るのだから〟と言って、誰かの命を奪うことが、常人にできるものだろうか。
    平坂 歩:手が、あなたの身体を引き寄せる。
    平坂 歩:……荒々しい口付けが離れたほんの一瞬、彼女は囁いた。
    平坂 歩:「殺して」
    平坂 歩:「それから、抱いて」
    ヰ乍 蒼治:膝を股座に差し込む。強く女の体を抱きしめた。
    ヰ乍 蒼治:「っ、ばっ、」
    ヰ乍 蒼治:――『アンタの願いを、叶えてみせるよ』
    ヰ乍 蒼治:「か、野郎ォ……ッ!!」
    ヰ乍 蒼治:ぐ、と首へ添えられた手に力が籠る。
    平坂 歩:みしっ
    平坂 歩:骨が軋む感触があった。
    平坂 歩:首は細く、華奢で、戦場に立つものとは思えない。
    平坂 歩:少し力を加えるだけで、皮膚の下、色々なものが潰れているのが分かる。
    平坂 歩:「っぁ──、が、ぁ、……は、ぁ」
    平坂 歩:血管も、気道も。
    平坂 歩:潰されて、塞がれて、苦痛の中に沈められて──
    平坂 歩:彼女は、嬉しそうに笑っていたし、
    平坂 歩:恋する乙女のように、あなたを見上げていた。
    平坂 歩:ごきぃっ
    平坂 歩
    平坂 歩:……あなたの手の中から、身体の下から、重さと温度が抜け出していく。
    平坂 歩:その身体は、あるいはさらさらとした灰になって散らばり、
    平坂 歩:あるいは霧に紛れるように溶けて、すうっ……と夜の一部になる。
    平坂 歩:「会いにおいで」
    平坂 歩:「その時に、君のものになろう」
    GM:……確かに、そう、声が聞こえた。
    GM:そう思った時、東──街の方角から、暖かく眩い光が差し込んできた。
    ヰ乍 蒼治:「……」光を見る。
    GM:朝の光だ。
    ヰ乍 蒼治:「朝だ」
    GM:『ヘイズ』は閉じ、夜までは、再び開かれることはない。
    GM:あなたは、平坂歩を一時的に失った世界へ投げ出される。
    GM:……平坂歩は次の夜まで、世界から消失しているのだ。
    GM:けれど、それは湖の霧が見せた悪夢に過ぎない。
    ヰ乍 蒼治:――『殺して』『それから、抱いて』
    GM:夜になれば、彼女が拠点と定めた場末のスナック、その二階の寝室に、
    GM:彼女は、待っているだろう。
    ヰ乍 蒼治:「……今度は、オレが迎えに行くよ。歩さん」
    ヰ乍 蒼治:霧があろうとも、暗い炎の燃え盛るような夜が待ち構えている。その未来を確信できる。
    GM:ほんの十数時間後、あなたは──
    GM:平坂 歩という女の、全てを奪うことになる。



    GM:Dx3rdセッション『ヘイズ・ロードの夢鍵』、一切の行程を終了致します。
    GM:お疲れ様でした!
    ヰ乍 蒼治:お疲れさまでした…………!!!
    私市 水琴:お疲れ様でした!
    ヰ乍 蒼治:王になるぞ!!ウオオオ!!!